(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040572
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】車両荷台における床構造
(51)【国際特許分類】
B62D 33/02 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
B62D33/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145003
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】502444733
【氏名又は名称】日軽金アクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】本澤 勝久
(72)【発明者】
【氏名】大谷 英輝
(72)【発明者】
【氏名】松永 聖也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智晃
(57)【要約】
【課題】高い強度を持たせることができると共に、水平方向及び垂直方向のがたつきを抑制することができ、施工性の向上が図れる車両荷台における床構造を提供する。
【解決手段】トラック等の車両荷台における床を構成する床構成材は、該床構成材の幅方向の端部面に設けられた長手方向に沿う嵌合凸条20と、隣接する上記床構成材の幅方向の端部面に設けられた長手方向に沿う嵌合凹溝30とを嵌合することで連結される。上記嵌合凸条は、上記端部面との間に隙間21をあけて上方向に突出する上部凸条22と、下方向に突出する当接下面24を有する下部凸条23とからなり、上記嵌合凹溝は、上記上部凸条を嵌挿する嵌合溝部31と、上記下部凸条の上記当接下面が当接可能な当接上面33を有する係合部32とからなる。上記上部凸条が上記嵌合溝部に嵌挿された際に、上記下部凸条の上記当接下面が上記係合部の上記当接上面に当接されて床構成材同士が連結される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラ、トラック等の車両荷台における床を構成する複数のアルミニウム形材製の床構成材をその幅方向に連結してなる床構造であって、
上記床構成材は、該床構成材の幅方向の端部面に設けられた長手方向に沿う嵌合凸条と、隣接する上記床構成材の幅方向の端部面に設けられた長手方向に沿う嵌合凹溝とを嵌合することで連結され、
上記嵌合凸条は、上記端部面との間に隙間をあけて上方向に突出する上部凸条と、下方向に突出する当接下面を有する下部凸条とからなり、
上記嵌合凹溝は、上記上部凸条を嵌挿する嵌合溝部と、上記下部凸条の上記当接下面が当接可能な当接上面を有する係合部とからなり、
上記上部凸条が上記嵌合溝部に嵌挿された際に、上記下部凸条の上記当接下面が上記係合部の上記当接上面に当接される、
ことを特徴とする車両荷台における床構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両荷台における床構造であって、
上記上部凸条の上端部における上記端部面側に、上記嵌合溝部の外側開口縁が摺接可能な傾斜面を有し、
上記下部凸条は、上記当接下面の外方端から上方向に上部傾斜面を有し、
上記係合部は、上記当接上面の外方端から下方向に上記上部傾斜面に対して摺接可能な下部傾斜面を有する、
ことを特徴とする車両荷台における床構造。
【請求項3】
請求項1に記載の車両荷台における床構造であって、
複数の上記床構成材で構成された床の幅方向端部の上記床構成材は、一端が上記嵌合凸条の上記上部凸条を抱持し、他端が上記車両荷台に締結される固定部材によって固定されている、ことを特徴とする車両荷台における床構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の車両荷台における床構造であって、
隣接する上記床構成材同士は、長手方向において端部位置がずれた状態で連結されている、ことを特徴とする車両荷台における床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレーラやトラック等の車両荷台における床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トレーラやトラック等の運搬車両の荷台の床構造としては、軽量化や耐久性の観点からアルミニウム押出形材製の床構成材を組み合わせて連結したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。また、特許文献2にあるように、ローラーコンベア内蔵機能を有する床構造も提案されている。
【0003】
特許文献1には、隣接する一方の床構成材である第1床パネルの接続縁部に、それぞれ下向き凸部と、下向き凸部より間隙をおいて先端に係合突起を有する弾性変形可能な薄肉の第1垂下壁と第2垂下壁が間隔をおいて設けられている。また、他方の床構成材である第2床パネルの接続縁部に、垂直壁と水平壁及び立上り壁とで凹状部が形成され、上記垂直壁と立上り壁の下端部に上記係合突起に係合可能な係合下部突起が設けられ、上記垂直壁と立上り壁の上端部に下向き凸部が差し込み可能な断面略L形の係合上部突起が設けられている。
【0004】
特許文献1における第1床パネルと第2床パネルは、第2床パネルの水平壁が床部に固定された状態で、第1床パネルの第1垂下壁と第2垂下壁が第2床パネルの凹状部に嵌め込まれることにより、第1垂下壁と第2垂下壁が弾性変形して係合突起を係合下部突起に係合されると共に、下向き凸部と係合上部突起とが差し違い状に組み合わされて連結される。これにより、床パネル同士の垂直及び水平方向のがたつきを係合と差し込みで抑制している。
【0005】
特許文献2には、床構成材である連結床材と被覆床材は、隣接する一方の床構成材の外側に開口し内側に向かうにつれて上方に湾曲する円弧形状に形成される係合溝と、外側へ向かうにつれて上方に湾曲する円弧形状に形成される係合突起とを係合させて連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-268344号公報
【特許文献2】特許第5337682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1においては、第1垂下壁と第2垂下壁が弾性変形可能な薄肉のため、強度上の問題がある。また、隣接する一方の床構成材の接続縁部に、凹状部に係合上部突起と係合下部突起を設け、他方の床構成材に、凹状部に嵌め込まれる第1垂下壁と第2垂下壁に下向き凸部と係合突起を設けるため、形状が複雑な上、凹状部を有する床構成材を床部に固定した状態で、第1垂下壁と第2垂下壁を凹状部に嵌め込んで連結するため、施工が面倒となる懸念がある。
【0008】
また、特許文献2においては、係合部が円弧形状となっているため、床構成材同士の連結作業に手間を要する。また、床構成材は床部に締結されて固定されるため、施工が面倒となる懸念がある。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、床自体に高い強度を持たせることができると共に、水平方向及び垂直方向のがたつきを抑制することができ、かつ、施工性の向上が図れる車両荷台における床構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、この発明は、トレーラ、トラック等の車両荷台における床を構成する複数のアルミニウム形材製の床構成材をその幅方向に連結してなる床構造であって、 上記床構成材は、該床構成材の幅方向の端部面に設けられた長手方向に沿う嵌合凸条と、隣接する上記床構成材の幅方向の端部面に設けられた長手方向に沿う嵌合凹溝とを嵌合することで連結され、 上記嵌合凸条は、上記端部面との間に隙間をあけて上方向に突出する上部凸条と、下方向に突出する当接下面を有する下部凸条とからなり、 上記嵌合凹溝は、上記上部凸条を嵌挿する嵌合溝部と、上記下部凸条の上記当接下面が当接可能な当接上面を有する係合部とからなり、 上記上部凸条が上記嵌合溝部に嵌挿された際に、上記下部凸条の上記当接下面が上記係合部の上記当接上面に当接される、ことを特徴とする(請求項1)。
【0011】
このように構成することにより、隣接する床構成材の幅方向の端部面に設けられた上部凸条が嵌合溝部に嵌挿された際に、下部凸条の当接下面と係合部の当接上面とを当接して、床構成材の幅方向の端部面同士を連結することができる。
【0012】
この発明において、上記上部凸条の上端部における上記端部面側に、上記嵌合溝部の外側開口縁が摺接可能な傾斜面を有し、上記下部凸条は、上記当接下面の外方端から上方向に上部傾斜面を有し、上記係合部は、上記当接上面の外方端から下方向に上記上部傾斜面に対して摺接可能な下部傾斜面を有するのが好ましい(請求項2)。
【0013】
このように構成することにより、上部凸条が嵌合溝部に嵌挿される際に、上部凸条に設けられた傾斜面が嵌合溝部の外側開口縁に摺接して上部凸条が嵌合溝部に嵌挿され、下部凸条の上部傾斜面と係合部の下部傾斜面が摺接して下部凸条の当接下面と係合部の当接上面を当接することができる。
【0014】
また、この発明において、複数の上記床構成材で構成された床の幅方向端部の上記床構成材は、一端が上記嵌合凸条の上記上部凸条を抱持し、他端が上記車両荷台に締結される固定部材によって固定されているのが好ましい(請求項3)。
【0015】
このように構成することにより、床の幅方向端部の床構成材を、該床構成材に設けられた嵌合凸条を抱持する固定部材によって車両荷台に固定した状態で、固定された床構成材を起点として順次床構成材を連結することができる。
【0016】
加えて、この発明において、隣接する上記床構成材同士は、長手方向において端部位置がずれた状態で連結されているのが好ましい(請求項4)。
【0017】
このように構成することにより、複数の床構成材によって構成される床における横方向の力に対して床構成材のずれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明によれば、隣接する床構成材の幅方向の端部面に設けられた上部凸条が嵌合溝部に嵌挿された際に、下部凸条の当接下面と係合部の当接上面とを当接して、床構成材の幅方向の端部面同士を連結することができるので、床自体に高い強度を持たせることができると共に、水平方向及び垂直方向のがたつきを抑制することができ、かつ、施工性の向上が図れる。
【0019】
(2)請求項2に記載の発明によれば、上部凸条に設けられた傾斜面が嵌合溝部の外側開口縁に摺接して上部凸条が嵌合溝部に嵌挿され、下部凸条の上部傾斜面と係合部の下部傾斜面が摺接して下部凸条の当接下面と係合部の当接上面を当接することで、床構成材を上方から押し込むことによって床構成材同士を連結することができるため、施工効率の向上が図れる。
【0020】
(3)請求項3に記載の発明によれば、床の幅方向端部の床構成材を、固定部材によって車両荷台に固定した状態で、固定された床構成材を起点として順次床構成材を連結することができるため、床構成材を床部に固定する必要がなく、施工効率の向上が図れる。
【0021】
(4)請求項4に記載の発明によれば、複数の床構成材によって構成される床における横方向の力に対して床構成材のずれを抑制することができるため、床自体に高い強度を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明に係る床構造の一部を省略した概略平面図である。
【
図1A】上記床構造の一部を拡大した概略平面図(a)及び(a)のI部拡大図(b)である。
【
図2】上記床構造の概略断面図(a)及び床部の半部を示す概略断面図(b)である。
【
図3】上記床構造の要部を示す断面図(a)及び(a)のII部拡大断面図(b)である。
【
図4A】この発明における中間床構成材同士の連結状態を示す断面図である。
【
図4B】この発明における中間床構成材とローラー付き床構成材との連結状態を示す断面図である。
【
図4C】この発明におけるローラー付き床構成材と端部床構成材との連結状態を示す断面図である。
【
図4D】この発明における端部床構成材の固定状態を示す断面図である。
【
図5】この発明における中間床構成材の上方斜視図(a)及び下方斜視図(b)である。
【
図6】この発明における端部床構成材の上方斜視図(a)及び下方斜視図(b)である。
【
図7】この発明におけるローラー付き床構成材のローラーを除いた部分を示す上方斜視図(a)及び下方斜視図(b)である。
【
図7A】この発明におけるローラー付き床構成材を示す断面図である。
【
図8】この発明における端部床構成材の固定状態を示す斜視図である。
【
図9】この発明における中間床構成材とローラー付き床構成材の連結前の状態を示す断面図(a)及び連結状態を示す断面図(b)である。
【
図9A】この発明における中間床構成材とローラー付き床構成材の連結前の状態と連結後の状態を示す拡大断面図である。
【
図10】上記床構造の車両後方側の一部を示す平面図(a)及び(a)のIII-III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、ローラーコンベア内蔵機能を有する車両荷台における床構造について説明する。
【0024】
この発明に係る車両荷台における床構造は、床を構成する複数のアルミニウム形材製の床構成材である中間床構成材10A、ローラーコンベアを構成するエアーローラーを内蔵するローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bをその幅方向の端部面に設けられた後述する嵌合凸条20と嵌合凹溝30とを嵌合することによって連結してなる。
【0025】
図1及び
図2(a)に示すように、床構造は、幅方向の両端に位置する2列の端部床構成材10Bと、端部床構成材10Bに連結される外側の2列のローラー付き床構成材10Cと、中央部に位置する2列の中間床構成材10Aの外側に連結される内側の2列のローラー付き床構成材10Cと、それぞれ外側のローラー付き床構成材10Cと内側のローラー付き床構成材10Cに連結されると共に、隣接する同士が連結される3列(左右で6列)の中間床構成材10Aとで構成されている。そして、端部床構成材10Bは、車両荷台1に締結される固定部材50によって固定されている。なお、車両前方Fと車両後方Rの床構成材10A,10B,10Cの長手方向端部には端末プレート63が固定ねじ64によって固定されている。
【0026】
この場合、中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bは長手方向の寸法が異なる2種類の形材にて形成されており、隣接する床構成材同士は、長手方向において端部位置がずれた状態、所謂千鳥状に連結されている(
図1及び
図1A参照)。
【0027】
このように、隣接する中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bの長手方向の端部位置をずらした状態にすることにより、床における横方向の力に対して中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bのずれを抑制することができる。
【0028】
中間床構成材10Aは、
図5(a),(b)に示すように、床板部11と、床板部11の幅方向の両端部に垂下し、下端に内方に延在する着座部13を有する一対の端部脚部12a,12bと、床板部11の中央下面に垂下し、下端に左右に延在する着座部13を有する中間脚部14とを一体に形成したアルミニウム押出形材にて形成されている。
【0029】
中間床構成材10Aにおける一方の端部脚部12aの端部面には長手方向に沿う嵌合凸条20が設けられている。嵌合凸条20は、端部面との間に隙間21をあけて上方向に突出する上部凸条22と、下方向に突出する当接下面24を有する下部凸条23とからなる。この場合、上部凸条22の上端は円弧状に形成されており、上端部における端部面側に傾斜面22aが形成されている(
図9A参照)。また、下部凸条23は当接下面24の外方端から上方向に上部傾斜面23aを有している。なお、端部脚部12aの上部側内方面にはビスポケット15が長手方向に沿って設けられている。
【0030】
一方、中間床構成材10Aにおける他方の端部脚部12bの端部面には長手方向に沿う嵌合凹溝30が設けられている。嵌合凹溝30は、端部脚部12bの上部側に位置し、上部凸条22を嵌挿する嵌合溝部31と、下部凸条23の当接下面24が当接可能な当接上面33を有する係合部32とからなる。この場合、嵌合溝部31の外側開口縁30aの先端は円弧状に形成されている(
図9A参照)。また、係合部32は当接上面33の外方端から下方向に、上部傾斜面23aに対して摺接可能な下部傾斜面32aを有している。なお、中間脚部14の上部側の一方の面にはビスポケット15が長手通しに設けられている。
【0031】
端部床構成材10Bは、
図6(a),(b)に示すように、中間床構成材10Aと同様に、床板部11と、床板部11の幅方向の両端部に垂下し、下端に内方に延在する着座部13を有する一対の端部脚部12a,12bと、床板部11の中央下面に垂下し、下端に左右に延在する着座部13を有する中間脚部14とを一体に形成したアルミニウム押出形材にて形成されている。
【0032】
端部床構成材10Bにおける端部脚部12a,12bには、長手方向に沿う嵌合凸条20が設けられている。嵌合凸条20は、中間床構成材10Aと同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。なお、端部床構成材10Bにおける端部脚部12a,12bの上部内方面にはビスポケット15が長手方向に沿って設けられている。
【0033】
ローラー付き床構成材10Cは、
図7(a),(b)に示すように、水平底部16aと、水平底部16aの幅方向の両端部に垂直に起立する起立壁17a,17bと、起立壁17a,17bの上端からそれぞれ外方に水平に延在する床板部18と、床板部18の先端から垂下する端部垂下部19a,19bとを一体に形成したアルミニウム押出形材製のチャンネル材にて形成されている。
【0034】
ローラー付き床構成材10Cにおける端部垂下部19a,19bには、中間床構成材10Aと同様に、長手方向に沿う嵌合凸条20と嵌合凹溝30が設けられている。嵌合凸条20と嵌合凹溝30は、中間床構成材10Aと同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。なお、起立壁17a,17bの上部外方側にはビスポケット15が長手方向に沿って設けられている。また、一方の起立壁17aの上部内方側には上部係止凸条17cが長手方向に沿って設けられ、他方の起立壁17bの中間内方側には下部係止凸条17dが長手方向に沿って設けられている。
【0035】
上記のように構成されるローラー付き床構成材10Cにおける水平底部16aと一対の起立壁17a,17bとで形成される凹状部16にエアーローラー40が内蔵される。この場合、
図7Aに示すように、エアーローラー40は底部が平坦のチャンネル状のローラートレー41の側壁41a,41bの長手方向に適宜間隔をおいた位置に回動自在に支承されている。ローラートレー41の一方の側壁41aの中間部の外側に突設された上部凸条42aがローラー付き床構成材10Cの上部係止凸条17cに係合し、ローラートレー41の他方の側壁41bの下端部の外方に突設された下部凸条42bがローラー付き床構成材10Cの下部係止凸条17dに係合した状態で、水平底部16aとローラー付き床構成材10Cの水平底部16aとの間に配設されるエアーホース43の空気圧によってエアーローラー40が支持されている。
【0036】
なお、エアーローラー40を取り付けたローラートレー41はローラー付き床構成材10Cの凹状部16に対して着脱可能となっており、ローラートレー41の下部凸条42b側を下方に傾けることで、凹状部16に対して着脱可能にすることができる。すなわち、エアーローラー40を取り付ける場合は、ローラートレー41の下部凸条42b側を下方に傾けて、ローラートレー41を凹状部16内に挿入して、上部凸条22aが上部係止凸条17cより下方に位置した状態で、下部凸条42b側を上方に移動して下部凸条42bを下部係止凸条17dに係合させると共に、上部凸条42aを上部係止凸条17cに係合させて、エアーホース43内に空気を供給して取り付ける。エアーローラー40を取り外す場合は、エアーホース43内に空気を抜いた状態で、上記と逆の手順を行うことによってエアーローラー40を取り外すことができる。
【0037】
端部床構成材10Bを車両荷台1に固定する固定部材50は、
図3、
図4D及び
図8に示すように、上端に端部床構成材10Bの上部凸条22を抱持する抱持部51を有する垂直片52と、垂直片52の下端から水平方向に延在し、中央部に取付孔53aを有する水平片53とからなるL字金具にて形成されている。固定部材50によって端部床構成材10Bを固定する場合は、車両荷台1の床部1a上に載置された端部床構成材10Bの上部凸条22を固定部材50の抱持部51で抱持した状態で、床部1aの下部に配置された床パネル1bの上に貫通孔54aを有するスペーサ54を介して水平片53を載置する。そして、上方から固定ボルト55を固定部材50の取付孔53a、スペーサ54の貫通孔54a及び床パネル1bに設けられた貫通孔1cに貫通し、貫通孔1cの下方に突出した部分にナット56を螺合することで締結して端部床構成材10Bを固定する。なお、固定部材50によって端部床構成材10Bの長手方向の両端側の2箇所が固定される。
【0038】
次に、中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bの連結について説明する。中間床構成材10A同士は、
図4Aに示すように、隣接する一方の中間床構成材10Aに設けられた上部凸条22が他方の中間床構成材10Aに設けられた嵌合溝部31に嵌挿された状態で、一方の中間床構成材10Aに設けられた下部凸条23の当接下面24が他方の中間床構成材10Aに設けられた係合部32の当接上面33に当接された状態で連結される。
【0039】
中間床構成材10Aとローラー付き床構成材10Cは、
図4Bに示すように、ローラー付き床構成材10Cに設けられた上部凸条22が中間床構成材10Aに設けられた嵌合溝部31に嵌挿された状態で、ローラー付き床構成材10Cに設けられた下部凸条23の当接下面24が中間床構成材10Aに設けられた係合部32の当接上面33に当接された状態で連結される。
【0040】
ローラー付き床構成材10Cと端部床構成材10Bは、
図4Cに示すように、端部床構成材10Bに設けられた上部凸条22がローラー付き床構成材10Cに設けられた嵌合溝部31に嵌挿された状態で、端部床構成材10Bに設けられた下部凸条23の当接下面24がローラー付き床構成材10Cに設けられた係合部32の当接上面33に当接された状態で連結される。
【0041】
中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bの連結の詳細について、中間床構成材10Aとローラー付き床構成材10Cの連結を代表として説明する。ローラー付き床構成材10Cに中間床構成材10Aを連結するには、中間床構成材10Aの端部脚部12b側を若干下方に傾けて嵌合溝部31をローラー付き床構成材10Cの上部凸条22の上方に配置する。そして、
図9及び
図9Aに示すように、中間床構成材10Aを押し込むことによって、ローラー付き床構成材10Cに設けられた上部凸条22が中間床構成材10Aに設けられた嵌合溝部31に嵌挿される際に、上部凸条22に設けられた傾斜面22aが嵌合溝部31の外側開口縁30aに摺接して上部凸条22が嵌合溝部31に嵌挿され、これに伴ってローラー付き床構成材10Cに設けられた下部凸条23の上部傾斜面23aと中間床構成材10Aに設けられた係合部32の下部傾斜面32aが摺接して下部凸条23の当接下面24と係合部32の当接上面33が当接する。このようにして、中間床構成材10Aとローラー付き床構成材10Cが連結される。
【0042】
なお、中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bを連結する手順としては、まず、端部床構成材10Bを固定部材50によって車両荷台1に固定する。次に、固定された端部床構成材10Bにローラー付き床構成材10Cを連結した後、ローラー付き床構成材10Cに中間床構成材10Aを連結し、中間床構成材10Aに隣接する中間床構成材10Aを連結する手順で行う。
【0043】
上記のようにして中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bの連結によって形成された床の車両後方R側の端部におけるローラー付き床構成材10Cに隣接する中間床構成材10Aには、荷物がエアーローラー40に載っている際のローラー付き床構成材10Cの負荷を低減する補強プレート60が設けられている(
図10参照)。この補強プレート60はローラー付き床構成材10Cの床板部18にねじ止めによって固定されている。また、補強プレート60が取り付けられていない中間床構成材10Aの端部には既存のパレットストッパー61を取り付けるストッパー補強プレート62が取り付けられている。このように構成することによって、補強プレート60は、荷物がパレットストパー61に衝突した際の衝撃をローラー付き床構成材10Cに伝え、その衝撃をローラー付床構成材10Cによって受け止めることで、衝撃による損傷等を防止することができる。
なお、床の車両前方Fと側及び車両後方R側の端部に取り付けられる端末プレート63は、中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bに設けられたビスポケット15に螺合する固定ねじ64によって固定される。
【0044】
上記のように構成される実施形態の床構造によれば、隣接する床構成材10A,10B,10Cの幅方向の端部面に設けられた上部凸条22が嵌合溝部31に嵌挿された際に、下部凸条23の当接下面24と係合部32の当接上面33とを当接して、床構成材10A,10B,10Cの幅方向の端部面同士を連結することができる。したがって、上部凸条22及び下部凸条23を薄肉にする必要がないため、床自体に高い強度を持たせることができると共に、水平方向及び垂直方向のがたつきを抑制することができ、施工性の向上が図れる。
【0045】
また、上部凸条22に設けられた傾斜面22aが嵌合溝部31の外側開口縁30aに摺接して上部凸条22が嵌合溝部31に嵌挿され、下部凸条23の上部傾斜面23aと係合部32の下部傾斜面32aが摺接して下部凸条23の当接下面24と係合部32の当接上面33を当接することで、中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10Cを上方から押し込むことによって床構成材10A,10B,10Cを連結することができるため、施工効率の向上が図れる。
【0046】
また、床の幅方向端部の端部床構成材10Bを、固定部材50によって車両荷台1に固定した状態で、固定された端部床構成材10Bを起点として順次ローラー付き床構成材10C、中間床構成材10Aを連結することができるため、床構成材10A,10B,10Cを床部1aに固定する必要がなく、施工効率の向上が図れる。
【0047】
また、中間床構成材10A、ローラー付き床構成材10C及び端部床構成材10Bは長手方向の寸法が異なる2種類の形材にて形成されており、隣接する床構成材同士は、長手方向において端部位置がずれた状態、所謂千鳥状に連結されているため、床における横方向の力に対して床構成材10A,10B,10Cのずれを抑制することができ、床自体に高い強度を持たせることができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、ローラーコンベア内蔵機能を有する車両荷台における床構造について説明したが、この発明に係る床構造は、ローラーコンベア内蔵機能を有しない床構造にも適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 車両荷台
10A 中間床構成材
10B 端部床構成材
10C ローラー付き床構成材
20 嵌合凸条
21 隙間
22 上部凸条
22a 傾斜面
23 下部凸条
23a 上部傾斜面
24 当接下面
30 嵌合凹溝
30a 外側開口縁
31 嵌合溝部
32 係合部
32a下部傾斜面
33 当接上面
50 固定部材
51 抱持部
55 固定ボルト
56 ナット