(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040588
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】洗濯ばさみ
(51)【国際特許分類】
D06F 55/00 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
D06F55/00 B
D06F55/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145028
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】521322155
【氏名又は名称】小田 直子
(74)【代理人】
【識別番号】500479670
【氏名又は名称】小田 基
(72)【発明者】
【氏名】小田 基
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物干し竿に架けられた洗濯物を竿越しに挟持する機能と強風の際にハンガーが飛ばされないように、ハンガーを吊り下げることができる洗濯ばさみを提供する。
【解決手段】洗濯ばさみ1は、挟み片10と挟み片20を対とし、連結回動部2と2つのスプリング3により挟持部13と摘まみ部23が接近する。把握部12と把握部22を手で掴み、挟持部材11と挟持部材21を開いたのち、洗濯物を把握部13と把握部23で挟んで掴み洗濯物を固定する。挟持部材11が連結回動部2から挟持部13へ二股に分かれている構造に対し、挟持部材21が連結回動部2から挟持部23は1本の構造となる。把握部12には、貫通穴14が明けられており、本洗濯ばさみ1でハンがーを吊るす際は、挟持部材11と挟持部材21で物干し竿を掴み、貫通穴14にハンガーを掛けて吊るすこともできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の挟み片を向かい合わせに対峙させ、その中間部分を連結用回動部として結合させ、一方に開閉操作用の把持部と、他方に挟持部を有し、両挟み片を弾圧部材で挟着面同士が近接する方向に付勢された洗濯ばさみであって、連結用回動部から挟持部への一対の挟み片が食い違うよう構成され、挟み片の開閉操作用の挟持部材、及び挟持部が当接しないことを特徴とした洗濯ばさみ。
【請求項2】
前記連結用回動部の近傍から前記挟持部の先端部に到るまでの挟持部材が、挟持する方向に略円弧形状に湾曲していることを特徴とした請求項1記載の洗濯ばさみ。
【請求項3】
前記弾圧部材を1ないし複数設けたことを特徴とした請求項1または請求項2に記載の洗濯ばさみ。
【請求項4】
前記把持部の片方、或いは双方に貫通穴を設けたことを特徴とした請求項1、2または3のいずれか1項記載の洗濯ばさみ。
【請求項5】
前記挟持部材の挟持面側の先端に、挟持部を設けたことを特徴とした請求項1~4項のいずれか1項記載の洗濯ばさみ。
【請求項6】
前記挟持部の挟持面側において、挟着面同士が近接する方向に面取り加工を施したことを特徴とした請求項5記載の洗濯ばさみ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品、例えば洗濯物や物干し竿を挟持する洗濯ばさみに関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯物をハンガー又は竿等に係止させる場合、一般に洗濯ばさみが使用される。洗濯ばさみは一対の挟み片を備え、挟み片の中間部分を連結回動部として結合、連結してある 。その挟み片の端部の片側は把握部に、反対側の端部は挟持部となっており、スプリングなどの力により挟持部が接近させてある。
そして、使用する際は、把握部を手で掴み、挟持部を開いたのち、洗濯物を挟持部に挟んで掴むことで洗濯物を固定する。
【0003】
しかしながら、洗濯物はその大きさ、布地の厚さなど千差万別であり、また、洗濯ばさみで洗濯物を挟んで掴む際も、単に洗濯物を掴むだけでなく、洗濯物をハンガーに固定したり、物干し竿に固定するために洗濯ばさみを使用したりもする。そのため、多くの種類の洗濯ばさみが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-160124
【特許文献2】特開2005-103143
【0005】
この問題を解決するために、特許文献1に記された「洗濯ばさみ」が考案されている。これは一対の挟み片の挟持部先端から連結部手前までの凹型の溝部を設け、単に洗濯物を挟む機能だけでなく、この前記溝部にてハンガーの吊り下げ部を入れることで、ハンガーの吊り下げ位置を物干し竿に固定する機能を併せ持った洗濯ばさみとなっている。
【0006】
しかし特許文献1に記された「洗濯ばさみ」は、ハンガーを物干し竿に固定する機能を追加するため、挟み片の挟持部先端から連結部手前までと、広範囲にわたり大きな凹型の溝部を設けている。そのため挟み片の連結部から挟持部までの強度を確保する必要がありコスト高となる。
【0007】
また、特許文献2に記された「洗濯ばさみ」も考案されている。この洗濯ばさみは、開閉操作する把握部に対し、二股の挟持部を持ち、それぞれ別のスプリングで挟持部を開閉する洗濯ばさみとなっている。
これにより、物干し竿に架けられた洗濯物を竿越しに挟持する際にそれぞれ厚さが大きく異なる二つの洗濯ものを同時に掴むことができる機能を併せ持った洗濯ばさみとなっている。
【0008】
しかしながら特許文献2の「洗濯ばさみ」は、厚さが大きく異なる二つの洗濯ものを竿越しに挟持する機能のために、洗濯ばさみが大きく、使い辛いものとなっている。また、そもそも厚さが大きく異なる二つの洗濯物を同時に掴むケースもそれほど多いとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、物干し竿に架けられた洗濯物を竿越しに挟持する機能とともに、強風の際にハンガーが飛ばされないように、ハンガーを吊り下げることができること、更には、物干し竿だけでなく、物干し台の支柱や、ベランダの手すりなど垂直の支柱にハンガーを吊るして洗濯物を干すことができる洗濯ばさみを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、請求項1及至請求項6の本発明の洗濯ばさみは、一対の挟み片の挟持部が、片方は二股に分かれ2本となっているのに対し、もう片方は1本のままで食い違っていて当接しない形態を基本の特徴とし、更に、回動部近傍から挟持部の先端部に到るまでの挟持部材が挟持する方向に円弧形状に湾曲している特徴と、一対の挟み片の開閉操作する把持部にハンガーを吊るす穴を明けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗濯ばさみによれば、挟持部が食い違い当接しない形態と、挟持部材が挟持する方向に円弧形状に湾曲している特徴から、ほぼ太さが決められている物干し竿に限らず、細い支柱から太い支柱まで掴むことができる。また、本発明の洗濯ばさみは、挟持部の開閉操作をする把握部にハンガーを吊るす穴が明けられている。
これにより物干し竿に架けられた洗濯物を竿越しに挟持するだけでなく、例えば、ベランダの手すりなど垂直の支柱を本発明の洗濯ばさみで掴み、把握部に設けられたハンガーを吊るす穴に洗濯物を掛けたハンガーを吊るすことで、垂直の支柱にも洗濯物を干すことができる。
更には、物干し竿を掴み、把握部にハンガーを吊るせば強風の際にハンガーを飛ばされないようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る絵馬について、
図1及至
図10を参照しつつ詳細に説明する。
尚、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する
【実施例0014】
図1は、本実施例に係る洗濯ばさみの斜視図を示す。
図1で示すように本洗濯ばさみ1は、挟み片10と挟み片20を対とし、連結回動部2と、2つのスプリング3により挟持部13と挟持部23が接近するようになっている。
使用する際は、把握部12と把握部22を手で掴み、挟持部材11と挟持部材21を開いたのち、洗濯物を把握部13と把握部23で挟んで掴み洗濯物を固定する。
【0015】
ここで洗濯ばさみ1の特徴は、挟持部材11が連結回動部2から挟持部13にかけて二股に分かれている構造に対し、挟持部材21が連結回動部2から挟持部23へは1本の構造となっている。そのため、それぞれの挟持部13と挟持部23は近接するものの接触せず食い違うこととなる。
【0016】
尚、把握部12には、貫通穴14が明けられており、洗濯ばさみ1でハンがーを吊るす際は、挟持部材11と挟持部材21で物干し竿などを掴み、貫通穴14にハンガーを掛けることで吊るすこともできるようになっている。
【0017】
図2に洗濯ばさみ1の側面図を示す。
洗濯ばさみ1を使用する際は、挟み片10の把握部12と、挟み片20の把握部22を手で掴み、それぞれF1、F2に力を加えて動作することで、連結回動部2を中心に挟持部材11と挟持部材21がそれぞれM1、M2のように開く。
この時、挟持部材11と挟持部材21は挟持する方向に円弧形状に湾曲している。そのため、F1、F2の力を抜くとスプリング3により前記円弧形状に湾曲している挟持部材11と挟持部材21の部分にて太いものから細いものまで、対象の太さにかかわらずしっかり摘むことができる。
【0018】
図3は洗濯ばさみ1の上面図を示す。
前述で説明のように、本洗濯ばさみ1の特徴は挟持部材11の挟持部13と、挟持部材21の挟持部23が近接するものの接触せず食い違うことである。
本実施例では挟持部材11が挟持部13に向けて二股に分かれているものの、挟持部材21の挟持部23は1本のままになっている。そのため挟持部13と挟持部23は近接するものの食い違って接触しない構造となっている。
【0019】
ここで本実施例の洗濯ばさみ1では、挟持部材11の二股に対し、挟持部材21が1本でとなっているが、双方の挟持部材が食い違えば挟持部材11と挟持部材21で太いものから細いものまで、対象の太さにかかわらずしっかり摘むことができる。そのため本実施例の二股と1本に限らず、二つの挟持部材が櫛歯状でズレているなどして食い違っていても問題ない。
【0020】
図4は本洗濯ばさみ1の下面図を示す。
本
図4においても、挟持部材11と挟持部材21のそれぞれの挟持部13と挟持部23は近接するものの接触していないことが理解できる。
尚、スプリング3においては、本実施例では2本使用して、挟持部材11側では2ヶ所、挟持部材21側では、2本を1ヶ所での固定としたが、前記スプリングの本数や固定部位なども本実施例に限定されることはない。
【0021】
図5は、前記挟持部側から見た洗濯ばさみ1の正面図と、その挟持部の詳細を示す。
洗濯ばさみ1では、挟持部13と挟持部23が食い違っているため、挟持部が接近して閉じた場合に、二股側の2つの挟持部13の間に挟持部23が入り込んだ形態となる。
【0022】
その動作を右の《挟持部の詳細》に示す。
前述の挟持部13の間に挟持部23が入り込む際、図示のmの方向に入り込んでいく。この動作のため、挟持部13には角度xの面取り15、挟持部23には角度yの面取り25が施してある。
この前記挟持部13の角度xの面取り15と挟持部23の角度yの面取り25は、挟持部13の間に挟持部23が入り込む際の引っ掛かりを防止する働きがあり、動作をスムーズにする作用がある。
【0023】
以上、本実施例の洗濯ばさみの構造について詳細に説明した。次に本実施例の洗濯ばさみで支柱を掴んだ状態について説明する。
【0024】
図6は本洗濯ばさみにて細い支柱を掴んだ際の上面視を示す。
図6に示すように、洗濯ばさみ1は、挟持部13と挟持部23が食い違っているため比較的細い支柱30を掴んだ際にも挟持部材11と挟持部材21で隙間なくしっかりつかむことができる。
【0025】
図7は洗濯ばさみ1で、前述の細い支柱30を掴んだ状態の側面視を示す。
本実施例で洗濯ばさみ1は挟持部材11が2本、挟持部材21が1本の3点支持で支柱30を掴んでいる。この3点支持は、物を掴む際の基本的な掴み方である。そのため洗濯ばさみ1は、支柱30を強固に安定して掴むことができるようになっている。
ここで、
図6、
図7において本洗濯ばさみが、比較的細い支柱を掴んだ状態について説明したが、本洗濯ばさみの特徴から、物干し竿など直径30mm以上の比較的太いものから、直径10mm程度の細いものまで3点支持で強固につかめることは言うまでもない。
【0026】
この前述の細い支柱を強固に掴めることは、本実施例の洗濯ばさみが物干し竿だけでなく水平、垂直の支柱なども掴めることになる。
【0027】
図8は、物干し竿でなく、ベランダの垂直の手すりに洗濯物を干す際の全体使用例と、洗濯ばさみがベランダの垂直の手すりを掴んでいるA部の拡大図を示す。
図8の《A部拡大図》において、洗濯ばさみ1は垂直の比較的細いベランダ手すり31を掴んだ状態を示している。この状態において、洗濯ばさみ1の貫通穴14にハンガー50を掛ければ、そのハンガーに洗濯物40を掛け干すことができる
【0028】
。
つまり、洗濯ばさみ1を使用することで、物干し竿を使用することなく洗濯物を干すことができる。これは、例えば洗濯物が多く、物干し竿だけでは干すことが難しい場合などにベランダなどの垂直の支柱を使って洗濯物を干すことができたり、逆に洗濯物が少量で物干し竿を準備するまでもない時に簡易的に干すこともできるようになる。
以上、本発明に係わる洗濯ばさみについて説明したが、本発明の洗濯ばさみは、一対の挟み片の挟持部が、片方は二股に分かれ2本となっているのに対し、もう片方は1本のままで食い違っていて当接しない形態を基本の特徴とし、更に、回動部近傍から挟持部の先端部に到るまでの挟持部材が挟持する方向に円弧形状に湾曲していることから、ほぼ太さが決められている物干し竿に限らず、細い支柱から太い支柱まで掴むことができる。