(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040581
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】外壁構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/80 20060101AFI20240318BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
E04B1/80 100P
E04B1/94 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145016
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄介
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA02
2E001DB04
2E001DD01
2E001DD02
2E001DE03
2E001FA04
2E001GA24
2E001GA42
2E001GA45
2E001HA33
2E001HD02
2E001HD03
2E001HD09
2E001HF01
2E001HF05
(57)【要約】
【課題】断熱性能を高めつつ防炎性能を向上できる外壁構造を提供する。
【解決手段】この外壁構造では、柱の屋外側に配置された外張り断熱材7の屋外面側に外装材8が位置し、外張り断熱材7の屋内面側に胴縁構造部6が位置する。胴縁構造部6は、水平方向に間隔をあけて配置された縦下地胴縁6a間に空気層61を有しており、縦下地胴縁6aの上部側に配置された上側横下地胴縁6bおよび縦下地胴縁6aの下部側に配置された下側横下地胴縁6cによって、空気層61の上部側および下部側が閉鎖されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱の屋外側に配置された外張り断熱材の屋外面側に外装材が位置し、上記外張り断熱材の屋内面側に胴縁構造部が位置しており、
上記胴縁構造部は、水平方向に間隔をあけて配置された縦下地胴縁間に空気層を有しており、上記縦下地胴縁の上部側に配置された上側横下地胴縁および上記縦下地胴縁の下部側に配置された下側横下地胴縁によって、上記空気層の上部側および下部側が閉鎖されていることを特徴とする外壁構造。
【請求項2】
請求項1に記載の外壁構造において、上記下側横下地胴縁は、金属製であることを特徴とする外壁構造。
【請求項3】
請求項2に記載の外壁構造において、上記下側横下地胴縁は、水を滴下させる開口部を有することを特徴とする外壁構造。
【請求項4】
請求項3に記載の外壁構造において、上記下側横下地胴縁は、縦断面が凹状であることを特徴とする外壁構造。
【請求項5】
請求項1に記載の外壁構造において、上記外張り断熱材は、板状の発泡性樹脂からなることを特徴とする外壁構造。
【請求項6】
請求項1に記載の外壁構造において、上記胴縁構造部の屋内面側に透湿防水シートが位置することを特徴とする外壁構造。
【請求項7】
請求項1に記載の外壁構造において、上記胴縁構造部よりも屋内側となる位置に、桟部材間に断熱材が位置する桟構造部を備えることを特徴とする外壁構造。
【請求項8】
請求項7に記載の外壁構造において、上記桟構造部の屋内面側に、気密シートが位置することを特徴とする外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断熱性を有する外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、外装材と屋内面材との間に空気層を設けた外壁構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5443685号
【特許文献2】特許第3906061号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示された外壁構造は、上記空気層を通気層として利用する構造であるため、隣家からの炎を上記通気層が取り込んで炎が上部側に上がるおそれがある。
【0005】
この発明は、断熱性を高めつつ防炎性能を向上できる外壁構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の外壁構造は、柱の屋外側に配置された外張り断熱材の屋外面側に外装材が位置し、上記外張り断熱材の屋内面側に胴縁構造部が位置しており、
上記胴縁構造部は、水平方向に間隔をあけて配置された縦下地胴縁間に空気層を有しており、上記縦下地胴縁の上部側に配置された上側横下地胴縁および上記縦下地胴縁の下部側に配置された下側横下地胴縁によって、上記空気層の上部側および下部側が閉鎖されていることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、上記外張り断熱材の屋内面側に位置する上記胴縁構造部において、上記縦下地胴縁間に形成された空気層の上部側および下部側が上記上側横下地胴縁および上記下側横下地胴縁によって閉鎖されるため、当該空気層は通気層とはならず、断熱性能および防炎性能が向上する。
【0008】
上記下側横下地胴縁は、金属製であってもよい。これによれば、上記下側横下地胴縁が木製である構造よりも防炎性能が向上する。
【0009】
上記下側横下地胴縁は、水を滴下させる開口部を有してもよい。これによれば、上記空気層内の上記下側横下地胴縁上の水を屋外に排出することができる。また、上記開口部を有することで、上記空気層内と外気との間の気圧差が小さくなり、外気中の湿気の引き込みを抑制することもできる。
【0010】
上記下側横下地胴縁は、縦断面が凹状であってもよい。これによれば、水が上記開口部から排出されるまでの間、この凹状の下側横下地胴縁内に留め置くことができる。
【0011】
上記外張り断熱材は、板状の発泡性樹脂からなっていてもよい。これによれば、この外張り断熱材によって、外気中の湿気や水分の屋内側への透過を抑制することができる。
【0012】
上記胴縁構造部の屋内面側に透湿防水シートが位置してもよい。これによれば、上記胴縁構造部よりも屋内側に存在する湿気を当該胴縁構造部内の上記空気層内へと排出するとともに、上記空気層内の水分が屋内側へ移動するのを防止できる。
【0013】
上記胴縁構造部よりも屋内側となる位置に、桟部材間に断熱材が位置する桟構造部を備えてもよい。これによれば、さらに断熱性能を向上できる。
【0014】
上記桟構造部の屋内面側に、気密シートが位置してもよい。これによれば、室内の湿気や水が上記桟構造部側へ移動するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明であれば、外張り断熱構造において、断熱性能をより高めつつ防炎性能を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の外壁パネルを構成する屋内側板材を示すとともにこの屋内側板材の屋外側に位置する気密シートの配置を示した説明図である。
【
図2】
図1の気密シートの屋外側に位置する桟構造部を示すとともにこの桟構造部の屋外側に位置する板材の配置を示した説明図である。
【
図3】
図2の板材の屋外側に位置する透湿防水シートを示すとともにこの透湿防水シートの屋外側に位置する胴縁構造部の配置を示した説明図である。
【
図4】
図3の胴縁構造部の屋外側に位置する外張り断熱材を示すとともにこの外張り断熱材の屋外側に位置する外装材の配置を示した説明図である。
【
図5】実施形態の外壁パネルの下角部を拡大して示した斜視図である。
【
図6】実施形態の外壁パネルの下側横下地胴縁の端部分を拡大して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態の外壁パネル(外壁構造)において、合板、石こうボード、パーチクルボード等からなる屋内側の板材1の屋外面側には、気密シート2が貼付されている。この気密シート2は、水および空気の両方に対して非透過の特性を有する。
【0018】
また、
図2に示すように、気密シート2の屋外面側には、桟構造部3が位置している。この桟構造部3は、水平方向に間隔をあけて配置された複数の縦木桟(桟部材)3aと、縦木桟3aの上部側に配置された上側横木桟(桟部材)3bと、縦木桟3aの下部側に配置された下側横木桟(桟部材)3bと、を備える。縦木桟3a間には、断熱材31が設けられている。この断熱材31は、例えば、グラスウールからなる。また、桟構造部3の屋外面側には、板材4が位置している。板材4は例えば合板からなる。
【0019】
また、
図3に示すように、板材4の屋外面側には、透湿防水シート5が貼付されている。透湿防水シート5は、湿気は通すが水は通さない特性を有する。さらに、透湿防水シート5の屋外面側には、胴縁構造部6が位置している。この胴縁構造部6は、水平方向に間隔をあけて配置された縦下地胴縁6a間に、空気層61を有する。この空気層61は、縦下地胴縁6aの上部側に配置された上側横下地胴縁6bおよび縦下地胴縁6aの下部側に配置された下側横下地胴縁6cによって、上部側および下部側が閉鎖されている。この実施形態では、胴縁構造部6の縦下地胴縁6aおよび上側横下地胴縁6bは木製であるが、胴縁構造部6の下側横下地胴縁6cは金属製としている。
【0020】
また、
図4に示すように、胴縁構造部6の屋外面側には、外張り断熱材7が位置している。この外張り断熱材7は、板状の硬質発泡性樹脂からなり、例えば、ウレタン樹脂板、フェノール樹脂板、ポリスチレン樹脂板等が用いられる。さらに、外張り断熱材7の屋外面側に、タイル、サイディング等の外装材8が配置される。外装材8は、例えば、長ビスによって、胴縁構造部6に留め付けられるか、さらには、胴縁構造部6を貫通して桟構造部3に留め付けられる。
【0021】
図5および
図6に示すように、胴縁構造部6の下側横下地胴縁6cは、屋外側立上部と、屋内側立上部と、これら屋外側立上部と屋内側立上部とを下側で繋ぐ底板部とを、有しており、縦断面が凹状となっている。また、上記屋内側立上部の方が上記屋外側立上部よりも高くなっている。さらに、下側横下地胴縁6cの上記底板部には、水を滴下させる開口部6dが複数個形成されている。開口部6dの直径は、例えば、5mm~15mm程度である。また、開口部6dは、各縦下地胴縁6a間に例えば2個ずつ形成されている。
【0022】
上記の構成であれば、外張り断熱材7の屋内面側に位置する胴縁構造部6において、上記縦下地胴縁6a間に形成された空気層61の上部側および下部側が上記上側横下地胴縁6bおよび上記下側横下地胴縁6cによって閉鎖されるため、当該空気層61は通気層とはならず、断熱性能および防炎性能が向上する。
【0023】
下側横下地胴縁6cが金属製であると、当該下側横下地胴縁6cが木製である構造よりも、さらに防炎性能が向上する。
【0024】
下側横下地胴縁6cが開口部6dを有すると、空気層61内の下側横下地胴縁6c上の水を屋外に排出することができる。また、開口部6dを有することで、空気層61内と外気との間の気圧差が小さくなり、外気中の湿気の引き込みを抑制することができる。
【0025】
下側横下地胴縁6cの縦断面が凹状であると、水が開口部6dから排出されるまでの間、当該下側横下地胴縁6c内に水を留め置くことができる。
【0026】
外張り断熱材7が板状の発泡性樹脂からなっていると、外張り断熱材7によって、外気中の湿気の屋内側への透過を抑制することができる。
【0027】
胴縁構造部6の屋内面側に透湿防水シート5が位置すると、胴縁構造部6よりも屋内側の湿気を当該胴縁構造部6内の空気層61内へと排出するとともに、空気層61内の水分が屋内側へ移動するのを防止できる。
【0028】
胴縁構造部6よりも屋内側となる位置に、桟部材間に断熱材31が位置する桟構造部3を備えると、さらに断熱性能を向上できる。
【0029】
上記桟構造部3よりも屋内面側に、気密シート2が位置していると、室内側の湿気や水が桟構造部3側へ移動するのを抑制できる。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 :板材
2 :気密シート
3 :桟構造部
3a :縦木桟
4 :板材
5 :透湿防水シート
6 :胴縁構造部
6a :縦下地胴縁
6b :上側横下地胴縁
6c :下側横下地胴縁
6d :開口部
7 :外張り断熱材
8 :外装材
31 :断熱材
61 :空気層