(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040517
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】伸縮継手
(51)【国際特許分類】
F16L 27/12 20060101AFI20240315BHJP
F16L 59/06 20060101ALI20240315BHJP
F16L 59/147 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
F16L27/12 E
F16L59/06
F16L59/147
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022207
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2018184799の分割
【原出願日】2018-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】花木 博章
(57)【要約】
【課題】内部に配置される縦管等が収縮しても、外面が結露するのを抑えた伸縮継手を提供する。
【解決手段】伸縮継手21は、第1管材27と、第1管材27を径方向の外側又は内側から覆う中空層S1が内部に形成された中空部45と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に縦管の端部が配置される第1管材と、
前記第1管材を径方向の外側又は内側から覆う中空層が内部に形成された中空部と、
前記第1管材の内周面に固定された係止部と、
を備え、
前記中空部は、
前記第1管材を前記径方向の外側又は内側から覆い、前記第1管材との間に前記中空層が形成された第2管材と、
前記第1管材の軸方向に互いに離間して設けられ、前記中空層を前記軸方向の両側から塞ぐ第1環状部材及び第2環状部材と、
を有し、
前記第2管材は、前記第1管材を前記径方向の外側から覆い、
前記第1環状部材は、前記第1管材の外周面に連結されて、前記第2管材に接触し、
前記第2環状部材は、前記第2管材の内周面に連結されて、前記第1管材に接触し、
前記中空層は、前記第1管材の軸線方向において、前記係止部の範囲を含むように配置されるとともに、前記係止部よりも前記縦管側に向かって延びて、前記中空層の一部が前記縦管に重なる伸縮継手。
【請求項2】
内部に縦管の端部が配置される第1管材と、
前記第1管材を径方向の内側から覆う中空層が内部に形成された中空部と、
前記第1管材の内周面に固定された係止部と、
を備え、
前記第1管材及び前記中空部は、それぞれ透明の樹脂製であり、
前記中空層は、前記第1管材の軸線方向において、前記係止部よりも前記縦管側に配置されるとともに、前記係止部よりも前記縦管側に向かって延びて、前記中空層の一部が前記縦管に重なる伸縮継手。
【請求項3】
前記中空部は、
前記第1管材を前記径方向の外側又は内側から覆い、前記第1管材との間に前記中空層が形成された第2管材と、
前記第1管材の軸方向に互いに離間して設けられ、前記中空層を前記軸方向の両側から塞ぐ第1環状部材及び第2環状部材と、
を有する請求項2に記載の伸縮継手。
【請求項4】
前記第2管材は、前記第1管材を前記径方向の内側から覆い、
前記第1環状部材及び前記第2環状部材は、前記第2管材の外周面にそれぞれ連結されて、前記第1管材にそれぞれ接触する請求項3に記載の伸縮継手。
【請求項5】
前記中空部は、前記第1管材を前記径方向の外側から覆う一対の分割体を有し、
それぞれの前記分割体は、
前記第1管材との間に前記中空層が形成された第2管材を周方向に分割した管状片と、
半円環状に形成され、前記管状片の第1端部から前記径方向の内側に向かって延びる第1環状部材片と、
半円環状に形成され、前記管状片の第2端部から前記径方向の内側に向かって延びる第2環状部材片と、
を備え、
前記中空層は、一対の前記管状片と前記第1管材との間に形成される請求項2に記載の伸縮継手。
【請求項6】
それぞれの前記分割体は、
前記第1環状部材片の前記径方向の内側の端部から前記第2環状部材片とは反対側に向かって突出する第1フランジと、
前記第2環状部材片の前記径方向の内側の端部から前記第1環状部材片とは反対側に向かって突出する第2フランジと、
を備え、
それぞれの前記分割体は、樹脂により一体に形成され、
それぞれの前記分割体は、前記第1管材に固定されている請求項5に記載の伸縮継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物から排水を廃棄する配管システム等では、一対の縦管同士、一対の横管同士等を接続するのに、継手が用いられる(例えば、特許文献1参照)。例えば、継手の一方の端部に一対の縦管の一方を配置し、継手の他方の端部に一対の縦管の他方を配置することにより、一対の縦管同士が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、空調装置から排出されたドレン水(冷たい凝縮水)を縦管等の内部に流すと、縦管等や継手の外面が結露する場合がある。このため、継手及び縦管等に発泡層を設けて、継手及び縦管等の断熱性能を高め、これらの外面が結露しないようにすることが行われている。
しかしながら、例えば温度変化のために、縦管等の軸方向の長さが収縮する場合がある。すると、縦管等が収縮する前に比べて継手内に配置された縦管等の長さが変化し、継手における内部に縦管等が配置されない部分の断熱性能が不十分になる場合がある。この場合、この部分の外面が結露する虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、内部に配置される縦管等が収縮しても、外面が結露するのを抑えた伸縮継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の伸縮継手は、内部に縦管の端部が配置される第1管材と、前記第1管材を径方向の外側又は内側から覆う中空層が内部に形成された中空部と、前記第1管材の内周面に固定された係止部と、を備え、前記中空部は、前記第1管材を前記径方向の外側又は内側から覆い、前記第1管材との間に前記中空層が形成された第2管材と、前記第1管材の軸方向に互いに離間して設けられ、前記中空層を前記軸方向の両側から塞ぐ第1環状部材及び第2環状部材と、を有し、前記第2管材は、前記第1管材を前記径方向の外側から覆い、前記第1環状部材は、前記第1管材の外周面に連結されて、前記第2管材に接触し、前記第2環状部材は、前記第2管材の内周面に連結されて、前記第1管材に接触し、前記中空層は、前記第1管材の軸線方向において、前記係止部の範囲を含むように配置されるとともに、前記係止部よりも前記縦管側に向かって延びて、前記中空層の一部が前記縦管に重なることを特徴としている。
この発明によれば、第1管材の軸方向の各端部内に、発泡層を有する縦管等を配置して伸縮継手を施工する。その後で、縦管等が所定の長さから軸方向に収縮した場合に、軸方向において、縦管等の長さが変化する前の端と、変化した後の端と、の間の範囲を含むように中空層を配置しておく。一般的に中空層の断熱性能は、発泡層の断熱性能及び管材の断熱性能よりも高いため、縦管等が収縮して伸縮継手の内部に発泡層が無くなっても伸縮継手の外面が結露するのを抑えることができる。
また、第2管材、第1環状部材、及び第2環状部材により、中空層を形成することができる。
【0007】
また、本発明の他の伸縮継手は、内部に縦管の端部が配置される第1管材と、前記第1管材を径方向の内側から覆う中空層が内部に形成された中空部と、前記第1管材の内周面に固定された係止部と、を備え、前記第1管材及び前記中空部は、それぞれ透明の樹脂製であり、前記中空層は、前記第1管材の軸線方向において、前記係止部よりも前記縦管側に配置されるとともに、前記係止部よりも前記縦管側に向かって延びて、前記中空層の一部が前記縦管に重なることを特徴としている。
この発明によれば、第1管材の軸方向の各端部内に、発泡層を有する縦管等を配置して伸縮継手を施工する。その後で、縦管等が所定の長さから軸方向に収縮した場合に、軸方向において、縦管等の長さが変化する前の端と、変化した後の端と、の間の範囲を含むように中空層を配置しておく。一般的に中空層の断熱性能は、発泡層の断熱性能及び管材の断熱性能よりも高いため、縦管等が収縮して伸縮継手の内部に発泡層が無くなっても伸縮継手の外面が結露するのを抑えることができる。
また、第1管材内に配置された縦管等の位置を、伸縮継手の外部から第1管材及び中空部をそれぞれ透過して視認することができる。
【0008】
また、上記の伸縮継手において、前記中空部は、前記第1管材を前記径方向の外側又は内側から覆い、前記第1管材との間に前記中空層が形成された第2管材と、前記第1管材の軸方向に互いに離間して設けられ、前記中空層を前記軸方向の両側から塞ぐ第1環状部材及び第2環状部材と、を有してもよい。
この発明によれば、第2管材、第1環状部材、及び第2環状部材により、中空層を形成することができる。
【0009】
また、上記の伸縮継手において、前記第2管材は、前記第1管材を前記径方向の内側から覆い、前記第1環状部材及び前記第2環状部材は、前記第2管材の外周面にそれぞれ連結されて、前記第1管材にそれぞれ接触してもよい。
この発明によれば、第1管材と、第2管材、第1環状部材、及び第2環状部材を連結した中空部と、により、中空層を形成することができる。
【0010】
また、上記の伸縮継手において、前記中空部は、前記第1管材を前記径方向の外側から覆う一対の分割体を有し、それぞれの前記分割体は、前記第1管材との間に前記中空層が形成された第2管材を周方向に分割した管状片と、半円環状に形成され、前記管状片の第1端部から前記径方向の内側に向かって延びる第1環状部材片と、半円環状に形成され、前記管状片の第2端部から前記径方向の内側に向かって延びる第2環状部材片と、を備え、前記中空層は、一対の前記管状片と前記第1管材との間に形成されてもよい。
また、上記の伸縮継手において、それぞれの前記分割体は、前記第1環状部材片の前記径方向の内側の端部から前記第2環状部材片とは反対側に向かって突出する第1フランジと、前記第2環状部材片の前記径方向の内側の端部から前記第1環状部材片とは反対側に向かって突出する第2フランジと、を備え、それぞれの前記分割体は、樹脂により一体に形成され、それぞれの前記分割体は、前記第1管材に固定されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の伸縮継手によれば、内部に配置される縦管等が収縮しても、外面が結露するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態の伸縮継手が用いられる配管システムの縦断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の変形例の伸縮継手が用いられる配管システムの縦断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の変形例の伸縮継手が用いられる配管システムの縦断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態の伸縮継手が用いられる配管システムの縦断面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態の伸縮継手が用いられる配管システムの縦断面図である。
【
図7】本発明の第4実施形態の伸縮継手が用いられる配管システムの縦断面図である。
【
図8】本発明の第5実施形態の伸縮継手の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る伸縮継手の第1実施形態が用いられる配管システムを、
図1から
図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、配管システム1は、例えば建築物11に用いられている。配管システム1には、図示しない空調装置が接続され、配管システム1は空調装置で生じたドレン水を建築物11の外部に排出する。
配管システム1は、本実施形態の伸縮継手21と、第1縦管(縦管)61と、第2縦管(縦管)66と、を備えている。以下ではまず、縦管61,66について説明する。
【0014】
第1縦管61は、例えば、非発泡内層62と、発泡層63と、非発泡外層64と、を備えている。
非発泡内層62、発泡層63、及び非発泡外層64は、それぞれ管状に形成され、互いに同軸に配置されている。発泡層63は、非発泡内層62の外周面に固定されている。非発泡外層64は、発泡層63の外周面に固定されている。
非発泡内層62及び非発泡外層64は、塩化ビニル系樹脂を発泡させずに形成されている。発泡層63は、塩化ビニル系樹脂を含む樹脂と発泡剤とを含む発泡層用熱可塑性樹脂組成物を発泡させて形成されている。
なお、第1縦管61の構成はこれに限定されず、樹脂を発泡させずに形成した縦管の外周面に断熱材を設ける等して、第1縦管を構成してもよい。
第2縦管66は、第1縦管61の非発泡内層62、発泡層63、非発泡外層64と同様に構成された非発泡内層67、発泡層68、非発泡外層69を備えている。
【0015】
伸縮継手21は、管本体26と、第1キャップ41と、第2キャップ51と、を備えている。
管本体26は、第1管材27と、第1環状部材28と、第2管材29と、係止部30と、保持部31と、を備えている。第1管材27は、円管状に形成されている。第1管材27は、第1管材27の軸方向が上下方向Zに沿うように配置されている。なお、第1管材27の配置はこれに限定されず、第1管材27の軸方向が上下方向Zに対して交差するように、第1管材27を配置してもよい。
【0016】
第1管材27の内径は、上下方向Zの位置によらず一定である。第1管材27の内径、及び縦管61,66の外径は、互いに同程度である。
一方で、
図1及び
図2に示すように、第1管材27の外径は、下方(軸方向の一方側)Z1の端部よりも上方(軸方向の他方側)Z2の端部が大きい。これにより、第1管材27の上下方向Zの中間部における外周面に段部27aが形成されている。段部27aは、第1管材27の全周にわたって形成されていることが好ましい。
また、
図1に示すように、第1管材27の外周面には、段部27aよりも上方Z2に、第1管材27の径方向の外側に向かって突出する突起27bが複数形成されている。複数の突起27bは、上下方向Zに互いに離間して配置されている。
【0017】
この複数の突起27b間は、伸縮継手21を壁面に固定するための、把持部を備えた支持具(
図1中に二点鎖線Dで示す)により把持するための間隔である。支持具Dの把持部は、突起27b間の第1管材27の外面を把持し、把持部が突起27bの側面に当接することで、第1縦管61の伸縮に伸縮継手21が追従しないように固定される。
【0018】
第1環状部材28は、円環状に形成されている。第1環状部材28は、上下方向Zにおいて第1管材27の外周面における段部27aと複数の突起27bとの間の部分に、第1管材27と同軸に配置されている。第1環状部材28の内周縁は、第1管材27の外周面に連結されている。
第2管材29は、円管状に形成されている。第2管材29は、第1管材27と同軸に配置され、第1管材27の上下方向Zの中間部を径方向の外側から覆っている。第2管材29は、第1管材27から径方向の外側に離間している。第2管材29は、第1環状部材28の径方向の外側の端部から下方Z1に向かって延びている。
図2に示すように、第2管材29の下方Z1の端は、第1管材27の段部27aよりも上方Z2に配置されている。 第2管材29の下端部の外周面には、径方向の外側に向かって突出した第1係止部29aが形成されている。第1係止部29aは、第2管材29の全周にわたって形成されていることが好ましい。
【0019】
図1に示すように、係止部30は、円環状に形成されている。係止部30の内径、及び第1縦管61の内径は、互いに同程度である。
係止部30は、第1管材27内に第1管材27と同軸に配置されている。係止部30の外周縁は、第1管材27の内周面に固定されている。係止部30の下面は、平坦に形成され、水平面に沿うように配置されている。一方で、係止部30の上面は、第1管材27の軸に近づくに従い漸次、下方Z1に向かうように傾斜している。
図2に示すように、上下方向Zにおいて、係止部30の下面、及び第2管材29の下方Z1の端は、互いに一致している。
【0020】
図1に示すように、保持部31は円筒状に形成されている。保持部31は、第1管材27の上端部を径方向の外側から覆うように第1管材27と同軸に配置されている。保持部31の下端部は、第1管材27の上端部の外周面に固定されている。保持部31の上端部は、第1管材27よりも上方Z2に突出している。
保持部31の上端部の外周面には、径方向の外側に向かって突出した第2係止部31aが形成されている。第2係止部31aは、保持部31の全周にわたって形成されていることが好ましい。
以上のように構成された管本体26は、塩化ビニル系樹脂等を発泡させずに一体に形成されている。この場合、管本体26の色は、有色の灰色や、黒色等である。
【0021】
保持部31の上端部における径方向の内側には、第1封止部材33が保持されている。第1封止部材33は、円環状に形成され、保持部31と同軸に配置されている。第1封止部材33に外力が作用しない自然状態では、第1封止部材33の内径は第1管材27の内径よりも小さい。第1封止部材33は、例えば、管本体26よりも柔らかい樹脂等で形成されている。
第1封止部材33は、第1管材27よりも上方Z2に配置されている。
【0022】
第1キャップ41は、第2環状部材42と、第1周壁部43と、を備えている。
第2環状部材42は、円環状に形成され、第1管材27と同軸に配置されている。第2環状部材42は、第1環状部材28に対して下方Z1に離間している。第2環状部材42に外力が作用しない自然状態では、第2環状部材42の上面は平坦に形成されていて、水平面に沿うように配置されている。
図2中に、自然状態における第2環状部材42の上面の形状を二点鎖線で示す。
第2環状部材42の下面における内周縁部には、上方Z2に向かって凹んだ凹部42aが形成されている。凹部42aは、径方向の内側に向かって開口している。第2環状部材42に凹部42aが形成されることにより、第2環状部材42の内周縁部には、第2環状部材42における内周縁部以外の部分よりも上下方向Zの長さが短い(厚さが薄い)薄肉部42bが形成されている。薄肉部42bは、第2環状部材42における薄肉部42b以外の部分よりも上下方向Zに変形しやすい。薄肉部42bは、第2環状部材42の内周縁部における上面に形成されている。薄肉部42bは、第2環状部材42の全周にわたって形成されていることが好ましい。
第2環状部材42の内径、及び第1管材27の段部27aよりも下方Z1の下端部の外径は、互いに同程度である。薄肉部42bの外径は、第1管材27の段部27aよりも上方Z2の上端部の外径よりも大きい。
【0023】
図1及び
図2に示すように、第1周壁部43は、円筒状に形成され、第2環状部材42と同軸に配置されている。第1周壁部43は、第2環状部材42の外周縁から上方Z2に向かって延びている。第1周壁部43の内径は、第2管材29の外径よりも大きい。
第1周壁部43の上端部の内周面には、径方向の内側に向かって突出した第1被係止部43aが形成されている。第1被係止部43aは、保持部31の全周にわたって形成されていることが好ましい。第1被係止部43aの内径、及び第2管材29の外径は、互いに同程度である。
以上のように構成された第1キャップ41は、ポリプロピレン(PP)等の樹脂で一体に形成されている。なお、第1キャップ41を、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、塩化ビニル等の樹脂で形成してもよい。
【0024】
第1キャップ41は、管本体26の第2管材29の下端部に嵌め合わせられている。 より具体的には、第1キャップ41の第2環状部材42が、第2管材29の下面にこの下面の下方Z1から接触している。第2環状部材42の薄肉部42bが、第1管材27の段部27aに段部27aの下方Z1から接触している。段部27aは第2管材29の下端よりも下方Z1に配置されているため、第2環状部材42の内周縁側は下方Z1に向かって撓み、第2環状部材42の弾性力により段部27aに薄肉部42bが強く接触している。
このため、第1管材27の段部27aと第1キャップ41の薄肉部42bとの気密性を高めることができる。また、第1キャップ41の形状が歪んでいても、段部27aと薄肉部42bとを確実に接触させることができる。薄肉部42bが第2環状部材42における薄肉部42b以外の部分よりも変形しやすいため、薄肉部42bを容易に変形させることができる。
【0025】
第1キャップ41の第1周壁部43は、第2管材29と同軸に配置され、第2管材29を径方向の外側から覆っている。
図2に示すように、第1周壁部43の第1被係止部43aは、第2管材29の第1係止部29aに第1係止部29aの上方Z2から係止している。
こうして、第1キャップ41が、第2管材29の下端部に嵌め合わせられている。
【0026】
図1に示すように、管本体26を構成する第1環状部材28、第2管材29、及び第1キャップ41の第2環状部材42により、第1管材27を径方向の外側から覆う中空層S1が内部に形成された中空部45が構成される。中空層S1は、第1管材27と第2管材29との間に形成されている。環状部材28,42は、中空層S1を上下方向Zの両側から塞ぐ。中空層S1は、空気等の流体(気体)で形成されている。中空部45(中空層S1)は、第1管材27の全周にわたって円環状に形成されている。中空層S1は、第1管材27の上下方向Zの中間部を覆っている。
一般的に、中空層の断熱性能は、樹脂や金属で形成された配管の発泡層の断熱性能、及び管材の断熱性能よりも高い。
中空層S1の上端は、係止部30の上面よりも上方Z2まで延びている。
図2に示すように、上下方向Zにおいて、中空層S1の下端、及び係止部30の下面は、互いにほぼ一致している。
【0027】
図1に示すように、第2キャップ51は、第3環状部材52と、第2周壁部53と、を備えている。
第3環状部材52は、円環状に形成され、第1管材27と同軸に配置されている。第3環状部材52の内径、及び第2縦管66の外径は、互いに同程度である。
第2周壁部53は、円筒状に形成され、第3環状部材52と同軸に配置されている。第2周壁部53は、第3環状部材52の外周縁から下方Z1に向かって延びている。第2周壁部53の内径は、保持部31の外径よりも大きい。
第2周壁部53の下端部の内周面には、径方向の内側に向かって突出した第2被係止部53aが形成されている。第2被係止部53aは、第2周壁部53の全周にわたって形成されていることが好ましい。第2被係止部53aの内径、及び保持部31の外径は、互いに同程度である。
以上のように構成された第2キャップ51は、第1キャップ41と同様の材料で一体に形成されている。
【0028】
第2キャップ51は、管本体26の保持部31の上端部に嵌め合わせられている。
より具体的には、第2キャップ51の第3環状部材52が、保持部31の上面にこの上面の上方Z2から接触している。
第2キャップ51の第2周壁部53は、保持部31と同軸に配置され、保持部31を径方向の外側から覆っている。第2周壁部53の第2被係止部53aは、保持部31の第2係止部31aに第2係止部31aの下方Z1から係止している。
こうして、第2キャップ51が、保持部31の上端部に嵌め合わせられている。
【0029】
第1管材27内における係止部30よりも下方Z1には、円環状の第2封止部材56が配置されている。第2封止部材56の内径、外径は、第1縦管61の内径、外径とそれぞれ同程度である。第2封止部材56は、第1封止部材33と同様の材料で形成されている。第2封止部材56は、係止部30の下方Z1から係止部30の下面に接触している。 前述の第1縦管61は、軸が上下方向Zに沿うように配置されている。第1縦管61の上端部は、第1管材27の下端部内に配置されている。第1縦管61は、第2封止部材56に第2封止部材56の下方Z1から接触している。第2封止部材56を介して係止部30に第1縦管61が係止することにより、管本体26に対して第1縦管61が上方Z2に移動するのが規制されている。第2封止部材56により、係止部30と第1縦管61との間が水密に封止されている。
なお、上下方向Zにおいて、第2封止部材56の下端と同等の位置か、第2封止部材56の下端よりも下方Z1の位置にまで、中空層S1の下端が下方Z1に延びていてもよい。
また、第2封止部材56は必ずしも伸縮継手21に設けられなくてもよい。
【0030】
第2縦管66は、軸が上下方向Zに沿うように配置されている。第2縦管66の下端部は、第1管材27の上端部内に配置されている。第1封止部材33内に第2縦管66を配置する際に、第1封止部材33が弾性的に変形して第1封止部材33の内径が大きくなり、第1封止部材33と第2縦管66との間が水密に封止されている。
第2縦管66の下端は、上下方向Zにおいて中空層S1の中間部に配置されている。第2縦管66の下端と中空層S1の下端とは、上下方向Zに距離L1離間している。第2縦管66の下端と中空層S1の上端とは、上下方向Zに距離L2離間している。
距離L1は、施工された第2縦管66が上下方向Zに伸長しても、第2縦管66が係止部30に接触しないように設定される。一方で、距離L2は、施工された第2縦管66が上下方向Zに収縮しても、第2縦管66の下端が中空層S1の上端よりも上方Z2に配置されないように設定される。言い換えれば、上下方向Zにおいて、第2縦管66の長さが変化する前の下端と、変化した後の下端と、の間の範囲を含むように中空層S1を配置しておく。
【0031】
以上のような構成で施工された配管システム1は、施工されてから第2縦管66が上下方向Zに収縮して、管本体26に対して第2縦管66が上方Z2に移動しても、その移動距離が距離L2以下であれば、上下方向Zにおいて第2縦管66及び中空層S1に重なった部分がある。このため、配管システム1内を冷たいドレン水が流れても、ドレン水の熱が伸縮継手21の外面に伝達され難くなり、伸縮継手21の外面が結露し難くなる。
一方で、施工されてから第2縦管66が上下方向Zに伸長して、管本体26に対して第2縦管66が下方Z1に移動しても、その移動距離が距離L1以下であれば、第2縦管66が管本体26の係止部30に接触しない。従って、第2縦管66が係止部30に接触して第2縦管66に応力が作用するのが抑制される。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の伸縮継手21によれば、第1管材27の上下方向Zの各端部内に、縦管61,66を配置する。その際に、第2縦管66が所定の長さから上下方向Zに収縮した場合に、上下方向Zにおいて、第2縦管66の長さが変化する前の下端と、変化した後の下端と、の間の範囲を含むように中空層S1を配置しておく。一般的に中空層の断熱性能は、発泡層の断熱性能及び管材の断熱性能よりも高いため、第2縦管66が収縮して伸縮継手21の内部に第2縦管66の発泡層68が無くなっても伸縮継手21の外面が結露するのを抑えることができる。
中空部45が第1環状部材28、第2管材29、及び第2環状部材42を備えるため、第1環状部材28、第2管材29、及び第2環状部材42により、中空層S1を形成することができる。
【0033】
なお、伸縮継手21を構成する第1管材27及び中空部45がそれぞれ透明であってもよい。ここで言う透明は、無色透明及び有色透明を含む。この場合、伸縮継手21を、アクリル樹脂や、ポリカーボネート樹脂等で形成することができる。
この変形例の伸縮継手21のように構成することにより、第1管材27内に配置された縦管61,66の位置を、伸縮継手21の外部から第1管材27及び中空部45をそれぞれ透過して視認することができる。
なお、第1キャップ41、係止部30等は、透明でなくてもよい。
【0034】
図3に示す配管システム1Aの伸縮継手21Aのように、本実施形態の伸縮継手21の第1キャップ41に代えて、第1キャップ76を備えてもよい。なお、この変形例では、第2管材29に第1係止部29aは形成されていない。
第1キャップ76は、第2環状部材77と、第1周壁部78と、第3周壁部79と、を備えている。
第2環状部材77は、第2環状部材42と同様に円環状に形成され、第1管材27と同軸に配置されている。第2環状部材77の外径、及び第2管材29の外径は、互いに同程度である。第2環状部材77の内周縁部は、第1管材27の段部27aに段部27aの下方Z1から接触している。
【0035】
周壁部78,79は、それぞれ円環状に形成され、第2環状部材77と同軸に配置されている。第1周壁部78は、第2環状部材77の上面における内周縁部に固定されている。第1周壁部78の内径、及び第1管材27における段部27aよりも上方Z2の部分の外径は、互いに同程度である。第1周壁部78は、第1管材27における段部27aよりも上方Z2の外周面に接触している。
第3周壁部79は、第1周壁部78を径方向の外側から覆うように、第2環状部材77の上面における径方向の中間部に固定されている。第3周壁部79の外径、及び第2管材29の内径は、互いに同程度である。第3周壁部79の外周面は、第2管材29の内周面に接触している。
第1キャップ76は、第1キャップ41と同様の材料で形成されている。
【0036】
管材27,29と第1キャップ76とは、公知の接着剤や粘着材により形成された接続部(不図示)により互いに固定されている。管本体26を構成する第1環状部材28、第2管材29、及び第1キャップ76の第2環状部材77により、第1管材27を径方向の外側から覆う中空層S2が内部に形成された中空部81が構成される。
【0037】
このように構成された変形例の伸縮継手21Aによっても、本実施形態の伸縮継手21と同様の効果を奏することができる。
さらに、管材27,29と第1キャップ76とを接続部で接続することにより、管材27,29と第1キャップ76との気密性を高めることができる。
【0038】
また、
図4に示す配管システム1Bの伸縮継手21Bのように、変形例の伸縮継手21Aの第1キャップ76に代えて、発泡材(第2環状部材)86を備えてもよい。
この変形例では、第2管材29の内周面に、段部29bが形成されている。第2管材29における段部29bよりも下方Z1の部分の内径は、第2管材29における段部29bよりも上方Z2の部分の内径よりも大きい。この段部29b、及び第1管材27の段部27aは、上下方向Zの位置が互いに同等である。
【0039】
発泡材86は、円環状に形成され、第1管材27と同軸に配置されている。発泡材86は、発泡ポリエチレン、発泡ゴム等の通気性を有さない発泡性の材料で形成されている。 発泡材86は、第1管材27と第2管材29との間に配置されている。発泡材86は、段部27a,29bに段部27a,29bの下方Z1から係止している。発泡材86の下面、及び第2管材29の下端面は、面一である。
管材27,29と発泡材86とは、前述の接続部(不図示)により互いに固定されている。
【0040】
管本体26を構成する第1環状部材28、第2管材29、及び発泡材86により、第1管材27を径方向の外側から覆う中空層S3が内部に形成された中空部88が構成される。
このように構成された変形例の伸縮継手21Bによっても、本実施形態の伸縮継手21と同様の効果を奏することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図5を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示すように、配管システム2に用いらる本実施形態の伸縮継手91は、第1管本体96と、第2管本体106と、第2キャップ51と、を備えている。
【0042】
第1管本体96は、第1管材27と、第1環状部材98と、第1スペーサ99と、を備えている。
第1環状部材98は、円環状に形成され、第1管材27と同軸に配置されている。第1環状部材98は、第1管材27の外周面における上下方向Zの中間部から径方向の外側に向かって延びている。第1環状部材98は、第1管材27に連結されている。
第1スペーサ99は、円筒状に形成され、第1管材27と同軸に配置されている。第1スペーサ99は、第1環状部材98の上面における径方向の中間部から上方Z2に向かって延びている。第1スペーサ99と第1管材27との間には、径方向に隙間が形成されている。
【0043】
第2管本体106は、第2管材107と、第2環状部材108と、保持部109と、を備えている。
第2管材107は、円筒状に形成され、第1管材27と同軸に配置されている。第2管材107は、第1管材27を径方向の外側から覆っている。第2管材107の内径、及び第1スペーサ99の外径は、互いに同程度である。第2管材107の外径、及び第1環状部材98の外径は、互いに同程度である。第2管材107内には第1スペーサ99が嵌め込まれ、第2管材107の下端部は第1環状部材98の上面に接触している。
第2環状部材108は、円環状に形成され、第2管材107と同軸に配置されている。第2環状部材108は、第2管材107の上端部における内周面から径方向の内側に向かって延びている。第2環状部材108は、第2管材107の上端部に連結されている。第2環状部材108の内径、及び第1管材27の内径は、互いに同程度である。第2環状部材108の下面は、第1管材27の上端に第1管材27の上方Z2から接触している。第2環状部材108は、第1環状部材98から上方Z2に離間するように配置されている。
【0044】
第1管本体96と第2管本体106とは、前述の接続部(不図示)により互いに固定されている。
第1管本体96を構成する第1環状部材98、及び第2管本体106を構成する第2管材107、第2環状部材108により、第1管材27を径方向の外側から覆う中空層S5が内部に形成された中空部111が構成される。
第2管材107、第1環状部材98、及び第2環状部材108は、第1管材27とともに中空層S5を囲っている。
【0045】
保持部109は、円環状に形成され、第2環状部材108の上面に固定されている。保持部109の内周面側には、第1封止部材33が保持されている。保持部109の外周面には、保持部31の第2係止部31aと同様に構成された第2係止部109aが形成されている。
第2キャップ51は、第2管本体106の保持部109の上端部に嵌め合わせられている。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の伸縮継手91によれば、内部に配置される縦管61,66が収縮しても、外面が結露するのを抑えることができる。
さらに、第1管材27及び第1環状部材98を連結した第1管本体96と、第2管材107及び第2環状部材108を連結した第2管本体106と、により、中空層S5を形成することができる。
【0047】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図6を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように、配管システム3に用いらる本実施形態の伸縮継手116は、管本体121と、中空部131と、第2キャップ51と、を備えている。
【0048】
管本体121は、第1管材122と、第3環状部材123と、第3管材124と、を備えている。
第1管材122は、円管状に形成されている。第1管材122は、第1管材122の軸方向が上下方向Zに沿うように配置されている。なお、第1管材122が配置される向きは、これに限定されない。
第1管材122の上端部の外周面には、保持部31の第2係止部31aと同様に構成された第2係止部122aが形成されている。
第3環状部材123は、円環状に形成され、第1管材122と同軸に配置されている。第3環状部材123は、第1管材122の下端部から径方向の内側に向かって突出している。
第3管材124は、円管状に形成され、第3環状部材123と同軸に配置されている。第3管材124は、第3環状部材123の内周縁から下方Z1に向かって延びている。第3管材124の内径、及び第1縦管61の外径は、互いに同程度である。
【0049】
中空部131は、第2管材132と、第1環状部材133と、第2環状部材134と、を備えている。
第2管材132は、円管状に形成され、第1管材122と同軸に配置されている。第2管材132は、第1管材122を径方向の内側から覆っている。第2管材132の内径、及び第2縦管66の外径は、互いに同程度である。
第1環状部材133は、円環状に形成され、第2管材132と同軸に配置されている。第1環状部材133は、第2管材132の下端部の外周面から径方向の外側に向かって突出している。第1環状部材133は、第2管材132に連結されている。第1環状部材133は、第1管材122の内周面に径方向の内側から接触している。
第2環状部材134は、円環状に形成され、第2管材132と同軸に配置されている。第2環状部材134は、第2管材132の上端部の外周面から径方向の外側に向かって突出している。第2環状部材134は、第2管材132に連結されている。第2環状部材134は、第1環状部材133から上方Z2に離間するように配置されている。第2環状部材134は、第1管材122の内周面に径方向の内側から接触している。第2環状部材134の上端は、管本体121の第1管材122の上端よりも下方Z1に配置されている。
【0050】
中空部131の第1管材122の軸を含む断面形状は、径方向の外側が開口するC字状に形成されている。
中空部131を構成する第2管材132、第1環状部材133、及び第2環状部材134は、第1管材122を径方向の内側から覆う中空層S7を内部に形成している。
管本体121と中空部131とは、前述の接続部により互いに固定されていてもよいし、互いに固定されていなくてもよい。
【0051】
第1管材122の径方向の内側であって、中空部131よりも上方Z2には、第1封止部材33が保持されている。
第2キャップ51は、管本体121の第1管材122の上端部に嵌め合わせられている。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の伸縮継手116によれば、内部に配置される縦管61,66が収縮しても、外面が結露するのを抑えることができる。
さらに、管本体121の第1管材122と、第2管材132、第1環状部材133、及び第2環状部材134を互いに連結した中空部131と、により、中空層S7を形成することができる。
【0053】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について
図7を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、この配管システム4は、縦管61,66と、本実施形態の伸縮継手141と、ドレントラップ151と、を備えている。
【0054】
伸縮継手141は、第1実施形態の伸縮継手21において、第2管材29の下方Z1の端が、第1管材27の下方Z1の端の近傍まで延びるように構成されている。中空層S1は、係止部30よりも下方Z1まで延びている。
伸縮継手141の第1管材27の下端部内には、接続管(縦管)146の上端部が配置されている。接続管146は、発泡層を備えない樹脂製の排水管である。
【0055】
ドレントラップ151の構成は、ドレン水の逆流を防止可能なものであれば特に限定されない。例えば、ドレントラップ151は、トラップ本体152と、蓋部153と、トラップ部154と、縮径部155と、上部受け口156と、を備えている。なお、蓋部153、トラップ部154、及び後述する連結部材159で、トラップユニット157を構成する。
上部受け口156、縮径部155、及びトラップ本体152は、上方Z2から下方Z1に向かって、上部受け口156、縮径部155、及びトラップ本体152の順で配置されている。
【0056】
トラップ本体152は、上下方向Zに沿って延びる円筒状に形成されている。トラップ本体152の側面には、トラップ本体152を径方向に貫通する開口152aが形成されている。
蓋部153は、有底の円筒状に形成されている。蓋部153は、底壁部が径方向の内側を向くように配置され、トラップ本体152の開口152aに嵌め合っている。
蓋部153は、トラップ本体152の開口152aに着脱可能に取付けられて、トラップ本体152の開口152aを封止している。
トラップ部154は、トラップ本体152内に、トラップ本体152の内周面から離間した状態で配置されている。トラップ部154は、シリコーンゴム等の柔軟な材料で形成された漏斗状の受け容器である。
【0057】
トラップ部154は、蓋部153とは連結部材159を介して接続されている。連結部材159は、トラップ本体152の開口152aを通過可能である。
縮径部155は、トラップ本体152の上端部に設けられている。例えば、縮径部155は、上下方向Zに沿って延びる円筒状に形成されている。縮径部155の外径及び内径は、上方Z2に向かうに従い漸次、それぞれ大きくなる。
上部受け口156は、縮径部155の上端部に設けられている。上部受け口156は円筒状に形成され、縮径部155の外縁部から上方Z2に向かって延びている。上部受け口156は、内部に発泡樹脂層156aを備えている。
上部受け口156の内径、及び接続管146の外径は、互いに同等である。上部受け口156内には、接続管146の下端部が配置されている。
【0058】
トラップ本体152の下端部には、下部受け口160が設けられている。下部受け口160の内径、及び第1縦管61の外径は、互いに同程度である。下部受け口160内には、第3封止部材161を介して第1縦管61の上端部が配置されている。なお、ドレントラップ151は第3封止部材161を備えなくてもよい。
この例では、上下方向Zにおいて、ドレントラップ151の上部受け口156、及び接続管146が重なる領域は、上部受け口156の発泡樹脂層156aにより断熱している。
このように構成されたドレントラップ151では、トラップ本体152に対してトラップユニット157が着脱可能である。
【0059】
以上説明した本実施形態の伸縮継手141によっても、内部に配置される第2縦管66及び接続管146が収縮しても、外面が結露するのを抑えることができる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について
図8及び
図9を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8及び
図9に示すように、本実施形態の伸縮継手171は、第1管材27と、中空部176、第2キャップ51と、を備えている。
中空部176は、第1管材27を径方向の外側から覆うカバーであり、全体として円管状に形成されている。中空部176は、中空部176の中心軸を含む面で中空部176を2つに分割して形成された、一対の分割体177により構成されている。
各分割体177は、管状片178と、第1環状部材片179と、第2環状部材片180と、を備えている。
【0061】
管状片178は、第1管材27を径方向の外側から覆っている。一対の管状片178により、第2管材178Aが構成される。すなわち、一対の管状片178は、第2管材178Aが周方向に分割して構成されている。
第1環状部材片179は、半円環状に形成されている。第1環状部材片179は、管状片178の上端部から径方向の内側に向かって延びている。一対の第1環状部材片179により、第1環状部材179Aが構成される。
第1環状部材片179の径方向の内側の端部には、上方Z2に向かって突出するフランジ183が形成されている。
第2環状部材片180は、半円環状に形成されている。第2環状部材片180は、管状片178の下端部から径方向の内側に向かって延びている。一対の第2環状部材片180により、第2環状部材180Aが構成される。
第2環状部材片180の径方向の内側の端部には、下方Z1に向かって突出するフランジ184が形成されている。
【0062】
各分割体177は、樹脂等により一体に形成されている。各分割体177は、第1管材27の外周面とフランジ183,184との間に配置した図示しない接着材により、第1管材27に固定されている。
中空部176の第2管材178Aと第1管材27との間に、中空層S9が形成される。
【0063】
以上説明した本実施形態の伸縮継手171によっても、内部に配置される縦管が収縮しても、外面が結露するのを抑えることができる。
【0064】
以上、本発明の第1実施形態から第5実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態から第5実施形態では、第1管材及び第2管材を一体にガス注入法により形成して中空層を有する伸縮継手を形成し、伸縮継手のうち中空層よりも径方向の内側の部分を第1管材とし、伸縮継手のうち中空層よりも径方向の外側の部分を第2管材としてもよい。
【0065】
伸縮継手が、係止部30、第1封止部材33、及び第2キャップ51を備えなくてもよい。
伸縮継手により接続される配管が一対の縦管であるとしたが、一対の横管である等としてもよい。
【符号の説明】
【0066】
21,21A,21B,91,116,141,171 伸縮継手
27,122 第1管材
28,98,133,179A 第1環状部材
29,107,132,178A 第2管材
42,77,108,134,180A 第2環状部材
45,81,88,111,131,176 中空部
86 発泡材(第2環状部材)
S1,S2,S3,S5,S7,S9 中空層