(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040464
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】圃場水管理システム及び給水栓制御装置
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20240315BHJP
E02B 13/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A01G25/00 501Z
E02B13/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021176
(22)【出願日】2024-02-15
(62)【分割の表示】P 2019229943の分割
【原出願日】2019-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2018238278
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁
(72)【発明者】
【氏名】末吉 康則
(72)【発明者】
【氏名】陳 巨壹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 好宏
(72)【発明者】
【氏名】武内 利樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雅司
(57)【要約】
【課題】圃場に設置された給水栓制御装置が前年と入れ替わっても継続的にその圃場の過去のデータが引き継がれる圃場水管理システムを提供する。
【解決手段】圃場に設置された給水栓と、前記給水栓に着脱自在に構成され、固有のID情報が設定された給水栓制御装置と、給水栓制御装置を遠隔制御する圃場水管理サーバと、を備えている圃場水管理システムであって、給水栓制御装置は、給水栓
の近傍の位置情報を保持する情報保持体から位置情報を電子的に捕捉する位置情報取得機構を備え、通信部は位置情報取得機構で捕捉した位置情報とID情報を圃場水管理サーバに送信するように構成さ
れ、情報保持体は携帯端末で構成され、携帯端末に備えた位置情報取得アプリで取得した給水栓の近傍の位置情報をコード化したコード情報が表示画面に表示されるように構成され、位置情報取得機構は給水栓制御装置に接続されコード情報を読み取るスキャナで構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に設置された給水栓と、
前記給水栓に着脱自在に構成され、前記給水栓を作動させるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する給水制御部と、圃場水管理サーバと交信する通信部と、を有し、固有のID情報が設定された給水栓制御装置と、
前記給水栓制御装置を遠隔制御する圃場水管理サーバと、
を備えている圃場水管理システムであって、
前記給水栓制御装置は、前記給水栓の近傍の位置情報を保持する情報保持体から前記位置情報を電子的に捕捉する位置情報取得機構を備え、前記通信部は前記位置情報取得機構で捕捉した位置情報と前記ID情報を前記圃場水管理サーバに送信するように構成され、
前記情報保持体は携帯端末で構成され、前記携帯端末に備えた位置情報取得アプリで取得した前記給水栓の近傍の位置情報をコード化したコード情報が表示画面に表示されるように構成され、前記位置情報取得機構は前記給水栓制御装置に接続され前記コード情報を読み取るスキャナで構成されている圃場水管理システム。
【請求項2】
前記圃場水管理サーバは、複数の圃場の位置を示す地図情報と、各圃場に設置された給水栓の位置情報と、各給水栓の特性情報を含む属性情報を圃場マップ情報として管理する圃場マップ管理部を備え、
前記圃場マップ管理部は、前記給水栓制御装置から送信された位置情報に基づいて前記給水栓制御装置及び前記給水栓制御装置が装着された給水栓を関連付けて前記圃場マップ情報を更新処理するように構成されている請求項1記載の圃場水管理システム。
【請求項3】
前記圃場水管理サーバは、前記給水栓制御装置から送信された位置情報に基づいて前記給水栓制御装置が装着された給水栓の特性情報を含む属性情報を前記圃場マップ情報から読み出して前記給水栓制御装置に送信する請求項2記載の圃場水管理システム。
【請求項4】
前記属性情報に帰属情報が含まれ、前記圃場水管理サーバは、前記給水栓制御装置から送信された位置情報と前記ID情報に基づいて前記給水栓制御装置が適正な圃場の給水栓に装着されているか否かを判別するように構成されている請求項2または3記載の圃場水管理システム。
【請求項5】
前記属性情報に、前記給水栓の圧力特性、前記圃場の減水深特性、前記給水栓の開度情報、前記給水栓の締切トルク情報、前記アクチュエータの過負荷電流情報の何れかが含まれる請求項2から4の何れかに記載の圃場水管理システム。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の圃場水管理システムに用いられ、前記圃場に設置された前記給水栓に着脱自在に構成され、前記給水栓を作動させる前記アクチュエータと、前記アクチュエータを制御する前記給水制御部と、前記圃場水管理サーバと交信する前記通信部と、前記位置情報取得機構と、を有し固有のID情報が設定された給水栓制御装置であって、
前記給水栓への初期装着時に、前記通信部は前記位置情報取得機構で取得した位置情報と前記ID情報を前記圃場水管理サーバに送信するように構成されている給水栓制御装置。
【請求項7】
前記給水制御部は、前記通信部による前記位置情報と前記ID情報の送信に応答して前記圃場水管理サーバから送信された前記給水栓の特性情報を含む属性情報に基づいて前記アクチュエータを制御するように構成されている請求項6記載の給水栓制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場水管理システム及び給水栓制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圃場に設置され圃場への給水を制御するための変位機構を備えた給水栓と、前記給水栓に備えた変位機構を作動させるアクチュエータを備えた給水栓制御装置が開示されている。このような給水栓を用いることにより、圃場水管理サーバを介して圃場への給水を遠隔制御することが可能になる。
【0003】
当該給水栓制御装置は、給水栓に着脱自在に構成され、給水栓を作動させるアクチュエータと、アクチュエータを制御する給水制御部と、圃場水管理サーバと交信する通信部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した給水栓制御装置は、各圃場に設置された給水栓に対して着脱自在に構成されているため、例えば豪雪地域などでは給水栓制御装置の故障を回避するために、農閑期になると各給水栓から給水栓制御装置を取り外して屋内に収納しておき、農繁期の直前に各給水栓にそれぞれ給水栓制御装置を再装着する作業が行なわれる。
【0006】
しかし、各圃場に設置された給水栓に、前回と同じ給水栓制御装置が装着されるとは限らないため、各給水栓の特性に応じて給水栓制御装置の制御特性を調整する煩雑な作業が給水栓ごとに必要とされていた。
【0007】
具体的には、給水栓に組み込まれた給水バルブの開弁制御を行なう場合に、装着された給水栓に適した弁開度に制御され、閉弁制御を行なう場合に、装着された給水栓に適した止水状態に制御される必要があり、そのための調整作業が必要であった。
【0008】
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、圃場に設置された給水栓制御装置が前年と入れ替わっても継続的にその圃場の過去のデータが引き継がれる圃場水管理システム及び給水栓制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明による圃場水管理システムの第一の特徴構成は、圃場に設置された給水栓と、前記給水栓に着脱自在に構成され、前記給水栓を作動させるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する給水制御部と、圃場水管理サーバと交信する通信部と、を有し、固有のID情報が設定された給水栓制御装置と、前記給水栓制御装置を遠隔制御する圃場水管理サーバと、を備えている圃場水管理システムであって、前記給水栓制御装置は、前記給水栓の近傍の位置情報を保持する情報保持体から前記位置情報を電子的に捕捉する位置情報取得機構を備え、前記通信部は前記位置情報取得機構で捕捉した位置情報と前記ID情報を前記圃場水管理サーバに送信するように構成され、前記情報保持体は携帯端末で構成され、前記携帯端末に備えた位置情報取得アプリで取得した前記給水栓の近傍の位置情報をコード化したコード情報が表示画面に表示されるように構成され、前記位置情報取得機構は前記給水栓制御装置に接続され前記コード情報を読み取るスキャナで構成されている点にある。
【0010】
給水栓の近傍において携帯端末に備えた位置情報取得アプリで取得され、コード化されて表示画面に表示された位置情報が、給水栓制御装置に接続されたスキャナで読み取られることで、給水栓制御装置が給水栓の位置情報として取得され、給水栓制御装置に固有のID情報と当該位置情報が圃場水管理サーバに送信されるので、圃場水管理サーバ側で各給水栓制御装置が個別に識別され、設置位置が認識されるようになる。
【0011】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記圃場水管理サーバは、複数の圃場の位置を示す地図情報と、各圃場に設置された給水栓の位置情報と、各給水栓の特性情報を含む属性情報を圃場マップ情報として管理する圃場マップ管理部を備え、前記圃場マップ管理部は、前記給水栓制御装置から送信された位置情報に基づいて前記給水栓制御装置及び前記給水栓制御装置が装着された給水栓を関連付けて前記圃場マップ情報を更新処理するように構成されている点にある。
【0012】
圃場水管理サーバに備えた圃場マップ管理部は、圃場マップ情報に基づいて各圃場と各圃場に設置された給水栓を把握して、何れかの給水栓に装着された給水栓制御装置から送信された位置情報に基づいて当該給水栓制御装置が設置された圃場及びその圃場の給水栓と関連付ける圃場マップ情報の更新処理を行なう。その結果、固有のIDが付された各給水栓制御装置が装着された給水栓及び圃場を把握することができる。
【0013】
同第三の特徴構成は、上述の第二の特徴構成に加えて、前記圃場水管理サーバは、前記給水栓制御装置から送信された位置情報に基づいて前記給水栓制御装置が装着された給水栓の特性情報を含む属性情報を前記圃場マップ情報から読み出して前記給水栓制御装置に送信する点にある。
【0014】
各給水栓制御装置が装着された給水栓に関する特性情報を含む属性情報が圃場マップ情報から読み出されて対応する給水栓制御装置に送信されることにより、給水栓制御装置は、どのような特性を備えた給水栓であっても圃場水管理サーバから送信される属性情報に基づいて給水栓を適切に制御できる。
【0015】
同第四の特徴構成は、上述の第二または第三の特徴構成に加えて、前記属性情報に帰属情報が含まれ、前記圃場水管理サーバは、前記給水栓制御装置から送信された位置情報と前記ID情報に基づいて前記給水栓制御装置が適正な圃場の給水栓に装着されているか否かを判別するように構成されている点にある。
【0016】
給水栓制御装置から送信された位置情報に基づいて給水栓制御装置が装着された給水栓が把握され、給水栓制御装置から送信されたID情報と給水栓の帰属情報に基づいて給水栓制御装置が適正な圃場の給水栓に装着されているか否かが判断される。
【0017】
同第五の特徴構成は、上述の第二から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記属性情報に、前記給水栓の圧力特性、前記圃場の減水深特性、前記給水栓の開度情報、前記給水栓の締切トルク情報、前記アクチュエータの過負荷電流情報の何れかが含まれる点にある。
【0018】
給水栓制御装置はこれらの属性情報に基づいて装着された給水栓を適切に制御できるようになる。例えば、給水栓の圧力特性に基づいて開弁時の適切な弁開度を調整でき、圃場の減水深特性に基づいて圃場の目標水位などが調整でき、給水栓の開度情報に基づいてアクチュエータの制御量が定まり、給水栓の締切トルク情報に基づいて止水位置が定まり、アクチュエータの過負荷電流情報に基づいて異常診断などが可能になる。
【0019】
本発明による給水栓制御装置の第一の特徴構成は、上述の第一から第五の何れかの特徴構成を備えた圃場水管理システムに用いられ、前記圃場に設置された前記給水栓に着脱自在に構成され、前記給水栓を作動させる前記アクチュエータと、前記アクチュエータを制御する前記給水制御部と、前記圃場水管理サーバと交信する前記通信部と、前記位置情報取得機構と、を有し固有のID情報が設定された給水栓制御装置であって、前記給水栓への初期装着時に、前記通信部は前記位置情報取得機構で取得した位置情報と前記ID情報を前記圃場水管理サーバに送信するように構成されている点にある。
【0020】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記給水制御部は、前記通信部による前記位置情報と前記ID情報の送信に応答して前記圃場水管理サーバから送信された前記給水栓の特性情報を含む属性情報に基づいて前記アクチュエータを制御するように構成されている点にある。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明によれば、圃場に設置された給水栓制御装置が前年と入れ替わっても継続的にその圃場の過去のデータが引き継がれる圃場水管理システム及び給水栓制御装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】給水栓制御装置及び排水栓制御装置の機能ブロックの説明図
【
図6】圃場データベースに登録されるデータの説明図
【
図7】給水栓制御装置により実行される給水栓初期化処理の手順を示すフローチャート
【
図8】圃場水管理サーバにより実行される給水栓初期化処理の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明による圃場水管理システム及び給水栓制御装置を説明する。ここでは、給水栓側の制御部に加え、排水栓側にも制御部を設けた例で説明する。
[圃場水管理システムの構成]
図1に示すように、稲作が行なわれている各圃場1には、給水管10に流れる用水を、導水路11を介して圃場1に導く給水栓装置12と、放水路21を介して圃場1の水を排水路20に排水する排水栓装置22が設けられ、圃場1の近傍にはインターネット30との接続を中継する中継器32が設置されている。さらに、給水栓装置12には圃場1の水位を計測する静電容量式の水位センサ2が設けられている。
【0024】
各給水栓装置12及び排水栓装置22がインターネット30を介して圃場水管理サーバ34と接続可能に構成され、圃場1の管理者が所有するスマートフォンなどの携帯端末36がインターネット30を介して圃場水管理サーバ34と接続可能に構成されている。即ち、各給水栓装置12及び排水栓装置22、携帯端末36、圃場水管理サーバ34と、それらを通信可能に接続するインターネット30により圃場水管理システム100が構成されている。
【0025】
稲作を例に説明すると、稲作の各工程、例えば、代掻き、田植え、活着期、分げつ期(前期、後期)、幼穂形成期~出穂開花期、登熟期など、各時期に応じて圃場の貯水水位を調整する必要がある。特に代掻き時期には複数の圃場が一斉に導水することになるため、湛水のために効率的に給水管理する必要がある。
【0026】
そのため、圃場水管理サーバ34は、各管理者により携帯端末36を介して要求された各圃場1に対する給水要求に基づいて各圃場1に対する給水スケジュールを生成するように構成されている。
【0027】
携帯端末36から送信される給水要求には、給水対象となる圃場を特定する圃場ID、給水日時、給水水位が含まれる。圃場水管理サーバ34は、予め登録された圃場マップに従って、給水要求があった各圃場に対する給水スケジュールを生成して圃場水管理サーバ34に備えた圃場データベースDBに登録するように構成されている。なお、以下の説明で用いる「ID」との表記は、それぞれを固有に識別可能な識別記号を意味する。
【0028】
圃場水管理サーバ34には圃場マップ管理部が設けられ、圃場マップ管理部により圃場データベースDBのデータの登録や更新処理が行なわれる。後に詳述するが、圃場データベースDBには、圃場マップとともに圃場マップで特定される圃場毎に圃場IDが付され、各圃場に設置された給水栓12B及び排水栓22Bを特定する給水栓ID及び排水栓ID、並びに圃場の管理者IDなどが圃場IDと関連付けられて登録されている。
【0029】
圃場水管理サーバ34は、圃場データベースDBに記憶された給水スケジュールに定められた給水日時に、該当する圃場1の排水栓装置22に対して排水水位調整指令を出力するとともに、該当する圃場1の給水栓装置12に給水指令を出力する。排水水位とは目標とする圃場の貯水水位を意味する。
【0030】
排水水位調整指令を受信した排水栓装置22はアクチュエータを介して堰体である排水筒を上下移動させて排水水位を調整し、給水指令を受信した給水栓装置12はアクチュエータを介して給水弁を開放して圃場1に用水を導く。水位センサ2の信号線が接続された給水栓装置12は、水位センサ2により検出された圃場水位が所定の貯水水位に達したと判断すると、アクチュエータを介して給水弁を閉止して給水を停止する。また、圃場水管理サーバ34が各圃場1の貯水水位を把握できるように、給水栓装置12は水位センサ2により検出された圃場水位を圃場水管理サーバ34に送信してもよい。この場合、圃場水管理サーバ34は受信した水位情報から貯水水位が目標水位に達したと判断すると、給水栓装置12に対して給水停止指令を送信し、給水停止指令を受信した給水栓装置12がアクチュエータを介して給水弁を閉止して給水を停止するように構成してもよい。
【0031】
図2に示すように、排水栓装置22は、排水栓22Aと、排水栓22Aに着脱自在に構成された排水栓制御装置22Bで構成されている。
排水栓制御装置22Bは、排水栓22Aを作動させるアクチュエータ240と、アクチュエータ240を制御する排水水位制御部236と、圃場水管理サーバ34と交信する通信部237と、GPS受信機238と、記憶部239を備え、記憶部239には排水栓制御装置22Bを固有に識別するID情報(給水栓制御装置ID)が格納されている。
【0032】
給水栓装置12は、給水栓12Aと、給水栓12Aに着脱自在に構成された給水栓制御装置12Bで構成されている。
給水栓制御装置12Bは、給水栓12Aを作動させるアクチュエータ140と、アクチュエータ140を制御する給水制御部136と、圃場水管理サーバ34と交信する通信部137と、GPS受信機138と、記憶部139を備え、記憶部139には給水栓制御装置12Bを固有に識別するID情報(排水栓制御装置ID)が格納されている。
【0033】
[給水栓装置の構成]
図3に示すように、給水栓制御装置12Bは、圃場に設けられた給水桝101(
図1参照。)に収容される給水栓12Aの上面に着脱自在に取り付けられる。
【0034】
給水栓12Aは、円筒状の弁箱120と、弁箱120の上下方向中央部に内周側に突出形成された弁座121と、弁座121に対向配置され、下面にゴム製のシール部材123が取り付けられた円盤状の弁体124を備えている。弁箱120の下端が給水管10から分岐した導水路11に接続されている。
【0035】
弁箱120の上端部には、内周面に雌ネジが形成された軸受126が取り付けられ、軸受126には外周面に雄ネジが形成された弁軸125が螺合されている。そして弁軸125の下端が弁体124に固定されている。
【0036】
弁座121の中央部には通水孔122が形成され、弁箱120の側壁上部には、複数の出水窓127が周方向に並ぶように形成されている。弁軸125に回転力が付与されると、軸受126に沿って弁軸125が上下移動し、弁軸125の上下移動に伴って弁体124が上下する。即ち、弁座121と弁体124と弁座121と弁体124との間に設けられたシール部材123などで弁機構が構成されている。
【0037】
給水栓制御装置12Bは、水密性のケーシング131と、ケーシング131の天面に太陽を臨むように傾斜姿勢で取り付けられたソーラーパネル132と、ケーシング131に収容された駆動機構140と、蓄電池133と、アンテナ134と、制御盤135などを備えて構成されている。制御盤135には、給水制御部として機能する弁の給水制御部136と通信部137とGPS受信機138と記憶部139などが組み込まれている。
【0038】
給水制御部136及び通信部137はCPU、メモリ、入出力回路や通信回路などの周辺回路を備えて構成され、メモリに格納された制御プログラムがCPUで実行されることにより所定の機能、ここでは給水栓12Aに備えた弁機構に対する開閉制御機能が実現される。
【0039】
給水制御部136は、通信部137を介して圃場水管理サーバ34から吸水指示されると予め設定された弁開度まで開弁するべく駆動機構140を介して排弁機構を制御し、水位センサ2により圃場水位が目標の貯水水位に達したことが検知されると弁機構を閉止する。
【0040】
ソーラーパネル132による発電電力が蓄電池133に充電され、蓄電池133の充電電力が給水制御部136及び通信部137の制御電力として消費される。
【0041】
駆動機構140は、エンコーダが内蔵されたDCモータ141と、DCモータ141の出力軸に設けられたギア142と噛合する中空のメインギア143と、メインギア143の中空部に挿通された駆動軸146などを備えて構成され、弁体124を昇降駆動するアクチュエータとして機能する。
【0042】
メインギア143は、上下方向に延びる円筒状のボス部144と、ボス部144の上下方向中央部に延出形成された円盤状のギア部145とを備えた両ボス型のギアで、ボス部144の上下が軸受で回転可能に支持されている。ボス部144の内周面に形成されたキー溝に駆動軸146の外周面に突出形成されたキーが勘合して、メインギア143と駆動軸146とが一体回転するように構成されている。
【0043】
駆動軸146の下端と弁軸125の上端がカップリング147を介して駆動連結され、DCモータ141が一方向に回転駆動すると弁体124が上昇して給水状態となり、DCモータ141が反対方向に回転駆動すると弁体124が降下して止水状態になる。
【0044】
[排水栓装置の構成]
図4に示すように、排水栓制御装置22Bは、圃場に設けられた排水桝201(
図1参照。)に収容される排水栓22Aの上面に着脱自在に取り付けられる。
【0045】
排水栓22Aは、排水桝201の底部に設置された受枠部材211と、受枠部材211によって上下移動可能に支持される円筒状の排水筒である堰体212と、堰体212を上下移動する昇降機構220を備えている。堰体212の上端開口が排水口212aとして機能し、圃場1に給水された余剰の用水が当該排水口212aから溢流して放水路21に流出する。
【0046】
堰体212の上端開口に側面視コの字状の支持部213が固定され、当該支持部213に昇降機構220が取り付けられている。昇降機構220は、支持部213の上面に固定され、内周面に雌ネジが形成された円筒状の可動部221と、外周面に雄ネジが形成され、可動部221の雌ネジと螺合する回転軸222と、可動部221が回転軸222と連れ回りすることを防止する一対の棒状体223を備えている。
【0047】
つまり、回転軸222が一方向に回転することにより、支持部213を介して可動部221に取付けられた堰体212が可動部221とともに上昇し、回転軸222が反対方向に回転することにより、支持部213を介して可動部221に取付けられた堰体212が可動部221とともに降下する。上述した堰体212と昇降機構220によって排水水位調節部210が構成されている。
排水栓制御装置22Bは、基本的構造が上述した給水栓制御装置12Bと同様である。
【0048】
[圃場マップの構成]
図5には、灌漑用水設備が例示されている。灌漑用水設備は、河川や湖沼などの水源池330で取水された灌漑用水を、配水池321を介して各圃場1に給水するための給水設備であり、配水池321と各圃場1とが幹線となる給水管320と支線となる給水管300,10で接続されている。
【0049】
配水池321は、各圃場群FGに供給する灌漑揚水を貯水する設備で、水源池330に備えた揚水機場331のポンプによって灌漑用水が汲み上げられ、一定の水位を保つようにされてある。配水池321の配水口には給水管320が接続されて水圧により灌漑揚水が圧送される。
【0050】
幹線となる給水管320は配水池321から各圃場群FGに向けてそれぞれ分岐され、分岐された各給水管300への給水量を調整するための分水工として機能する分水装置340が設けられている。つまり、配水池321から圧送された灌漑用水は、分水装置340によって給水量が調整された後に各圃場群FGへ給水される。
【0051】
支線となる給水管300も各圃場1に向けて分岐され、分岐した給水管10に各圃場1へ給水する給水栓12Bを備えた給水栓装置12が接続されている。また、各圃場1には排水栓22Bを備えた排水栓装置22が設けられ、排水栓装置22を介した各圃場1からの放水が河川に放流されるように排水路20が設けられている。
【0052】
圃場マップは、上述した各圃場1の具体的な位置を示す圃場地図であり、地図上の各圃場1には固有に識別可能な圃場IDが設定されている。圃場マップに付された圃場IDの詳細な属性が圃場データベースDBに登録されている。
【0053】
図6には、圃場データベースDBに登録されたデータ構造が示されている。圃場データベースDBは、各管理者を特定する管理者レコード、各圃場を特定する圃場レコード、各給水栓を特定する給水栓レコード、各給水栓制御装置を特定する給水栓制御装置レコード、各排水栓を特定する排水栓レコード、各排水栓制御装置と特定する排水栓制御装置レコードなどのレコードを備えている。
【0054】
管理者レコードは各圃場の管理者情報が格納され、管理者ID、氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、管理する単数または複数の圃場IDなどの属性を示すフィールドデータを備えている。
【0055】
圃場レコードは圃場ID、圃場番地、管理者ID、給水栓ID、排水栓ID、給水栓制御装置ID、排水栓制御装置IDなどの属性を示すフィールドデータを備えている。つまり、圃場IDで特定される圃場に設置された給水栓、排水栓、給水栓制御装置、排水栓制御装置などが固有に特定される。
【0056】
給水栓レコードは給水栓ID、圃場ID、管理者ID、型式、メーカ、給水栓特性などの属性を示すフィールドデータを備えている。給水栓特性には給水弁の開度情報つまり全開位置を規定するエンコーダ(DCモータ141に内蔵されている)のパルス数、給水弁の締切トルク情報である全閉位置を示すモータ電流値及びエンコーダのパルス数、給水栓の圧力特性、圃場の減水深特性、アクチュエータの過負荷電流情報などが含まれる。エンコーダのパルス数に替えてモータの回転数及び回転方向が規定されてもよい。
【0057】
予め、モータ電流値が全閉位置を示す値に駆動された位置を初期位置としてエンコーダのパルス数で全開位置が規定され、全閉時には全開位置まで駆動されたときのエンコーダの累積パルス数からパルス数を減算して零になる位置までモータが駆動される。エンコーダのパルス数に替えてモータの回転数である場合も同様である。シール部材123の劣化などに対応して、全閉位置を示すモータ電流値が所定の値になったときに所定の締切トルクになったと判断してモータを停止し、以降はその位置を全開位置と補正してもよい。この場合には、給水栓制御装置12Bからこれらの特性値が圃場水管理サーバ34に送信されて給水栓特性が更新される。
【0058】
給水栓制御装置レコードは給水栓制御装置ID、圃場ID、管理者ID、型式、メーカ、装置属性などの属性を示すフィールドデータを備えている。装置属性には、給水栓制御装置に備えた蓄電装置の型式、メーカ、残容量(ここでは無負荷電圧値)、給水栓制御装置に備えたGPS受信機で受信された位置情報などの属性が含まれる。
【0059】
排水栓レコードは排水栓ID、圃場ID、管理者ID、型式、メーカ、設定水位などのフィールドデータを備えている。排水栓制御装置レコードは排水栓制御装置ID、圃場ID、管理者ID、型式、メーカ、排水栓制御装置に備えた蓄電装置の型式、メーカ、装置属性などの属性を示すフィールドデータを備えている。装置属性には、排水栓制御装置に備えた蓄電装置の型式、メーカ、残容量(ここでは無負荷電圧値)、排水栓制御装置に備えたGPS受信機で受信された位置情報などの属性が含まれる。
【0060】
耕作時期が到来し、冬季に屋内に格納されていた給水栓制御装置12Bや排水栓制御装置22Bを各圃場1に備えた給水栓12Aや排水栓22Aに装着し、蓄電池から給電が開始されると、給水栓制御装置12B及び排水栓制御装置22Bが起動して、圃場水管理サーバ21と交信を開始する。この時の一連の処理を初期化処理という。
【0061】
給水栓制御装置12Bの通信部137は、GPS受信機138で捕捉した位置情報と給水栓制御装置IDを圃場水管理サーバ34に送信する。圃場マップ管理部は、給水栓制御装置12Bから送信された位置情報に基づいて給水栓制御装置12B及び給水栓制御装置12Bが装着された給水栓12Aを関連付けて圃場マップ情報を更新処理する。
【0062】
圃場マップ管理部は、給水栓制御装置12Bから送信された位置情報(GPS受信機で捕捉された緯度、経度情報)と圃場1の番地とを照合して、給水栓制御装置12Bが装着された給水栓12Aを特定し、当該給水栓12Aのフィールドに当該給水栓制御装置12BのIDを登録するとともに、当該給水栓制御装置12Bのフィールドに当該給水栓12AのIDを登録する。
【0063】
これによって、各圃場1に設置された給水栓12Aと給水栓制御装置12Bとが関連付けられる。例えば、圃場1の番地から地理情報システム(Geographic Information System :GIS)を利用して得られた位置情報(緯度、経度情報)と給水栓制御装置12Bから送信された位置情報(緯度、経度情報)とを比較して最も距離の近い圃場1の給水栓12Aに給水栓制御装置12Bが装着されたと判断することができる。予め給水栓12Aの位置情報(緯度、経度)をデータベースの給水栓レコードのフィールドデータとして登録しておれば、より照合が容易になる。
【0064】
圃場水管理サーバ34は、給水栓制御装置12Bから送信された位置情報に基づいて給水栓制御装置12Bが装着された給水栓12Aの特性情報を含む属性情報を圃場マップ情報から読み出して給水栓制御装置12Bに送信する。
【0065】
給水栓制御装置12Bはこれらの属性情報に基づいて装着された給水栓12Aを適切に制御できるようになり、圃場に設置された給水栓制御装置12Bが前年と入れ替わっても継続的にその圃場の過去のデータが引き継がれる。例えば、給水栓の圧力特性に基づいて開弁時の適切な弁開度を調整でき、圃場の減水深特性に基づいて圃場の目標水位などが調整でき、給水栓12Aの開度情報に基づいてアクチュエータの制御量が定まり、給水栓12Aの締切トルク情報に基づいて止水位置が定まり、アクチュエータの過負荷電流情報に基づいて異常診断などが可能になる。
【0066】
給水栓制御装置12Bの属性情報に帰属情報つまり管理者IDが含まれ、圃場水管理サーバ34は、給水栓制御装置12Bから送信された位置情報と給水栓制御装置ID情報に基づいて給水栓制御装置12Bが適正な圃場1の給水栓12Aに装着されているか否かを判別するように構成され、不適切な圃場1の給水栓12Aに装着された場合には、当該給水栓制御装置12Bの管理者に電子メールなどを用いて通報するように構成されている。
【0067】
例えば、給水栓制御装置12Bが誤って管理者の異なる圃場の給水栓12Aに装着されたような場合に適切に対応できるようになり、また給水栓制御装置12Bが盗難に遭い、転売されて第三者の圃場の給水栓12Aに装着されたような場合に対応してセキュリティを高めることができるようになる。
【0068】
図7には給水栓12Aに電源が投入されたときに実行される初期化処理の手順が示され、
図8にはそのときの圃場水管理サーバ34の手順が示されている。
【0069】
以後、圃場水管理サーバ34は、圃場データベースDBに記憶された給水スケジュールに定められた給水日時に、該当する圃場1の排水栓制御装置22Bに対して排水水位調整指令を出力するとともに、該当する圃場1の給水栓制御装置12Bに給水指令を出力して、各圃場1を湛水する。
【0070】
上述した例では、給水栓装置12及び排水栓装置22が中継器32を介してインターネットに接続される態様を説明したが、給水栓装置12B及び排水栓装置22Bに備えた通信部137,237を携帯電話回線に接続可能な端末で構成し直接インターネットに接続可能に構成してもよい。
【0071】
また、複数の圃場をグループ化して給水栓装置12B及び排水栓装置22Bに備えた通信部137,237を特定小電力無線に基づく通信を行なう通信機で構成し、親機となる1台の通信機と子機となる他の通信機が互いに無線通信し、親機となる通信機に備えたインターネット接続可能な通信機が、子機から集信した水位情報などを含めて一括してクラウドサーバに送信するような構成であってもよい。
【0072】
排水栓制御装置22Bに対する初期化処理も上述と同様に行なわれるので、説明は省略する。なお、圃場水管理システム100に排水栓制御装置22Bを設けることなく、排水栓22Aによる排水水位の設定を手動で行なう排水栓装置22を用いる場合もあり、その場合には、排水栓制御装置22Bに対する初期化処理などは行われることはない。
【0073】
以上の説明では、位置情報捕捉部がGPS受信機である場合を説明したが、本発明の位置情報捕捉部はGPS受信機に限るものではなく、給水栓や排水栓の位置情報を保持する情報保持体から位置情報を電子的に捕捉する位置情報取得機構であればよい。
【0074】
位置情報取得機構として、給水栓や排水栓の緯度や経度を含む位置情報を格納したメモリチップを備えたRF-IDタグから当該位置情報を電子的に読み出すRF-IDタグリーダを採用することができる。RF-IDタグには高周波アンテナと信号処理部とメモリチップが設けられ、RF-IDタグリーダから送信される電波を受信してそのエネルギーで作動してメモリチップに記憶されたデータを読み出して外部に送信し、或いは受信したデータをメモリチップに記憶するように構成されている。この様なRF-IDタグを圃場に設置された給水栓や排水栓に設置しておけば、給水栓制御装置や排水栓制御装置を給水栓や排水栓に取り付けて起動させるときに、給水栓制御装置や排水栓制御装置に備えたRF-IDタグリーダで給水栓や排水栓の位置情報を読み出すように構成すればよい。
【0075】
位置情報取得機構として、給水栓や排水栓の位置情報をコード情報として印刷したタグの内容を読み取るコードリーダーを採用することができる。タグに印刷されたコード情報としてバーコードが好適に用いられる。一次元バーコード以外にQRコード(登録商標)のような二次元バーコードを用いることも可能である。そのようなコード情報を読み取るためにコードリーダーが用いられる。コードリーダーとしてバーコードスキャナや撮像装置を用いることができる。
【0076】
なお、バーコードスキャナや撮像装置を給水栓制御装置や排水栓制御装置に常時取り付けておいてもよいが、必要なときにのみ給水栓制御装置や排水栓制御装置に取り付けて、タグに印刷されたコード情報を読み取って通信部に位置情報を出力するように構成し、不要な場合には取り外すことができるように、着脱自在に取り付けてもよい。
【0077】
コード情報が印刷されたタグは給水栓や排水栓にワイヤーなどを介して取り付けておき、給水栓制御装置や排水栓制御装置を給水栓や排水栓に取り付けて起動させるときに、給水栓制御装置や排水栓制御装置に備えたバーコードスキャナや撮像装置を用いて給水栓や排水栓の位置情報を読み出すように構成することができる。
【0078】
なお、給水栓や排水栓にコード情報が印刷されたタグを常設する必要はなく、給水栓制御装置や排水栓制御装置を給水栓や排水栓に取り付けて起動させるときに準備するように構成してもよい。例えば、位置情報取得アプリで取得した位置情報を二次元バーコードに変換して表示画面に表示させるようなバーコード生成表示アプリをインストールしたスマートフォンを好適に用いることができる。
【0079】
給水栓制御装置や排水栓制御装置を給水栓や排水栓に取り付けて起動させるときに、給水栓や排水栓の近傍で当該アプリを実行して給水栓や排水栓の近傍の位置情報を表す二次元バーコードをスマートフォンの表示画面に表示させ、当該二次元バーコードを給水栓制御装置や排水栓制御装置に着脱自在な撮像装置で読み取るように構成してもよい。
【0080】
上述した圃場水管理システムを用いて、各圃場で作業する農業機械と作業内容を関連付けて履歴管理することができる。例えば、給水栓や排水栓などの固定施設に、当該施設が設置されている緯度や経度を含む位置情報を格納したメモリチップを備えたRF-IDタグを装着しておくとともに、圃場で作業する農業機械にRF-IDタグリーダを装着しておけば、各圃場で作業する農業機械に備えたRF-IDタグリーダで給水栓や排水栓に備えたRF-IDタグに格納された位置情報を読み出すことができ、当該農業機械が作業する圃場を特定することができる。
【0081】
各農業機械に、RF-IDタグリーダで取得した位置情報と、各農業機械を個別に識別する農機IDを関連付けて圃場水管理サーバに送信する通信部を備え、当該通信部から圃場水管理サーバに作業内容を特定する作業IDをも送信するように構成すれば、圃場水管理サーバで、作業対象圃場と、作業日時と、作業内容(例えば代掻き、耕運、田植え、施薬など)、農機IDを関連付けて作業履歴として管理することができる。予め圃場水管理サーバに圃場毎の作業スケジュールが登録されている場合には、農業機械から作業内容を送信する必要はない。日時などは予め圃場水管理サーバで管理されている。
【0082】
農業機械を個別に識別する農機IDが格納されたRF-IDタグを装着しておき、圃場に設置された給水栓制御装置や排水栓制御装置に備えたRF-IDタグリーダで、当該圃場で作業する農業機械に付された農機IDを取得するように構成し、給水栓制御装置や排水栓制御装置に備えた通信部から圃場水管理サーバに圃場ID、農機IDなどを送信するように構成することも可能である。この場合も、圃場水管理サーバで、作業対象圃場と、作業日時と、作業内容(例えば代掻き、耕運、田植え、施薬など)、農機IDを関連付けて作業履歴として管理することができる。
【0083】
なお、農業機械に付された農機IDを取得するための仕組みはRF-IDタグに限るものではなく、農業機械の車体に貼り付けたバーコードを給水栓制御装置や排水栓制御装置に備えた撮像装置が読み込むように構成してもよい。
【0084】
以上説明した実施形態は本発明の一例に過ぎず、該記載により本発明の技術的範囲が限定されることを意図するものではなく、給水栓装置、排水栓装置、圃場水管理サーバ、圃場データベースDBに登録された各レコードの構成などの具体的構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0085】
100:圃場水管理システム
1:圃場
2:水位センサ
10:給水管
12:給水栓装置
12A:給水栓
12B:給水栓制御装置
20:排水路
22:排水栓装置
22A:排水栓
22B:排水栓制御装置
32:中継器
30:インターネット
34:圃場水管理サーバ