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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040627
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240318BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145092
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山岸 啓
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA60
2C056JA03
(57)【要約】
【課題】キャップから液体が流出するおそれが低減される液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、1以上のノズル22が開口するノズル面23を有し、鉛直方向と異なる方向にノズルから液体を吐出する吐出部21と、吐出部に接触することによってノズルと通じる空間を形成するキャップ26と、キャップが着脱可能に装着される装着部27と、装着部から取り外されたキャップを保持可能な保持部29と、を備え、キャップは、ユーザーによって把持可能な把持部と、保持部に引っ掛けることが可能な接触部60と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のノズルが開口するノズル面を有し、鉛直方向と異なる方向に前記ノズルから液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部に接触することによって前記ノズルと通じる空間を形成するキャップと、
前記キャップが着脱可能に装着される装着部と、
前記装着部から取り外された前記キャップを保持可能な保持部と、を備え、
前記キャップは、ユーザーによって把持可能な把持部と、前記保持部に引っ掛けることが可能な接触部と、を有することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記キャップは、前記装着部に対して上方から取り外され、
前記保持部は、前記装着部よりも上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記把持部は、第1把持部であり、
前記キャップは、その両端に、ユーザーによって把持可能な第2把持部を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記吐出部は、媒体の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインヘッドであることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記装着部は、前記キャップの取り外し方向を規定するガイドを有し、
前記把持部は、前記取り外し方向における前記キャップの前面から延びることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記接触部は、前記前面から延びることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記把持部及び前記接触部は、一体的に構成されることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記保持部は、前記液体吐出装置を構成する金属フレームであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記保持部は、前記キャップが上方を向く姿勢で前記キャップを保持することを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を吐出する吐出部と、吐出部に接触可能なキャップとを備える液体吐出装置が記載されている。キャップは、交換可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-55503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした液体吐出装置においては、吐出部から吐出される液体をキャップが受けることがある。そのため、キャップの交換時にキャップの姿勢が傾くと、キャップから液体が流出するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、1以上のノズルが開口するノズル面を有し、鉛直方向と異なる方向に前記ノズルから液体を吐出する吐出部と、前記吐出部に接触することによって前記ノズルと通じる空間を形成するキャップと、前記キャップが着脱可能に装着される装着部と、前記装着部から取り外された前記キャップを保持可能な保持部と、を備え、前記キャップは、ユーザーによって把持可能な把持部と、前記保持部に引っ掛けることが可能な接触部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】液体吐出装置の一実施形態を示す側面図である。
図2】吐出部が吐出位置に位置し、キャップユニットが待機位置に位置するときの側面図である。
図3】吐出部が退避位置に位置し、キャップユニットが実施位置に位置するときの側面図である。
図4】吐出部がメンテナンス位置に位置し、キャップユニットが実施位置に位置するときの側面図である。
図5】装着部からキャップを取り外すときの側面図である。
図6】キャップの正面図である。
図7】キャップの斜視図である。
図8図7とは異なる角度から見たキャップの斜視図である。
図9】キャップの模式断面図である。
図10】装着部からキャップを取り外すときの正面図である。
図11図10における11-11線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、液体吐出装置の一例について図を参照しながら説明する。液体吐出装置は、用紙、布帛などの媒体に、液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を記録するインクジェットプリンターである。
【0008】
<液体吐出装置>
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12を備える。
液体吐出装置11は、カバー13を備える。カバー13は、筐体12に取り付けられる。カバー13は、筐体12に対して開閉するように構成される。図1では、カバー13は、閉じている。カバー13が開くことによって、ユーザーは、筐体12内にアクセスできる。カバー13は、例えば、筐体12の上部に位置する。そのため、ユーザーは、カバー13を開くことによって、筐体12の上部から筐体12内にアクセスできる。カバー13は、例えば、画像を記録された媒体99が積載されるスタッカーとして機能する。液体吐出装置11は、スタッカーを別途備えてもよい。
【0009】
液体吐出装置11は、1以上の収容部14を備える。収容部14は、媒体99を収容するように構成される。収容部14は、例えば、筐体12に対して引出可能なカセットである。
【0010】
液体吐出装置11は、搬送経路15を備える。搬送経路15は、媒体99が搬送される経路である。搬送経路15は、筐体12内を延びる。搬送経路15は、例えば、収容部14から筐体12外に媒体99を排出するように延びる。媒体99は、搬送経路15を搬送される過程で画像を記録される。媒体99は、搬送経路15を搬送されることによって、カバー13に向けて排出される。詳しくは、媒体99は、搬送経路15を搬送されることによって、搬送経路15の終端からカバー13に落下する。
【0011】
液体吐出装置11は、搬送部16を備える。搬送部16は、媒体99を搬送するように構成される。搬送部16は、例えば、1以上のローラーを有する。搬送部16は、収容部14に収容される媒体99を搬送経路15に沿って搬送する。
【0012】
搬送部16は、例えば、搬送ベルト17と、第1プーリー18と、第2プーリー19とを有する。搬送ベルト17は、第1プーリー18及び第2プーリー19に巻き掛けられる。搬送ベルト17は、例えば、静電吸着によって媒体99を吸着する。これにより、搬送ベルト17は、媒体99を支持する。搬送ベルト17は、例えば、負圧による吸引によって媒体99を吸着するように構成されてもよい。第1プーリー18及び第2プーリー19は、搬送経路15に沿って位置する。第1プーリー18及び第2プーリー19が回転することによって、搬送ベルト17が周回する。その結果、搬送ベルト17に支持される媒体99が搬送される。搬送ベルト17は、例えば、斜め上方に向けて媒体99を搬送する。
【0013】
液体吐出装置11は、吐出部21を備える。吐出部21は、媒体99に液体を吐出するように構成される。吐出部21は、1以上のノズル22が開口するノズル面23を有する。吐出部21は、例えば、媒体99の幅にわたって液体を一斉に吐出可能なラインヘッドである。吐出部21は、媒体99に対して走査するシリアルヘッドでもよい。
【0014】
吐出部21は、例えば、搬送ベルト17と対向するように位置する。詳しくは、ノズル面23が搬送ベルト17と対向する。吐出部21は、搬送ベルト17の斜め上方に位置する。吐出部21は、搬送ベルト17に支持される媒体99に液体を吐出する。吐出部21は、鉛直方向とは異なる方向に液体を吐出する。吐出部21は、例えば、斜め下方に向けて液体を吐出する。吐出部21は、搬送ベルト17に支持される媒体99に限らず、例えば、支持台に支持される媒体99に向けて、鉛直方向とは異なる方向に液体を吐出してもよい。
【0015】
図2図3、及び、図4に示すように、液体吐出装置11は、駆動機構24を備える。駆動機構24は、吐出部21を移動させる機構である。駆動機構24は、例えば、ラックアンドピニオンを含む。駆動機構24は、搬送ベルト17に対して吐出部21を移動させる。駆動機構24は、例えば、搬送ベルト17に対して接近する方向と、搬送ベルト17から離れる方向との2方向に、吐出部21を移動させる。駆動機構24は、例えば、搬送ベルト17に対して垂直に吐出部21を移動させる。駆動機構24は、例えば、吐出部21を斜め下方に向けて移動させることによって、吐出部21を搬送ベルト17に接近させる。駆動機構24は、例えば、吐出部21を斜め上方に向けて移動させることによって、吐出部21を搬送ベルト17から離す。
【0016】
駆動機構24は、吐出部21を、吐出位置P1と、メンテナンス位置P2と、退避位置P3とに変位させる。図2に示す吐出部21は、吐出位置P1に位置する。図3に示す吐出部21は、退避位置P3に位置する。図4に示す吐出部21は、メンテナンス位置P2に位置する。
【0017】
吐出位置P1は、吐出部21が媒体99に液体を吐出する場合の位置である。吐出位置P1、メンテナンス位置P2、退避位置P3のうち、吐出位置P1は、搬送ベルト17に対して吐出部21が最も接近する位置である。
【0018】
メンテナンス位置P2は、吐出部21にメンテナンスが実施される場合の位置である。メンテナンス位置P2は、例えば、吐出位置P1よりも、搬送ベルト17から離れた位置である。
【0019】
退避位置P3は、吐出部21が退避する場合の位置である。退避位置P3は、吐出位置P1からメンテナンス位置P2に吐出部21が変位する場合、及び、メンテナンス位置P2から吐出位置P1に吐出部21が変位する場合に、吐出部21が経由する位置である。駆動機構24は、吐出位置P1とメンテナンス位置P2との間で吐出部21を変位させる場合に、吐出部21を退避位置P3に一時的に退避させる。吐出位置P1、メンテナンス位置P2、退避位置P3のうち、退避位置P3は、搬送ベルト17から最も離れた位置である。
【0020】
液体吐出装置11は、キャップユニット25を備える。キャップユニット25は、吐出部21にメンテナンスを実施するユニットである。キャップユニット25は、例えば、ノズル22内の液体が乾燥するおそれを低減するために、吐出部21に接触することによって吐出部21をキャッピングする。キャッピングは、ノズル22を保湿するメンテナンスのことである。キャップユニット25は、例えば、メンテナンス位置P2に位置する吐出部21をキャッピングすることによって、吐出部21にメンテナンスを実施する。
【0021】
キャップユニット25は、フラッシングによって吐出部21が吐出する液体を受けることによって吐出部21にメンテナンスを実施してもよい。フラッシングは、ノズル22の目詰まりを抑制するために、吐出部21が液体を適宜吐出する動作である。キャップユニット25は、例えば、メンテナンス位置P2に位置する吐出部21からフラッシングによる液体を受けることによって、吐出部21にメンテナンスを実施してもよい。
【0022】
キャップユニット25は、キャップ26と、装着部27とを含む。キャップ26は、装着部27に着脱可能に装着される。キャップ26は、装着部27から取り外し可能である。そのため、キャップ26は、装着部27に対して交換可能である。キャップ26は、例えば、カバー13を開くことによって、装着部27の上方から取り外される。キャップ26については、後で詳しく説明する。装着部27は、ガイド28を有する。ガイド28は、取り外し方向A1を規定する。取り外し方向A1は、キャップ26が装着部27から取り外される場合にキャップ26が移動する方向である。ガイド28は、例えば、取り外し方向A1に延びるレールである。ガイド28は、取り外されるキャップ26を取り外し方向A1に案内する。
【0023】
図5に示すように、液体吐出装置11は、保持部29を備える。保持部29は、装着部27から取り外されたキャップ26を保持するように構成される。保持部29は、キャップ26が取り外された場合に、キャップ26を一時的に保持する。保持部29は、取り外し方向A1から見た場合に、キャップ26と重なる位置に位置する。詳しくは、保持部29は、取り外し方向A1から見た場合に、装着部27に装着されるキャップ26と重なる位置に位置する。これにより、装着部27からキャップ26が取り外し方向A1に移動することによって、キャップ26が保持部29に到達する。そのため、保持部29がキャップ26を保持しやすい。
【0024】
保持部29は、装着部27よりも上方に位置する。すなわち、この場合には、取り外し方向A1は、上方を向く方向である。これにより、装着部27の上方からキャップ26を取り外す場合に、キャップ26を保持部29に保持させやすい。
【0025】
保持部29は、キャップ26を保持することによって、キャップ26の荷重を受ける。そのため、保持部29は、剛性があることが好ましい。これは、キャップ26の重量が大きいためである。特に、吐出部21がラインヘッドである場合、吐出部21に合わせてキャップ26も幅広になるため、キャップ26の重量が大きくなりやすい。保持部29は、例えば、液体吐出装置11を構成する金属フレームである。これにより、保持部29の剛性が確保される。
【0026】
保持部29は、例えば、1以上の保持穴30を有する。保持穴30にキャップ26の一部が挿入されることによって、キャップ26が保持部29に引っ掛けられる。これにより、保持部29は、キャップ26を保持する。保持部29は、キャップ26が下方を向かないようにキャップ26を保持する。すなわち、保持部29は、キャップ26が上方を向く姿勢でキャップ26を保持する。これにより、保持部29がキャップ26を保持する状態で、キャップ26から液体が流出するおそれが低減される。
【0027】
図2図3、及び、図4に示すように、液体吐出装置11は、移動機構31を備える。移動機構31は、キャップユニット25を移動させる機構である。詳しくは、移動機構31は、装着部27を移動させる。これに伴い、キャップ26が移動する。移動機構31は、例えば、ラックアンドピニオンを含む。移動機構31は、搬送ベルト17に対してキャップユニット25を移動させる。移動機構31は、例えば、搬送ベルト17に対して接近させる方向と、搬送ベルト17から離れる方向との2方向に、キャップユニット25を移動させる。移動機構31は、例えば、キャップユニット25を斜め上方に向けて移動させることによって、キャップユニット25を搬送ベルト17に接近させる。移動機構31は、例えば、キャップユニット25を斜め下方に向けて移動させることによって、キャップユニット25を搬送ベルト17から離す。移動機構31は、駆動機構24が吐出部21を移動させる方向とは異なる方向に、キャップユニット25を移動させる。
【0028】
移動機構31は、キャップユニット25を搬送ベルト17に接近させることによって、搬送ベルト17上に位置させる。詳しくは、移動機構31は、キャップユニット25を搬送ベルト17に接近させることによって、キャップユニット25を搬送ベルト17と吐出部21との間に位置させる。この状態で、吐出部21が搬送ベルト17に接近すると、キャップ26がノズル面23に接触する。これにより、吐出部21がキャッピングされる。
【0029】
移動機構31は、キャップユニット25を、待機位置Q1と、実施位置Q2とに変位させる。図2に示すキャップユニット25は、待機位置Q1に位置する。図3及び図4に示すキャップユニット25は、実施位置Q2に位置する。
【0030】
待機位置Q1は、キャップユニット25が待機する場合の位置である。キャップユニット25は、吐出部21をメンテナンスしない場合、例えば吐出部21が媒体99に液体を吐出している場合に、待機位置Q1に位置する。待機位置Q1は、例えば、実施位置Q2とよりも、搬送ベルト17から離れた位置である。
【0031】
実施位置Q2は、キャップユニット25が吐出部21にメンテナンスを実施する位置である。実施位置Q2は、キャップユニット25が吐出部21をキャッピングしたり、フラッシングを受けたりする位置である。実施位置Q2は、搬送ベルト17と吐出部21との間の位置である。
【0032】
キャップユニット25が吐出部21をメンテナンスする場合、まず、吐出部21が吐出位置P1から退避位置P3に変位する。吐出部21が吐出位置P1から退避位置P3に変位する間、又は、変位した後に、キャップユニット25は、待機位置Q1から実施位置Q2に変位する。キャップユニット25が実施位置Q2に変位した後、吐出部21は、退避位置P3からメンテナンス位置P2に変位する。これにより、キャップユニット25が吐出部21にメンテナンスを実施できる。
【0033】
図5に示すように、キャップ26を交換する場合には、吐出部21が退避位置P3に位置し、キャップユニット25が実施位置Q2に位置するとよい。これにより、吐出部21とキャップユニット25との距離が大きくなるため、装着部27から取り外されるキャップ26が吐出部21に干渉するおそれが低減される。また、実施位置Q2では、待機位置Q1と比べてキャップユニット25が上方に位置するため、装着部27の上方からキャップ26を交換しやすくなる。
【0034】
<キャップ>
図6図7、及び図8に示すように、キャップ26は、1以上のキャップ部材41を含む。キャップ部材41は、キャッピング時に、ノズル面23に接触する部材である。キャップ部材41は、フラッシングにより吐出部21から吐出される液体を受ける部材でもある。キャップ部材41は、キャッピング時に、ノズル22を囲むようにノズル面23に接触する。これにより、キャップ部材41は、ノズル22と通じる空間を形成する。このように、キャップ26は、吐出部21に接触することによって、ノズル22と通じる空間を形成する。
【0035】
キャップ26は、例えば、4つのキャップ部材41を含む。4つのキャップ部材41は、一方向に並ぶ。吐出部21がラインヘッドである場合、キャップ26も吐出部21に合わせて幅広である必要がある。そのため、複数のキャップ部材41が一方向に並ぶことによって、キャップ26が幅広となる。キャップ26は、1つの幅広なキャップ部材41によって吐出部21をキャッピングしてもよい。
【0036】
図9に示すように、キャップ26は、吸収材42を有してもよい。吸収材42は、キャップ部材41内に位置する。吸収材42は、吐出部21が吐出する液体を吸収する。例えば、フラッシングのために吐出部21がキャップ部材41に液体を吐出すると、吸収材42がその液体を吸収する。吸収材42が液体を吸収する状態でキャッピングすると、ノズル22がより保湿される。これは、いわゆる保湿キャッピングである。
【0037】
キャップ部材41には、1以上の排出穴が開口してもよい。キャップ部材41には、例えば、第1排出穴43と、第2排出穴44とが開口してもよい。第1排出穴43は、キャップ26が装着部27に装着された状態において、第2排出穴44よりも下方に位置する穴である。
【0038】
第1排出穴43又は第2排出穴44を通じて、液体吐出装置11が備えるポンプ45がキャップ部材41内を吸引してもよい。これにより、キャップ部材41から液体が排出されるため、吸収材42に吸収される液体量が調整される。
【0039】
第1排出穴43を通じて吸引する場合と、第2排出穴44を通じて吸引する場合とで、キャップ部材41から排出される液体量が異なる。これは、第1排出穴43と第2排出穴44とで、鉛直方向の位置が異なるためである。第1排出穴43を通じてポンプ45がキャップ部材41内を吸引する場合、第2排出穴44を通じてポンプ45がキャップ部材41内を吸引する場合と比べて、キャップ部材41から排出される液体量が多い。そのため、例えば、キャップ26を交換する場合には、第1排出穴43を通じてキャップ部材41から液体を排出することによって、キャップ26の交換時に液体が流出するおそれが低減される。
【0040】
キャップ26が吐出部21をキャッピングする状態で、ポンプ45が駆動することによって、吐出部21から液体を強制的に排出させることができる。これは、いわゆる吸引クリーニングである。吸引クリーニングは、メンテナンスの一例である。吸引クリーニングによって、吐出部21から液体とともに気泡、異物などが排出される。
【0041】
図6図7、及び、図8に示すように、キャップ26は、ホルダー51を含む。ホルダー51は、キャップ部材41を保持する部材である。ホルダー51は、例えば、直方体形状のフレームである。
【0042】
ホルダー51は、前面52と、後面53とを有する。前面52は、キャップ26が装着部27に装着された状態において、保持部29を向く面である。すなわち、前面52は、取り外し方向A1における前面である。後面53は、前面52と反対を向く面である。すなわち、後面53は、取り外し方向A1における後面である。
【0043】
ホルダー51は、第1側面54と、第2側面55とを有する。第1側面54及び第2側面55は、それぞれ前面52と後面53とに繋がる面である。キャップ26は幅広であるため、第1側面54と第2側面55との間の距離は、前面52と後面53との間の距離よりも長い。
【0044】
ホルダー51は、1以上の把持部を有する。把持部は、キャップ26の交換時にユーザーに把持される。例えば、ユーザーは、把持部を把持することによって、キャップ26を装着部27に対して取り外し方向A1に移動させる。ユーザーは、例えば、カバー13を開くことにより装着部27の上方から手を差し入れることによって、把持部を把持する。ユーザーは、把持部を把持した状態でキャップ26を引っ張る、例えば持ち上げることによって、装着部27からキャップ26を取り外す。
【0045】
ホルダー51は、1以上の第1把持部56と、1以上の第2把持部57とを有する。ホルダー51は、例えば、2つの第1把持部56と、2つの第2把持部57とを有する。第1把持部56は、例えば、キャップ26を装着部27から取り外す場合に、ユーザーに最初に把持される。第2把持部57は、例えば、キャップ26を装着部27から取り外す場合に、キャップ26を保持部29に保持させた後に把持される。
【0046】
第1把持部56は、前面52から延びる。第1把持部56は、前面52から取り外し方向A1に延びる。第1把持部56は、取り外し方向A1に延びた後、側方に延びるように屈曲する。すなわち、第1把持部56は、フック状に延びる。これにより、ユーザーは、第1把持部56に手を掛けやすい。第1把持部56が延びる方向にユーザーが第1把持部56を引っ張ることによって、キャップ26が取り外し方向A1に移動する。第1把持部56が取り外し方向A1に延びることによって、ユーザーが直感的に取り外し方向A1を把握しやすい。
【0047】
第1把持部56は、把持基端部分58と、把持先端部分59とを有する。把持基端部分58は、前面52から延びる部分である。把持基端部分58は、取り外し方向A1に延びる。把持先端部分59は、把持基端部分58から延びる部分である。把持先端部分59は、前面52と平行な方向に延びる。ユーザーは、例えば、把持先端部分59に手を掛けることによって、キャップ26を装着部27から取り外す。
【0048】
2つの第1把持部56は、前面52において所定の間隔をあけて位置する。2つの第1把持部56において、それぞれの把持先端部分59が互いに反対を向くように延びる。例えば、2つの第1把持部56のうち、一方については把持先端部分59が第1側面54に向かうように延び、他方については把持先端部分59が第2側面55に向かうように延びる。2つの第1把持部56において、それぞれの把持先端部分59は、キャップ26の中心を基準に、外側を向くように延びる。これにより、ユーザーは、両手で2つの第1把持部56を把持しやすい。
【0049】
第2把持部57は、側面から延びる。第2把持部57は、側方に向かって延びる。第2把持部57は、前面52と平行な方向に延びる。すなわち、第2把持部57は、把持先端部分59と同じ方向に延びる。第2把持部57は、例えば、滑り止めのリブが形成されたプレートである。
【0050】
第2把持部57によって、ユーザーは、キャップ26を装着部27から取り外す途中で、キャップ26を持ち替えることができる。例えば、第1把持部56を把持したままユーザーがキャップ26を装着部27から取り外す場合、第1把持部56を支点にキャップ26の姿勢が傾くことによって、キャップ26が下方を向くおそれがある。特に、第1把持部56を把持した状態でキャップ26を筐体12から上方に引き出すと、キャップ26が下方を向きやすい。この点、第1把持部56を把持することによってキャップ26を取り外し方向A1に移動させた後、第2把持部57に持ち替えることによって、キャップ26を装着部27から取り外す場合にキャップ26が下方を向くおそれが低減される。
【0051】
2つの第2把持部57は、それぞれ第1側面54と第2側面55とから延びる。すなわち、2つの第2把持部57は、キャップ26の両端にそれぞれ位置する。2つの第2把持部57は、それぞれ反対方向に延びる。2つの第2把持部57は、キャップ26の中心を基準に、外側を向くように延びる。これにより、ユーザーは、両手で2つの第2把持部57を把持しやすい。
【0052】
図10及び図11に示すように、ホルダー51は、1以上の接触部60を有する。ホルダー51は、例えば、2つの接触部60を有する。接触部60は、保持部29に引っ掛けられる。詳しくは、接触部60は、保持穴30に挿入されることによって保持部29に引っ掛けられる。これにより、キャップ26が保持部29に保持される。
【0053】
接触部60は、前面52から延びる。接触部60は、前面52から取り外し方向A1に延びる。接触部60は、取り外し方向A1に延びた後、吐出部21に向かうように屈曲する。すなわち、接触部60は、フック状に延びる。第1把持部56と同様に接触部60が前面52から延びることによって、ユーザーは、第1把持部56を把持する状態で接触部60を保持部29に引っ掛けやすい。
【0054】
接触部60によってキャップ26を保持部29に保持させることによって、ユーザーは、キャップ26を装着部27から取り外す途中で、キャップ26を持ち替えることができる。すなわち、例えば、ユーザーは、第1把持部56から第2把持部57に持ち替えることができる。例えば、ユーザーは、第1把持部56を把持する状態から、キャップ26を下方から両手で支えるように持ち替えることもできる。これにより、キャップ26を装着部27から取り外す場合に、キャップ26が下方を向くおそれが低減される。
【0055】
接触部60は、接触基端部分61と、接触先端部分62とを有する。接触基端部分61は、前面52から延びる部分である。接触基端部分61は、取り外し方向A1に延びる。接触先端部分62は、接触基端部分61から延びる部分である。接触先端部分62は、前面52と平行な方向に延びる。接触先端部分62は、把持先端部分59と異なる方向に延びる。接触先端部分62が保持穴30に挿入されることによって、キャップ26が保持部29に保持される。
【0056】
接触部60は、接触先端部分62の先端に、突起63を有してもよい。突起63が保持穴30の縁に引っ掛かることによって、接触部60が保持部29から脱落しにくくなる。これにより、保持部29に保持されるキャップ26の姿勢が安定しやすくなる。
【0057】
2つの接触部60は、前面52において所定の間隔をあけて位置する。2つの接触部60は、2つの保持穴30にそれぞれ挿入される。これにより、保持部29に保持されるキャップ26の姿勢が安定しやすい。
【0058】
接触部60は、第1把持部56と一体的に構成されてもよい。接触部60は、例えば、第1把持部56と共通の部分を有していてもよい。例えば、接触基端部分61は、把持基端部分58と共通でもよい。すなわち、接触先端部分62及び把持先端部分59は、共通の基端部分から屈曲するようにそれぞれ延びる。これにより、ユーザーは、第1把持部56を把持する状態で接触部60を保持穴30に挿入させやすい。
【0059】
<作用及び効果>
次に、上記実施例の作用及び効果について説明する。
(1)キャップ26は、ユーザーによって把持可能な把持部と、保持部29に引っ掛けることが可能な接触部60と、を有する。上記構成によれば、ユーザーは、接触部60を保持部29に引っ掛けることによって、キャップ26を装着部27から取り外す途中で、キャップ26を持ち替えることができる。これにより、キャップ26が取り外される場合に、キャップ26から液体が流出するおそれが低減される。
【0060】
(2)キャップ26は、装着部27に対して上方から取り外される。保持部29は、装着部27よりも上方に位置する。
上記構成によれば、キャップ26を装着部27から取り外す途中で、キャップ26を保持部29に保持させやすい。
【0061】
(3)キャップ26は、その両端に、ユーザーによって把持可能な第2把持部57を有する。
上記構成によれば、第1把持部56と第2把持部57とによって、ユーザーは、キャップ26を取り外す途中で、キャップ26を持ち替えることができる。これにより、キャップ26が取り外される場合に、キャップ26から液体が流出する姿勢にキャップ26が傾くおそれが低減される。
【0062】
(4)吐出部21は、媒体99の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインヘッドである。
吐出部21がラインヘッドである場合、吐出部21の幅に合わせてキャップ26の幅も大きくなる。そのため、キャップ26の重量が大きくなりやすい。キャップ26の重量が大きいと、キャップ26を取り外す場合に、キャップ26の姿勢が不安定になりやすい。この点、上記構成では、キャップ26を取り外す途中でキャップ26を保持部29に保持させることによって、ユーザーはキャップ26を持ち替えることができる。したがって、ラインヘッド用の重量の大きいキャップ26であっても、キャップ26から液体が流出するおそれが低減される。
【0063】
(5)第1把持部56は、取り外し方向A1におけるキャップ26の前面52から延びる。
上記構成によれば、第1把持部56を保持部29に接近させるようにキャップ26が引っ張られることによって、キャップ26が装着部27から取り外し方向に移動する。そのため、ユーザーは、キャップ26を取り外し方向A1に移動させやすい。
【0064】
(6)接触部60は、前面52から延びる。
上記構成によれば、第1把持部56と同じ前面52から接触部60が延びるため、ユーザーは、第1把持部56を把持する状態で接触部60を保持部29に引っ掛けやすい。
【0065】
(7)第1把持部56及び接触部60は、一体的に構成される。
上記構成によれば、ユーザーは、第1把持部56を把持する状態で接触部60を保持部29に引っ掛けやすい。
【0066】
(8)保持部29は、液体吐出装置11を構成する金属フレームである。
上記構成によれば、キャップ26の重量によって保持部29が変形するおそれが低減される。
【0067】
(9)保持部29は、キャップ26が上方を向く姿勢でキャップ26を保持する。
上記構成によれば、キャップ26が保持部29に保持される状態で、キャップ26から液体が流出するおそれが低減される。
【0068】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0069】
・液体吐出装置11は、筐体12の側面に開口する穴を通じてキャップ26を取り外し可能に構成されてもよい。すなわち、キャップ26は、装着部27の上方から取り外されることに限らない。
【0070】
・取り外し方向A1は、斜め上方に向かう方向に限らず、例えば、斜め下方に向かう放区でもよい。
・キャップ部材41及びホルダー51は、一体的に構成されてもよい。
【0071】
・キャップ26が有する把持部は、第2把持部57のみでもよい。この場合、ユーザーは、キャップ26の両端に位置する第2把持部57を把持することによって、キャップ26を取り外し方向A1に移動させる。ユーザーは、キャップ26を保持部29に保持させた後、例えばキャップ26を下方から支えるように持ち替える。これにより、キャップ26から液体が流出するおそれが低減される。
【0072】
・吐出部21が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、吐出部21が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材又は画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0073】
<技術的思想>
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0074】
(A)液体吐出装置は、1以上のノズルが開口するノズル面を有し、鉛直方向と異なる方向に前記ノズルから液体を吐出する吐出部と、前記吐出部に接触することによって前記ノズルと通じる空間を形成するキャップと、前記キャップが着脱可能に装着される装着部と、前記装着部から取り外された前記キャップを保持可能な保持部と、を備え、前記キャップは、ユーザーによって把持可能な把持部と、前記保持部に引っ掛けることが可能な接触部と、を有する。
【0075】
上記構成によれば、ユーザーが、接触部を保持部に引っ掛けることによって、キャップを装着部から取り外す途中で、キャップを持ち替えることができる。これにより、キャップが取り外される場合に、キャップから液体が流出するおそれが低減される。
【0076】
(B)上記液体吐出装置において、前記キャップは、前記装着部に対して上方から取り外され、前記保持部は、前記装着部よりも上方に位置してもよい。
上記構成によれば、キャップを装着部から取り外す途中で、キャップを保持部に保持させやすい。
【0077】
(C)上記液体吐出装置において、前記把持部は、第1把持部であり、前記キャップは、その両端に、ユーザーによって把持可能な第2把持部を有してもよい。
上記構成によれば、第1把持部と第2把持部とによって、ユーザーは、キャップを取り外す途中で、キャップを持ち替えることができる。これにより、キャップが取り外される場合に、キャップから液体が流出する姿勢にキャップが傾くおそれが低減される。
【0078】
(D)上記液体吐出装置において、前記吐出部は、媒体の幅にわたって一斉に液体を吐出可能なラインヘッドであってもよい。
吐出部がラインヘッドである場合、吐出部の幅に合わせてキャップの幅も大きくなる。そのため、キャップの重量が大きくなりやすい。キャップの重量が大きいと、キャップを取り外す場合に、キャップの姿勢が不安定になりやすい。この点、上記構成では、キャップを取り外す途中でキャップを保持部に保持させることによって、ユーザーはキャップを持ち替えることができる。したがって、ラインヘッド用の重量の大きいキャップであっても、キャップから液体が流出するおそれが低減される。
【0079】
(E)上記液体吐出装置において、前記装着部は、前記キャップの取り外し方向を規定するガイドを有し、前記把持部は、前記取り外し方向における前記キャップの前面から延びてもよい。
【0080】
上記構成によれば、把持部を保持部に接近させるようにキャップが引っ張られることによって、キャップが装着部から取り外し方向に移動する。そのため、ユーザーは、キャップを取り外し方向に移動させやすい。
【0081】
(F)上記液体吐出装置において、前記接触部は、前記前面から延びてもよい。
上記構成によれば、把持部と同じ前面から接触部が延びるため、ユーザーは、把持部を把持する状態で接触部を保持部に引っ掛けやすい。
【0082】
(G)上記液体吐出装置において、前記把持部及び前記接触部は、一体的に構成されてもよい。
上記構成によれば、ユーザーは、把持部を把持する状態で接触部を保持部に引っ掛けやすい。
【0083】
(H)上記液体吐出装置において、前記保持部は、前記液体吐出装置を構成する金属フレームであってもよい。
上記構成によれば、キャップの重量によって保持部が変形するおそれが低減される。
【0084】
(I)上記液体吐出装置において、前記保持部は、前記キャップが上方を向く姿勢で前記キャップを保持してもよい。
上記構成によれば、キャップが保持部に保持される状態で、キャップから液体が流出するおそれが低減される。
【符号の説明】
【0085】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…カバー、14…収容部、15…搬送経路、16…搬送部、17…搬送ベルト、18…第1プーリー、19…第2プーリー、21…吐出部、22…ノズル、23…ノズル面、24…駆動機構、25…キャップユニット、26…キャップ、27…装着部、28…ガイド、29…保持部、30…保持穴、31…移動機構、41…キャップ部材、42…吸収材、43…第1排出穴、44…第2排出穴、45…ポンプ、51…ホルダー、52…前面、53…後面、54…第1側面、55…第2側面、56…第1把持部、57…第2把持部、58…把持基端部分、59…把持先端部分、60…接触部、61…接触基端部分、62…接触先端部分、63…突起、99…媒体、A1…取り外し方向、P1…吐出位置、P2…メンテナンス位置、P3…退避位置、Q1…待機位置、Q2…実施位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11