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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040634
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】検査デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145103
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】中山 雅人
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 一郎
(72)【発明者】
【氏名】植村 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 匠
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 優
(57)【要約】
【課題】検体の流路長を短縮し、バイオマーカー検出までの処理時間を短縮し、少量の検体でも検出を可能にする、イムノクロマト法を用いた検査デバイスを提供する。
【解決手段】バイオマーカーの検査デバイスであって、基材と、マイクロニードルと、コンジュゲーション部と、テスト部と、コントロール部と、吸水部と、を備え、コンジュゲーション部と、テスト部と、が第一面から第二面に向けてこの順に積層し、コンジュゲーション部と、コントロール部と、が第一面から第二面に向けてこの順に積層し、マイクロニードルと、コンジュゲーション部と、テスト部と、コントロール部と、吸水部とは、相互に接続され、バイオマーカーを含む液状の検体がマイクロニードルからコントロール部およびテスト部に流動可能である、検査デバイス。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマーカーの検査デバイスであって、
基材と、
前記基材の第一面に設置されたマイクロニードルと、
前記基材に収容され、前記バイオマーカーを特異的に標識する標識物質を含むコンジュゲーション部と、
前記基材に収容され、前記バイオマーカーと前記標識物質との複合体を、捉える第一抗体を含むテスト部と、
前記基材に収容され、前記標識物質を捉える第二抗体を含むコントロール部と、
前記基材の第二面に着脱可能に設置された吸水部と、を備え、
前記コンジュゲーション部と、前記テスト部と、が前記第一面から前記第二面に向けてこの順に積層し、
前記コンジュゲーション部と、前記コントロール部と、が前記第一面から前記第二面に向けてこの順に積層し、
前記マイクロニードルと、前記コンジュゲーション部と、前記テスト部と、前記コントロール部と、前記吸水部とは、相互に接続され、前記バイオマーカーを含む液状の検体を前記マイクロニードルから前記コントロール部および前記テスト部に流動させることが可能である、検査デバイス。
【請求項2】
1つの前記コンジュゲーション部に対し、前記マイクロニードルを2つ以上が接続されている、請求項1に記載の検査デバイス。
【請求項3】
前記テスト部を2つ以上備える、請求項1または2に記載の検査デバイス。
【請求項4】
前記コンジュゲーション部および前記コントロール部を2つ以上備え、
前記コンジュゲーション部は、前記標識物質として第一の標識物質を備える第一のコンジュゲーション部と、
前記標識物質として第二の標識物質を備える第二のコンジュゲーション部と、を有し、
前記テスト部は、前記複合体として前記第一の標識物質を含む第一の複合体を捉える第一のテスト部と、
前記複合体として第二の前記標識物質を含む第二の複合体を捉える第二のテスト部と、を有し、
前記コントロール部は、前記標識物質として前記第一の標識物質を捉える第一のコントロール部と、
前記標識物質として第二の標識物質を捉える第二のコントロール部と、を有する請求項3に記載の検査デバイス。
【請求項5】
前記コンジュゲーション部、前記テスト部、前記コントロール部の順で積層し、
前記テスト部と前記コントロール部との間で開閉可能に配置されている、請求項1または2いずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項6】
前記第二面からの平面視において、
前記コンジュゲーション部は前記テスト部と重なり、かつ前記テスト部の内側に配置され、
前記テスト部は、前記コントロール部と重なり、かつ前記コントロール部の内側に配置されている、請求項5に記載の検査デバイス。
【請求項7】
前記コンジュゲーション部を2つ以上備え、
前記コンジュゲーション部と、前記テスト部が積層する第一構造体と、
前記コンジュゲーション部と、前記コントロール部が積層する第二構造体と、を有する請求項1または2いずれか一項に記載の検査デバイス。
【請求項8】
前記第二面からの平面視において、前記コンジュゲーション部は、前記テスト部と重なり、かつ前記テスト部の内側に配置されている、請求項7に記載の検査デバイス。
【請求項9】
前記第二面からの平面視において、前記コンジュゲーション部は、前記コントロール部と重なり、かつ前記コントロール部の内側に配置されている、請求項7に記載の検査デバイス。
【請求項10】
前記コントロール部および前記テスト部を2つ以上備え、
前記第二面からの平面視において、2つ以上の前記コントロール部、および、2つ以上の前記テスト部が、格子状に配置される、請求項7に記載の検査デバイス。
【請求項11】
1つの前記コンジュゲーション部に対し、複数の前記テスト部と複数の前記コントロール部とが接続されている請求項1または2に記載の検査デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イムノクロマト法を用いた検査デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
生体内の物質であって、その濃度に疾病の存在や進行度を反映する性質を有するものを、バイオマーカーと呼ぶ。バイオマーカーとしては、たとえば、血液中のたんぱく質などが挙げられる。イムノクロマト法は、毛細管現象を利用して、バイオマーカーを測定する方法の1つであり、妊娠検査やインフルエンザ検査における簡易検査方法として広く活用されている。
【0003】
マイクロニードル技術は、高分子化合物を通過させない皮膚の角質部と、痛点が多く存在する真皮との間に薬剤を投与するための技術として知られている。マイクロニードルは、その針の直径が1mm未満であり、針長が微小であるため、被検者に痛みを感じさせにくい。マイクロニードルは、インスリンやワクチン、化粧品、その他薬剤を透過させるために開発されてきた。昨今では、血液や間質液といった生体内に存在する検体を採取する目的で活用する事例も報告されている。
【0004】
たとえば、特許文献1に記載された診断用のパッチは、イムノクロマト法を利用している。被検者から検体を採取するように構成されたマイクロニードルアレイと、マイクロニードルアレイから検体が供給されイムノクロマト法を提供するイムノクロマト部を備え、検体中に存在する分析物を検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/118420号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された診断用のパッチでは次のような問題がある。すなわち、特許文献1に記載された診断用のパッチでは、イムノクロマト法を提供するイムノクロマト部がパッド面方向に配置されており、採取した検体がパッド面方向に流動する。そのため、特許文献1の診断用のパッチでは、検体の流路長が冗長化しやすく、検体の流路長の冗長に伴って、バイオマーカー検出までの処理時間が長くなる、検出に多量な検体を要すると考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、検体の流路長を短縮し、バイオマーカー検出までの処理時間を短縮し、少量の検体でも検出を可能にする、イムノクロマト法を用いた検査デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
【0009】
(1) バイオマーカーの検査デバイスであって、基材と、前記基材の第一面に設置されたマイクロニードルと、前記基材に収容され、前記バイオマーカーを特異的に標識する標識物質を含むコンジュゲーション部と、前記基材に収容され、前記バイオマーカーと前記標識物質との複合体を、捉える第一抗体を含むテスト部と、前記基材に収容され、前記標識物質を捉える第二抗体を含むコントロール部と、前記基材の第二面に着脱可能に設置された吸水部と、を備え、前記コンジュゲーション部と、前記テスト部と、が前記第一面から前記第二面に向けてこの順に積層し、前記コンジュゲーション部と、前記コントロール部と、が前記第一面から前記第二面に向けてこの順に積層し、前記マイクロニードルと、前記コンジュゲーション部と、前記テスト部と、前記コントロール部と、前記吸水部とは、相互に接続され、前記バイオマーカーを含む液状の検体を前記マイクロニードルから前記コントロール部および前記テスト部に流動させることが可能である、検査デバイス。
【0010】
(2)1つの前記コンジュゲーション部に対し、前記マイクロニードルを2つ以上が接続されている、(1)に記載の検査デバイス。
【0011】
(3)前記テスト部を2つ以上備える、(1)または(2)に記載の検査デバイス。
【0012】
(4)前記コンジュゲーション部および前記コントロール部を2つ以上備え、前記コンジュゲーション部は、前記標識物質として第一の標識物質を備える第一のコンジュゲーション部と、前記標識物質として第二の標識物質を備える第二のコンジュゲーション部と、を有し、前記テスト部は、前記複合体として前記第一の標識物質を含む第一の複合体を捉える第一のテスト部と、前記複合体として第二の前記標識物質を含む第二の複合体を捉える第二のテスト部と、を有し、前記コントロール部は、前記標識物質として前記第一の標識物質を捉える第一のコントロール部と、前記標識物質として第二の標識物質を捉える第二のコントロール部と、を有する(3)に記載の検査デバイス。
【0013】
(5)前記コンジュゲーション部、前記テスト部、前記コントロール部の順で積層し、
前記テスト部と前記コントロール部との間で開閉可能に配置されている、(1)~(4)いずれかに記載の検査デバイス。
【0014】
(6)前記第二面からの平面視において、前記コンジュゲーション部は前記テスト部と重なり、かつ前記テスト部の内側に配置され、前記テスト部は、前記コントロール部と重なり、かつ前記コントロール部の内側に配置されている、(5)に記載の検査デバイス。
【0015】
(7)前記コンジュゲーション部を2つ以上備え、前記コンジュゲーション部と、前記テスト部が積層する第一構造体と、前記コンジュゲーション部と、前記コントロール部が積層する第二構造体と、を有する(1)~(4)いずれかに記載の検査デバイス。
【0016】
(8)前記第二面からの平面視において、前記コンジュゲーション部は、前記テスト部と重なり、かつ前記テスト部の内側に配置されている、(7)記載の検査デバイス。
【0017】
(9)前記第二面からの平面視において、前記コンジュゲーション部は、前記コントロール部と重なり、かつ前記コントロール部の内側に配置されている、(7)または(8)に記載の検査デバイス。
【0018】
(10)前記コントロール部および前記テスト部を2つ以上備え、前記第二面からの平面視において、2つ以上の前記コントロール部、および、2つ以上の前記テスト部が、格子状に配置される、(7)~(9)いずれかに記載の検査デバイス。
【0019】
(11)1つの前記コンジュゲーション部に対し、複数の前記テスト部と複数の前記コントロール部とが接続されている(1)~(4)に記載の検査デバイス。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検体の流路長を短縮し、バイオマーカー検出までの処理時間を短縮し、少量の検体でも検出を可能にする、イムノクロマト法を用いた検査デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の検査デバイスの概略断面図である。
図2】第1実施形態の第二面方向からの透過図である。
図3】第1実施形態の検査デバイスの使用時の概略断面図である。
図4】第1実施形態の斜視図である。
図5】第2実施形態の検査デバイスの概略断面図である。
図6】第3実施形態の検査デバイスの概略断面図である。
図7】第4実施形態の検査デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、図1を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る検査デバイスについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0023】
図1は、本実施形態の検査デバイス1Aを示す概略断面図である。本実施形態における検査デバイス1Aは、基材2aと、基材2aの第一面21に設置されたマイクロニードル3と、基材2aに収容されたコンジュゲーション部4と、基材2aに収容されたテスト部5と、基材2aに収容されたコントロール部6と、基材2aの第二面22に着脱可能に取り付けられた吸水部9を具備する。
【0024】
検査デバイスは、第一面21を被験者の皮膚Sに向け、皮膚Sに直接固定して使用する。具体的な構造については後述する。
【0025】
以下の説明において、基材2aの第一面21側を「下」、基材2の第二面22側を「上」、基材2aの第一面21側から基材2の第二面22側に向かう方向を「上方向」と定義する。
【0026】
(基材)
基材2aは、マイクロニードル3と、コンジュゲーション部4と、テスト部5と、コントロール部6と、吸水部9と、を保持する。基材2aの材料や、寸法および形状は特に限定されず、接触型の検査デバイスに適用される一般的なものを利用することができる。基材2aの形状としては限定されず、マイクロニードル3と、コンジュゲーション部4と、テスト部5と、コントロール部6と吸水部9と、を保持できればよい。
【0027】
基材2aの材料としては、生体適合性を有する材料が好ましい。生体適合性を有する基材2a材料としては、以下に限定されないが、たとえば、医療用シリコーン、ポリグリコール酸、ポリカーボネート、または環状オレフィンコポリマー等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
【0028】
基材2aの第一面21には、被験者の皮膚に張り付けるために、不図示の粘着層を有していてもよい。基材2aが第一面21に粘着層を有する場合、粘着層の厚さは、マイクロニードル3の連通方向の長さよりも小さい値に設定するとよい。
【0029】
(マイクロニードル)
マイクロニードル3は、被検者の皮膚に穿刺され、被検者の体内から体液等の液状の検体を採取するために用いられる。被検者から採取される検体は、マイクロニードル3に吸い上げられ(毛細管現象)、基材2の内部に導入される。検査デバイス1Aは、第一面21に複数のマイクロニードル3を有する。
【0030】
マイクロニードル3の材料は、マイクロニードルに適用される一般的な材料を利用することができる。マイクロニードル3の材料としては、生体適合性を有する材料が好ましい。生体適合性を有するマイクロニードル3の材料としては、以下に制限されないが、たとえば、医療用シリコーン、ポリグリコール酸、ポリカーボネート、または環状オレフィンコポリマー等の熱可塑性樹脂等をあげることができる。
【0031】
マイクロニードル3の構造は、皮膚に穿刺でき、被検者の体内から体液等の液状の検体を採取することが可能であれば特に限定されない。このようなマイクロニードル3においては、上記検体を基材2の内部に導入する為、マイクロニードル3の長手方向に延びる貫通孔31が形成されていてもよい。また、マイクロニードル3においては、マイクロニードル3の表面及び内部に形成された複数の細孔が相互に連なり、マイクロニードル3の長手方向に連続する構成であっていてもよい。
【0032】
マイクロニードル3の連通方向の長さは、採取する検体の存在位置に応じて適宜調整される。例えば、検査デバイス1Aが検体として皮膚間質液を採取する場合、マイクロニードル3の長さは、角質層を超え皮膚間質液の存在位置に達するまでの長さに設定されるとよい。
【0033】
(コンジュゲーション部)
コンジュゲーション部4は、検出対象のバイオマーカーを特異的に標識する標識物質を含有する。以下、検出対象のバイオマーカーを「被検出物」とする。
【0034】
コンジュゲーション部4の下面41aは、マイクロニードル3と接続されている。コンジュゲーション部4は、マイクロニードル3を介して導入される検体を吸い上げ(毛細管現象)、検査デバイス1Aの内部に流動させることが可能となっている。
【0035】
コンジュゲーション部4の材料および形状は、被検出物をマイクロニードル3の貫通孔31から上方向に流動させる性質を有するものであれば、限定されない。コンジュゲーション部4の材料としては、多孔質の材料であり、液体及びそれに分散した成分を毛細管現象により流動させることが可能な材料であることが好ましい。コンジュゲーション部4の材料としては、以下に制限されないが、たとえば、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、ガラス繊維、ナイロン、ポリケトンなどを挙げることができ、ニトロセルロースを用いて薄膜としたものが好ましい。
【0036】
なお、マイクロニードル3の貫通孔31と、コンジュゲーション部4の下面41aが、被検出物を含む検体を上方向に流動可能に配置されているならば、マイクロニードル3と下面41aとが直接接続されていなくてもよい。たとえば、マイクロニードル3とコンジュゲーション部4の下面41aとの間に、被検出物を含む検体を上方向に流動可能な性質を有する層を設けてもよい。このような層の材質としては、コンジュゲーション部4の材料と同様の材料が好ましい。
【0037】
標識物質は、被検出物に特異的に結合する結合部と標識する標識部と、を有する。結合物としては、抗体や断片化抗体、アプタマー等を挙げることができる。
標識部としては、金属コロイド粒子、蛍光色素粒子、着色ラテックス粒子、アップコンバージョン燐光体粒子、量子ドット粒子等が好ましい。また、上記標識粒子の粒子径は、20nm以上1000nm以下であることが好ましい。
【0038】
コンジュゲーション部4同士の中心間距離と、マイクロニードル3同士の中心間距離は、同一であってもよい。
液状の検体がマイクロニードル3を介して、コンジュゲーション部4に導入されると、検体に含まれる被検出物は、コンジュゲーション部4において標識物質と結合し、標識される。以下、被検出物を標識物質で標識した物質を「複合体」という。
【0039】
(テスト部)
テスト部5は、複合体を特異的に捉える第一抗体を含有する。第一抗体は、テスト部5に固定されている。第一抗体は、形成された複合体を、第一抗体、被検出物及び標識物質からなる免疫反応によって、捉えるものであればよい。第一抗体としては、以下に制限されないが、たとえば、抗体、断片化抗体、アプタマーなどを挙げることができる。
第一抗体の濃度は、捉えられた標識物質に由来する発色、蛍光等の強度(シグナル)から、被検出物の存在の有無を判定、すなわち、陽性・陰性を判断できる程度であればよい。標識物質に由来する発色や蛍光としては、発光、呈色、着色等をあげることができる。また標識物質に由来する発色や蛍光の強度を測定する方法としては、公知の方法を使用してもよい。
【0040】
テスト部5の下面51aは、コンジュゲーション部4の上面42aと接続されている。テスト部5は、コンジュゲーション部4の内部の検体(被検出物)を吸い上げ(毛細管現象)、テスト部5の内部に流動させることが可能となっている。
【0041】
ただし、テスト部5の下面51aと、コンジュゲーション部4の上面42aが被検出物を含む検体を上方向に流動可能に配置されているならば、この限りではない。たとえば、テスト部5の下面51aと、コンジュゲーション部4の上面42aとの間に、被検出物を含む検体を上方向に流動可能な性質を有する層を設けてもよい。このような層の材質としては、コンジュゲーション部4の材料と同様の材料が好ましい。
【0042】
コンジュゲーション部4と、テスト部5と、が積層する構造は、本発明における「第一構造体7」に該当する。検査デバイス1Aは、第一構造体7を複数有する。
【0043】
テスト部5の材料および形状は、被検出物をコンジュゲーション部4から上方向に流動させる性質を有するものであれば、限定されない。テスト部5の材料としては、コンジュゲーション部4の材料と同様の材料が好ましい。
【0044】
テスト部5同士の中心間距離と、マイクロニードル3同士の中心間距離は、同一であってもよい。
【0045】
複合体は、コンジュゲーション部4を介してテスト部5に導入される。導入された複合体は、第一抗体に捉えられる。第一抗体に捉えられた複合体は、テスト部5上で高密度になり、テスト部5を呈色させる。
【0046】
(コントロール部)
コントロール部6は、標識物質を特異的に捉える第二抗体を含有する。第二抗体はコントロール部6に固定されている。第二抗体は、標識物質の流動を、第二抗体と標識物質とからなる免疫反応によって、確認できるものであればよい。第二抗体としては、たとえば、抗体、断片化抗体、アプタマー等をあげることができる。
第二抗体の濃度は、コントロール部6上に固定された第二抗体によって標識物質が濃縮され、標識物質に由来する発光や蛍光等の強度(シグナル)を目視的に又は検出機器を用いて検出、判定できる程度であればよい。
【0047】
コントロール部6の下面61aは、コンジュゲーション部4の上面42aと接続されている。コントロール部6は、コンジュゲーション部4の内部の検体(被検出物)を吸い上げ(毛細管現象)、コントロール部6の内部に流動させることが可能となっている。
【0048】
ただし、コントロール部6の下面61aと、コンジュゲーション部4の上面42aが被検出物を含む検体を上方向に流動可能に配置されているならば、この限りではない。たとえば、コントロール部6の下面61aと、コンジュゲーション部4の上面42aとの間に、被検出物を含む検体を上方向に流動可能な性質を有する層を設けてもよい。このような層の材質としては、コンジュゲーション部4の材料と同様の材料が好ましい。
【0049】
コンジュゲーション部4とコントロール部6と、が積層する構造は、本発明における「第二構造体8」に該当する。検査デバイス1は、第二構造体8を複数有する。
【0050】
コントロール部6の材料および形状は、被検出物をコンジュゲーション部4から上方向に流動させる性質を有するものであれば、限定されない。コントロール部6の材料としては、コンジュゲーション部4の材料と同様の材料が好ましい。
【0051】
コントロール部6同士の中心間距離と、マイクロニードル3同士の中心間距離は、同一であってもよい。
【0052】
標識物質は、コンジュゲーション部4を介してコントロール部6に導入される。導入された標識物質は、第二抗体に捉えられる。第二抗体に捉えられた標識物質は、コントロール部6上で高密度になり、コントロール部6を呈色させる。
【0053】
図2は、基材2aを第二面22側から見たときの透過図である。第一構造体7において、コンジュゲーション部4は、テスト部5と重なり、かつテスト部5の内側に配置されている。また、第二構造体8において、コンジュゲーション部4は、コントロール部6と重なり、かつコントロール部6の内側に配置されている。
【0054】
第一構造体7において、マイクロニードル3が吸い上げた検体は、コンジュゲーション部4、テスト部5の順に吸い上げられながら上方に移動する。この際、検体は、コンジュゲーション部4、テスト部5において、等方的に広がりながら全体としては上方に吸い上げられる。仮に、図2の視野において、第一構造体7のコンジュゲーション部4よりもテスト部5の方が小さい(狭い)場合、コンジュゲーション部4の全体に広がった検体(複合体)は、テスト部5の下面と重なった部分からのみテスト部5に流動可能となり、テスト部5の呈色に用いられない(テスト部5に移動できない)複合体が増えることとなる。
【0055】
対して、第一構造体7において、コンジュゲーション部4がテスト部5と重なり、かつテスト部5の内側に存在するように配置されることによって、被検出物を含む検体の流動を促進し、効果的にテスト部5を呈色させることができる。また、第二構造体8においても、同様の効果が得られる。
【0056】
(吸水部)
吸水部9は、テスト部5、およびコントロール部6から導入された被検出物を含む検体、標識物質、および複合体を吸い上げ(毛細管現象)、吸収する。
【0057】
吸水部9は、基材2aの第二面22に、着脱可能に取り付けられている。これにより、吸水部9は、第一構造体7を構成するテスト部5の上面52aと、着脱可能に接続されている。また吸水部9は、第二構造体8を構成するコントロール部6の上面62aと、着脱可能に接続されている。
【0058】
吸水部9は、基材2aと連結する連結部23aを有する。これにより、吸水部9は、基材2aから取り外した後にも基材2aと一体に扱うことができる。なお、吸水部9は連結部23aを有さなくてもよい。
【0059】
吸水部9の材料は、テスト部5又はコントロール部6から移動した被検出物を含む検体や標識物質等を吸収し、検査デバイス1において常に上方向に、一定の流れを生じさせる材料であればよい。吸水部9の材料としては、セルロース素材の繊維状の材料が好ましい。セルロース素材の繊維状の材料としては、例えば、CelluloseFiberSamplePad(Millipore社製)等をあげることができる。
【0060】
吸水部9は、継続的に検体などを吸水することによって、常に検査デバイス1A上方向へ、一定の検体等の流れを生じさせている。
【0061】
図3は、本実施形態の検査デバイス1Aの使用時の概略断面図である。
【0062】
上述のように、検査デバイス1Aは、マイクロニードル3(貫通孔31)と、コンジュゲーション部4と、テスト部5と、コントロール部6と、吸水部9とが相互に接続されている。マイクロニードル3は微細な貫通孔31を有し、コンジュゲーション部4、テスト部5、コントロール部6及び吸水部9は、それぞれ多孔質の材料で構成されている。そのため、貫通孔31に液状の検体が触れると、毛細管現象により当該検体が吸い上げられ、検査デバイス1の内部を貫通孔31からテスト部5及びコントロール部6に流動する。
【0063】
検査デバイス1Aは、検査デバイス1Aの第一面21で、被験者の皮膚Sと接する。第一面21に設置されたマイクロニードル3は、貫通孔31を介して、被検者の体内に存在する検体を吸収する。検体には、被検出物101が含まれる。
【0064】
吸収された被検出物101は、検体と共に流動し、コンジュゲーション部4に到達する。コンジュゲーション部4に到達した被検出物101は、被検出物101を特異的に捉える標識物質102に捉えられ、複合体103を形成する。
【0065】
第一構造体7が備えるコンジュゲーション部4で形成された複合体103は、毛細管現象によって上方向に移動し、テスト部5に到達する。テスト部5に到達した複合体103は、複合体を特異的に捉える第一抗体104に捉えられる。第一抗体104に捉えられた複合体103は、テスト部5において高濃度になり、テスト部5を呈色させる。また、テスト部5に固定された第一抗体104によって捉えられた複合体103は、テスト部5に滞留する。
【0066】
標識物質に捉えられなかった被検出物101、標識物質102および検体の成分等は、さらに、毛細管現象によって上方向に移動し、吸水部9に到達する。
【0067】
一方、第二構造体8が備えるコンジュゲーション部4で形成された複合体103、および被検出物を捉えなかった標識物質102は、毛細管現象によって上方向に移動し、コントロール部6に到達する。コントロール部6に到達した標識物質102は、標識物質102を特異的に捉える第二抗体105に捉えられる。第二抗体105に捉えられた標識物質102は、コントロール部6において高濃度になり、コントロール部6を呈色させる。また、コントロール部6に固定された第二抗体105によって捉えられた標識物質102は、コントロール部6に滞留する。
【0068】
標識物質に捉えられなかった被検出物101、複合体103、および検体の成分等は、さらに、毛細管現象によって上方向に移動し、吸水部9に到達する。
【0069】
テスト部5およびコントロール部6に検体が十分達する時間が経過したあと、基材2aの第二面22に着脱可能に取り付けられた吸水部9を取り外す。「検体が十分達する時間」については、予め予備実験を行い、目安となる時間を設定しておくとよい。テスト部5およびコントロール部6の呈色状況を確認することで、被検出物101の存在の有無を判断する。
【0070】
図4は、検査デバイス1Aの斜視図であり、基材2aから吸水部9を取り外した後の状態を示す説明図である。第一構造体7のテスト部5および第二構造体8のコントロール部6は、基材2a第二面22において、露出するように設置されている。
【0071】
図4の検査デバイス1Aでは、複数のテスト部5および複数のコントロール部6をそれぞれ同数有する。また、検査デバイス1Aでは、テスト部5およびコントロール部6をそれぞれ千鳥配置として、テスト部5とコントロール部6とが行方向、列方向に隣り合う配置としている。なお、テスト部5およびコントロール部6の配置については、これに限らず、種々の配置を採用することができる。
【0072】
テスト部5とコントロール部6と、を千鳥配置にすることで、結果の視認性が向上する可能性がある。
【0073】
テスト部5とコントロール部6が、行方向又は列方向に隣り合う場合、結果の視認性が向上する可能性がある。
【0074】
検体の濃度が、検査デバイス1Aの中心部から周縁部に向かうにしたがって、低下する場合、検査デバイス1Aの周縁部における、被検出物の検出感度を向上させるため、テスト部5とコントロール部の数は異ならせてもよい。
【0075】
このような検査デバイス1Aでは、たとえば、テスト部5およびコントロール部6に検体が十分達する時間が経過した後、コントロール部6が呈色していれば、十分な量の検体が検査デバイス1Aに供給されたと判断できる。
【0076】
その上で、テスト部5が呈色していれば、マイクロニードル3を介して採取した検体に被検出物101が含まれていた(陽性)と判断可能である。
【0077】
一方、テスト部5およびコントロール部6に検体が十分達する時間が経過した後、テスト部5が呈色せずコントロール部6のみが呈色していれば、検体に被検出物101が含まれていなかった(陰性)と判断可能である。
【0078】
さらに、テスト部5およびコントロール部6に検体が十分達する時間が経過した後、テスト部5のみが呈色する、またはテスト部5およびコントロール部6が呈色しないならば、異常な検査結果(無効)であると判断可能である。この場合、必要に応じて検査をやり直すとよい。
【0079】
複数のテスト部5およびコントロール部6を基材2aの第二面22に設けることによって、次のような効果を期待できる。
【0080】
まず、複数のテスト部5を備えた検査デバイス1では、検出結果を「偽陰性」(間違って陰性と判定すること)、および「偽陽性」(間違って陽性と判定すること)として判断する可能性を低くすることが可能である。イムノクロマト法は簡易検査法であり、原理的に偽陰性、偽陽性が生じやすい。対して、テスト部5を複数備えた検査デバイス1であれば、同時に複数のテスト部5において陽性、陰性の判断を行うため、間違った判断となる可能性を低くすることができる。
【0081】
基材2aの第二面22方向から、テスト部5およびコントロール部6の呈色状況を確認する工程は、第二面22方向からテスト部5およびコントロール部6を撮像し、得られた画像を用いた画像認識により行ってもよい。画像認識の手法としては、イムノクロマト法において陽性、陰性の判断に用いられる公知の方法を採用することができる。また、画像認識を容易にするために、複数の標識物質を用いて標識することで、呈色時におけるテスト部5とコントロール部6との色を異ならせてもよい。
【0082】
以上のような構成の検査デバイス1Aによれば、被検者から採取された検体(被検出物)は、毛細管現象によって、マイクロニードル3を介して、検査デバイス1Aの上方向に移動する。検査デバイス1Aの上方向に、検体が移動することで、左右方向に検体が移動する従来技術と比較して流路長が短くなり、検出時間を短縮することが可能である。
【0083】
なお、本実施形態においては、第一構造体7および、第二構造体8の数に制限はなく、第一構造体7および第二構造体8は、それぞれ1つとしても構わない。
【0084】
また、本実施形態の検査デバイス1Aは、被検出物101に対する標識物質102、第一抗体104、および第二抗体105を有することして説明したが、これに限らない。検査デバイス1Aでは、標識物質102が標識する被検出物101を好適に検出可能であるが、以下の構成の変更により、複数種の被検出物を同時に検出可能な検査デバイス1Aとすることができる。
【0085】
すなわち、検査デバイス1Aは、上記被検出物101とは異なる第二の被検出物と特異的に結合する第二の標識物質を備える第二のコンジュゲーション部と、第二の被検出物と第二の標識物質との複合体(第二の複合体)を特異的にとらえる第一抗体が固定された第二のテスト部と、第二の標識物質を特異的に捉える第二抗体が固定された第二のコントロール部と、を備えていてもよい。これら第二のコンジュゲーション部、第二のテスト部、第二のコントロール部は、包含する標識物質や抗体が異なる他は上記コンジュゲーション部4、テスト部5、コントロール部6と同様の構成を採用することができる。
【0086】
この場合、本実施形態において示した被検出物は第一の被検出物であり、第一の被検出物と特異的に結合する第一の標識物質を備えるコンジュゲーション部は、本発明における「第一のコンジュゲーション部」である。
同様に、第一の被検出物と第一の標識物質との複合体(第一の複合体)を特異的にとらえる第一抗体が固定されたテスト部は、本発明における「第一のテスト部」である。
同様に、第一の標識物質を特異的に捉える第二抗体が固定されたコントロール部は、本発明における「第一のコントロール部」である。
【0087】
また第三以上の被検出物を検出可能にするために、同様の考え方により、適宜第三のコンジュゲーション部、第三のテスト部、第三のコントロール部等を、設けてもよい。
【0088】
[第2実施形態]
図5、本発明の第2実施形態に係る検査デバイス1Bの概略断面図である。本実施形態の検査デバイスは、第1実施形態のデバイスと一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0089】
図5において、マイクロニードル3は、1つのコンジュゲーション部4に対して、2つ設置されている。1つのコンジュゲーション部4に対して、設置されるマイクロニードル3の数は、3つ以上であってもよい。
【0090】
以上のような構成の検査デバイス1Bによれば、1つのコンジュゲーション部4に対して、2つ以上のマイクロニードルから、被検出物を含む検体を供給することができる。したがって、1つのコンジュゲーション部に対する検体の供給絵量が増加し、安定な検出結果を提供することができる。
【0091】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に掛かる検査デバイス1Cの概略断面図である。本実施形態の検査デバイスは、第1実施形態のデバイスと一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0092】
(基材)
基材2cは、基材2x、基材2yから構成される。基材2xには、コンジュゲーション部4cおよびテスト部5cと、が収容されている。基材2yにはコントロール部6cが収容されている。基材2yの上面22bには、吸水部9が接続されている。
【0093】
図6に示す検査デバイス1Cは、基材2cの下面である第一面21から上面である第二面22に向けて、コンジュゲーション部4c、テスト部5c、コントロール部6cの順に積層している。詳細には、基材2xにおいてコンジュゲーション部4cとテスト部5cとが積層され、基材2yに収容されるコントロール部6cが、コンジュゲーション部4cとテスト部5cとさらに積層されている。
【0094】
このような検査デバイス1Cにおいて、基材2cは、その構成部材である基材2xと基材2yとの間で開閉する。基材2xと基材2yは、連結部23cで連結されていてもよい
【0095】
(コントロール部)
コントロール部6cの下面61cは、テスト部5cの上面52cと接続されている。コントロール部6cは、テスト部5cの内部の検体(被検出物)を、コントロール部6cに流動させることが可能となっている。ただし、コントロール部6cの下面61cと、テスト部5cの上面52cが被検出物を含む検体を上方向に流動可能に配置されているならば、この限りではない。たとえば、コントロール部6cの下面61cと、テスト部5cの上面52cとの間に、被検出物を含む検体を上方向に流動可能な性質を有する層を設けてもよい。このような層の材質としては、コンジュゲーション部4cと同様の材料が好ましい。
【0096】
検査デバイス1Cにおいて、コンジュゲーション部4cと、テスト部5cと、コントロール部6cは、この順に積層する。
【0097】
基材2cを第二面22側から見た時の透過図において、コンジュゲーション部4cは、テスト部5cと重なり、かつテスト部5cの内側に存在するように配置される。またテスト部5cはコントロール部6cと重なり、かつコントロール部6cの内側に存在するように配置される。
【0098】
コンジュゲーション部4cは、基材2cの下面21cに対してほぼ全面に広がっていてもよい。コンジュゲーション部4c、テスト部5c及びコントロール部6cは、上述した第1実施形態と同様の機能であってもよい。
【0099】
以上のような構成の検査デバイス1Cによっても、左右方向に検体が移動する従来技術と比較して流路長が短くなり、検出時間を短縮することが可能である。
【0100】
なお、図6においては、コンジュゲーション部4c、テスト部5c及びコントロール部6cの積層構造(以下、単に積層構造と称する)を1つのみ示したが、これに限らない。検査デバイス1Cは、基材2cが上記積層構造を複数有することとしてもよい。
【0101】
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態に掛かる検査デバイス1Dの概略断面図である。本実施形態の検査デバイスは、第1実施形態のデバイスと一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0102】
(コンジュゲーション部)
コンジュゲーション部4dの下面41dは、2以上のマイクロニードル3と接続されている。コンジュゲーション部4dは、マイクロニードル3を介して導入される検体を吸い上げ(毛細管現象)、検査デバイス1Dの内部に流動させることが可能となっている。コンジュゲーション部4dの上面42dは、テスト部5dの下面51dと接続されている。テスト部5dは、コンジュゲーション部4dの内部の検体(被検出物)をテスト部5dに流動させることが可能となっている。
【0103】
コンジュゲーション部4dは、基材2dの下面21dに対してほぼ全面に広がっていてもよい。コンジュゲーション部4d、テスト部5d及びコントロール部6dは、上述した第1実施形態と同様の機能であってもよい。
【0104】
また、コンジュゲーション部4dの上面42dは、コントロール部6dの下面61dと接続されている。コントロール部6dは、コンジュゲーション部4dの内部の検体(被検出物)をコントロール部6dに流動させることが可能となっている。
【0105】
ただし、テスト部5dの下面51dと、コンジュゲーション部4dの上面42dが被検出物を含む検体を上方向に流動可能に配置されているならば、この限りではない。たとえば、テスト部5dの下面51dと、コンジュゲーション部4dの上面42dとの間に、被検出物を含む検体を上方向に流動可能な性質を有する層を設けてもよい。このような層の材質としては、コンジュゲーション部4dと同様の材料が好ましい。コントロール部6dに関しても、テスト部5dと同様の構成とすることができる。
【0106】
検査デバイス1Dにおいて、コンジュゲーション部4dは、テスト部5dと接続され、かつ、コントロール部6dと接続されている。
【0107】
コンジュゲーション部4dは、第二の被検出物と特異的に結合する第二の標識物質を備えてもよい。その場合、基材2dは、第二の複合体を特異的に捉える第一抗体が固定された第二のテスト部と、第二の標識物質を特異的に捉える第二抗体が固定された第二のコントロール部と、を備えていてもよい。
【0108】
また第三以上の被検出物を検出可能にするために、同様の考え方により、適宜第三の標識物質、第三のテスト部、第三のコントロール部等を、設けてもよい。
【0109】
以上のような構成の検査デバイス1Dによっても、左右方向に検体が移動する従来技術と比較して流路長が短くなり、検出時間を短縮することが可能である。さらに、検査デバイス1Dの構成では、コンジュゲーション部4dが、テスト部5dとコントロール部6dと、それぞれ接続されること(コンジュゲーション部4dを、テスト部5dとコントロール部6dとで共有する)で、微細な積層構造を有する検査デバイス1A及び1Bと比較して、製造工程が簡略化され、製造コストを抑えることができる。
【0110】
なお、図6においては、1つのコンジュゲーション部4dに2つのテスト部5d及び2つのコントロール部6dが接続された構造を1つのみ示したが、これに限らない。コンジュゲーション部4dに接続されるテスト部5dの数は、1又は3以上であってもよい。同様に、コンジュゲーション部4dに接続されるコントロール部6dの数は、1又は3以上であってもよい。さらに、検査デバイス1Dは、基材2dが、コンジュゲーション部4dとテスト部5d、コントロール部6dから構成される積層構造を、複数有することとしてもよい。
【0111】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計、仕様等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 検査デバイス
2 基材
21 基材2の第一面
22 基材2の第二面
23 基材2と吸水部9を接続する接続部
3 マイクロニードル
4 コンジュゲーション部
5 テスト部
6 コントロール部
7 第一構造体
8 第二構造体
9 吸水部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7