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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040530
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】通信制御装置及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/18 20090101AFI20240318BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20240318BHJP
   H04W 4/33 20180101ALI20240318BHJP
【FI】
H04W28/18
H04W16/14
H04W4/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011273
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】葛西 啓文
(72)【発明者】
【氏名】古市 匠
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA11
5K067DD57
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE61
5K067GG22
(57)【要約】
【課題】周波数帯域の利用効率を向上させる通信制御装置及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】本開示の通信制御装置は、第1グループに属する第1無線通信装置の電波使用に関する第1要求を受信した場合に、前記第1無線通信装置及び前記第1グループに属する他の無線通信装置の設置環境情報に基づき、前記第1無線通信装置に使用可能な電波のパラメータ情報を決定する処理部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1グループに属する第1無線通信装置の電波使用に関する第1要求を受信した場合に、前記第1無線通信装置及び前記第1グループに属する他の無線通信装置の設置環境情報に基づき、前記第1無線通信装置に使用可能な電波のパラメータ情報を決定する処理部
を備えた通信制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記他の無線通信装置の電波の使用状況に基づき、前記パラメータ情報を決定する
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記パラメータ情報として、少なくとも前記第1無線通信装置に使用可能な周波数を決定する
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記第1グループは、複数の階を有する建物内の異なる階に設置された複数の無線通信装置のグループである
請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記設置環境情報は、前記第1無線通信装置及び前記他の無線通信装置が設置された階の情報を含み、
前記処理部は、前記第1無線通信装置と前記他の無線通信装置との階数差に基づき、前記第1無線通信装置の使用可能な周波数を決定する
請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記階数差が閾値以上の場合に、前記他の無線通信装置が使用している周波数と干渉関係にある周波数の使用を前記第1無線通信装置に対して許容する
請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記設置環境情報は、前記建物の階間の床厚の情報を含み、
前記閾値は、前記第1無線通信装置が設置された階と前記他の無線通信装置が設置された階間に存在する床厚の総和に依存する
請求項6に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記第1グループは、複数の建物内に設置された複数の無線通信装置を含み、
前記設置環境情報は、前記複数の建物の外壁の厚さの情報を含み、
前記処理部は、前記第1無線通信装置と前記他の無線通信装置間に存在する前記外壁の厚みに基づき、前記第1無線通信装置の使用許可な周波数を決定する
請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記外壁の厚みの総和が閾値以上の場合に、前記他の無線通信装置が使用している周波数と干渉関係にある周波数の使用を前記第1無線通信装置に対して許容する
請求項8に記載の通信制御装置。
【請求項10】
前記閾値は、前記第1無線通信装置が設置された建物の構造と前記他の無線通信装置が設置された建物の構造とに依存する
請求項9に記載の通信制御装置。
【請求項11】
前記第1無線通信装置が設置された建物の構造と前記他の無線通信装置が設置された建物の構造は、鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートである
請求項10に記載の通信制御装置。
【請求項12】
前記設置環境情報は、前記第1無線通信装置の設置時に測定された前記他の無線通信装置からの電波干渉に関する情報を含み、
前記処理部は、前記電波干渉に関する情報に基づき、前記第1無線通信装置の使用可能な周波数を決定する
請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項13】
前記電波干渉に関する情報は、前記他の無線通信装置から前記第1無線通信装置へ送信される電波の電力の減衰量を含み、
前記処理部は、前記電力の減衰量と前記他の無線通信装置の送信電力値とに基づいて、前記第1無線通信装置の使用可能な周波数を決定する
請求項12に記載の通信制御装置。
【請求項14】
前記パラメータ情報を、前記第1無線通信装置又は前記第1無線通信装置の電波使用を制御する周波数制御装置に送信する通信部
を備えた請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項15】
前記第1要求を、前記第1無線通信装置又は前記第1無線通信装置の電波使用を制御する周波数制御装置から受信する通信部
を備えた請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項16】
前記第1要求は前記第1無線通信装置により使用を要求される第1周波数の情報を含み、
前記処理部は、前記設置環境情報に基づき前記第1要求で要求される前記周波数が前記他の無線通信装置により使用されている第2周波数と干渉するか否かを決定し、前記第1周波数が前記第2周波数と干渉しない場合は前記第1周波数の使用が可能であることを決定し、前記第1周波数が前記第2周波数と干渉する場合は、前記第1周波数の使用が不可であることを決定する
請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項17】
前記処理部は、前記第1周波数が前記第2周波数と干渉する場合は、前記第1無線通信装置の使用可能な周波数の候補の中から前記第1無線通信装置に使用を許可する第3周波数を決定する
請求項16に記載の通信制御装置。
【請求項18】
第1グループに属する第1無線通信装置に関する第1要求を受信した場合に、前記第1無線通信装置及び前記第1グループに属する他の無線通信装置の設置環境情報に基づき、前記第1無線通信装置に使用可能な電波のパラメータ情報を決定する
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信制御装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線ネットワークに要求されるデータ通信帯域は拡大を続けている一方、使用できる周波数資源は限られている。そこで既にある用途に割り当てられている周波数帯域のうち、時間的又は空間的に使用されていない帯域部分を無線通信システム間で共用するための周波数共用技術が検討されている。非特許文献1には、北米で実用化されている周波数共用技術が開示されている。
【0003】
非特許文献1で開示された周波数共用技術では、平面的な位置関係(例えば経度と緯度に基づく位置関係)、すなわち2次元的な条件のみを考慮して周波数の共用可否を決定しており、地表からの高さといった3次元的な条件を考慮していなかった。一方、特許文献1では、3次元的な条件を考慮した周波数帯域の共用方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、周波数の共用の可否判断を行うための計算量が著しく増大する。また、特許文献1に開示されている方法は、非特許文献1により実用化されている周波数共用技術と効率的に共存させることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6277893号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】FCC, “GN Docket No.12-354 NOTICE OF PROPOSED RULEMAKING AND ORDER”, December 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、周波数帯域の利用効率を向上させる通信制御装置及び通信制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の通信制御装置は、第1グループに属する第1無線通信装置の電波使用に関する第1要求を受信した場合に、前記第1無線通信装置及び前記第1グループに属する他の無線通信装置の設置環境情報に基づき、前記第1無線通信装置に使用可能な電波のパラメータ情報を決定する処理部を備える。
【0009】
本開示の通信制御方法は、第1グループに属する第1無線通信装置の電波使用に関する第1要求を受信した場合に、前記第1無線通信装置及び前記第1グループに属する他の無線通信装置の設置環境情報に基づき、前記第1無線通信装置に使用可能な電波のパラメータ情報を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る通信制御システムの概略的な構成を示すブロック図。
図2】本開示の実施形態に係る通信制御装置の構成の一例を示すブロック図。
図3】本開示の実施形態に係るデータベース装置の一例を示すブロック図。
図4】データベース装置に記憶されているデータベース(表)の例を示す図。
図5図4の表に新規基地局の情報を追加した場合の例を示す図。
図6】新規に基地局を設置するときに行う手続きのフロー例を示す図。
図7】基地局が共用帯域に含まれる周波数の使用許可を得て、送信を開始するまでのフローの一例を示す図。
図8】通信制御装置が基地局に対してグループ内で使用可能な周波数を算出する処理の例のフローを示す図。
図9】通信制御装置が基地局により要求される周波数がグループ内で使用可能か否かを判定する処理の例のフローを示す図。
図10】データベース装置に記憶されているデータベース(表)の例を示す図。
図11】基地局が共用帯域に含まれる周波数の使用許可を得て、送信を開始するまでのフローの一例を示す図。
図12】通信制御装置が基地局に対してグループ内で使用可能な周波数を算出する処理の例のフローを示す図。
図13】通信制御装置が基地局により要求される周波数がグループ内で使用可能か否かを判定する処理の例のフローを示す図。
図14】2つの建物が縦に隣接した設置イメージ例と、データベース装置に記憶されているデータベース(表)の例を示す図。
図15】2つの建物が縦に隣接した設置イメージ例と、データベース装置に記憶されているデータベース(表)の例を示す図。
図16】3つの建物が横及び縦に隣接した設置イメージ例と、データベース装置に記憶されているデータベース(表)の例を示す図。
図17】基地局同士が干渉しない条件を求めるためのルールの例を示す図。
図18図17のルールで算出した、基地局同士が干渉しない条件の一例を示す図。
図19】通信制御装置が基地局に対してグループ内で使用可能な周波数を算出する処理の例のフローを示す図。
図20】通信制御装置が基地局により要求される周波数がグループ内で使用可能か否かを判定する処理の例のフローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。本開示において示される1以上の実施形態において、各実施形態が含む要素を互いに組み合わせることができ、かつ、当該組み合わせられた結果物も本開示が示す実施形態の一部をなす。
【0012】
[システムの概略的な構成]
図1は、本開示に係る通信制御システムの概略的な構成を示すブロック図である。本開示に係る通信制御システムは、周波数制御装置100、通信制御装置200、データベース装置300、及び複数の無線通信システム501,502,550を備えている。無線通信システム501は、基地局401A~401Cを備え、無線通信システム502は、基地局401D、401Eを備えている。基地局401A~401Eは無線通信装置の一例である。但し、本開示に係る無線通信装置は基地局に限定されずアクセスポイントでもよい。あるいは、本開示に係る無線通信装置は、基地局又はアクセスポイントとして動作する、端末装置、D2D通信を行う装置、又はムービングリレー基地局であってもよい。各基地局を特に区別しない場合、任意の基地局を基地局401と記載する。図1では無線通信システムが3つ示されているが、無線通信システムの数は1でも、2でも、4以上でもよい。
【0013】
無線通信システム501、502は、互いに異なる事業者(オペレータ)によって運用されている。1つの無線通信システムに含まれる基地局の台数は1以上であれば任意の数でよい。各基地局401は無線通信システム501、502間で共用可能な周波数帯域を使用して、他の装置(例えば図示しない端末等)との無線通信を行う。基地局401は、共用可能な周波数帯以外の周波数帯域を使用して、他の装置(例えば端末等)との無線通信を行うこともできる。無線通信システム501、502は、一例として、セルラーシステムである。しかしながら、無線通信システム501,502はセルラーシステムに限定されず、他の種類の無線通信システムであってもよい。本実施形態に係る共用帯域は、無線通信システム501、502間で共用可能な周波数帯域とするが、単一の無線通信システム501又は502内で共用可能な周波数帯域であってもよい。
【0014】
無線通信システム550は、共用帯域の使用に関して、無線通信システム501,502とは異なる優先度を有する無線通信システムである。一例として、無線通信システム550は無線通信システム501、502よりも高い又は低い優先度を有する無線通信システムである。高い優先度の無線通信システムの例として、海軍艦船レーダーシステムなどがある。低い優先度の無線通信システムの例として、無線通信システム501、502と同様のシステム(例えばセルラーシステム等)でもよい。無線通信システム501、502は、共用帯域の使用に関して、互いに同じ優先度を有する無線通信システムである。
【0015】
周波数制御装置100は、無線通信システム501,502,550の周波数使用を制御する。周波数制御装置100は、無線通信システム501,502間で共用可能な周波数帯域(共用帯域)において、基地局401(第1無線通信装置)に対し、共用帯域の使用条件(共用帯域において使用可能な周波数に関する条件)を、2次元的な情報を用いて算出する。共用帯域は、一例としてそれぞれ互いに干渉しない関係を有する複数の周波数(共用周波数又はサブバンド)を含み、独立して選択及び使用可能である。2次元的な情報は、例えば2次元の地理情報等である。2次元的な情報を用いて算出する使用条件を“2次元使用条件”と称する。周波数制御装置100は、基地局401と同じグループに属する基地局以外の基地局又はシステム(例えば他のグループの基地局や、より高い優先度の無線通信システム)の共用帯域の使用状況に基づき、2次元使用条件を算出する。基地局401と同じグループに属する他の基地局との間での使用条件は、後述する通信制御装置200が算出する。2次元使用条件は、一例として、基地局401が利用可能な周波数(共用周波数)の識別子、当該周波数で利用可能な最大送信電力値を含む。
【0016】
具体例として、周波数制御装置100は非特許文献1で開示される米国周波数共用で定められた条件を使用条件(2次元使用条件)として算出する。但し、周波数制御装置100は、他の方法で使用条件を算出するものであってもよい。例えば経度と緯度で位置が識別される基地局がどの程度離れていれば、またどの程度の送信電力であれば、同じ周波数を各基地局で共用できるか(干渉が生じないか)に基づいて、使用条件を算出してもよい。
【0017】
周波数制御装置100は、基地局401から、共用帯域の電波使用に関する要求(電波使用要求)を受信する。電波使用要求の例として、共用帯域において使用可能な周波数を算出する要求、また、共用帯域における基地局401が指定する周波数(第1周波数)の使用の許可の要求がある。後者の場合、電波使用要求は、基地局401が使用を要求する周波数の情報を含む。
【0018】
基地局401による電波使用要求を受信した場合、周波数制御装置100は、基地局401に属するグループ以外の基地局又はシステムに関して、当該基地局401に対し共用帯域の使用条件(2次元使用条件)を、2次元の情報を用いて算出する。さらに、周波数制御装置100は、通信制御装置200に、3次元判定要求を送信する。3次元判定要求は、基地局401が属するグループ内の各基地局の3次元的な情報を用いて、基地局401に対してグループ内で使用可能な周波数を算出、又は共用帯域の使用条件(“3次元使用条件”と称する)を算出することの要求を含む。または、3次元判定要求は、基地局401が要求する周波数の使用可否の判定を3次元使用条件に基づき行うことの要求を含む。3次元使用条件は、一例として、基地局401がグループ内で利用可能な周波数(共用周波数)の識別子、当該周波数で利用可能な最大送信電力値を含む。
【0019】
周波数制御装置100は、通信制御装置200から使用可能な周波数(3次元使用条件)又は使用可否を示す判定結果を含む回答を受信する。周波数制御装置100は、2次元使用条件と、受信した回答とに基づき、基地局401が使用可能な周波数、又は基地局401により要求された周波数の使用の可否を決定する。当該周波数及び使用の可否は、基地局401に使用可能な電波のパラメータ情報の一例である。なお、周波数制御装置100が通信制御装置200から3次元使用条件を示す情報を受信し、受信した情報が示す3次元使用条件に基づき、基地局401により要求された周波数の使用可否を決定してもよい。
【0020】
周波数制御装置100は、基地局401により要求された周波数の使用ができない(許可できない)場合に、共用帯域において他の候補となる1つ以上の周波数から基地局401に使用させる周波数(第3周波数)を代替の周波数として決定してもよい。
【0021】
周波数制御装置100は、基地局401が使用可能な周波数を示す応答又は基地局401により要求された周波数の使用可否を示す応答を基地局401に送信する。あるいは、周波数制御装置100は、基地局401により要求された周波数の使用が不可である場合に、代替の周波数を指示又は提案する情報を含む応答を基地局401に送信してもよい。
【0022】
データベース装置300は、グループ単位で、各グループに属する複数の基地局の設置環境情報を格納したデータベースを有する。本実施形態では基地局401A~401Eは同じグループ(第1グループ)に属する。グループは任意に定義することができる。例えば、第1グループは、複数の階を有する建物内の異なる階に設置された複数の基地局を含むグループである。あるいは、第1グループは、一定距離内に存在する複数の建物、例えば隣接している複数の建物内に設置された複数の基地局を含むグループでもよい。あるいは、第1グループは、近接する複数のエリア内に設置された複数の基地局を含むグループでもよい。グループは、上述した例に限られず、上述した例以外のグループであってもよい。データベースは第1グループ以外に、他のグループについても設置環境情報を格納していてもよい。データベースは、各基地局がいずれのグループに属するかのグループ情報を格納していてもよい。グループ情報は、データベース装置300の代わりに、あるいは、データベース装置300とともに、周波数制御装置100で管理されていてもよい。
【0023】
データベースは、第1グループに関する設置環境情報として、基地局401A~401Eが設置された階の情報を含んでもよい。またデータベースは、第1グループに関する設置環境情報として、建物の階間の床厚の情報を含んでもよい。またデータベースは、第1グループに関する設置環境情報として、複数の建物の外壁の厚さの情報を含んでもよい。またデータベースは、第1グループに関する設置環境情報として、新規に基地局401を建物へ設置したとき時に測定された同じ建物又は他の建物内の他の基地局401からの電波干渉量に関する情報(受信電力又は伝搬の電力の減衰量等)を含んでもよい。
【0024】
通信制御装置200は、周波数制御装置100から3次元判定要求を受けた場合に、データベース装置300が保有するデータベースの情報を用いて、基地局401に対し共用帯域の使用条件(3次元使用条件)を算出する。算出方法の詳細は後述する。通信制御装置200は、3次元使用条件が示す1つ以上の周波数を基地局401が使用可能な周波数(使用を許可する周波数)として決定する。また、通信制御装置200は、基地局401が使用を要求する周波数が、3次元使用条件を満たす場合(3次元使用条件が示す周波数に一致する場合、すなわち干渉が生じない場合)は、要求された周波数を基地局401が使用可能であると決定する。通信制御装置200は、基地局401が使用を要求する周波数が3次元使用条件を満たさない場合は、要求された周波数は使用不可であることを決定する。通信制御装置200は、決定の結果(使用可能な周波数、又は使用可否の情報)を含む回答を周波数制御装置100に送信する。使用可能な周波数、又は使用可否の情報は、基地局401に使用可能な電波のパラメータ情報の一例である。通信制御装置200は、基地局401により要求された周波数を使用不可であることを決定した場合に、共用帯域において他の候補となる周波数の中から基地局401により使用可能な周波数を代替の周波数として決定してもよい。この場合、通信制御装置200は、代替の周波数の情報等を含む回答を周波数制御装置100に送信してもよい。また、通信制御装置200は、算出した3次元条件を含む回答を周波数制御装置100に送信してもよい。
【0025】
なお、無線通信システム550が無線通信システム501、502(基地局401A~401E)よりも高い優先度を有する場合、無線通信システム501、502は、共用帯域の使用について無線通信システム550に劣後する。すなわち、優先度の高い無線通信システム550が共用帯域における周波数を使用する場合(当該周波数で干渉する場合)、優先度の低い無線通信システム501,502は、当該周波数を使用することはできない。無線通信システム501、502のいずれかに属する基地局が先に当該周波数を使用している状況で、無線通信システム550が当該周波数を後から使用開始する場合は、当該基地局は当該周波数の使用を停止しなければない。一方、無線通信システム550が無線通信システム501、502よりも低い優先度を有する無線通信システムの場合、共用帯域の使用について無線通信システム550は、無線通信システム501、502に劣後する。
【0026】
以下、本開示に係る通信制御装置200とデータベース装置300の構成について詳細に説明する。
【0027】
図2は、本開示の実施形態に係る通信制御装置200の構成の一例を示すブロック図である。通信制御装置200は、通信部210、記憶部220、及び処理部230を含む。
【0028】
通信部210は情報を送受信する。通信部210は情報を送信する送信部と、情報を受信する受信部を備えている。通信部210は有線又は無線の通信を行うための通信インタフェースを含む。無線通信を行う場合、通信部210は1つ以上のアンテナを含む。通信部210は、他のノードへ情報を送信し、他のノードからの情報を受信する。他のノードは、例えば、周波数制御装置100及びデータベース装置300を含む。周波数制御装置100とデータベース装置300との通信インタフェースが異なっていてもよいし、同じでもよい。他のノードが基地局を含む場合もあり得る。
【0029】
記憶部220は、通信制御装置200の動作のためのプログラム及びデータを一時的に又は恒久的に記憶する。記憶部220は、メモリ装置、ハードディスク、又は光ディスク等の記録媒体である。メモリ装置は不揮発性メモリでも、揮発性メモリでもよい。
【0030】
処理部230は、通信制御装置200の様々な機能を提供する。処理部230は通信部210及び記憶部220に接続されている。処理部230は、情報取得部231及び制御部233を含む。なお、処理部230は要素231,233以外の他の要素をさらに含み得る。すなわち、処理部230は、要素231,233の動作以外の動作も行い得る。
【0031】
[情報取得部231]
情報取得部231は、無線通信システム(501,502,550)に関する情報を周波数制御装置100又はデータベース装置300から取得する。以下、取得する情報の具体例を示す。
【0032】
情報取得部231は、無線通信システム501,502に属する任意の基地局401のグループ情報をデータベース装置300から取得する。また、情報取得部231は、基地局401の設置環境情報及び当該基地局401と同じグループ(第1グループ)に属する他の基地局401の設置環境情報を、データベース装置300から取得する。情報取得部231は、グループ情報をデータベース装置300からではなく、周波数制御装置100から取得する構成も可能である。
【0033】
基地局401及び他の基地局401の設置環境情報は、基地局401及び他の基地局401が設置された環境を表す情報であり、基地局401及び他の基地局401間で干渉が生じるか(同じ周波数を許可できるか)を推定するために用いられる。一例として、設置環境情報は、基地局401が他の基地局401から受けると推定される干渉電力値である。基地局401の設置時に、設置済みの他の基地局401から受ける干渉量を測定し、測定した値(干渉電力値)をデータベースに設定しておく。あるいは、他の基地局401から送信されて基地局401で受信された電波の電力の減衰量を測定し、測定した減衰量の値をデータベースに設定しておく。この場合、他の基地局401の送信電力値から減衰量を減算することで、基地局401における干渉量を推定できる。基地局401及び他の基地局401の送信電力値を設置環境情報に含めてもよい。基地局401及び他の基地局401の送信電力値を周波数制御装置100で管理してもよい。基地局401及び他の基地局401間の伝搬路の対称性を仮定することで、基地局401から他の基地局401への減衰量も同じ値を流用することができ、他の基地局401が基地局401から受信する干渉電力値も同様にして推定できる。
【0034】
また、設置環境情報は、基地局401及び他の基地局401が設置された建物の情報を含んでもよい。基地局401及び同じグループに属する他の基地局401が、同じ建物の内部に設置される場合、異なる建物に分かれて配置される場合のいずれもあり得る。建物の情報は、例えば、基地局が設置された階の情報、基地局が設置された建物の階間の床厚、建物の構造などを含む。また、建物の情報は、建物の外壁の厚さの情報を含んでもよい。情報取得部231により取得された情報を用いて、制御部233は、基地局401の3次元使用条件(例えば共用帯域のうち基地局401が使用可能な周波数、送信電力値等)を決定できる。具体的には、制御部233は、共用帯域に含まれる周波数のうち基地局401が使用可能な周波数を決定したり、基地局401が要求する周波数の使用を基地局401に許可できるか否か(当該周波数が他の基地局401と干渉するか否か)を決定したりできる。設置環境情報は、上述した例に限られず、上述した例以外の情報であってもよい。
【0035】
また、情報取得部231は、無線通信システムに関する他の情報を周波数制御装置100又はデータベース装置300からさらに取得してもよい。
【0036】
例えば、情報取得部231は、無線通信システムに属する基地局のアンテナに関する情報(アンテナ関連情報)を取得してもよい。アンテナ関連情報は、アンテナ次元、偏波情報、アンテナ素子の数、アンテナ素子間の間隔、アンテナサイズ、アンテナの向き、適用可能なトランスミッションモード、又は形成可能なビームパターンなどを含んでもよい。
【0037】
また、情報取得部231は、無線通信システムに属する基地局のデバイスクラスに関する情報を取得してもよい。デバイスクラスに関する情報は、デバイスクラスを示してもよく、又はデバイスクラスで規定される最大送信電力などのパラメータを示してもよい。
【0038】
また、情報取得部231は、共用帯域の使用についての無線通信システムの優先度に関する情報を取得してもよい。優先度に関する情報は、優先度を示してもよい。
【0039】
また、情報取得部231は、無線通信システムのユーザ種別に関する情報を取得してもよい。ユーザ種別に関する情報は、ユーザ種別を示してもよい。ユーザ種別は、事業者、個人、又は公共団体などであってもよい。
【0040】
また、情報取得部231は、無線通信システムのシステム種別に関する情報を取得してもよい。システム種別に関する情報は、システム種別を示してもよい。システム種別はDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)、又は防災無線であってもよい。
【0041】
情報取得部231は、上述した情報以外の情報を取得してもよい。
【0042】
情報取得部231は、上述した情報(グループ情報、設置環境情報、及びその他の情報等)を取得するタイミングとして、例えば、周波数制御装置100からある基地局401に対して3次元判定要求を受信した場合がある。3次元判定要求は、基地局401が使用可能な周波数の問い合わせ、又は基地局401から要求された周波数の使用可否の問い合わせを含む。
【0043】
[制御部233]
制御部233は、ある基地局401に対する3次元判定要求を受信した場合に、当該基地局401及び同じグループ内の他の基地局401の設置環境情報等に基づいて、当該基地局401に対しグループ内における共用帯域の使用条件(3次元使用条件)を算出する。
【0044】
例えば、3次元使用条件は、共用帯域のうち基地局401が使用可能な周波数を識別する情報(識別情報)を含む。また、3次元使用条件は、当該周波数について基地局401の送信可能な送信電力値(例えば最大送信電力値)を含んでもよい。また、3次元使用条件は、基地局401が周波数を使用可能な空間を特定する情報を含んでもよい。周波数を使用可能な空間は、基地局401が周波数を使用して送信する信号の受信電力が所定電力以上になっても他の基地局と干渉しない空間である。使用可能な周波数、送信電力値、周波数を使用可能な空間を特定する情報は、基地局401が使用可能な電波のパラメータ情報の一例である。
【0045】
制御部233は、算出した3次元使用条件に基づき、基地局401が使用可能な周波数又は基地局401が要求した周波数の使用可否を決定できる。また制御部233は、基地局401が要求した周波数(第1周波数)が使用不可の場合に、共用帯域において候補となる他の周波数の中から、基地局401によってグループ内で使用可能な周波数(第3周波数)を決定してもよい。使用可能な周波数、要求された周波数の使用可否、又は候補から決定された周波数は、基地局401が使用可能な電波のパラメータ情報の一例である。制御部233は、通信部210を介して、決定の結果を含む回答を周波数制御装置100に送信する。制御部233は、3次元使用条件を示す情報を周波数制御装置100に送信してもよい。
【0046】
図3は、本開示の実施形態に係るデータベース装置300の一例を示すブロック図である。データベース装置300は、通信部310、記憶部320、処理部330を含む。
【0047】
通信部310は情報を送受信する。通信部310は情報を送信する送信部と、情報を受信する受信部とを含む。通信部310は有線又は無線の通信を行うための通信インタフェースを含む。無線通信を行う場合、通信部310は1つ以上のアンテナを含む。通信部310は、他のノードへ情報を送信し、他のノードから情報を受信する。例えば、他のノードは、通信制御装置200又は端末を含む。通信制御装置200と通信インタフェースと端末との通信インタフェースが異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0048】
例えば、通信部310は、記憶部320に対するデータ書き込み依頼、あるいはデータ読み出し依頼を、通信制御装置200又は他の装置(例えば操作端末又は入力装置)から受信する。また通信部310は、通信制御装置200又は他の装置に書き込み依頼の処理結果、あるいは読み出したデータを依頼元の装置に送信する。
【0049】
処理部330は、通信部310及び記憶部320に接続されている。通信部310が受け取った依頼内容(書き込み又は読出し依頼)に応じて、記憶部320と情報のやりとりを行う。
【0050】
記憶部320は、データを一時的に又は恒久的に記憶するデータベースである。記憶部320は、メモリ装置、ハードディスク、又は光ディスク等の記録媒体である。メモリ装置は不揮発性メモリでも、揮発性メモリでもよい。
【0051】
例えば、記憶部320は、各基地局401が属するグループの情報(グループ情報)を記憶する。グループは、例えば同じ建物又は隣接している複数の建物に属する複数の基地局によって構成されるグループでもよい。複数のグループ情報が記憶されていてもよい。
【0052】
また記憶部320は、同じグループ(第1グループ)に属する各基地局の設置環境情報(設置環境情報)を記憶する。設置環境情報の詳細は上述した通りである。
【0053】
以下、本実施形態における構成及び動作の具体例を説明する。
(具体例1)
具体例1におけるグループは、優先度の等しい複数の無線通信システムに属する複数の基地局(無線通信装置)を含む。複数の無線通信システムは、それぞれ異なるオペレータによって運営される。複数の基地局は、例えば異なる任意の高さに配置されていてもよい。例えば複数の基地局が、一定のエリア内において、異なる高さに配置されていてもよい。具体例として、複数の基地局が、異なる高さの複数の家屋の屋根に配置されていてもよいし、1つ又は複数の電柱における異なる高さに配置されていてもよい。
【0054】
図4(A)及び図4(B)は、データベース装置300に記憶されているデータベース(表)の例を示す。
【0055】
図4(A)の表は、「基地局」、「グループ」、「オペレータ」を含む。「基地局」は設置されている基地局の識別子である。「グループ」は、基地局が属するグループの識別子である。「オペレータ」は基地局を運営するオペレータの識別子である。
【0056】
図4(B)の表は、各基地局の設置環境情報である。各基地局間を伝搬する電波の電力の減衰量が含まれる。基地局#1から基地局#2、又は基地局#2から基地局#1への電波電力の減衰量は20dBである。同じ基地局同士は干渉を考慮する必要はないため、当該欄はNA(Not Applicable)としている。また同一オペレータが運営している基地局同士もお互いの干渉を考慮する必要がないことから(オペレータが自身で干渉を制御できるため)、当該欄をNA(Not Applicable)としている。もちろん、同一オペレータの基地局間で干渉を考慮してもよく、この場合は、NAの欄にも値を格納すればよい。
【0057】
(データベース装置300への書き込み方法の例)
データベース装置300への基地局情報の書き込みは、例えば新たに基地局を設置するときに基地局ごとに行う。書き込みは、同じグループを構成する基地局を運営するオペレータ間で合意された担当者が、データベース装置300と有線又は無線で通信可能な装置(例えば操作端末又は入力装置等)を用いて行う。書き込みを行う担当者は、例えば非特許文献1で示される米国の電波共用法制におけるCPI(Certified Professional Installer)の資格を持つ者でもよい。CPI資格を持つ者に、新たに設置する基地局の情報の書き込みを依頼してもよい。
【0058】
図5は、図4(A)及び図4(B)の表に、基地局#1~基地局#4と同じグループ(グループa)に属する新規基地局#5の情報を追加した例を示す。
【0059】
図6は、新規に基地局(“基地局401X”とする)を設置するときに行う手続きのフロー例を示す。基地局401Xは、一例として本開示に係る第1無線通信装置に対応する。設置者はまず、新規に設置する基地局401Xと同じグループに属する他の基地局の情報をデータベース装置300から取得し、取得した基地局の情報をリストアップする(S101)。リストアップされた基地局を、基地局401Xに対する干渉測定が必要な基地局とする。リストアップの際、基地局401Xと同じオペレータの基地局をリストアップしなくてもよい。データベース装置300に基地局401Xの情報(例えば基地局401Xが属するグループの識別子)を入力し、データベース装置300が入力された情報を元に、基地局401Xと同じグループに属する他の基地局をリストアップし、リストを出力してもよい。あるいは、基地局の設置者が、マニュアルで基地局のリストを作成してもよい。
【0060】
続いて設置者は、例えば基地局401Xが設置された場所で、リストアップされた基地局からの電波の干渉量(受信電力値)を測定する(S102)。受信電力値の測定は基地局401Xが行ってもよいし、基地局401Xの設置場所で基地局401Xとは別に設けた測定装置が行ってもよい。測定装置を設置者が保持し、基地局401Xの設置場所で測定を行ってもよい。
【0061】
リストアップされた基地局の送信電力値と、基地局401の受信電力値との差分を電波電力の減衰量(設置環境情報)として算出し、データベース装置300に記録する(S103)。減衰量の算出は、基地局401X又は測定装置で行ってもよいし、他の装置で行ってもよい。
【0062】
受信電力値の測定は、基地局401Xのセル内において、測定対象の他の基地局からの受信電力が最も大きいと想定される場所で行ってもよい。当該場所が測定に適さない場合は、測定可能な他の場所で測定を行い、マージンを加えるなどの方法で最大の受信電力値を推定してもよい。
【0063】
図7は、新規に設置された基地局(“基地局401X”とする)に関する情報をデータベース装置300に記録し、その後、基地局401Xが共用帯域に含まれる周波数の使用許可を得て、送信を開始するまでのフローの一例を示す。基地局401Xは、一例として本開示に係る第1無線通信装置に対応する。
【0064】
新規に設置された基地局401Xは、まず周波数制御装置100に基地局401Xをデータベース装置300に登録する要求(設置情報登録要求)を送信する(S201)。基地局401Xは、基地局401Xに関する情報(基地局の情報、グループ情報等を含む)を設置情報登録要求に含める。基地局の情報は、一例として基地局の識別子、図6の手続で測定された他の基地局から受信する電波の減衰量等を含む。設置情報登録要求を受信した周波数制御装置100は、基地局401Xに関する情報を含む登録情報を通信制御装置200に送信する(S202)。
【0065】
通信制御装置200は、基地局401Xのグループ情報に基づく基地局情報問い合わせをデータベース装置300に送信する(S203)。基地局情報問い合わせは基地局401Xの登録指示を含む。問い合わせを受信したデータベース装置300は基地局401Xに関する情報をデータベースに登録する(S203)。また、データベース装置300は、データベース装置300から登録完了の通知と、基地局401Xが属するグループの他の基地局に関する情報とを通信制御装置200に送信する(S204)。他の基地局に関する情報は、他の基地局の設置環境情報、基地局の識別子等を含む。通信制御装置200は、基地局401Xの登録が完了した旨を周波数制御装置100に通知し、他の基地局に関する情報を内部の記憶部220に保持する。周波数制御装置100は、基地局401Xにデータベース装置300に対する登録が完了した旨の応答(設置情報登録応答)を基地局401Xに送信する(S205)。なお、周波数制御装置100は設置情報登録要求を受信した時点で、設置情報登録応答を基地局401Xに送信する構成もあり得る。
【0066】
基地局401Xは、周波数制御装置100に基地局401Xが使用可能な周波数の問合せ(使用可能周波数問い合わせ)を送信する(S206)。周波数制御装置100及び通信制御装置200による使用可能周波数判定処理(後述)により、基地局401Xの使用可能周波数が決定される(S207)。周波数制御装置100は、使用可能周波数を示す応答(使用可能周波数応答)を基地局401Xに送信する(S208)。基地局401Xは、使用可能周波数の中から、使用を要求する周波数を選択する。
【0067】
基地局401Xは、周波数制御装置100に、使用を要求する周波数を示す使用許可要求を送信する(S209)。周波数制御装置100及び通信制御装置200による使用許可判定(後述)により、要求された周波数の使用可否が判定される(S210)。周波数制御装置100は、要求された周波数の使用が許可される場合には、使用許可を含む応答(使用許可応答)を基地局401Xに送信する(S211)。周波数制御装置100は、要求された周波数の使用が否定された場合には、送信不可を含む応答(使用否定応答)を基地局401Xに送信する。基地局401Xは、周波数の使用が許可されれば、送信を開始することができる。
【0068】
図7のステップS207における使用可能周波数判定処理の詳細例]
周波数制御装置100が基地局401Xから使用可能周波数問い合わせ(電波使用要求)を受けると、周波数制御装置100は、基地局401Xと異なる1つ以上の他のグループに属する全ての基地局における共用帯域の使用状況を把握する。また周波数制御装置100は、より高い優先度の無線通信システムの共用帯域の使用状況等を把握する。周波数制御装置100は、把握した使用状況に基づき、基地局401Xが属するグループ以外の基地局又はシステムに関して、基地局401Xに対する使用可能周波数(2次元使用条件)を算出する。算出した使用可能周波数を“周波数fa”とする。周波数faの個数は1以上である。
【0069】
周波数制御装置100は通信制御装置200に、周波数faのうち、基地局401Xが属するグループ内で基地局401Xが使用可能な周波数の問合せ(使用可能周波数問い合わせ)を送信する。使用可能周波数問い合わせ又は、上述の基地局401Xが送信する使用可能周波数問い合わせ(電波使用要求)は、基地局401Xの電波利用に関する第1要求の一例に相当する。
【0070】
通信制御装置200は、基地局401Xに対して図8のフロー(後述)に従って、グループ内で基地局401Xが使用可能な周波数(“周波数f2”とする)等を算出し、算出した周波数f2を示す回答を周波数制御装置100に送信する。周波数以外の情報、例えば送信電力値、使用可能な空間を特定する情報を、基地局401Xが使用可能な電波のパラメータ情報として算出してもよい。
【0071】
周波数制御装置100は、通信制御装置200から受け取った回答に基づき、基地局401Xがグループ内で使用可能な周波数f2を示す応答(使用可能周波数応答)を送信する。
【0072】
図8は、通信制御装置200において、基地局401Xがグループ内で使用可能な周波数を算出する処理の例のフローを示す。通信制御装置200は基地局401Xが属するグループ内で既に使用許可(共用帯域に含まれる周波数の使用許可)を得ている基地局をリストアップする(S301)。
【0073】
通信制御装置200は、リストアップされた基地局群を2つのリストに分け、それぞれリスト[1]、リスト[2]とする(S302)。
リスト[1] 対象となる基地局(基地局401X)と同じオペレータの基地局
リスト[2] 対象となる基地局(基地局401X)と異なるオペレータの基地局
【0074】
通信制御装置200は、リスト[2]をさらに2つに分け、それぞれリスト[2-1]、[2-2]とする(S303)。
リスト[2-1] 対象となる基地局(基地局401X)に対する電波干渉値が閾値以上の基地局
リスト[2-2] 対象となる基地局(基地局401X)に対する電波干渉値が閾値より小さい基地局
【0075】
通信制御装置200は、リスト[2-1]に含まれる基地局が使用許可を得ている周波数(“周波数f1”とする)を特定する(S304)。周波数f1は、一例として基地局401Xと同じグループ内の他の基地局が使用している周波数(第2周波数)に対応する。通信制御装置200は、周波数f1の情報を、例えば周波数制御装置100から取得する。周波数f1の個数は1以上である。
【0076】
通信制御装置200は、周波数faから、周波数f1を除いた周波数を周波数f2とし、周波数f2を基地局401Xの使用可能周波数とする(S305)。周波数f2の個数は1以上である。周波数f2が、リスト[1]又はリスト[2-2]に含まれる基地局が使用している周波数と同じ周波数であってもかまわない。周波数f2がリスト[1]に含まれる基地局と同じ周波数の場合、オペレータが基地局同士で干渉を回避するように送信電力制御を行ってもよいし、基地局が時分割通信又は空間多重通信で干渉を回避してもよい。基地局同士が自律的に送信電力制御、時分割通信又は空間多重通信の制御を行ってもよい。
【0077】
変形例として、通信制御装置200は、送信電力制御又はアンテナ制御によりリスト[2-1]に含まれる基地局との干渉を回避可能な場合は、干渉回避可能な周波数を周波数faから除かないことも可能である。この場合、通信制御装置200は干渉回避可能な送信電力値又はアンテナ関連情報(ビームフォーミングのパラメータ等)を算出する。
【0078】
図7のステップS210における使用許可判定処理の詳細例]
周波数制御装置100が、基地局401Xから使用許可を求める周波数(“周波数fb”とする)を含む使用許可要求(電波利用要求)を受け取る。周波数fbは、周波数f2から選択された周波数である。周波数制御装置100は、基地局401Xと異なる1つ以上の他のグループに属する全ての基地局における共用帯域の使用状況を把握する。また周波数制御装置100は、より高い優先度の無線通信システムの共用帯域の使用状況等を把握する。周波数制御装置100は、把握した使用状況に基づき、基地局401Xが属するグループ以外の基地局又はシステムに関して、基地局401Xが使用可能な周波数(2次元使用条件)を算出する。周波数制御装置100は、周波数fbが使用可能周波数に含まれない場合、この時点で周波数fbの使用の不許可を決定し、不許可の応答を基地局401Xに送信する。
【0079】
周波数制御装置100は、周波数fbが使用可能周波数に含まれる場合、周波数制御装置100はグループ内での周波数fbの使用について使用許可判定要求を通信制御装置200に送信する。使用許可判定要求、又は上述の基地局401Xが送信する使用許可要求(電波利用要求)は、基地局401Xの電波利用に関する第1要求の一例に相当する。
【0080】
通信制御装置200は、図9のフロー(後述)に従って、グループ内での周波数fbの使用について使用許可判定を行い、判定の結果を含む回答を周波数制御装置100に送信する。
【0081】
周波数制御装置100は、受け取った回答に基づき、周波数fbの使用可否を含む応答を基地局401Xに送信する。
【0082】
図9は、通信制御装置200が、基地局401Xにより要求される周波数fbがグループ内で使用可能か否かを判定する処理の例のフローを示す。ステップS401~S404は図8のステップS301~S304と同じである。すなわち、通信制御装置200は基地局401Xのグループ内で既に使用許可(共用帯域に含まれる周波数の使用許可)を得ている基地局をリストアップする(S401)。
【0083】
通信制御装置200は、リストアップされた基地局群を2つのリストに分け、それぞれリスト[1]、リスト[2]とする(S402)。
リスト[1] 対象となる基地局(基地局401X)と同じオペレータの基地局
リスト[2] 対象となる基地局(基地局401X)と異なるオペレータの基地局
【0084】
通信制御装置200は、リスト[2]をさらに2つに分け、それぞれリスト[2-1]、[2-2]とする(S403)。
リスト[2-1] 対象となる基地局(基地局401X)に対する電波干渉値が閾値以上の基地局
リスト[2-2] 対象となる基地局(基地局401X)に対する電波干渉値が閾値より小さい基地局
【0085】
通信制御装置200は、リスト[2-1]に含まれる基地局が使用許可を得ている周波数(周波数f1)を読み出す(S404)。
【0086】
通信制御装置200は、周波数fbが、周波数f1に含まれる場合(すなわち、周波数fbがいずれかの周波数f1に一致する場合、すなわち干渉が生じる場合)、周波数f1を使用不可と判定する(S405)。通信制御装置200は、周波数fbが、周波数f1に含まれない場合(すなわち、周波数fbがいずれの周波数f1にも一致しない場合、すなわち干渉が生じない場合)、周波数fbを使用可能と判定する(S405)。
【0087】
(具体例2)
以下、本実施形態の具体例2を説明する。具体例1と同じ説明は適宜省略する。具体例2におけるグループは、ある建物内において優先度の等しい無線通信システムに属する複数の基地局(無線通信装置)を含む。複数の無線通信システムは、それぞれ異なるオペレータによって運営される。
【0088】
図10(A)及び図10(B)は、データベース装置300に記憶されているデータベース(表)の例を示す。
図10(A)の表は、「基地局」、「グループ」、「設置階」、「オペレータ」を含む。「基地局」は設置されている基地局の識別子である。「グループ」は、基地局が属するグループ(建物)の識別子である。「設置階」は基地局が設置されている階(フロア)の情報である。「オペレータ」は、基地局を運営するオペレータの識別子である。設置階は、基地局間の電波干渉を推定するための設置環境情報の一例に相当する。
【0089】
図10(B)の表は、グループに属する基地局群が設置されている建物の情報として構造及び床厚の情報を示す。建物情報(構造及び床厚の情報)は、基地局間の電波干渉を推定するための設置環境情報の一例である。
【0090】
(データベース装置300への書き込み方法の例)
データベース装置300への書き込み担当者(例えばCPIの資格を持つ者)は、グループに属する1番目の基地局の設置前に、まず、建物の構造及び床厚の情報をデータベース装置300に記録する。続いて、新規の基地局を設置したときに、当該基地局の設置階を含む基地局情報をデータベース装置300に記録する。
【0091】
図11は、新規基地局(“基地局401X”とする)に関する情報をデータベース装置300に記録し、その後、基地局401Xが共用帯域に含まれる周波数の使用許可を得て、送信を開始するまでのフローの一例を示す。基地局401Xは、一例として本開示に係る第1無線通信装置に対応する。
【0092】
新規に設置された基地局401Xは、まず周波数制御装置100に基地局401Xをデータベース装置300に登録する要求(設置情報登録要求)を送信する(S501)。基地局401Xは、基地局401Xに関する情報(基地局401Xの識別子、グループ情報等)を設置情報登録要求に含める。設置情報登録要求を受信した周波数制御装置100は、基地局401Xに関する情報を含む登録情報を通信制御装置200に送信する(S502)。
【0093】
通信制御装置200は、基地局401Xに関する情報を含む基地局・建物情報問い合わせをデータベース装置300に送信する(S503)。基地局・建物情報問い合わせは基地局401Xの登録指示を含む。データベース装置300は基地局401Xに関する情報を登録する(S503)。データベース装置300は、登録完了の通知と、同じグループ内の他の基地局に関する情報及び建物情報(ここでは構造及び床厚等の建物情報)を通信制御装置200に送信する(S504)。通信制御装置200は、基地局401Xと他の基地局間で干渉が生じるか否かの干渉判定を行う(S505)。干渉判定の算出の詳細は後述する。通信制御装置200は、基地局401Xの登録が完了した旨を周波数制御装置100に通知し、周波数制御装置100は、基地局401Xにデータベース装置300に対する登録が完了した旨の応答(設置情報登録応答)を基地局401Xに送信する(S506)。
【0094】
基地局401Xは、周波数制御装置100に基地局401Xが使用可能な周波数の問合せ(使用可能周波数問い合わせ、又は電波使用要求)を送信する(S507)。周波数制御装置100及び通信制御装置200による使用可能周波数判定処理(後述)により、基地局401Xの使用可能周波数が決定される(S508)。周波数制御装置100は、使用可能周波数を示す応答(使用可能周波数応答)を基地局401Xに送信する(S509)。基地局401Xは、使用可能周波数の中から、使用を要求する周波数を選択する。
【0095】
基地局401Xは、周波数制御装置100に、使用を要求する周波数を示す使用許可要求を送信する(S510)。使用許可要求又は上述の使用可能周波数問い合わせは、基地局401Xの電波使用に関する第1要求の一例に相当する。周波数制御装置100及び通信制御装置200による後述する処理により、周波数制御装置100及び通信制御装置200による使用許可判定(後述)により、要求された周波数の使用可否が判定される(S511)。周波数制御装置100は、要求された周波数の使用が許可される場合には、使用許可を含む応答(使用許可応答)を基地局401Xに送信する(S512)。周波数制御装置100は、要求された周波数の使用が否定された場合には、送信不可を含む応答(使用否定応答)を基地局401Xに送信する。基地局401Xは、周波数の使用が許可されれば、送信を開始することができる。
【0096】
図11のステップS505における干渉量判定処理の詳細例]
通信制御装置200の処理部230は、データベース装置300から取得した建物情報(構造・床厚等)を用いて、例えば、下記のルール1を適用して、基地局401Xに対して他の基地局と互いに干渉しない階数差を求める。
【0097】
[ルール1]
床構造がRC(Reinforced Concrete:鉄筋コンクリート)であり、かつ基地局401Xと他の基地局間に存在する床厚の総和が450mm以下である場合、基地局401X及び他の基地局が互いに干渉しない階数差は3と判定する。つまり、階数差3以上であれば、互いに干渉しないと判定する。一方、床厚の合計が450mmより大きい場合は、互いに干渉しない階数差は2と判定する。つまり、階数差2以上であれば、互いに干渉しないと判定する。
【0098】
例えば、干渉が生じない階数差3であり、基地局401Xが1階に設置されている場合、基地局401Xは4階に設置された基地局から干渉しないとみなせるので、基地局401Xは4階に設置された基地局と同じ周波数を使用しても問題は生じない。
【0099】
算出した階数差の情報は、例えば、通信制御装置200の記憶部220に記憶してもよい。あるいは、データベース装置300の記憶部320(データベース)に記憶してもよい。
【0100】
図11のステップS508における使用可能周波数判定処理の詳細例]
周波数制御装置100が基地局401Xから使用可能周波数問い合わせ(電波使用要求)を受けると、周波数制御装置100は、基地局401Xと異なる1つ以上の他のグループに属する全ての基地局における共用帯域の使用状況を把握する。また周波数制御装置100は、より高い優先度の無線通信システムの共用帯域の使用状況等を把握する。周波数制御装置100は、把握した使用状況に基づき、基地局401Xが属するグループ以外の基地局又はシステムに関して、基地局401Xに対する使用可能周波数(2次元使用条件)を算出する。算出した使用可能周波数を“周波数fa”とする。周波数faの個数は1以上である。
【0101】
周波数制御装置100は通信制御装置200に、周波数faのうち、基地局401Xが属するグループ内で基地局401Xが使用可能な周波数の問合せを送信する。当該問い合わせ又は上述の使用可能周波数問い合わせは、基地局401Xに関する電波利用の第1要求に相当する。
【0102】
通信制御装置200は、基地局401Xに対して図12のフロー(後述)に従って、グループ内で基地局401Xが使用可能な周波数(“周波数f2”とする)を算出し、算出した周波数f2を示す回答を周波数制御装置100に送信する。
【0103】
周波数制御装置100は、通信制御装置200から受け取った回答に基づき、基地局401Xがグループ内で使用可能な周波数f2を示す応答(使用可能周波数応答)を送信する。
【0104】
図12は、通信制御装置200において、基地局401Xがグループ内で使用可能な周波数を算出する処理の例のフローを示す。通信制御装置200は基地局401Xの設置階数の情報を記憶部220又はデータベース装置300から読み出し、読み出した情報が示す階数をnとする(S601)。また、通信制御装置200は、基地局401Xと干渉が生じない階数差の情報を内部の記憶部220又はデータベース装置300から読み出し、読み出した階数差をtとする(S602)。
【0105】
通信制御装置200は、建物内でn+t-1階以下かつn-t+1階以上に設置されていて、かつ既に同じグループ内で使用許可(共用帯域に含まれる周波数の使用許可)を得ている基地局をリストアップする(S603)。例えば設置階nが4であり、階数差tが2であれば、建物内で5階以下かつ3階以上に設置されている基地局のうち、共用帯域に含まれる周波数の使用許可を得ている基地局をリストアップする。
【0106】
通信制御装置200は、リストアップされた基地局群を2つのリストに分け、それぞれリスト[1]、リスト[2]とする(S604)。
リスト[1] 対象となる基地局(基地局401X)と同じオペレータの基地局
リスト[2] 対象となる基地局(基地局401X)と異なるオペレータの基地局
【0107】
通信制御装置200は、リスト[2]に含まれる基地局が使用許可を得ている周波数(“周波数f1”とする)を読み出す(S605)。通信制御装置200は、当該基地局が使用許可を得ている周波数の情報を、例えば周波数制御装置100から取得する。周波数f1の個数は1以上である。
【0108】
通信制御装置200は、周波数fa(2次元使用条件で許容された周波数)から、周波数f1を除いた周波数を周波数f2とし、周波数f2を基地局401Xの使用可能周波数とする(S606)。周波数f2の個数は1以上である。周波数f2が、リスト[1]又はリスト[2-2]に含まれる基地局が使用している周波数と同じ周波数であってもかまわない。周波数f2がリスト[1]に含まれる基地局と同じ周波数の場合、オペレータが基地局同士で干渉しないように送信電力制御を行ってもよいし、基地局が時分割通信又は空間多重通信で干渉を回避してもよい。基地局同士が自律的に送信電力制御、時分割通信又は空間多重通信の制御を行ってもよい。
【0109】
変形例として、通信制御装置200は、送信電力制御又はアンテナ制御によりリスト[2-1]に含まれる基地局との干渉を回避可能な場合は、干渉回避可能な周波数を周波数faから除かないことも可能である。この場合、通信制御装置200は干渉回避可能な送信電力値又はアンテナ関連情報(ビームフォーミングのパラメータ等)を算出する。
【0110】
図11のステップS511における使用許可判定処理の詳細例]
周波数制御装置100が、基地局401Xから使用許可を求める周波数(“周波数fb”とする)を含む使用許可要求(電波使用要求)を受け取る。周波数fbは、周波数f2から選択された周波数である。周波数制御装置100は、基地局401Xと異なる1つ以上の他のグループに属する全ての基地局における共用帯域の使用状況を把握する。また周波数制御装置100は、より高い優先度の無線通信システムの共用帯域の使用状況等を把握する。周波数制御装置100は、把握した使用状況に基づき、基地局401Xが属するグループ以外の基地局又はシステムに関して、基地局401Xが使用可能な周波数(2次元使用条件)を算出する。周波数制御装置100は、周波数fbが使用可能周波数に含まれない場合、この時点で周波数fbの使用の不許可を決定し、不許可の応答を基地局401Xに送信する。
【0111】
周波数制御装置100は、周波数fbが使用可能周波数に含まれる場合、周波数制御装置100はグループ内での周波数fbの使用について使用許可判定要求を通信制御装置200に送信する。当該使用許可判定要求又は上述の使用許可要求は、基地局401Xに関する電波利用の第1要求に相当する。
【0112】
通信制御装置200は、図13のフロー(後述)に従って、グループ内での周波数fbの使用について使用許可判定を行い、判定の結果を含む回答を周波数制御装置100に送信する。
【0113】
周波数制御装置100は、受け取った回答に基づき、周波数fbの使用可否を含む応答を基地局401Xに送信する。
【0114】
図13は、通信制御装置200が、基地局401Xにより要求される周波数fbがグループ内で使用可能か否かを判定する処理の例のフローを示す。ステップS701~S705は図12のステップS601~S605と同じである。すなわち、通信制御装置200は基地局401Xの設置階数の情報を読み出し、読み出した情報が示す階数をnとする(S701)。通信制御装置200は、基地局401Xと干渉が生じない階数差の情報を内部の記憶部220又はデータベース装置300から読み出し、読み出した階数差をtとする(S702)。
【0115】
通信制御装置200は、建物内でn+t-1階以下かつn-t+1階以上に設置されていて、かつ既に同じグループ内で使用許可(共用帯域に含まれる周波数の使用許可)を得ている基地局をリストアップする(S703)。
【0116】
通信制御装置200は、リストアップされた基地局群を2つのリストに分け、それぞれリスト[1]、リスト[2]とする(S704)。
リスト[1] 対象となる基地局(基地局401X)と同じオペレータの基地局
リスト[2] 対象となる基地局(基地局401X)と異なるオペレータの基地局
【0117】
通信制御装置200は、リスト[2]に含まれる基地局が使用許可を得ている周波数(周波数f1とする)を読み出す(S705)。周波数f1の個数は1以上である。
【0118】
通信制御装置200は、周波数fbが、周波数f1に含まれる場合(周波数fbがいずれかの周波数f1に一致する場合、すなわち干渉が生じる場合)、周波数f1を使用不可と判定する(S706)。通信制御装置200は、周波数fbが、周波数f1に含まれない場合(周波数fbがいずれの周波数f1にも一致しない場合、すなわち干渉が生じない場合)、周波数f1を使用可能と判定する(S706)。
【0119】
(具体例3)
以下、本実施形態の具体例3を説明する。具体例1又は具体例2と同じ説明は適宜省略する。具体例2におけるグループは、一つの建物内に設置された複数の基地局から構成されていた。具体例3では、近距離に存在する複数の建物に分散して配置された複数の基地局を1つのグループとする。グループ内の複数の基地局は、それぞれ異なるオペレータによって運営される、優先度の等しい無線通信システムに属する。近距離内の複数の建物は一例として一定の距離範囲内の複数の建物でもよいし、管理者が指定した複数の建物でもよい。以下の説明では近距離に存在する複数の建物として、隣接する複数の建物を想定する。隣接とは物理的に接している必要はなく、十分に近いことを意味する。
【0120】
複数の建物は、地上と地下のように縦に隣接していてもよいし、横に隣接していてもよい。あるいは、複数の建物は、縦に隣接しかつ横に隣接していてもよい。
【0121】
(ケース1) 建物が縦に隣接している場合
図14(A)は、2つの建物(建物01、建物02とする)が縦に隣接した設置イメージ例を示す。図14(B)及び図14(C)は、データベース装置300に記憶されているデータベース(表)の例を示す。
【0122】
図14(B)の表は、基地局に関する情報の例を示し、「基地局」、「グループ」、「建物」、「設置階」、「オペレータ」を含む。「建物」は基地局が設置されている建物の識別子である。その他の項目は具体例2と同じである。建物及び設置階は、基地局間の電波干渉を推定するための設置環境情報の一例に相当する。設置階が地下の場合、“B”をつけて地下であることを示している。“B”の代わりに、“-”(“-”はマイナスを表す)など、他の記号を用いてもよい。
【0123】
図14(C)の表は、建物の構造情報の例を示し、「グループ」、「建物」、「構造」、「床厚」を含む、建物及び構造は、基地局間の電波干渉を推定するための設置環境情報の一例に相当する。
【0124】
(ケース2) 建物が横に隣接している場合
図15(A)は、2つの建物(建物01、建物02とする)が横に隣接した設置イメージ例を示す。図15(B)及び図15(C)は、データベース装置300に記憶されているデータベース(表)の例を示す。図15(C)の表に「壁厚」が追加されている以外は、データベースの各項目の意味は図14(B)及び図14(C)と同じである。「壁厚」は建物の外壁の厚さである。
【0125】
(ケース3) 上記ケース1とケース2の組み合わせ
図16(A)は、3つの建物(建物01、建物02、建物03とする)が横及び縦に隣接した設置イメージ例を示す。図16(B)及び図16(C)は、データベース装置300に記憶されているデータベース(表)の例を示す。データベースの各項目の意味は図14(B)、図14(C)、図15(B)、図15(C)と同じである。
【0126】
(データベース装置300への書き込み方法の例)
データベース装置300への書き込み担当者(例えばCPIの資格を持つ者)は、グループに属する1番目の基地局の設置前に、まず、グループに属する基地局が設置される全建物の構造、床厚及び壁厚の情報をデータベース装置300に記録する。続いて、新規の基地局を設置したときに、当該基地局の設置階等を含む基地局情報をデータベース装置300に記録する。
【0127】
新規基地局(“基地局401X”とする)に関する情報をデータベース装置300に記録し、その後、基地局401Xが共用帯域に含まれる周波数の使用許可を得て、送信を開始するまでの処理の一例は、具体例2と同様の処理(図11参照)で実現可能である。
【0128】
具体例3における干渉量判定処理(図11のステップS505参照)の例について説明する。
通信制御装置200は、データベース装置300から取得した建物情報(構造・床厚、壁厚等)を用いて、基地局401Xが他の基地局と互いに干渉しない条件(非干渉条件)を求める。例えば、図17に示すルール2を用いて、基地局401Xが他の基地局と互いに干渉しない階数差(同じ建物内の場合)、又は干渉しない壁総厚(異なる建物の場合)等を求める。壁総厚は、基地局間に存在する壁厚の総和である。
【0129】
図17は、基地局同士が干渉しない条件を求めるためのルール2の例を示す。例えば、複数の建物が縦隣接の場合、基地局間に存在する2つの建物の床厚の総和が750mm以下であれば、互いに干渉しない階数差は2と判定する。つまり、階数差2以上であれば、互いに干渉しないと判定する。一方、床厚の総和が750mmより大きい場合は、互いに干渉しない階数差は1と判定する。つまり、階数差1以上であれば、互いに干渉しないと判定する。
【0130】
また複数の建物が横隣接の場合、2つの建物の構造がいずれもRCであり、基地局間に存在する壁厚の総和(総壁厚)が600mm以上であれば、当該基地局同士は共存可能(干渉しない)と判定する。一方、壁厚の総和が600mm未満であれば、当該基地局同士は共存不可と判定する。また横隣接の場合、2つの建物の構造の一方がRC、他方がSRC(Steel Reinforced Concrete:鉄骨鉄筋コンクリート)であり、基地局間に存在する壁厚の総和が500mm以上であれば、当該基地局同士は共存可能(干渉しない)と判定する。一方、壁厚の総和が500mm未満であれば、当該基地局同士は共存不可と判定する。
【0131】
基地局401Xに対して算出した階数差、総壁厚の情報、共存可否の情報等を、例えば、通信制御装置200の記憶部220、あるいは、データベース装置300の記憶部320(データベース)に記憶する。
【0132】
図18は、上記ケース3(図16参照)において図17のルール2で算出した干渉しない条件の一例を表形式で示す。図18の表において、例えば建物(01,02,03)に設置されている基地局に対して適用される条件として、建物内の階数差の条件、横隣接する建物に設置される基地局との共存可否、縦隣接する建物に設置される基地局との階数差の条件が示されている。「横隣接共存」は、横隣接する建物との間の壁厚等に基づき算出した、共存の可否の結果を示す。縦隣接は下隣接と上隣接の2つの場合に分けられる。建物01は地上に存在し、建物03は地下に存在することから、建物01からみた建物03は下に隣接している。下隣接の建物がある場合、建物内同様、共存が可能になる階数差が算出される。
【0133】
具体例3における使用可能周波数判定処理(図11のステップS508参照)について説明する。
周波数制御装置100が基地局401Xから使用可能周波数問い合わせ(電波使用要求)を受けると、周波数制御装置100は、基地局401Xと異なる1つ以上の他のグループに属する全ての基地局における共用帯域の使用状況を把握する。また周波数制御装置100は、より高い優先度の無線通信システムの共用帯域の使用状況等を把握する。周波数制御装置100は、把握した使用状況に基づき、基地局401Xが属するグループ以外の基地局又はシステムに関して、基地局401Xに対する使用可能周波数(2次元使用条件)を算出する。算出した使用可能周波数を“周波数fa”とする。周波数faの個数は1以上である。
【0134】
周波数制御装置100は通信制御装置200に、周波数faのうち、基地局401Xが属するグループ内で基地局401Xが使用可能な周波数の問合せを送信する。当該問い合わせ又は、上述の基地局401Xが送信する使用可能周波数問い合わせ(電波使用要求)は、基地局401Xの電波利用に関する第1要求の一例に相当する。
【0135】
通信制御装置200は、基地局401Xに対して図19のフロー(後述)に従って、グループ内で基地局401Xが使用可能な周波数を算出し、算出した周波数を示す回答を周波数制御装置100に送信する。
【0136】
周波数制御装置100は、通信制御装置200から受け取った回答に基づき、基地局401Xがグループ内で使用可能な周波数を示す応答(使用可能周波数応答)を送信する。
【0137】
図19は、通信制御装置200において、基地局401Xがグループ内で使用可能な周波数を算出する処理の例のフローを示す。通信制御装置200は基地局401Xが設置された建物内で使用可能な周波数を算出する(S801)。算出した周波数を“周波数f2”とする。周波数f2の個数は1つ以上である。周波数f2の算出方法は、具体例2における周波数f2の算出方法(図12参照)と同様である。
【0138】
基地局401Xの建物に横隣接建物が存在するかを判断し(S802)、存在する場合は、横隣接建物との共存条件がOK(共存可)かを判断する(S803)。共存条件がOKの場合、又は横隣接建物が存在しない場合、周波数f2をそのまま使用可能周波数(“周波数f3”と呼ぶ)とする(S804)。一方、共存条件がNG(共存不可)の場合は、横隣接建物内に設置されており、使用許可を得ている基地局をリストアップする(S805)。リストにおいて、基地局401Xのオペレータとは異なるオペレータの基地局が使用許可を得ている周波数を特定し(同S805)、周波数f2から当該特定した周波数を除いたものを使用可能周波数(“周波数f3”)とする。周波数f3の個数は1以上である。
【0139】
基地局401Xの建物に下隣接建物が存在するかを判断し(S806)、存在する場合は、基地局401Xの設置階が下隣接階数差未満かを判断する(S807)。下隣接階数差以上の場合、又は下隣接建物が存在しない場合、周波数f3をそのまま使用可能周波数(“周波数f4”と呼ぶ)とする(S808)。下隣接階数差未満の場合は、下隣接建物内の階数差未満に設置され、かつ使用許可を得ている基地局をリストアップする(S809)。リストにおいて、基地局401Xのオペレータとは異なるオペレータの基地局が使用許可を得ている周波数を特定し、周波数f3から当該特定した周波数を除いたものを使用可能周波数(“周波数f4”)とする(同S809)。周波数f4の個数は1以上である。
【0140】
基地局401Xの建物に上隣接建物が存在するかを判断し(S810)、存在する場合は、基地局401Xの設置階が上隣接階数差未満かを判断する(S811)。上隣接階数差以上の場合、又は上隣接建物が存在しない場合、周波数f4をそのまま使用可能周波数(“周波数f5”と呼ぶ)とする(S812)。上隣接階数差未満の場合は、上隣接建物内の階数差未満に設置され、かつ使用許可を得ている基地局をリストアップする(S813)。リストにおいて、基地局401Xのオペレータとは異なるオペレータの基地局が使用許可を得ている周波数を特定し、周波数f4から当該特定した周波数を除いたものを使用可能周波数(“周波数f5”)とする(同S813)。周波数f5の個数は1以上である。
【0141】
通信制御装置200は、周波数f5を基地局401Xの使用可能周波数として最終的に決定する。
【0142】
具体例3における使用許可判定処理(図11のステップS511参照)について説明する。
周波数制御装置100が、基地局401Xから使用許可を求める周波数(“周波数fb”とする)を含む使用許可要求を受け取る。周波数制御装置100は、基地局401Xと異なる1つ以上の他のグループに属する全ての基地局における共用帯域の使用状況を特定する。また周波数制御装置100は、より高い優先度の無線通信システムの共用帯域の使用状況等を把握する。周波数制御装置100は、把握した使用状況に基づき、基地局401Xが属するグループ以外の基地局又はシステムに関して、基地局401Xが使用可能な周波数(2次元使用条件)を算出する。周波数制御装置100は、周波数fbが使用可能周波数に含まれない場合、この時点で不許可を決定し、不許可の応答を基地局401Xに送信する。
【0143】
周波数制御装置100は、周波数fbが使用可能周波数に含まれる場合、周波数制御装置100はグループ内での周波数fbの使用について使用許可判定要求を通信制御装置200に送信する。
【0144】
通信制御装置200は、図20のフロー(後述)に従って、グループ内での周波数fbの使用について使用許可判定を行い、判定の結果を含む回答を周波数制御装置100に送信する。
【0145】
周波数制御装置100は、受け取った回答に基づき、周波数fbの使用可否を含む応答を基地局401Xに送信する。
【0146】
図20は、通信制御装置200が、基地局401Xにより要求される周波数fbがグループ内で使用可能か否かを判定する処理の例のフローを示す。まず、基地局401Xの建物内で周波数fbが使用可能か否かを判定する(S901)。建物内での周波数fbが使用不可の場合は、周波数fbの使用の不許可を決定し(S915)、処理を終了する。建物内での周波数fbの使用が可能の場合はステップS902に進む。ステップS901における判定の方法は、具体例2の判定のフロー(図13参照)と同様である。
【0147】
通信制御装置200は基地局401Xの建物に横隣接建物が存在するかを判断し(S902)、存在する場合は、横隣接建物との共存条件がOK(共存可)かを判断する(S903)。共存条件がOKの場合、又は基地局401Xの建物に横隣接建物が存在しない場合は、ステップS906に進む。一方、共存条件がNG(共存不可)の場合は、横隣接建物内に設置されており、使用許可を得ている基地局をリストアップし、リストにおいて、基地局401Xのオペレータとは異なるオペレータの基地局が使用許可を得ている周波数を特定する(S904)。周波数fbが、特定した周波数の少なくとも1つと重なっているか(一致しているか)を判断し(S905)、重なっている場合は、周波数fbの使用を不可と決定し(S915)、処理を終了する。周波数fbが重なっていない場合は、ステップS906に進む。
【0148】
基地局401Xの建物に下隣接建物が存在するかを判断し(S906)、存在する場合は、基地局401Xの設置階が下隣接階数差未満かを判断する(S907)。下隣接階数差以上の場合は、又は基地局401Xの建物に下隣接建物が存在しない場合は、ステップS910に進む。下隣接階数差未満の場合は、下隣接建物内の階数差未満に設置され、かつ使用許可を得ている基地局をリストアップし、リストにおいて、基地局401Xのオペレータとは異なるオペレータの基地局が使用許可を得ている周波数を特定する(S908)。周波数fbが、特定した周波数の少なくとも1つと重なっているか(一致しているか)を判断し(S909)、重なっている場合は、周波数fbの使用を不可と決定し(S915)、処理を終了する。周波数fbが重なっていない場合は、ステップS910に進む。
【0149】
基地局401Xの建物に上隣接建物が存在するかを判断し(S910)、存在する場合は、基地局401Xの設置階が上隣接階数差未満かを判断する(S911)。上隣接階数差以上の場合、又は基地局401Xの建物に上隣接建物が存在しない場合は、周波数fbの使用を許可する(S914)。上隣接階数差未満の場合は、上隣接建物内の階数差未満に設置され、かつ使用許可を得ている基地局をリストアップし、リストにおいて、基地局401Xのオペレータとは異なるオペレータの基地局が使用許可を得ている周波数を特定する(S912)。周波数fbが、特定した周波数の少なくとも1つと重なっているか(一致しているか)を判断し(S913)、重なっている場合は、周波数fbの使用を不可と決定し(S915)、処理を終了する。周波数fbが重なっていない場合は、周波数fbの使用を許可する(S914)。
【0150】
図20のフローでは、周波数fbが同じオペレータの他の基地局の周波数と重なる場合は、周波数fbの使用を許可することを前提としていた。しかしながら、同じオペレータの場合であっても、他の基地局と周波数が重複する場合に、周波数fbの使用を許容しないことも可能である。
【0151】
以上、本実施形態によれば、複数の無線通信システム間で共用可能な周波数帯域の利用効率をより少ない計算量で高めることができる。また本実施形態に係る共用方式を、既に実用化されている周波数帯域の共用方式と、より少ない変更量で共存することが可能になる。
【0152】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記効果とともに、又は上記効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、又は本明細書から把握されうる他の効果が奏されてもよい。
【0153】
(変形例)
周波数制御装置100と通信制御装置200を統合して、一つの通信制御装置で全ての処理を行ってもよい。また、周波数制御装置100の一部の機能を通信制御装置200に追加してもよい。
【0154】
あるいは、一つの基地局(無線通信装置)が、複数の周波数制御装置100に対してそれぞれ前述した図11に示した問い合わせ等を行ってもよい。また基地局が、周波数制御装置100を介さずに、通信制御装置200に対して図11に示した問い合わせ等を行ってもよい。
【0155】
前述した実施形態では、基地局は一つのグループに属していたが、基地局が属するグループが複数であってもよい。
【0156】
また、前述した実施形態で説明した処理のステップの順序は、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に実行されなくてもよい。例えば、処理におけるステップはフローチャートに記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。
【0157】
なお、上述の実施形態は本開示を具現化するための一例を示したものであり、その他の様々な形態で本開示を実施することが可能である。例えば、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、置換、省略又はこれらの組み合わせが可能である。そのような変形、置換、省略等を行った形態も、本開示の範囲に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0158】
また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果があってもよい。
【0159】
なお、本開示は以下のような構成を取ることもできる。
[項目1]
第1グループに属する第1無線通信装置の電波使用に関する第1要求を受信した場合に、前記第1無線通信装置及び前記第1グループに属する他の無線通信装置の設置環境情報に基づき、前記第1無線通信装置に使用可能な電波のパラメータ情報を決定する処理部
を備えた通信制御装置。
[項目2]
前記処理部は、前記他の無線通信装置の電波の使用状況に基づき、前記パラメータ情報を決定する
項目1に記載の通信制御装置。
[項目3]
前記処理部は、前記パラメータ情報として、少なくとも前記第1無線通信装置に使用可能な周波数を決定する
項目1又は2に記載の通信制御装置。
[項目4]
前記第1グループは、複数の階を有する建物内の異なる階に設置された複数の無線通信装置のグループである
項目3に記載の通信制御装置。
[項目5]
前記設置環境情報は、前記第1無線通信装置及び前記他の無線通信装置が設置された階の情報を含み、
前記処理部は、前記第1無線通信装置と前記他の無線通信装置との階数差に基づき、前記第1無線通信装置の使用可能な周波数を決定する
項目4に記載の通信制御装置。
[項目6]
前記処理部は、前記階数差が閾値以上の場合に、前記他の無線通信装置が使用している周波数と干渉関係にある周波数の使用を前記第1無線通信装置に対して許容する
項目5に記載の通信制御装置。
[項目7]
前記設置環境情報は、前記建物の階間の床厚の情報を含み、
前記閾値は、前記第1無線通信装置が設置された階と前記他の無線通信装置が設置された階間に存在する床厚の総和に依存する
項目6に記載の通信制御装置。
[項目8]
前記第1グループは、複数の建物内に設置された複数の無線通信装置を含み、
前記設置環境情報は、前記複数の建物の外壁の厚さの情報を含み、
前記処理部は、前記第1無線通信装置と前記他の無線通信装置間に存在する前記外壁の厚みに基づき、前記第1無線通信装置の使用許可な周波数を決定する
項目4~7のいずれか一項に記載の通信制御装置。
[項目9]
前記処理部は、前記外壁の厚みの総和が閾値以上の場合に、前記他の無線通信装置が使用している周波数と干渉関係にある周波数の使用を前記第1無線通信装置に対して許容する
項目8に記載の通信制御装置。
[項目10]
前記閾値は、前記第1無線通信装置が設置された建物の構造と前記他の無線通信装置が設置された建物の構造とに依存する
項目9に記載の通信制御装置。
[項目11]
前記第1無線通信装置が設置された建物の構造と前記他の無線通信装置が設置された建物の構造は、鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリートである
項目10に記載の通信制御装置。
[項目12]
前記設置環境情報は、前記第1無線通信装置の設置時に測定された前記他の無線通信装置からの電波干渉に関する情報を含み、
前記処理部は、前記電波干渉に関する情報に基づき、前記第1無線通信装置の使用可能な周波数を決定する
項目4~11のいずれか一項に記載の通信制御装置。
[項目13]
前記電波干渉に関する情報は、前記他の無線通信装置から前記第1無線通信装置へ送信される電波の電力の減衰量を含み、
前記処理部は、前記電力の減衰量と前記他の無線通信装置の送信電力値とに基づいて、前記第1無線通信装置の使用可能な周波数を決定する
項目12に記載の通信制御装置。
[項目14]
前記パラメータ情報を、前記第1無線通信装置又は前記第1無線通信装置の電波使用を制御する周波数制御装置に送信する通信部
を備えた項目1~13のいずれか一項に記載の通信制御装置。
[項目15]
前記第1要求を、前記第1無線通信装置又は前記第1無線通信装置の電波使用を制御する周波数制御装置から受信する通信部
を備えた項目1~14のいずれか一項に記載の通信制御装置。
[項目16]
前記第1要求は前記第1無線通信装置により使用を要求される第1周波数の情報を含み、
前記処理部は、前記設置環境情報に基づき前記第1要求で要求される前記周波数が前記他の無線通信装置により使用されている第2周波数と干渉するか否かを決定し、前記第1周波数が前記第2周波数と干渉しない場合は前記第1周波数の使用が可能であることを決定し、前記第1周波数が前記第2周波数と干渉する場合は、前記第1周波数の使用が不可であることを決定する
項目3~13のいずれか一項に記載の通信制御装置。
[項目17]
前記処理部は、前記第1周波数が前記第2周波数と干渉する場合は、前記第1無線通信装置の使用可能な周波数の候補の中から前記第1無線通信装置に使用を許可する第3周波数を決定する
項目16に記載の通信制御装置。
[項目18]
第1グループに属する第1無線通信装置に関する第1要求を受信した場合に、前記第1無線通信装置及び前記第1グループに属する他の無線通信装置の設置環境情報に基づき、前記第1無線通信装置に使用可能な電波のパラメータ情報を決定する
通信制御方法。
【符号の説明】
【0160】
100 周波数制御装置
200 通信制御装置
210 通信部
220 記憶部
230 処理部
231 要素
231 情報取得部
233 要素
233 制御部
300 データベース装置
310 通信部
320 記憶部
330 処理部
401 基地局
401A 基地局
401B 基地局
401C 基地局
401D 基地局
401E 基地局
401X 基地局
501 無線通信システム
502 無線通信システム
550 無線通信システム
図1
図2
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