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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040669
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A41D13/11 A
A41D13/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145160
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立野 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】田口 登喜生
(57)【要約】
【課題】三つ折り型のマスクにおいて、口元空間を確保しつつ、装着時のくちばし感を軽減させる。
【解決手段】人の口および鼻尖を被覆可能な横長の本体布11と、前記本体布11の上部に連なって鼻筋を被覆可能な上部布12と、前記本体布11の下部に連なって顎を被覆可能な下部布15と、を備え、前記上部布12および前記下部布15を前記本体布11に重なるように折り返すことで折り畳み可能とされた三つ折り型のマスク10であって、前記上部布12は、その端部12Aが、前記本体布11の上端部11Aに沿って前記本体布11と第1接合部21により接合されており、前記第1接合部21の下方において、前記第1接合部21から延びる部分が、少なくとも当該マスク10の横幅方向の中央部において前記本体布11と第2接合部23により接合されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の口および鼻尖を被覆可能な横長の本体布と、前記本体布の上部に連なって鼻筋を被覆可能な上部布と、前記本体布の下部に連なって顎を被覆可能な下部布と、を備え、前記上部布および前記下部布を前記本体布に重なるように折り返すことで折り畳み可能とされた三つ折り型のマスクであって、
前記上部布は、
その端部が、前記本体布の上端部に沿って前記本体布と第1接合部により接合されており、
前記第1接合部の下方において、前記第1接合部から延びる部分が、少なくとも当該マスクの横幅方向の中央部において前記本体布と第2接合部により接合されているマスク。
【請求項2】
前記第1接合部と前記第2接合部との間の寸法は、前記上部布の縦方向の寸法の10~30%の範囲内である請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記本体布は、横幅方向の中央部が上下方向に山形に張り出した形状とされ、
前記第2接合部は前記第1接合部に沿う形で設けられており、
前記第2接合部のうち、前記中央部から左側に設けられた左側第2接合部と前記中央部から右側に設けられた右側第2接合部との間の角度θ2は、前記第1接合部のうち、前記中央部から左側に設けられた左側第1接合部と前記中央部から右側に設けられた右側第1接合部との間の角度θ1以下とされている請求項1または請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記左側第2接合部と前記右側第2接合部との間の角度θ2と、前記左側第1接合部と前記右側第1接合部との間の角度θ1との差は、20°以内である請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記第2接合部の下方に、前記第2接合部に沿う形で、前記本体布と前記上部布とを引き剥がし可能な状態で接合する第3接合部が設けられている請求項1または請求項2に記載のマスク。
【請求項6】
前記下部布は、前記本体布の下端部に沿って前記本体布と下側第1接合部により接合されており、
前記下側第1接合部の上方に、少なくとも当該マスクの横幅方向の中央部において前記本体布と前記下部布とを接合する下側第2接合部が設けられている請求項1または請求項2に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマスクとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたマスクは、口および鼻尖を覆う被覆面と、被覆面の上縁に連なるとともに該被覆面の裏面に位置するように下方に折り曲げ可能とされた上部支持面と、被覆面の下縁に連なるとともに該被覆面の裏面に位置するように上方に折り曲げ可能とされた下部支持面とが一体形成された構成のものである。このようなマスクは、展開して装着する際、口及び鼻尖を覆う部分の空隙を大きく確保することができ、もって、圧迫感が軽減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3167135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した3つ折り型のマスクは、マスク内の口元空間を広く確保することができる一方、装着時、2つ折りマスクやプリーツマスクと比較してマスクが前方に突出するため「くちばし感」が出てしまい、顔の下半分が大きく見えてしまうという事情がある。具体的には、中心部分の被覆面を前方に張り出させるために上部支持面の縦方向の寸法が長く設定されており、これにより、マスク上の鼻尖の位置が実際よりも低い位置に配されることとなって、くちばし感が助長される。
【0005】
そこで、実際の鼻尖の高さとなるよう上部支持面を引き上げると、上部支持面の上端が目と干渉したり、上端が顔面から浮いてしまう。また、上部支持面の縦寸法を単に短くすると、本体布が顔面側に引き寄せられ、口元空間を広く確保することができない。
【0006】
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、3つ折り型のマスクにおいて、口元空間を確保しつつ、装着時のくちばし感を軽減させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)人の口および鼻尖を被覆可能な横長の本体布と、前記本体布の上部に連なって鼻筋を被覆可能な上部布と、前記本体布の下部に連なって顎を被覆可能な下部布と、を備え、前記上部布および前記下部布を前記本体布に重なるように折り返すことで折り畳み可能とされた三つ折り型のマスクであって、前記上部布は、その端部が、前記本体布の上端部に沿って前記本体布と第1接合部により接合されており、前記第1接合部の下方において、前記第1接合部から延びる部分が、少なくとも当該マスクの横幅方向の中央部において前記本体布と第2接合部により接合されている。
【0008】
(2)また、上記マスクは、上記(1)に加え、前記第1接合部と前記第2接合部との間の寸法は、前記上部布の縦方向の寸法の10~30%の範囲内であってもよい。
【0009】
(3)また、上記マスクは、上記(1)または(2)に加え、前記本体布は、横幅方向の中央部が上下方向に山形に張り出した形状とされ、前記第2接合部は前記第1接合部に沿う形で設けられており、前記第2接合部のうち、前記中央部から左側に設けられた左側第2接合部と前記中央部から右側に設けられた右側第2接合部との間の角度θ2は、前記第1接合部のうち、前記中央部から左側に設けられた左側第1接合部と前記中央部から右側に設けられた右側第1接合部との間の角度θ1以下とされていてもよい。
【0010】
(4)また、前記左側第2接合部と前記右側第2接合部との間の角度θ2と、前記左側第1接合部と前記右側第1接合部との間の角度θ1との差は、20°以内であってもよい。
【0011】
(5)また、上記マスクは、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記第2接合部の下方に、前記第2接合部に沿う形で、前記本体布と前記上部布とを引き剥がし可能な状態で接合する第3接合部が設けられていてもよい。
【0012】
(6)また、上記マスクは、上記(1)から上記(5)のいずれかに加え、前記下部布は、前記本体布の下端部に沿って前記本体布と下側第1接合部により接合されており、
前記下側第1接合部の上方に、少なくとも当該マスクの横幅方向の中央部において前記本体布と前記下部布とを接合する下側第2接合部が設けられていてもよい。
【0013】
本明細書に開示される技術によれば、3つ折り型のマスクにおいて、口元空間を確保しつつ、装着時のくちばし感を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係るマスクを折り畳んだ状態の正面図
図2】マスクを折り畳んだ状態の背面図
図3】実施形態1のマスクおよび従来のマスクを装着した状態を比較した正面図
図4】実施形態1のマスクおよび従来のマスクを装着した状態を比較した側面図
図5】実施形態2に係るマスクを折り畳んだ状態の背面図
図6】実施形態2の変形例のマスクの正面図
図7】実施形態3に係るマスクを折り畳んだ状態の背面図
図8】実施形態3のマスクおよび従来のマスクを装着した状態を比較した側面図
図9】実施形態4に係るマスクを折り畳んだ状態の背面図
図10】実施形態4のマスクを装着した状態を示す側面図
図11】他の実施形態に係るマスクを折り畳んだ状態の正面図
図12】他の実施形態に係るマスクを折り畳んだ状態の正面図
図13】他の実施形態に係るマスクを折り畳んだ状態の正面図
図14】他の実施形態に係るマスクを折り畳んだ状態の正面図
図15】他の実施形態に係るマスクを折り畳んだ状態の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1のマスク10を図1から図4によって説明する。以下において、マスク10の裏面とは、当該マスク10を装着した際に顔面と対向する面のことを指すこととする。また、上下方向(縦方向)および左右方向(横方向、横幅方向)は、当該マスク10を装着した際の方向を基準として説明する。
【0016】
図1は合成樹脂繊維製の不織布シートを重ね合わせて構成された本実施形態のマスク10を折り畳んだ状態を示す正面図、図2は同背面図であって、このマスク10は、図4に示すように、展開した状態において、人の口および鼻尖を被覆可能な横長の本体布11と、本体布11の上部に連なって鼻筋を被覆可能な横長の上部布12と、本体布11の下部に連なって顎を被覆可能な横長の下部布15と、を備えて構成されている。
【0017】
本体布11は、横幅方向の中央部が上下方向に山形に張り出した形の、扁平な略六角形状とされている。本体布11の中央部の縦寸法は、マスク10を装着した状態において、鼻尖付近から顎尖付近まで被覆可能な寸法に設定されている。本体布11は概ね上下方向および左右方向に線対称形であるが、下方側の横幅が上方側よりやや狭い形態とされている。なお、上下の幅寸法は同寸法とされていてもよい。
【0018】
上部布12は、本体布11のうち上側に位置して山形に配された2つの上辺11A、および、それら2つの上辺11Aとそれぞれ隣接する2つの側辺11Bと一致する辺を含む、扁平な略五角形状とされている。上部布12の横幅方向の中央部における縦寸法は、本体布11の横幅方向の中央部における縦寸法の半分よりやや大きい寸法とされている。この上部布12のうち、山形の2つの辺12Aと対向する底辺12Cの両端部に隣接する位置には、V字型に大きく切り欠かれた上側切欠部13が設けられている。以下、V字型の上側切欠部13の底部(尖った部分)を、切欠底部13Aとする。
【0019】
上部布12は、その裏面が本体布11の裏面と対向するとともに、上記山形の2つの辺12Aおよびこれらに隣接する2つの辺12Bが、それぞれ、本体布11の山形の2つの上辺11Aおよび2つの側辺11Bと一致するように本体布11に重ね合わされた状態で、5つの辺のうち底辺12Cを除く4つの辺がそれぞれ端縁部に近接した位置において本体布11と超音波溶着により一体に接合されている。以下、この本体布11と上部布12とが接合された部分を、上側第1接合部21と称することとする。上側第1接合部21は、全体として、本体布11の端縁部(上辺11Aおよび側辺11B)に沿って延びるライン状とされている。上側第1接合部21は、多数の点や短い線がライン状に並んだものであってもよい。
【0020】
また、本体布11の2つの上辺11Aの両端部寄りであって、上述した上部布12の上側切欠部13よりも中央側(内側)に配された位置から、本体布11の側辺11Bの上下方向における中央部にかけて、本体布11と上部布12とが超音波溶着により接合されたライン状の上側補助接合部22が設けられている。この上側補助接合部22は、上述した上部布12の上側切欠部13の切欠底部13Aに近接した位置を通るように設定されている。このような上側切欠部13および上側補助接合部22が設けられることにより、当該マスク10を展開した際には、上部布12が上側切欠部13の切欠底部13A付近を両端部として本体布11から立ち上がり、当該マスク10を装着した状態において、上部布12の上端部(底辺12C)が顔面(鼻筋および頬)に密着し易いようになっている。
【0021】
一方、下部布15も、上部布12と同様に、本体布11の山形に配された2つの下辺11Cおよび2つの側辺11Bを含む扁平な略五角形状とされており、その裏面が本体布11の裏面と対向する形で本体布11に重ね合わされた状態で、4つの辺(15Aおよび15B)に近接した位置において本体布11と超音波溶着により一体に接合されている。以下、この接合された部分を、下側第1接合部25とする。さらに、下部布15にも、上部布12と同様の形態の、下側切欠部16および下側補助接合部26が設けられている。このような下側切欠部16および下側補助接合部26により、当該マスク10を装着した状態において、下部布15が顎のラインに密着し易いようになっている。
【0022】
このような構成により、マスク10は、不使用時には本体布11に上部布12および下部布15が重ね合わされた平坦な状態に折り畳まれ、使用する際には展開して立体的にすることができる。
【0023】
上部布12の底辺12C寄りの位置には、プラスチック製または金属製の帯板状の補強部材17が埋設されている。補強部材17は、鼻に沿って変形可能とされている。また、折り畳み状態におけるマスク10の横幅方向の両端部には、装着紐18の両端部が固定されており、装着紐18を耳に引っ掛けることが可能とされている。
【0024】
さらに本実施形態のマスク10は、折り畳み状態における上側第1接合部21の下方に、上側第1接合部21に沿う形で、本体布11と上部布12とが超音波溶着により接合された第2接合部23が設けられている。
【0025】
第2接合部23は、上側第1接合部21のうち本体布11の上辺11Aを接合する部分(側辺11Bを除いた部分)と平行に延びる山形のライン状とされており、上側第1接合部21との間の寸法L1が、上部布12の横幅方向の中央部における縦寸法L2の10~30%の範囲内に設定されている(図2参照)。上側第1接合部21と第2接合部23との間の寸法L1は、上部布12の横幅方向の中央部における縦寸法L2の20%とすることがより好ましい。なお、本実施形態において、上部布12の底辺12Cの横幅方向の中央部には鼻筋を逃がすための凹部14が設けられているが、凹部14が設けられない場合の縦寸法を上部布12の横幅方向の中央部の縦寸法L2とする。
【0026】
第2接合部23は、多数の点や短い線がライン状に並んだものであってもよい。また本実施形態において第2接合部23は上述した上側補助接合部22よりも下方に配置されており、その両端部は、上側補助接合部22の両端部付近と連なっている。
【0027】
本実施形態のマスク10は上述した構成であって、次に、作用効果について説明する。本実施形態のマスク10は、人の口および鼻尖を被覆可能な横長の本体布11と、本体布11の上部に連なって鼻筋を被覆可能な上部布12と、本体布11の下部に連なって顎を被覆可能な下部布15と、を備え、上部布12および下部布15を本体布11に重なるように折り返すことで折り畳み可能とされた三つ折り型のマスク10であって、上部布12は、その端部(辺12A)が、本体布11の上端部(上辺11A)に沿って本体布11と上側第1接合部21により接合されており、上側第1接合部21の下方において、上側第1接合部21から延びる部分が、本体布11と第2接合部23により接合されている。
【0028】
上記構成によれば、マスク10を展開して装着した状態において、鼻筋に沿って配された上部布12の上端(底辺12C)から本体布11までの距離が、第2接合部23を設けない従来の構成と比較して短くなる。つまり、マスク10の顔面からの突出寸法が短くなる。
【0029】
ところで、マスク10の前方への突出寸法を小さくするために、単に上部布12の縦寸法を短くするも考えられる。しかし、マスクの突出寸法だけでくちばし感を軽減させようとすると、口元空間が十分に確保できなくなる程度まで突出寸法を小さくしなければその効果が十分に得られない。
【0030】
このような問題に対し、本実施形態のマスク10は、展開状態における上部布12が、本体布11に対し、本体布11の上端(上辺11A)ではなく、上端(上辺11A)から下方に離隔した第2接合部23に連なる構成とされている。このような構成により、装着時には本体布11が全体的に引き上げられた高い位置に配されることとなり、リフトアップ効果が得られる。
【0031】
このように、本実施形態のマスク10は、突出寸法を短くすることに加え、リフトアップ効果でマスク10上の鼻尖の位置を高くすることで、ある程度の口元空間を確保しながら顔の間延び感を効果的に軽減させ、もって、くちばし感を軽減させることが可能となる。
【0032】
図3および図4はその様子を示すものであって、同図の左側に示す本実施形態のマスク10は、右側に示す従来の、第2接合部23が設けられていないマスク1と比較して、口元空間を確保しつつ、本体布11全体が引き上げられている。これにより、突出寸法が小さくなるとともに、リフトアップ効果が得られ、もって、くちばし感が軽減している。
【0033】
さらに、本実施形態のマスク10は、上部布12と本体布11とは上側第1接合部21により横方向の全体にわたって接合されているから、第2接合部23を点状としたり、部分的に設ける等、第2接合部23を簡易な構成とすることもできる。また、第2接合部23よりも上方部分は上部布12と本体布11とが重なった2層構造とされるから、展開時に本体布11の張りを確保することができ、装着時のマスク10の形状を美しく保つことができる。またこのマスク10は、既存のマスク1に第2接合部23を加えるだけでよく、設備コストも抑制できる。
【0034】
また、上側第1接合部21と第2接合部23との間の寸法は、上部布12の縦方向の寸法の10~30%の範囲内に設定されている。10%より短い場合には、鼻尖を上げる効果が薄くなり、30%より長くなると、マスク10と鼻・口とが接触し易くなり、口元の周囲の空間が確保し難くなるためである。
【0035】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図5によって説明する。本実施形態のマスク30は、実施形態1の上側第1接合部21と第2接合部23との間の寸法L1を横方向において変化させた形態のものである。なお、以下においては実施形態1と異なる構成についてのみ説明するものとし、実施形態1と同様の構成には同じ符号を用いるものとして、重複する説明を省略する。
【0036】
本実施形態のマスク30は、上側第1接合部21と第2接合部33との間の寸法を、中央部ほど短く、両端ほど長くなるように設定したものである。具体的には、第2接合部33のうち、中央部から左側に延びる左側第2接合部33Lと中央部から右側に延びる右側第2接合部33Rとの間の角度θ2が、上側第1接合部21のうち、中央部から左側に延びる左上側第1接合部21Lと中央部から右側に延びる右上側第1接合部21Rとの間の角度θ1より小としたものである(θ1>θ2)。
【0037】
第2接合部33がなす角度θ2は、本体布11の領域内において、左側第2接合部33Lが左上側第1接合部21Lと交差せず、かつ、右側第2接合部33Rが右上側第1接合部21Rと交差しない範囲に設定されている。好ましくは、第2接合部33がなす角度θ2と、上側第1接合部21がなす角度θ1との差は、20度以下であると良い(0°≦θ1―θ2≦20°)。角度の差が20度を超えると、くちばし感が再出し、顔面に対するフィット感も低下するためである。
【0038】
なお本実施形態においても、上記実施形態1と同様に、第2接合部33と上側第1接合部21との間の寸法L1が、いずれの場所においても、上部布12の横幅方向の中央部における縦寸法L2の10~30%の範囲内とすることが好ましい。
【0039】
このような本実施形態のマスク30によれば、上記実施形態1のマスク10(θ1=θ2)と比較して、顔面に対するフィット感をより向上させることができる。
【0040】
<実施形態2の変形例>
図6に示すように、本体布110を、上辺111Aの頂点(中央部)から側辺111Bにかけて一直線でなく、末広がりの形態とすることもできる。このような場合は、破線に示すように、マスク上辺111Aの横幅方向の中央部から端部まで一直線となる線同士がなす角度をθ1として、左側第2接合部33Lと右側第2接合部33Rと間の角度θ2を設定することとする。
【0041】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図7および図8によって説明する。本実施形態のマスク40は、上述した第2接合部33に加えて、第3接合部46を設けた形態のものである。なお、以下においては上記実施形態と異なる構成についてのみ説明するものとし、上記実施形態と同様の構成には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0042】
一般的に、「目~鼻までの距離」と「鼻~顎先までの距離」が1:1である場合に、顔が美しく見えることが知られている。マスクを装着した際も、同様である。
【0043】
そこで本実施形態のマスク40は、本体布11と上部布12との接合部を縦方向に複数並べて設けることにより、マスク40上の鼻尖の位置を装着者の顔に応じて変更可能としたものである。具体的には、第2接合部33の下方に、第2接合部33に概ね沿う形で、本体布11と上部布12とを引き剥がし可能な状態で接合する山形の第3接合部46が設けられている。第3接合部46の両端部は、第2接合部33の両端部と一致している。つまり、上側補助接合部22と連なっている。
【0044】
第3接合部46は、上側第1接合部21および第2接合部33の接合強度と比較して、その接合強度が弱く設定してある。例えば第3接合部46は、上部布12を本体布11に対して引き剥がし可能な粘着剤で接合した部分である。従って、マスク40を展開し、第3接合部46を引き剥がす場合には、上側第1接合部21および第2接合部33の接合状態を保ったまま、第3接合部46だけを引き剥がすことが可能である。
【0045】
このような本実施形態のマスク40によれば、装着者の顔の大きさや好みに合わせ、図8の左側に示す比較的に縦に短い状態と、図8の中央に示す、左側より比較的に縦に長い状態と、を選択して、マスク40を使用することができる。
【0046】
<実施形態4>
実施形態4を図9および図10によって説明する。本実施形態のマスク50は、上記実施形態に示した第2接合部33と同様の形態の下側第2接合部53、および、第3接合部46と同様の形態の下側第3結合部56を、下部布15に設けた形態のものである。
【0047】
このような構成によれば、マスク50の装着時に本体布11の下側から下部布15がはみ出したり、顎付近で下部布15がもたついたりすることが抑制され、顎の周囲をすっきりさせることができる(図10参照)。
【0048】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0049】
(1)上記実施形態において、第2接合部23,33を、本体布11の上辺11Aの全体に沿うライン状とする構成を示したが、本体布11の外観を向上させるべく、第2接合部を部分的に設ける構成としてもよい。具体的には、図11に示すように、第2接合部63をライン状ではなく、点状に設けたり、図12図13に示すように、第2接合部73,83をラインと点の組み合わせで設けることができる。また、第3接合部46についても同様に、部分的に設ける構成とすることができる。
【0050】
(2)また、図14に示すように、第2接合部93が横幅方向の丁度1/2となる位置に設けられない構成も技術的範囲に含まれる。横幅方向の1/2の位置に設けられない場合でも、1/2の位置に隣接する中央部分に設けられた接合部(第2接合部93)により、展開状態において実質的に1/2の部分が第1接合部から離隔した位置から立ち上げられる構成は、技術的範囲に含まれる。
【0051】
(3)さらに、図14に示すように第2接合部93が横幅方向の丁度1/2となる位置に設けられない場合には、図15に示すように、上部布12だけに、折り目として、第2接合部93を延長したライン状の延長部94を超音波溶着によって設けることが好ましい。このように、折り目となる延長部94を設けた場合には、展開時に上部布12の折り目の位置がより明確に規定されるとともに、上部布12の複数の層同士が溶着されて延長部94の硬度が高くなる。このため、延長部94が設けられない場合よりも本体布11の張りをよりしっかり保つことができ、もって、マスクの型崩れが抑制されて、その形状を美しく保つことが可能となる。なお、延長部94もライン状に限らず、例えば点状としてもよい。
【0052】
(4)本体部や上部布および下部布の平面形状は、上記実施形態に限るものでなく、種々変更することができる。
【0053】
(5)上記実施形態3では、第3接合部46をライン状の接合部としたが、第3接合部は、帯状、すなわち、面状の接合部分とすることもできる。そのような構成とした場合には、引き剥がす面積を調整することにより、より好みの突出寸法に本体布を近づけることができる。
【0054】
(6)上記実施形態では、本体布11と上部布12、および、本体布11と下部布15を超音波溶着により接合する形態を示したが、接合方法は超音波溶着に限らず、例えば、接着剤による接着、加熱プレス溶着、縫合等、他の形態とすることもできる。
【0055】
(7)上記実施形態では、耳にかける装着紐18により装着する形態のマスク10,30,40,50を示したが、マスクの装着方法は上記実施形態に限るものでなく、例えば、ヘッドバンドタイプや、紐でなくテープ等により装着する形態のマスクにも適用可能である。
【0056】
(8)接合部の数は上記実施形態に限るものでなく、4本以上とすることもできる。
【0057】
(9)上側に設けられた第2接合部23,33,63,73,83,93または第3接合部46と、下側第2接合部53または下側第3接合部56との組み合わせは、種々変更することができる。
【符号の説明】
【0058】
10,30,40,50:マスク、11,110:本体布、11A:上辺(上端部)、11C:下辺(下端部)、12:上部布、12A:辺(端部)、15:下部布、21:上側第1接合部(第1接合部)、21L:左上側第1接合部(左側第1接合部)、21R:右上側第1接合部(右側第1接合部)、22:上側補助接合部、23,33,63,73,83,93:第2接合部、25:下側第1接合部、26:下側補助接合部、33L:左側第2接合部、33R:右側第2接合部、46:第3接合部、53:下側第2接合部、56:下側第3接合部
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