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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040597
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20240318BHJP
   D06F 25/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
D06F39/08 301B
D06F25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145037
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】余合 宏允
(72)【発明者】
【氏名】久野 功二
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AB06
3B165AB23
3B165AB24
3B165AB30
3B165BA56
3B165BA73
3B165CA01
3B165CA11
3B165CA15
3B165CA17
3B165CB01
3B165CB31
3B165CB36
3B165CB55
3B165CC02
3B165CD05
3B165CD15
3B165DW01
3B165DW03
3B165DW05
3B165EW01
3B165EW02
3B165EW04
3B165GA02
3B166AA02
3B166AB06
3B166AB23
3B166AB24
3B166AB30
3B166AE02
3B166BA56
3B166BA73
3B166CA01
3B166CA11
3B166CA15
3B166CA17
3B166CB01
3B166CB11
3B166CC02
3B166CD05
3B166CD15
3B166DA04
3B166DA34
3B166DC03
3B166DC33
3B166DC37
3B166DC43
3B166DC44
3B166DC45
3B166EA03
3B166EA12
3B166EA14
3B166EA18
3B166EB03
3B166EB17
3B166EC22
3B166ED01
3B166ED02
3B166ED05
3B166FB01
3B166GA12
3B166HA32
(57)【要約】
【課題】組立性が容易であり、小型のモータでも十分な洗濯工程を行なうことが可能な洗濯機を提供することである。
【解決手段】実施形態の洗濯機は、筐体と、水槽と、水槽カバーと、ドアベローズと、を持つ。筐体は、出入口を有する。出入口は、前後方向に洗濯物が出し入れ可能である。水槽は、筐体に収容され、開口部を有する。開口部は、出入口と対向する。水槽カバーは、開口部に沿って取り付けられ、前後方向に沿う中心軸を中心とする円環状である。ドアベローズは、水槽カバーの周方向に沿って、出入口と水槽カバーとを水密に接続する。ドアベローズは、衝撃吸収部を有する。衝撃吸収部は、一部を撓ませて形成された溝部が周方向に沿って形成される。溝部は、前後方向の後側が窪む。水槽カバーは、前後方向から見て、中心軸よりも左右方向の少なくとも一方側において、噴射孔を備える。噴射孔は、溝部に向かって噴射方向に水が噴射される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に洗濯物が出し入れ可能な出入口を有した筐体と、
前記筐体に収容され、前記出入口と対向する開口部を有する水槽と、
前記開口部に沿って取り付けられ、前記前後方向に沿う中心軸を中心とする円環状の水槽カバーと、
前記水槽カバーの周方向に沿って取り付けられ、前記出入口と前記水槽カバーとを水密に接続するドアベローズと、
を備え、
前記ドアベローズは、一部を撓ませて形成された溝部が前記周方向に沿って形成された衝撃吸収部を有し、
前記水槽カバーは、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも左右方向の少なくとも一方側において、前記溝部に向かって噴射方向に水が噴射される噴射孔を備える、
洗濯機。
【請求項2】
前記噴射方向に噴射される水の方向ベクトルは、水平ベクトルよりも鉛直ベクトルの方が大きい
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記噴射孔は、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも上下方向の下側に設けられた下側噴射孔を含む
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記噴射孔は、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも上下方向の上側に設けられた上側噴射孔を含む
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記水槽カバーは、第一流路と、前記第一流路と異なる第二流路とを備え、
前記噴射孔は、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも上下方向の上側に設けられ、前記第一流路に流れる水を噴射する上側噴射孔と、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも下側に設けられ、前記第二流路に流れる水を噴射する下側噴射孔と、を備える
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記噴射孔は、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも上下方向の上側の上側噴射孔と、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも下側の下側噴射孔と、を備えており、
前記下側噴射孔の数は、前記上側噴射孔の数よりも多い
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記溝部は、前記中心軸を向く内周側に設けられた内周面と、前記内周側と反対の外周側に設けられた外周面と、を有し、
前記左右方向の少なくとも一方に設けられた前記噴射孔は、前記溝部の前記外周面に向かって水を噴射する
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記噴射孔は、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも上下方向の下側に設けられた下側噴射孔を含み、
前記溝部は、前記中心軸を向く内周側に設けられた内周面と、前記内周側と反対の外周側に設けられた外周面と、を有し、
前記下側噴射孔は、前記溝部の前記内周面に向かって水を噴射する
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記噴射孔は、前記前後方向から見て、前記中心軸よりも上下方向の上側に設けられた上側噴射孔を含み、
前記溝部は、前記中心軸を向く内周側に設けられた内周面と、前記内周側と反対の外周側に設けられた外周面と、を有し、
前記上側噴射孔は、前記溝部の前記外周面に向かって水を噴射する
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記洗濯物を乾燥させる乾燥運転後に、前記噴射孔から前記溝部に向けて水を噴射させる行程を実行可能な制御装置をさらに備える
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記噴射孔から噴射される水は、温水である
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記噴射孔から噴射される水が排水される排水経路と、
前記排水経路に設けられたリントフィルタと、
をさらに備える
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗濯機内において、外槽の開口部(洗濯物の投入口)の周囲に設けられたゴム製のドアベローズの裏側に溜まるリント(洗濯物から発生する糸くず等のごみ)を、洗浄して除去する洗濯機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-85850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、清潔性の向上を図ることができる洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、筐体と、水槽と、水槽カバーと、ドアベローズと、を持つ。筐体は、出入口を有する。出入口は、前後方向に洗濯物が出し入れ可能である。水槽は、筐体に収容され、開口部を有する。開口部は、出入口と対向する。水槽カバーは、開口部に沿って取り付けられる。水槽カバーは、前後方向に沿う中心軸を中心とする円環状である。ドアベローズは、水槽カバーの周方向に沿って取り付けられる。ドアベローズは、出入口と水槽カバーとを水密に接続する。また、ドアベローズは、衝撃吸収部を有する。衝撃吸収部は、一部を撓ませて形成された溝部が周方向に沿って形成される。溝部は、前後方向の後側が窪む。水槽カバーは、前後方向から見て、中心軸よりも左右方向の少なくとも一方側において、噴射孔を備える。噴射孔は、溝部に向かって噴射方向に水が噴射される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の洗濯機の全体構成を示す断面図。
図2】第1実施形態の水槽カバーの後面を示す図。
図3】第1実施形態のドアベローズを示す断面図。
図4】第1実施形態のドアベローズに流入した水の流れを示す正面図。
図5図4のA-A方向からみた水槽カバーの上側噴射孔を示す断面図。
図6】(A)図4のB-B方向からみた水槽カバーの左側噴射孔を示す断面図。(B)図4のC-C方向からみた水槽カバーの右側噴射孔を示す断面図。
図7図4のD-D方向からみた水槽カバーの下側噴射孔を示す断面図。
図8図4のE-E方向からみた水槽カバーの排水口を示す断面図。
図9】第2実施形態の水槽カバーの後面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の洗濯機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」及び「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。本出願で「洗濯機」とは、洗濯乾燥機を含み得る。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の洗濯機1の全体構成を示す断面図である。洗濯機1は、ドラム式の洗濯機である。洗濯機1は、例えば、筐体11、扉12、水槽13、サスペンション14、ドアベローズ15、ドラム16、駆動モータ17、バランスリング18、及び制御装置100を有する。
【0009】
洗濯機1は、水平面に対して鉛直方向に設置される。一方、後述の水槽13は、本実施形態では、水平面に対してわずかに傾いた中心軸O1を中心とした円筒状に形成される。以降の説明において、水槽13の中心軸O1に沿う方向を前後方向Yという。なお、前後方向Yは、水平面方向であってもよい。図中において、前後方向Yの前側は+Y方向、後側は-Y方向である。また、前後方向Yに交差する上下方向を上下方向Zとする。上下方向Zは、鉛直方向に対して、わずかに傾いた方向である。上下方向Zにおいて、洗濯機1の上方を向く方向は、上側とし、下方を向く方向は、下側とする。図中において、上下方向Zの上側は+Z方向、下側は-Z方向である。また、前後方向Y及び上下方向Zに交差する方向を左右方向Xと定義する。左右方向Xの一方は、左側とし、他方は右側とする。図中において、右側は+X方向、左側は-X方向である。
【0010】
筐体11は、洗濯機1の外郭を形成する部材である。筐体11は、洗濯物が出し入れされる前後方向Yにおいて、前側に洗濯物が出し入れ可能な出入口11aを備える。
【0011】
出入口11aは、上下方向Z及び左右方向Xがなす面に沿って円形に開口している。また、筐体11は、給水ホースを介して水道栓に接続される給水口11bを有する。
【0012】
筐体11には、操作パネルPが設けられている。操作パネルPは、洗濯機1に関するユーザの操作を受け付ける操作受付部である。操作パネルPは、特に限定されないが、例えば、表示画面を含む液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。
【0013】
扉12は、筐体11の前側の出入口11aを開閉可能に閉じる部材である。扉12は、筐体11の出入口11aと同様の円形である。筐体11の出入口11aに対する扉12の開閉は、筐体11に設けられた開閉検知センサ等によって検出される。
【0014】
水槽13は、筐体11に収容されている。水槽13は、当該水槽13の底部13dの左右方向Xに設けられた一対のサスペンション14により弾性的に支持されている。本実施形態では、水槽13は、水槽本体21と、水槽カバー22と、注水カバー23とを有する。
【0015】
水槽本体21は、中心軸O1を中心として、後側に底部を有する有底円筒状に形成されており、水を溜めることができる。水槽本体21の底部は、水槽13の底部13dである。水槽本体21は、前側に出入口11aと対向する開口部21aを備える。開口部21aは、「水槽の開口部」の一例である。以降の説明において、水槽本体21の内周側である中心軸O1側を内周側P1とし、内周側P1の反対側を外周側P2とする。なお、中心軸O1は、後述のドラム16の回転軸に合わせて、洗濯機1の前後方向Yに沿って、後側が前側よりも水平面に対して低くなる(下側になる)ように傾斜している。
【0016】
水槽カバー22は、水槽本体21の前側の開口部21aの周方向に沿って取り付けられており、前後方向Yに沿う中心軸O2を中心とする円環状に形成されている。ここで、本実施形態においては中心軸O2は、中心軸O1と同じ方向である。そのため、中心軸O2は、中心軸O1ともいう。ただし、中心軸O2は、中心軸O1と同じ方向でなくてもよい。水槽カバー22は中心に円形状の開口部22aを有する。
【0017】
図2は、水槽カバー22の後面22gを示す図である。水槽カバー22の後側に設けられた後面22gは、循環水流入口13cと、溝25と、複数(例えば2つ)の洗浄口26A,26Bと、仕切り27と、複数の噴射孔28と、洗浄水流入口29と、第一排水口29aと、を有する。
【0018】
循環水流入口13cは、後述する循環ポンプ62により循環される水が水槽13の外部から流入する。循環水流入口13cは、水槽カバー22の中心軸O2を水平方向に通る中心線L1よりも下側に配置されている。
【0019】
溝25は、水槽カバー22の後面22gに設けられた溝であり、例えば水槽カバー22の外周に沿うように円弧状に延びている。溝25は、循環水流入口13cと複数の洗浄口26A,26Bとを接続する。溝25は、水槽カバー22の後面22gが注水カバー23によって覆われることで、後述する内部循環経路61bを形成する。
【0020】
洗浄口26A,26Bは、循環水流入口13cから流入して溝25を流れた水を、水槽13の内部にシャワー状に噴射する穴である。洗浄口26A,26Bは、水槽カバー22の後面22gが注水カバー23によって覆われることで形成される。例えば2つの洗浄口26A,26Bは、水槽カバー22の中心軸O2を水平方向に通る中心線L1よりも上側に配置されるとともに、水槽カバー22の中心軸O2を鉛直方向に通る中心線L2に対して、左右対称に配置されている。
【0021】
仕切り27は、溝25の内部に設けられている。仕切り27は、例えば、溝25の内面から後方に突出したリブである。仕切り27は、溝25の内部を円弧状に延びている。仕切り27は、溝25の内部を、循環水流入口13cと洗浄口26Aとを接続する第一流路25aと、循環水流入口13cと洗浄口26Bとを接続する第二流路25bとに仕切る。これにより、循環水流入口13cから流入する水Wの一部(循環水W1)は、循環水流入口13cから第一流路25aを流れて洗浄口26Aから水槽13の内部に噴射される。一方で、循環水流入口13cから流入する水Wの別の一部(循環水W2)は、循環水W1とは独立して、循環水流入口13cから第二流路25bを流れて洗浄口26Bから水槽13の内部に噴射される。なお、循環水W1は、常温水であってもよいし温水であってもよい。
【0022】
噴射孔28は、洗浄水流入口29から流入した水を、ドアベローズ15に向かって噴射する孔である。噴射孔28は、水槽カバー22を前後方向Yに貫通する。噴射孔28は、上側噴射孔28aと、左側噴射孔28bと、右側噴射孔28cと、下側噴射孔28dと、を備える。
【0023】
上側噴射孔28aは、噴射孔28の中で上側に配置されており、水槽カバー22の後面22gにおいて、前後方向Yから見て、中心軸O2よりも上下方向Zの上側に設けられる。具体的には、上側噴射孔28aは、水槽カバー22の中心軸O2を水平方向に通る中心線L1よりも上側に配置される。上側噴射孔28aは、本実施形態では、3つ備えられている。
【0024】
左側噴射孔28bは、噴射孔28の中で左側に配置されており、水槽カバー22の後面22gにおいて、前後方向Yから見て、中心軸O2よりも左右方向Xの左側に設けられる。具体的には、左側噴射孔28bは、水槽カバー22の中心軸O2を水平方向に通る中心線L1よりも左側に配置される。左側噴射孔28bは、本実施形態では、3つ備えられている。また、右側噴射孔28cは、噴射孔28の中で右側に配置されており、水槽カバー22の後面22gにおいて、前後方向Yから見て、中心軸O2よりも左右方向Xの右側に設けられる。具体的には、右側噴射孔28cは、中心線L1よりも右側に配置される。左側噴射孔28bは、水槽カバー22の中心軸O2を鉛直方向に通る中心線L2に対して左側噴射孔28bと線対称に3つ配置されている。
【0025】
下側噴射孔28dは、噴射孔28の中で下側に配置されており、水槽カバー22の後面22gにおいて、前後方向Yから見て、中心軸O2よりも上下方向Zの下側に設けられる。具体的には、下側噴射孔28dは、水槽カバー22の中心軸O2を水平方向に通る中心線L1よりも下側に配置される。下側噴射孔28dは、本実施形態では、6つ備えられており、他の噴射孔28である上側噴射孔28a、左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cよりも個数が多い。
【0026】
なお、噴射孔28は、左右方向Xの少なくとも中心線L1よりも左側に配置された左側噴射孔28bまたは中心線L1よりも右側に配置された右側噴射孔28cを備えていればよい。また、噴射孔28の個数や大きさ及び形状は特に限定されず、任意に設定できる。
【0027】
噴射孔28についての詳細な説明は、後述する。なお、各々の噴射孔28は、上述の第一流路25a及び第二流路25bには、干渉しておらず、循環水W1及び循環水W2は流れない。
【0028】
洗浄水流入口29は、後述する給水機構30によって洗浄用経路33から水を流入させる。洗浄水流入口29は、水槽カバー22の中心軸O2を水平方向に通る中心線L1よりも上側に配置されている。洗浄水流入口29から流入する水Wの一部(洗浄水W3)は、洗浄水流入口29から、水槽カバー22と注水カバー23とによって形成された第三流路25cを流れて後述の噴射孔28からドアベローズ15に向かって噴射される。第三流路25cは、噴射孔28を含む位置に設けられ、第三流路25cを流れる洗浄水W3は、噴射孔28から流出する。なお、第三流路25cは、噴射孔28と同様に、第一流路25a及び第二流路25bには干渉しておらず、循環水W1及び循環水W2は流れない。
【0029】
排水口29aは、ドアベローズ15に流入した水を排水する穴である。排水口29aから排水された水は、排水経路29b(図1参照)を通り、水槽13の排水口13bへ排水される。排水経路29bの途中には、リント(洗濯物から発生する糸くず等のごみ)等を捕獲するためのユニット式のリントフィルタ29cが着脱可能に設けられている。
【0030】
図1に戻り、残りの構成について説明する。
注水カバー23は、水槽カバー22の後側の後面22gに取り付けられている。注水カバー23は、水槽カバー22の後面22gに、例えば振動溶着などにより固定されている。なお、注水カバー23は、溶着ではなく、例えばパッキンを介してねじなどにより固定されてもよい。
【0031】
図3は、ドアベローズ15を示す断面図である。
ドアベローズ15は、筐体11の出入口11aと水槽カバー22との間に設けられ、筐体11の出入口11aと水槽13の水槽カバー22との間を接続する。ドアベローズ15は、例えば扉12が閉じられることで、筐体11の出入口11aと水槽カバー22との間を水密に接続する。
【0032】
ドアベローズ15は、図3に示すように、水槽カバー22の周方向に沿って取り付けられ、中心軸O2を中心として形成された円筒状のシール部材であり、例えば、ゴムパッキンなどの弾性材料やEPDM(エチレン-プロピレンゴム)などのエラストマーからなる。ドアベローズ15は、洗濯機1による洗い動作、すすぎ動作、及び脱水動作を含む洗濯運転時の振動で筐体11に対して相対的に振動することに追従して、弾性変形することによる防水機能と、駆動時の駆動モータ17の振動が水槽13から筐体11に伝わることを抑制する防振機能を発揮する。ドアベローズ15は、筒状部150と、筐体取付部151と、伸縮部(衝撃吸収部)152と、水槽取付部153と、緩衝壁154と、を備える。
【0033】
筒状部150は、中心軸O2を中心として形成された筒状部分である。筒状部150は、筐体11の出入口11aと略同じ大きさに形成される。なお、筒状部150の外周側P2には、円筒状の緩衝部材がさらに配設されていてもよい。
【0034】
筐体取付部151は、ドアベローズ15の前側に設けられる。筐体取付部151は、筒状部150の前側の周縁から外周側P2に延びている。筐体取付部151は、筐体11の出入口11aを引っ掛けてドアベローズ15を筐体11に固定する。
【0035】
伸縮部(衝撃吸収部)152は、筒状部39の後側の周縁から外周側P2に蛇腹状に折り返されて、前側に向かって撓み(凹み)形成された衝撃吸収部材である。伸縮部152の断面は、ほぼU字状に形成される。伸縮部152は、溝部152hを備える。
【0036】
溝部152hは、ドアベローズ15の一部を撓ませて形成される。具体的には、溝部152hは、伸縮部152の後側が窪んだ内側面である。溝部152hは、水槽カバー22の周方向に沿って形成される。溝部152hは、内周側内側面152aと、外周側内側面152bと、底面152cと、を備える。内周側内側面152aは、溝部152hの内側面において、内周側P1に設けられた側面である。外周側内側面152bは、内側面のうち外周側P2に設けられた側面である。底面152cは、内側面のうち前側に設けられた溝部152hの底面である。
【0037】
水槽取付部153は、溝部152hの外周側内側面152bの周縁から延びて、水槽13の水槽カバー22が前側の前面に有する図示しない複数の係合部と係合して、水槽13の水槽カバー22に取り付け固定されている。
【0038】
緩衝壁154は、筒状部150の外周側P2の側面から外周側P2に向けてフランジ状に形成されている。緩衝壁154は、伸縮部152と、その前側に位置する筐体11との間に介在して、伸縮部152が弾性変形したときに、筐体11に直接当接することを防止する。
【0039】
ここで、図4から図8を参照して、ドアベローズ15における水槽カバー22の噴射孔28の構成と作用について説明する。図4は、ドアベローズ15に流入した洗浄水W3の流れを示す正面図である。図4に示すドアベローズ15については、内周側内側面152a及び外周側内側面152bのみを図示して、簡略化する。また、水槽カバー22の備える噴射孔28を点線で図示する。また、図4から図8において、噴射孔28から噴射されてドアベローズ15に流れる洗浄水W3は、矢印で図示する。
【0040】
ドアベローズ15は、一般にゴムのパッキンが使用される。ゴムは、その粘性やゴムの持つ油分により、リントが表面に付着しやすい特性を有する。また、ドアベローズ15の伸縮部152は、前側に向かって撓んでおり、伸縮部152の溝部152hには、リントが付着したり、溜まったりしてしまう。図4に示すように、噴射孔28は、正面視で溝部152hの内周側内側面152aと、外周側内側面152bとの間の領域に配置されている。
【0041】
まず、上側噴射孔28aについて説明する。図5は、図4のA-A方向からみた水槽カバー22の上側噴射孔28aを示す断面図である。
図5に示すように、上側噴射孔28aは、前後方向の後側から前側に向かって、外周側P2に傾斜している。このとき、外周側P2は、上側と同じ向きである。上側噴射孔28aは、溝部152hに対して、外周側内側面152bを向くように形成される。この構成により、後述する給水機構30によって洗浄用経路33から洗浄水流入口29に流入し、第三流路25cを流れて上側噴射孔28aから噴射された洗浄水W3(以下、洗浄水WA3)は、外周側内側面152bに向かって流れる。このとき、上側噴射孔28aから噴射される洗浄水WA3の方向は、前後方向の後側から前側に向かって、外周側P2に傾斜した方向である。なお、複数の上側噴射孔28aは、すべてが傾いていなくてもよく、少なくとも1つ以上が傾いていればよい。
【0042】
次に、左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cについて説明する。図6の(A)は、図4のB-B方向からみた水槽カバー22の左側噴射孔28bを示す断面図である。図6の(B)は、図4のC-C方向からみた水槽カバー22の右側噴射孔28cを示す断面図である。
図6に示すように、左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cは、前後方向の後側から前側に向かって、外周側P2に傾斜している。このとき、左側噴射孔28bにおける外周側P2は、左側と同じ向きである。また、右側噴射孔28cにおける外周側P2は、右側と同じ向きである。左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cは、溝部152hに対して、外周側内側面152bを向くように形成される。この構成により、後述する給水機構30によって洗浄用経路33から洗浄水流入口29に流入し、第三流路25cを流れて左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cから噴射された洗浄水W3(以下、洗浄水WB3)は、外周側内側面152bに向かって流れる。このとき、左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cから噴射される洗浄水WB3の方向(噴射方向)は、前後方向の後側から前側に向かって、外周側P2に傾斜した方向である。特に、左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cにおいて、洗浄水WB3の噴射方向に噴射される前記水の方向ベクトルVabは、図4の左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cの一部に図示するように、本実施形態では、水平ベクトルVbよりも鉛直ベクトルVaの方が大きい。なお、複数の左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cは、すべてが傾いていなくてもよく、少なくとも1つ以上が傾いていればよい。
【0043】
次に、下側噴射孔28dについて説明する。図7は、図4のD-D方向からみた水槽カバー22の下側噴射孔28dを示す断面図である。
図7に示すように、下側噴射孔28dは、前後方向の後側から前側に向かって、内周側P1に傾斜している。このとき、内周側P1は、上側と同じ向きである。下側噴射孔28dは、溝部152hに対して、内周側内側面152aを向くように形成される。この構成により、後述する給水機構30によって洗浄用経路33から洗浄水流入口29に流入し、第三流路25cを流れて下側噴射孔28dから噴射された洗浄水W3(以下、洗浄水WC3)は、内周側内側面152aに向かって流れる。このとき、下側噴射孔28dから噴射される洗浄水WC3の方向は、前後方向の後側から前側に向かって、内周側P1に傾斜した方向である。なお、複数の下側噴射孔28dは、すべてが傾いていなくてもよく、少なくとも1つ以上が傾いていればよい。
【0044】
図4に示すように、上側噴射孔28aから噴射された洗浄水WA3は、外周側内側面152bに向かって流れる。すると、ドアベローズ15の中心O1よりも上側において、外周側内側面152bに付着したリントは、洗浄水WA3によって流される。洗浄水WA3は、外周側内側面152bに向かって流れたのち、重力によって鉛直下側に流れる。そのため、洗浄水WA3は、外周側内側面152bから落ちて、内周側内側面152aに沿って流れ、内周側内側面152aに付着したリントを流すことができる。
【0045】
また、左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cから噴射された洗浄水WB3は、外周側内側面152bに向かって流れる。すると、外周側内側面152bに付着したリントは、洗浄水WA3によって流される。このとき、ドアベローズ15の中心O1の左右方向Xにおいて、内周側内側面152aに付着したリントは、洗浄水WA3によって流される。
【0046】
洗浄水WA3は、ドアベローズ15の中心O1よりも下側に向かうにつれて、重力によって鉛直下側に流れる。そのため、洗浄水WA3は、内周側内側面152aから落ちて、外周側内側面152bに沿って流れる。また、洗浄水WB3は、外周側内側面152bに沿って、下側に向かって流れる。
【0047】
図4に示すように、下側噴射孔28dから噴射された洗浄水WC3は、内周側内側面152aに向かって流れる。すると、ドアベローズ15の中心O1よりも下側において、内周側内側面152aに付着したリントは、洗浄水WC3によって流される。このとき、外周側内側面152bには、洗浄水WA3及び洗浄水WB3が流れているため、外周側内側面152bに付着したリントは、洗浄水WA3及び洗浄水WB3によって流される。このように、ドアベローズ15の伸縮部152の溝部152hは、上下左右方向のいずれの場所においても洗浄水W3によって、付着したリントを洗浄することができる。
【0048】
図8は、図4のE-E方向からみた水槽カバー22の排水口29aを示す断面図である。
ドアベローズ15の下側へ流れた洗浄水W3は、図8に示すように、水槽カバー22の下側に形成された排水口29aに流れる。排水口29aから排水された水は、排水経路29bを通り、水槽13の排水口13bへ排水される。排水経路29bの途中には、リントフィルタ29cが設けられているため、容易にリントを収集することができる。
【0049】
図1に戻り、残りの構成について説明する。
ドラム16は、水槽13の内部に中心軸O1(または中心軸O2)を回転軸として回転可能に設けられ、洗濯物を収容可能である。ドラム16の周壁部及び後壁部には、通水及び通気用の多数の孔16aが設けられている。ドラム16の周壁部の内面には、洗濯物攪拌用の複数のバッフル16bが設けられている。ドラム16内の洗濯物は、各バッフル16bに引っ掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。ドラム16の前側の前面は、洗濯物が出し入れされる円形の開口部を有する。
【0050】
駆動モータ17は、水槽13の後側の後面13gに設けられている。駆動モータ17は、ドラム16を回転駆動させる。バランスリング18は、ドラム16の前端部に取り付けられている。バランスリング18の中央部は、円形状の開口部18aを有する。バランスリング18は、ドラム16の前側の前面に円環状の前壁部を形成する。
【0051】
図1に示すように、洗濯機1は、さらに、給水機構30、排水機構50、循環機構60、及び乾燥機構70を有する。
【0052】
給水機構30は、水道栓からの水を洗濯機1の内部に給水と、給水場所の切り替えをするための機構である。給水機構30は、例えば、給水経路31と、洗浄用経路33と、給水切替弁32と、を有する。給水経路31は、筐体11の給水口11bから水槽13の給水口13aまで延びている。洗浄用経路33は、給水切替弁32から水槽カバー22の後側に設けられた後面22gの洗浄水流入口29まで延びている。給水切替弁32は、給水経路31の途中に設けられている。給水切替弁32は、水が水槽13に供給される第1状態と、水が洗浄用経路33を介して、洗浄水流入口29に供給される第2状態と、水が水槽13と洗浄水流入口29との双方に供給される第3状態とで切換可能である。なお、給水切替弁32は、2つ以上の切換弁によって構成されてもよい。
【0053】
排水機構50は、水槽13の内部の水を外部に排出するための機構である。排水機構50は、例えば、排水経路51と、排水弁52とを有する。排水経路51は、例えば、水槽13の排水口13bから洗濯機1の外部に延びている。排水弁52は、排水経路51の途中に設けられている。排水弁52が開状態にされることで、水槽13内の水が洗濯機1の外部に排出される。
【0054】
循環機構60は、洗濯機1内の水を洗濯機1の内部で循環させるための機構である。循環機構60は、例えば、循環経路61と、循環ポンプ62とを有する。
【0055】
循環経路61は、水槽13の排水口13bから複数の洗浄口26A,26Bに延びている。循環経路61は、水槽13の外部に設けられた外部循環経路61aと、水槽13の内部に設けられた内部循環経路61bとを有する。外部循環経路61aは、水槽13の外部において、水槽13の排水口13bから循環ポンプ62を経由して水槽13の循環水流入口13cに接続されている。外部循環経路61aの一部(例えば水槽13の排水口13bから循環ポンプ62までの部分)は、排水経路51と共用される。一方で、図2に示したように、内部循環経路61bは、水槽カバー22の後面22gにおいて、水槽13の循環水流入口13cから洗浄口26A,26Bまで延びている。
【0056】
循環ポンプ62は、例えば、洗い行程やすすぎ行程において駆動され、水槽13内の水を吸い込んで圧送し、圧送した水を複数の洗浄口26A,26Bから水槽13内にシャワー状に噴射する。これにより、循環機構60は、循環経路61を通して水槽13内の水を循環させながら水槽13内にシャワー状に噴射する。
【0057】
乾燥機構70は、従来公知の乾燥機構を用いることができる。乾燥機構70は、例えば、ヒートポンプやヒーター等の加熱装置によって生成された乾燥用の温風(乾燥風)を筐体11内で水槽13の外部に設けられたダクトから送風ファンを用いて、水槽13を介してドラム16内に供給する。なお、ダクトには、リントフィルタが設けられていてもよい。
【0058】
次に、洗濯機1の制御装置100について説明する。
制御装置100は、洗濯機1に収容されている。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなるコンピュータを主体として構成される。制御装置100は、洗濯機1の全体を統括的に制御し、洗濯機1による洗い動作、すすぎ動作、及び脱水動作を含む洗濯運転と、その後に続く乾燥運転とを実行する。さらに、本実施形態では、制御装置100は、掃除行程を実行する。
【0059】
制御装置100には、例えば、給水切替弁32、循環ポンプ62、駆動モータ17、排水弁52、及び乾燥機構70が接続される。
【0060】
給水切替弁32は、給水口11bから水槽13及び洗浄用経路33を介して、洗浄水流入口29への給水を制御する。また、循環ポンプ62は、洗濯機内での水を循環させる。駆動モータ17は、水槽13内でドラム16を回転させる。排水弁52は、水槽13の内部の水の外部への排水を制御する。乾燥機構70は、除湿及び加熱された空気を生成して循環させる。
【0061】
これらの構成は、制御装置100からの制御信号に基づき動作する。また、制御装置100には、操作パネルPが接続されている。操作パネルPには、各種の操作ボタンや操作ガイド、警告などが表示される。操作パネルPに表示される操作ボタンなどを操作することで、ユーザの入力操作が行われる。
【0062】
ここで、本実施形態で実行される掃除行程について説明する。制御装置100は、例えばユーザによって、操作パネルPが操作され、洗濯機1の運転(例えば洗濯乾燥運転)のスタートを指示すると、運転を開始する。制御装置100は、洗い動作、すすぎ動作、および脱水動作を含む洗濯運転を実行し、その後、乾燥運転を実行する。
【0063】
乾燥運転が終了すると、制御装置100は、図示しないセンサによってドラム16から衣類が取り出されたか否かを判定する。衣類が取り出されたと判定されると、制御装置100は、掃除行程を実行する。掃除行程は、例えば、給水洗い行程、循環水洗い行程、排水行程、および乾燥行程を含む。
【0064】
制御装置100は、掃除行程において、循環ポンプ62を制御して洗濯機内での水を循環させる。すると循環水は、水槽13の循環水流入口13cから水槽カバー22の後面22g設けられた溝25を通る。溝25の内部は、循環水流入口13cと洗浄口26Aとを接続する第一流路25aと、循環水流入口13cと洗浄口26Bとを接続する第二流路25bとに仕切られており、循環水流入口13cから流入する循環水W1は、循環水流入口13cから第一流路25aを流れて洗浄口26Aから水槽13の内部に噴射される。一方で、循環水流入口13cから流入する循環水W2は、循環水W1とは独立して、循環水流入口13cから第二流路25bを流れて洗浄口26Bから水槽13の内部に噴射される。
【0065】
また、制御装置100は、掃除行程において、給水切替弁32を制御して、洗浄用経路33を介して、洗浄水流入口29へ給水する。制御装置100は、洗浄用経路33に水を流入させることで、水を第三流路25cに流し、噴射孔28からドアベローズ15に向かって噴射する。
【0066】
制御装置100は、以上の掃除工程によりドラム16内の清掃、及びドアベローズ15の清掃を行う。掃除行程が終了すると、制御装置100は、全ての運転を終了する。
【0067】
本実施形態によれば、水槽カバー22がドアベローズ15に向かって水を噴射する噴射孔28を備えている。そのため、噴射孔28は、ドアベローズ15に付着したり、溜まったりしたリントを洗い流すことができる。なお、噴射孔28は、少なくとも中心線L1よりも左側に配置された左側噴射孔28bまたは中心線L1よりも右側に配置された右側噴射孔28cを備えていればよい。リントは、重力によってドアベローズ15の下側に溜まりやすい。そのため、噴射孔28は、ドアベローズ15において中心軸O2から上側の位置に備えられるよりも中心軸O2から上下方向に対して略同じ高さに位置する左右方向Xに備えられていることで、上側から下側に向かって、水を流しつつ、ドアベローズ15の下側に水圧を与えて、効率よくリントを落とすことができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、噴射孔28の左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cから噴射方向に噴射される洗浄水WB3の方向ベクトルVabは、水平ベクトル(洗浄水WB3の方向ベクトルVabの水平成分)Vbよりも鉛直ベクトル(洗浄水WB3の方向ベクトルVabの鉛直成分)Vaの方が大きい。そのため、噴射された洗浄水WB3は、重洗力によってリントを剥がしやすくし、また、剥がしたリントを流しやすくすることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、噴射孔28は、さらに噴射孔28の中で下側に配置されており、中心軸O2を水平方向に通る中心線L1よりも下側に配置された下側噴射孔28dを備えている。そのため、下側噴射孔28が、上述したように重力によってドアベローズ15の下側に溜まったリントを好適に落とすことができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、噴射孔28は、さらに噴射孔28の中で上側に配置されており、中心軸O2を水平方向に通る中心線L1よりも上側に配置された上側噴射孔28aを備えている。そのため、上側噴射孔28aから出た水が、上側から下側に流れて、ドアベローズ15全体を洗浄することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、上側噴射孔28aは3つ、下側噴射孔28dは6つ備えられており、下側噴射孔28dの個数が、上側噴射孔28aの個数よりも多い。そのため、ドアベローズ15の下側に溜まったリントをより効率よく洗浄することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、上側噴射孔28aは、溝部152hに対して、外周側内側面152bを向くように形成される。この構成により、上側噴射孔28aから噴射された洗浄水WA3は、伸縮部152の上側の溝部152hにおいて、上側に配置された外周側内側面152bに向かって流れる。洗浄水WA3は、外周側内側面152bに噴射されたあと、重力によって、鉛直下側に配置された内周側内側面152aへ流れる。そのため、洗浄水WA3は、外周側内側面152bと、内周側内側面152aとを好適に洗浄することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cは、溝部152hに対して、外周側内側面152bを向くように形成される。このとき、ドアベローズ15の中心O1の左右方向Xにおいて、内周側内側面152aに付着したリントは、洗浄水WA3によって流される。そのため、左側噴射孔28b及び右側噴射孔28cから噴出した洗浄水WB3は、外周側内側面152bを効率よく洗浄することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、下側噴射孔28dは、溝部152hに対して、内周側内側面152aを向くように形成される。このとき、外周側内側面152bには、重力によって鉛直下側に落ちた洗浄水WA3及び洗浄水WB3が流れている。そのため、下側噴射孔28dから噴出した洗浄水WC3は、内周側内側面152aを効率よく洗浄することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、制御装置100は、洗い動作、すすぎ動作、および脱水動作を含む洗濯運転、その後の乾燥運転を実行したのち、掃除工程を実行する。そのため、ドアベローズ15から洗い落とされたリントが衣類に再付着する可能性が無く、また、ドアベローズ15の付近の空気が淀みにくいため、ドアベローズ15に付着したリントをより落としやすくなる。
【0076】
(第2実施形態)
以下、洗濯機1の第2実施形態について図9を参照して説明する。
これらの図において、図1から図8に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
図9は、水槽カバー22Aの後面22Agを示す図である。
第2実施形態に係る給水機構30は、洗浄用経路33を備えていない。給水機構30は、水道栓からの水を洗濯機1の水槽13に給水するための機構のみを備えている。
【0078】
水槽カバー22Aの後側に設けられた後面22Agは、循環水流入口13c、溝25、洗浄口26A,26B、仕切り27、複数の噴射孔28、洗浄水流入口29、及び第一排水口29aに加えて、第一噴射部120と、第三流路25Acと、第二噴射部121と、第四流路25Adと、を有する。
【0079】
第一噴射部120は、第二流路25bの途中に設けられたノズルである。第一噴射部120は、第二流路25bと第三流路25Acを繋ぐ。すると、第二流路25bに流れる循環水W2が、第三流路25Acに流れる。
【0080】
第三流路25Acは、左側噴射孔28b、右側噴射孔28c及び下側噴射孔28dを含む位置に配置されており、第二流路25bから第三流路25Acに流れる循環水W2は、左側噴射孔28b、右側噴射孔28c及び下側噴射孔28dから噴射される。
【0081】
第二噴射部121は、第一流路25aの途中に設けられたノズルである。第一噴射部120は、第一流路25aと第四流路25Adを繋ぐ。すると、第一流路25aに流れる循環水W1が、第四流路25Adに流れる。
【0082】
第四流路25Adは、上側噴射孔28aを含む位置に配置されており、第一流路25aから第四流路25Adに流れる循環水W1は、上側噴射孔28aから噴射される。なお、第四流路25Adは、必須ではなく、第三流路25Acを、上側噴射孔28aを含む位置に配置させることで第四流路25Adを配置しなくてもよい。
【0083】
本実施形態では、第1実施形態に係る給水機構30が備えていた洗浄用経路33から流入する洗浄水W3に代えて、水槽13からくみ上げた循環水を噴射孔28から噴射させることができる。
【0084】
(変形例)
第1実施形態では、給水経路31を通過した水の経路を切り替える給水切替弁32が設けられている。ドアベローズ15の洗浄が不要な場合には、給水切替弁32を第1状態となるように制御すれば、水槽13内に効率的に水を供給できる。また、集中的にドアベローズ15の洗浄を行う場合には、給水切替弁32を第2状態となるように制御すれば、洗浄用経路33を介して、水を洗浄水流入口29に集中的に供給できる。また、ドアベローズ15の洗浄と水槽13とを洗浄する場合には、給水切替弁32を第3状態となるように制御すれば、給水経路31を通過した水を水槽13とドアベローズ15との双方に供給できる。
【0085】
また、第2実施形態に係る水槽カバー22Aの後側に設けられた後面22Agには、さらに循環水を第一流路25a及び第二流路25bへの供給を制御装置100によって切替可能な切替弁を循環水流入口13cに設けてもよい。この構成により、制御装置100は、切替弁を制御することで、第一流路25a及び第二流路25bへの循環水の供給を制御できる。すなわち、制御装置100は、例えば、第一流路25aのみに循環水を供給して、上側噴射孔28aのみから噴射することができる。また、制御装置100は、第二流路25bのみに循環水を供給して、左側噴射孔28b、右側噴射孔28c及び下側噴射孔28dのみから噴射することができる。そのため、ドアベローズ15において、リントの付着が特に多い部分に対して、限定的に水を噴射孔から噴射させて洗浄することができる。
【0086】
また、上述の実施形態に係る第三経路は、ノズルによって形成されていてもよい。第三経路は、ノズルであることによって、より噴射孔から噴射させる水の水圧を向上させることができる。
【0087】
また、上述の実施形態に係る噴射孔に供給される洗浄水や循環水は、温水であってもよい。温水を用いることで、よりリントをドアベローズから落としやすくすることができる。
【0088】
また、上述の実施形態では、本発明の構成を採用する洗濯機として、ドラム式の洗濯機を例示した。しかしながら、本発明の構成は縦型の洗濯機に採用されていてもよい。
【0089】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、水槽カバーがドアベローズに向かって水を噴射する噴射孔を持つことにより、ドアベローズに付着したリントを洗浄することができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1…洗濯機、11…筐体、11a…出入口、13…水槽、14…サスペンション、15…ドアベローズ、150…筒状部、151…筐体取付部、152…伸縮部、152h…溝部、152a…内周側内側面、152b…外周側内側面、153…水槽取付部、16…ドラム、17…モータ、18…バランスリング、21…水槽本体、21a…開口部、22、22A…水槽カバー、23…注水カバー、25…溝、26A、26B…洗浄口、27…仕切り、28…噴射孔、28a…上側噴射孔、28b…左側噴射孔、28c…右側噴射孔、28d…下側噴射孔、30…給水機構、50…排水機構、60…循環機構、70…乾燥機構、100…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9