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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040577
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】斜面除草車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/86 20060101AFI20240318BHJP
   A01D 34/43 20060101ALI20240318BHJP
   B60K 5/02 20060101ALI20240318BHJP
   B60K 5/12 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A01D34/86
A01D34/43
B60K5/02 C
B60K5/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145010
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】390005234
【氏名又は名称】株式会社筑水キャニコム
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】包行 良光
(72)【発明者】
【氏名】上杉 まり
(72)【発明者】
【氏名】山崎 久興
【テーマコード(参考)】
2B083
3D235
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA12
2B083BA15
2B083DA02
2B083HA12
2B083HA52
2B083HA59
3D235AA16
3D235AA24
3D235BB18
3D235BB21
3D235CC03
3D235CC06
3D235CC46
3D235DD05
3D235DD09
3D235EE02
3D235FF02
3D235FF44
3D235HH12
3D235HH31
(57)【要約】
【課題】エンジン回動のための回転トルクを小さくでき、エンジンの傾斜角度に影響なくトルクが均等で装置の小型化が可能な斜面除草車両の提供
【解決手段】エンジン3を固定したベースフレーム4が、エンジン3のクラッチPTO軸3aを中心として下向き半円状に湾曲した複数本の湾曲レール5が車体フレーム6に設けた複数個のローラ7上を走行車体の幅方向線方向に回動自在に搭載され、車体フレーム6に備えたギヤモータ8の回動力を下向き半円状に湾曲したベースフレーム4に備えたラックギヤ9に伝えてベースフレーム4を回動させることで走行車体の傾斜に対しベースフレーム4を回動させてエンジン3の傾きを修正する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを固定したベースフレームが、エンジンのクラッチPTO軸を中心として下向き半円状に湾曲した複数本の湾曲レールが車体フレームに設けた複数個のローラ上を走行車体の幅方向線方向に回動自在に搭載され、
前記車体フレームに備えたギヤモータの回動力を下向き半円状に湾曲したベースフレームに備えたラックギヤに伝えてベースフレームを回動させることで走行車体の傾斜に対しベースフレームを回動させてエンジンの傾きを修正することを特徴とする斜面除草車両。
【請求項2】
請求項1記載の斜面除草車両において、前記車体フレームには、走行車体の傾斜角度センサと、該傾斜角度センサで検出された走行車体の傾斜角度信号に基づき、前記ギヤモータを駆動して走行車体の傾斜に対しベースフレームを回動させてエンジンの傾きを修正する制御手段を備えることを特徴とする斜面除草車両。
【請求項3】
請求項2記載の斜面除草車両において、前記制御手段は、エンジンオイル切れにならないエンジンの角度になるようにベースフレームの傾斜角度を制御することを特徴とする斜面除草車両。
【請求項4】
請求項1~3に記載の斜面除草車両において、
前記車体フレームに、前記ベースフレームのラックギヤにギヤ部を歯合するロータリーダンパを供えることを特徴とする斜面除草車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜面除草車両の斜面走行時にエンジンが傾斜することによるエンジンオイル切れによるエンジンの焼き付きを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、斜面除草作業を行う車両においては、動力源であるエンジンの搭載角度を変更可能に搭載し、電動シリンダの伸縮でエンジンを水平に保つことでエンジンの焼き付きを防止する機構を有した技術がある(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-87783号公報
【特許文献2】特開2020-142660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エンジンを回動させるために車体フレームに取り付けられた電動シリンダの伸縮で行なうが、回動させるための作用点が中心より離れた位置になるほど電動シリンダの伸縮ストロークは長いものが必要となり装置全体が大きくなってしまうという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明では、エンジン回動のための回転トルクを小さくでき、エンジンの傾斜角度に影響なくトルクが均等で装置の小型化が可能な斜面除草車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の斜面除草車両は、エンジンを固定したベースフレームが、エンジンのクラッチPTO軸を中心として下向き半円状に湾曲した複数本の湾曲レールが車体フレームに設けた複数個のローラ上を走行車体の幅方向線方向に回動自在に搭載され、
前記車体フレームに備えたギヤモータの回動力を下向き半円状に湾曲したベースフレームに備えたラックギヤに伝えてベースフレームを回動させることで走行車体の傾斜に対しベースフレームを回動させてエンジンの傾きを修正することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の斜面除草車両は、請求項1記載の斜面除草車両において、前記車体フレームには、走行車体の傾斜角度センサと、該傾斜角度センサで検出された走行車体の傾斜角度信号に基づき、前記ギヤモータを駆動して走行車体の傾斜に対しベースフレームを回動させてエンジンの傾きを修正する制御手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の斜面除草車両は、請求項2記載の斜面除草車両において、前記制御手段は、エンジンオイル切れにならないエンジンの角度になるようにベースフレームの傾斜角度を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の斜面除草車両は、請求項1~3に記載の斜面除草車両において、
前記車体フレームに、前記ベースフレームのラックギヤにギヤ部を歯合するロータリーダンパを供えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の斜面除草車両では、上述のように、エンジン回動のためのベースフレームのラックギヤは、エンジンの回動中心より離れた位置に配置されるため、回動トルクを小さくでき、さらに、エンジン傾斜角度に影響なく均等なトルクでギヤモータは駆動できるので、装置自体を小型化することができるという効果が得られる。
【0011】
また、複数個のローラでエンジンの重量を受け、部品配置を分散化したことで、傾斜面に有利な低重心化を図ることができるという効果が得られる。
【0012】
また、走行車体の傾斜角度センサとエンジンの傾きを修正する制御手段を備えることで、自動でエンジンの傾きを正しく修正することができる。
【0013】
また、ベースフレームのラックギヤにギヤ部を歯合するロータリーダンパを供えることで、ラックギヤにかかる回動力をロータリーダンパにて抑制することで、ギヤモータやラックギヤのギヤ部にかかる衝撃を緩和し破損を防止することができる。
また、ロータリーダンパによりギヤ部に設けたバックラッシュによるエンジンの小さな揺れを抑制しエンジンの振動を低減する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の斜面除草車両を示す正面図である。
図2】同背面図である。
図3】同平面図である。
図4】同側面図である。
図5】エンジンチルト装置(地面平坦時)を示す正面図である。
図6】エンジンチルト装置(地面右傾斜時)を示す背面図である。
図7】エンジンチルト装置(地面左傾斜時)を示す背面図である。
図8】実施例1の斜面除草車両を示す側面図である。
図9】実施例1の斜面除草車両におけるモア装置の詳細を示す平面図である。
図10】モア装置における除草装置の通常位置を示す平面図である。
図11】モア装置における除草装置のスライド位置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
【実施例0016】
まず、この実施例1の斜面除草車両を図面に基づいて説明する。
この実施例1の斜面除草車両は、図1~4に示すように、走行駆動装置1と、除草装置2と、除草装置2を駆動するエンジン3のエンジンチルト装置と、除草装置2のモア装置と昇降装置を主な構成として備えている。
【0017】
前記走行駆動装置1は、走行駆動モータ(アキシャルモータ)1aで駆動される無限軌道1bで走行車体を前後方向に走行駆動させる。
走行装置1の駆動操作は遠隔操縦で行われる。
【0018】
前記除草装置2は、刈刃2aを備え、走行車体の前側にモア装置と昇降装置を介して設けられている。
【0019】
前記エンジンチルト装置は、傾斜面での除草作業時に、走行車体の傾斜に対し、エンジン3の傾斜を水平方向に修正する装置であり、このエンジンチルト装置は、図5~9に示すように、エンジン3を固定したベースフレーム4が、モアクラッチ41のクラッチPTO軸4aを中心として下向き半円状に湾曲した複数本の湾曲レール5が車体フレーム6に設けた複数個のローラ7上を走行車体の幅方向線方向に回動自在に搭載されている。
【0020】
また、前記車体フレーム6に備えたギヤモータ8のピニオンギヤ8aの回動力を下向き半円状に湾曲したベースフレーム4に備えたラックギヤ9に伝えてベースフレーム4を回動させることで走行車体の傾斜に対しベースフレーム4を回動させてエンジン3の傾きを修正するように構成されている。
【0021】
また、前記車体フレーム6には、図8に示すように、走行車体の傾斜角度センサ10と、該傾斜角度センサ10で検出された走行車体の傾斜角度信号に基づき、前記ギヤモータ8を駆動して走行車体の傾斜に対しベースフレーム4を回動させてエンジン3の傾きを修正する制御手段11を備える。
【0022】
また、前記制御手段11は、エンジンオイル切れにならないエンジン3の角度になるように走行車体の傾斜角度の変化に対しベースフレーム4の傾斜角度を制御する。
【0023】
また、前記車体フレーム6には、前記ベースフレーム4のラックギヤ9にギヤ部12aを歯合するロータリーダンパ12を供えている。
【0024】
前記モア装置は、除草装置2を駆動するエンジン3を備えた走行車体に対し除草装置2を走行車体の幅方向にスライドさせる装置である。
即ち、図9~11に示すように、前記除草装置2のモアカバー2bの内側には刈刃用回転軸45が装着され、モアカバー2b両側面にスライドリンク2d上下2本を橋渡した構造でモアカバー2bが支持されている。
また、除草装置2のモアカバー2bの内側に刈刃用回転軸45が装着され、モアカバー2b両側面にスライドリンク2d上下2本を橋渡した構造でモアカバー2bが支持されている。
【0025】
また、前記除草装置2は、走行車体の先端で回動支点13aを中心として上下回動自在な昇降リンク13を備え、該昇降リンク13の先端が前記スライドリンク2cに対し、樹脂ブッシュ(ドーナツ型)13bを介して滑動自在に接続されている。
前記モア装置における除草装置2のスライドは手動で行われる。また、樹脂ブッシュ(ドーナツ型)13bにはスライドを停止させるスライドロックピン13cを備えている。
【0026】
また、前記除草装置2は、前記昇降リンク13内に備えた昇降油圧シリンダ13dの駆動により走行車体に対しスライドリンク2dを介して昇降可能となっている。なお、図8において13eは油圧ポンプ、13fはオイルクーラである。
【0027】
また、図9に示すように、エンジン3の駆動力が→モアクラッチ41→ユニバールジョイント42→ギヤボックス43→駆動軸44・・・→刈刃用回転軸(モア軸)45を介して刈刃装置2の刈刃2aに伝達される。
【0028】
次に実施例1の斜面除草車両におけるエンジンチルト装置の作用について説明する。
この実施例1のエンジンチルト装置は、地面Gの平坦時においては、図5に示すように、エンジン3は水平状態に維持されている。
また、図6に示すように、地面Gの右傾斜時においては、走行車体の傾斜角度センサ10で走行車体の傾斜角度の変化を検出し、この検出データに基づき、制御手段11がギヤモータ8のピニオンギヤ8aを右回転方向に回転駆動し、ラックギヤ9に噛合したラックギヤを右回転方向に回動させてベースフレームを湾曲レールに沿って左回転方向に回転させ、これにより、エンジンの傾きを水平方向に修正する。
また、図7に示すように、地面Gの左傾斜時においては、走行車体の傾斜角度センサ10で走行車体の傾斜角度の変化を検出し、この検出データに基づき、制御手段11がギヤモータ8のピニオンギヤ8aを左回転方向に回転駆動し、ラックギヤ9に噛合したラックギヤを左回転方向に回動させてベースフレームを湾曲レールに沿って、右回転方向に回転させ、これにより、エンジンの傾きを水平方向に修正する。
【0029】
次に実施例1の効果を説明する
本発明実施例の斜面除草車両では、上述のように、エンジン回動のためのベースフレーム4のラックギヤ9は、エンジン3の回動中心より離れた位置に配置されるため、回動トルクを小さくでき、さらに、エンジン3の傾斜角度に影響なく均等なトルクでギヤモータ8は駆動できるので、装置自体を小型化することができるという効果が得られる。
【0030】
また、複数個のローラ7でエンジン3の重量を受け、部品配置を分散化したことで、傾斜面に有利な低重心化を図ることができるという効果が得られる。
【0031】
また、走行車体の傾斜角度センサ10とエンジンの傾きを修正する制御手段を備えることで、自動でエンジンの傾きを正しく修正することができる。
【0032】
また、ベースフレーム4のラックギヤ9にギヤ部を歯合するロータリーダンパ12を供えることで、ラックギヤ9にかかる回動力をロータリーダンパ12にて抑制することで、ギヤモータ8やラックギヤ9のギヤ部にかかる衝撃を緩和し破損を防止することができる。
また、ロータリーダンパ12によりギヤ部に設けたバックラッシュによるエンジン3の小さな揺れを抑制しエンジン3の振動を低減する効果が得られる。
【0033】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0034】
例えば、実施例1では、無限軌道を用いたが、これには限定されず車輪でも良い。
【符号の説明】
【0035】
1 走行駆動装置
1a 走行駆動モータ(アキシャルモータ)
1b 無限軌道
2 除草装置
2a 刈刃
2b モアカバー
2c スライドリンク
3 エンジン
4 ベースフレーム
41 モアクラッチ
42 ユニバーサルジョイント
43 ギヤボックス
44 駆動軸
45 刈刃用回転軸(モア軸)
5 湾曲レール
6 車体フレーム
7 ローラ
8 ギヤモータ
8a ピニオンギヤ
9 ラックギヤ
10 傾斜角度センサ
11 制御手段
12 ロータリーダンパ
12a ギヤ部
13 昇降リンク
13a 回動支点
13b 樹脂ブッシュ(ドーナツ型)
13c スライドロックピン
13d 昇降油圧シリンダ
13e 油圧ポンプ
13f オイルクーラ
G 地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11