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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040647
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】体腔液処理システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A61M1/00 190
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145119
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000138037
【氏名又は名称】株式会社メテク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】日野 真弓
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA20
4C077BB02
4C077DD05
4C077DD12
4C077JJ05
4C077JJ16
4C077KK11
4C077LL05
(57)【要約】
【課題】腹水処理システムにおいて、腹水中の有用成分の回収率を向上する。
【解決手段】腹水処理システム1は、濾過器11と、濃縮器12と、排液容器14と、腹水を濾過器11に送液する第1の送液ライン15と、濾過器11の出口と濃縮器12の入口に接続され、濾過器11で濾過された腹水を濃縮器12に送液する第2の送液ライン16と、濃縮器12の第1の出口に接続され、濃縮器12で濃縮された腹水を排出する第3の送液ライン17と、濃縮器12の第2の出口と排液容器14に接続され、濃縮器12で除去された排液を排液容器14に送液する第4の送液ライン18と、排液容器14と第2の送液ライン16に接続され、排液容器14の排液を第2の送液ライン16に送液する第5の送液ライン19と、第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順に通じた排液容器14から濃縮器12への排液の送液を制御する送液制御手段20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔液を処理する体腔液処理システムであって、
濾過器と、
濃縮器と、
排液容器と、
濾過器の入口に接続され、体腔液を濾過器に送液する第1の送液ラインと、
濾過器の出口と濃縮器の入口に接続され、濾過器で濾過された体腔液を濃縮器に送液する第2の送液ラインと、
濃縮器の第1の出口に接続され、濃縮器で濃縮された体腔液を排出する第3の送液ラインと、
濃縮器の第2の出口と排液容器に接続され、濃縮器で除去された排液を排液容器に送液する第4の送液ラインと、
前記排液容器と前記第2の送液ラインに接続され、前記排液容器の排液を前記第2の送液ラインに送液する第5の送液ラインと、
前記第5の送液ライン及び前記第2の送液ラインをこの順に通じた前記排液容器から前記濃縮器への排液の送液を制御する送液制御手段と、を備えた、体腔液処理システム。
【請求項2】
前記送液制御手段は、前記第5の送液ライン及び前記第2の送液ラインをこの順に通じた前記排液容器から前記濃縮器への排液の送液と、前記第2の送液ラインを通じた前記濾過器から前記濃縮器への体腔液の送液とを選択的に行うことができるように構成されている、請求項1に記載の体腔液処理システム。
【請求項3】
前記送液制御手段は、ポンプ又はバルブの少なくもいずれかを含む、請求項1に記載の体腔液処理システム。
【請求項4】
前記送液制御手段のポンプ又はバルブを制御して、前記排液容器から前記濃縮器への排液の送液を実行する制御装置を、さらに備える、請求項3に記載の体腔液処理システム。
【請求項5】
前記送液制御手段は、前記第2の送液ラインに設けられた第1のポンプと、前記第2の送液ラインに設けられた第1のバルブと、前記第5の送液ラインに設けられた第2のバルブとを有し、
前記第5の送液ラインは、前記第2の送液ラインにおける前記第1のポンプと前記第1のバルブの間の位置に接続されている、請求項3に記載の体腔液処理システム。
【請求項6】
前記送液制御手段は、前記第2の送液ラインに設けられた第1のポンプと、前記第5の送液ラインに設けられた第2のポンプとを有し、
前記第5の送液ラインは、前記第2の送液ラインにおける前記第1のポンプよりも濃縮器側の位置に接続されている、請求項3に記載の体腔液処理システム。
【請求項7】
前記排液容器に収容された排液の量を検出する検出部をさらに備えた、請求項1に記載の体腔液処理システム。
【請求項8】
前記排液容器の排液を前記第4の送液ラインを通じて前記濃縮器に逆送液する逆送液手段をさらに備えた、請求項1に記載の体腔液処理システム。
【請求項9】
前記逆送液手段は、前記濃縮器に送液された排液を前記第2の送液ライン及び前記第5の送液ラインをこの順に通じて前記排液容器に送液することと、前記濃縮器に送液された排液を前記第2の送液ラインを通じて前記濾過器に送液することを選択的に行うことができるように構成されている、請求項8に記載の体腔液処理システム。
【請求項10】
前記逆送液手段は、前記第2の送液ラインに設けられ、前記濃縮器から前記濾過器側に向けて排液を送液可能なポンプを有する、請求項9に記載の体腔液処理システム。
【請求項11】
前記第5の送液ラインは、前記排液容器に対し前記第4の送液ラインよりも低い位置に接続されている、請求項1に記載の体腔液処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔液処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
体腔液の1つである腹水における治療法として、患者から腹水を取り出し、当該腹水から細菌やがん細胞などの病因物質を除去し、アルブミンなどの有用成分を残した状態で濃縮し、当該濃縮腹水を体内に戻す腹水ろ過濃縮再静注法(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)がある。
【0003】
かかる治療法には、一般的に腹水処理システムが用いられている。この腹水処理システムには、例えば腹水バッグと、濾過器と、濃縮器と、濃縮腹水バッグがこの順番で接続され、ポンプ或いは落差により腹水を流して腹水を濾過、濃縮するものが用いられている(特許文献1参照)。濾過器と濃縮器には、中空糸膜などの分離膜が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-126763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような腹水処理システムにおいて腹水処理を進めると、濃縮器の膜の目詰まり等により、濃縮器の膜間差圧(TMP: Trans Membrance Pressure)が上昇する。膜間差圧が上昇すると、腹水中の水分だけでなく有用成分も濃縮器の膜を通過し、排液として排出されてしまう。この結果、最終的に濃縮腹水バッグに回収される腹水中の有用成分が減り、腹水処理における有用成分の回収率が下がっている。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、腹水などの体腔液を処理する体腔液処理システムにおいて、体腔液中の有用成分の回収率を向上することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、濃縮器から除去された排液を再濃縮することにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
(1)体腔液を処理する体腔液処理システムであって、濾過器と、濃縮器と、排液容器と、濾過器の入口に接続され、体腔液を濾過器に送液する第1の送液ラインと、濾過器の出口と濃縮器の入口に接続され、濾過器で濾過された体腔液を濃縮器に送液する第2の送液ラインと、濃縮器の第1の出口に接続され、濃縮器で濃縮された体腔液を排出する第3の送液ラインと、濃縮器の第2の出口と排液容器に接続され、濃縮器で除去された排液を排液容器に送液する第4の送液ラインと、前記排液容器と前記第2の送液ラインに接続され、前記排液容器の排液を前記第2の送液ラインに送液する第5の送液ラインと、前記第5の送液ライン及び前記第2の送液ラインをこの順に通じた前記排液容器から前記濃縮器への排液の送液を制御する送液制御手段と、を備えた、体腔液処理システム。
(2)前記送液制御手段は、前記第5の送液ライン及び前記第2の送液ラインをこの順に通じた前記排液容器から前記濃縮器への排液の送液と、前記第2の送液ラインを通じた前記濾過器から前記濃縮器への体腔液の送液とを選択的に行うことができるように構成されている、(1)に記載の体腔液処理システム。
(3)前記送液制御手段は、ポンプ又はバルブの少なくもいずれかを含む、(1)又は(2)に記載の体腔液処理システム。
(4)前記送液制御手段のポンプ又はバルブを制御して、前記排液容器から前記濃縮器への排液の送液を実行する制御装置を、さらに備える、(3)に記載の体腔液処理システム。
(5)前記送液制御手段は、前記第2の送液ラインに設けられた第1のポンプと、前記第2の送液ラインに設けられた第1のバルブと、前記第5の送液ラインに設けられた第2のバルブとを有し、前記第5の送液ラインは、前記第2の送液ラインにおける前記第1のポンプと前記第1のバルブの間の位置に接続されている、(3)又は(4)に記載の体腔液処理システム。
(6)前記送液制御手段は、前記第2の送液ラインに設けられた第1のポンプと、前記第5の送液ラインに設けられた第2のポンプとを有し、前記第5の送液ラインは、前記第2の送液ラインにおける前記第1のポンプよりも濃縮器側の位置に接続されている、(3)又は(4)に記載の体腔液処理システム。
(7)前記排液容器に収容された排液の量を検出する検出部をさらに備えた、(1)~(6)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(8)前記排液容器の排液を前記第4の送液ラインを通じて前記濃縮器に逆送液する逆送液手段をさらに備えた、(1)~(7)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
(9)前記逆送液手段は、前記濃縮器に送液された排液を前記第2の送液ライン及び前記第5の送液ラインをこの順に通じて前記排液容器に送液することと、前記濃縮器に送液された排液を前記第2の送液ラインを通じて前記濾過器に送液することを選択的に行うことができるように構成されている、(8)に記載の体腔液処理システム。
(10)前記逆送液手段は、前記第2の送液ラインに設けられ、前記濃縮器から前記濾過器側に向けて排液を送液可能なポンプを有する、(9)に記載の体腔液処理システム。
(11)前記第5の送液ラインは、前記排液容器に対し前記第4の送液ラインよりも低い位置に接続されている、(1)~(10)のいずれか一項に記載の体腔液処理システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、体腔液を処理する体腔液処理システムにおいて、体腔液中の有用成分の回収率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態における腹水処理システムの構成の概略を示す説明図である。
図2】腹水処理システムの制御フローを示すフロー図である。
図3】腹水の濾過・濃縮処理時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図4】排液の再濃縮処理時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図5】一つのバルブを用いた場合の腹水処理システムの構成の概略を示す説明図である。
図6】第1の実施の形態における腹水処理システムの他の構成例を示す説明図である。
図7】第2の実施の形態における腹水処理システムの構成の概略を示す説明図である。
図8】腹水処理システムの制御フローを示すフロー図である。
図9】腹水の濾過・濃縮処理時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図10】濃縮器の洗浄時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図11】濾過器の洗浄時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図12】排液の再濃縮処理時の腹水処理システムの状態を示す説明図である。
図13】第2の実施の形態における腹水処理システムの他の構成例を示す説明図である。
図14】重量計を用いた場合の腹水処理システムの構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態の一例について説明する。なお、本明細書における上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る体腔液処理システムとしての腹水処理システム1の構成の概略を示す説明図である。
【0013】
腹水処理システム1は、体腔液収容部としての腹水バッグ10と、濾過器11と、濃縮器12と、濃縮体腔液収容部としての濃縮腹水バッグ13と、排液容器14と、第1の送液ライン15と、第2の送液ライン16と、第3の送液ライン17と、第4の送液ライン18と、第5の送液ライン19と、送液制御手段20と、制御装置21等を備えている。
【0014】
腹水バッグ10は、例えば軟質性のバッグであり、患者から採取された腹水を収容することができる。
【0015】
濾過器11は、例えば円筒形状の筐体を有している。濾過器11は、長手方向(上下方向)の両端部に通液口11a、11bを有し、側面に2つの通液口11c、11dを有している。
【0016】
濾過器11は、例えば細菌やがん細胞などの所定の病因物質を除去し、アルブミンなどの所定の有用成分を通過させる中空糸膜などの濾過膜30を備えている。濾過膜30の内側領域(中空糸膜の内部領域)は通液口11a、11bに通じ、濾過膜30の外側領域(中空糸膜の外部領域)は通液口11c、11dに通じている。なお、本実施の形態において通液口11b、11cは閉鎖されている。
【0017】
濃縮器12は、例えば円筒形状の筐体を有している。濃縮器12は、長手方向(上下方向)の両端部に通液口12a、12bを有し、側面に2つの通液口12c、12dを有している。
【0018】
濃縮器12は、例えば腹水から水分を除去して濃縮する中空糸膜などの濃縮膜40を備えている。濃縮膜40の内側領域は通液口12a、12bに通じ、濃縮膜40の外側領域は、通液口12c、12dに通じている。なお、本実施の形態において通液口12dは閉鎖されている。
【0019】
濃縮腹水バッグ13は、例えば軟質性のバッグであり、濃縮器12で濃縮された濃縮腹水を収容することができる。濃縮腹水バッグ13は、腹水バッグ10よりも低い位置に設置されている。
【0020】
排液容器14は、例えば軟質性のバッグであり、濃縮器12で除去された排液を収容することができる。排液容器14は、例えば腹水バッグ10及び濃縮腹水バッグ13よりも低い位置に設置されている。
【0021】
第1の送液ライン15は、腹水バッグ10と濾過器11に接続されている。第1の送液ライン15の上流側の端部は、腹水バッグ10に接続され、第1の送液ライン15の下流側の端部は、濾過器11の通液口11aに接続されている。なお、本明細書において、「上流側」とは、腹水が、濾過器、濃縮器の順に流れる通常の濾過・濃縮処理時に上流側になる方向を示し、「下流側」とは、通常の濾過・濃縮処理時の下流側になる方向を示す。
【0022】
第2の送液ライン16は、濾過器11と濃縮器12に接続されている。第2の送液ライン16の上流側の端部は、濾過器11の通液口11dに接続され、第2の送液ライン16の下流側の端部は、濃縮器12の通液口12bに接続されている。
【0023】
第3の送液ライン17は、濃縮器12と濃縮腹水バッグ13に接続されている。第3の送液ライン17の上流側の端部は、濃縮器12の通液口12aに接続され、第3の送液ライン17の下流側の端部は、濃縮腹水バッグ13に接続されている。
【0024】
第4の送液ライン18は、濃縮器12と排液容器14に接続されている。第4の送液ライン18の上流側の端部は、濃縮器12の通液口12cに接続され、第4の送液ライン18の下流側の端部は、排液容器14に接続されている。
【0025】
第5の送液ライン19は、排液容器14と第2の送液ライン16に接続されている。第5の送液ライン19の一端部は、排液容器14に接続され、第5の送液ライン19の他端部は、第2の送液ライン16に接続されている。第5の送液ライン19は、排液容器14に対し、第4の送液ライン18の接続位置よりも低い位置に接続されている。なお、第1~第5のライン15~19には、例えば軟質性のチューブが用いられている。
【0026】
送液制御手段20は、第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順に通じた排液容器14から濃縮器12への排液の送液を制御する機能を有している。さらに送液制御手段20は、第2の送液ライン16を通じた濾過器11から濃縮器12への腹水の送液と、第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16を通じた排液容器14から濃縮器12への排液の送液を選択的に行うことができるように構成されている。
【0027】
例えば送液制御手段20は、第2の送液ライン16に設けられた第1のポンプ50及び第1のバルブ51と、第5の送液ライン19に設けられた第2のバルブ52を有している。
【0028】
第1のポンプ50は、例えばチューブポンプであり、第2の送液ライン16のチューブを扱いて腹水を圧送することができる。また第1のポンプ50は、停止時に第2の送液ライン16を閉鎖する。バルブ51及び52は、それぞれの送液ライン16、19を開放、閉塞することができる。
【0029】
制御装置21は、例えばCPU、メモリ等を有するコンピュータである。制御装置21は、第1のポンプ50、第1のバルブ51及び第2のバルブ52等の各装置の動作を制御して腹水処理を実行することができる。制御装置21は、例えばメモリに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより腹水処理を実現することができる。
【0030】
例えば制御装置21は、第1のバルブ51を開き、第2のバルブ52を閉じて、第1のポンプ50を作動させることで、腹水バッグ10の腹水を第1の送液ライン15、濾過器11、第2の送液ライン16、濃縮器12、第3の送液ライン17及び濃縮腹水バッグ13にこの順で送液して、腹水の濾過・濃縮処理を行うことができる。また、制御装置21は、濾過・濃縮処理の開始から所定時間経過後に、第1のバルブ51を閉じ、第2のバルブ52を開いて、第1のポンプ50を作動させることで、排液容器14の排液を第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順で通じて濃縮器12に送液して、排液の再濃縮処理を行うことができる。
【0031】
次に、上述の腹水処理システム1を用いて行われる腹水処理について説明する。図2は、かかる腹水処理における制御装置21の制御フローの一例を示す。
【0032】
先ず、図1に示すように患者から採取した腹水が収容された腹水バッグ10が第1の送液ライン15に接続される。次に図3に示すように第2のバルブ52が閉鎖され、第1のバルブ51が開放され、第1のポンプ50が作動して、腹水の濾過、濃縮処理が開始される。
【0033】
このとき腹水バッグ10の腹水は、第1の送液ライン15を通じて濾過器11に送られる。腹水は、濾過器11の通液口11aから濾過膜30の内側領域に流入し、濾過膜30を通過して、濾過膜30の外側領域に流出する。このとき、腹水から所定の病因物質が除去される。
【0034】
濾過膜30の外側領域に流出した腹水は、濾過器11の通液口11dから第2の送液ライン16に流出し、第2の送液ライン16を通って濃縮器12に送られる。腹水は、濃縮器12の通液口12bから濃縮膜40の内側領域に流入し、通液口12aから排出される。このとき、腹水の一部の主に水分が、濃縮膜40を通過して濃縮膜40の外側領域に流出する。これにより腹水から主に水分が除去されて腹水が濃縮される。濃縮器12で濃縮された腹水は、第3の送液ライン17を通って濃縮腹水バッグ13に収容される。
【0035】
一方、濃縮器12で除去された排液は、第4の送液ライン18を通って排液容器14に収容される。この排液には、腹水中の一部の有用成分が含まれている。
【0036】
排液容器14に所定量の排液が収容されたとき、例えば濾過・濃縮処理が開始されてから所定時間経過したときに、図4に示すように第1のバルブ51が閉鎖され、第2のバルブ52が開放される。これにより、濾過器11から濃縮器12への腹水の送液が停止され、排液容器14に収容されている排液が、第1のポンプ50により、第5の送液ライン19から第2の送液ライン16に送られ、第2の送液ライン16を通って濃縮器12に送られ、濃縮器12で再濃縮される(排液の再濃縮処理)。濃縮器12で再濃縮された排液(濃縮腹水)は、第3の送液ライン17を通って濃縮腹水バッグ13に収容される。また濃縮器12で除去された排液は、第4の送液ライン18を通じて排液容器14に戻される。
【0037】
排液容器14の排液が所定量再濃縮されたとき、例えば排液の再濃縮処理が開始されてから所定時間経過したときに、図3に示したように第1のバルブ51が開放され、第2のバルブ52が閉鎖され、排液容器14から濃縮器12への排液の送液が停止されるとともに、濾過器11から濃縮器12への腹水の送液が再開し、濾過・濃縮処理が再開する。この後、例えば上記腹水の濾過・濃縮処理と排液の再濃縮処理を繰り返し、腹水バッグ10の腹水がすべて処理されると、第1のポンプ50が停止し、一連の腹水処理が終了する。
【0038】
本実施の形態によれば、腹水処理システム1が、排液容器14の排液を第2の送液ライン16に送液する第5の送液ライン19と、第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順に通じた排液容器14から濃縮器12への排液の送液を制御する送液制御手段20とを備えており、排液容器14の排液を濃縮器12に送り再濃縮することができる。この結果、排液容器14の排液に含まれる有用成分を回収することができるため、腹水の有用成分の回収率を向上することができる。
【0039】
また送液制御手段20は、第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順に通じた排液容器14から濃縮器12への排液の送液と、第2の送液ライン16を通じた濾過器11から濃縮器12への腹水の送液とを選択的に行うことができるように構成されている。このため、腹水の濾過・濃縮処理と排液の再濃縮処理を適宜切り替えることができる。
【0040】
腹水処理システム1は、送液制御手段20のポンプ50やバルブ51、52を制御して、排液容器14から濃縮器12への排液の送液を実行する制御装置21を備えているので、排液の再濃縮処理を自動で簡単かつ安定的に行うことができる。
【0041】
送液制御手段20は、第2の送液ライン16に設けられた第1のポンプ50と、第2の送液ライン16に設けられた第1のバルブ51と、第5の送液ライン19に設けられた第2のバルブ52とを有し、第5の送液ライン19は、第2の送液ライン16における第1のポンプ50と第1のバルブ51の間の位置に接続されている。これにより、一つのポンプ50を用いて、腹水の濾過・濃縮処理と排液の再濃縮処理を好適に行うことができる。
【0042】
第5の送液ライン19は、排液容器14に対し第4の送液ライン18よりも低い位置に接続されているので、排液容器14の内部の気体が第5の送液ライン19に流入することを抑制することができる。
【0043】
本実施の形態における腹水処理システム1の構成は、上記構成に限られない。例えば本実施の形態において送液制御手段20は、第2の送液ライン16を通じた濾過器11から濃縮器12への腹水の送液と、第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16を通じた排液容器14から濃縮器12への排液の送液とを選択的に行うことができるように2つのバルブ51、52を備えていたが、2つのバルブ51、52に代えて例えば図5に示すように第5の送液ライン19と第2の送液ライン16の接続部分に三方弁や三方活栓などの一つのバルブ53を備えるようにしてもよい。
【0044】
また、送液制御手段20は、第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順に通じた排液容器14から濃縮器12への排液の送液を制御するものであれば、他の構成を有するものであってよい。例えば送液制御手段20は、図6に示すように第2の送液ライン16に設けられた第1のポンプ70と、第5の送液ライン19に設けられた第2のポンプ71を有し、第5の送液ライン19は、第2の送液ライン16における第1のポンプ70よりも濃縮器12側に接続されている。この場合、例えば第2のポンプ71が停止し、第1のポンプ70が作動して、腹水バッグ10の腹水が濾過器11、濃縮器12、濃縮腹水バッグ13をこの順に送液され、濾過・濃縮処理が行われる。その後排液容器14に所定量の排液が収容されたときに、第2のポンプ71が作動し第1のポンプ70が停止して、排液容器14の排液が第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順に通って濃縮器12に送液され、廃液の再濃縮処理が行われる。かかる場合も、腹水の濾過・濃縮処理と排液の再濃縮処理を好適に行うことができる。
【0045】
なお、上記態様のように2つのポンプを用いる場合には、腹水処理システム1の筐体において2つのポンプ70、71を上下の2段に配置してもよい。かかる場合、ポンプ70、71の設置スペースを減らして腹水処理システム1の大型化を抑制することができる。
【0046】
また、腹水処理システム1は、ポンプの代わりに落差を用いて腹水や排液の送液を行ってもよい。かかる場合、腹水処理システム1は、腹水バッグ10、濃縮腹水バッグ13及び排液容器14の高さを適宜変更できるように構成され、送液制御手段20は、例えば図1において第1のポンプ50がなく、第1のバルブ51及び第2のバルブ52を有するものであってもよい。
【0047】
(第2の実施の形態)
腹水処理システム1は、排液容器14の排液を用いて濾過器11と濃縮器12の洗浄を行う機能をさらに有していてもよい。かかる場合、例えば図7に示すように腹水処理システム1は、排液容器14の排液を第4の送液ライン18を通じて濃縮器12に逆送液する逆送液手段90を備えている。
【0048】
さらに逆送液手段90は、濃縮器12に送液された排液を第2の送液ライン16及び第5の送液ライン19をこの順に通じて排液容器14に送液することと、濃縮器12に送液された排液を第2の送液ライン16を通じて濾過器11に送液することを選択的に行うことができるように構成されている。
【0049】
例えば逆送液手段90は、第1のポンプ50、第1のバルブ51及び第2のバルブ52を備えている。第1のポンプ50には、正逆方向に液体を送液可能なものが用いられる。また、第3の送液ライン17には、開閉装置としてのポンプ100が設けられ、濾過器11の濾過膜30の内側領域の送液口11bには、第6の送液ライン101が接続され、第6の送液ライン101には、開閉装置としてのバルブ102が設けられている。第1の送液ライン15には、開閉装置としてのバルブ103が設けられている。なお、上記開閉装置は、送液ラインを開閉できる機能を有していれば、バルブであってもポンプであってもよい。
【0050】
さらに第2の送液ライン16には、濃縮器12の濃縮膜40の内側領域側の圧力を測定可能な圧力測定装置110が設けられている。圧力測定装置110は、例えば第2の送液ライン16における第1のポンプ50と濃縮器12の間に設けられている。また、例えば濾過器11の送液口11cには、ライン111が接続され、ライン111には、濾過器11の濾過膜30の外側領域の圧力を測定可能な圧力測定装置112が設けられている。
【0051】
制御装置21は、圧力測定装置110、112の測定結果に基づいて、逆送液手段90の第1のポンプ50、第1のバルブ51及び第2のバルブ52、ポンプ100、バルブ102、103の動作を制御して、濃縮器12に送液された排液を第2の送液ライン16及び第5の送液ライン19をこの順に通じて排液容器14に送液したり、濃縮器12に送液された排液を第2の送液ライン16を通じて濾過器11に送液することができる。
【0052】
その他の腹水処理システム1の構成は、上記第1の実施の形態のものと同様であり、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0053】
次に、かかる腹水処理システム1の腹水処理について説明する。図8は、かかる腹水処理における制御装置21の制御フローの一例を示す。
【0054】
先ず、図9に示すように腹水の濾過・濃縮処理が行われる。バルブ103、第1のバルブ51が開放され、バルブ102、第2のバルブ52が閉鎖され、第1のポンプ50及びポンプ100が作動し、腹水バッグ10の腹水が、第1の送液ライン15を通って濾過器11に送られ、濾過器11から第2の送液ライン16を通って濃縮器12に送られ、第3の送液ライン17を通って濃縮腹水バッグ13に送られる。濃縮器12で除去された排液は、第4の送液ライン18を通って排液容器14に収容される。
【0055】
濾過・濃縮処理中は、例えば圧力測定装置110及び圧力測定装置112により濃縮器12における濃縮膜40の内側領域の圧力と、濾過器11における濾過膜30の外側領域の圧力が測定されている。
【0056】
そして、排液容器14に所定量の排液が収容されている場合であって、濃縮器12における濃縮膜40の内側領域の圧力が所定の閾値を超え、濃縮膜40が目詰まりを起こしていることが検出された場合、あるいは濾過器11における濾過膜30の外側領域の圧力が所定の閾値より下がり、濾過膜30が目詰まりを起こしていることが検出された場合には、濃縮器12及び濾過器11に対する洗浄動作(目詰まり解消動作)が行われる。
【0057】
このとき、図10に示すように先ず第1のバルブ51、バルブ102及びバルブ103が閉鎖され、第2のバルブ52が開放され、ポンプ100が停止した状態で、第1のポンプ50が逆方向(第2の送液ライン16における濃縮器12側から濾過器11側に向かう方向)に作動(逆回転)する。これにより、排液容器14の排液が、第4の送液ライン18を通って濃縮器12に送られる。排液は、濃縮器12の通液口12cから濃縮膜40の外側領域に流入し、濃縮膜40を通過して濃縮膜40の内側領域に流入する。このとき、濃縮膜40が洗浄され、濃縮膜40の目詰まりが解消される。濃縮膜40の内側領域に流入した排液は、第2の送液ライン16と第5の送液ライン19をこの順に通って排液容器14に戻される。
【0058】
次に、例えば図11に示すように第2のバルブ52、バルブ103が閉鎖され、第1のバルブ51、バルブ102が開放され、ポンプ100が停止した状態で、第1のポンプ50が逆方向に作動する。これにより、排液容器14の排液が、濃縮器12を通過し、第2の送液ライン16を通って濾過器11に送られる。排液は、濾過器11の通液口11dから濾過膜30の外側領域に流入し、濾過膜30を通過して濾過膜30の内側領域に流入する。このとき、濾過膜30が洗浄され、濾過膜30の目詰まりが解消される。濾過膜30の内側領域に流入した排液は、第6の送液ライン101を通って排出される。
【0059】
排液容器14に所定量の排液が収容された場合であって、濃縮器12における濃縮膜40の内側領域の圧力が所定の閾値以下、あるいは濾過器11における濾過膜30の外側領域の圧力が所定の閾値以上であり、濾過膜30や濃縮膜40の目詰まりが検出されない場合には、排液の再濃縮処理が行われる。このとき、図12に示すように第1のバルブ51、バルブ102、バルブ103が閉鎖され、第2のバルブ52が開放された状態で、第1のポンプ50及びポンプ100が正方向(第2の送液ライン16における濾過器11側から濃縮器12側に向かう方向)に作動(回転)する。これにより、排液容器14の排液が、第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順に通って濃縮器12に送られ、再濃縮される。その後、排液容器14の排液が所定量再濃縮されると、図9に示したように第1のバルブ51、バルブ103が開放され、第2のバルブ52が閉鎖され、排液容器14から濃縮器12への排液の送液が停止されるとともに、濾過器11から濃縮器12への腹水の送液が再開し、腹水の濾過・濃縮処理が再開する。この後、例えば上記腹水の濾過・濃縮処理、濃縮器12及び濾過器11の洗浄動作、排液の再濃縮処理を繰り返し、腹水バッグ10の腹水がすべて処理されると、第1のポンプ50が停止し、一連の腹水処理が終了する。
【0060】
本実施の形態によれば、腹水中の有用成分の回収率を向上できるとともに、排液容器14の排液を用いて濃縮器12の濃縮膜40と濾過器11の濾過膜30の洗浄を行うことができる。このため、膜洗浄のための洗浄液や、その洗浄液を入れる容器などを別途設ける必要がなく、濃縮器12や濾過器11の洗浄を簡易な装置で行うことができる。また、腹水処理の全排液量も少なくなることから医療コストを削減することもできる。
【0061】
逆送液手段90は、濃縮器12に送液された排液を第2の送液ライン16及び第5の送液ライン19をこの順に通じて排液容器14に送液することと、濃縮器12に送液された排液を第2の送液ライン16を通じて濾過器11に送液することを選択的に行うことができるように構成されている。このため、濃縮器12の洗浄のみならず、濾過器11の洗浄も好適に行うことができる。
【0062】
逆送液手段90は、第2の送液ライン16に設けられ、濃縮器12から濾過器11側に向けて排液を送液可能な第1のポンプ50を有するので、濃縮器12や濾過器11の洗浄を好適に行うことができる。
【0063】
本実施の形態において、逆送液手段90は、排液容器14の排液を第4の送液ライン18を通じて濃縮器12に逆送液できるものであれば、他の構成を有するものであってもよい。例えば第1のバルブ51及び第2のバルブ52は、第1の実施の形態における送液制御手段20と同様に三方弁や三方活栓などからなる一つのバルブであってもよい。
【0064】
また例えば逆送液手段90は、図13に示すように第2の送液ライン16に設けられた、正逆の両方向に送液可能な第1のポンプ130と、第5の送液ライン19に設けられた、正逆の両方向に送液可能な第2のポンプ131を有し、第5の送液ライン19は、第2の送液ライン16における第1のポンプ130よりも濃縮器12側に接続されていてもよい。
【0065】
かかる場合、例えば第2のポンプ131が停止し、第1のポンプ130が正方向に作動して、腹水バッグ10の腹水が濾過器11、濃縮器12、濃縮腹水バッグ13にこの順で送液され、腹水の濾過・濃縮処理が行われる。その後排液容器14の所定量の排液が収容された場合であって、濃縮器12における濃縮膜40の内側領域の圧力が所定の閾値を超え、濃縮膜40の目詰まりが検出された場合、あるいは濾過器11における濾過膜30の外側領域の圧力が所定の閾値より下がり、濾過膜30の目詰まりが検出された場合には、第1のポンプ130が停止し、第2のポンプ131が逆方向(第5の送液ライン19において排液容器14に向かう方向)に作動して、排液容器14の排液が第4の送液ライン18を通って濃縮器12に送られ、濃縮器12の濃縮膜40が洗浄される。濃縮器12を通過した排液は、第2の送液ライン16及び第5の送液ライン19をこの順に通って排液容器14に戻される。次に、第2のポンプ131が停止し、第1のポンプ130が逆方向に作動し、排液容器14の排液が第4の送液ライン18、濃縮器12、第2の送液ライン16をこの順で通って濾過器11に送られ、濾過器11の濾過膜30が洗浄される。濾過器11を通過した排液は、第6の送液ライン101を通って排出される。その後、排液容器14に所定量の排液が収容されているときに、第1のポンプ130が停止し、第2のポンプ131が正方向(第5の送液ライン19における排液容器14と逆の方向)に作動して、排液容器14の排液が第5の送液ライン19及び第2の送液ライン16をこの順に通って濃縮器12に送られ、濃縮器12で排液が再濃縮される。かかる場合も、腹水の濾過・濃縮処理、濃縮器12と濾過器11の洗浄動作、排液の再濃縮処理を好適に行うことができる。
【0066】
なお、第1のポンプ130及び第2のポンプ131は、腹水処理システム1の筐体において上下の2段に配置されてもよい。かかる場合、ポンプ130、131の設置スペースを減らして腹水処理システム1の大型化を抑制することができる。
【0067】
本実施の形態において濾過器11の洗浄は必ずしも行う必要がなく、濃縮器12の洗浄のみを行ってもよい。また濃縮器12、濾過器11の洗浄を行うタイミングは、圧力測定装置110、112の測定結果に基づかなくてもよく、例えば濾過・濃縮処理が開始されてから所定時間経過後に行うようにしてもよい。
【0068】
(その他の態様)
以上の第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、排液容器14に収容された排液の量を腹水の濾過・濃縮処理時間により把握していたが、図14に示すように排液容器14の重量を計測する検出部としての重量計150を用いてもよい。この場合、重量計150による排液容器14の重量が所定の閾値を超えた場合に、排液容器14に所定量の排液が収容されたこととし、それに基づいて排液容器14の排液の再濃縮処理や、排液容器14の排液を用いた濃縮器12や濾過器11の洗浄動作を行うようにしてもよい。また、重量計150に代えて排液容器14の排液の液面を検出する液面センサ等を用いて排液容器14の排液の量を検出してもよい。
【0069】
その他、腹水処理システム1の構成は、以上の実施の形態のものに限られない。例えば以上の実施の形態において、第1の送液ライン15が濾過器11の濾過膜30の内側領域に接続され、第2の送液ライン16が濾過膜30の外側領域に接続されていたが、その逆、すなわち第1の送液ライン15が濾過膜30の外側領域に接続され、第2の送液ライン16が濾過膜30の内側領域に接続されていてもよい。また、第2の送液ライン16及び第3の送液ライン17が濃縮器12の濃縮膜40の内側領域に接続され、第4の送液ライン18が濃縮膜40の外側領域に接続されていたが、その逆、すなわち第2の送液ライン16及び第3の送液ライン17が濃縮膜40の外側領域に接続され、第4の送液ライン18が濃縮膜40の内側領域に接続されていてもよい。
【0070】
以上の実施の形態において、腹水処理システム1は、腹水バッグ10の腹水を濾過、濃縮して濃縮腹水バッグ13に収容するものであったが、患者の腹水を直接第1の送液ライン15に取り出し、濾過、濃縮するものであってもよい。この場合、第1の送液ライン15の先端に穿刺針が接続されてもよい。また、腹水処理システム1は、濾過、濃縮した濃縮腹水を濃縮腹水バッグ13に収容するものであったが、濃縮腹水を第3の送液ライン17を通じて直接患者に戻すものであってもよい。この場合、第3の送液ライン17の先端に穿刺針が接続されてもよい。
【0071】
以上の実施の形態は、本発明を、腹水を処理する腹水処理システム1に適用した例であったが、本発明は、胸水などの他の体腔液を処理する体腔液処理システムにも適用できる。
【0072】
以上の実施の形態に、濃縮腹水バッグ13の液体を再濃縮するための再循環ラインがあってもよく、また濾過器12を洗浄するための膜洗浄ラインがあってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、体腔液処理システムにおいて、体腔液中の有用成分の回収率を向上する際に有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 腹水処理システム
10 腹水バッグ
11 濾過器
12 濃縮器
13 濃縮腹水バッグ
14 排液容器
15 第1の送液ライン
16 第2の送液ライン
17 第3の送液ライン
18 第4の送液ライン
19 第5の送液ライン
20 送液制御手段
21 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14