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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040617
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/569 20210101AFI20240318BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240318BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/55 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145075
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】サフ アシシュ
(72)【発明者】
【氏名】井澤 貴美
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA03
5H043AA19
5H043CA08
5H043DA02
5H043FA32
5H043FA37
5H043HA07F
5H043LA02F
(57)【要約】
【課題】電圧検出部及びタブの接合と、電圧検出部及び電圧検出線の電気的接続と、の双方を向上させる。
【解決手段】電池モジュール1は、タブ群108を有する電池セル100と、タブ群108の電圧を検出する前方電圧検出部220と、前方電圧検出部220に電気的に接続された前方電圧検出線230と、を備えている。前方電圧検出部220は、タブ群108に接合する第1部分と、前方電圧検出線230に電気的に接続する第2部分と、を有している。第1部分の厚さは、第2部分の少なくとも一部分の厚さより厚くなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブを有する電池セルと、
前記タブの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部に電気的に接続された電圧検出線と、
を備え、
前記電圧検出部が、前記タブに接合する第1部分と、前記電圧検出線に電気的に接続する第2部分と、を有し、
前記第1部分の厚さが前記第2部分の少なくとも一部分の厚さより厚い、電池モジュール。
【請求項2】
前記タブ及び前記第1部分が所定の距離の隙間を介して互いに対向しており、
前記タブ及び前記第1部分の接合部の少なくとも一部分が前記隙間に存在する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記所定の距離が前記第1部分の厚さより短い、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第2部分が、前記電圧検出線が載置される底部と、前記電圧検出線を圧着する圧着部と、を有し、
前記圧着部の厚さが前記底部の厚さより薄い、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第2部分が、前記電圧検出線が載置される底部と、前記電圧検出線を圧着する圧着部と、を有し、
前記底部の厚さと前記圧着部の厚さとが略等しい、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電池モジュールが開発されている。電池モジュールは、所定方向に積層された複数の電池セルを備えている。各電池セルはタブを有している。隣り合う電池セルは、タブを介して電気的に接続されている。
【0003】
特許文献1には、電気接続子の一例について記載されている。電気接続子は、電線が載置される底部と、電線を圧着する圧着部と、を備えている。底部の厚さは、圧着部の厚さより厚くなっている。
【0004】
特許文献2には、レーザ溶接方法の一例について記載されている。この方法では、所定の隙間を介して上側部材及び下側部材を互いに対向させた状態で上側部材及び下側部材にレーザ光を照射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1-43980号公報
【特許文献2】特開昭59-133985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池モジュールは、タブの電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部に電気的に接続された電圧検出線と、を備えていることがある。タブ及び電圧検出部は、タブ及び電圧検出部が所定の隙間を介して互いに対向した状態で、例えばレーザ溶接によって互いに接合されることがある。電圧検出部及びタブ接合を向上させるため、電圧検出部の厚さが比較的厚いことが好ましいことがある。電圧検出部及び電圧検出線は、例えば圧着によって、互いに電気的に接続されることがある。電圧検出部及び電圧検出線の電気的接続を向上させるため、電圧検出部の厚さが比較的薄いことが好ましいことがある。
【0007】
本発明の目的の一例は、電圧検出部及びタブの接合と、電圧検出部及び電圧検出線の電気的接続と、の双方を向上させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
タブを有する電池セルと、
前記タブの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部に電気的に接続された電圧検出線と、
を備え、
前記電圧検出部が、前記タブに接合する第1部分と、前記電圧検出線に電気的に接続する第2部分と、を有し、
前記第1部分の厚さが前記第2部分の少なくとも一部分の厚さより厚い、電池モジュール。
[2]
前記タブ及び前記第1部分が所定の距離の隙間を介して互いに対向しており、
前記タブ及び前記第1部分の接合部の少なくとも一部分が前記隙間に存在する、[1]に記載の電池モジュール。
[3]
前記所定の距離が前記第1部分の厚さより短い、[2]に記載の電池モジュール。
[4]
前記第2部分が、前記電圧検出線が載置される底部と、前記電圧検出線を圧着する圧着部と、を有し、
前記圧着部の厚さが前記底部の厚さより薄い、[1]~[3]のいずれか一に記載の電池モジュール。
[5]
前記第2部分が、前記電圧検出線が載置される底部と、前記電圧検出線を圧着する圧着部と、を有し、
前記底部の厚さと前記圧着部の厚さとが略等しい、[1]~[3]のいずれか一に記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、電圧検出部及びタブの接合と、電圧検出部及び電圧検出線の電気的接続と、の双方を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図である。
図2】実施形態に係る電池モジュールの一部分の拡大図である。
図3】先端部及びタブ群の接合方法の一例を説明するための図である。
図4】先端部及びタブ群の接合方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電池モジュール1の分解斜視図である。
【0013】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。X方向は、電池モジュール1の前後方向である。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の後側とする。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の前側とする。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール1の左右方向である。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の先端側を、電池モジュール1の左側とする。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の基端側を、電池モジュール1の右側とする。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール1の上下方向である。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の上側とする。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の下側とする。以下、必要に応じて、X方向に垂直な方向をYZ平面方向という。以下、必要に応じて、Y方向に垂直な方向をZX平面方向という。以下、必要に応じて、Z方向に垂直な方向をXY平面方向という。なお、X方向、Y方向及びZ方向の各々と、電池モジュール1の前後方向、左右方向及び上下方向の各々と、の関係は、上述した例に限定されない。
【0014】
電池モジュール1は、セル積層体10、前方電圧検出装置20、後方電圧検出装置20´及び収容体30を備えている。
【0015】
セル積層体10は、複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110を有している。複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110は、Y方向に交互に配列されている。各電池セル100のY方向の両側には、コンプレッションパッド110が配置されている。複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110は、後述する右方プレート330及び左方プレート340によってY方向に圧縮されている。これによって、電池セル100のZX平面方向のずれを抑制することができる。
【0016】
各電池セル100の長手方向は、X方向に略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に略平行となっている。複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。なお、各電池セル100の形状は、この例に限定されない。
【0017】
各電池セル100は、不図示の電池要素、外装材102、正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。電池要素は、Y方向に交互に積層された不図示の複数の正極及び複数の負極と、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置する不図示のセパレータと、を含んでいる。外装材102は、電池要素と、不図示の電解液と、を封止している。正極タブ104は、電池要素の正極に電気的に接続されている。正極タブ104は、外装材102のX方向の両側の辺の一方から引き出されている。負極タブ106は、電池要素の負極に電気的に接続されている。負極タブ106は、外装材102のX方向の両側の辺の他方から引き出されている。ただし、各電池セル100の構造は、この例に限定されない。
【0018】
実施形態では、複数のセル群100Gが、Y方向の一端に位置するセル群100GからY方向の他端に位置するセル群100Gにかけて直列に接続されている。各セル群100Gは、並列に接続された複数の電池セル100を含んでいる。実施形態において、各セル群100Gは、Y方向に隣り合う2つの電池セル100を含んでいる。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの正極タブ104は、X方向の同じ側に向けられている。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの負極タブ106は、X方向の同じ側に向けられている。Y方向に隣り合うセル群100Gの一方から引き出された正極タブ104及び負極タブ106と、Y方向に隣り合うセル群100Gの他方から引き出された正極タブ104及び負極タブ106と、はX方向において互いに反対側に向けられている。Y方向に隣り合う2つのセル群100Gは、当該2つのセル群100Gの前方又は後方に位置するタブ群108を含んでいる。タブ群108は、互いに接合された正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。タブ群108に含まれる正極タブ104及び負極タブ106は、例えばレーザ溶接によって互いに接合されている。これによって、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108と、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108と、が互い違いに配置されている。
【0019】
実施形態では、セル積層体10の右端に位置する電池セル100から前方に向けて正極タブ104が引き出されている。以下、必要に応じて、この正極タブ104を終端正極タブ104Tという。また、セル積層体10の左端に位置する電池セル100から後方に向けて負極タブ106が引き出されている。以下、必要に応じて、この負極タブ106を終端負極タブ106Tという。
【0020】
セル積層体10の構成は、上述の例に限定されない。例えば、各セル群100Gは、3つ以上の並列に接続された電池セル100を含んでいてもよい。或いは、単一の電池セル100が複数、Y方向の一端に位置する電池セル100からY方向の他端に位置する電池セル100にかけて直列に接続されていてもよい。また、終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tが配置される位置は、上述の例に限定されない。終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tの位置は、セル群100Gの数に応じて変化する。例えば、セル群100Gの数によっては、終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tの双方がセル積層体10の前方又は後方に配置される。
【0021】
前方電圧検出装置20は、前方保持体210、複数の前方電圧検出部220、複数の前方電圧検出線230、前方コネクタ240及び正極バスバー250を有している。
【0022】
前方保持体210は、セル積層体10の前方に配置されている。前方保持体210には、複数の前方開口212が設けられている。セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々は、複数の前方開口212の各々を通して前方向に向けて露出されている。前方保持体210は、複数の前方電圧検出部220及び複数の前方電圧検出線230を一体的に保持している。
【0023】
複数の前方電圧検出部220は、前方保持体210に取り付けられている。複数の前方電圧検出部220の各々は、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々の前面に例えばレーザ溶接によって接合されている。複数の前方電圧検出部220は、複数の前方電圧検出線230を介して前方コネクタ240に電気的に接続されている。複数の前方電圧検出線230は、前方保持体210を介して配策されている。実施形態では、前方保持体210をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の前方電圧検出部220の各々を、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0024】
正極バスバー250は、前方保持体210の右端部に配置されている。正極バスバー250は、略L字状となっている。具体的には、正極バスバー250は、前方横導体252及び前方縦導体254を含んでいる。前方横導体252は、Y方向に略平行に延在している。前方縦導体254は、前方横導体252の右端部から下方に向けて、Z方向に略平行に延在している。
【0025】
前方横導体252は、他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するためのターミナルとして機能している。具体的には、前方横導体252の左端部には、締結孔252aが設けられている。締結孔252aには、他の電池モジュール等の不図示の外部装置と電気的に接続されている不図示のバスバーを締結するための不図示の締結具が設置可能になっている。
【0026】
前方縦導体254は、終端正極タブ104Tに電気的に接続されている。終端正極タブ104Tは、前方縦導体254の右方に位置している。実施形態において、終端正極タブ104T及び前方縦導体254は、レーザ溶接によって接合されている。ただし、終端正極タブ104T及び前方縦導体254の接合方法は、レーザ溶接に限定されない。
【0027】
後方電圧検出装置20´は、以下の点を除いて、前方電圧検出装置20と同様である。後方電圧検出装置20´は、後方保持体210´、複数の後方電圧検出部220´、複数の後方電圧検出線230´、後方コネクタ240´及び負極バスバー250´を有している。
【0028】
後方保持体210´は、セル積層体10の後方に配置されている。後方保持体210´には、複数の後方開口212´が設けられている。セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々は、複数の後方開口212´の各々を通して後方向に向けて露出されている。後方保持体210´は、複数の後方電圧検出部220´及び複数の後方電圧検出線230´を一体的に保持している。
【0029】
複数の後方電圧検出部220´は、後方保持体210´に取り付けられている。複数の後方電圧検出部220´の各々は、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々の後面に例えばレーザ溶接によって接合されている。複数の後方電圧検出部220´は、複数の後方電圧検出線230´を介して後方コネクタ240´に電気的に接続されている。複数の後方電圧検出線230´は、後方保持体210´を介して配策されている。実施形態では、後方保持体210´をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の後方電圧検出部220´の各々を、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0030】
負極バスバー250´は、後方保持体210´の左端部に配置されている。負極バスバー250´は、略L字状となっている。負極バスバー250´は、後方縦導体252´及び後方縦導体254´を含んでいる。後方縦導体252´は、Y方向に略平行に延在している。後方縦導体254´は、後方縦導体252´の左端部から下方に向けて、Z方向に略平行に延在している。
【0031】
後方縦導体252´は、他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するためのターミナルとして機能している。
【0032】
後方縦導体254´は、終端負極タブ106Tに電気的に接続されている。終端負極タブ106Tは、後方縦導体254´の左方に位置している。実施形態において、終端負極タブ106T及び後方縦導体254´は、レーザ溶接によって接合されている。ただし、終端負極タブ106T及び後方縦導体254´の接合方法は、レーザ溶接に限定されない。
【0033】
収容体30は、前方プレート310、後方プレート320、右方プレート330、左方プレート340、下方プレート350及び上方プレート360を有している。
【0034】
前方プレート310は、セル積層体10及び前方電圧検出装置20を前方向から覆っている。前方プレート310は、例えば、樹脂板及び金属板の積層体である。この例において、金属板は、樹脂板の前方に積層されている。
【0035】
後方プレート320は、セル積層体10及び後方電圧検出装置20´を後方向から覆っている。後方プレート320は、例えば、樹脂板及び金属板の積層体である。この例において、金属板は、樹脂板の後方に積層されている。
【0036】
右方プレート330は、セル積層体10、前方電圧検出装置20及び後方電圧検出装置20´を右方向から覆っている。右方プレート330は、アルミニウム等の金属からなっている。
【0037】
左方プレート340は、セル積層体10、前方電圧検出装置20及び後方電圧検出装置20´を左方向から覆っている。左方プレート340は、アルミニウム等の金属からなっている。
【0038】
下方プレート350は、セル積層体10、前方電圧検出装置20及び後方電圧検出装置20´を下方向から覆っている。下方プレート350は、アルミニウム等の金属からなっている。下方プレート350の上面と、セル積層体10の下端と、の間には熱伝導性接着剤352が配置されている。このため、セル積層体10から発生した熱を、熱伝導性接着剤352を通して電池モジュール1の下方に向けて逃がすことができる。
【0039】
上方プレート360は、セル積層体10、前方電圧検出装置20及び後方電圧検出装置20´を上方向から覆っている。上方プレート360は、アルミニウム等の金属からなっている。
【0040】
図2は、実施形態に係る電池モジュール1の一部分の拡大図である。図2では、説明のため、前方電圧検出線230を透過させている。図2を用いて説明する前方電圧検出装置20の構造は、後方電圧検出装置20´の構造にも同様に適用可能である。
【0041】
前方電圧検出部220は、先端部222、基端部224及び中間部226を有している。先端部222、基端部224及び中間部226は、金属等の導体によって一体に形成されている。基端部224は、底部224a、下方バレル224b及び上方バレル224cを含んでいる。
【0042】
前方から見て、先端部222は、略四角形状となっている。ただし、先端部222の形状は、この例に限定されない。先端部222の後面及びタブ群108の前面は、例えばレーザ溶接によって互いに接合している。
【0043】
基端部224は、オープンバレル端子構造となっている。具体的には、底部224aは、Z方向に略平行に延在している。前方電圧検出線230の一端は、底部224aの前面に載置されている。下方バレル224bは、底部224aの下端に設けられている。下方バレル224bは、折り曲げ加工によって形成されている。下方バレル224bは、前方電圧検出線230の一端を前方から底部224aに向けて圧着している。すなわち、下方バレル224bは、前方電圧検出線230を圧着する圧着部となっている。上方バレル224cは、底部224aの上端に設けられている。上方バレル224cは、折り曲げ加工によって形成されている。上方バレル224cは、前方電圧検出線230の一端を前方から底部224aに向けて圧着している。すなわち、上方バレル224cは、前方電圧検出線230を圧着する圧着部となっている。これによって、基端部224と、前方電圧検出線230の一端と、が電気的に互いに接続されている。
【0044】
中間部226の左端部は、底部224aの上端部に接続されている。中間部226の左端部には貫通孔226aが設けられている。貫通孔226aには、支持軸214がX方向に略平行に貫通している。支持軸214は、前方保持体210に設けられている。中間部226は支持軸214によって支持されている。中間部226の右端部は、先端部222の左上側の角部に接続されている。実施形態において、中間部226は、中間部226の左端部から右端部に向かうにつれて後方に向けて折り曲げられている。これによって、先端部222をタブ群108に近づけやすくなっている。ただし、中間部226の構造はこの例に限定されない。例えば、中間部226は、YZ平面に略平行であってもよい。また、先端部222及び基端部224は、中間部226を介さずに互いに直接接続されていてもよい。
【0045】
前方電圧検出部220の構造は、実施形態に係る構造に限定されない。例えば、実施形態では、先端部222がタブ群108に接合されている。しかしながら、前方電圧検出部220の先端と異なる部分がタブ群108に接合されてもよい。すなわち、前方電圧検出部220の所定の部分と、タブ群108と、が互いに接合することができる。また、実施形態では、基端部224が前方電圧検出線230に電気的に接続されている。しかしながら、前方電圧検出部220の基端と異なる部分が前方電圧検出線230に電気的に接続されていてもよい。すなわち、前方電圧検出部220の所定の部分と、前方電圧検出線230と、が電気的に互いに接続することができる。
【0046】
図3及び図4は、先端部222及びタブ群108の接合方法の一例を説明するための図である。この例において、先端部222及びタブ群108は、以下のようにして接合されている。
【0047】
まず、図3に示すように、隙間40を介して先端部222の後面及びタブ群108の前面をX方向に略平行に互いに対向させる。隙間40のX方向の距離は、例えば、0mm以上0.25mm以下である。先端部222の後面及びタブ群108の前面は、互いに接触させてもよい。すなわち、隙間40は存在しなくてもよい。先端部222の後面及びタブ群108の前面が互いに接触している場合、先端部222の後面及びタブ群108の前面が互いに離間している場合と比較して、先端部222の後面及びタブ群108の前面を互いに接合させやすくすることができる。しかしながら、隙間40に異物が入り込む場合等の電池モジュール1の量産の際のロバストネスを考慮すると、先端部222の後面及びタブ群108の前面は、所定の距離互いに離間していることが好ましい。
【0048】
次いで、図3に示すように、先端部222の前方からレーザLを照射する。図3に示す例において、負極タブ106は、正極タブ104の前方に位置している。正極タブ104は、例えば、アルミニウム等の金属からなっている。負極タブ106は、例えば、銅等の金属からなっている。先端部222は、先端部222が隙間40を介して直接対向する負極タブ106と同じ材料からなっている。この場合、先端部222及び負極タブ106のレーザ溶接を容易にすることができる。ただし、先端部222は、負極タブ106と異なる材料からなっていてもよい。
【0049】
次いで、図4に示すように、レーザLの照射によって、先端部222の一部分が溶融する。先端部222の溶融部は、接合部222aとして隙間40に入り込む。先端部222の後面及びタブ群108の前面は、接合部222aによって互いに接合されている。先端部222の溶融によって、先端部222の前面には凹部222bが形成される。凹部222bによって画定される空間の体積は、隙間40に存在する接合部222aの体積とほぼ等しくなる。図4に示す例では、隙間40のX方向の距離が先端部222のX方向の厚さより短くなっている。したがって、凹部222bによる先端部222の強度低下を抑制しやすくすることができる。
【0050】
先端部222及びタブ群108の接合方法は、上述した例に限定されない。例えば、正極タブ104が負極タブ106の前方に位置していてもよい。この例において、先端部222は、隙間40を介して正極タブ104に直接対向する。先端部222は、正極タブ104と同じ材料からなっていてもよい。この場合、先端部222及び正極タブ104のレーザ溶接を容易にすることができる。ただし、先端部222は、正極タブ104と異なる材料からなっていてもよい。
【0051】
次に、前方電圧検出部220の厚さの詳細について説明する。
【0052】
図3及び図4を用いた説明より、先端部222のX方向の厚さが厚いほど、隙間40のX方向の距離の裕度を大きくすることができる。すなわち、先端部222のX方向の厚さが厚いほど、前方電圧検出部220及びタブ群108の接合を向上させることができる。したがって、前方電圧検出部220及びタブ群108の接合を向上させるためには、先端部222のX方向の厚さが比較的厚いことが好ましい。しかしながら、基端部224を含めて前方電圧検出部220の全体の厚さが比較的厚いと、下方バレル224b及び上方バレル224cの折り曲げ加工が難しくなることがある。すなわち、基端部224の厚さが薄いほど、前方電圧検出部220及び前方電圧検出線230の電気的接続を向上させることができる。したがって、前方電圧検出部220及び前方電圧検出線230の電気的接続を向上させるためには、基端部224の厚さが比較的薄いことが好ましい。
【0053】
実施形態において、先端部222のX方向の厚さは、基端部224の少なくとも一部分の厚さより厚くなっている。具体的には、先端部222のX方向の厚さは、下方バレル224b及び上方バレル224cの各々の厚さより厚くなっている。下方バレル224bの厚さとは、下方バレル224bをYZ平面に略平行な略板形状に展開した状態における下方バレル224bを形成する導体のX方向の厚さである。上方バレル224cの厚さも同様である。下方バレル224b及び上方バレル224cの各々の厚さは、底部224aのX方向の厚さより薄くなっている。底部224aのX方向の厚さは、先端部222のX方向の厚さと略等しくなっている。先端部222のX方向の厚さは、例えば、0.30mm以上0.45mm以下である。下方バレル224b及び上方バレル224cの各々の厚さは、例えば、0.15mm以上0.35mm以下である。したがって、前方電圧検出部220及びタブ群108の接合と、前方電圧検出部220及び前方電圧検出線230の電気的接続と、の双方を向上させることができる。さらに、底部224aのX方向の厚さが先端部222のX方向の厚さ未満である場合と比較して、底部224aの電気抵抗を低減することができる。
【0054】
一例において、実施形態に係る前方電圧検出部220は、以下のようにして製造される。
【0055】
まず、前方電圧検出部220となる板金を切り出す。この板金は、一様な厚さを有している。
【0056】
次いで、板金のうちの先端部222及び底部224aとなる部分にプレス加工を行わずに、板金のうちの下方バレル224b及び上方バレル224cとなる部分にプレス加工を行う。この場合、下方バレル224b及び上方バレル224cの各々の厚さが先端部222及び底部224aの各々の厚さより薄くなる。下方バレル224bの厚さ及び上方バレル224cの厚さは、略等しくなる。先端部222の厚さ及び底部224aの厚さは略等しくなる。プレス加工は、板金のうちの中間部226となる部分に行ってもよいし、又は行わなくてもよい。板金のうちの中間部226となる部分にプレス加工が行われる場合、中間部226の厚さは下方バレル224b及び上方バレル224cの各々の厚さと略等しくなる。板金のうちの中間部226となる部分にプレス加工が行われない場合、中間部226の厚さは先端部222の厚さ及び底部224aの厚さの各々と略等しくなる。
【0057】
次いで、前方電圧検出線230の一端を底部224aに載置した状態で、板金のうちの下方バレル224b及び上方バレル224cとなる部分に折り曲げ加工を行う。これによって、前方電圧検出線230の一端を下方バレル224b及び上方バレル224cによって圧着する。
【0058】
前方電圧検出部220の製造方法は、上述した例に限定されない。
【0059】
例えば、下方バレル224b及び上方バレル224cだけでなく底部224aにもプレス加工を行ってもよい。この場合、底部224a、下方バレル224b及び上方バレル224cの各々の厚さが略等しくなる。この例においても、前方電圧検出部220及びタブ群108の接合と、前方電圧検出部220及び前方電圧検出線230の電気的接続と、の双方を向上させることができる。また、この例においては、底部224aにプレス加工を行わずに下方バレル224b及び上方バレル224cにプレス加工を行う場合と比較して、プレス加工を容易に行うことができる。
【0060】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1 電池モジュール
10 セル積層体
20 前方電圧検出装置
20´ 後方電圧検出装置
30 収容体
40 隙間
100 電池セル
100G セル群
102 外装材
104 正極タブ
104T 終端正極タブ
106 負極タブ
106T 終端負極タブ
108 タブ群
110 コンプレッションパッド
210 前方保持体
210´ 後方保持体
212 前方開口
212´ 後方開口
214 支持軸
220 前方電圧検出部
220´ 後方電圧検出部
222 先端部
222a 接合部
222b 凹部
224 基端部
224a 底部
224b 下方バレル
224c 上方バレル
226 中間部
226a 貫通孔
230 前方電圧検出線
230´ 後方電圧検出線
240 前方コネクタ
240´ 後方コネクタ
250 正極バスバー
250´ 負極バスバー
252 前方横導体
252´ 後方縦導体
252a 締結孔
254 前方縦導体
254´ 後方縦導体
310 前方プレート
320 後方プレート
330 右方プレート
340 左方プレート
350 下方プレート
352 熱伝導性接着剤
360 上方プレート
L レーザ
図1
図2
図3
図4