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特開2024-40609鋳造用油圧システムの制御弁を調整する装置、プログラム、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040609
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】鋳造用油圧システムの制御弁を調整する装置、プログラム、および方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
B22D17/32 B
B22D17/32 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145062
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】青山 稔
(57)【要約】
【課題】鋳造用の油圧システムの制御弁を調整する手段を提供すること。
【解決手段】油圧システム1の制御弁5,7を調整する装置2は、制御弁5,7を調整可能に構成される弁調整プログラムCPを記憶する記憶部21と、弁調整プログラムCPを実行可能に構成される情報処理部20とを備える。弁調整プログラムCPは、例えば、圧力制御弁5については、低圧指令値CL1を示す制御指令を制御弁5に与えて、制御弁5の入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータAz1の値を変更するゼロ調整部302と、相対的に高い高圧指令値CH1を示す制御指令を制御弁5に与えて、入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータAs1の値を変更するスパン調整部301と、を備える。弁調整装置2は、ゼロ調整部302による処理およびスパン調整部301による処理の両方を行うことで、入出力特性を調整する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造用の油圧システムの制御弁を調整する装置であって、
前記制御弁を調整可能に構成される弁調整プログラムを記憶する記憶部と、
前記弁調整プログラムを実行可能に構成される情報処理部と、を備え、
前記弁調整プログラムは、
前記制御弁の指令値の使用範囲において相対的に低い低指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記制御弁の入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータの値を変更するゼロ調整部と、
前記使用範囲において相対的に高い高指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータの値を変更するスパン調整部と、を備え、
前記ゼロ調整部による処理および前記スパン調整部による処理の両方を行うことで、前記入出力特性を調整する、弁調整装置。
【請求項2】
前記油圧システムは、
油圧源と、前記油圧源から負荷に力を出力する油圧アクチュエータと、前記油圧源から前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力を制御可能に構成される前記制御弁としての圧力制御弁と、前記油圧源から前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御可能に構成される前記制御弁としての流量制御弁との一方を備え、
前記油圧アクチュエータは、
金型のキャビティに溶湯を射出する射出装置に用いられる射出シリンダ、および、前記金型を型締する型締装置に用いられる型締シリンダ、の少なくとも一方に相当する、
請求項1に記載の弁調整装置。
【請求項3】
前記油圧システムは、油圧源と、前記油圧源から負荷に力を出力する油圧アクチュエータと、前記油圧源から前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力を制御可能に構成される前記制御弁としての圧力制御弁と、前記油圧源から前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御可能に構成される前記制御弁としての流量制御弁との両方を備え、
前記弁調整プログラムは、前記圧力制御弁に対応する前記ゼロ調整部および前記スパン調整部と、前記流量制御弁に対応する前記ゼロ調整部および前記スパン調整部と、を備える、
請求項1に記載の弁調整装置。
【請求項4】
前記油圧システムは、前記制御弁としての前記圧力制御弁を備え、
前記ゼロ調整部は、前記ゼロ調整パラメータの値の変更を含むゼロ調整処理を前記低指令値に実測値が適合するまで繰り返し、
前記スパン調整部は、前記スパン調整パラメータの値の変更を含むスパン調整処理を前記高指令値に実測値が適合するまで繰り返し、
前記弁調整プログラムは、
前記ゼロ調整処理および前記スパン調整処理を含む一連のゼロ・スパン調整を、前記低指令値に実測値が適合し、かつ、前記高指令値に実測値が適合する要件が成立するまで繰り返すゼロ・スパン調整部を備える、
請求項2に記載の弁調整装置。
【請求項5】
前記油圧システムは、前記制御弁としての前記流量制御弁を備え、
前記ゼロ調整部は、
前記油圧アクチュエータまたは前記負荷の移動と、前記ゼロ調整パラメータの値の変更と、を含むゼロ調整処理を前記低指令値に実測値が適合するまで繰り返し、
前記スパン調整部は、
前記油圧アクチュエータまたは前記負荷の移動と、前記スパン調整パラメータの値の変更と、を含むスパン調整処理を前記高指令値に実測値が適合するまで繰り返し、
前記弁調整プログラムは、
前記ゼロ調整処理および前記スパン調整処理を含む一連のゼロ・スパン調整処理を、前記低指令値に実測値が適合し、かつ、前記高指令値に実測値が適合する要件が成立するまで繰り返すゼロ・スパン調整部を備える、
請求項2に記載の弁調整装置。
【請求項6】
前記ゼロ調整部は、
前記油圧アクチュエータまたは前記負荷の移動に要する時間に基づき、前記低指令値に前記実測値が適合するか否かを判定し、
前記スパン調整部は、
前記油圧アクチュエータまたは前記負荷の移動に要する時間に基づき、前記高指令値に前記実測値が適合するか否かを判定する、
請求項5に記載の弁調整装置。
【請求項7】
前記弁調整プログラムは、
所定の制限時間または所定の制限回数に亘り前記ゼロ調整処理および前記スパン調整処理が行われる間に、前記要件が成立しない場合は、調整不調を報知する、
請求項4から6のいずれか一項に記載の弁調整装置。
【請求項8】
鋳造用の油圧システムの制御弁を調整可能に構成される弁調整プログラムであって、
前記制御弁の指令値の使用範囲において相対的に低い低指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記制御弁の入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータの値を変更するゼロ調整部と、
前記使用範囲において相対的に高い高指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータの値を変更するスパン調整部と、を備え、
前記ゼロ調整部による処理および前記スパン調整部による処理の両方を行うことで、前記入出力特性を調整する、弁調整プログラム。
【請求項9】
鋳造用の油圧システムの制御弁をコンピュータ・プログラムの実行により調整する方法であって、
前記制御弁の指令値の使用範囲において相対的に低い低指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記制御弁の入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータの値を変更するゼロ調整ステップと、
前記使用範囲において相対的に高い高指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記制御弁の入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータの値を変更するスパン調整ステップと、を備え、
前記ゼロ調整ステップおよび前記スパン調整ステップの両方を行うことで、前記入出力特性を調整する、弁調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造用の油圧システムの制御弁を調整する装置、プログラム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカストマシンに備わる射出装置、型締装置等を駆動する油圧システムは、油圧アクチュエータと、油圧源と、油圧源から油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力および流量をそれぞれ制御可能な制御弁とを備えている(例えば、特許文献1)。こうした制御弁を用いて圧力および流量が適切に制御されることにより、ダイカストマシンが安定して稼働する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-77303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧力調整弁および流量調整弁の経年変化により、圧力指令値と圧力実測値とが乖離する、あるいは、流量指令値と流量実測値とが乖離する場合がある。そうした場合には、弁の部品交換等を含む機械的な整備により対応しているが、整備後も指令値と実測値とが乖離している場合がある。
以上を踏まえて、本発明は、鋳造用の油圧システムの制御弁を調整する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、鋳造用の油圧システムの制御弁を調整する装置であって、制御弁を調整可能に構成される弁調整プログラムを記憶する記憶部と、弁調整プログラムを実行可能に構成される情報処理部と、を備える。弁調整プログラムは、制御弁の指令値の使用範囲において相対的に低い低指令値を示す制御指令を制御弁に与えて、制御弁の入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータの値を変更するゼロ調整部と、使用範囲において相対的に高い高指令値を示す制御指令を制御弁に与えて、入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータの値を変更するスパン調整部と、を備える。弁調整装置は、ゼロ調整部による処理およびスパン調整部による処理の両方を行うことで、入出力特性を調整する。
【0006】
本発明は、弁調整プログラムおよび弁調整方法にも展開される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の弁調整プログラム、それを用いる弁調整装置および弁調整方法によれば、油圧システムに備わる制御弁の入出力特性を自動的に調整する手段を提供することができる。制御弁の調整を行うにあたり、操作者に専門知識は必要なく、弁調整プログラムを実行させることにより、操作者によってばらつきのない調整結果を得ることができる。
【0008】
弁調整プログラムを用いる制御弁の調整は、例えば、定期点検時、またはダイカストマシンの動作状態から点検が必要と判断される場合等に実施することが可能である。制御弁の経年変化により指令値と実測値とが乖離しているとしても、ゼロ調整パラメータおよびスパン調整パラメータの値の変更により、部品交換を行わずに入出力特性を適正化することが可能となるので、経済的である。
【0009】
また、ダイカストマシンの不具合発生時にエンドユーザは、専門業者によるメンテナンスの提供を待つことなく、直ちに自ら、不具合に関係する制御弁の自動調整を行ってダイカストマシンの動作を安定させることができる。そのため、稼働率を上げて生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る鋳造用の油圧システムと、油圧システムの制御弁を調整する弁調整装置とを示す模式図である。
図2】(a)は、弁調整装置のハードウェア構成を示すブロック図である。(b)は、弁調整装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図3】(a)~(d)は、圧力制御弁の調整処理の一例を説明するための入出力特性グラフである。
図4】(a)~(d)は、流量制御弁の調整処理の一例を説明するための入出力特性グラフである。
図5】モニタ画面の表示の一例(圧力制御弁の自動調整)を示す模式図である。
図6】圧力制御弁の調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7】(a)は、圧力制御弁の自動調整に関する履歴情報のテーブルデータを示す模式図である。(b)は、モニタ画面の表示の一例(圧力制御弁の自動調整の履歴情報)を示す模式図である。
図8】モニタ画面の表示の一例(流量制御弁の自動調整)を示す模式図である。
図9】流量制御弁の調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10】(a)は、流量制御弁の自動調整に関する履歴情報のテーブルデータを示す模式図である。(b)は、モニタ画面の表示の一例(流量制御弁の自動調整の履歴情報)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔全体構成〕
以下、添付図面を参照しながら、鋳造用の油圧システムの制御弁の調整について説明する。図1および図2(a)に示す弁調整装置2は、油圧システム1に備わる制御弁5,7の入出力特性を調整可能に構成されている。
弁調整装置2は、メモリ201、および演算部202を含む情報処理部20と、コンピュータ・プログラムとしての弁調整プログラムCPを記憶する記憶部21と、入出力部22に接続されるモニタ23とを備えている。情報処理部20は、弁調整プログラムCPを実行可能に構成されるコンピュータに相当する。情報処理部20は、図示しないダイカストマシンを制御する制御装置に組み込まれていてもよい。
【0012】
〔油圧システムの構成〕
油圧システム1は、ダイカストマシンに備わる射出装置および型締装置等の動力源として用いられる。なお、射出装置、型締装置、および金型等の図示は省略する。
この油圧システム1は、図1に構成の一例が簡素に示されているように、基本的な要素としては、電動機3Aにより駆動される油圧ポンプ3Bを含む油圧源3と、負荷Lに力(推力)を出力する油圧アクチュエータ4と、圧力制御弁5と、流量制御弁7とを備えている。
【0013】
負荷Lは、例えば、図示しない金型のキャビティに溶湯を射出する射出装置に相当し、あるいは、金型を型締する型締装置に相当する。負荷Lが射出装置であるとき、油圧アクチュエータ4は射出シリンダである。負荷Lが型締装置であるとき、油圧アクチュエータ4は型締シリンダである。射出シリンダや型締シリンダ等の油圧アクチュエータ4は、図示しないバルブ等の切り替えにより、適時に、動力が必要な負荷Lへと力を出力する。
油圧システム1には、必要に応じて図示しない蓄圧器が含まれていてもよい。
上記の基本的要素の他、油圧システム1は、油圧回路を負荷状態と無負荷状態とに切り替え可能に構成される切替電磁弁8と、作動油から異物を除去するオイルフィルター9と、作動油を冷却するオイルクーラー10と、作動油の逆流を防ぐチェックバルブ11とを備えている。
【0014】
圧力制御弁5は、比例電磁式の制御弁であり、油圧源3から油圧アクチュエータ4に供給される作動油の圧力Pを入力電流に比例して制御可能に構成される。油圧システム1には、当該圧力Pを計測可能に構成される圧力計測部6が設けられている。圧力計測部6は、圧力計61および圧力トランスデューサー62からなる。圧力トランスデューサー62は、圧力計61により計測される圧力Pを電気信号に変換する。
【0015】
圧力制御弁5の入出力特性の一例を図3(a)に模式的に示しているように、圧力制御弁5の入出力特性においては、圧力Pの指令値としての入力値と、圧力Pの実測値としての出力値とが比例関係にある線形の領域が存在する。
【0016】
流量制御弁7は、油圧源3から油圧アクチュエータ4に供給される作動油の流量Qを入力電流に比例して制御可能に構成される。流量制御弁7は、圧力制御弁5と同様に比例電磁式の制御弁であり、その入出力特性においては、流量Qの指令値としての入力値と、流量Qの実測値としての出力値とが比例関係にある線形の領域が存在する。
【0017】
圧力制御弁5および流量制御弁7のいずれについても、入力値と出力値とが一致している、あるいは、入力値と出力値との差が許容範囲内にあるとき、ダイカストマシンが安定して動作する。入力値と出力値とが一致している、または入力値と出力値との差が許容範囲内にあるとき、実測値が指令値に「適合」している。制御弁5,7の摩耗等の経年変化、あるいは部品交換等により、例えば圧力制御弁5に関して図3(a)に示すように、指令値と実測値とが乖離する場合がある。後述するように、弁調整プログラムCPを用いる制御弁5,7の入出力特性のゼロ調整およびスパン調整によれば、実測値が指令値に適合するように、それぞれの入出力特性を調整することができる。
【0018】
流量制御弁7と、圧力制御弁5とは、単一の制御弁として一体化されていてもよい。その制御弁は、圧力用のソレノイドと、流量用のソレノイドとを備え、圧力Pと流量Qとを個別に制御可能に構成される。
【0019】
流量Qは、油圧アクチュエータ4のピストン4Aまたは負荷Lの移動に要する時間に相関する。油圧アクチュエータ4のピストン4A、例えば射出シリンダのピストンは、鋳造条件として所定の速度が設定されると、速度に相応の流量Qを示す指令値が流量制御弁7に与えられることにより、所定の速度で前進限から後退限までのストローク全体に亘り後退される。
【0020】
〔弁調整プログラムの構成〕
図2(b)を参照し、圧力制御弁5および流量制御弁7をそれぞれ調整する弁調整プログラムCPについて説明する。弁調整プログラムCPは、記憶部21から読み出されて情報処理部20において実行される。
なお、他のコンピュータ・プログラム、例えば、鋳造条件に従い、所定のプロセスでダイカストマシンを動作させるプログラムも、情報処理部20において実行させることができる。弁調整プログラムCPが、そうした他のプログラムの一部として構成されていたり、他のプログラムと連携するように構成されていたりしてもよい。
【0021】
弁調整プログラムCPは、プログラムモジュールとして、圧力制御弁5の入出力特性を調整可能に構成される圧力制御弁調整部CP1と、流量制御弁7の入出力特性を調整可能に構成される流量制御弁調整部CP2とを備えている。
【0022】
(圧力制御弁調整部の構成)
圧力制御弁調整部CP1は、ゼロ・スパン調整部30と、調整結果表示部31と、パラメータ設定復元部32と、履歴情報管理部33とを備えている。
ゼロ・スパン調整部30は、スパン調整部301およびゼロ調整部302を含む。
以下、スパン調整部301およびゼロ調整部302のそれぞれにより行われる処理を説明する。調整結果表示部31、パラメータ設定復元部32、および履歴情報管理部33については、後述する。
【0023】
スパン調整部301は、高圧指令値CH1を示す制御指令を圧力制御弁5に与えて、入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータAs1の値を変更する。
高圧指令値CH1は、圧力制御弁5の圧力指令値の使用範囲R1において相対的に高い値に相当する。高圧指令値CH1は、例えば、使用範囲R1における上限に相当するが、それに限られない。
【0024】
スパン調整パラメータAs1の値を所定の調整範囲内において増減させると、圧力制御弁5に与えられる指令値の大きさも増減し、圧力制御弁5の入出力特性の傾き(Δy/Δx)が変化する。スパン調整パラメータAs1の調整範囲は、例えば、0~4000である。入出力特性の傾きの変化により、出力値の下限から上限までの範囲(スパン)が変化することとなる。
【0025】
図3(a)および(b)を参照し、スパン調整部301による圧力制御弁5のスパン調整を説明する。高圧指令値CH1はx軸の入力値に対応し、pであるものとする。圧力計測部6により計測される圧力Pの高圧実測値MH1はy軸の出力値に対応している。
図3(a)において、高圧実測値MH1は、高圧指令値CH1を超え、且つ高圧指令値CH1を基準とする許容範囲を逸脱しているため、高圧指令値CH1には適合していない。
そこで、スパン調整部301により、高圧指令値CH1を示す制御指令を圧力制御弁5に与えて、スパン調整パラメータAs1の値を減少させると、例えば図3(b)に示すように、図3(a)に対して圧力制御弁5の入出力特性の傾き(Δy/Δx)が減少するので、高圧指令値CH1に対応する高圧実測値MH1も減少する。
スパン調整部301は、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1未満であって、高圧指令値CH1を基準とする許容範囲を逸脱している場合は、スパン調整パラメータAs1の値を増加させる。
【0026】
スパン調整部301は、高圧指令値CH1を圧力制御弁5に与えつつ、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合するまで、スパン調整パラメータAs1の値を繰り返し変更する。このとき、高圧指令値CH1に対する高圧実測値MH1の差ΔPの大きさに応じて、スパン調整パラメータAs1の値の変更幅ΔAを与えてもよい。例えば、差ΔPが相対的に大きい場合は、変更幅ΔAも大きくするとよい。図3(b)は、スパン調整により高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合した例を示す。
【0027】
ゼロ調整部302は、低圧指令値CL1を示す制御指令を圧力制御弁5に与えて、入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータAz1の値を変更する。
【0028】
低圧指令値CL1は、圧力制御弁5の圧力指令値の使用範囲R1において相対的に低い値に相当する。低圧指令値CL1は、例えば、圧力指令値の使用範囲R1における下限に相当するが、それに限られない。
ゼロ調整パラメータAz1の値を所定の調整範囲内において増減させると、圧力制御弁5に与えられる指令値の大きさも増減し、圧力制御弁5の入出力特性の切片(y切片)が変化する。ゼロ調整パラメータAz1の調整範囲は、例えば、0~4000である。切片の変化により、圧力制御弁5の入出力特性の値がy軸方向に変化する。
【0029】
図3(c)および(d)を参照し、ゼロ調整部302による圧力制御弁5のゼロ調整を説明する。低圧指令値CL1はx軸の入力値に対応し、pであるものとする。圧力計測部6により計測される圧力Pの低圧実測値ML1はy軸の出力値に対応している。
図3(c)において、低圧実測値ML1は、低圧指令値CL1を超え、且つ低圧指令値CL1を基準とする許容範囲を逸脱しているため、低圧指令値CL1には適合していない。
【0030】
そこで、ゼロ調整部302により、低圧指令値CL1を示す制御指令を圧力制御弁5に与えて、ゼロ調整パラメータAz1の値を減少させると、例えば図3(d)に示すように、図3(c)に対して圧力制御弁5の入出力特性の切片が減少するので、低圧指令値CL1に対応する低圧実測値ML1も減少する。
ゼロ調整部302は、低圧実測値ML1が低圧指令値CL1未満であって、低圧指令値CL1を基準とする許容範囲を逸脱している場合は、ゼロ調整パラメータAz1の値を増加させる。
【0031】
ゼロ調整部302は、低圧指令値CL1を圧力制御弁5に与えつつ、低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合するまで、ゼロ調整パラメータAz1の値を繰り返し変更する。このとき、低圧指令値CL1に対する低圧実測値ML1の差ΔPの大きさに応じて、ゼロ調整パラメータAz1の値の変更幅ΔAを与えてもよい。例えば、差ΔPが相対的に大きい場合は、変更幅ΔAも大きくするとよい。図3(d)は、ゼロ調整により低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合した例を示す。
【0032】
ゼロ・スパン調整部30は、スパン調整部301による処理およびゼロ調整部302による処理が適宜な順序で繰り返されることで、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合し、かつ、低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合したのならば、圧力制御弁5の調整を終了する。
【0033】
(流量制御弁調整部の構成)
次に、流量制御弁調整部CP2は、ゼロ・スパン調整部40と、調整結果表示部41と、パラメータ設定復元部42と、履歴情報管理部43とを備えている。
ゼロ・スパン調整部40は、スパン調整部401、およびゼロ調整部402を含む。
【0034】
以下、スパン調整部401およびゼロ調整部402のそれぞれにより行われる処理を説明する。調整結果表示部41、パラメータ設定復元部42、および履歴情報管理部43については、後述する。
【0035】
スパン調整部401は、鋳造条件として油圧アクチュエータ4の速度を高流量に対応する設定値(例えば99%)に設定することで、流量制御弁7に高流量指令値を与え、油圧アクチュエータ4または負荷Lを移動させて移動の所要時間を計測する。そして、所要時間が、高流量速度設定値に対応する基準値の範囲内に収まるように、入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータAs2を変更する。
【0036】
速度設定は、例えば、速度の下限から上限までを「1」としたときの百分率で表される。そして、例えば、速度設定10%に対応する所要時間の基準値CL2から、速度設定99%に対応する所要時間の基準値CH2までの使用範囲R2が設定される。ここで言う所要時間は、流量制御弁7における入力の代理特性であるため、使用範囲R2は、流量制御弁7の流量指令値の使用範囲に相当する。
以上より、本実施形態においては、流量指令値に代えて時間の基準値を用いる。また、流量実測値に代えて、時間の実測値を用いる。
【0037】
スパン調整パラメータAs2の値を所定の調整範囲内において増減させると、流量制御弁7の入出力特性の傾き(Δy/Δx)が変化する。スパン調整パラメータAs2の調整範囲は、例えば、0~4000である。傾きの変化により、出力値の下限から上限までの範囲(スパン)が変化することとなる。
【0038】
スパン調整部401による流量制御弁7のスパン調整は、例えば図4(a)および(b)に示すように、上述のスパン調整部301による圧力制御弁5のスパン調整と同様の手順により行うことができる。
x軸の入力値について、高流量に対応する速度設定時の所要時間は、t秒であり、低流量に対応する速度設定時の所要時間は、t秒であるものとする。y軸の出力値は、所要時間の実測値である。
【0039】
スパン調整部401は、射出シリンダの速度を高流量に対応する設定値(例えば99%)に設定することで流量制御弁7に高流量指令値を与えて、射出シリンダを後退させて所要時間tを計測する。そして、高流量に対応する時間の実測値MH2としての所要時間tが、高流量の速度設定に対応する基準値CH2の範囲内に収まるように、入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータAs2を変更する。
図4(a)において、高流量の速度設定時の出力値としての実測値MH2は、高流量の速度設定時の基準値CH2であるtを超え、且つ基準値CH2を基準とする許容範囲を逸脱しているため、基準値CH2には適合していない。
【0040】
そこで、スパン調整部401により、高流量に対応する速度設定値を設定することで高流量指令値を示す制御指令を流量制御弁7に与えて、スパン調整パラメータAs2の値を増加させると、例えば図4(b)に示すように、図4(a)に対して流量制御弁7の入出力特性の傾き(Δy/Δx)が減少する。このとき、射出シリンダの移動速度が増加し、所要時間tが減少することで、時間の実測値MH2が基準値CH2に近づく。
【0041】
スパン調整部401は、速度設定により高流量指令値を流量制御弁7に与えつつ、実測値MH2が基準値CH2に適合するまで、スパン調整パラメータAs2の値を繰り返し変更する。このとき、基準値CH2に対する実測値MH2の差の大きさに応じて、スパン調整パラメータAs2の値の変更幅を与えてもよい。図4(b)は、スパン調整により実測値MH2が基準値CH2に適合した例を示す。
【0042】
ゼロ調整部402は、射出シリンダの速度を低流量に対応する設定値(例えば10%)に設定することで流量制御弁7に低流量指令値を与えて、射出シリンダを後退させて所要時間tを計測する。そして、低流量に対応する時間の実測値ML2としての所要時間tが、低流量の速度設定に対応する基準値CL2の範囲内に収まるように、入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータAz2を変更する。
【0043】
ゼロ調整パラメータAz2の値を所定の調整範囲内において増減させると、流量制御弁7の入出力特性の切片(y切片)が変化する。ゼロ調整パラメータAz2の調整範囲は、例えば、0~4000である。
【0044】
図4(c)および(d)を参照し、ゼロ調整部402による流量制御弁7のゼロ調整を説明する。
図4(c)において、低流量の速度設定時の出力値としての実測値ML2は、低流量の速度設定時の基準値CL2であるtを超え、且つ基準値CL2を基準とする許容範囲を逸脱しているため、基準値CL2には適合していない。
【0045】
そこで、ゼロ調整部402により、低流量に対応する速度設定値を設定することで低流量指令値を示す制御指令を流量制御弁7に与えて、ゼロ調整パラメータAz2の値を増加させると、例えば図4(d)に示すように、図4(c)に対して流量制御弁7の入出力特性の切片が減少する。このとき、射出シリンダの移動速度が増加し、所要時間tが減少することで、時間の実測値ML2が基準値CL2に近づく。
【0046】
ゼロ調整部402は、速度設定により低流量指令値を流量制御弁7に与えつつ、実測値ML2が基準値CL2に適合するまで、ゼロ調整パラメータAz2の値を繰り返し変更する。このとき、基準値CL2に対する実測値ML2の差の大きさに応じて、ゼロ調整パラメータAz2の値の変更幅を与えてもよい。図4(d)は、ゼロ調整により実測値ML2が基準値CL2に適合した例を示す。
【0047】
ゼロ・スパン調整部40は、スパン調整部401による処理およびゼロ調整部402による処理が適宜な順序で繰り返されることで、高流量に対応する時間の実測値MH2が基準値CH2に適合し、かつ、低流量に対応する時間の実測値ML2が基準値CL2に適合したのならば、流量制御弁7の調整を終了する。
【0048】
〔圧力制御弁の自動調整〕
次に、図5図7を参照し、弁調整装置2により行われる圧力制御弁5の自動調整の一例を説明する。
図5は、圧力制御弁5の自動調整に関するモニタ23の画面50上の表示例を示している。画面50上の「開始」ボタンB1をタッチパネル等の適宜な入力手段により押下操作すると、弁調整プログラムCPによる圧力制御弁5の調整処理が開始され、処理を終えると、調整結果表示部31により、スパン調整パラメータAs1およびゼロ調整パラメータAz1のそれぞれの値が調整結果として調整結果表示領域51に表示されるとともに、調整の成否が状態表示領域52に表示される。
【0049】
圧力制御弁5の調整が開始されるにあたり、パラメータ設定復元部32は、調整開始前におけるスパン調整パラメータAs1およびゼロ調整パラメータAz1のそれぞれの最新の値を記憶部21またはメモリ201に記憶させる。そのため、油圧機器の故障等に起因し、調整パラメータAs1,Az1をそれぞれ増減させて行われる調整が不調に終わった場合でも、調整パラメータAs1,Az1を調整開始前における最新の値に戻すことができる。
【0050】
なお、圧力制御弁5に関する過去の調整の履歴情報が記憶部21に記憶されている場合は、調整パラメータAs1,Az1のそれぞれの最新の値が記憶部21に既に記憶されている。そのため、調整不調時に履歴情報から調整パラメータAs1,Az1の値を元に戻す場合は、パラメータ設定復元部32により調整開始時の調整パラメータAs1,Az1の値を記憶部21またはメモリ201に記憶させる必要は必ずしもない。
【0051】
図6のフローチャートを参照し、圧力制御弁5の調整処理の手順の一例を説明する。図6には、基本的な処理のステップのみが示されている。
ゼロ・スパン調整部30は、スパン調整部301によるスパン調整ステップS01~S03と、ゼロ調整部302によるゼロ調整ステップS04~S06とを含む一連のゼロ・スパン調整ステップS01~S08を、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合し、かつ、低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合する要件が成立するまで(ステップS08でYES)繰り返す。
【0052】
図6に示す例においては、まず、スパン調整部301により、圧力制御弁5に高圧指令値CH1を与えて(ステップS01)、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合するまで(ステップS02でYES)、スパン調整パラメータAs1の値の変更を繰り返す(スパン調整ステップS03)。このとき、高圧実測値MH1と高圧指令値CH1との差が小さくなるように、スパン調整パラメータAs1を増加または減少させるとよい。
スパン調整の開始に先立ち、スパン調整パラメータAs1には、調整範囲において、開始前の最新の値とは異なる値を設定してもよい。
【0053】
ステップS03におけるスパン調整パラメータAs1の増加または減少により、スパン調整パラメータAs1が調整範囲を外れる場合は、調整範囲内の値をスパン調整パラメータAs1に与える。これは、ゼロ調整パラメータAz1についても同様である。
例えば、調整範囲が0~4000の場合であって、スパン調整パラメータAs1の値が4000を上回る場合は、スパン調整パラメータAs1に4000を設定する。スパン調整パラメータAs1の値が10を下回る場合は、スパン調整パラメータAs1に10を設定する。
【0054】
高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合しているのならば(ステップS02でYES)、ゼロ調整部302による処理に移行する。
つまり、圧力制御弁5に低圧指令値CL1を与え(ステップS04)、低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合するまで(ステップS05でYES)、ゼロ調整パラメータAz1の値の変更を繰り返す(ゼロ調整ステップS06)。このとき、低圧実測値ML1と低圧指令値CL1との差が小さくなるように、ゼロ調整パラメータAz1を増加または減少させるとよい。
ゼロ調整の開始に先立ち、ゼロ調整パラメータAz1には、調整範囲において、開始前の最新の値とは異なる値を設定してもよい。
【0055】
低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合するのならば(ステップS05でYES)、ゼロ調整が入出力特性の傾きに与える影響に鑑み、スパン調整部301により、圧力制御弁5に高圧指令値CH1を与えて(ステップS07)、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合しているか否かを判定する(ステップS08)。高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合している場合は(ステップS08でYES)、ゼロ・スパン調整を完了する(ステップS09)。
【0056】
典型的には、ステップS01~S03のスパン調整と、ステップS04~S06のゼロ調整とをそれぞれ1回行っただけでは、ゼロ・スパン調整は完了しない。
低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合していても、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合していないのならば(ステップS08でNO)、引き続き、圧力制御弁5に高圧指令値CH1を与えつつ、スパン調整のステップS03に復帰する。そして、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合するまで(ステップS02でYES)、スパン調整パラメータAs1の値の変更を繰り返す(スパン調整ステップS03)。このスパン調整が入出力特性の切片に与える影響に鑑み、さらにゼロ調整ステップS04~S06を行う。
【0057】
最終的に、ステップS08において、高圧実測値MH1が高圧指令値CH1に適合し、かつ、低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合する要件が成立する、つまり、圧力制御弁5の入出力特性の全体として指令値に実測値が適合するまで(ステップS08でYES)、スパン調整およびゼロ調整が繰り返されることとなる。
図6に示す例とは逆に、スパン調整ステップS01~S03に先立ち、ゼロ調整ステップS04~S06が行われてもよい。その場合は、ゼロ調整およびスパン調整が順次行われた後に、ステップS07,S08の代わりに、低圧指令値CL1を圧力制御弁5に与えて、低圧実測値ML1が低圧指令値CL1に適合しているか否かを判定する。
【0058】
ゼロ・スパン調整部30による圧力制御弁5の調整が完了すると(ステップS09)、調整結果表示部31により調整結果等をモニタ23の画面50に表示させるとともに、履歴情報管理部33により履歴情報を作成して記憶部21に記憶させることができる。
調整結果表示部31により、モニタ23の画面50上の調整結果表示領域51には、調整結果として、スパン調整パラメータAs1およびゼロ調整パラメータAz1のそれぞれの値が表示され、状態表示領域52には、調整に成功したことが表示される。
【0059】
履歴情報管理部33は、調整結果としての調整パラメータAs1,Az1を含む履歴情報D00を作成し、記憶部21に記憶させる。履歴情報D00は、例えば、図7(a)に示すように、調整の実施日時、低圧指令値CL1、ゼロ調整パラメータAz1の値、高圧指令値CH1、スパン調整パラメータAs1の値、および調整の成否を示す情報を含む。ゼロ調整パラメータAz1およびスパン調整パラメータAs1のそれぞれの値は、調整完了時(ステップS09)における値に相当する。
【0060】
調整完了時に作成された履歴情報D00は、最新の履歴情報として、過去に行われた履歴情報D01,D02,D03,D04,D05…と共に、例えばテーブルデータTb1の形式で記憶部21に記憶される。履歴情報D01は、前回の調整時における最新の履歴情報D00に相当する。圧力制御弁5の調整が実施される度に履歴情報D00が記憶部21に蓄積されることとなる。
【0061】
履歴情報管理部33は、記憶部21から履歴情報を読み出し、例えば図7(b)に示すように、最新の調整結果を含め、所定回数まで遡って過去の調整結果を画面50上に表示させることができる。履歴情報管理部33は、画面50上の「履歴データ転送」ボタンの操作により、記憶部21から外部の記憶媒体に履歴情報のテーブルデータTb1を転送することも可能である。
【0062】
ゼロ・スパン調整部30は、調整の開始時(例えばステップS01)からの経過時間を図示しないタイマーにより計時し、経過時間が所定の制限時間に到達すると、調整パラメータAs1,Az1の調整等を中断して、調整処理を終了する。経過時間は、画面50における経過時間表示領域53に表示されていてもよい。
【0063】
調整開始時からの経過時間を計時することに代えて、ゼロ調整およびスパン調整のそれぞれの繰り返し回数を図示しないカウンタにより計数してもよい。例えば、スパン調整のステップS02,S03の繰り返し回数が所定の制限回数に到達すると、スパン調整部301は、スパン調整パラメータAs1の調整を中断する。また、ゼロ調整のステップS05,S06の繰り返し回数が所定の制限回数に到達すると、ゼロ調整部302は、ゼロ調整パラメータAz1の調整を中断する。
【0064】
処理が中断され、圧力制御弁5の調整が不調に終わると、調整結果表示部31は、調整に失敗したことを状態表示領域52に表示させることで、調整の不調を報知する。また、圧力制御弁5の調整が不調に終わると、パラメータ設定復元部32は、ゼロ調整パラメータAz1およびスパン調整パラメータAs1にそれぞれ、記憶部21またはメモリ201から読み出した調整開始前の値を設定する。
【0065】
〔流量制御弁の自動調整〕
次に、図8図10を参照し、弁調整装置2により行われる流量制御弁7の自動調整の一例を説明する。
図8は、流量制御弁7の自動調整に関するモニタ23の画面50上の表示例を示している。画面50上の「開始」ボタンB2を適宜な入力手段により押下操作すると、弁調整プログラムCPによる流量制御弁7の調整処理が開始され、処理を終えると、調整結果表示部41により、スパン調整パラメータAs2およびゼロ調整パラメータAz2のそれぞれの値が調整結果として調整結果表示領域55に表示されるとともに、調整の成否が状態表示領域56に表示される。
【0066】
流量制御弁7の調整時には、圧力制御弁5の調整時とは異なり、油圧アクチュエータ4に相当する射出シリンダのピストンをシリンダに対して前進限まで前進させ、前進限から後退限までフルストロークでピストンを後退させるために必要な後退時間を計測する。後退時間と相関する速度が、流量指令値に対応する速度設定値に適合するとき、流量の実測値は指令値に適合する。したがって、以下に示す手順においては、後退時間が、所定の流量指令値に対応する基準値に適合するか否かを判定することにより、流量実測値が流量指令値に適合するか否かを判定する。
【0067】
上記の相違点を除いて、流量制御弁7の調整は、上述した圧力制御弁5の調整と同様の手順により行うことができる。
以下、圧力制御弁5の調整の説明と比べると、やや簡略に説明する。
流量制御弁7の調整開始時には、調整が不調に終わる場合に備え、パラメータ設定復元部42は、調整開始前におけるスパン調整パラメータAs2およびゼロ調整パラメータAz2のそれぞれの最新の値を記憶部21またはメモリ201に記憶させる。
【0068】
図9のフローチャートを参照し、流量制御弁7の調整処理の手順の一例を説明する。図9には、基本的な処理のステップのみが示されている。
ゼロ・スパン調整部40は、スパン調整部401によるスパン調整ステップS11~S15と、ゼロ調整部402によるゼロ調整ステップS16~S20とを含む一連のゼロ・スパン調整ステップS11~S24を、高流量に対応する時間実測値MH2が高流量に対応する基準値CH2に適合し、かつ、低流量に対応する時間実測値ML2が低流量に対応する基準値CL2に適合する要件が成立するまで(ステップS24でYES)繰り返す。
【0069】
図9に示す例においては、まず、スパン調整部401による処理が行われる。スパン調整部401は、射出シリンダを前進限まで前進させると(ステップS11)、高流量に対応する速度設定値(例えば99%)を設定することで、速度設定値に応じた高流量指令値を流量制御弁7に与える(ステップS12)。すると、射出シリンダは、ストローク全体に亘り高速で後退する(ステップS13)。
そして、射出シリンダの後退時間が基準時間に対する許容範囲内にあるか否か、つまり、時間実測値MH2が基準値CH2に適合するか否かを判定し(ステップS14)、適合しない場合は(ステップS14でNO)、スパン調整パラメータAs2の値の変更を繰り返す(ステップS15)。ステップS11~S15は、実測値MH2が基準値CH2に適合するまで(ステップS14でYES)繰り返される。
【0070】
実測値MH2が基準値CH2に適合しているのならば(ステップS14でYES)、ゼロ調整部402による処理に移行する。
つまり、射出シリンダを前進限まで前進させると(ステップS16)、低流量に対応する速度設定値(例えば10%)を設定することで、速度設定値に応じた低流量指令値を流量制御弁7に与える(ステップS17)。すると、射出シリンダは、ストローク全体に亘り低速で後退する(ステップS18)。
そして、射出シリンダの後退時間が基準時間に対する許容範囲内にあるか否か、つまり、時間実測値ML2が基準値CL2に適合するか否かを判定し(ステップS19)、適合しない場合は(ステップS19でNO)、ゼロ調整パラメータAz2の値の変更を繰り返す(ステップS20)。ステップS16~S20は、実測値ML2が基準値CL2に適合するまで(ステップS19でYES)繰り返される。
【0071】
実測値ML2が基準値CL2に適合するのならば(ステップS19でYES)、スパン調整部401により、上述のステップS11~S14と同様のステップS21~S24を行う。ステップS24において、実測値MH2が基準値CH2に適合している場合は(ステップS24でYES)、ゼロ・スパン調整を完了する(ステップS25)。
【0072】
ステップS24の判定結果がNOである場合は、スパン調整のステップS15に復帰する。そして、実測値MH2が基準値CH2に適合するまで(ステップS14でYES)、スパン調整パラメータAs2の値の変更を繰り返す(スパン調整ステップS15)。このスパン調整が入出力特性の切片に与える影響に鑑み、さらにゼロ調整ステップS16~S20を行う。
【0073】
最終的に、ステップS24において、実測値MH2が基準値CH2に適合し、かつ、実測値ML2が基準値CL2に適合する要件が成立する、つまり、流量制御弁7の入出力特性の全体として指令値に実測値が適合するまで(ステップS24でYES)、スパン調整およびゼロ調整が繰り返されることとなる。
図9に示す例とは逆に、スパン調整ステップS11~S15に先立ち、ゼロ調整ステップS16~S20が行われてもよい。その場合は、ゼロ調整およびスパン調整が順次行われた後に、ステップS21~S24に代えて、ステップS16~S19により、実測値ML2が基準値CL2に適合しているか否かを判定する。
【0074】
図9に示す例とは異なり、型締シリンダにより型締装置の可動型を後退限(型開限)まで後退させ、後退限から予め定めたストローク位置まで可動型を前進させるために必要な前進時間を計測するようにしてもよい。例えば、スパン調整ステップS11~S15においては、射出シリンダの後退時間に基づいて流量制御弁7の入出力特性の適合性を判定する一方、ゼロ調整ステップS16~S20においては、可動型の予め定めたストローク位置までの前進時間に基づいて流量制御弁7の入出力特性の適合性を判定することができる。
【0075】
ゼロ・スパン調整部40による流量制御弁7の調整が完了すると(ステップS25)、調整結果表示部41により調整結果等をモニタ23の画面50に表示させるとともに、履歴情報管理部43により履歴情報を作成して記憶部21に記憶させることができる。
調整結果表示部41により、調整結果表示領域55には、調整結果として、スパン調整パラメータAs2およびゼロ調整パラメータAz2のそれぞれの値が表示され、状態表示領域56には、調整に成功したことが表示される。
【0076】
履歴情報管理部43は、調整結果としての調整パラメータAs2,Az2を含む履歴情報D10を作成し、記憶部21に記憶させる。履歴情報D10は、例えば、図10(a)に示すように、調整の実施日時、低速度設定値、ゼロ調整パラメータAz2の値、高速度設定値、スパン調整パラメータAs2の値、および調整の成否を示す情報を含む。ゼロ調整パラメータAz2およびスパン調整パラメータAs2のそれぞれの値は、調整完了時(ステップS25)における値に相当する。
【0077】
調整完了時に作成された履歴情報D10は、最新の履歴情報として、過去に行われた履歴情報D11,D12,D13,D14,D15…と共に、例えばテーブルデータTb2の形式で記憶部21に記憶される。履歴情報D10は、前回の調整時における最新の履歴情報D10に相当する。流量制御弁7の調整が実施される度に履歴情報D10が記憶部21に蓄積されることとなる。
【0078】
履歴情報管理部43は、記憶部21から履歴情報を読み出し、例えば図10(b)に示すように、最新の調整結果を含め、所定回数まで遡って過去の調整結果を画面50上に表示させることができる。
【0079】
ゼロ・スパン調整部40は、調整の開始時(例えばステップS11)からの経過時間を図示しないタイマーにより計時し、経過時間が所定の制限時間に到達すると、調整パラメータAs2,Az2の調整等を中断して、調整処理を終了する。経過時間は、画面50における経過時間表示領域57に表示されていてもよい。
なお、調整開始時からの経過時間を計時することに代えて、ゼロ調整およびスパン調整のそれぞれの繰り返し回数を図示しないカウンタにより計数してもよい。
【0080】
処理が中断され、流量制御弁7の調整が不調に終わると、調整結果表示部41は、調整に失敗したことを状態表示領域56に表示させることで、調整の不調を報知する。また、流量制御弁7の調整が不調に終わると、パラメータ設定復元部42は、ゼロ調整パラメータAz2およびスパン調整パラメータAs2にそれぞれ、記憶部21またはメモリ201から読み出した調整開始前の値を設定する。
【0081】
〔本実施形態による主な効果〕
以上で説明した本実施形態の弁調整プログラムCP、それを用いる弁調整装置2および弁調整方法によれば、圧力制御弁5および流量制御弁7の入出力特性を自動的に調整する手段を提供することができる。これらの制御弁の調整を行うにあたり、操作者には調整に必要なノウハウが必要なく、圧力制御弁5または流量制御弁7の調整を開始するためのボタン操作等により弁調整プログラムCPを実行するだけで、いつでも同等の精度の調整結果を得ることができる。
【0082】
弁調整の精度は、実測値(例えばMH1)が指令値(例えばCH1)に適合するか否かの判定に用いられる閾値等により定まる。スパン調整パラメータおよびゼロ調整パラメータの値としては、高実測値および低実測値(例えばMH1,ML1)の両方がそれぞれの許容範囲内に入ったことで調整が正常に完了した時の値が鋳造に使用され、調整に失敗した場合は、前回調整時の値が設定されることとなる。調整の成功、失敗の如何を問わず、操作者によって調整結果にばらつきが出ない。
【0083】
弁調整プログラムCPを用いる圧力制御弁5または流量制御弁7の調整は、ダイカストマシンの定期点検時、またはダイカストマシンの新造時、あるいはダイカストマシンの動作状態から点検が必要と判断される場合等に実施することが可能である。制御弁5,7の経年変化により指令値と実測値とが乖離しているとしても、制御弁5,7のそれぞれの調整パラメータの変更により、部品交換を行わずに入出力特性を適正化することが可能となるので、経済的である。
【0084】
弁調整プログラムCPによれば、ダイカストマシンの不具合発生時にエンドユーザは、専門業者によるメンテナンスの提供を待つことなく、直ちに自ら、圧力制御弁5および流量制御弁7のうち不具合に関係する少なくとも一方の自動調整を行って、ダイカストマシンの動作を安定させることができる。そのため、例えば、不具合発生からの使用継続を意図して、圧力指令値を適正値よりも増加させるといった無理な使用による機械の故障発生を避けつつ、稼働率を上げて生産性を向上させることができる。
【0085】
また、弁調整プログラムCPによれば、調整結果として調整パラメータAs1,Az1,As2,Az2の履歴を必ず残すことができるので、ダイカストマシンの保守性の向上に寄与する。
【0086】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
本発明は、圧力制御弁5および流量制御弁7のいずれか一方のみを備えた油圧システム1にも適用することができる。その場合、弁調整プログラムCPは、圧力制御弁調整部CP1および流量制御弁調整部CP2のうち、油圧システム1に備わる制御弁に対応するいずれか一方のみを備えていれば良い。
【0087】
ゼロ・スパン調整処理は、ゼロ調整パラメータおよびスパン調整パラメータの両方について実測値が指令値に適合したとしても(例えばステップS08でYES)、その時点で完了しないで、所定の制限時間に亘り、あるいは所定の制限回数に亘り、繰り返すことができる。その場合は、所定時間あるいは所定回数に亘り、ゼロ調整パラメータおよびスパン調整パラメータの両方に係る適合性の判定(例えばステップS08)を行う度に、スパン調整パラメータ(例えばAs1)の値、ゼロ調整パラメータ(例えばAz1)の値、スパン調整パラメータに関係する指令値と実測値との差、および、ゼロ調整パラメータに関係する指令値と実測値との差を記憶しておく。そして、最終的に、スパン調整パラメータに関係する指令値と実測値との差と、ゼロ調整パラメータに関係する指令値と実測値との差とについて、差が最も小さいときのスパン調整パラメータの値とゼロ調整パラメータの値とを採用するとよい。
【0088】
〔付記〕
以上の開示により、以下の構成が把握される。
(1)鋳造用の油圧システムの制御弁を調整する装置であって、
前記制御弁を調整可能に構成される弁調整プログラムを記憶する記憶部と、
前記弁調整プログラムを実行可能に構成される情報処理部と、を備え、
前記弁調整プログラムは、
前記制御弁の指令値の使用範囲において相対的に低い低指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記制御弁の入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータの値を変更するゼロ調整部と、
前記使用範囲において相対的に高い高指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータの値を変更するスパン調整部と、を備え、
前記ゼロ調整部による処理および前記スパン調整部による処理の両方を行うことで、前記入出力特性を調整する、弁調整装置。
【0089】
(2)前記油圧システムは、
油圧源と、前記油圧源から負荷に力を出力する油圧アクチュエータと、前記油圧源から前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力を制御可能に構成される前記制御弁としての圧力制御弁と、前記油圧源から前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御可能に構成される前記制御弁としての流量制御弁との一方を備え、
前記油圧アクチュエータは、
金型のキャビティに溶湯を射出する射出装置に用いられる射出シリンダ、および、前記金型を型締する型締装置に用いられる型締シリンダ、の少なくとも一方に相当する、
(1)項に記載の弁調整装置。
【0090】
(3)前記油圧システムは、油圧源と、前記油圧源から負荷に力を出力する油圧アクチュエータと、前記油圧源から前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力を制御可能に構成される前記制御弁としての圧力制御弁と、前記油圧源から前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を制御可能に構成される前記制御弁としての流量制御弁との両方を備え、
前記弁調整プログラムは、前記圧力制御弁に対応する前記ゼロ調整部および前記スパン調整部と、前記流量制御弁に対応する前記ゼロ調整部および前記スパン調整部と、を備える、
(1)または(2)項に記載の弁調整装置。
【0091】
(4)前記油圧システムは、前記制御弁としての前記圧力制御弁を備え、
前記ゼロ調整部は、前記ゼロ調整パラメータの値の変更を含むゼロ調整処理を前記低指令値に実測値が適合するまで繰り返し、
前記スパン調整部は、前記スパン調整パラメータの値の変更を含むスパン調整処理を前記高指令値に実測値が適合するまで繰り返し、
前記弁調整プログラムは、
前記ゼロ調整ステップおよび前記スパン調整ステップを含む一連のゼロ・スパン調整処理を、前記低指令値に実測値が適合し、かつ、前記高指令値に実測値が適合する要件が成立するまで繰り返すゼロ・スパン調整部を備える、
(2)または(3)項に記載の弁調整装置。
【0092】
(5)前記油圧システムは、前記制御弁としての前記流量制御弁を備え、
前記ゼロ調整部は、
前記油圧アクチュエータまたは前記負荷の移動と、前記ゼロ調整パラメータの値の変更と、を含むゼロ調整処理を前記低指令値に実測値が適合するまで繰り返し、
前記スパン調整部は、
前記油圧アクチュエータまたは前記負荷の移動と、前記スパン調整パラメータの値の変更と、を含むスパン調整処理を前記高指令値に実測値が適合するまで繰り返し、
前記弁調整プログラムは、
前記ゼロ調整処理および前記スパン調整処理を含む一連のゼロ・スパン調整処理を、前記低指令値に実測値が適合し、かつ、前記高指令値に実測値が適合する要件が成立するまで繰り返すゼロ・スパン調整部を備える、
(2)から(4)のいずれか一項に記載の弁調整装置。
【0093】
(6)前記ゼロ調整部は、
前記油圧アクチュエータまたは前記負荷の移動に要する時間に基づき、前記低指令値に前記実測値が適合するか否かを判定し、
前記スパン調整部は、
前記油圧アクチュエータまたは前記負荷の移動に要する時間に基づき、前記高指令値に前記実測値が適合するか否かを判定する、
(5)項に記載の弁調整装置。
【0094】
(7)前記弁調整プログラムは、
所定の制限時間または所定の制限回数に亘り前記ゼロ調整処理および前記スパン調整処理が行われる間に、前記要件が成立しない場合は、調整不調を報知する、
(4)から(6)のいずれか一項に記載の弁調整装置。
【0095】
(8)前記弁調整プログラムは、
所定の制限時間または所定の制限回数に亘り前記ゼロ調整処理および前記スパン調整処理が行われる間に、前記要件が成立しない場合は、前記ゼロ調整パラメータおよび前記スパン調整パラメータにそれぞれ、前記記憶部から読み出した調整開始前の値を設定する、
(4)から(7)のいずれか一項に記載の弁調整装置。
【0096】
(9)前記弁調整プログラムは、
前記制御弁の調整完了時における前記ゼロ調整パラメータの値、および前記調整完了時における前記スパン調整パラメータの値を含む履歴情報を前記記憶部に記憶させる、
(1)から(8)のいずれか一項に記載の弁調整装置。
【0097】
(10)鋳造用の油圧システムの制御弁を調整可能に構成される弁調整プログラムであって、
前記制御弁の指令値の使用範囲において相対的に低い低指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記制御弁の入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータの値を変更するゼロ調整部と、
前記使用範囲において相対的に高い高指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータの値を変更するスパン調整部と、を備え、
前記ゼロ調整部による処理および前記スパン調整部による処理の両方を行うことで、前記入出力特性を調整する、弁調整プログラム。
【0098】
(11)鋳造用の油圧システムの制御弁をコンピュータ・プログラムの実行により調整する方法であって、
前記制御弁の指令値の使用範囲において相対的に低い低指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記制御弁の入出力特性の切片調整量を示すゼロ調整パラメータの値を変更するゼロ調整ステップと、
前記使用範囲において相対的に高い高指令値を示す制御指令を前記制御弁に与えて、前記制御弁の入出力特性の傾き調整量を示すスパン調整パラメータの値を変更するスパン調整ステップと、を備え、
前記ゼロ調整ステップおよび前記スパン調整ステップの両方を行うことで、前記入出力特性を調整する、弁調整方法。
【符号の説明】
【0099】
1 油圧システム
2 弁調整装置
3 油圧源
3A 電動機
3B 油圧ポンプ
4 油圧アクチュエータ
4A ピストン
5 圧力制御弁
6 圧力計測部
7 流量制御弁
8 切替電磁弁
9 オイルフィルター
10 オイルクーラー
11 チェックバルブ
20 情報処理部
21 記憶部
22 入出力部
23 モニタ
30,40 ゼロ・スパン調整部
31,41 調整結果表示部
32,42 パラメータ設定復元部
33,43 履歴情報管理部
50 画面
51,55 調整結果表示領域
52,56 状態表示領域
53,57 経過時間表示領域
61 圧力計
62 圧力トランスデューサー
201 メモリ
202 演算部
301,401 スパン調整部
302,402 ゼロ調整部
As1,As2 スパン調整パラメータ
Az1,Az2 ゼロ調整パラメータ
B1,B2 ボタン
CH1 高圧指令値
CH2 基準値
CL1 低圧指令値
CL2 基準値
CP 弁調整プログラム
CP1 圧力制御弁調整部
CP2 流量制御弁調整部
D00,D01,D02,D03,D04,D05 履歴情報
D10,D11,D12,D13,D14,D15 履歴情報
L 負荷
MH1 高圧実測値
MH2 時間実測値
ML1 低圧実測値
ML2 時間実測値
R1,R2 使用範囲
S01~S03 スパン調整ステップ
S04~S06 ゼロ調整ステップ
S01~S08 ゼロ・スパン調整ステップ
S09 ステップ
S11~S15 スパン調整ステップ
S16~S20 ゼロ調整ステップ
S11~S24 ゼロ・スパン調整ステップ
S25 ステップ
Tb1,Tb2 テーブルデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10