(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040651
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】アキシャルギャップ型回転電機、ステータコア
(51)【国際特許分類】
H02K 1/14 20060101AFI20240318BHJP
H02K 1/02 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
H02K1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145125
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】木下 創
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC01
5H601CC05
5H601CC15
5H601DD09
5H601DD12
5H601EE19
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB13
5H601GB48
5H601HH02
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ステータの熱を効率的に除去することが可能なアキシャルギャップ型回転電機を提供することである。
【解決手段】アキシャルギャップ型回転電機100は、回転軸線Laを中心に回転可能なロータ2と、回転軸線Laに平行な軸方向にロータ2と対向して配置されるステータコア4と、ステータコア4に装着されるコイル8と、を備える。ステータコア4は、複数の軟磁性線材41を含み、複数の軟磁性線材41は、中空部46を有する中空軟磁性線材45を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線を中心に回転可能なロータと、
前記回転軸線に平行な軸方向に前記ロータと対向して配置されるステータコアと、
前記ステータコアに装着されるコイルと、
を備え、
前記ステータコアは、複数の軟磁性線材を含み、
前記複数の軟磁性線材は、中空部を有する中空軟磁性線材を含む、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項2】
前記中空軟磁性線材の前記中空部に冷媒が流通する、請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項3】
前記複数の軟磁性線材は、軸方向と交差する方向に伸びる第1軟磁性線材と、軸方向に伸びる第2軟磁性線材と、を含み、前記第2軟磁性線材は、前記中空軟磁性線材と、中実に形成された非中空軟磁性線材とを含む、請求項1または2に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項4】
前記中空軟磁性線材の外径は、前記非中空軟磁性線材の外径よりも大きい、請求項3に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項5】
前記中空部の内径は、前記中空軟磁性線材の外径の40%以上で60%以下である、請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項6】
前記非中空軟磁性線材の外径は、前記中空軟磁性線材の外径の40%以上で60%以下であり、前記非中空軟磁性線材の外径は、前記中空部の内径の80%以上で120%以下である請求項3に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項7】
前記中空軟磁性線材は、前記非中空軟磁性線材の素材と実質的に同一の素材で形成される、請求項3に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項8】
前記第1軟磁性線材は、中実に形成される、請求項3に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項9】
前記第1軟磁性線材は、前記第2軟磁性線材の集合体の周りに巻回される、請求項3に記載のアキシャルギャップ型回転電機。
【請求項10】
複数の軟磁性線材からなるステータコアであって、
前記複数の軟磁性線材は、中空部を有する中空軟磁性線材を含む、ステータコア。
【請求項11】
前記中空軟磁性線材の前記中空部は、冷媒を通過させるための通路である、請求項10に記載のステータコア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキシャルギャップ型回転電機およびステータコアに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータとステータとが軸方向に対向配置されたアキシャルギャップ型回転電機が知られている。例えば特許文献1には、ロータと、ロータに対して空隙を介して軸方向に対向配置されたステータとを備えるアキシャルギャップ型回転電機が記載されている。ステータは、周方向に配置された複数のステータコアと、各ステータコアの周囲に巻回された複数のコイルとを含む。ステータコアは、軟磁性材料からなる複数の線材が軸方向に沿って束ねられた束状コアと、複数の線材のうち少なくとも一部が傾斜した変形コアとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転電機の性能を向上する観点から、回転電機の鉄心材料として、透磁率が高く、鉄損が少なく、飽和磁束密度が高いなどの優れた磁気特性を備えた軟磁性材料が求められる。また、回転電機は、ステータコアの熱を効率的に除去できることが望ましい。しかし、ステータコアの熱を効率的に除去するという観点から、特許文献1は十分な開示がなされていない。
【0005】
本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたもので、熱を効率的に除去することが可能なアキシャルギャップ型回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のアキシャルギャップ型回転電機は、回転軸線を中心に回転可能なロータと、回転軸線に平行な軸方向にロータと対向して配置されるステータコアと、ステータコアに装着されるコイルと、を備える。ステータコアは、複数の軟磁性線材を含み、複数の軟磁性線材は、中空部を有する中空軟磁性線材を含む。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱を効率的に除去することが可能なアキシャルギャップ型回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図1のアキシャルギャップ型回転電機のステータを示す平面図である。
【
図3】
図2のステータのステータコアを示す平面図である。
【
図4】
図3のステータコアのA-A線に沿った断面図である。
【
図5】
図3のステータコアの中空軟磁性線材の付近を拡大して示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0012】
[実施形態]
図面を参照して実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機100(以下、「回転電機100」ということがある)の構成を説明する。なお、本明細書では、回転部を有する電気機械を「回転電機」といい、回転電機は、電動機、発電機、電動機兼発電機を含む。この例の回転電機100は電動機、発電機または電動機兼発電機として使用できる。
【0013】
図1は、回転電機100の一例を模式的に示す側面図である。回転電機100は、ロータ2と、ステータ3を備える。ロータ2は、回転軸線Laを中心に回転可能に設けられる。以下、回転軸線Laに平行な方向を軸方向(図中で上下方向)といい、回転軸線Laと直交する平面において回転軸線Laに直交する方向を径方向といい、回転軸線Laを中心とする円の周方向を「周方向」という。
図1で上側を「上」といい、その反対側を「下」ということがある。このような方向の表記は回転電機100の姿勢を制限するものではなく、回転電機100は任意の姿勢で使用されうる。
【0014】
図1の例では、回転電機100は、2つのロータ2と1つのステータ3を備えるいわゆるダブルロータ構造である。回転電機100では、2つのロータ2が1つのステータ3の上下両側に配置される。ロータ2は、軸受手段28によって、回転軸線Laを中心にして回転可能に支持されている。ロータ2とステータ3とは、軸方向にエアギャップを介して対向する。
【0015】
ロータ2は、ロータヨーク22と、円環状のマグネット24と、シャフト12とを有する。ロータヨーク22は、軟磁性を有する円板である。シャフト12は、回転軸線Laに沿った棒状のステンレス部材で、ロータヨーク22の中心を貫通して配置され、ロータヨーク22に固定される。マグネット24は、ロータヨーク22に接着固定される。マグネット24は、ステータコア4と対向する対向面25に、周方向に所定の間隔で配置された複数(例えば10個)の駆動磁極26を有する。一例として、実施形態のマグネット24は、ネオジウム磁石である。マグネット24は、駆動磁極26から磁路に磁束(以下、単に「磁束F」という)を供給する。駆動磁極26は、磁束Fの矢印の出る側がN極であり、入る側がS極である。
【0016】
例えば、上下2のマグネット24は、一方のマグネット24の駆動磁極26がN極である場合、他方のマグネット24の駆動磁極26がS極になるように配置される。磁束Fは一方のN極から他方のS極に向かって軸方向に流れる。
【0017】
図2も参照してステータ3を説明する。
図2は、回転電機100のステータ3を示す平面図である。ステータ3は、ステータ支持部材33と、複数のステータコア4と、複数のコイル8とを有する。ステータ支持部材33は、非磁性材料からなる円板状の部材である。この非磁性材料として、樹脂素材、炭素素材、ガラス素材、非磁性金属素材、セラミック素材などを採用できる。ステータ支持部材33の中心には軸受手段28が設けられ、軸受手段28にはシャフト12が上下に挿通される。軸受手段28は転がり軸受である。この構成により、ステータ3は、ロータ2を回転可能に支持できる。
【0018】
複数(例えば6個)のステータコア4は、周方向に所定の間隔(例えば60°間隔)でステータ支持部材33に接着固定される。この例では、ステータコア4は、ステータ支持部材33に設けられた孔34に挿通され、ステータ支持部材33の上下に突出する。コイル8は、ステータ支持部材33の上下両側において、ステータコア4それぞれに設けられる。この例のコイル8は、樹脂被覆された銅線がステータコア4に巻回された巻線で、三相電機子巻線として構成される。
【0019】
ステータコア4は、エアギャップを挟んで複数の駆動磁極26と対向する。つまり、ステータコア4は、ロータ2と対向して配置される。ステータコア4は、駆動磁極26からの磁束Fの磁路(磁束Fの通り路)を構成する。複数のコイル8は、複数のステータコア4それぞれに巻回される。複数のコイル8は、ステータコア4を通る磁束Fと鎖交する。ステータコア4とコイル8は電磁石として機能する。
【0020】
図3、
図4、
図5を参照してステータコア4を説明する。
図3は、ステータコア4を示す平面図であり、
図4は、ステータコア4のA-A線に沿った断面図である。
図5は、ステータコア4の中空軟磁性線材45(後述する)の付近を拡大して示す拡大図である。ステータコアを板材や箔材から製造する場合、加工困難性や鉄損増加等の問題を生じることがある。そこで、実施形態のステータコア4は、複数の軟磁性線材41を含んで構成される。
【0021】
軟磁性線材41は、所望の磁気特性を得る観点から、主成分の鉄(Fe)に所定の添加元素を含有できる。この添加元素としては、炭素(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)等が挙げられる。この例の軟磁性線材41は、主成分の鉄(Fe)に0.1質量%~6.0質量%のシリコン(Si)を含有する。添加元素の種類と含有率は、所望の特性に応じて、実験またはシミュレーションにより設定できる。
【0022】
軟磁性線材41は、素材を引き抜き加工などの塑性加工によって、所望の太さの線材に延伸して形成できる。軟磁性線材41の外径(断面の外面に外接する円の直径)は、大きすぎると渦電流損が増え、小さすぎると生産性が低下する。これらから、軟磁性線材41の外径は、所望の特性を得るように実験またはシミュレーションにより設定できる。軟磁性線材41の断面形状は、円形、楕円形、多角形等であってもよい。軟磁性線材41の外表面は、渦電流損を減らす観点から絶縁されてもよい。軟磁性線材41は、加工歪みを減らすため、延伸加工後に所定の熱処理が施される。
【0023】
図3、
図4、
図5を参照して第1軟磁性線材42と第2軟磁性線材43を説明する。
図3は、ステータコア4を示す平面図である。
図4は、ステータコア4のA-A線に沿った断面図である。実施形態では、複数の軟磁性線材41は、軸方向と交差する方向に伸びる第1軟磁性線材42と、軸方向に伸びる第2軟磁性線材43と、を含む。第2軟磁性線材43は、ステータコア4の軸方向寸法に切断され、複数に束ねられて円筒状の集合体を形成する。第1軟磁性線材42は、第2軟磁性線材43の集合体の周りに巻かれた線輪状の集合体を形成する。
【0024】
一例として、第1軟磁性線材42は、磁化容易方向が変化する程度に熱処理が施されてもよい。例えば、第1軟磁性線材42は、線材の延伸方向に交差する方向(例えば直交する方向)磁化容易方向が存在してもよい。例えば、第2軟磁性線材43は、線材の延伸方向に磁化容易方向が存在してもよい。
【0025】
ステータコア4の第1軟磁性線材42が、駆動磁極26と対向するとき、駆動磁極26から供給された磁束Fは、線材の筒状側面から反対側の側面に通過する。ステータコア4の第2軟磁性線材43が、駆動磁極26と対向するとき、駆動磁極26から供給された磁束Fは、線材の端面から反対側の端面に通過する。
【0026】
このように構成された回転電機100の動作を説明する。回転電機100が電動機である場合、コイル8には図示しない駆動回路から三相駆動電流が供給される。これにより、ステータコア4の軸方向端面には回転磁界が発生し、この回転磁界とロータ2の駆動磁極26との相互作用により、ロータ2に回転トルクが出力される。
【0027】
回転電機100が発電機である場合、ロータ2が回転すると、駆動磁極26とステータコア4との位置関係が順次変化する。このことにより、駆動磁極26からステータコア4に供給される磁束量(コイル8との磁束鎖交数)が正弦波状に変化し、コイル8から三相交流電圧が出力される。
【0028】
以上のように構成された回転電機100の特徴構成を説明する。大電流を許容して高出力化することが考えられる。この場合、コイル8の温度上昇が許容範囲を超えて、コイル8の絶縁の劣化を招くおそれがある。このため、ステータ3の温度上昇は小さいことが望ましい。そこで、実施形態の回転電機100は、
図1に示すように、回転軸線Laを中心に回転可能なロータ2と、回転軸線Laに平行な軸方向にロータ2と対向して配置されるステータコア4と、ステータコア4に装着されるコイル8と、を備える。ステータコア4は、複数の軟磁性線材41を含み、複数の軟磁性線材41は、中空部46を有する中空軟磁性線材45を含む。
【0029】
この構成によれば、中空部46を空気を通過することで冷却が促され、温度上昇を抑制できる。また、中空軟磁性線材45は磁束を通すため、別に冷却用の部材を用いる場合よりも、磁気抵抗の増加を抑制できる。また、別の部材を用いる場合よりも、部品点数が減る。中空軟磁性線材45の中空部46は、軟磁性の素材を、熱間または冷間の押出法・押抜法で加工することによって形成できる。
【0030】
ステータ3の温度上昇はより小さいことが望ましい。そこで、実施形態では、中空軟磁性線材45の中空部46に冷媒Rが流通する。この場合、冷却効率を向上できる冷媒Rを中空部46に流通させることにより、温度上昇を一層抑制できる。冷媒Rとしては、公知の種々の冷媒物質を採用できる。冷媒Rは、実験結果に基づいて決定できる。実施形態では、中空部46から出た冷媒Rは、図示しない冷媒循環手段により外部で放熱された後、中空部46に循環する。
【0031】
ステータコア4は、立体的で複雑な形状を有する場合がある。そこで、実施形態では、
図3、
図4に示すように、複数の軟磁性線材41は、軸方向と交差する方向に伸びる第1軟磁性線材42と、軸方向に伸びる第2軟磁性線材43と、を含み、第2軟磁性線材43は、中空軟磁性線材45と、中実に形成された非中空軟磁性線材44とを含む。この場合、複数種類の軟磁性線材を組み合わせることにより、立体的で複雑な形状を構成しやすい。第2軟磁性線材43が非中空軟磁性線材44を含むので、その部分で磁気抵抗を低減できる。
【0032】
図5は、ステータコア4の中空軟磁性線材45の付近を拡大して示す拡大図である。中空軟磁性線材45の外径D1が小さいと、中空部46も小さくなり、冷却機能を十分に発揮できない。そこで、実施形態では、
図5に示すように、中空軟磁性線材45の外径D1は、非中空軟磁性線材44の外径D3よりも大きい。この場合、中空部46を容易に大きくできる。また、非中空軟磁性線材44の外径が大きいと渦電流損が増えるところ、外径を小径化して渦電流損を低減できる。
【0033】
中空部46の内径(断面の内面に内接する内接円の直径)D2が小さいと冷却機能を十分に発揮できず、内径D2が大きいと所望の強度を確保できない。そこで、実施形態では、中空部46の内径D2は、中空軟磁性線材45の外径D1の5%以上で95%以下である。この場合、所望の冷却機能を発揮し、所望の強度を確保できることが期待できる。
【0034】
また、実施形態では、非中空軟磁性線材44の外径D3は、中空軟磁性線材45の外径D1の5%以上で95%以下である。
【0035】
中空軟磁性線材45の素材と、非中空軟磁性線材44の素材の線膨張率が大きく異なると、温度変化による寸法変化の差に起因して変形を生じることが考えられる。そこで、実施形態では、中空軟磁性線材45は、非中空軟磁性線材44の素材と実質的に同一の素材で形成される。温度変化による寸法変化の差を抑制できる。なお、中空軟磁性線材45は、非中空軟磁性線材44の素材と実質的に同一の線膨張率の素材で形成されてもよい。
【0036】
軸方向と交差する方向に伸びる第1軟磁性線材42に中空部を設けることは、製造工数の点で不利である。そこで、実施形態の第1軟磁性線材42は、中実に形成される。中実に形成されるため、第1軟磁性線材42を容易に製造できる。
【0037】
第1軟磁性線材42と第2軟磁性線材43とは緊密に連結されることが望ましい。そこで、実施形態では、第1軟磁性線材42は、第2軟磁性線材43の集合体の周りに巻回される。この場合、第1軟磁性線材42を第2軟磁性線材43に緊密に連結できる。
【0038】
ステータ3の温度上昇は小さいことが望ましい。そこで、実施形態のステータコア4は、複数の軟磁性線材41からなるステータコアであって、複数の軟磁性線材41は、中空部46を有する中空軟磁性線材45を含む。この場合、中空部46を空気を通過することで冷却が促され、温度上昇を抑制できる。また、中空軟磁性線材45は磁束を通すため、磁気抵抗の増加を抑制できる。
【0039】
部品点数は少ない方が望ましい。そこで、実施形態の中空軟磁性線材45の中空部46は、冷媒Rを通過させるための通路である。この場合、冷媒Rの通路を別に設ける場合よりも部品点数を減らせる。
【0040】
以上が実施形態の説明である。
【0041】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0042】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0043】
上記の説明では、ステータコア4が第1軟磁性線材42の集合体と第2軟磁性線材43の集合体とで構成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステータコアは第2軟磁性線材のみで構成されてもよい。
【0044】
上記の説明では、第1軟磁性線材42が、巻回による周回形状を有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1部分は、直線形状、U字形状、C字形状等であってもよい。
【0045】
上記の説明では、回転電機100がダブルロータ構造である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、回転電機は、1つのロータと1つのステータを備える構造であってもよいし、1つのロータを2つのステータで挟む構造であってもよい。
【0046】
上記の説明では、マグネット24が回転軸線Laを囲む円環部材である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、マグネットは、駆動磁極ごとに分割されたセグメント磁石であってもよい。セグメント磁石の形状としては、円形、楕円形、台形、扇形等を採用できる。
【0047】
上記の説明では、マグネット24がネオジウム磁石である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、マグネットは、ネオジウムとは別の希土類元素を主要な成分とする希土類磁石やフェライト磁石であってもよいし、プラスチック磁石であってもよい。
【0048】
上記の説明では、ステータ支持部材33は、非磁性材料からなる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステータ支持部材は、電磁鋼板など軟磁性体を含んでもよい。
【0049】
上記の説明では、軸受手段28が転がり軸受である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、軸受手段は、含油メタル軸受等の滑り軸受であってもよい。
【0050】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0051】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0052】
2 ロータ、 3 ステータ、 4 ステータコア、 8 コイル、 41 軟磁性線材、 42 第1軟磁性線材、 43 第2軟磁性線材、 44 非中空軟磁性線材、 45 中空軟磁性線材、 46 中空部、 100 アキシャルギャップ型回転電機。