(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040598
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】伐倒支援装置及び林業機械
(51)【国際特許分類】
A01G 23/099 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A01G23/099
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145041
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 修平
(72)【発明者】
【氏名】坂本 丈尚
(72)【発明者】
【氏名】上杉 憲央
(72)【発明者】
【氏名】井原 駿也
(57)【要約】
【課題】林業機械による樹木の伐倒作業に対して適切な作業支援情報を生成可能とする。
【解決手段】伐倒対象の樹木8の周囲の風向や風速を計測する計測機器22によって計測された風向や風速に基づいて、林業機械3の作業を支援する作業支援情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伐倒対象の樹木の周囲の風向と風速とのうちの少なくとも一方を計測する計測機器によって計測された前記風向と前記風速とのうちの少なくとも一方に基づいて、林業機械の作業を支援する作業支援情報を出力する、伐倒支援装置。
【請求項2】
前記計測機器が無人飛行体に搭載されている、請求項1に記載の伐倒支援装置。
【請求項3】
前記無人飛行体が前記伐倒対象の樹木の樹冠の高さ範囲内の高度を飛行する、請求項2に記載の伐倒支援装置。
【請求項4】
前記計測機器が前記伐倒対象の樹木の周囲の構造物に取り付けられている、請求項1に記載の伐倒支援装置。
【請求項5】
前記計測機器が前記伐倒対象の樹木の樹冠の高さ範囲内の高さ位置に取り付けられている、請求項4に記載の伐倒支援装置。
【請求項6】
計測された前記風速が所定の強風判定閾値以上であるときに、前記作業支援情報として強風情報を出力する、請求項1に記載の伐倒支援装置。
【請求項7】
計測された前記風速が所定の弱風判定閾値以下であるときに、前記作業支援情報として弱風情報を出力する、請求項1に記載の伐倒支援装置。
【請求項8】
計測された前記風向と前記風速とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記作業支援情報として、前記伐倒対象の樹木の倒木方向を算出して出力する、請求項1に記載の伐倒支援装置。
【請求項9】
計測された前記風向と前記風速とのうちの少なくとも一方に基づいて前記伐倒対象の樹木の倒木方向を算出して、前記作業支援情報として、倒木禁止領域外又は倒木推奨領域内に倒木させるための、前記林業機械の配置及び前記林業機械の伐倒作業部の位置を出力する、請求項1に記載の伐倒支援装置。
【請求項10】
前記風向と前記風速とのうちの少なくとも一方に加えて、前記伐倒対象の樹木が生えている斜面の傾きの程度と、前記伐倒対象の樹木の対地角度の大きさと、前記伐倒対象の樹木の曲がりの程度と、前記伐倒対象の樹木の重心位置と、のうちの少なくとも1つを利用して前記倒木方向を算出する、請求項8に記載の伐倒支援装置。
【請求項11】
算出された前記倒木方向が倒木禁止領域内であるときに、前記作業支援情報として倒木方向不良情報を出力する、請求項8に記載の伐倒支援装置。
【請求項12】
算出された前記倒木方向が倒木禁止領域内であるときに、前記林業機械の伐倒作業部による伐倒作業を一時的に停止する、請求項8に記載の伐倒支援装置。
【請求項13】
算出された前記倒木方向が倒木推奨領域内であるときに、前記作業支援情報として倒木方向良好情報を出力する、請求項8に記載の伐倒支援装置。
【請求項14】
前記伐倒対象の樹木の周辺の人の位置情報と、前記伐倒対象の樹木の周辺の建物の位置情報と、前記伐倒対象の樹木の周辺の集材路の位置情報と、前記林業機械の位置情報と、前記林業機械とは別の林業機械の位置情報と、のうちの少なくとも1つを利用して前記倒木禁止領域を設定する、請求項9、請求項11、及び請求項12のうちのいずれか1項に記載の伐倒支援装置。
【請求項15】
請求項1から請求項13のうちのいずれか1項に記載の伐倒支援装置を備える、林業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伐倒支援装置及び林業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮操作される伸縮部材を有する高所作業自動車に関する従来の技術として、一端を車台に取り付けられて伸縮操作される伸縮部材の他端部に風向と風速を計測する各検出部を設け、各検出部が検出した計測値の各表示部を伸縮部材を操作する操作部に設ける技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の技術では、比較的高い位置での風の状況が作業に影響する、林業機械による樹木の伐倒作業に対しては、適切な作業支援情報を生成することができない、という問題点がある。
【0005】
そこで本開示は、1つの側面では、林業機械による樹木の伐倒作業に対して適切な作業支援情報を生成可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、伐倒対象の樹木の周囲の風向と風速とのうちの少なくとも一方を計測する計測機器によって計測された前記風向と前記風速とのうちの少なくとも一方に基づいて、林業機械の作業を支援する作業支援情報を出力する、伐倒支援装置が提供される。
【0007】
伐倒支援装置は、前記計測機器が無人飛行体に搭載されている、ようにしてもよい。
【0008】
伐倒支援装置は、前記無人飛行体が前記伐倒対象の樹木の樹冠の高さ範囲内の高度を飛行する、ようにしてもよい。
【0009】
伐倒支援装置は、前記計測機器が前記伐倒対象の樹木の周囲の構造物に取り付けられている、ようにしてもよい。
【0010】
伐倒支援装置は、前記計測機器が前記伐倒対象の樹木の樹冠の高さ範囲内の高さ位置に取り付けられている、ようにしてもよい。
【0011】
伐倒支援装置は、計測された前記風速が所定の強風判定閾値以上であるときに、前記作業支援情報として強風情報を出力する、ようにしてもよい。
【0012】
伐倒支援装置は、計測された前記風速が所定の弱風判定閾値以下であるときに、前記作業支援情報として弱風情報を出力する、ようにしてもよい。
【0013】
伐倒支援装置は、計測された前記風向と前記風速とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記作業支援情報として、前記伐倒対象の樹木の倒木方向を算出して出力する、ようにしてもよい。
【0014】
伐倒支援装置は、計測された前記風向と前記風速とのうちの少なくとも一方に基づいて前記伐倒対象の樹木の倒木方向を算出して、前記作業支援情報として、倒木禁止領域外又は倒木推奨領域内に倒木させるための、前記林業機械の配置及び前記林業機械の伐倒作業部の位置を出力する、ようにしてもよい。
【0015】
伐倒支援装置は、前記風向と前記風速とのうちの少なくとも一方に加えて、前記伐倒対象の樹木が生えている斜面の傾きの程度と、前記伐倒対象の樹木の対地角度の大きさと、前記伐倒対象の樹木の曲がりの程度と、前記伐倒対象の樹木の重心位置と、のうちの少なくとも1つを利用して前記倒木方向を算出する、ようにしてもよい。
【0016】
伐倒支援装置は、算出された前記倒木方向が倒木禁止領域内であるときに、前記作業支援情報として倒木方向不良情報を出力する、ようにしてもよい。
【0017】
伐倒支援装置は、算出された前記倒木方向が倒木禁止領域内であるときに、前記林業機械の伐倒作業部による伐倒作業を一時的に停止する、ようにしてもよい。
【0018】
伐倒支援装置は、算出された前記倒木方向が倒木推奨領域内であるときに、前記作業支援情報として倒木方向良好情報を出力する、ようにしてもよい。
【0019】
伐倒支援装置は、前記伐倒対象の樹木の周辺の人の位置情報と、前記伐倒対象の樹木の周辺の建物の位置情報と、前記伐倒対象の樹木の周辺の集材路の位置情報と、前記林業機械の位置情報と、前記林業機械とは別の林業機械の位置情報と、のうちの少なくとも1つを利用して前記倒木禁止領域を設定する、ようにしてもよい。
【0020】
また、1つの側面では、上記のうちのいずれかの伐倒支援装置を備える林業機械が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、1つの側面では、林業機械による樹木の伐倒作業に対して適切な作業支援情報を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態の伐倒支援装置を含むシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の伐倒支援装置としての制御装置の構成を機能的に示す図である。
【
図3】
図1の伐倒支援装置としての制御装置における処理手順の第1の例を示すフローチャートである。
【
図4】
図1の伐倒支援装置としての制御装置における処理手順の第2の例を示すフローチャートである。
【
図5】伐倒対象の樹木と林業機械の配置及び林業機械の伐倒作業部の位置との間の関係の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、実施形態の伐倒支援装置を含むシステムの構成を示す図である。
図2は、実施形態の伐倒支援装置としての制御装置1の構成を機能的に示す図である。
【0025】
実施形態の伐倒支援装置は、伐倒対象の樹木8が受ける風の影響を考慮して樹木の伐倒作業が支障なく円滑に行われ得るように林業機械3での樹木の伐倒作業を支援する装置であり、伐倒対象の樹木8の周囲の風向及び風速を計測する計測機器22によって計測された風向や風速に基づいて、林業機械3の作業を支援する作業支援情報を出力する、ようにしている。
【0026】
実施形態の伐倒支援装置を含むシステムは、制御装置1と、無人飛行体2と、林業機械3と、を含んで構成される。図に示す例では、制御装置1と無人飛行体2との間、及び、制御装置1と林業機械3との間は、信号・情報の送受信を行うことができるように、例えば、インターネット、VPN(Virtual Private Network)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、又は、これらの任意の組み合わせを含む各種の無線若しくは有線の通信回線(別言すると、伝送回線;制御装置1と無人飛行体2との間は符号9A、制御装置1と林業機械3との間は符号9B)を介して通信可能に接続されている。
【0027】
ここで、高所作業自動車などと同様に、背の高い樹木は風の影響を受け易く、特に伐倒時に林業機械3の操作者が風向や風速を確認することは重要である。しかしながら、伐倒対象となる樹木は20mを超えることもあり、車載の計測器では、風の影響度が高い樹冠位置まで高さが足りず風の状況を計測することができない。このため、車載の計測器を林業機械3に採用したとしても、伐倒時に樹木が倒れる方向を予測することは困難であり、作業を支障なく円滑に行うことはできない。
【0028】
そこで、実施形態の伐倒支援装置は、無人飛行体2に搭載されている計測機器22によって計測された風計測データに基づいて、林業機械3の作業を支援する作業支援情報を出力する、ようにしている。
【0029】
図に示す例では、伐倒支援装置の機能が制御装置1に設けられている。制御装置1は、例えば、スマートフォンや携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)や汎用コンピュータにより構成されたり、サーバ(サーバコンピュータ)により構成されたり、又は、これらの任意の組み合わせにより構成されたりするようにしてもよい。なお、伐倒支援装置の機能のすべてが、無人飛行体2と林業機械3とのうちのどちらか一方に設けられるようにしてもよい。また、伐倒支援装置の機能が、制御装置1、無人飛行体2、及び林業機械3のうちの任意の2つ又は3つに分離して設けられるようにしてもよい。また、伐倒支援装置の機能の一部又はすべてを備える装置が、林業機械3に搭載されるようにしてもよい。なお、林業機械3は、林業機械3自体には作業者が搭乗せず、遠隔で操作される態様であってもよい。その場合には、林業機械3を遠隔で操作する装置に、伐倒支援装置の機能の一部又はすべてが備えられるようにしてもよい。
【0030】
実施形態の伐倒支援装置を構成する制御装置1は、伐倒対象の樹木8の周囲の風の状況を表す風計測データを取得する風情報取得部11と、風計測データに基づいて強風情報や弱風情報を出力するか否かを判定する風速判定部12と、風計測データに基づいて伐倒対象の樹木8の倒木方向を算出する倒木方向算出部13と、伐倒対象の樹木8の倒木方向に基づいて倒木方向不良情報や倒木方向良好情報を出力するか否かを判定する倒木方向判定部14と、伐倒対象の樹木8の倒木方向に応じて林業機械3の動作を制御する林業機械制御部15と、伐倒対象の樹木8を適切な方向に倒木させるように林業機械3を操作するための情報を算出する(別言すると、生成する)操作情報生成部16と、作業支援情報を出力する情報出力部17と、制御装置1の処理に関連する情報やデータを記憶する記憶部18と、を備える。伐倒作業によって伐倒対象の樹木8が倒れる方向である倒木方向は、例えば、東、西、南、及び北に基づく方向(「東西南北方向」と称する)に従って表される。
【0031】
情報出力部17は、作業支援情報を作業者(例えば、林業機械3の操作を行う者、林業機械3や伐倒対象の樹木8の周囲で伐倒作業の補助等を行う者など)へと伝えるための機序である。情報出力部17の具体的な構成は、特定の仕組みに限定されるものではなく、作業支援情報を作業者へと伝え得る仕組みが適宜選択される。情報出力部17は、例えば、文字や図形や画像などを表示可能な表示部と、音や音声を放音可能なスピーカと、所定の色の光を放出可能な回転灯と、制御装置1の全体若しくは特定の部位を振動させ得る振動機構と、のうちの少なくとも1つを有する機序として構成されるようにしてもよい。
【0032】
記憶部18は、例えば、読み出し可能な記憶装置であるROM(Read Only Memory)や、書き込み及び読み出し可能な記憶装置であるRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などによって構成され、制御装置1の処理に関連する情報やデータを記憶する記憶装置である。
【0033】
無人飛行体2は、例えば、回転翼機であり、回転可能な複数の羽根、複数の羽根を回転させるための電動モータ、及び、電動モータなどに電力を供給する電源としてのバッテリなどを備える。無人飛行体2は、例えば、「ドローン」や「UAV」(Unmanned Aerial Vehicle)などとも称される。
【0034】
無人飛行体2は、また、制御部21及び計測機器22を備える。
【0035】
制御部21は、予め設定された飛行設定や制御装置1からの制御情報などに応じて、伐倒対象の樹木8の周囲を飛行するように無人飛行体2の飛行位置(具体的には例えば、緯度、経度、及び高度)を制御するための機序である。緯度、経度、及び高度の情報やデータとして、例えば、衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して取得される情報やデータが用いられるようにしてもよい。
【0036】
ここで、伐倒作業によって伐倒対象の樹木8が倒れる方向(即ち、倒木方向)は、伐倒対象の樹木8のうちの樹冠に当たる風の影響を特に受ける。そこで、無人飛行体2の制御部21により、無人飛行体2が、平面視において伐倒対象の樹木8を中心とする所定の水平範囲内の、側面視において伐倒対象の樹木8の樹冠の高さ範囲H内の高度を飛行するように、無人飛行体2の平面位置(具体的には例えば、緯度及び経度)並びに高度が制御されることが好ましい。
【0037】
伐倒対象の樹木8は、例えば、作業者が座標(例えば、緯度及び経度;以下同様)を指定したり、所定の機器(尚、制御装置1でもよい)の表示部に座標情報と関連付けられたうえで表示される画像内の樹木を作業者が指定することによって前記座標情報に基づいて座標が取得されたり、林業機械3の位置(具体的には、座標)や向きなどから推定したりすることによって特定されるようにしてもよい。
【0038】
伐倒対象の樹木8を中心とする所定の水平範囲や伐倒対象の樹木8の樹冠の高さ範囲Hは、例えば、作業者が、座標や高度を指定したり、所定の機器(尚、制御装置1でもよい)の表示部に座標情報や高度情報と関連付けられたうえで表示される画像内の伐倒対象の樹木8に応じて座標や高度を指定したりすることにより、予め設定された飛行設定や制御装置1からの制御情報などとして制御部21へと与えられるようにしてもよい。
【0039】
制御部21は、また、計測機器22によって計測されて取得された風計測データを送信部(不図示)を介して制御装置1へと送信する機能、及び、制御装置1から送信された制御情報を受信部(不図示)を介して受信する機能を備える。
【0040】
計測機器22は、風向及び風速を計測して、風計測データとして風向及び風速の計測値を取得する。計測機器22は、例えば、「風向風速計」などとも称される。風向は、例えば、東、西、南、及び北が用いられて表される16方位や36方位に分けて示されるようにしてもよく、或いは、真北を基準に時計回りの角度で示されるようにしてもよい。
【0041】
林業機械3は、制御装置1から出力される作業支援情報を利用しながら、伐倒対象の樹木8の伐倒作業を行う。林業機械3は、伐倒作業に適したアタッチメントを備えた油圧ショベルであり、クローラ式の下部走行体31と、下部走行体31の上に旋回機構を介して水平面に沿って旋回可能に搭載された上部旋回体32と、を有する。伐倒作業に適したアタッチメントとして、例えば、木材伐採機である、ハーベスタやフェラーバンチャと称されるものがある。
【0042】
上部旋回体32の前側の中央部分に、伐倒アタッチメント33が配設されている。伐倒アタッチメント33の基端側部分の左側に隣接して、すなわち上部旋回体32の前側の左側部分に、運転室としてのキャブ34が配設されている。
【0043】
伐倒アタッチメント33は、上部旋回体32に対して基端側が回動可能に取り付けられたブーム331と、ブーム331の先端側に回動可能に連結されたアーム332と、アーム332の先端側に回動可能に取り付けられた伐倒作業部333と、を有する。ブーム331、アーム332、及び伐倒作業部333は、伐倒アタッチメント33の一部として設けられた油圧シリンダなどによって駆動される。
【0044】
キャブ34は、箱型の運転室であり、内部に、運転座席が備えられているとともに、林業機械3の操作を行うための各種の操作機器や制御機器などが装備されている。
【0045】
(制御装置における処理手順の第1の例)
図3は、制御装置1における処理手順の第1の例を示すフローチャートである。
【0046】
制御装置1は、風情報取得部11の機能として、無人飛行体2から、伐倒対象の樹木8の周囲の風の状況を表す風計測データを取得する(ステップS1-1)。風計測データは、この第1の例では具体的には、伐倒対象の樹木8の周囲における風速の計測値である。
【0047】
次に、制御装置1は、風速判定部12の機能として、ステップS1-1の処理において取得された風速が、所定の強風判定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS1-2)。
【0048】
強風判定閾値は、特定の値に限定されるものではなく、例えば、樹木の伐倒作業(特に、倒木)を支障なく円滑に行うことができる風速の最大値(言い換えると、樹木の伐倒作業を支障なく円滑に行うことができなくなる風速の最小値)が考慮されるなどしたうえで適当な値に適宜設定される。
【0049】
そして、ステップS1-1の処理において取得された風速が強風判定閾値以上である場合には(ステップS1-2:Yes)、制御装置1は、風速判定部12の機能として、情報出力部17に対して、作業支援情報として強風情報を出力する指令に相当する信号を伝送する。
【0050】
情報出力部17は、強風情報(即ち、風速が強風判定閾値以上であること)を、例えば、表示部に文字や図形や画像などとして表示したり、スピーカから音や音声として放音したり、回転灯から所定の色の光を放出したり、制御装置1の全体若しくは特定の部位を振動させたりすることによって出力して、作業者へと伝える(ステップS1-3)。そして、制御装置1は、処理手順をステップS1-1へと戻す。
【0051】
強風情報が出力されて作業者へと伝えられることにより、例えば、作業者が、伐倒対象の樹木8の周囲の風が強いことに注意して伐倒作業を一層慎重に行ったり、伐倒作業を一時的に中断したりすることで、樹木の伐倒作業における事故の防止が図られる。
【0052】
一方、ステップS1-1の処理において取得された風速が強風判定閾値未満である場合には(ステップS1-2:No)、制御装置1は、風速判定部12の機能として、ステップS1-1の処理において取得された風速が、所定の弱風判定閾値以下であるか否かを判定する(ステップS1-4)。
【0053】
弱風判定閾値は、特定の値に限定されるものではなく、例えば、樹木の伐倒作業(特に、倒木)を十分に支障なく円滑に行うことができる風速の最大値(言い換えると、樹木の伐倒作業を十分に支障なく円滑に行うことができなくなる風速の最小値)が考慮されるなどしたうえで適当な値に適宜設定される。なお、強風判定閾値と弱風判定閾値とは、相互に同じ値に設定されるようにしてもよいし、相互に異なる値に設定されるようにしてもよい。
【0054】
そして、ステップS1-1の処理において取得された風速が弱風判定閾値以下である場合には(ステップS1-4:Yes)、制御装置1は、風速判定部12の機能として、情報出力部17に対して、作業支援情報として弱風情報を出力する指令に相当する信号を伝送する。
【0055】
情報出力部17は、弱風情報(即ち、風速が弱風判定閾値以下であること)を、例えば、表示部に文字や図形や画像などとして表示したり、スピーカから音や音声として放音したり、回転灯から所定の色の光を放出したり、制御装置1の全体若しくは特定の部位を振動させたりすることによって出力して、作業者へと伝える(ステップS1-5)。そして、制御装置1は、処理手順をステップS1-1へと戻す。
【0056】
弱風情報が出力されて作業者へと伝えられることにより、例えば、作業者が、樹高が特に高い樹木を優先的に伐倒することで、風の影響を特に受けて注意が一層必要とされる樹高が特に高い樹木の伐倒作業が弱風の環境下で行われ、樹木の伐倒作業における事故の防止が図られる。
【0057】
一方、ステップS1-1の処理において取得された風速が弱風判定閾値より大きい場合には(ステップS1-4:No)、制御装置1は、処理手順をステップS1-1へと戻す。
【0058】
(制御装置における処理手順の第2の例)
図4は、制御装置1における処理手順の第2の例を示すフローチャートである。
【0059】
制御装置1は、風情報取得部11の機能として、無人飛行体2から、伐倒対象の樹木8の周囲の風の状況を表す風計測データを取得する(ステップS2-1)。風計測データは、この第2の例では具体的には、伐倒対象の樹木8の周囲における風向の計測値及び風速の計測値である。
【0060】
次に、制御装置1は、倒木方向算出部13の機能として、ステップS2-1の処理において取得された風向や風速に基づいて、伐倒対象の樹木8の倒木方向を算出する(ステップS2-2)。
【0061】
伐倒対象の樹木8の倒木方向は、例えば、ステップS2-1の処理において取得される瞬間の風向に沿って算出される(具体的には例えば、風向が南東であれば倒木方向は北西とされる)ようにしてもよく、或いは、ステップS2-1の処理において取得される瞬間の風向及び風速が用いられて所定の過去時間(例えば、3~10秒程度)の風速による重みづけ平均として現時点の風向が計算されたうえで計算された現時点の風向に沿って算出されるようにしてもよい。
【0062】
伐倒対象の樹木8の倒木方向は、また、風向や風速に加えて、伐倒対象の樹木8が生えている斜面の傾きの程度と、伐倒対象の樹木8の対地角度の大きさと、伐倒対象の樹木8の曲がりの程度と、伐倒対象の樹木8の重心位置と、のうちの少なくとも1つを利用して算出されるようにしてもよい。
【0063】
上記における、伐倒対象の樹木8が生えている斜面の傾きの程度や、伐倒対象の樹木8の対地角度の大きさ、曲がりの程度、及び重心位置は、例えば、作業者が、東西南北方向と関連付けつつ指定したり、所定の機器(尚、制御装置1でもよい)の表示部に東西南北方向と関連付けられたうえで表示される画像内の伐倒対象の樹木8や地面の状況(例えば、斜面の状況)に応じて指定したりすることにより、倒木方向算出部13へと与えられるようにしてもよい。
【0064】
伐倒対象の樹木8の倒木方向は、例えば、東、西、南、及び北が用いられて表される16方位や36方位に分けて示されるようにしてもよく、或いは、真北を基準に時計回りの角度で示されるようにしてもよく、更に或いは、林業機械3のキャブ34の前向き正面を基準として時計回りの角度で示されるようにしてもよい。キャブ34の前向き正面の方向(具体的には例えば、東西南北方向)は、例えば、上部旋回体32に設置されて、衛星測位システム(GNSS)を利用して緯度、経度、及び高度に関する情報やデータを取得する複数個のセンサ321(
図5に示す例では、2個)によって取得される情報やデータに基づいて算出されるようにしてもよい。
【0065】
そして、制御装置1は、倒木方向算出部13の機能として、情報出力部17に対して、作業支援情報として、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向を出力する指令に相当する信号を伝送する。
【0066】
情報出力部17は、伐倒対象の樹木8の倒木方向を、例えば、表示部に文字や図形や画像などとして表示したり、スピーカから音声として放音したりすることによって出力して、作業者へと伝える(ステップS2-3)。
【0067】
伐倒対象の樹木8の倒木方向が出力されて作業者へと伝えられることにより、例えば、作業者が、倒木方向に沿う周辺の状況をふまえて支障がないことを確認したうえで伐倒作業を行うことで、樹木の伐倒作業における事故の防止が図られる。
【0068】
次に、制御装置1は、倒木方向判定部14の機能として、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向が倒木禁止領域内であるか否かを判定する(ステップS2-4)。
【0069】
倒木禁止領域は、記憶部18に記憶されている。倒木禁止領域は、伐倒対象の樹木8を倒木させる領域として適切でない領域であり、倒木させてはいけない領域である。倒木禁止領域は、例えば、伐倒対象の樹木8の周辺の、人の位置情報と、建物の位置情報と、集材路の位置情報と、さらに、伐倒対象の樹木8の伐倒作業をしている林業機械3(尚、作業者が実際に搭乗して操作されるものと、遠隔で操作されるものとがある)の位置情報と、伐倒対象の樹木8の伐倒作業をしている林業機械3とは別の林業機械(尚、作業者が実際に搭乗して操作されるものと、遠隔で操作されるものとがある)の位置情報と、のうちの少なくとも1つを利用して設定されるようにしてもよい。倒木禁止領域は、例えば、緯度と経度とが用いられて表されて、面的な領域(尚、相互に離れて独立した複数の領域の場合を含む)を特定する情報として規定されるようにしてもよい。伐倒対象の樹木8の周辺の人、建物、及び集材路の位置情報は、例えば、無人飛行体2によって収集され取得されるようにしてもよく、また、無人飛行体2とは別の飛行体によって収集され取得されるようにしてもよく、或いは、林業機械3に設けられた衝突軽減や周辺監視のためのカメラによって収集され取得されるようにしてもよい。
【0070】
倒木方向判定部14は、記憶部18に記憶されている倒木禁止領域の情報を読み込み、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向が林業機械3の周囲の倒木禁止領域内であるか否か(言い換えると、倒木禁止領域にかかるか否か)を判定する。林業機械3の位置(延いては、伐倒対象の樹木8の位置)は、例えば、上部旋回体32に設置されて、衛星測位システム(GNSS)を利用して緯度及び経度に関する情報やデータを取得する少なくとも1個のセンサ321(
図5に示す例では、2個)によって取得される情報やデータに基づいて算出されるようにしてもよい。
【0071】
そして、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向が倒木禁止領域内である場合には(ステップS2-4:Yes)、制御装置1は、倒木方向判定部14の機能として、情報出力部17に対して、作業支援情報として倒木方向不良情報を出力する指令に相当する信号を伝送する。
【0072】
情報出力部17は、倒木方向不良情報(即ち、伐倒対象の樹木8の倒木方向が倒木禁止領域内であること)を、例えば、表示部に文字や図形や画像などとして表示したり、スピーカから音や音声として放音したり、回転灯から所定の色の光を放出したり、制御装置1の全体若しくは特定の部位を振動させたりすることによって出力して、作業者へと伝える(ステップS2-5)。
【0073】
倒木方向不良情報が出力されて作業者へと伝えられることにより、例えば、作業者が、伐倒対象の樹木8の倒木方向が適切でないことを明確に認識することで、樹木の伐倒作業における事故の防止が図られる。
【0074】
次に、制御装置1は、林業機械制御部15の機能として、林業機械3の特に伐倒アタッチメント33の動作を制御する動作制御部(不図示)に対して、伐倒作業部333による伐倒作業を一時的に停止する指令に相当する信号(「動作停止信号」と称する)を伝送する。
【0075】
林業機械3の動作制御部は、通常時にはキャブ34内に装備されている操作機器の作業者による操作に基づいて伐倒アタッチメント33を動作させるが、制御装置1の林業機械制御部15から動作停止信号が伝送された場合には、作業者による操作機器の操作に関係なく、伐倒作業部333による、伐倒対象の樹木8の伐倒作業を停止する(ステップS2-6)。ただし、伐倒作業を停止することにより危険な状態になり得る場合には、例えば伐倒作業の続行指示が作業者によって為されるなどにより、伐倒作業が停止されることなくそのまま継続されるようにしてもよい。
【0076】
次に、制御装置1は、操作情報生成部16の機能として、伐倒対象の樹木8を倒木禁止領域外又は倒木推奨領域内に倒木させるための、林業機械3の配置及び林業機械3の伐倒作業部333の位置を算出する(ステップS2-7)。
【0077】
伐倒対象の樹木8を倒木禁止領域外又は倒木推奨領域内に倒木させるための、林業機械3の配置及び伐倒作業部333の位置は、例えば、計測機器22によって計測された風向や風速(尚、ステップS2-1の処理において取得される風向や風速が含まれるようにしてもよく、また、適時計測される風向や風速が含まれるようにしてもよい)と、林業機械3の上部旋回体32の東西南北方向と、伐倒アタッチメント33の伐倒作業部333の指向角度と、に基づいて算出されるようにしてもよい。
【0078】
林業機械3の上部旋回体32の東西南北方向は、例えば、上部旋回体32に設置されて、衛星測位システム(GNSS)を利用して緯度、経度、及び高度に関する情報やデータを取得する複数個のセンサ321(
図5に示す例では、2個)によって取得される情報やデータに基づいて算出されるようにしてもよい。林業機械3の上部旋回体32の東西南北方向Dは、伐倒アタッチメント33のブーム331及びアーム332の長手方向に沿う方向でもある(
図5参照)。
【0079】
伐倒アタッチメント33の伐倒作業部333の指向角度は、伐倒作業部333による、伐倒対象の樹木8への切込みや切り口の角度を決定付けるとともに、伐倒対象の樹木8の支持角度を決定付け、延いては、伐倒対象の樹木8の倒木方向に影響を与える。伐倒作業部333の指向角度は、例えば、伐倒作業部333内に設けられた角度検出手段によって把握されるようにしてもよい。角度検出手段は、例えば、アーム332の長手方向(即ち、林業機械3の上部旋回体32の東西南北方向D)に対する伐倒作業部333の回転角度θを検出する機序として構成され、具体的には、センサであってもよく、或いは、近接スイッチと鉄板との組み合わせによって角度を検出する仕組みであってもよい。アーム332の長手方向(即ち、林業機械3の上部旋回体32の東西南北方向D)に対する伐倒作業部333の回転角度θが検出されることにより、伐倒作業部333の指向角度が、例えば、東、西、南、及び北が用いられて表される16方位や36方位に分けて示されたり、真北を基準に時計回りの角度で示されたりする。
【0080】
制御装置1は、操作情報生成部16の機能として、計測機器22によって計測された風向や風速(尚、ステップS2-1の処理において取得される風向や風速が含まれるようにしてもよく、また、適時計測される風向や風速が含まれるようにしてもよい)に基づいて算出される伐倒対象の樹木8の倒木方向に対して、伐倒対象の樹木8を倒木禁止領域外又は倒木推奨領域内に倒木させるための、林業機械3の配置(尚、林業機械3の上部旋回体32の東西南北方向Dを含む;現時点の東西南北方向Dからの変化量でもよい)及び伐倒作業部333の位置(尚、伐倒作業部333の指向角度(具体的には例えば、回転角度θ)を含む;現時点の指向角度からの変化量でもよい)を算出する(別言すると、生成する)。操作情報生成部16によって算出される林業機械3の配置及び林業機械3の伐倒作業部333の位置のことを「操作情報」と呼ぶ。
【0081】
そして、制御装置1は、操作情報生成部16の機能として、情報出力部17に対して、作業支援情報として、ステップS2-7の処理において算出された操作情報を出力する指令に相当する信号を伝送する。
【0082】
情報出力部17は、操作情報(即ち、林業機械3の配置及び伐倒作業部333の位置)を、例えば、表示部に文字や図形や画像などとして表示したり、スピーカから音声として放音したりすることによって出力して、作業者へと伝える(ステップS2-8)。そして、制御装置1は、処理手順をステップS2-1へと戻す。
【0083】
伐倒対象の樹木8を倒木禁止領域外又は倒木推奨領域内に倒木させるための操作情報が出力されて作業者へと伝えられることにより、例えば、作業者が、伐倒対象の樹木8を適切な方向へと倒木させるように林業機械3を的確に操作することで、樹木の伐倒作業における事故の防止が図られる。
【0084】
なお、ステップS2-7の処理において算出された操作情報に相当する信号が林業機械3の動作を制御する動作制御部(不図示)に対して伝送され、作業者による操作機器の操作によらず、自動的に、ステップS2-7の処理において算出された林業機械3の配置及び林業機械3の伐倒作業部333の位置となるように林業機械3が動作するようにしてもよい。
【0085】
一方、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向が倒木禁止領域外である場合には(ステップS2-4:No)、制御装置1は、倒木方向判定部14の機能として、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向が倒木推奨領域内であるか否かを判定する(ステップS2-9)。
【0086】
倒木推奨領域は、記憶部18に記憶されている。倒木推奨領域は、伐倒対象の樹木8を倒木させる領域として特に適切な領域であり、倒木させる場所として特に好ましい領域である。倒木推奨領域は、例えば、伐倒対象の樹木8の周辺の、人の位置情報と、建物の位置情報と、集材路の位置情報と、さらに、伐倒対象の樹木8の伐倒作業をしている林業機械3(尚、作業者が実際に搭乗して操作されるものと、遠隔で操作されるものとがある)の位置情報と、伐倒対象の樹木8の伐倒作業をしている林業機械3とは別の林業機械(尚、作業者が実際に搭乗して操作されるものと、遠隔で操作されるものとがある)の位置情報と、のうちの少なくとも1つを利用して設定されるようにしてもよい。倒木推奨領域は、例えば、緯度と経度とが用いられて表されて、面的な領域(尚、相互に離れて独立した複数の領域の場合を含む)を特定する情報として規定されるようにしてもよい。伐倒対象の樹木8の周辺の人、建物、及び集材路の位置情報は、例えば、無人飛行体2によって収集され取得されるようにしてもよく、また、無人飛行体2とは別の飛行体によって収集され取得されるようにしてもよく、或いは、林業機械3に設けられた衝突軽減や周辺監視のためのカメラによって収集され取得されるようにしてもよい。
【0087】
倒木方向判定部14は、記憶部18に記憶されている倒木推奨領域の情報を読み込み、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向が林業機械3の周囲の倒木推奨領域内であるか否かを判定する。林業機械3の位置(延いては、伐倒対象の樹木8の位置)は、例えば、上部旋回体32に設置されて、衛星測位システム(GNSS)を利用して緯度及び経度に関する情報やデータを取得する少なくとも1個のセンサ321(
図5に示す例では、2個)によって取得される情報やデータに基づいて算出されるようにしてもよい。
【0088】
そして、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向が倒木推奨領域内である場合には(ステップS2-9:Yes)、制御装置1は、倒木方向判定部14の機能として、情報出力部17に対して、作業支援情報として倒木方向良好情報を出力する指令に相当する信号を伝送する。
【0089】
情報出力部17は、倒木方向良好情報(即ち、伐倒対象の樹木8の倒木方向が倒木推奨領域内であること)を、例えば、表示部に文字や図形や画像などとして表示したり、スピーカから音や音声として放音したり、回転灯から所定の色の光を放出したり、制御装置1の全体若しくは特定の部位を振動させたりすることによって出力して、作業者へと伝える(ステップS2-10)。そして、制御装置1は、処理手順をステップS2-1へと戻す。
【0090】
倒木方向良好情報が出力されて作業者へと伝えられることにより、例えば、作業者が、伐倒対象の樹木8が適切な方向へと倒れ得ることを認識して無駄な調整や操作をすることなく伐倒作業を進めることで、樹木の伐倒作業における事故の防止が図られつつ樹木の伐倒作業が円滑に効率的に行われる。
【0091】
一方、ステップS2-2の処理において算出された伐倒対象の樹木8の倒木方向が倒木推奨領域外である場合には(ステップS2-9:No)、制御装置1は、処理手順をステップS2-1へと戻す。
【0092】
実施形態の伐倒支援装置によれば、伐倒対象の樹木8の周囲の風向や風速を計測する計測機器22によって計測された風向や風速に基づいて、林業機械3の作業を支援する作業支援情報を出力するようにしているので、林業機械3による樹木の伐倒作業に対して適切な作業支援情報を生成することが可能となり、延いては、樹木の伐倒作業を支障なく円滑に行うことが可能となる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施形態に限定されるものではなく、上記の実施形態に本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0094】
例えば、上記の実施形態では計測機器22が無人飛行体2に搭載されているようにしているが、計測機器22が伐倒対象の樹木8の周囲の構造物に取り付けられているようにしてもよい。この場合、計測機器22は、伐倒対象の樹木8の樹冠の高さ範囲H内の高さ位置に取り付けられることが好ましい。伐倒対象の樹木8の周囲の構造物としては、例えば、鉄塔が挙げられる。
【0095】
また、上記の実施形態では計測機器22が風向及び風速を計測するようにしているが、制御装置1が作業支援情報として出力する情報の内容によっては、計測機器22が風向と風速とのうちのどちらか一方のみを計測するようにしてもよい。
【0096】
また、上記の実施形態では無人飛行体2が回転翼機であるようにしているが、無人飛行体2は回転翼機に限定されるものではなく、例えばバルーンであるようにしてもよい。すなわち、本発明における無人飛行体2は、自律飛行が可能な飛行体でもよく、また、自律飛行が不能な浮遊体でもよい。無人飛行体2としてバルーンなどの自律飛行が不能な浮遊体が用いられる場合には、例えば、林業機械3や伐倒対象の樹木8の周囲の樹木や伐倒対象の樹木8の周囲の構造物などにロープによって係留されるようにしてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態では、強風情報の判定及び出力(ステップS1-2、S1-3)と、弱風情報の判定及び出力(ステップS1-4、S1-5)と、倒木方向の算出及び出力(ステップS2-2、S2-3)と、倒木方向不良情報の判定及び出力(ステップS2-4、S2-5)と、伐倒作業の停止(ステップS2-6)と、操作情報の算出及び出力(ステップS2-7、S2-8)と、倒木方向良好情報の判定及び出力(ステップS2-9、S2-10)と、が行われるようにしているが、これらの処理がすべて行われることは本発明における必須の要件ではなく、これらの処理のうちのいずれか1つのみが行われるようにしてもよく、また、これらの処理のうちの任意の2つ以上が行われるようにしてもよい(尚、「制御装置における処理手順の第1の例」と「制御装置における処理手順の第2の例」とが組み合わせられて行われるようにしてもよい)。また、これらの処理の順序は、上記の実施形態における順序に限定されるものではなく、任意に設定され得る。さらに、これらの処理のうち特定の処理が繰り返し行われた後に他の処理が行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 制御装置
11 風情報取得部
12 風速判定部
13 倒木方向算出部
14 倒木方向判定部
15 林業機械制御部
16 操作情報生成部
17 情報出力部
18 記憶部
2 無人飛行体
21 制御部
22 計測機器
3 林業機械
31 下部走行体
32 上部旋回体
321 センサ
33 伐倒アタッチメント
331 ブーム
332 アーム
333 伐倒作業部
34 キャブ
8 伐倒対象の樹木
9A 通信回線(制御装置1と無人飛行体2との間)
9B 通信回線(制御装置1と林業機械3との間)