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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040529
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】パージ装置及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20240318BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240318BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H01L21/68 T
H01L21/68 A
B65G49/07 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007880
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖久
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131CA12
5F131DA43
5F131DC23
5F131FA02
5F131GA12
5F131GA33
5F131GA42
5F131GA92
5F131JA04
(57)【要約】
【課題】良好なパージ処理を実行することができるパージ装置及び搬送システムを提供する。
【解決手段】第二棚モジュール40は、パージノズル51に容器Fの注入口Faが位置合わせされることによって、容器Fの内部にパージガスを供給する。第二棚モジュール40は、容器Fが載置され、パージノズル51が設けられている第二棚板43と、第二棚板43に配置される部材であって、第二棚板43に容器Fが載置されるときにパージノズル51に先行して容器Fに接触し、注入口Faがパージノズル51に対する所定範囲に位置するように容器Fを案内するピン45A,45B,45Cと、第二棚板43に載置された容器Fに振動を加える加振装置87と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パージノズルに格納容器の注入口が位置合わせされることによって、前記格納容器の内部にパージガスを供給するパージ装置であって、
前記格納容器が載置され、前記パージノズルが設けられている載置部と、
前記載置部に配置される部材であって、前記載置部に前記格納容器が載置されるときに前記パージノズルに先行して前記格納容器に接触し、前記注入口が前記パージノズルに対する所定範囲に位置するように前記格納容器を案内するガイド部と、
前記載置部に載置された前記格納容器に振動を加える加振装置と、を備える、パージ装置。
【請求項2】
前記加振装置は、前記載置部における前記格納容器の載置面とは反対側の面に設けられている、請求項1記載のパージ装置。
【請求項3】
前記パージノズルと前記注入口との接続状態の良否を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて前記加振装置を作動させるパージ制御部と、を更に備える、請求項1又は2記載のパージ装置。
【請求項4】
前記載置部に配置されており、前記格納容器を吸着する吸着部を更に備え、
前記検出部は、前記吸着部における前記格納容器の吸着状態に基づいて前記接続状態を検出する、請求項3記載のパージ装置。
【請求項5】
前記パージ制御部は、前記検出部によって前記接続状態が不良であることが検出された場合、エラー信号を出力する、請求項3又は4記載のパージ装置。
【請求項6】
請求項5記載のパージ装置と、
前記載置部との間で前記格納容器を移載可能な搬送装置と、
前記搬送装置を制御する搬送制御部と、を備え、
前記搬送制御部は、前記エラー信号を取得した場合、前記エラーが検出された前記パージノズルが設けられた前記載置部への前記格納容器の移載を禁止する、搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、パージ装置及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているような、半導体ウェハ又はガラス基板等の被格納物が格納される格納容器の内部に、清浄度を保つためにパージガスを導入(いわゆるパージ処理)するパージ装置が知られている。特許文献1のパージ装置では、パージガスを供給する工程の中で、良好なパージ処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表2015/118782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パージノズルに格納容器の注入口が位置合わせされた状態で、格納容器の内部にパージガスを供給するパージ装置では、注入口がパージノズルに対する所定範囲に位置するように格納容器を案内するガイド部が設けられているが、格納容器が意図しない要因によって案内途中で留まり、注入口が上記所定範囲にまで案内されない場合がある。注入口が上記所定範囲に案内されないと、パージノズルと格納容器の注入口とが接続されなかったり、接続状態が不良となったりして、良好なパージ処理が実行できない場合がある。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、良好なパージ処理を実行することができるパージ装置及び搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るパージ装置は、パージノズルに格納容器の注入口が位置合わせされることによって、格納容器の内部にパージガスを供給するパージ装置であって、格納容器が載置され、パージノズルが設けられている載置部と、載置部に配置される部材であって、載置部に格納容器が載置されるときにパージノズルに先行して格納容器に接触し、注入口がパージノズルに対する所定範囲に位置するように格納容器を案内するガイド部と、格納容器に振動を加える加振装置と、を備える。
【0007】
この構成のパージ装置では、載置部に載置される格納容器に振動を加えることができるので、意図しない要因によってガイド部の案内途中で停止した格納容器を再始動させることができる。これにより、格納容器の注入口がパージノズルに対する所定範囲に位置するようにより確実に案内される。この結果、良好なパージ処理を実行することができる。
【0008】
本発明の一側面に係るパージ装置では、加振装置は、載置部における格納容器の載置面とは反対側の面に設けられていてもよい。この構成では、ガイド部の案内途中で停止した格納容器を効果的に再始動させることができる。
【0009】
本発明の一側面に係るパージ装置は、パージノズルと注入口との接続状態の良否を検出する検出部と、検出部の検出結果に応じて加振装置を作動させるパージ制御部と、を更に備えてもよい。この構成では、パージノズルと注入口との接続状態が不良である場合に、加振装置を作動させることができるので、格納容器の注入口がパージノズルに対する所定範囲に位置しないことを起因とするパージ処理の不具合の発生を低減することができる。
【0010】
本発明の一側面に係るパージ装置は、載置部に配置されており、格納容器を吸着する吸着部を更に備え、検出部は、吸着部における格納容器の吸着状態に基づいて接続状態を検出してもよい。この構成では、パージノズルと注入口との接続状態の良否を簡易に判定することができる。
【0011】
本発明の一側面に係るパージ装置では、パージ制御部は、検出部によって接続状態が不良であることが検出された場合、エラー信号を出力してもよい。この構成では、当該エラー信号に基づいて、接続状態が不良であることを作業者に報知したり、当該エラー信号に基づいて各種処理を実行することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る搬送システムでは、上記のパージ装置と、載置部との間で格納容器を移載可能な搬送装置と、搬送装置を制御する搬送制御部と、を備え、搬送制御部は、エラー信号を取得した場合、エラーが検出されたパージノズルが設けられた載置部への格納容器の移載を禁止してもよい。この構成では、不具合のあるパージノズルが設けられた載置部へ格納容器が載置されることを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、良好なパージ処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る搬送システム及び保管棚を示す斜視図である。
図2】第二棚モジュールを上方から見た斜視図である。
図3】第二棚モジュールを下方から見た斜視図である。
図4】搬送システム及び保管棚の機能構成を示すブロック図である。
図5】搬送車によって第二棚モジュールの第二棚板にまで搬送されてきた容器に対してパージ処理が開始されるまでの流れを示すフローチャートである。
図6】第二棚モジュールの第二棚板においてパージ処理中の容器が搬送車によって搬出されるまでの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一側面の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。「X方向」、「Y方向」及び「Z方向」の語は、図示する方向に基づいており便宜的なものである。なお、図2においては第二主配管60Bの記載を省略し、図3においては、第二主配管60B、電磁バルブ82、圧力計83及び配管84の記載を省略している。
【0016】
図1に示す保管棚(パージ装置)1は、例えば、半導体製造工場等における搬送システム100を構成する搬送車(搬送装置)3の軌道5に沿って配置される。搬送システム100は、保管棚1と、搬送車3と、軌道5と、搬送コントローラ(搬送制御部)9と、を主に含んで構成される。保管棚1は、FOUP又はレチクルポッド等の容器(格納容器)Fを一時的に保管する。保管棚1は、吊りフレーム10と、第一棚モジュール30と、第二棚モジュール40と、を備えている。図1に示されるように、吊りフレーム10は、第一棚モジュール30を天井から吊り下げる部材である。吊りフレーム10は、軌道5の延在方向(X方向)に沿って、等間隔で配列されている。
【0017】
吊りフレーム10は、棚支持部13と、一対の吊部11,11と、接続部14と、を有する。棚支持部13は、第一棚モジュール30又は第二棚モジュール40の短手方向(Y方向)に沿って延在し、下方から第一棚モジュール30又は第二棚モジュール40を支持する。一対の吊部11,11は、棚支持部13の両端のそれぞれから天井に固定される固定部12にまで吊り下げ方向(Z方向)に延在する。接続部14は、その両端が一対の吊部11,11に接続され、棚支持部13に平行(Y方向)に延在する。
【0018】
吊りフレーム10には、追加ユニット20が固定されている。追加ユニット20は、吊りフレーム10の吊部11に固定されるユニットである。追加ユニット20は、追加棚支持部23と、追加吊部21と、追加接続部24と、落下防止柵29と、を有する。追加棚支持部23は、第一棚モジュール30又は第二棚モジュール40の短手方向(Y方向)に沿って延在し、下方から第一棚モジュール30又は第二棚モジュール40を支持する。追加吊部21は、追加棚支持部23の一端から天井に固定される固定部22にまで吊り下げ方向(Z方向)に延在する。追加接続部24は、一端が追加吊部21に接続され、他端が吊部11に接続されており、追加棚支持部23に平行(Y方向)に延在する。落下防止柵29は、隣り合う吊部11同士、又は隣り合う追加吊部21同士に掛け渡される平板状の部材である。
【0019】
第一棚モジュール30及び第二棚モジュール40は、容器Fが載置される部材である。第一棚モジュール30及び第二棚モジュール40は、隣り合う棚支持部13同士、又は隣り合う追加棚支持部23同士に掛け渡されている。
【0020】
第一棚モジュール30は、パージ機能を有さないユニット、すなわち、載置される容器Fにガスを供給する機能を有さないユニットである。当該ガスの例には、窒素ガス、乾燥空気等が含まれる。第二棚モジュール40は、パージ機能を有するユニット、すなわち、載置される容器Fにガスを供給する機能(パージ設備)を有するユニットである。他方の追加ユニット20の隣り合う追加棚支持部23同士には、上述の第一棚モジュール30が掛け渡されている。
【0021】
第一棚モジュール30は、第一棚フレーム31と、第一棚板33と、を有している。第一棚フレーム31は、X方向において隣り合う棚支持部13又は追加棚支持部23に掛け渡される。第一棚フレーム31は、Z方向から見た平面視において、略矩形形状を呈する板状の部材である。第一棚フレーム31は、棚支持部13又は追加棚支持部23に下方から挿通されるネジ等によって棚支持部13又は追加棚支持部23に固定されている。
【0022】
第一棚板33は、第一棚フレーム31の上面に、弾性体(図示せず)を介して支持されている。第一棚板33は、方向から見た平面視において、略矩形形状を呈する板状の部材である。弾性体の材料の例には、ゴム材、シリコーンゲル材、ウレタンゲル及び金属バネが含まれる。なお、弾性体を介することなく、第一棚板33を第一棚フレーム31の上面に直接取り付けるようにしてもよい。第一棚板33は、容器Fが載置される載置面33aを有し、載置面33aには、ピン35が設けられている。ピン35は、第一棚板33の載置面33aから上方に突出している。ピン35は、容器Fの底部に設けられた位置決め穴(図示せず)に対応する位置に配置されている。
【0023】
次に、図2及び図3に示される第二棚モジュール40について説明する。第二棚モジュール40は、第二棚フレーム41と、第二棚板(載置部)43と、パージ設備50と、を有している。第二棚フレーム41は、X方向において隣り合う追加棚支持部23に掛け渡される。第二棚フレーム41は、Z方向から見た平面視において、略矩形形状を呈する板状の部材である。
【0024】
第二棚板43は、第二棚フレーム41の上面に、弾性体47を介して支持されている。第二棚板43は、方向から見た平面視において、略矩形形状を呈する板状の部材である。弾性体47の材料の例には、ゴム材、シリコーンゲル材、ウレタンゲル及び金属バネが含まれる。なお、弾性体を介することなく、第二棚板43を第二棚フレーム41の上面に直接取り付けるようにしてもよい。第二棚板43は、容器Fが載置される載置面43aを有し、載置面43aには、ピン(ガイド部)45A,45B,45Cが設けられている。
【0025】
ピン45A,45B,45Cは、第二棚板43に容器Fが載置されるときにパージノズル51に先行して容器Fに接触し、注入口Faがパージノズル51に対する所定範囲に位置するように容器Fを案内する。ピン45A,45B,45Cは、第二棚板43の載置面43aから上方に突出している。ピン45A,45B,45Cは、容器Fの底部に設けられた位置決め穴(図示せず)に対応する位置に配置されている。
【0026】
パージ設備50は、パージノズル51と、第一配管52と、フィルタ部53と、第二配管54と、MFC(Mass Flow Controller)55と、第三配管56と、在荷センサ59と、到着センサ89と、吸着部80と、加振装置87と、パージコントローラ(検出部・パージ制御部)90と、を有している。パージノズル51は、容器Fの内部にガスを供給するノズルである。パージノズル51は、第二棚板43の載置面43aから上方に突出しており、容器Fがパージノズル51に載置されることによって容器Fの底面に設けられた注入口Faに接続される。
【0027】
第一配管52は、パージノズル51とフィルタ部53とを接続する管部材である。フィルタ部53は、フィルタ部53を通過するガスに含まれる異物を取り除くフィルタが収容された部材であって、ガスの供給源から第一主配管60Aを介して供給されるガスに含まれる異物を取り除く。フィルタ部53は、第二棚フレーム41に適宜の部材によって固定されている。第二配管54は、フィルタ部53とMFC55との間を接続する管部材である。
【0028】
MFC55は、第一主配管60Aから供給されるガスの流量を計測すると共に流量の制御を行う機器である。MFC55は、パージコントローラ90によって制御される。MFC55は、複数の第二棚板43のそれぞれに設けられている、MFC55は、配線71を介してパージコントローラ90に接続される第一主配線70Aに接続されている。MFC55は、第二棚フレーム41の下面に適宜の方法にて固定されている。第三配管56は、MFC55と第一主配管60Aとの間を接続する管部材である。
【0029】
在荷センサ59は、第二棚板43に容器Fが載置されたか否かを検出する。在荷センサ59は、第二棚板43の載置面43aに設けられている。在荷センサ59は、配線71を介してパージコントローラ90に接続される第一主配線70Aに接続されている。在荷センサ59の検知結果は、パージコントローラ90によって取得される。
【0030】
到着センサ89(図1参照)は、第二棚板43に容器Fが搬送されてきたことを検知する。より詳細には、到着センサ89は、複数のパージノズル51のそれぞれに対応して複数設けられている。到着センサ89は、例えば、軌道5に固定されている。なお、図1では、複数の到着センサ89のうち、一つの到着センサ89しか記載されていない。到着センサ89は、対応するパージノズル51が設けられた第二棚板43に容器Fの載置が開始されることを検知する。到着センサ89による容器Fの検知結果は、パージコントローラ90によって取得される。
【0031】
図1及び図4に示されるように、吸着部80は、吸引口81と、電磁バルブ82と、圧力計83と、配管84と、を有している。吸引口81は、パージノズル51の周囲に設けられ。容器Fの底面を吸着して、容器Fの第二棚板43に対する載置の安定化を図ると共に、パージノズル51と容器Fとの接続をより確実にする部位である。吸引口81は、ゴム部材等の弾性を有する部材に形成された複数の孔によって構成されている。
【0032】
吸引口81は、電磁バルブ82、圧力計83及び配管84を介して、負圧源7に接続される第二主配管60Bに接続されている。電磁バルブ82は、吸引口81における負圧(吸引)の発生の有無を切り替える。電磁バルブ82は、パージコントローラ90によって制御される。電磁バルブ82は、配線71を介してパージコントローラ90に接続される第一主配線70Aに接続されている。電磁バルブ82は、第二棚板43の載置面43aとは反対側の裏面43bに取り付けられている。
【0033】
圧力計83は、吸引口81に生じる圧力を計測する。吸引口81に生じる圧力は、第二棚板43に対する容器Fの載置のされ方、すなわち、吸引口81に対する容器Fの接触度合によって変化する。すなわち、吸引口81によって容器Fがしっかりと吸着されているとき(パージノズル51と注入口Faとの接続状態が良好なとき)、圧力計83によって計測される値は相対的に高くなり、吸引口81によって容器Fがしっかりと吸着されていないとき(パージノズル51と注入口Faとの接続状態が不良のとき)、圧力計83によって計測される値は相対的に低くなる。圧力計83は、配線71を介してパージコントローラ90に接続される第一主配線70Aに接続されている。圧力計83によって計測された圧力値は、パージコントローラ90によって取得される。圧力計83は、第二棚板43の裏面43bに取り付けられている。
【0034】
加振装置87は、第二棚板43に載置された容器Fに振動を加える。加振装置87の例は、バイブレータ等の振動モータである。加振装置87は、第二棚板43における裏面43bに設けられており、第二棚板43を介して容器Fに振動を加える。加振装置87は、配線71を介してパージコントローラ90に接続される第一主配線70Aに接続されている。加振装置87は、パージコントローラ90によって制御される。すなわち、加振装置87における加振動作は、パージコントローラ90によって制御される。
【0035】
上述した第一主配管60Aは、パージ設備50に供給するパージガスのガス源に接続されている。第一主配管60Aは、複数のMFC55のそれぞれに第三配管56を介して接続されている。第二主配管60Bは、複数の吸引口81のそれぞれに負圧を発生させる負圧源7に接続されている。第二主配管60Bは、複数の吸引口81のそれぞれに配管84を介して接続されている。第一主配線70Aは、パージコントローラ90と複数のパージ設備50とを接続する。第一主配線70Aは、複数のパージ設備50のそれぞれに配線71を介して接続されている。
【0036】
パージコントローラ90は、パージ設備50における各種制御を実行する。パージコントローラ90は、例えば、何れかの保管棚1の一部に固定されていてもよいし、中継装置等を介して保管棚1から離れた場所に設けられてもよい。パージコントローラ90は、電磁バルブ82、複数のMFC55及び加振装置87を制御する。パージコントローラ90は、在荷センサ59、圧力計83における圧力値、在荷センサ59における検知結果及び到着センサ89における検知結果を取得する。パージコントローラ90は、在荷センサ59及び到着センサ89の検知結果に基づいてMFC55を制御する。
【0037】
また、パージコントローラ90は、圧力計83における圧力値に基づいてパージノズル51と注入口Faとの接続状態の良否を検出し、当該良否の検出結果に基づいて加振装置87を制御する。本実施形態では、パージコントローラ90は、上記接続状態が良と判定されたときは、MFC55を制御して容器Fにガスを供給し、上記接続状態が不良と判定されたときは、エラー信号を出力する。なお、パージコントローラ90の制御の詳細については、後段にて詳述する。
【0038】
搬送コントローラ9は、軌道5を走行する搬送車3に搬送指令を送信する。搬送指令には、移動先の処理装置に対応する載置部、バッファに対応する第一棚モジュール30の第一棚板33又は第二棚モジュール40の第二棚板43が含まれる。パージコントローラ90と搬送コントローラ9とは、第二主配線70Bによって接続されている。本実施形態の搬送コントローラ9は、パージコントローラ90からエラー信号を取得すると、当該エラー信号を出力する原因となった第二棚板43を目的地とする搬送指令を出力することを禁止する。
【0039】
次に、搬送車3によって第二棚モジュール40の第二棚板43にまで搬送されてきた容器Fに対してパージ処理が開始されるまでの流れを、主に図5を参照しながら説明する。
【0040】
パージコントローラ90は、到着センサ89によって搬送車3の到着を検知する(ステップS1)。搬送車3は、搬送指令によって指定された第二棚板43に到着すると、容器Fの下降を開始させ(ステップS2)、第二棚板43に着座させる(ステップS3)。本実施形態の第二棚板43においては、容器Fが下降されていくと、第二棚板43に着座する前に容器Fがピン45A,45B,45Cに接触し、容器Fはピン45A,45B,45Cに案内されながら第二棚板43に着座(容器Fの注入口Faとパージノズル51とが接続)する。
【0041】
パージコントローラ90は、在荷センサ59における検知結果に基づいて電磁バルブ82を制御し、容器Fの吸引を開始する(ステップS4)。なお、パージコントローラ90は、到着センサ89によって搬送車3の到着が検知されてから容器Fが第二棚板43に着座されるまでの間に、電磁バルブ82を制御し、容器Fの吸引を開始してもよい。次に、パージコントローラ90は、パージノズル51と注入口Faとの接続状態の良否を検出する(ステップS5)。より詳細には、パージコントローラ90は、吸着部80の吸引口81における容器Fの吸着状態に基づいて接続状態を検出する。本実施形態のパージコントローラ90は、取得した圧力計83の圧力値が第一閾値よりも大きければ、パージノズル51と注入口Faとの接続状態が良好であると判定する。パージコントローラ90は、パージノズル51と注入口Faとの接続状態が良好であると判定すると(S5:YES)、MFC55を制御して容器Fにガスを供給する(ステップS6)。すなわち、パージコントローラ90は、パージ処理を開始する。
【0042】
パージコントローラ90は、パージノズル51と注入口Faとの接続状態が良好でないと判定すると(S5:NO)、加振装置87を制御して加振装置87を作動させる(ステップS11)。その後、パージコントローラ90は、吸着部80の吸引口81における容器Fの吸着状態に基づいて接続状態を検出する(ステップS12)。ここで、パージコントローラ90は、取得した圧力計83の圧力値が第一閾値以上であれば、パージノズル51と注入口Faとの接続状態が良好であると判定する。パージコントローラ90は、パージノズル51と注入口Faとの接続状態が良好であると判定すると(S12:YES)、加振装置87を制御して加振装置87の作動を停止させる(ステップS13)。次に、パージコントローラ90は、MFC55を制御して容器Fにガスを供給する(ステップS6)。
【0043】
一方、パージコントローラ90は、ステップS12においてパージノズル51と注入口Faとの接続状態が不良であると判定すると(S12:NO)、加振装置87によって振動を加える状態を継続させる(ステップS14:NO)。パージコントローラ90は、加振装置87による振動状態を所定時間以上続けても、パージノズル51と注入口Faとの接続状態が不良であると判定(タイムアウト)され続けると(ステップS14:YES)、加振装置87を制御して加振装置87の作動を停止させる(ステップS15)。次に、パージコントローラ90は、エラー信号を出力する(ステップS16)。エラー信号を取得した搬送コントローラ9は、作業者にエラーを報知したり、当該エラー信号を出力する原因となった第二棚板43を目的地とする搬送指令を出力することを禁止したりする。
【0044】
次に、第二棚モジュール40の第二棚板43においてパージ処理中の容器が搬送車3によって搬出されるまでの流れを、主に図6を参照しながら説明する。
【0045】
パージコントローラ90は、到着センサ89によって搬送車3の到着が検知された場合(ステップS31)、MFC55を制御して、容器Fに対するパージ処理を停止する。なお、到着センサ89によって搬送車3の到着が検知されるまでの間に、当該パージ処理は停止されていてもよい。パージコントローラ90は、電磁バルブ82を制御し、容器Fの吸引を停止する(ステップS32)。次に、パージコントローラ90は、取得した圧力計83の圧力値が第二閾値以下であるか否かを検出する(ステップS33)。
【0046】
パージコントローラ90は、取得した圧力計83の圧力値が第二閾値以下であると判定すると(S33:YES)、その旨を搬送コントローラ9に送信し、搬送車3に容器Fを把持させて(ステップS34)、容器Fを上昇させる(ステップS35)。これにより、容器Fが吸引口81に吸着された状態で、搬送車3によって容器Fが持ち上げられることがなくなるので、容器Fの破損を防止できる。容器Fの上昇が完了した搬送車3は、搬送コントローラ9の搬送指令の目的地に向かって出発する(ステップS36)。
【0047】
一方、パージコントローラ90は、取得した圧力計83の圧力値が第二閾値より大きいと判定すると(S33:NO)、圧力計83の圧力値の監視を継続する(ステップS41:NO)。パージコントローラ90は、圧力計83の圧力値が所定時間の経過後も、第二閾値以下にならないと判定(タイムアウト)すると(S41:YES)、エラー信号を出力する(ステップS42)。エラー信号を取得した搬送コントローラ9は、作業者にエラーを報知したり、当該エラー信号を出力する原因となった第二棚板43を出発地とする搬送指令を出力することを禁止したりする。
【0048】
上記実施形態の搬送システム100又は第二棚モジュール40における作用効果について説明する。上記実施形態の第二棚モジュール40では、第二棚板43に載置される容器Fに振動を加えることができるので、意図しない要因によってピン45A,45B,45Cの案内途中で停止した容器Fを再始動させることができる。これにより、容器Fの注入口Faがパージノズル51に対する所定範囲に位置するようにより確実に案内される。この結果、良好なパージ処理を実行することができる。また、この構成では、搬送車3等の移載部によって容器Fの載置動作をやり直すことによってパージノズル51と注入口Faとの接続状態を良好にする方法と比べて時間を短縮することができるので、処理能力の低減を抑制できる。
【0049】
上記実施形態の第二棚モジュール40では、加振装置87は、第二棚板43における容器Fの載置面43aとは反対側の裏面43bに設けられているので、ピン45A,45B,45Cの案内途中で停止した容器Fを効果的に再始動させることができる。
【0050】
上記実施形態の第二棚モジュール40では、パージノズル51と注入口Faとの接続状態が不良である場合に、加振装置87を作動させることができるので、容器Fの注入口Faがパージノズル51に対する所定範囲に位置しないことを起因とするパージ処理の不具合の発生を低減することができる。
【0051】
上記実施形態の第二棚モジュール40では、吸引口81における容器Fの吸着状態に基づいてパージノズル51と注入口Faとの接続状態が検出されるので、パージノズル51と注入口Faとの接続状態の良否を簡易に判定することができる。
【0052】
上記実施形態の第二棚モジュール40では、パージコントローラ90によってパージノズル51と注入口Faとの接続状態が不良であることが検出された場合、エラー信号を出力するので、上記接続状態が不良であることを作業者に報知したり、当該エラー信号に基づいて各種処理を実行することができる。
【0053】
上記実施形態の搬送システム100では、搬送コントローラ9がパージコントローラ90からエラー信号を取得した場合、エラーが検出されたパージノズル51が設けられた第二棚板43への容器Fの移載を禁止するので、不具合のあるパージノズル51が設けられた第二棚板43へ容器Fが載置されることを防止できる。
【0054】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0055】
上記実施形態では、第二棚板43に二つのパージノズル51が設けられる例(すなわち、二つの載置部が設けられる例)を挙げて説明したが、一つの載置部が設けられてもよいし、三つ以上の載置部が設けられてもよい。
【0056】
上記実施形態及び変形例では、パージノズル51と注入口Faとの接続状態が吸引口81に生じる圧力値によって判定される例を挙げて説明したが、第二棚板43に配置された複数のセンサの検知結果又はカメラ等の画像に基づいて判定してもよい。また、第二棚板43に容器Fからガスを排出する排出ポートと排出ポートにおける流速の検知部とが設けられる構成では、パージコントローラ90は、当該検知部によって取得される流速値に基づいてパージノズル51と注入口Faとの接続状態の良否を判定してもよい。この場合、吸引口81が周囲に配置されたパージノズル51に代えて、周囲にベローズが配置されたノズル又は載置部が金属で形成されたノズルが設けられてもよい。
【0057】
上記実施形態及び変形例では、加振装置87が第二棚板43の裏面43bに固定される例を挙げて説明したが、例えば、容器Fを載置する際に邪魔とならないような第二棚板43の載置面43aに設けられてもよいし、吊りフレーム10の一部に設けられてもよい。
【0058】
上記実施形態及び変形例では、天井から吊り下げられる構成の保管棚1に本発明の一側面を適用する例を挙げて説明したが、例えば、パージストッカ等に装備される、地面に設置される保管棚(パージストッカ)等に本発明の一側面を適用してもよい。
【0059】
上記実施形態及び変形例では、搬送装置の一例として天井に設けられた軌道5を走行する搬送車3を例に挙げて説明したが、地上を走行するスタッカクレーンのような搬送車であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…保管棚(パージ装置)、3…搬送車、5…軌道、7…負圧源、9…搬送コントローラ(搬送制御部)、43…第二棚板(載置部)、43a…載置面、43b…裏面、45A,45B,45C…ピン(ガイド部)、50…パージ設備、51…パージノズル、59…在荷センサ、80…吸着部、81…吸引口、82…電磁バルブ、83…圧力計、87…加振装置、89…到着センサ、90…パージコントローラ(検出部・パージ制御部)、100…搬送システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6