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特開2024-40619情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040619
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20240318BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145078
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 岳
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】デジタル空間での所有権の情報を容易に視認させることができる情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供すること。
【解決手段】情報処理装置1は、取得部21と、決定部22と、発行部24と、掲示部25とを備える。取得部21は、利用者から公共物の部分所有権に関する入札情報を取得する。決定部22は、前記取得部によって取得された利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する利用者を決定する。発行部24は、前記決定部によって決定された利用者の前記部分所有権を示す非代替性トークンを発行する。掲示部25は、前記非代替性トークンに紐付けられた利用者に関する情報を実物の前記公共物に対応付けて掲示させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から公共物の部分所有権に関する入札情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する利用者を決定する決定部と、
前記決定部によって決定された利用者の前記部分所有権を示す非代替性トークンを発行する発行部と、
前記非代替性トークンに紐付けられた利用者に関する情報を実物の前記公共物に対応付けて掲示させる掲示部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記掲示部は、前記利用者に関する情報を前記公共物の近傍にある電子看板に掲示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記掲示部は、前記利用者に関する情報を前記公共物に対応付けて掲示させるために、管理者の端末に通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記公共物の部分所有権は、前記公共物の掲示権を含むデジタル所有権であり、
前記掲示部は、利用者に関するデジタル所有者名を前記公共物に対応付けて掲示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記公共物の部分所有権は、有効期間を有する、前記公共物の掲示権を含むデジタル所有権であり、
前記掲示部は、利用者に関するデジタル所有者名を前記公共物に対応付けて前記有効期間掲示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、1つの公共物の部分所有権に対して複数の利用者に落札させる場合に、前記取得部によって取得された利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する複数の利用者および複数の利用者の持ち分の割合を決定し、
前記掲示部は、決定された複数の利用者に対する利用者に関する情報および利用者の持ち分の割合を前記公共物に対応付けて掲示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定部によって決定された利用者から前記入札情報に含まれる入札金額に対応する代金を受け取ると、予め定められた取決めに基づいて、前記代金から手数料を差し引いた代金を、前記公共物を管理する自治体に分配する分配部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記公共物の部分所有権は、有効期間を有する、前記公共物の掲示権を含むデジタル所有権であり、
前記分配部は、前記有効期間ごとに、前記決定部によって決定された利用者から前記入札情報に含まれる入札金額に対応する代金を受け取ると、予め定められた取決めに基づいて、前記代金から手数料を差し引いた代金を、前記公共物を管理する自治体に分配する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
利用者から公共物の部分所有権に関する入札情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する利用者を決定する決定工程と、
前記決定工程によって決定された利用者の前記部分所有権を示す非代替性トークンを発行する発行工程と、
前記非代替性トークンに紐付けられた利用者に関する情報を実物の前記公共物に対応付けて掲示させる掲示工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項10】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
利用者から公共物の部分所有権に関する入札情報を取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得された利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する利用者を決定する決定手順と、
前記決定手順によって決定された利用者の前記部分所有権を示す非代替性トークンを発行する発行手順と、
前記非代替性トークンに紐付けられた利用者に関する情報を実物の前記公共物に対応付けて掲示させる掲示手順と、を含む
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、暗号資産(仮想通貨)やNFTアートのように、ブロックチェーン上に存在するトークンであるNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)を利用する技術が普及している。NFTを利用すれば、デジタルな希少物に紐づけたトークンの所有を主張可能となる。例えば、その一環として、実世界のアート作品の証明書をNFT化する試みが行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「between the artsがリアルアートの資産価値強化を図る「NFT」新事業へ参入」、2021年12月6日 16:15 <URL:https://www.excite.co.jp/news/article/Prtimes_2021-12-06-61309-32/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、デジタル空間での所有権の情報は、NFTを売買するためのプラットフォーム等でしか視認できない。例えば、デジタルな希少物に紐づけたトークンの所有者の情報は、容易に視認することができない。すなわち、所有権者であっても、その他の者であっても、デジタル空間での所有権を所有している事実を、容易に視認することができない。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、デジタル空間での所有権の情報を容易に視認させることができる情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、取得部と、決定部と、発行部と、提示部とを備える。取得部は、利用者から公共物の部分所有権に関する入札情報を取得する。決定部は、前記取得部によって取得された利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する利用者を決定する。発行部は、前記決定部によって決定された利用者の前記部分所有権を示す非代替性トークンを発行する。提示部は、前記非代替性トークンに紐付けられた利用者に関する情報を実物の前記公共物に対応付けて掲示させる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、デジタル空間での所有権の情報を容易に視認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る情報処理装置の購入希望情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る情報処理装置の掲示管理情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る情報処理装置のブロックチェーン記憶部に記憶されるブロックチェーンのデータ構造を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るブロックチェーンネットワークの構成例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る掲示の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
(実施形態)
[実施形態に係る情報処理の一例]
まず、図1を用いて、実施形態に係る情報処理に一例について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。図1では、実施形態に係る情報処理が情報処理装置1により実行される例を示す。
【0011】
図1では、情報処理装置1が、利用者から自治体が管理する公共物(建造物)の部分所有権に関する入札情報を取得し、利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する利用者を決定する。そして、情報処理装置1は、決定された利用者の部分所有権を示す非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)を発行し、NFTに紐付けられた利用者に関する情報を公共物に対応付けて掲示させる例を示している。例えば、情報処理装置1は、NFTを用いて、デジタル空間での所有権を示すデジタル所有権とともに、リアル空間に掲示する権利を示す掲示権を利用者に対応付ける。以下、図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例についてステップごとに説明する。なお、実施形態では、建造物の部分所有権を示すNFTを発行するためのプラットフォームをNFTマーケットプレイスとし、自治体がNFTマーケットプレイスと連携する場合について説明する。
【0012】
まず、情報処理装置1は、複数の利用者の利用者端末2から入札に関わる購入希望情報を取得する(S1)。ここでは、利用者端末2には、NFTマーケットプレイスへの出品情報が表示されている。NFTマーケットプレイスへの出品情報には、自治体から公募された建造物のデジタル所有権の出品(販売)情報が表わされている。一例として、「xxx市」の「yy公園 zzzzz」の建造物について、季節春に関する掲示権を含むデジタル所有権の最低価格の出品(販売)情報が表わされている。購入を希望するそれぞれの利用者の利用者端末2からそれぞれの購入希望情報が送信され、情報処理装置1は、利用者それぞれの購入希望情報を取得する。購入希望情報には、例えば、デジタル所有権の対象の建造物の名称、購入希望価格、購入希望者名およびリアル(実物)の建造物に対応付けて掲示する場合の掲示名が含まれる。掲示名は、利用者に関する情報であれば良い。なお、ここでは、掲示権を含むデジタル所有権について、最低価格の出品(販売)情報が表わされているが、これに限定されず、定価が示された出品(販売)情報の場合であっても良い。かかる場合には、購入希望情報の購入希望価格には、定価の価格が設定される。
【0013】
情報処理装置1は、取得した利用者それぞれの購入希望情報に基づいて、落札する利用者を決定する(S2)。例えば、情報処理装置1は、取得したそれぞれの購入希望情報を参照し、複数の購入希望情報の中から購入希望価格および掲示名が自治体の設定条件を満たす購入希望情報を提示する利用者を、落札する利用者として決定する。
【0014】
次に、情報処理装置1は、対象の建造物について、落札する利用者の掲示権を含むデジタル所有権を示すNFTを発行する(S3)。そして、情報処理装置1は、発行したNFTをブロックチェーンネットワーク5に記憶する(S4)。例えば、情報処理装置1は、発行したNFTを、後述する情報処理装置1のブロックチェーン記憶部が記憶するブロックチェーンBCに記憶すると同時に、ブロックチェーンネットワーク5を構成する通信ノード端末NXの補助記憶装置に記憶されたブロックチェーンBCにも記憶する。すなわち、情報処理装置1は、ブロックチェーンネットワーク5を構成する通信ノード端末NXの1つであるともいえる。情報処理装置1が、ブロックチェーンネットワーク5を構成する通信ノード端末NXの補助記憶装置に記憶されたブロックチェーンBCにもNFTの発行情報を記憶することによって、通信ノード端末NXの間においてブロックチェーンBCを相互に監視し合うことで、NFTの発行情報の改ざん等を防止することができる。
【0015】
そして、情報処理装置1は、NFTに紐付けられた利用者に関する情報を建造物に対応付けて掲示させる。例えば、情報処理装置1は、NFTに紐付けられた利用者に関する情報を建造物の近傍に設置された掲示装置3に掲示させる。掲示装置3の一例として、デジタルサイネージ(電子看板)が挙げられる。すなわち、情報処理装置1は、リアル空間に存在する対象の建造物に対応付けてデジタル所有権の所有者名を掲示させる。一例として、「xxx市」の「yy公園 zzzzz」の建造物の近傍に設置された電子看板3に、デジタル所有権の所有者名として「AAAAAA」が掲示される。なお、電子看板3に掲示される内容は、所有者名に限らず、権利を所持する利用者が自由に決めた内容であっても良い。その内容はテキストに限定されず、動画像、音楽、楽曲であっても良い。その内容は、自治体の審査で許諾された場合に限る等の制限を設けても良い。
【0016】
これにより、情報処理装置1は、リアル空間に存在する対象の建造物に対応付けてデジタル所有権の所有者名を掲示させることにより、デジタル所有権の所有者名を容易に視認させることができる。さらに、情報処理装置1は、デジタル所有権の所有者の所有感を高めることができる。また、情報処理装置1は、NFTマーケットプレイスを通してリアル空間に存在する対象の建造物をデジタル空間と連動することで、自治体に対し付加価値を産む資産に転化することが可能になる。付加価値を産む資産の一例として、デジタル所有権の売却利益等が挙げられる。デジタル所有権の売却利益については、後述する。
【0017】
なお、自治体が管理する建造物の部分所有権を示すNFTは、掲示権を含むデジタル所有権を示すNFTとして説明したが、期間限定の掲示権を含むデジタル所有権を示すNFTであっても良い。つまり、ある建造物について、デジタル所有権の中に1年間の掲示権が含まれるデジタル所有権が出品(販売)され、Aさんが落札して、1年間の掲示権を含むデジタル所有権を示すNFTが発行される場合であっても良い。
【0018】
また、自治体が管理する建造物の部分所有権を示すNFTは、期間を区切った掲示期間だけ掲示する掲示権を含むデジタル所有権を示すNFTであっても良い。例えば、NFTは、毎月ごと、季節ごとまたは時間ごとに期間を区切った掲示期間だけ掲示する掲示権を含むデジタル所有権を示すNFTであっても良い。さらに、NFTは、特定の時間のみの掲示期間だけ掲示する掲示権を含むデジタル所有権を示すNFTであっても良い。例えば、毎時00分~01分のみの権利であっても良い。
【0019】
また、自治体が管理する建造物の部分所有権が、利用者間同士で転売される場合であっても良い。つまり、Aさんが所有している掲示権を含むデジタル所有権を別人に転売する場合であっても良い。
【0020】
〔情報処理システムの構成〕
次に、図2を用いて実施形態に係る情報処理システムの構成について説明する。図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。図2に示すように、情報処理システム9は、情報処理装置1と、利用者端末2と、掲示装置3と、ブロックチェーンネットワーク5と、を含む。なお、図2に示した情報処理システム9は、複数台の情報処理装置1、複数台の利用者端末2や複数台の掲示装置3が含まれるように構成されていても良い。情報処理装置1と、利用者端末2と、掲示装置3と、ブロックチェーンネットワーク5と、は所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。
【0021】
情報処理装置1は、例えばPC(Personal Computer)、WS(Work Station)、サーバの機能を備えるコンピュータ等の情報処理装置であっても良い。情報処理装置1は、利用者端末2と、ブロックチェーンネットワーク5と、からネットワークNを介して送信されてきた情報に基づいて処理を行う。情報処理装置1は、ネットワークNを介して掲示装置3に対して部分所有権の所有者名を掲示させる。
【0022】
利用者端末2は、利用者が利用する情報処理装置である。利用者端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、デスクトップ型PC、ノート型PC、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であっても良い。なお、図1に示す例においては、利用者端末2がスマートフォンである場合を示している。
【0023】
掲示装置3は、リアルの建造物の近傍に設置される情報処理装置である。掲示装置3は、例えば、電子看板の機能を担う情報処理装置である。掲示装置3は、例えば、情報処理装置1から文字やコンテンツを受信する通信部、受信した文字やコンテンツを制御する制御部および文字やコンテンツを表示する表示装置を有する。表示装置は、ディスプレイであっても良いし、LED(Light Emitting Diode)ビジョンであっても良く、情報処理装置1から送信された文字やコンテンツを掲示させられれば良い。
【0024】
ブロックチェーンネットワーク5は、複数の通信ノード端末によって構成される分散型ネットワークである。複数の通信ノード端末は補助記憶装置にブロックチェーンを記憶し、複数の通信ノード端末がそれぞれ共同してブロックチェーンネットワークの維持を行う。通信ノード端末は、IA(Intel Architecture)サーバ、デスクトップ型PC、ノート型PC等であっても良い。
【0025】
[情報処理装置の構成例]
次に、図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の構成について説明する。図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。図3に示すように、情報処理装置1は、通信部10と、記憶部30と、制御部20と、を有する。なお、図3に図示はしていないが、情報処理装置1は、情報処理装置1の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0026】
(通信部10について)
通信部10は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部10は、ネットワークNと有線または無線で接続され、利用者端末2と、ブロックチェーンネットワーク5と、の間で情報の送受信を行う。
【0027】
(記憶部30について)
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図3に示すように、記憶部30は、購入希望情報記憶部31と、掲示管理情報記憶部32と、ブロックチェーン記憶部33と、を有する。
【0028】
(購入希望情報記憶部31について)
購入希望情報記憶部31は、購入希望情報を記憶する。なお、購入希望情報記憶部31は、例えば、後述する取得部21によって生成される。ここで、図4を用いて、購入希望情報記憶部31が記憶する情報の一例を説明する。図4は、実施形態に係る情報処理装置の購入希望情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0029】
図4に示す例において、購入希望情報記憶部31は、「購入希望者名」、「建造物」、「購入希望価格」および「掲示名」を対応付けた情報を記憶する。
【0030】
「購入希望者名」は、購入希望者の名称を示す情報である。「建造物」は、建造物の名称を示す情報である。すなわち、「建造物」は、デジタル所有権および掲示権の対象の建造物の名称を示す情報である。
【0031】
「購入希望価格」は、購入希望の価格である。掲示名は、利用者に関する情報であって建造物の近傍に掲示する名称である。「掲示名」は、購入希望者名の名称と同じであっても、異なっていても良い。例えば、「掲示名」は、購入希望者のニックネームであっても良く、購入希望者が指定する利用者に関する任意の文言であっても良い。また、「掲示名」は、テキストに限らず、動画像、音楽、楽曲であっても良い。すなわち、「掲示名」は、購入希望者に関係するコンテンツであっても良い。
【0032】
一例として、購入希望者名が「AAAA」である場合に、建造物として「yy公園zzzzz」、購入希望価格として「18000円」、掲示名として「AAAAAA」を記憶している。
【0033】
なお、購入希望情報記憶部31に記憶される情報は、「購入希望者名」、「建造物」、「購入希望価格」および「掲示名」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の購入希望に関する情報が記憶されても良い。
【0034】
(掲示管理情報記憶部32について)
図3に戻って、掲示管理情報記憶部32は、掲示に関する情報、すなわち、掲示管理情報を記憶する。掲示管理情報記憶部32は、掲示のタイミングや掲示の有効期間を管理するために用いられる。なお、掲示管理情報記憶部32は、例えば、後述する発行部24によって生成される。ここで、図5を用いて、掲示管理情報記憶部32が記憶する情報の一例を説明する。図5は、実施形態に係る情報処理装置の掲示管理情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0035】
図5に示す例において、掲示管理情報記憶部32は、「トークンID」、「建造物」、「所有者名」、「有効期間」および「掲示名」を対応付けた情報を記憶する。
【0036】
「トークンID」は、NFTを識別する識別子であり文字列や番号等によって表される。「建造物」は、建造物の名称を示す情報である。すなわち、「建造物」は、デジタル所有権および掲示権の対象の建造物の名称を示す情報である。所有者名は、デジタル所有権や掲示権についての対象の権利における所有者の名称を示す情報である。所有者名には、対象の権利において落札した購入希望者名が記憶される。有効期間は、対象の権利が有効な期間である。掲示名は、利用者に関する情報であってリアルの建造物の近傍に掲示する名称である。掲示名は、掲示管理情報記憶部32に含まれる掲示名に対応する。
【0037】
一例として、トークンIDが「トークンID#1」である場合に、建造物として「yy公園zzzzz」、所有者名として「AAAA」、有効期間として「2022」、掲示名として「AAAAAA」を記憶している。
【0038】
[ブロックチェーン記憶部33について]
図3に戻って、ブロックチェーン記憶部33は、ブロックチェーンBCを記憶する。ここで、図6を用いて、ブロックチェーン記憶部33が記憶するブロックチェーンBCについて説明する。図6は、実施形態に係る情報処理装置のブロックチェーン記憶部に記憶されるブロックチェーンのデータ構造を示す図である。
【0039】
図6に示すように、ブロックチェーン記憶部33には、ブロックBK1、BK2、・・・、BKn-1、BKn、BKn+1、・・・を含むブロックチェーンBCが記憶される。このように、ブロックチェーンBCはブロックと呼ばれるデータの時系列連鎖によって構成される。ブロックチェーンBCを構成する各ブロックは、直前のブロックのハッシュ値の情報を含む。この為、ブロックチェーンBCのいずれかのブロックの改ざんが行われた場合は、データの連鎖関係に不整合が生じる。また、各ブロックはNFTの発行や転売等の処理の履歴、お金の分配等の処理の履歴を含む。
【0040】
なお、ブロックチェーン記憶部33に記憶されるブロックチェーンBCは、情報処理装置1のブロックチェーン記憶部33に記憶されると共に、ブロックチェーンネットワーク5を構成する通信ノード端末NXにおける補助記憶装置にも記憶される。
【0041】
[ブロックチェーンネットワーク5の構成]
ここで、図7を用いて、実施形態に係るブロックチェーンネットワーク5の構成について説明する。図7は、実施形態に係るブロックチェーンネットワークの構成例を示す図である。図7に示すように、ブロックチェーンネットワーク5は、通信ノード端末N1からN6と、ネットワークNWを有する。なお、図7に示す通信ノード端末N1からN6は例示であって、ブロックチェーンネットワーク5はこれ以上の数の通信ノード端末NXを備えてもよい。
【0042】
ブロックチェーンネットワーク5は、Peer to Peer(P2P)ネットワークであり、例えば、任意のプライベートブロックチェーンネットワーク、パブリックブロックチェーンネットワーク、コンソーシアムブロックネットワークであっても良い。プライベートブロックチェーンネットワークは、ネットワーク管理者から許可された通信ノード端末だけによって構成されるブロックチェーンネットワークである。パブリックブロックチェーンネットワークは、不特定多数の通信ノード端末によって構成されるブロックチェーンネットワークである。コンソーシアムブロックチェーンネットワークは、複数の団体や組織によって管理されるブロックチェーンネットワークである。
【0043】
通信ノード端末NXは、ブロックチェーンネットワーク5を構成する通信ノード装置である。通信ノード端末NXは、公開鍵を含む固有アドレスをそれぞれ有し、複数の通信ノード端末NXがそれぞれ共同してブロックチェーンネットワーク5の維持を行う。通信ノード端末NXは、IA(Intel Architecture)サーバ、デスクトップ型PC、ノート型PC等であっても良い。すなわち、通信ノード端末NXは、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、ネットワークへの接続手段、種々の入出力装置等を備えた一般的なコンピュータ装置である。
【0044】
通信ノード端末NXの補助記憶装置には、情報処理装置1のブロックチェーン記憶部33に記憶されたブロックチェーンBCと同じブロックチェーンBCが記憶される。したがって、ブロックチェーンネットワーク5を利用してNFTの発行や転売等の処理の履歴やお金の分配等の処理の履歴を分散共有しかつ監視し合うことにより、通信ノード端末NXの間での処理の存在及び正当性を担保することができる。
【0045】
ネットワークNWは、通信ノード端末NXを相互に通信可能に接続する有線又は無線の通信網である。
【0046】
(制御部20について)
次に図3に戻って、制御部20について説明する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置1の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部20は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されても良い。
【0047】
図3に示すように、制御部20は、取得部21と、決定部22と、分配部23と、発行部24と、掲示部25と、を有する。
【0048】
(取得部21について)
取得部21は、部分所有権に関する入札情報を取得する。例えば、取得部21は、複数の利用者端末2から、自治体が管理する建造物の部分所有権に関する購入希望情報を取得する。取得部21は、購入希望情報を取得すると、購入希望情報記憶部31に格納する。
【0049】
(決定部22について)
決定部22は、利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する利用者を決定する。例えば、決定部22は、複数の利用者端末2から取得した購入希望情報を参照し、複数の購入希望情報のうち購入希望価格および掲示名が自治体の設定条件を満たす購入希望情報を提示する利用者を、落札する利用者として決定する。設定条件の一例として、掲示名が不適切な名称(例えば、公序良俗に反するような名称)でないことや購入希望価格が他の購入希望価格より高いことが挙げられる。一例として、決定部22は、自治体の設定条件に基づいた自治体の審査を通過した掲示名を含む購入希望情報の中から最も高い購入希望価格を含む購入希望情報の利用者を、落札する利用者として決定する。つまり、決定部22は、自治体の審査を通過した掲示名のみ後述する掲示部25によって行われる掲示を可能とする。
【0050】
(分配部23について)
分配部23は、落札された利用者から入金される販売代金を分配する。例えば、分配部23は、決定部22によって決定された利用者の利用者端末2から販売代金を受け取ると、自治体とNFTマーケットプレイスの運営社との間で予め定められた取決めに基づいて、販売代金を分配する。かかる取決めは、例えば、以下のように定められれば良い。
【0051】
部分所有権を自治体から利用者へ販売する場合には、自治体に分配される販売代金、すなわち自治体としての収益(以降、「自治体収益」という)は、以下の式(1)のように算出されれば良い。なお、式(1)の販売代金は、決定部22によって決定された利用者の購入希望情報における購入希望価格に対応する。式(1)のNFTマーケットプレイスの手数料は、NFTマーケットプレイスの運営社によって定められる。
自治体収益=販売代金-NFTマーケットプレイスの手数料・・・式(1)
【0052】
利用者間同士で取引される場合には、自治体収益は、以下の式(2)のように算出されれば良い。なお、利用者間同士で取引される場合とは、利用者間同士での転売のことをいう。また、式(2)のNFTマーケットプレイスの手数料は、式(1)の場合と同様である。式(2)の自治体マージンの割合は、NFTマーケットプレイスの運営社との取決めに基づく。
自治体収益=NFTマーケットプレイスの手数料×自治体マージンの割合・・・式(2)
【0053】
このような取決めの下、一例として、対象の建造物について、掲示権を含むデジタル所有権の所有者が決定部22によって決定されたとする。すると、分配部23は、決定部22によって決定された利用者から購入希望価格に対応する販売代金を受け取ると、式(1)に基づいて自治体収益を自治体に分配する。また、分配部23は、式(1)に基づいてNFTマーケットプレイスの手数料をNFTマーケットプレイスの運営者に分配する。これにより、自治体は、リアル空間をデジタル空間と連動することで、付加価値を産む資産に転化できる。また、自治体は、リアル空間での掲示に用いられる保守コストを取得できる。
【0054】
また、別の例として、対象の建造物について、期間限定の掲示権を含むデジタル所有権の所有者が決定部22によって決定されたとする。つまり、デジタル所有権は期間限定されないが、掲示権は期間限定される場合である。例えば、1年間の掲示権を含むデジタル所有権の場合である。かかる場合には、分配部23は、決定部22によって決定された利用者から購入希望価格に対応する販売代金を受け取ると、式(1)に基づいて自治体収益を自治体に分配する。また、分配部23は、式(1)に基づいてNFTマーケットプレイスの手数料をNFTマーケットプレイスの運営者に分配する。これにより、自治体は、リアル空間をデジタル空間と連動することで、付加価値を産む資産に転化できる。また、自治体は、リアル空間での掲示に用いられる保守コストを取得できる。また、デジタル所有権の所有者は、ずっと掲示権を有することはできないが、ずっとデジタル所有権を担保することが可能になる。なお、デジタル所有権の所有者は、オプション料金を支払うことで、次の期間の掲示権を有するようにしても良い。自治体は、所定の料金の支払いのしくみに基づいて、オプション料金を取得すれば良い。
【0055】
また、別の例として、対象の建造物について、期間を区切った掲示期間掲示する掲示権を含むデジタル所有権の所有者が決定部22によって決定されたとする。つまり、掲示権もデジタル所有権も区間を区切った権利期間の場合である。例えば、季節や時間で期間を区切った掲示期間だけ掲示する掲示権を含むデジタル所有権の場合である。かかる場合には、分配部23は、決定部22によって決定された利用者から購入希望価格に対応する販売代金を受け取ると、式(1)に基づいて自治体収益を自治体に分配する。また、分配部23は、式(1)に基づいてNFTマーケットプレイスの手数料をNFTマーケットプレイスの運営者に分配する。これにより、自治体は、リアル空間をデジタル空間と連動することで、付加価値を産む資産に転化できる。また、自治体は、リアル空間での掲示に用いられる保守コストを取得できる。
【0056】
また、別の例として、対象の建造物について、毎月課金が発生する掲示権を含むデジタル所有権の所有者が決定部22によって決定されたとする。すると、分配部23は、決定部22によって決定された利用者から購入希望価格に対応する販売代金を受け取ると、式(1)に基づいて自治体収益を自治体に分配する。加えて、自治体は、所定の課金のしくみに基づいて、毎月課金される料金を取得する。これにより、自治体は、毎月、リアル空間での掲示に用いられる保守コストを取得することができる。
【0057】
また、別の例として、対象の建造物について、掲示権を含むデジタル所有権の部分所有権が、利用者間同士で転売される場合であっても良い。部分所有権の転売先の所有者が決定部22によって決定されたとする。すると、分配部23は、決定部22によって決定された利用者から購入希望価格に対応する販売代金を受け取ると、式(2)に基づいてNFTマーケットプレイスの手数料のマージン分を自治体収益として自治体に分配する。これにより、自治体は、部分所有権が転売された場合であっても、リアル空間での掲示に用いられる保守コストを取得することができる。
【0058】
なお、式(1)および式(2)で示した自治体収益の求め方は、一例であって、これに限定されるものではない。自治体収益の別の例として、「NFTマーケットプレイスは、1取引に付きxx円を自治体に支払う」という取決めによる求め方であっても良い。また、自治体収益の別の例として、「NFTマーケットプレイスは、取り扱う1商品に付き任意の期間(例えば、年間)xx円を自治体に支払う」という取決めによる求め方であっても良い。
【0059】
(発行部24について)
発行部24は、対象の建造物について、部分所有権を示すNFTを発行する。例えば、発行部24は、決定された利用者からの入金が分配部23によって分配されると、対象の建造物について、当該利用者の部分所有権を示すNFTを発行する。一例として、発行部24は、トークンを一意に識別するトークンID、所有者を一意に識別する所有者ID、部分所有権の内容を対応付けたNFTを発行する。部分所有権の内容は、例えば、対象の建造物、対象の建造物に対応付けて掲示する掲示名、掲示する有効期間を対応付けた情報であれば良い。
【0060】
また、発行部24は、NFTをブロックチェーン記憶部33のブロックチェーンBCに記憶すると同時に、ブロックチェーンネットワーク5の通信ノード端末NXの補助記憶装置のブロックチェーンBCにも記憶する。NFTをブロックチェーンBCに記憶することで、対象の建造物についてのデジタル資産の所有者を明確にすることが可能となる。また、NFTをブロックチェーンBCに記憶することで、デジタル資産をコピーや改ざんすることが不可能となるためデジタル資産に希少性を付与することが可能となる。なお、NFTは、例えば、イーサリアムにて発行されるERC721の規格に沿って発行されるものであっても良い。
【0061】
また、発行部24は、発行したNFTの情報を掲示管理情報記憶部32に格納する。すなわち、発行部24は、発行したNFTに紐付けられたトークンID、対象の建造物、対象の建造物に掲示する掲示名、掲示する有効期間、所有者IDに対応する所有者名を掲示管理情報記憶部32に格納する。
【0062】
(掲示部25について)
掲示部25は、NFTに紐付けられた利用者に関する情報をリアルの建造物に対応付けて掲示する。例えば、掲示部25は、掲示管理情報記憶部32を用いて、掲示名をリアルの建造物に対応付けて掲示するタイミングや掲示期間を管理する。そして、掲示部25は、掲示管理情報記憶部32に記憶された有効期間の開始時期になると、有効期間に対応付けられた掲示名をリアルの建造物の近傍に設置された掲示装置3に有効期間掲示させる。
【0063】
一例として、図5に示す掲示管理情報記憶部32の1行目の場合、掲示部25は、有効期間が示す「2022」年になると、有効期間に対応付けられた掲示名「AAAAAA」を建造物「yy公園zzzzz」の近傍に設置された掲示装置3に「2022」年の間掲示させる。また、図5に示す掲示管理情報記憶部32の2、3行目の場合、掲示部25は、有効期間が示す「2022年前半」になると、有効期間に対応付けられた掲示名「BBBB」を建造物「mm像」の近傍に設置された掲示装置3に「2022年前半」の間掲示させる。そして、掲示部25は、建造物「mm像」について、有効期間が示す「2022年後半」になると、有効期間に対応付けられた掲示名「CCCC」を建造物「mm像」の近傍に設置された掲示装置3に「2022年後半」の間掲示させる。
【0064】
なお、掲示部25は、有効期間の開始時期になると、有効期間に対応付けられた掲示名をリアルの建造物の近傍に設置された掲示装置3に掲示させると説明した。しかしながら、掲示部25は、これに限定されず、掲示名をリアルの建造物に対応付けて掲示させるために、公共物を管理する管理者の端末に通知しても良い。通知を受けた管理者は、通知された掲示名をリアルの建造物の近傍に設置された掲示装置3に掲示させても良い。また、管理者は、手動で、通知された掲示名をリアルの建造物に対応付けて掲示しても良い。
【0065】
これにより、掲示部25は、リアルの建造物に対応付けてデジタル所有者の情報を掲示させることで、デジタル所有者だけでなく、その他の者にも、デジタル空間での所有権の所有者の情報を容易に視認させることができる。また、デジタル所有者は、リアル空間においてデジタル所有者の情報を掲示することにより、所有者の所有感を高めることができ、ひいては、デジタル資産の価値を高めることが可能になる。さらに、デジタル所有者は、建造物が存在する自治体への貢献を目に見える形で行うことができる。また、自治体は、自治体への支援者をデジタル所有者という形で実現でき、地域と多様に関わる人々を示す関係人口の増加を期待できる。
【0066】
[掲示の一例]
ここで、リアル空間での掲示の一例を、図8を参照して説明する。図8は、実施形態に係る掲示の一例を示す図である。図8で示す掲示の一例は、掲示権を含むデジタル所有権を季節で区切った場合の掲示である。季節が「春」である場合には、掲示権を含むデジタル所有権の所有者が「AAAAAAさん」であると、リアルな建造物の近傍に設置された電子看板に掲示されている。すなわち、掲示部25は、掲示管理情報記憶部32を参照し、有効期間が「春」になると、有効期間に対応付けられた掲示名「AAAAAA」をリアルな建造物の近傍に設置された掲示装置3に有効期間掲示させる。
【0067】
また、季節が「夏」である場合には、掲示権を含むデジタル所有権の所有者が「BBBBBBさん」であると、リアルな建造物の近傍に設置された電子看板に掲示されている。すなわち、掲示部25は、掲示管理情報記憶部32を参照し、有効期間が「夏」になると、有効期間に対応付けられた掲示名「BBBBBB」をリアルな建造物の近傍に設置された掲示装置3に有効期間掲示させる。
【0068】
また、季節が「秋」である場合には、掲示権を含むデジタル所有権の所有者が「CCCCCCさん」であると、リアルな建造物の近傍に設置された電子看板に掲示されている。すなわち、掲示部25は、掲示管理情報記憶部32を参照し、有効期間が「秋」になると、有効期間に対応付けられた掲示名「CCCCCC」をリアルな建造物の近傍に設置された掲示装置3に有効期間掲示させる。
【0069】
また、季節が「冬」である場合には、掲示権を含むデジタル所有権の所有者が「DDDDDDさん」であると、リアルな建造物の近傍に設置された電子看板に掲示されている。すなわち、掲示部25は、掲示管理情報記憶部32を参照し、有効期間が「冬」になると、有効期間に対応付けられた掲示名「DDDDDD」をリアルな建造物の近傍に設置された掲示装置3に有効期間掲示させる。
【0070】
これにより、掲示部25は、デジタル所有者の情報をリアルの建造物に対応付けて掲示させることで、デジタル所有者だけでなく、その他の者にも、デジタル空間での所有権の所有者の情報を容易に視認させることができる。
【0071】
[情報処理のフロー]
次に、図9を用いて、実施形態に係る情報処理装置1による情報処理の手順について説明する。図9は、実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。なお、自治体は、NFTマーケットプレイスへ特定の建造物の掲示権を含むデジタル所有権の公募をしたものとする。
【0072】
図9に示すように、情報処理装置1は、特定の建造物の掲示権を含むデジタル所有権の購入希望情報を取得した否かを判定する(ステップS11)。購入希望情報を取得していないと判定した場合には(ステップS11;No)、情報処理装置1は、購入希望情報を取得するまで、判定処理を繰り返す。
【0073】
一方、購入希望情報を取得したと判定した場合には(ステップS11;Yes)、情報処理装置1は、購入希望情報に基づいて、特定の建造物の掲示権を含むデジタル所有権の所有者を決定する(ステップS12)。
【0074】
そして、情報処理装置1は、デジタル所有権の所有者として決定された利用者から、購入希望価格に対応する販売代金が入金されたか否かを判定する(ステップS13)。入金されていないと判定した場合には(ステップS13;No)、情報処理装置1は、情報処理を終了する。
【0075】
一方、入金されたと判定した場合には(ステップS13;Yes)、情報処理装置1は、自治体とNFTマーケットプレイスの運営社との間で予め定められた取決めに基づいて、入金を分配する(ステップS14)。そして、情報処理装置1は、掲示権を含むデジタル所有権を示すNFTを発行する(ステップS15)。加えて、情報処理装置1は、発行されたNFTの情報を掲示管理情報記憶部32に記憶する。
【0076】
そして、情報処理装置1は、発行されたNFTをブロックチェーン記憶部33のブロックチェーンBCに記録すると同時に、ブロックチェーンネットワーク5の通信ノード端末NXの補助記憶装置のブロックチェーンBCにも記録する(ステップS16)。
【0077】
そして、情報処理装置1は、有効期間の範囲内で掲示名を特定の建造物に対応付けて掲示させる(ステップS17)。例えば、情報処理装置1は、掲示管理情報記憶部32を用いて、掲示名について、リアルの建造物に対応付けて掲示するタイミングや掲示期間を管理する。そして、情報処理装置1は、掲示管理情報記憶部32に記憶された有効期間の開始時期になると、有効期間に対応付けられた掲示名をリアルの建造物の近傍に設置された掲示装置3に有効期間掲示させる。そして、情報処理装置1は、情報処理を終了する。
【0078】
なお、上記実施形態では、「yy公園zzzzz」を、対象とするリアルな建造物の一例として説明したが、これに限定されるものではない。対象とするリアルな建造物は、「像」であっても良いし、「ベンチ」であっても良いし、「花壇」であっても良いし、「橋」であっても良い。また、対象とするリアルな建造物は、「モニュメント」であっても良いし、「池」であっても良いし、特定の「建物」であっても良い。また、対象とするリアルな建造物は、特定の「道路」(例えば、旧東海道の5m刻み)であっても良いし、「看板」であっても良いし、「川」であっても良いし、「標識」であっても良い。すなわち、対象となるリアルな建造物は、自治体が管理する建造物であれば何でも構わない。
【0079】
また、上記実施形態では、1つのデジタル所有権に対して単数人を対応付ける例であったが、1つのデジタル所有権に対して複数人を対応付ける場合であっても良い。かかる場合には、例えば、決定部22は、対象の建造物の掲示権を含むデジタル所有権の入札(販売)に対し、利用者ごとの購入希望情報に基づいて、落札する利用者を複数人決定すれば良い。そして、発行部24は、決定した複数人の利用者の個数だけ、部分所有権を示すNFTを発行する。そして、掲示部25は、リアルな建造物の近傍に設置された掲示装置3に、複数人それぞれの掲示名を有効期間掲示させるようにすれば良い。
【0080】
また、上記実施形態では、1つのデジタル所有権に対して単数人に入札(販売)する例であったが、1つのデジタル所有権に対して複数人に入札(販売)する場合であっても良い。かかる場合には、例えば、決定部22は、対象の建造物の掲示権を含むデジタル所有権の入札(販売)に対し、利用者ごとの購入希望情報に基づいて、落札する利用者を複数人決定するとともに、決定した複数人の持ち分の割合を決定しても良い。そして、発行部24は、決定した複数人の利用者の個数だけ、持ち分の割合を含む部分所有権を示すNFTを発行する。そして、掲示部25は、リアルな建造物の近傍に設置された掲示装置3に、複数人それぞれの掲示名を持分の割合とともに有効期間掲示させても良い。一例として、AAAさん50%、BBBさん30%、CCCさん15%、未決定(販売中)5%のように、それぞれの掲示名を持分の割合とともに掲示させても良い。
【0081】
また、上記実施形態では、建造物は、自治体が管理する公共物であると説明したが、これに限定されず、自治体が管理する建造物であれば良い。
【0082】
また、上記実施形態では、建造物は、自治体が管理する公共物や建造物であると説明したが、民間の企業が管理する建造物の場合であっても良い。かかる場合には、上記実施形態の自治体という文言を民間の企業という文言に置き換えれば良い。
【0083】
また、上記実施形態では、販売をNFTマーケットプレイスによるものとしたが、自治体による直接販売や、寄付マーケットプレイス(例:ふるさと納税)の返礼品であっても良い。かかる場合には、上記実施形態のNFTマーケットプレイスという文言を自治体による直接販売や、寄付マーケットプレイス(例:ふるさと納税)の返礼品という文言に置き換えれば良い。
【0084】
〔ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る情報処理装置1は、例えば図10に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図10は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0085】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが記憶される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0086】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0087】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0088】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0089】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0090】
例えば、コンピュータ1000が情報処理装置1として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、情報処理装置1の制御部20の機能を実現する。
【0091】
[効果]
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置1は、取得部21と、決定部22と、発行部24と、掲示部25とを備える。取得部21は、利用者から公共物の部分所有権に関する入札情報を取得する。決定部22は、取得部21によって取得された利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する利用者を決定する。発行部24は、決定部22によって決定された利用者の部分所有権を示す非代替性トークンを発行する。掲示部25は、被代替性トークンに紐付けられた利用者に関する情報を実物の公共物に対応付けて掲示させる。これにより、情報処理装置1は、デジタル空間での所有権の情報を所有権者に容易に視認させることができる。
【0092】
また、実施形態に係る情報処理装置1では、掲示部25が、利用者に関する情報を公共物の近傍にある電子看板に掲示させる。これにより、情報処理装置1は、デジタル空間での所有権の情報を所有権者のみならず他人にも容易に視認させることができる。
【0093】
また、実施形態に係る情報処理装置1では、掲示部25が、利用者に関する情報を公共物に対応付けて掲示させるために、管理者の端末に通知する。これにより、情報処理装置1は、管理者によって利用者に関する情報を公共物に対応付けて掲示されることにより、デジタル空間での所有権の情報を所有権者および他人に容易に視認させることができる。
【0094】
また、実施形態に係る情報処理装置1では、公共物の部分所有権は、公共物の掲示権を含むデジタル所有権である。掲示部25は、利用者に関するデジタル所有者名を公共物に対応付けて掲示させる。これにより、情報処理装置1は、デジタル所有権のデジタル所有者名をデジタル所有権者に容易に視認させることができる。
【0095】
また、実施形態に係る情報処理装置1では、公共物の部分所有権は、有効期間を有する、公共物の掲示権を含むデジタル所有権である。掲示部25は、利用者に関するデジタル所有者名を公共物に対応付けて有効期間掲示させる。これにより、情報処理装置1は、デジタル所有権のデジタル所有者名をデジタル所有者に有効期間視認させることで、所有感を高めることができる。
【0096】
また、実施形態に係る情報処理装置1では、決定部22は、1つの公共物の部分所有権に対して複数の利用者に落札させる場合に、取得部21によって取得された利用者ごとの入札情報に基づいて、落札する複数の利用者および複数の利用者の持ち分の割合を決定する。掲示部25は、決定された複数の利用者に対する利用者に関する情報および利用者の持ち分の割合を公共物に対応付けて掲示させる。これにより、情報処理装置1は、1つのデジタル所有権の複数のデジタル所有者に自身の情報を持分の割合とともに視認させることで、複数のデジタル所有者の所有感を高めることができる。
【0097】
また、実施形態に係る情報処理装置1は、分配部23をさらに備える。分配部23は、決定部22によって決定された利用者から入札情報に含まれる入札金額に対応する代金を受け取ると、予め定められた取決めに基づいて、代金から手数料を差し引いた代金を、公共物を管理する自治体に分配する。これにより、自治体は、リアル空間をデジタル空間と連動することで、付加価値を産む始点に転化できる。
【0098】
また、実施形態に係る情報処理装置1では、公共物の部分所有権は、有効期間を有する、公共物の掲示権を含むデジタル所有権である。分配部23は、有効期間ごとに、決定部22によって決定された利用者から入札情報に含まれる入札金額に対応する代金を受け取ると、予め定められた取決めに基づいて、代金から手数料を差し引いた代金を、公共物を管理する自治体に分配する。これにより、自治体は、リアル空間をデジタル空間と連動することで、付加価値を産む資産に転化できる。また、自治体は、リアル空間での掲示に用いられる保守コストを取得できる。
【0099】
[その他]
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0100】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、取得部21は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 情報処理装置
2 利用者端末
3 掲示装置
5 ブロックチェーンネットワーク
9 情報処理システム
10 通信部
20 制御部
21 取得部
22 決定部
23 分配部
24 発行部
25 掲示部
30 記憶部
31 購入希望情報記憶部
32 掲示管理情報記憶部
33 ブロックチェーン記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10