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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040633
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ショッピングカート
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240318BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240318BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B62B5/00 L
B62B3/00 F
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145102
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】320009152
【氏名又は名称】エナックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 勝亮
(72)【発明者】
【氏名】安野 正浩
(72)【発明者】
【氏名】武田 克也
(72)【発明者】
【氏名】澤田 八郎
(72)【発明者】
【氏名】杉上 礼士
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智則
(72)【発明者】
【氏名】武田 拓樹
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 隆廣
(72)【発明者】
【氏名】山本 遼一
(72)【発明者】
【氏名】北田 智之
【テーマコード(参考)】
3D050
5G503
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050CC02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE13
5G503AA00
5G503BB01
5G503FA03
5G503GB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ショッピングカートの収納置場の設備を簡素化することができるショッピングカートを提供すること。
【解決手段】前後方向にネスティング可能なカート本体には、商品の決済処理に使用される電子機器に電力を供給するバッテリーが設けられるとともに、外部電源装置の送電側接続部に電気的に接続可能な受電側接続部40a、40bが前面側に設けられ、このカートにネスティングされる後続のカートの受電側接続部40a、40bに対して電力を供給する送電側接続部41a、41bが、受電側接続部40a、40bの後面側に設けられており、受電側接続部40a、40bおよび送電側接続部41a、41b各々には、カート間の相対的な位置を決定するための磁石MGn、MGsが設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向にネスティング可能なショッピングカートであって、
カート本体には、商品の決済処理に使用される電子機器に電力を供給するバッテリーが設けられるとともに、外部電源に電気的に接続可能な受電部が前面側に設けられ、このショッピングカートにネスティングされる別のショッピングカートの前記受電部に対して電力を供給する送電部が前記受電部の後面側に設けられており、
前記受電部および前記送電部各々には、相対的な位置を保持可能な磁石が設けられていることを特徴とするショッピングカート。
【請求項2】
前記送電部は、退避位置と突出位置との間で移動可能に設けられ、付勢手段により前記突出位置側に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1に記載のショッピングカート。
【請求項3】
前記送電部は、後側に向けて別個に突出する左右の接続部を有し、該左右の接続部各々の先端面に配線の接続端子が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のショッピングカート。
【請求項4】
前記左右の接続部は、これらを連結する部材で一体に形成され、該部材は、左右に設けられた前記付勢手段により後側に向けて付勢されていることを特徴とする請求項3に記載のショッピングカート。
【請求項5】
前記受電部および前記送電部各々には、配線の接続端子が上下方向に向けて延設されていることを特徴とする請求項1に記載のショッピングカート。
【請求項6】
前記送電部から前記受電部への電力の供給は、所定の接続条件の成立に基づいて開始されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のショッピングカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にスーパーマーケットやショッピングモールなどの店舗で利用されるショッピングカートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやショッピングモールなどの店舗においては、店舗内に設けられたレジにて、店員または来店客により決済処理が行われるため、例えば、繁忙時間帯などでは決済待ちの来店客がレジに集中し、来店客を長時間待たせてしまうだけでなく、決済処理を行う店員の作業負荷が大きいという問題がある。
【0003】
そこで、ショッピングカートに、商品情報を読取り可能な読取装置や、決済情報等を表示可能な表示装置などの電子機器と、これら電子機器に電力を供給するバッテリーとを搭載し、来店客が商品を選択した際に商品情報をその場で読取ることで、レジに行かなくても決済処理を行うことができるシステムが提案されている。
【0004】
この種のシステムに用いるショッピングカートにおいては、電子機器にバッテリーから電力が供給されており、バッテリーへの充電が必要である。例えば、各ショッピングカートに受電装置を設ける一方で、複数のショッピングカートが収納されるカート収納置場に複数の送電装置を設け、カート収納置場にショッピングカートが収納されたときに、各ショッピングカートの受電装置がカート収納置場の送電装置に対向して、送電装置から受電装置を介してバッテリーに電力が供給されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-32815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたショッピングカートは、ショッピングカートごとに個別の送電装置から電力を供給するため、カート収納置場の側部に複数の送電装置を並設する必要があり、カート収納置場の設備を簡素化することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ショッピングカートの収納置場の設備を簡素化することができるショッピングカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のショッピングカートは、
前後方向にネスティング可能なショッピングカートであって、
カート本体には、商品の決済処理に使用される電子機器に電力を供給するバッテリーが設けられるとともに、外部電源に電気的に接続可能な受電部が前面側に設けられ、このショッピングカートにネスティングされる別のショッピングカートの前記受電部に対して電力を供給する送電部が前記受電部の後面側に設けられており、
前記受電部および前記送電部各々には、相対的な位置を保持可能な磁石が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、カート収納置場の外部電源に電気的に接続される最前のショッピングカートに別のショッピングカートを順次収納することにより、一つの電源で複数のショッピングカートに搭載のバッテリーを充電できるので、カートごとの電源が不要となりカート収納置場の設備を簡素化することができる。また、ネスティング状態のときに外力等を受けて受電部と送電部との電気的な接続が簡単に解除されることを防止することができる。
【0009】
前記送電部は、退避位置と突出位置との間で移動可能に設けられ、付勢手段により前記突出位置側に向けて付勢されていることを特徴としている。
この特徴によれば、送電部は後側に突出することで、来店客や他のショッピングカートとの接触が防止されるとともに、送電部は移動可能であることからネスティングしたときの衝撃で破損することが防止される。
【0010】
前記送電部は、後側に向けて別個に突出する左右の接続部を有し、該左右の接続部各々の先端面に配線の接続端子が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、2つの接続端子が左右の接続部に独立して設けられるので、ネスティングする際に送電部が他のショッピングカートの受電部に確実に接触しやすくなっている。
【0011】
前記左右の接続部は、これらを連結する部材で一体に形成され、該部材は、左右に設けられた前記付勢手段により後側に向けて付勢されていることを特徴としている。
この特徴によれば、左右の付勢手段により、左右の接続部を安定して突出位置側に向けて付勢することができる。
【0012】
前記受電部および前記送電部各々には、配線の接続端子が上下方向に向けて延設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、送電部と他のショッピングカートの受電部とが上下方向に位置ずれしても接続させやすくなるため、床面の不陸や車輪へのごみ付着等による他のショッピングカートの高さ違いの影響を受けにくい。
【0013】
前記送電部から前記受電部への電力の供給は、所定の接続条件の成立に基づいて開始されることを特徴としている。
この特徴によれば、所定の接続条件が成立してから送電部から受電部への電力供給が開始されるため、感電等が生じにくく安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)、(b)は本発明の実施例としてのショッピングカートを示す斜視図である。
図2】ショッピングカートを示す右側面図である。
図3】カバーの開閉部を開放した状態を示す斜視図である。
図4】(a)はカート本体の下部を示す正面図、(b)はカート本体の下部を示す背面図である。
図5】外部電源装置及びカートの本体下部の前部を示す一部破断平面図である。
図6】複数のショッピングカートがカート収納置場に収納された状態を示す右側面図である。
図7図6のA-A断面図である。
図8】(a)は外部電源装置の送電部とカートの受電部が接触した状態、(b)は外部電源装置の送電部が退避位置まで移動した状態、(c)は外部電源装置の送電部とカートの受電部及び後続のカートの送電部と受電部とが接触した状態を示す概略図である。
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のショッピングカートを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0017】
以下、本実施例に係るショッピングカートについて、図1図8を参照して説明する。尚、以下においては、図1(a)の左斜め下方をショッピングカートの前方とし、ショッピングカートを正面側から見たときの前後左右方向(図1の矢印参照)を基準として説明する。
【0018】
図1図5に示されるように、ショッピングカート1(以下、カートと略称する)は、例えば、スーパーマーケットやショッピングモール等において来店客が使用するカートである。カート1は、カート本体2と、カート本体2の下部に設けられる複数(例えば、4個)のキャスタ3と、利用者が操作するハンドル部4と、商品を収容可能なバスケット(図示略)を載置可能な上下2つの載置部5a、5bと、利用者が選択した商品の決済処理に使用される電子機器6と、電子機器6に電力を供給可能なバッテリー7と、電力を受けるための受電部10と、電力を送るための送電部11と、を主に有し、後述するように、前後方向にネスティング可能とされている。
【0019】
カート本体2は、床面に沿うように配置される平面視略二股状の本体下部2aと、本体下部2aの前部に立設される板状の本体上部2bと、から主に構成されている。
【0020】
図5に示されるように、本体下部2aは、金属板からなるベース部材23と、ベース部材23の左右側から後側に向けて延設される金属角管からなるフレーム部材24a、24bと、ベース部材23及びフレーム部材24a、24bの外側を覆うように設けられる合成樹脂製のカバー部材25と、を有し、平面視略台形状のベース部21と、ベース部21の左右側から後側に向けて延設されるサイドフレーム部22a、22b(カート誘導フレーム)とから構成される。ベース部材23の左右側及びフレーム部材24a、24bの後端下部にはキャスタ3が取付けられており、床面を移動可能とされている。
【0021】
図1図5に示されるように、ベース部21の前面側には受電部10が設けられているとともに、後面側には送電部11が設けられている。尚、受電部10及び送電部11の詳細は後述する。サイドフレーム部22a、22bは、互いに左右に離間して設けられ、後側に向けて離間寸法が漸次長寸となるように平面視略ハの字形に配置されている。
【0022】
本体上部2bは、ベース部材23の上面左右側に互いに離間して立設される2本のフレーム部材31a、31b(支持フレーム)と、フレーム部材31a、31bの外側を覆うように設けられる筒状のカバー部材32と、から板状に構成され、ベース部21の上面から前上方に向けて延びる第1フレーム部33aと、第1フレーム部33aの上端から後上方に向けて延びる第2フレーム部33bと、第2フレーム部33bの上端から後上方に向けて延びる第3フレーム部33cと、を有する。
【0023】
左右のフレーム部材31a、31bは金属角管からなり、上下の複数個所が左右方向を向く連結管(図示略)にて連結されている。また、カバー部材32は合成樹脂材からなり、前面部における第1フレーム部33aと第2フレーム部33bとに対応する部分は、取外し可能な開閉部32aとされており、開閉部32aを取り外すことで第1フレーム部33a及び第2フレーム部33b内部が開放される。
【0024】
また、第2フレーム部33bにおける左右のフレーム部材31a、31b間に形成された空間部にはバッテリー7が収納されている。このように、バッテリー7は、カート本体2を構成する本体上部2bにおける左右のフレーム部材31a、31bの間に形成された空間部にコンパクトに収納され、強度が高い左右のフレーム部材31a、31bにより保護されている。また、開閉部32aを開放することによりバッテリー7の交換やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0025】
また、第1フレーム部33aの後側に配置される載置部5a及び第3フレーム部33cの前側に配置される載置部5bは、線状部材を折り曲げることにより上方が開口する箱状に形成され、フレーム部材31a、31bにネジ部材を用いて取付けられている。詳しくは、第1フレーム部33aの後側であって第2フレーム部33bの下方に載置部5aが配置され、第1フレーム部33aの前側であって第2フレーム部33bの上方に載置部5bが配置されている。
【0026】
また、載置部5a、5b各々の左右方向の中央位置には、他のカート1の本体上部2bを受け入れ可能とする受入部5cが前後方向に延設されている。尚、上方の載置部5bの受入部5cは、開閉部32aが挿入可能な左右幅寸法にて形成されていることで、開閉部32aの開閉の際に接触しないようになっている。
【0027】
載置部5aは、後方に向けて下方に傾斜するように設けられるとともに、第2フレーム部33bは後方に向けて上方に傾斜するように設けられ、第2フレーム部33bと本体下部2aとの上下方向の離間幅寸法が後側に向けて広くなることで、来店客がカート1の後側から載置部5aに置かれたバスケット(図示略)に商品を入れやすくなっている。
【0028】
本実施例では、電子機器6として、例えば、カート1の利用者が選択した商品の情報を読み取るためのリーダーなどの読取装置6aと、該読取装置6aにて読み取った商品情報を表示したり、種々の操作が可能な情報端末6bと、が設けられているが、来店客が選択した商品の登録処理、決済処理、または登録処理かつ決済処理、に使用される上記以外の他の機器が設けられていてもよい。
【0029】
図4及び図5に示されるように、ベース部21の前面左右側には受電側接続部40a、40bが設けられるとともに、後面左右側には送電側接続部41a、41bが設けられている。
【0030】
詳しくは、図5に示されるように、ベース部21における前壁51の内側には、前方に突出する円筒状の突出部40e、40eが左右に形成された受電側ケース40が配置されている。受電側ケース40の左右側は突出部40e、40eより側方に張り出しており、張り出した箇所においてネジにより前壁51に固定されている。受電側接続部40a、40bは、受電側ケース40に形成された突出部40e、40eにて構成されており、前壁51における凹部51aに形成された円形状の接続口52a、52bから僅かに前向きに突出するように設けられている。
【0031】
また、図4(a)に示されるように、受電側接続部40a、40bの前面には、送電用配線に接続され、上下方向に向けて列設された複数の丸穴からなる接続端子40cが設けられている。また、受電側接続部40aの前面における接続端子40cの左右側にはN極の磁石MGnが設けられ、受電側接続部40bの接続端子40cの左右側にはS極の磁石MGsが設けられている。また、左側の受電側接続部40aの前面における磁石MGnの左右両側には正面視円形の凹部40dが形成されている。このように受電部10は、接続端子40cと、受電側ケース40と、により主に構成される。
【0032】
一方、図5に示されるように、ベース部21における後壁53の内側には、後方に突出する円筒状の突出部41e、41eが左右に形成された送電側ケース41が、前後方向に移動可能に配置されている。送電側ケース41の左右側は突出部41e、41eより側方に張り出しており、張り出した端部41f、41fは、固定プレート44と後壁53とに両端が固定された前後方向を向くガイド軸43a、43aに挿通されている。また、ガイド軸43a、43aの外周における端部41f、41fと固定プレート44との間には圧縮バネ43、43が嵌装されており、送電側ケース41の左右側の端部41f、41fを後方に向けて付勢している。
【0033】
送電側接続部41a、41bは、送電側ケース41に形成された突出部41e、41eにて構成されており、後壁53に形成された円形状の接続口54a、54bから後向きに突出するように設けられている。このように送電部11は、圧縮バネ43、43の付勢を受け退避位置と該退避位置よりも後方の突出位置との間で移動可能となっている。尚、送電側接続部41a、41bの突出位置における突出寸法、詳しくは後壁53からの突出寸法は、受電側接続部40a、40bの突出寸法、詳しくは前壁51からの突出寸法よりも長寸とされている。また、ベース部21の前壁51及び後壁53はカバー部材25にて構成されている。
【0034】
また、左右の接続口54a、54bに送電側接続部41a、41bが挿入されて前後方向へ移動案内されることで、送電部11が前後方向に円滑に移動できるようになっている。また、接続口54a、54bと送電側接続部41a、41bとは共に円形状に形成されていることで、送電部11が前後方向により円滑に移動される。
【0035】
また、左右に張り出した端部41f、41fは、直交して送電側接続部41a、41bに沿って前方に延びる当接片41hをそれぞれ有している。これらの当接片41hは左右に長い距離離間しているため、送電部11は突出位置において安定する。また、後壁53(カバー部材25)と面接触しないことから、送電部11は突出位置から退避位置に円滑に移動しやすい。
【0036】
さらに、特に詳細な図示はしないが、当接片41hは送電側ケース41の左右側だけでなく、上下左右辺に沿って角筒状に形成され、送電側ケース41の強度が高められているため、衝撃による破損等が防止される。
【0037】
図4(b)に示されるように、送電側接続部41a、41bの後面には、送電用配線に接続され、上下方向に向けて列設された複数の円柱状の凸部からなる接続端子41cが設けられている。また、送電側接続部41aの後面における接続端子41cの左右側にはS極の磁石MGsが設けられ、送電側接続部41bの接続端子41cの左右側にはN極の磁石MGnが設けられている。また、左側の送電側接続部41aの後面における磁石MGsの左右両側には、凹部40dに収容可能な半球状の凸部41dが形成されている。このように送電部11は、接続端子41cと、送電側ケース41と、により構成される。
【0038】
また、送電側接続部41a、41bは、受電側接続部40a、40bの真後ろに設けられている。詳しくは、これら受電側接続部40a、40bと送電側接続部41a、41bとの床面からの高さ位置は略同一であって、カート本体2の左右方向の略中央位置に配置されている。さらに、送電側接続部41a、41bの左右の離間距離は、受電側接続部40a、40bの左右の離間距離と略同一である。
【0039】
前壁51は、軟質の合成樹脂材または硬質ゴム材からなる緩衝材にて構成されることで、他のカート1との接触による衝撃が緩衝されるようになっている。尚、本実施例では、前壁51が緩衝材にて構成されていたが、前壁51と後壁53とのうち少なくとも一方が緩衝材により形成されていればよい。
【0040】
また、電子機器6はバッテリー7に電気的に接続され、バッテリー7から電力が供給される。また、受電部10を構成する受電側接続部40a、40bの接続端子40cと、送電部11を構成する送電側接続部41a、41bの接続端子41cと、バッテリー7と、は図示しない電気回路にて電気的に接続されており、受電部10に供給された電力をバッテリー7と送電部11とに供給可能とされている。そして、例えば、バッテリー7の残量等の状況に応じて、受電部10に供給された電力によりバッテリー7を充電したり、送電部11を介して他のカート1の受電部10に電力を供給(送電)することができるようになっている。
【0041】
バッテリー7と電子機器6と受電部10及び送電部11とを電気的に接続する配線は、特に詳細な図示はしないがカバー部材32により覆われた空間部内にフレーム部材31a、31bに沿うように収納されている。尚、ベース部21と第1フレーム部33aとを仕切る上壁には配線挿通口(図示略)が形成されており、受電部10及び送電部11から第1フレーム部33aに配線できるようになっている。
【0042】
このように構成されたカート1は、図6及び図7に示されるように、例えば、店舗内の所定の位置に設置されるカート収納置場60に複数収納可能とされている。尚、図6及び図7の矢印で示す方向をカート収納置場の前後左右側として説明する。
【0043】
図6及び図7に示されるように、カート収納置場60は、カート1を前後方向に誘導して収納するカートゲート61と、カートゲート61に収納された複数のカート1に電力を供給(送電)可能な外部電源装置70と、を備える。
【0044】
カートゲート61は、カート収納置場60の床面における左右両側に固定され前後方向に延びる左右の固定板62、62と、カートゲート61の前後位置において、左右の固定板62、62間を連結する左右方向を向く連結板63、63と、左右の固定板62、62に支持される前後に延びる左右の横パイプ64と、左右の横パイプ64を連結する前パイプ65とにより、カート収納置場60の後側を除く前側、左側、右側を囲むように平面視略コ字形に構成され、後側から進入してきたカート1を前方に向けて直線状に誘導して収納できるようになっている。
【0045】
図5に示されるように、外部電源装置70は、後面左右側に送電側接続部71a、71bが設けられている。ベース部21における後壁73の内側には、後方に突出する円筒状の突出部71e、71eが左右に形成された送電側ケース71が、前後方向に移動可能に配置されている。送電側ケース71の左右側は突出部71e、71eより側方に張り出しており、張り出した端部71f、71fは、固定プレート74と後壁73とに両端が固定された前後方向を向くガイド軸75a、75aに挿通されている。また、ガイド軸75a、75aの外周における端部71f、71fと固定プレート74との間には圧縮バネ75、75が嵌装されており、送電側ケース71の左右側の端部71f、71fを後方に向けて付勢している。
【0046】
送電側接続部71a、71bは、送電側ケース71に形成された突出部71e、71eにて構成されており、後壁73に形成された円形状の接続口74a、74bから後向きに突出するように設けられている。このように外部電源用送電部76は、圧縮バネ75、75の付勢を受け退避位置と該退避位置よりも後方の突出位置との間で移動可能となっている。
【0047】
送電側接続部71a、71bの後面には、送電用配線に接続され、上下方向に向けて列設された複数の円柱状の凸部からなる接続端子71cが設けられている。また、送電側接続部71aの接続端子71cの後面における左右側にはS極の磁石MGsが設けられ、送電側接続部71bの接続端子71cの左右側にはN極の磁石MGnが設けられている。また、左側の送電側接続部71aの後面における磁石MGsの左右側には、凹部40dに収容可能な半球状の凸部71dが形成されている。このように、外部電源用送電部76は、接続端子71cと、送電側ケース71と、により構成される。また、送電側接続部71a、71bの床面からの高さ位置は、受電側接続部40a、40b及び送電側接続部41a、41bの床面からの高さ位置と略同一とされている。
【0048】
次に、カート収納置場60にカート1が収納される際の各部の動作例について、図6図8に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、説明の便宜上、カート収納置場60に収納された順番ごとにカート1A、1B、1C、1Dのようにアルファベットを加えた符号を用いて説明する。
【0049】
図6及び図7に示されるように、カート収納置場60に1番最初に収納された最前のカート1Aが、カート収納置場60における最前の収納位置に位置したときに、外部電源装置70における突出位置に位置している送電側接続部71a、71bの後面にカート1Aの受電側接続部40a、40bの前面が接触することで、カート1Aの受電側接続部40a、40bの接続端子40cに、外部電源装置70の送電側接続部71a、71bの接続端子71cが差し込まれ接触することで電気的に接続される(図8(a)参照)。
【0050】
尚、受電側接続部40a、40bが送電側接続部71a、71bに近づくと、受電側接続部40aのN極の磁石MGnと送電側接続部71aのS極の磁石MGsとが磁力により吸引されるとともに、受電側接続部40bのS極の磁石MGsと送電側接続部71bのN極の磁石MGnとが磁力により吸引されることで、磁石MGn、MGsの磁力により、受電側接続部40a、40bが送電側接続部71a、71bに誘導されるとともに、接続端子40c、71cが接続状態になった後、接続状態が解除されにくくなる。また、凹部40dに凸部71dが収容されることで、接続端子40c、71c同士が接続されるように両者の位置が誘導・案内される。
【0051】
次いで、カート1Aがさらに前方に移動すると、接続端子40c、71cの接続状態が維持されたまま、圧縮バネ75、75の付勢力に抗して送電側接続部71a、71bが退避位置に向けて押し込まれていく。そして、カート1Aが最前の収納位置まで移動して、カート1Aの前側のキャスタ3が前側の連結板63に接触して前方への移動が規制されたときに、送電側接続部71a、71bが退避位置に位置する(図8(b)参照)。つまり、本実施例では、カート1Aが最前の収納位置に収納される直前の位置にて接続端子40c、71c同士が接続状態となり、該接続状態が維持されたままカート1Aが最前の収納位置まで移動することで、送電側接続部71a、71bが突出位置から退避位置まで移動する。
【0052】
このように接続端子40c、71cが接続状態になると、送電側接続部71a、71bから受電側接続部40a、40bに電力が供給可能となる。また、受電側接続部40a、40bにて受電した電力は、図示しない電気回路を介してバッテリー7に供給される。よって、カート収納置場60における最前の収納位置にカート1Aを収納することで、送電側接続部71a、71bと受電側接続部40a、40bの接続端子40c、71c同士が接続状態になり、外部電源装置70から供給される電力によりカート1Aのバッテリー7が充電される。また、外部電源装置70から供給された電力は、カート1Aのバッテリー7だけでなく、送電側接続部41a、41bにも供給可能とされる。
【0053】
図6及び図7に示されるように、複数のカート1A、1B、1C、1D・・・は、ネスティング可能、つまり、前後方向に重なるように連ねることが可能に構成されている。例えば、一のカート1Aの後側に他のカート1Bを重ねて収納する場合、前側のカート1Aの本体下部2aに、ベース部21及び左右のサイドフレーム部22a、22bにて形成された後側が開放する平面視略凹状の空間に、後側のカート1Bの本体下部2aの前部が嵌合されるとともに、前側のカート1Aの本体上部2bの後側に、後側のカート1Bの本体上部2bが近接することで、前後方向に重なるように連なって収納される。
【0054】
また、後側のカート1Bの本体下部2aにおけるベース部21及びサイドフレーム部22a、22bの外側面が、前側のカート1Aのベース部21及びサイドフレーム部22a、22bの内側面に当接することで、後側のカート1Bの前方及び左右方向への移動が規制され、一のカート1の後側に他のカート1が連なって収納される。
【0055】
尚、本実施例では、後側のカート1Bの本体下部2aにおけるベース部21及びサイドフレーム部22a、22bの外側面が、前側のカート1Aのベース部21及びサイドフレーム部22a、22bの内側面に接触することで、後側のカート1Bの前方及び左右方向への移動が規制される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、後側のカート1Bのベース部21とサイドフレーム部22a、22bとのうち一方の外側面が、前側のカート1Aのベース部21とサイドフレーム部22a、22bとのうち一方の内側面に接触することで、後側のカート1Bの前方及び左右方向への移動が規制されてもよい。また、本体上部2b同士が当接することで後側のカート1Bの少なくとも前方向への移動が規制されるようになっていてもよい。
【0056】
図6及び図7に示されるように、カート収納置場60の最前の収納位置にカート1Aが収納された状態で、後続のカート1Bがカートゲート61により前方に誘導され、最前のカート1Aの後側の収納位置に位置したとき、カート1Aにおける突出位置に位置している送電側接続部41a、41bの後面に、カート1Bの受電側接続部40a、40bの前面が接触することで、この後続のカート1Bの受電側接続部40a、40bの接続端子40cに、最前のカート1Aの送電側接続部41a、41bの接続端子41cが差し込まれ接触することで電気的に接続される(図8(c)参照)。
【0057】
尚、後続のカート1Bの受電側接続部40a、40bが最前のカート1Aの送電側接続部41a、41bに近づくと、受電側接続部40aのN極の磁石MGnと送電側接続部41aのS極の磁石MGsとが磁力により吸引されるとともに、受電側接続部40bのS極の磁石MGsと送電側接続部41bのN極の磁石MGnとが磁力により吸引されることで、磁石MGn、MGsの磁力により、受電側接続部40a、40bが送電側接続部41a、41bに誘導されるとともに、接続端子40c、41cが接続状態になった後、接続状態が解除されにくくなる。また、凹部40dに凸部41dが収容されることで、接続端子40c、41c同士が接続されるように両者の位置が誘導・案内される。
【0058】
次いで、カート1Bがさらに前方に移動すると、接続端子40c、41cの接続状態が維持されたまま、左右の圧縮バネ43、43の付勢力に抗して送電側接続部41a、41bが退避位置に向けて押し込まれていく。そして、カート1Bがカート1Aの後側の収納位置にて前方及び左右方向への移動が規制されたときに、送電側接続部41a、41bが退避位置に位置する(図8(c)参照)。つまり、本実施例では、カート1Bがカート1Aの後側の収納位置に収納される直前の位置にて接続端子40c、41c同士が接続状態となり、該接続状態が維持されたままカート1Bが収納位置まで移動することで、送電側接続部41a、41bが突出位置から退避位置まで移動する。
【0059】
このように、外部電源装置70から電力が供給されているカート1Aとその後続のカート1の接続端子40c、41c同士が接続状態になると、カート1Aの送電側接続部41a、41bからカート1Bの受電側接続部40a、40bに電力が供給可能となる。また、カート1Bの受電側接続部40a、40bにて受電した電力は、図示しない電気回路を介してバッテリー7に供給される。よって、カート収納置場60に収納されているカート1Aの後側に、後続のカート1Bを重ねるように収納することで、カート1Aの送電側接続部41a、41bとカート1Bの受電側接続部40a、40bの接続端子40c、41c同士が接続状態になり、外部電源装置70からカート1Aの送電側接続部41a、41bを介して供給される電力により、後続のカート1Bのバッテリー7が充電される。
【0060】
さらに、外部電源装置70からカート1Aの送電側接続部41a、41bを介して供給される電力は、カート1Bの送電側接続部41a、41bにも供給されることで、このカート1Bの送電側接続部41a、41bから後続のカート1C、1Dの受電側接続部40a、40bに電力が供給されることで、カート1C、1Dのバッテリー7及び送電側接続部41a、41bにも電力が供給される。
【0061】
このように、カート収納置場60に複数のカート1A、1B、1C、1D・・・が収納されることで、最前のカート1Aが外部電源装置70と電気的に接続状態となってカート1Aに電力が供給されるとともに、最前のカート1Aに後続のカート1B、1C、1D・・・が順次連なって収納されることで、隣り合う前後のカート1A、1B、カート1B、1C、カート1C、1D・・・が電気的に接続状態となり、外部電源装置70から供給される電力が、前側のカート1を介して後側のカート1に供給されるようになる。
【0062】
以上説明したように、本発明の実施例としてのカート1にあっては、前後方向にネスティング可能なカート本体2には、商品の登録処理、決済処理、または登録処理かつ決済処理、に使用される電子機器6に電力を供給するバッテリー7が設けられるとともに、外部電源装置70の送電側接続部71a、71bに電気的に接続可能な受電側接続部40a、40bが前面側に設けられ、このカート1にネスティングされる後続のカート1の受電側接続部40a、40bに対して電力を供給する送電側接続部41a、41bが受電側接続部40a、40bの後面側に設けられている。これによれば、カート収納置場60の外部電源装置70に電気的に接続される最前のカート1Aに後続のカート1B、1C、1D・・・を順次収納することにより、一つの電源で複数のカート1A、1B、1C、1D・・・に搭載のバッテリー7を充電できるので、カート1ごとの電源が不要となりカート収納置場60の設備を簡素化することができる。
【0063】
また、受電側接続部40a、40bにおける接続端子40cの近傍、及び、送電側接続部41a、41bにおける接続端子40cの近傍に、カート間の相対的な位置を決定するための磁石MGn、MGsが設けられ、受電側接続部40a、40bおよび送電側接続部41a、41bは磁石MGn、MGsによって相対的な位置が保持可能となっていることで、ネスティング状態のときに外力等を受けて、受電側接続部40a、40b及び送電側接続部41a、41bの接続端子40c、41c同士の電気的な接続が簡単に解除されることを防止することができる。
【0064】
また、送電側接続部41a、41bは、退避位置と突出位置との間で前後方向に移動可能に設けられ、付勢手段としての左右の圧縮バネ43、43により突出位置側に向けて付勢されている。より詳しくは、本実施例のカート1は、送電側接続部41a、41bと受電側接続部40a、40aが本体下部2aの前側に設けられ、また、後方に突出する送電側接続部41a、41bの左右には、送電側接続部41a、41bよりも後方に延びるサイドフレーム部22a、22bが配置される構成であるが故に、送電側接続部41a、41bは後側に突出する一方で、受電側接続部40a、40bは前方に突出していないので、他の来店客や他のカート1との接触が防止されるとともに、ネスティングしたときの衝撃で移動可能な送電側接続部41a、41bや接続端子41cが破損することが防止される。
【0065】
また、接続端子40c、41cは、送電側接続部41a、41bが突出位置に位置している状態で受電側接続部40a、40bに接触したときに電気的な接続状態となり、送電側接続部41a、41bが突出位置と退避位置との間で移動しているときは電気的かつ機械的な接続状態が維持される。よって、隣り合うカート1同士が前後に重なるように連なって接続端子40c、41cが接続状態となった後、前後のカート1が僅かに前後に離間しても、送電側接続部41a、41bが圧縮バネ43、43に付勢されて受電側接続部40a、40bに追従することで、送電側接続部41a、41bが退避位置から突出位置まで移動する間は接続端子40c、41cの接続状態が維持されるため、電気的な接続状態が容易に解除されてしまうことが防止される。
【0066】
また、送電部11は、後側に向けて別個に突出する左右の送電側接続部41a、41bを有し、該左右の送電側接続部41a、41b各々の後端面に接続端子41c、41cが設けられている。このように2つの接続端子41c、41cが左右の送電側接続部41a、41b独立して設けられるので、ネスティングする際に送電部が他のカート1の受電部10に確実に接触しやすくなっている。
【0067】
また、左右の送電側接続部41a、41bは、これらを連結する送電側ケース41で一体に形成され、送電側ケース41に一体に形成され、該送電側ケース41は、左右に設けられた圧縮バネ43、43により後側に向けて付勢されていることで、左右の送電側接続部41a、41bを安定して突出位置側に向けて付勢することができる。
【0068】
また、受電側接続部40a、40bおよび送電側接続部41a、41b各々には、接続端子40c、41cが上下方向に向けて延設されていることで、送電部11と他のカート1の受電部10とが上下方向に位置ずれしても接続させやすくなるため、床面の不陸や車輪へのごみ付着等による他のカート1の高さ違いの影響を受けにくい。
【0069】
また、受電側接続部40a、40b及び送電側接続部41a、41bは、本体下部2aにおける載置部5aよりも前部に設けられることで、カート1の後側にて操作する利用者の足等が接触して破損することを防止できる。また、本体下部2aにおいて、本体上部2bを構成するフレーム部材31a、31bを支持する強固なベース部21の前後面に設けられることで、他の来店客や他のカート1との接触により破損することを防止できる。
【0070】
また、カート本体2における送電側接続部41a、41bの左右側に、後側に向けて延びるカート誘導フレームとしてのサイドフレーム部22a、22bが設けられていることで、前側のカート1の左右のサイドフレーム部22a、22bにより、後側のカート1の受電側接続部40a、40bが前側の送電側接続部41a、41bに案内されることで、接続端子40c、41c同士が接続されやすくなる。
【0071】
また、前後のカート1のベース部21同士が接触することで、前後のカート1の前後方向の相対位置が決定されるだけでなく、左右のサイドフレーム部22a、22bにより、前後のカート1の左右方向の相対位置が決定されることで互いに相対移動しにくくなるため、受電側接続部40a、40bと送電側接続部41a、41bの接続端子40c、41c同士の接続が解除されにくくなる。
【0072】
また、受電側接続部40a、40bの周囲を構成する前壁51はカバー部材25にて構成されている。つまり、受電側接続部40a、40bの周辺に緩衝材としてのカバー部材25が設けられていることで、受電側接続部40a、40b及び送電側接続部41a、41bの接続端子40c、41c同士が電気的に接続される際の衝撃がカバー部材25により緩和されるため、接続端子40c、41cの破損が防止される。
【0073】
また、カート本体2の本体上部2bは、2本のフレーム部材31a、31bと、該2本のフレーム部材31a、31bの外側を覆うカバー部材32と、から構成され、2本のフレーム部材31a、31b間にはバッテリー7が設けられていることで、バッテリー7を保持する別の格納場所を設ける必要がないので、省資源化を図ることができるとともに、余計な突設部も形成されないので体裁が良好なだけでなく、人的な安全性も確保される。
【0074】
また、カバー部材32の開閉部32aは、フレーム部材31a、31bに対して取外し可能に装着されていることで、バッテリー7の交換などのメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0076】
例えば、前記実施例では、カートとして、前後方向にネスティング可能、かつ、商品の登録処理、決済処理、または登録処理かつ決済処理、に使用される電子機器6を備えるカート1を前提として説明した。しかしながら、カート1は、必ずしも電子機器6を備える必要は無く、例えば、電子機器6を着脱可能に備えることが可能なカートであってもよい。この場合、カート1は、電子機器6、またはスマートフォン等の携帯端末もしくはタブレット端末等をカート本体2に着脱可能に設けることが可能な取付部材や、これら端末をバッテリー7に電気的に接続するための接続端子等を有していることが好ましい。そして、カート1のカート本体2には、電子機器6に電力を供給するバッテリー7が設けられるとともに、外部電源装置70の送電側接続部71a、71bに電気的に接続可能な受電側接続部40a、40bが前面側に設けられ、このカート1にネスティングされる後続のカート1の受電側接続部40a、40bに対して電力を供給する送電側接続部41a、41bが、受電側接続部40a、40bの後面側に設けられていればよい。
【0077】
また、前記実施例では、受電側接続部40a、40bおよび送電側接続部41a、41b双方に磁石MGs、MGnが設けられていたが、いずれか一方は磁石が着磁可能な金属部材等の磁性体であってもよい。また、接続端子40c、41cの左右側に磁石MGs、MGnが設けられていたが、接続端子40c、41cの上下側に磁石MGs、MGnが設けられていてもよく、磁石MGs、MGnは上記配設位置とは異なる位置に設けられていてもよい。
【0078】
また、前記実施例では、カート間の相対的な位置を決定するための磁石MGn、MGsが、カート本体2における接続端子40c、41cの近傍に設けられている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カート1が前後に連なるときに互いに近接する箇所であれば、接続端子40c、41cの近傍以外の箇所に設けられていてもよい。
【0079】
また、前記実施例では、受電部10としての受電側接続部40a、40bと、送電部11としての送電側接続部41a、41bとのうち、送電側接続部41a、41bが前後方向に移動可能に設けられた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受電側接続部40a、40bが前後方向に移動可能に設けられていてもよいし、受電側接続部40a、40b及び送電側接続部41a、41b双方が前後方向に移動可能に設けられていてもよい。あるいは、受電側接続部40a、40b及び送電側接続部41a、41bのいずれも前後方向に移動可能に設けられていなくてもよい。
【0080】
また、前記実施例では、受電部10は、前面に接続端子40cを有する受電側接続部40a、40bにて構成され、外部電源用送電部76を含む送電部11は、後面に接続端子41cを有する送電側接続部41a、41bにて構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受電部10や送電部11は、接続端子40c、41cのみにて構成されていてもよい。また、受電側接続部40a、40bや送電側接続部41a、41bは、接続端子40c、41cを有し、互いに嵌合可能な雌コネクタと雄コネクタにて構成されていてもよい。
【0081】
また、前記実施例では、接続端子40c、41c、71c同士が接触することにより、外部電源用送電部76や送電部11から受電部10への電力の供給が行われる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、送電部から受電部への電力の供給が非接触により行われてもよい。
【0082】
また、前記実施例では、接続端子40c、41c同士が接触することにより、外部電源用送電部76や送電部11から受電部10への電力の供給が開始される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外部電源用送電部76や送電部11から受電部10への電力の供給は、所定の接続条件の成立に基づいて開始されるようにすることが好ましい。このようにすることで、所定の接続条件が成立してから、外部電源用送電部76や送電部11から受電部10への電力供給が開始されるため、感電等が生じにくく安全性を確保することができる。
【0083】
具体的には、例えば、送電側接続部41a、41bが退避位置に退避したことを検出可能なリミットスイッチ(図示略)、接続端子40cと接続端子41cの間に接続配置された電磁リレー等を設け、送電側接続部41a、41bが退避位置に位置したことが検出されたときに、電磁リレーの作動により送電部11と受電部10とが電気的に接続されるようにし、外部電源用送電部76や送電部11から受電部10への電力供給が開始されるようにしてもよい。このようにすることで、外部電源用送電部76や送電部11と受電部10との接続が不安定な状態で電力供給がなされることにより何らかの不具合が生じてしまうことを回避することができる。
【0084】
尚、「所定の接続条件」とは、上記のように送電側接続部41a、41bが退避位置に位置したことが検出されることだけでなく、例えば、接続端子40c、41c同士が接続したことや、接続端子40c、41c同士の接続状態が所定時間(例えば、10秒など)以上継続したことなど、上記以外の接続条件を含むものでもよい。また、複数の接続条件のうち少なくとも1の接続条件が成立したことに基づいて電力供給が開始されればよい。
【0085】
また、前記実施例では、カート1は、平面視略二股状をなす本体下部2aと、本体下部2aの前部から上方に立設される板状の本体上部2bと、からカート本体2が構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カート本体2の形状は上記のものに限らず、種々の形状であってもよい。
【0086】
また、前記実施例では、受電部としての受電側接続部40a、40b及び送電部としての送電側接続部41a、41bは、カート本体2の本体下部2aの前部に設けられた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本体下部2aにおける他の箇所や、本体上部2b等に設けられていてもよい。
【0087】
尚、受電部は、前壁51に設けられているものだけでなく、例えば、サイドフレーム部22a、22bの外面などに斜め前側を向くように設けられているものを含む。また、送電部は、後壁53に設けられているものだけでなく、例えば、サイドフレーム部22a、22bの内面などに斜め後側を向くように設けられているものを含む。
【符号の説明】
【0088】
1、1A~1D ショッピングカート
2 カート本体
2a 本体下部(カート本体)
2b 本体上部(カート本体)
6 電子機器
7 バッテリー
10 受電部
11 送電部
21 ベース部
22a、22b サイドフレーム部
25 カバー部材
31a、31b フレーム部材
32 カバー部材
32a 開閉部
41 送電側ケース(接続部を連結する部材)
40a、40b 受電側接続部(受電部)
40c 接続端子(受電部)
40d 凹部
41a、41b 送電側接続部(送電部、接続部)
41c 接続端子(送電部)
41d 凸部
43 圧縮バネ(付勢手段)
51 前壁
60 カート収納置場
61 カートゲート
70 外部電源装置
71a、71b 送電側接続部
71c 接続端子
71d 凸部
76 外部電源用送電部
MGn、MGs 磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8