(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040559
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ナット挿入装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
B23P19/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144980
(22)【出願日】2022-09-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) ▲1▼ 展示日 令和04年(2022年)03月09日~12日 ▲2▼ 展示会名 2022国際ロボット展 ▲3▼ 主催者名 一般社団法人日本ロボット工業会、日刊工業新聞社 ▲4▼ 開催場所 東京ビックサイト東・西ホール(東京都江東区有明3-11-1) ▲5▼ 公開者 SUS株株式会社 ▲6▼ 出品内容 SUS株式会社は、2022国際ロボット展にて、石田保夫が発明した「ナット挿入装置」を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】595034204
【氏名又は名称】SUS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】石田 保夫
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造材の溝にナットを挿入する作業の省力化を効果的に図ることを可能にするナット挿入装置を提供する。
【解決手段】装置本体(3)と、装置本体(3)に設けられ長手方向に沿って溝が形成された構造材を保持する構造材保持手段(11)と、装置本体(3)に設けられ複数個のナットを保持するナット保持手段(31)と、装置本体(3)に設けられナット保持手段(31)に保持されているナットを構造材保持手段(11)側に案内するナット案内手段と、装置本体(3)に設けられナット案内手段に案内されたナットを把持して構造材保持手段(11)に保持されている構造材の溝内の所定位置まで搬送するナット搬送手段(121)と、を具備した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
上記装置本体に設けられ長手方向に沿って溝が形成された構造材を保持する構造材保持手段と、
上記装置本体に設けられ複数個のナットを保持するナット保持手段と、
上記装置本体に設けられ上記ナット保持手段に保持されているナットを上記構造材保持手段側に案内するナット案内手段と、
上記装置本体に設けられ上記ナット案内手段に案内されたナットを把持して上記構造材保持手段に保持されている構造材の上記溝内の所定位置まで搬送するナット搬送手段と、
を具備したことを特徴とするナット挿入装置。
【請求項2】
請求項1記載のナット挿入装置において、
上記構造材保持手段は複数本の構造材をY2軸方向に並べて保持可能に構成されていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項3】
請求項1記載のナット挿入装置において、
上記ナット保持手段は複数個のナットを一列に保持するスティックをマガジン内に着脱可能に挿し込んだ構成になっていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項4】
請求項3記載のナット挿入装置において、
複数個の上記マガジンがY1軸方向に横並びに設けられていて、サイズが異なるナットを保持した上記スティックが上記複数個のマガジンに挿し込まれていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項5】
請求項3記載のナット挿入装置において、
上記マガジンの下端にはナットの落下を規制するストッパが出没可能に設けられていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項6】
請求項4記載のナット挿入装置において、
上記ナット案内手段は上記ナット保持手段に保持されているナットを上記構造材保持手段側にナットの自重を利用して落下・案内する滑り台機構を備えていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項7】
請求項6記載のナット挿入装置において、
上記滑り台機構はY1軸方向に移動可能に構成されていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項8】
請求項7記載のナット挿入装置において、
上記滑り台機構は上記ナットのサイズにそれぞれ対応する複数個の滑り台を備えているものであることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項9】
請求項8記載のナット挿入装置において、
上記滑り台には上記落下・案内されるナットを所定位置に停止させる位置決めピンが出没可能に設けられていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項10】
請求項9記載のナット挿入装置において、
上記滑り台の一部がZ1軸方向に移動することにより上記位置決めピンによる位置決めを解除するよう構成されていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項11】
請求項5記載のナット挿入装置において、
上記ナット案内手段には上記ストッパによるナットの落下規制を解除するストッパ駆動機構が設けられていることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項12】
請求項11記載のナット挿入装置において、
上記ストッパ駆動機構は上記ストッパによる落下規制を解除するとともに最下端からの二番目以降のナットの落下を規制するものであることを特徴とするナット挿入装置。
【請求項13】
請求項1記載のナット挿入装置において、
上記ナット搬送手段は上記ナット案内手段によって所定位置まで案内されたナットをグリッパによって把持し、該グリッパを相互に直交するX2軸・Y2軸・Z2軸方向に移動可能に備えたものであることを特徴とするナット挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、構造材の溝内にナットを挿入するナット挿入装置に係り、特に、ナットを構造材の溝内の所定位置に効率良く挿入することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム製の構造材は、例えば、次のような構成をなしている。まず、構造材はその横断面形状が略正方形をなしている。正方形の四辺のそれぞれにはT溝が形成されている。このT溝内にTナットを挿入する。一方、T溝の外側に別部材を設置し、そこにボルトを通して上記Tナットに螺合させる。それによって、上記別部材を構造材に固定する。
【0003】
上記構造材は長尺であり、上記Tナットは上記T溝の長手方向の任意の場所に設置される。通常、Tナットの上記T溝内への挿入作業は作業員の手作業に委ねられている。
【0004】
又、ナットを所定の場所に供給する或いは挿入するナット供給装置或いはナット挿入装置として様々な構成のものが提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2に示すようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4-45635号公報
【特許文献2】特開2020-037125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成によると次のような問題があった。上記したように、様々な構成のナット供給装置或いはナット挿入装置が提案されているが、何れも構造材の溝にナットを挿入する作業を省力化できるようなものではなかった。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、構造材の溝にナットを挿入する作業の省力化を効果的に図ることを可能にするナット挿入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるナット挿入装置は、装置本体と、上記装置本体に設けられ長手方向に沿って溝が形成された構造材を保持する構造材保持手段と、上記装置本体に設けられ複数個のナットを保持するナット保持手段と、上記装置本体に設けられ上記ナット保持手段に保持されているナットを上記構造材保持手段側に案内するナット案内手段と、上記装置本体に設けられ上記ナット案内手段に案内されたナットを把持して上記構造材保持手段に保持されている構造材の上記溝内の所定位置まで搬送するナット搬送手段と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2によるナット挿入装置は、請求項1記載のナット挿入装置において、上記構造材保持手段は複数本の構造材をY2軸方向に並べて保持可能に構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3によるナット挿入装置は、請求項1記載のナット挿入装置において、上記ナット保持手段は複数個のナットを一列に保持するスティックをマガジン内に着脱可能に挿し込んだ構成になっていることを特徴とするものである。
又、請求項4によるナット挿入装置は、請求項3記載のナット挿入装置において、複数個の上記マガジンがY1軸方向に横並びに設けられていて、サイズが異なるナットを保持した上記スティックが上記複数個のマガジンに挿し込まれていることを特徴とするものである。
又、請求項5によるナット挿入装置は、請求項3記載のナット挿入装置において、上記マガジンの下端にはナットの落下を規制するストッパが出没可能に設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるナット挿入装置は、請求項4記載のナット挿入装置において、上記ナット案内手段は上記ナット保持手段に保持されているナットを上記構造材保持手段側にナットの自重を利用して落下・案内する滑り台機構を備えていることを特徴とするものである。
又、請求項7によるナット挿入装置は、請求項6記載のナット挿入装置において、上記滑り台機構はY1軸方向に移動可能に構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項8によるナット挿入装置は、請求項7記載のナット挿入装置において、上記滑り台機構は上記ナットのサイズにそれぞれ対応する複数個の滑り台を備えているものであることを特徴とするものである。
又、請求項9によるナット挿入装置は、請求項8記載のナット挿入装置において、上記滑り台には上記落下・案内されるナットを所定位置に停止させる位置決めピンが出没可能に設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項10によるナット挿入装置は、請求項9記載のナット挿入装置において、上記滑り台の一部がZ1軸方向に移動することにより上記位置決めピンによる位置決めを解除するよう構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項11によるナット挿入装置は、請求項5記載のナット挿入装置において、上記ナット案内手段には上記ストッパによるナットの落下規制を解除するストッパ駆動機構が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項12によるナット挿入装置は、請求項11記載のナット挿入装置において、上記ストッパ駆動機構は上記ストッパによる落下規制を解除するとともに最下端からの二番目以降のナットの落下を規制するものであることを特徴とするものである。
又、請求項13によるナット挿入装置は、請求項1記載のナット挿入装置において、上記ナット搬送手段は上記ナット案内手段によって所定位置まで案内されたナットをグリッパによって把持し、該グリッパを相互に直交するX2軸・Y2軸・Z2軸方向に移動可能に備えたものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本願発明の請求項1によるナット挿入装置によると、装置本体と、上記装置本体に設けられ長手方向に沿って溝が形成された構造材を保持する構造材保持手段と、上記装置本体に設けられ複数個のナットを保持するナット保持手段と、上記装置本体に設けられ上記ナット保持手段に保持されているナットを上記構造材保持手段側に案内するナット案内手段と、上記装置本体に設けられ上記ナット案内手段に案内されたナットを把持して上記構造材保持手段に保持されている構造材の上記溝内の所定位置まで搬送するナット搬送手段と、を具備した構成になっているので、ナットを構造材の溝内の所定位置に効率良く挿入することができる。
又、請求項2によるナット挿入装置によると、請求項1記載のナット挿入装置において、上記構造材保持手段は複数本の構造材をY2軸方向に並べて保持可能に構成されているので、数本の構造材の溝内の所定位置に効率良く挿入することができる。
又、請求項3によるナット挿入装置によると、請求項1記載のナット挿入装置において、上記ナット保持手段は複数個のナットを一列に保持するスティックをマガジン内に着脱可能に挿し込んだ構成になっているので、予め複数個のナットが保持されたスティックをマガジン内に挿し込むだけでナットのセットが完了する。
又、請求項4によるナット挿入装置によると、請求項3記載のナット挿入装置において、複数個の上記マガジンがY1軸方向に横並びに設けられていて、サイズが異なるナットを保持した上記スティックが上記複数個のマガジンに挿し込まれているので、複数種類のサイズのナットをセットすることができる。
又、請求項5によるナット挿入装置によると、請求項3記載のナット挿入装置において、上記マガジンの下端にはナットの落下を規制するストッパが出没可能に設けられているので、ナットの不用意な落下を防止することができる。
又、請求項6によるナット挿入装置によると、請求項4記載のナット挿入装置において、上記ナット案内手段は上記ナット保持手段に保持されているナットを上記構造材保持手段側にナットの自重を利用して落下・案内する滑り台機構を備えているので、ナット案内手段としての構成も簡単である。
又、請求項7によるナット挿入装置によると、請求項6記載のナット挿入装置において、上記滑り台機構はY1軸方向に移動可能に構成されているので、例えば、マガジンが横方向に複数個設置されている場合には効果的に対応することができる。
又、請求項8によるナット挿入装置によると、請求項7記載のナット挿入装置において、上記滑り台機構は上記ナットのサイズにそれぞれ対応する複数個の滑り台を備えているので、様々なサイズのナットに対して容易に対応することができる。
又、請求項9によるナット挿入装置によると、請求項8記載のナット挿入装置において、上記滑り台には上記落下・案内されるナットを所定位置に停止させる位置決めピンが出没可能に設けられているので、ナットを所定位置に正確に位置決めすることができる。
又、請求項10によるナット挿入装置によると、請求項9記載のナット挿入装置において、上記滑り台の一部がZ1軸方向に移動することにより上記位置決めピンによる位置決めを解除するよう構成されているので、位置決めピンによる位置決め機能の解除も容易である。。
又、請求項11によるナット挿入装置によると、請求項5記載のナット挿入装置において、上記ナット案内手段には上記ストッパによるナットの落下規制を解除するストッパ駆動機構が設けられているので、ナットの落下規制解除を容易に行うことができる。
又、請求項12によるナット挿入装置によると、請求項11記載のナット挿入装置において、上記ストッパ駆動機構は上記ストッパによる落下規制を解除するとともに最下端からの二番目以降のナットの落下を規制するものであるので、最下端からの二番目以降のナットの不用意な落下を確実に防止することができる。
又、請求項13によるナット挿入装置によると、請求項1記載のナット挿入装置において、上記ナット搬送手段は上記ナット案内手段によって所定位置まで案内されたナットをグリッパによって把持し、該グリッパを相互に直交するX2軸・Y2軸・Z2軸方向に移動可能に備えたものであるので、ナットを所望の場所に効率良く搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、ナット挿入装置の全体の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態を示す図で、ナット挿入装置の全体の構成を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態を示す図で、ナット挿入装置の全体の構成を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態を示す図で、ナット挿入装置の全体の構成を示す側面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態を示す図で、
図2のV-V矢視図である。
【
図6】本発明の一実施の形態を示す図で、
図6(a)はナットマガジンの正面図、
図6(b)はナットマガジンの側面図である。
【
図7】本発明の一実施の形態を示す図で、
図2のVII部の拡大図である。
【
図8】本発明の一実施の形態を示す図で、
図7の一部を抽出して示す図である。
【
図9】本発明の一実施の形態を示す図で、
図8の一部を抽出して示す図である。
【
図10】本発明の一実施の形態を示す図で、
図10(a)はナットマガジンの正面図、
図10(b)はナットマガジンの先端部の斜視図である。
【
図11】本発明の一実施の形態を示す図で、
図11(a)はナットマガジンの先端部の側面図、
図11(b)はナットマガジンの先端部の正面図、
図11(c)は
図11(b)のc-c断面図である。
【
図12】本発明の一実施の形態を示す図で、
図12(a)はナットスティックの正面図、
図12(b)は
図12(a)のb-b断面図である。
【
図13】本発明の一実施の形態を示す図で、構造材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1乃至
図13を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
図1はナット挿入装置1の全体の構成を示す斜視図、
図2は同上の正面図、
図3は同上の平面図、
図4は同上の側面図である。
まず、装置本体3があり、この装置本体3は複数本の柱材5、複数本の梁材7、等から構成されている。装置本体3の側面であって四隅にはキャスタ9が設置されている。
【0012】
上記装置本体3には構造材保持手段11が設けられている。まず、2本のレール13、13が敷設されている。これら2本のレール13、13の上に複数基(この実施の形態の場合には7基)の構造材クランプ機構15が設置されている。上記構造材クランプ機構15はベース17とこのベース17に対して移動可能に取り付けられたクランプ19とから構成されている。上記クランプ19は常時は図示しないバネによって、上記ベース17の端部17aから離間する方向に付勢されていて、エア駆動によって上記バネに抗して移動して、例えば、複数本の構造材21(
図13に示す)を上記ベース17の端部17aとの間に挟持して保持する。
【0013】
上記構造材21は、
図13に示すように、その横断面形状は略正方形であり、四辺のそれぞれにはT溝23、23、23、23が形成されている。これらT溝23は構造材21の長手方向に延長されている。このT溝23内には後述するTナットが挿入される。
尚、構造材21の構成としては図示したものに限定されず様々なものがある。要は、ナットが挿入される溝が形成されているものであれば適用可能である。
【0014】
上記装置本体3の
図1中左側にはナット保持手段31が設置されている。上記ナット保持手段31は、
図5、
図6に示すように、架台33と、この架台33に設置された複数個のマガジン35と、これら複数個のマガジン35のそれぞれに着脱可能に挿し込まれたスティック37と、から構成されている。
【0015】
上記スティック37は、
図12に示すような構成をなしていて、スティックケース39内に複数個のTナット41を一列に収容した構成をなしている。上記スティックケース39は上下端が開口されていて上端開口43、下端開口45となっている。
【0016】
上記Tナット41には複数種類のサイズが設定されていて、具体的には、L45、L、S、SSの4種類である。サイズによってTナット41の寸法は勿論のことスティックケース39の寸法も異なっている。
【0017】
上記マガジン35は、
図10、
図11に示すように、マガジンケース51と、このマガジンケース51の下端に取り付けられたストッパ53と、から構成されている。上記マガジンケース51の上下端は開口55、57となっている。上記スティック37は上記開口55を介して上記マガジンケース51内に上方から着脱可能に挿し込まれている。上記スティック37を上記マガジンケース51内に上方から挿し込むと、スティック37のスティックケース39は所定の位置でそれ以上の挿入が規制される。その結果、スティックケース39内の下から二つのTナット41、41がスティックケース39から下に飛び出してマガジンケース51内に直接収容された状態になる。その状態を
図11(c)に示す。
【0018】
上記ストッパ53はL字形状をなしていて長片58と短片59とから構成されている。又、上記ストッパ53は上記マガジンケース51に対して軸61を中心に回動可能に取り付けられていて、常時は図示しないバネによって一方向に付勢されていて上記短片59によって上記開口57を閉塞している。上記開口57が閉塞されることによりTナット41の落下が規制される。これに対して、上記ストッパ53がバネに抗して他方向に回動付勢されることにより上記開口57が解放される。上記開口57が解放されることにより最下端のTナット41が落下する。
【0019】
上記ストッパ53には、
図11(c)に示すように、ピン63が突設されていて、一方、マガジンケース51側には開口65が形成されている。上記ストッパ53が上記開口57を開放する方向に回動すると、上記ピン63が開口65を通ってスティックケース39側に突出され、最下端から二番目のナット41に圧接される。それによって、最下端から二番目のナット41を含めて上のTナット41の落下が規制される。
【0020】
上記マガジン35のマガジンケース51は、
図2に示すように、後方に45°だけ傾斜可能に構成されている。上記マガジン35のマガジンケース51内にスティック37を出し入れする場合には、上記マガジンケース51を45°だけ後方に傾斜させた状態で行う。
【0021】
上記ナット保持手段31の前方(
図2中右側)には、
図5、
図8に示すように、ナット案内手段81が設置されている。
図5、
図8に示すように、まず、Y1軸アクチュエータ83があり、このY1軸アクチュエータ83にはY1軸スライダ85がY1軸に沿って移動可能に取り付けられている。上記Y1軸スライダ85には滑り台機構86が取り付けられている。上記滑り台機構86には4個の滑り台87が横並びで設けられている。これら4個の滑り台87はTナット41のサイズ、すなわち、L45、L、S、SSにそれぞれ対応していて、各部の寸歩等はそれらTナット41の各サイズに対して好適なものとなっている。上記滑り台87は、
図9に示すように、円弧状滑り部89、直線滑り部91を備えている。既に説明したマガジン35のマガジンケース51から落下したTナット41はこれら円弧状滑り部89、直線滑り部91を介して所定位置まで案内される。
尚、
図9では滑り落ちるTナット41を順次示している。
【0022】
上記直線滑り部91はZ1軸アクチュエータ93によってZ1軸方向に上下動可能に構成されている。又、上記直線滑り部91の所定位置を貫通するように位置決めピン95が設置されている。上記円弧状滑り部89、直線滑り部91を介して滑り落ちたTナット41はこの位置決めピン95に当接して停止する。その後、上記直線滑り部91がZ1軸アクチュエータ93によって上昇せられ上記位置決めピン95が直線滑り部91から抜ける。その状態で後述するグリッパ機構によりTナット41が把持されて搬送される。
【0023】
上記滑り台機構85には、
図9に示すように、ストッパ駆動機構101が設置されている。上記ストッパ駆動機構101は電磁石によりプランジャ103を出没させるものであり、電磁石を励磁することにより上記プランジャ103を突出させて上記ストッパ53をバネの付勢力に抗して他方向に回動させ、開口57を開放し最下端のTナット41を落下させる。上記ストッパ駆動機構101は4個の滑り台87に対応するように4基設置されている。
【0024】
上記ナット保持手段31の前方(
図1中右側)であって上記ナット案内手段81の上方には、
図7に示すように、ナット搬送手段121が設置されている。まず、X2アクチュエータ123が設置されている。このX2軸アクチュエータ123は構造材21の長手方向に沿って延長されていて、
図4に示すように、X2軸スライダ125をX2軸方向に移動可能に備えている。上記X2軸スライダ125にはY2軸アクチュエータ127が搭載されている。このY2軸アクチュエータ127はX2軸方向に直交するY2軸方向に延長されていて、
図1に示すように、Y2軸スライダ129をY2軸方向に移動可能に備えている。
【0025】
上記Y2軸スライダ129にはZ2軸アクチュエータ131が搭載されている。上記Z2軸アクチュエータ131の図示しないZ2軸スライダにはグリッパ機構141が取り付けられている。上記グリッパ機構141の先端には一対のグリッパ143、143が開閉自在に取り付けられている。
【0026】
又、
図1乃至
図4に示すように、制御装置151が設置されていて、この制御装置151によって、Y1軸アクチュエータ83、Z1軸アクチュエータ93、X2アクチュエータ123、Y2軸アクチュエータ127、Z2軸アクチュエータ131、グリッパ機構141、ストッパ駆動機構101、等を制御する。
又、上記Y1軸アクチュエータ83、Z1軸アクチュエータ93、X2アクチュエータ123、Y2軸アクチュエータ127、Z2軸アクチュエータ131の構成としては様々なものが考えられるが、一例として、駆動モータの回転軸にボールネジを連結し、そのボールネジにボールナットを螺合・配置し、そのボールナットにスライダを固定したものが考えられる。駆動モータによりボールネジを回転させ、それによって、ボールナットひいてはスライダを任意の一方向(Y1軸方向、Z1軸方向、X2軸方向、Y2軸方向、Z2軸方向)に往復動させるものである。
又、上記グリッパ機構141の構成としても様々なものが考えられ、一例として、駆動モータによってネジ軸を正転・逆転させ、そのねじ軸の正転・逆転によって一対のスライダを離接させ、その一対のスライダに上記一対のグリッパ143、143を取り付ける構成が考えられる。
又、制御装置151への情報の入力は図示しないタッチパネル或いはバーコードリーダを使用する。
【0027】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、作業員HがTナット41のセットを行う。すなわち、
図10(a)に示すように、マガジン35のマガジンケース51内にスティック37を挿し込む。これは、
図2に示すように、マガジンケース51を45°後方に傾斜させた状態にして行う。その際、Tナット41のサイズは任意に選択する。
次に、制御装置151の図示しないタッチパネルを使用して、どの列のマガジンケース51にどのサイズのTナット41を収容したスティック37をセットしたかについての情報を入力する。
【0028】
次に、図示しないバーコードリーダで指示書の案件情報を読み取る。そして、構造材21のセットを行う。すなわち、7基の構造材クランプ機構15上に所定本数の構造材21を横方向に並べて固定する。固定は各構造材クランプ機構15のクランプ19をエア駆動により移動させることにより行い、上記所定本数の構造材21を横並びにして、各構造材クランプ機構15のクランプ19とベース17の端部との間に挟持して保持する。
【0029】
この状態でY1軸アクチュエータ83、Z1軸アクチュエータ93、X2軸アクチュエータ123、Y2軸アクチュエータ127、Z2軸アクチュエータ131、グリッパ駆動機構141、ストッパ駆動機構101、等をONすることにより、一連のナット挿入動作をスタートさせる。
【0030】
ナット挿入動作の一例を説明する。
まず、ナット案内手段81の滑り台機構86がY1軸方向に適宜移動して所望のサイズのTナット41を備えたスティック37が保持されているマガジン35に対応可能な位置に移動する。
次に、上記選択したマガジン35に対応する位置にあるストッパ駆動機構101を駆動させて、マガジン35のマガジンケース51のストッパ53をバネに抗して回動させてマガジンケース51の開口57を開放する。それによって、最下端のTナット41が落下する。
同時に、ピン63を突出させて最下端から二番目のTナット41に圧接させて最下端から二番目以降のTナット41の落下を規制する。
【0031】
落下したTナット41は、
図9に順次示すように、滑り台機構85の円弧状滑り部89、直線滑り部91を介して所定位置、すなわち、ピン95に当接する位置まで落下していく。
次に、Z1軸アクチュエータ93を動作させて直線滑り部91を上昇させる。それによって、ピン95が直線滑り部91から抜ける。
次に、ナット搬送手段121を動作させてグリッパ機構141をX2軸・Y2軸、Z2軸方向に適宜移動させ、一対のグリッパ143、143によって上記落下したナット41を把持する。
【0032】
次に、ナット搬送手段121を動作させてグリッパ機構141をX2軸・Y2軸、Z2軸方向に適宜移動させ、一対のグリッパ143、143によって把持されたTナット41を対象とする構造材21のT溝23内の所定位置まで搬送する。すなわち、上記一対のグリッパ143、143に把持されているTナット41を上記構造材21の端においてそのT溝23の位置に合わせる。その状態でグリッパ機構141をX2軸方向に沿って移動させることによりTナット41をT溝23内の所定位置まで搬送する。
次に、上記一対のグリッパ143、143による把持を解除する。それによって、Tナット41を構造材21のT溝23内の所定位置に位置させることができる。
尚、上記Tナット21の構造材21のT溝23内に対する挿入作業は遠い場所から順次行われていく。
【0033】
以下、同様の作用を繰り返すことにより保持している全ての構造材21に対してT溝23内の所定位置にTナット41を挿入することができる。
その後、作業員は構造材21の固定を解除してこれを適宜回転させて固定し直す。すなわち、構造材21の別のT溝23内へのTナット41の挿入作業の準備を行う。
【0034】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、構造材21のT溝23内にTナット41を挿入する作業の作業効率の向上と作業時間の短縮を図ることができる。すなわち、複数本の構造材21を構造材クランプ機構15上に載せて固定し、Tナット41を保持したスティック37をマガジン35のマガジンケース51内に挿し込み、後は、所定のプログラムに沿って各駆動部を動作させるだけで、セットした全ての構造材21のT溝23内の所定位置にTナット41を自動的に挿入することができるからである。
又、ナット案内手段81は滑り台機構86をY1軸方向に移動可能に備えていて、所望のサイズのTナット41を有するスティック37が挿入されたマガジン35に対応する位置に位置させることができるので、構造材21のT溝23に対応する所定のTナット41に容易に対応することができる。
又、滑り台87は円弧状滑り部89、直線滑り部91を備えていて、直線滑り部91に対して位置決めピン95を出没させるように構成されているので、落下したTナット41を位置決めピン95によって所定の位置に正確に位置させることができる。
又、滑り台機構85はTナット41のサイズ、すなわち、L45、L、S、SSに対応するように4種類の滑り台87を備えているので、Tナット41のサイズに応じて的確な落下案内動作を提供することができる。
【0035】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
まず、構造材としては図示ししたものに限定されず様々な形状のものが想定される。
その他、各部の構成は図示したものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えば、柱材の溝内にナットを挿入するナット挿入装置に係り、特に、ナットを柱材の溝内の所定位置に効率良く挿入することができるように工夫したものに関し、例えば、各種構造物を構成する柱材の溝内の所定位置にナットを挿入する場合に好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 ナット挿入装置
3 装置本体
11 柱材保持手段
21 柱材
23 T溝
31 ナット保持手段
81 ナット案内手段
121 ナット搬送手段