(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040462
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報提供システム、情報処理方法、および情報処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/28 20100101AFI20240315BHJP
G01S 19/05 20100101ALI20240315BHJP
【FI】
G01S19/28
G01S19/05
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021153
(22)【出願日】2024-02-15
(62)【分割の表示】P 2022529259の分割
【原出願日】2020-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232221
【氏名又は名称】日本電気航空宇宙システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和史
(72)【発明者】
【氏名】田口 達雄
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 智美
(72)【発明者】
【氏名】井上 恵一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 力
(57)【要約】
【課題】 より低コストで衛星から送信されたデータを処理することができる情報処理装置、情報提供システム、情報処理方法、および情報処理用プログラムが記憶された記憶媒体を提供する。
【解決手段】 受信部120は、衛星からデータを受信して当該衛星との距離を算出する複数の受信機から、当該衛星と距離とを示す距離情報を受信する。記憶部110には、受信機の位置を示す位置情報が記憶されている。計算部130は、受信部120が受信した距離情報と、記憶部110に記憶されている位置情報とに基づいて、距離情報が示す距離の誤差を算出する。出力部140は、計算部130の算出結果を出力する。複数の受信機は、複数の空港のいずれかに対応して設置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星からデータを受信して前記衛星との距離を算出する複数の受信機から、前記衛星の位置と前記距離とを示す距離情報を受信する受信手段と、
前記受信機の位置を示す位置情報が記憶された記憶手段と、
前記受信手段が受信した前記距離情報と、前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とに基づいて、前記距離情報が示す前記距離の誤差を算出する計算手段と、
前記計算手段の算出結果を出力する出力手段と備え、
前記計算手段は、前記誤差が小さい順に所定数の前記衛星または前記誤差が所定値よりも小さい前記衛星を特定し、
前記出力手段は、前記受信手段が受信した前記距離情報の送信元の受信機に対応する空港ごとに設置される送信機に、前記特定した衛星についての前記誤差を出力する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記計算手段は、前記受信機の位置情報が示す位置と前記距離情報が示す前記衛星の位置との間の距離を算出し、算出結果と前記距離情報が示す距離とに基づいて、前記距離情報が示す前記距離の誤差を算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置と、
前記送信機とを備え、
前記送信機は、前記情報処理装置によって出力された算出結果に応じた補正情報を航空機に送信する
情報提供システム。
【請求項4】
衛星からデータを受信して前記衛星との距離を算出する複数の受信機から、前記衛星の位置と前記距離とを示す距離情報を受信し、
受信した前記距離情報と、前記受信機の位置を示す位置情報が記憶された記憶手段に記憶されている前記位置情報とに基づいて、前記距離情報が示す前記距離の誤差を算出し、
前記算出の結果を出力し、
前記誤差が小さい順に所定数の前記衛星または前記誤差が所定値よりも小さい前記衛星を特定し、
受信した前記距離情報の送信元の受信機に対応する空港ごとに設置される送信機に、前記特定した衛星についての前記誤差を出力する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
衛星からデータを受信して前記衛星との距離を算出する複数の受信機から、前記衛星の位置と前記距離とを示す距離情報を受信する受信処理と、
前記受信した前記距離情報と、前記受信機の位置を示す位置情報が記憶された記憶手段に記憶されている前記位置情報とに基づいて、前記距離情報が示す前記距離の誤差を算出する計算処理と、
前記計算処理における算出結果を出力する出力処理とを実行させ、
前記計算処理では、前記誤差が小さい順に所定数の前記衛星または前記誤差が所定値よりも小さい前記衛星を特定し、
前記出力処理では、受信した前記距離情報の送信元の受信機に対応する空港ごとに設置される送信機に、前記特定した衛星についての前記誤差を出力する
ことを特徴とする情報処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星から送信されたデータを処理する情報処理装置、情報提供システム、情報処理方法、および情報処理用プログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
空港に着陸を試みる航空機を滑走路に誘導するためのシステムに、GBAS(Ground-Based Augmentation System:地上型衛星航法補強システム).がある。GBASは、航空機に搭載されているGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)測位装置による測位精度を向上させるための情報等を、当該測位装置に提供する。
【0003】
特許文献1には、地上に設置された基準局が所定の精度条件を満たす高精度な時刻情報を、航空機に搭載されている測位装置に提供するシステムが記載されている。
【0004】
特許文献2には、GNSS衛星から送信された信号が、電離圏を通過するときに遅延することによって、GNSS測位装置の測位精度が低下することが記載されている。また、特許文献2には、地上に設置された処理装置が、GNSS衛星と航空機との間の電離圏の状態を観測して誤差を補償するための補正値を算出し、算出結果を航空機に提供することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-122775号公報
【特許文献2】特開2016-197101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているようなシステムでは、特許文献2に記載されているように、電離圏の状態に応じた測位誤差が生じ得る。そこで、特許文献2に記載されているように、当該測位誤差を補償可能なように補正値の情報を航空機に提供することも考えられるが、各空港ごとに処理装置を設置し、運用するためには相当なコストが必要である。特に、航空機の着陸誘導のような高度な安全性が要求されているシステムに用いられる処理装置に要するコストは、一般に高額になる。
【0007】
そこで、本発明は、より低コストで衛星から送信されたデータを処理することができる情報処理装置、情報提供システム、情報処理方法、および情報処理用プログラムが記憶された記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による情報処理装置は、衛星からデータを受信して前記衛星との距離を算出する複数の受信機から、前記衛星の位置と前記距離とを示す距離情報を受信する受信手段と、前記受信機の位置を示す位置情報が記憶された記憶手段と、前記受信手段が受信した前記距離情報と、前記記憶手段に記憶されている前記位置情報とに基づいて、前記距離情報が示す前記距離の誤差を算出する計算手段と、前記計算手段の算出結果を出力する出力手段と備え、前記計算手段は、前記誤差が小さい順に所定数の前記衛星または前記誤差が所定値よりも小さい前記衛星を特定し、前記出力手段は、前記受信手段が受信した前記距離情報の送信元の受信機に対応する空港ごとに設置される送信機に、前記特定した衛星についての前記誤差を出力することを特徴とする。
【0009】
本発明による情報処理方法は、衛星からデータを受信して前記衛星との距離を算出する複数の受信機から、前記衛星の位置と前記距離とを示す距離情報を受信し、受信した前記距離情報と、前記受信機の位置を示す位置情報が記憶された記憶手段に記憶されている前記位置情報とに基づいて、前記距離情報が示す前記距離の誤差を算出し、前記算出の結果を出力し、前記誤差が小さい順に所定数の前記衛星または前記誤差が所定値よりも小さい前記衛星を特定し、受信した前記距離情報の送信元の受信機に対応する空港ごとに設置される送信機に、前記特定した衛星についての前記誤差を出力することを特徴とする。
【0010】
本発明による情報処理用プログラムは、コンピュータに、衛星からデータを受信して前記衛星との距離を算出する複数の受信機から、前記衛星の位置と前記距離とを示す距離情報を受信する受信処理と、前記受信した前記距離情報と、前記受信機の位置を示す位置情報が記憶された記憶手段に記憶されている前記位置情報とに基づいて、前記距離情報が示す前記距離の誤差を算出する計算処理と、前記計算処理における算出結果を出力する出力処理とを実行させ、前記計算処理では、前記誤差が小さい順に所定数の前記衛星または前記誤差が所定値よりも小さい前記衛星を特定し、前記出力処理では、受信した前記距離情報の送信元の受信機に対応する空港ごとに設置される送信機に、前記特定した衛星についての前記誤差を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より低コストで衛星から送信されたデータを処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態の情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の情報提供システムにおける基準局および電離圏モニタ局の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1の実施形態の情報提供システムにおける情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施形態の情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態1.
本発明の第1の実施形態の情報提供システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の情報提供システムは、情報処理装置10と複数の送信機41,42とを含む。
【0014】
図1に示すように、情報処理装置10には、通信回線を介して、複数の基準局21-1~21-n,22-1~22-mがそれぞれ接続されている。また、
図1に示すように、情報処理装置10には、通信回線を介して、電離圏の状態をモニタするための複数の電離圏モニタ局31,32が接続されている。さらに、
図1に示すように、情報処理装置10には、通信回線を介して、複数の送信機41,42がそれぞれ接続されている。なお、複数の送信機41,42は、それぞれ送信装置に相当する。
【0015】
基準局21-1~21-n、および送信機41は、第1の空港51にそれぞれ設置されている。電離圏モニタ局31は、第1の空港51の近傍(第1の空港51の敷地内であってもよい)に設置されている。
【0016】
また、基準局22-1~22-m、および送信機42は、第2の空港52にそれぞれ設置されている。電離圏モニタ局32は、第2の空港52の近傍(第2の空港52の敷地内であってもよい)に設置されている。
【0017】
航空機71,72には、GNSS測位システムが搭載されているとする。
【0018】
なお、第1の空港と第2の空港とは互いに異なる空港である。具体的には、例えば、第1の空港は東京国際空港であり、第2の空港は成田国際空港である。
【0019】
基準局21-1~21-n,22-1~22-mは、それぞれ、GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jから送信されたデータを受信する。そして、基準局21-1~21-n,22-1~22-mは、それぞれ、受信した当該データに基づいて自己が設置されている位置と当該GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jとの間の距離を算出する。
【0020】
なお、基準局21-1~21-n,22-1~22-mが、それぞれ、GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jから送信されたデータに基づいて、GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jの位置を算出する方法、および自己が設置されている位置と当該GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jとの間の距離を算出する方法については、例えば、既知の方法が用いられる。
【0021】
基準局21-1~21-n,22-1~22-mは、算出した距離を示す距離情報、当該データに基づき当該GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jとその位置とを示す衛星情報、および自己の識別子を含む局情報を生成する。そして、基準局21-1~21-n,22-1~22-mは、情報処理装置10に、生成した局情報を送信する。
【0022】
電離圏モニタ局31,32は、それぞれ、GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jから送信されたデータを受信する。そして、電離圏モニタ局31,32は、それぞれ、受信した当該データに基づいて自己が設置されている位置と当該GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jとの間の距離を算出する。
【0023】
ここで、j、n、およびmは自然数である。また、jとnとmとは互いに同じ自然数であってもよいし、互いに異なる自然数であってもいい。
【0024】
なお、電離圏モニタ局31,32が、それぞれ、GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jから送信されたデータに基づいて、当該GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jの位置を算出する方法、および自己が設置されている位置と当該GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jとの間の距離を算出する方法については、例えば、既知の方法が用いられる。
【0025】
電離圏モニタ局31,32は、算出した距離を示す距離情報、当該データに基づき当該GNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jとその位置とを示す衛星情報、および自己の識別子を含む局情報を生成する。そして、電離圏モニタ局31,32は、情報処理装置10に、生成した局情報を送信する。
【0026】
情報処理装置10の構成例について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態における情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、情報処理装置10は、データベース11、受信部12、計算部13、および送信部14を含む。
【0028】
データベース11には、各基準局21-1~21-n,22-1~22-m、および各電離圏モニタ局31,32の識別子と位置情報とが互いに対応付けられて記憶されている。なお、データベース11に、各基準局21-1~21-n,22-1~22-m、および各電離圏モニタ局31,32の識別子に対応付けられて記憶されている位置情報が示す各基準局21-1~21-n,22-1~22-m、および各電離圏モニタ局31,32の位置は、十分に高精度であるものとする。
【0029】
受信部12は、各基準局21-1~21-n,22-1~22-mから局情報を受信する。また、受信部12は、電離圏モニタ局31,32から局情報を受信する。
【0030】
計算部13は、データベース11に記憶されている位置情報と、各基準局21-1~21-n,22-1~22-m、および各電離圏モニタ局31,32から受信した局情報のそれぞれとに基づいて、各基準局21-1~21-n,22-1~22-m、および各電離圏モニタ局31,32と衛星情報によって示されているGNSS衛星60-1,60-2,60-3~60-jとの間の距離をそれぞれ算出する。
【0031】
そして、計算部13は、算出した距離と、当該局情報に含まれている距離情報が示す距離との差分を算出する。
【0032】
計算部13は、算出した差分を示す誤差情報を生成する。
【0033】
送信部14は、誤差情報を、当該局情報に応じた送信機41,42に、計算部13が生成した誤差情報と、誤差情報の算出対象となった衛星を示す衛星特定情報とを送信する。
【0034】
送信機41,42は、送信部14によって送信された誤差情報と衛星特定情報とを送信する。送信機41,42によって送信された誤差情報と衛星特定情報とは、航空機71,72によって受信される。
【0035】
計算部13は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPU(Central Processing Unit)や、複数の電気回路によって実現される。
【0036】
受信部12および送信部14は、例えば、通信用電気回路によって実現される。
【0037】
データベース11は、例えば、揮発性または不揮発性の記憶媒体によって実現される。
【0038】
次に、本発明の第1の実施形態の情報提供システムの動作について、図面を参照して説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態の情報提供システムにおける基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび電離圏モニタ局31,32の動作を示すフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、本発明の第1の実施形態の情報提供システムにおける基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび電離圏モニタ局31,32は、GNSS衛星から送信されたデータを受信し(ステップS101)、受信した当該データに基づいて自己が設置されている位置と当該GNSS衛星との間の距離を算出する(ステップS102)。
【0040】
基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび電離圏モニタ局31,32は、算出した距離を示す距離情報、当該データに基づき当該GNSS衛星とその位置とを示す衛星情報、および自己の識別子を含む局情報を生成する(ステップS103)。
【0041】
そして、基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび電離圏モニタ局31,32は、情報処理装置10に、ステップS103の処理で生成した局情報を送信する(ステップS104)。
【0042】
本発明の第1の実施形態の情報提供システムにおける情報処理装置10の動作について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態の情報提供システムにおける情報処理装置10の動作を示すフローチャートである。
【0043】
図4に示すように、本発明の第1の実施形態の情報提供システムにおける情報処理装置10において、受信部12は、各基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび各電離圏モニタ局31,32から局情報を受信する(ステップS201)。
【0044】
計算部13は、データベース11に記憶されている位置情報と、ステップS201の処理で受信した局情報とに基づいて、各基準局21-1~21-n,22-1~22-m、および各電離圏モニタ局31,32と衛星情報によって示されているGNSS衛星との間の距離を算出する(ステップS202)。
【0045】
ステップS202の処理について説明する。計算部13は、まず、ステップS201の処理で受信した局情報から識別子(具体的には、各基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび各電離圏モニタ局31,32を互いに識別可能な識別子)を読み出す。そして、計算部13は、データベース11において、読みだした識別子に合致する識別子に対応付けられた位置情報(つまり、各基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび各電離圏モニタ局31,32のうち、識別子によって示された局の位置を示す位置情報)を読み出す。
【0046】
また、計算部13は、ステップS201の処理で受信した局情報において衛星情報に含まれている衛星の位置の情報を読み出す。そして、計算部13は、読みだした衛星の位置の情報が示す位置と、データベース11から読みだした位置情報が示す位置との間の距離を算出する。
【0047】
ステップS202においてこのような処理を行うことにより、衛星と各基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび各電離圏モニタ局31,32との間の距離を十分に精度よく算出することができる。
【0048】
計算部13は、ステップS202の処理で算出した距離と、ステップS201の処理で受信した局情報に含まれている距離情報が示す距離との差分(誤差)を算出する(ステップS203)。
【0049】
なお、計算部13は、所定の時間内に、ステップS203の処理で、一の空港に対応して設置されている複数の各基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび各電離圏モニタ局31,32と、一の衛星との間の距離の差分をそれぞれ算出した場合に、各差分の平均値を当該一の衛星との間の距離の誤差としてもよい。
【0050】
計算部13は、ステップS203の処理で算出した差分を示す誤差情報を生成する。
【0051】
送信部14は、ステップS201の処理で受信した局情報に応じた送信機41,42(つまり、局情報の送信元の各基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび各電離圏モニタ局31,32が設置されている空港に設置されている送信機41,42)に、生成した誤差情報と、誤差情報の算出対象となった衛星を示す衛星特定情報とを送信する(ステップS204)。
【0052】
なお、計算部13は、通常のGBAS地上局としての処理を実行し、送信部14が、通常のGBASにおける補正メッセージも送信するように構成されていてもよい。また、計算部13は、誤差情報が示す差分が小さい順に所定の数の衛星または誤差情報が示す差分が所定の値よりも小さい衛星についての誤差情報と衛星特定情報とを採用し、送信部14が、採用された誤差情報と衛星特定情報とを送信する。すると、航空機71,72では、電離圏の影響がより少ない衛星から送信されたデータに基づいて自己の位置を測位することになり、より高精度に測位することができる。
【0053】
ステップS204の処理で送信された誤差情報、衛星特定情報、および補正メッセージは、送信先の送信機41,42によって受信される。そして、誤差情報、衛星特定情報、および補正メッセージを受信した送信機41,42は、受信した誤差情報、衛星特定情報、および補正メッセージを送信する。
【0054】
送信機41,42によって送信された誤差情報、衛星特定情報、および補正メッセージは、航空機71,72によって受信される。
【0055】
航空機71,72では、誤差情報、衛星特定情報、および補正メッセージに基づいて、自己の位置を測位する。
【0056】
本実施形態によれば、情報処理装置10が、第1の空港がある地域についての電離圏の状態に関する処理と、第2の空港がある地域についての電離圏の状態に関する処理とを行う。つまり、情報処理装置10が、複数の空港についての電離圏の状態に関する処理をまとめて行う。したがって、情報処理装置10が各空港に対して個別に設置された場合に比べて、設置費用や、維持管理費用を低減させることができる。
【0057】
さらに、本実施形態によれば、情報処理装置10が、互いに異なる複数の空港の敷地内および近傍にそれぞれ設置された基準局21-1~21-n,22-1~22-mおよび電離圏モニタ局31,32が、各GNSS衛星からデータを受信した結果に基づいて、航空機71,72に情報を提供することができる。つまり、情報処理装置10が、複数の空港におけるデータの受信結果に基づいて、航空機71,72に情報を提供することができる。したがって、航空機71,72に、着陸または離陸する予定の空港(例えば、第1の空港)とは異なる空港(例えば、第2の空港)がある地域において各GNSS衛星から受信するデータによる誤差を事前に把握させることが可能になる。そして、当該誤差の程度に応じて、例えば、着陸する空港を変更することが可能になる。
【0058】
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態の情報処理装置100について、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態の情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。
【0059】
図5に示すように、本発明の第2の実施形態の情報処理装置100は、記憶部110、受信部120、計算部130、および出力部140を含む。
【0060】
なお、受信手段は、受信部120に相当する。記憶手段は、記憶部110に相当する。出力手段は、出力部140に相当する。
【0061】
受信部120は、衛星からデータを受信して当該衛星との距離を算出する複数の受信機から、当該衛星と距離とを示す距離情報を受信する。
【0062】
記憶部110には、受信機の位置を示す位置情報が記憶されている。なお、記憶部110は、第1の実施形態におけるデータベース11に対応している。
【0063】
計算部130は、受信部120が受信した距離情報と、記憶部110に記憶されている位置情報とに基づいて、距離情報が示す距離の誤差を算出する。
【0064】
出力部140は、計算部130の算出結果を出力する。なお、出力部140は、第1の実施形態における送信部14に対応している。
【0065】
複数の受信機は、複数の空港のいずれかに対応して設置されている。
【0066】
本実施形態によれば、情報処理装置100が、互いに異なる複数の空港に設置された受信機が衛星からデータを受信した結果をまとめて処理して、航空機に情報を提供することができる。したがって、情報処理装置100が各空港に対して個別に設置された場合に比べて、設置費用や、維持管理費用を低減させることができる。
【0067】
以上に述べた各実施形態では、情報処理装置10,100が生成した情報は航空機に提供するとして説明したが、本発明における情報処理装置10,100で生成された情報の提供先は航空機に限られない。電離圏の観測等の他の用途に用いられる機器に提供されるように構成されてもよい。また、情報処理装置10,100で生成された情報を表示手段に表示させるように構成されてもよい。
【0068】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0069】
10、100 情報処理装置
11 データベース
12、120 受信部
13、130 計算部
14 送信部
110 記憶部
140 出力部