(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040676
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の制御方法及び機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/00 20060101AFI20240318BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20240318BHJP
E04H 6/14 20060101ALI20240318BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
E04H6/00 A
E04H6/42 F
E04H6/14 601K
E04H6/18 601A
E04H6/18 601G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145170
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
(57)【要約】
【課題】 安全性を確保できるとともに利便性を向上できる機械式駐車装置の制御方法を提供する。
【解決手段】 入庫前に車両搭載手段を乗降室へ呼び出す呼出処理(S1)と、車両搭載手段が乗降室に到着後に、乗降室の出入口扉を開く開扉処理(S2)と、入庫する車両のナンバープレートをカメラで撮影し、ナンバープレートの撮影画像に基づいて車両と関連する利用者識別情報を特定する利用者識別情報特定処理(S8)と、車両が入庫した後、利用者による操作盤への認証操作に基づいて利用者識別情報を認識する利用者識別情報認識処理(S7)と、上記特定した利用者識別情報と上記認識した利用者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理(S9)と、判定結果が一致し、かつ、車両が入庫した後に利用者によって閉扉操作が行われた場合に、出入口扉を閉じる閉扉処理(S10)と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室において車両の入出庫が行われ、前記乗降室の外部に操作盤が設けられた機械式駐車装置の制御方法であって、
前記車両が前記乗降室へ入庫する前に車両搭載手段を前記乗降室へ呼び出す呼出処理と、
前記車両搭載手段が前記乗降室に到着した後に、前記乗降室の出入口扉を開く開扉処理と、
前記乗降室に入庫する車両のナンバープレートをカメラで撮影し、前記カメラで撮影されたナンバープレートの撮影画像に基づいて前記車両と関連する利用者識別情報を特定する利用者識別情報特定処理と、
前記車両が前記乗降室へ入庫した後、利用者による前記操作盤への認証操作に基づいて利用者識別情報を認識する利用者識別情報認識処理と、
前記利用者識別情報特定処理によって特定した利用者識別情報と前記利用者識別情報認識処理によって認識した利用者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理における判定結果が一致し、かつ、前記車両が前記乗降室へ入庫した後に利用者によって前記操作盤に前記出入口扉を閉じるための閉扉操作が行われた場合に、前記出入口扉を閉じる閉扉処理と、
を有する機械式駐車装置の制御方法。
【請求項2】
前記カメラは前記乗降室の内部に設けられ、前記開扉処理によって前記出入口扉が開いた状態で、前記乗降室に入庫する車両のナンバープレートを撮影するように構成されている、
請求項1に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項3】
前記呼出処理の前に行われ、利用者による前記操作盤への認証操作に基づいて利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理をさらに有する、
請求項2に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項4】
前記カメラは前記乗降室の外部に設けられ、前記乗降室の外で待機中の入庫する車両のナンバープレートを撮影するように構成されている、
請求項1に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項5】
前記出入口扉が閉じている状態で、前記乗降室の外で待機中の入庫する車両のナンバープレートを前記カメラで撮影して前記利用者識別情報特定処理を行い、前記利用者識別情報特定処理の後に続いて前記呼出処理を行う、
請求項4に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項6】
前記利用者識別情報特定処理は、
前記カメラで撮影されたナンバープレートの撮影画像に基づいて前記車両の自動車登録番号を認識し、各利用者について利用者識別情報と利用者の車両の自動車登録番号とが予め関連付けられてなる利用者車両情報を参照して、前記認識した自動車登録番号と関連付けられた利用者識別情報を前記車両と関連する利用者識別情報に特定する、
請求項1~5のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項7】
前記利用者識別情報特定処理は、
各利用者について利用者識別情報と利用者の車両のナンバープレートの撮影画像とが予め関連付けられてなる利用者車両情報を参照して、前記カメラで撮影されたナンバープレートの撮影画像と関連付けられた利用者識別情報を前記車両と関連する利用者識別情報に特定する、
請求項1~5のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1~5のいずれかに記載の機械式駐車装置の制御方法によって制御されることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項9】
請求項6に記載の機械式駐車装置の制御方法によって制御されることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項10】
請求項7に記載の機械式駐車装置の制御方法によって制御されることを特徴とする機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の制御方法及び機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置では、通常、車両を入出庫する乗降室の出入口に出入口扉が設けられている。そして、乗降室の出入口近傍の外側には操作盤が設置されており、車両を入出庫する際には、利用者が操作盤を操作することにより、パレットを乗降室に呼び出して出入口扉が開かれる。そして、入庫する際には乗降室のパレット上に車両を停車させ、出庫する際にはパレット上の車両を乗降室から外へ出して停車させる。その後、乗降室内の安全を確認し、操作盤を操作して出入口扉を閉じるようにしている。
【0003】
このような機械式駐車装置において乗降室内に人が閉じ込められるのを防いで安全性を確保するために、例えば、特許文献1では、出入口扉(入出庫扉)を開く前に第1の認証処理を行って出入口扉を開き、その後、車両を入出庫し、出入口扉を閉じる前に第2の認証処理を行い、第1の認証処理の認証情報と第2の認証処理の認証情報とが照合処理で一致した後に、操作盤で閉扉操作がなされると出入口扉を閉じるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の場合、安全性を確保するため、入庫前の認証操作による第1の認証処理における認証情報と、入庫後の認証操作による第2の認証処理における認証情報とを照合して一致した後に閉扉操作がなされると出入口扉を閉じるようにしている。この場合、例えば、入庫前に認証操作等を行って出入口扉を開いた利用者が入庫を取りやめて機械式駐車装置から離れてどこかへ行ってしまった後に、次の利用者が入庫した場合には出入口扉を閉じることができず、利便性が悪い。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、安全性を確保できるとともに利便性を向上することができる機械式駐車装置の制御方法及び機械式駐車装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る機械式駐車装置の制御方法は、乗降室において車両の入出庫が行われ、前記乗降室の外部に操作盤が設けられた機械式駐車装置の制御方法であって、前記車両が前記乗降室へ入庫する前に車両搭載手段を前記乗降室へ呼び出す呼出処理と、前記車両搭載手段が前記乗降室に到着した後に、前記乗降室の出入口扉を開く開扉処理と、前記乗降室に入庫する車両のナンバープレートをカメラで撮影し、前記カメラで撮影されたナンバープレートの撮影画像に基づいて前記車両と関連する利用者識別情報を特定する利用者識別情報特定処理と、前記車両が前記乗降室へ入庫した後、利用者による前記操作盤への認証操作に基づいて利用者識別情報を認識する利用者識別情報認識処理と、前記利用者識別情報特定処理によって特定した利用者識別情報と前記利用者識別情報認識処理によって認識した利用者識別情報とが一致しているか否かを判定する判定処理と、前記判定処理における判定結果が一致し、かつ、前記車両が前記乗降室へ入庫した後に利用者によって前記操作盤に前記出入口扉を閉じるための閉扉操作が行われた場合に、前記出入口扉を閉じる閉扉処理と、を有する。
【0008】
この制御方法によれば、入庫する車両のナンバープレートの撮影画像に基づいて車両と関連する利用者識別情報を特定するとともに、車両が入庫した後の利用者による操作盤への認証操作に基づいて利用者識別情報を認識し、特定した利用者識別情報と認識した利用者識別情報とが一致し、かつ車両が入庫後に利用者によって閉扉操作が行われた場合に、出入口扉を閉じるようにしている。ここで、入庫した後に操作盤に認証操作を行った利用者と閉扉操作を行った利用者とは同一の利用者とみなすことができる。よって、入庫した車両の利用者(運転者)と、入庫後に認証操作および閉扉操作を行った利用者とが一致した場合に出入口扉を閉じるようにしている。つまり、入庫車両の運転者が降車して乗降室から退出し乗降室の外部の操作盤で閉扉操作を行うことによって出入口扉が閉じられることとなり、車内、乗降室内の無人確認をより確実にでき、乗降室内に人が閉じ込められるのを防いで安全性を確保することができる。また、入庫前に出入口扉を開いた利用者が入庫を取りやめて機械式駐車装置から離れてどこかへ行ってしまった後に、次の利用者が車両を乗降室へ入庫しても出入口扉を閉じることができ、利便性を向上することができる。また、前の利用者が出庫した後、出入口扉を閉じるのを忘れた場合でも、次の利用者が入庫して出入口扉を閉じることができ、利便性を向上させることができる。
【0009】
また、前記カメラは前記乗降室の内部に設けられ、前記開扉処理によって前記出入口扉が開いた状態で、前記乗降室に入庫する車両のナンバープレートを撮影するように構成されていてもよい。
【0010】
また、前記呼出処理の前に行われ、利用者による前記操作盤への認証操作に基づいて利用者が予め登録された正規の利用者であることを確認する認証処理をさらに有してもよい。この場合、呼出処理の前の認証処理の対象となった利用者と、入庫後に認証操作を行った利用者とが異なっても、入庫した車両の利用者と、入庫後に認証操作および閉扉操作を行った利用者とが一致した場合に出入口扉を閉じることができる。
【0011】
また、前記カメラは前記乗降室の外部に設けられ、前記乗降室の外で待機中の入庫する車両のナンバープレートを撮影するように構成されていてもよい。この場合において、前記出入口扉が閉じている状態で、前記乗降室の外で待機中の入庫する車両のナンバープレートを前記カメラで撮影して前記利用者識別情報特定処理を行い、前記利用者識別情報特定処理の後に続いて前記呼出処理を行うようにしてもよい。この場合、呼出処理を開始する前の利用者による操作(例えば、前述の呼出処理の前の認証操作)を省略することができる。
【0012】
また、前記利用者識別情報特定処理は、前記カメラで撮影されたナンバープレートの撮影画像に基づいて前記車両の自動車登録番号を認識し、各利用者について利用者識別情報と利用者の車両の自動車登録番号とが予め関連付けられてなる利用者車両情報を参照して、前記認識した自動車登録番号と関連付けられた利用者識別情報を前記車両と関連する利用者識別情報に特定するようにしてもよい。
【0013】
また、前記利用者識別情報特定処理は、各利用者について利用者識別情報と利用者の車両のナンバープレートの撮影画像とが予め関連付けられてなる利用者車両情報を参照して、前記カメラで撮影されたナンバープレートの撮影画像と関連付けられた利用者識別情報を前記車両と関連する利用者識別情報に特定するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明のある態様に係る機械式駐車装置は、上記の機械式駐車装置の制御方法によって制御されることを特徴とする。この構成によれば、上記の機械式駐車装置の制御方法による効果と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上に説明した構成を有し、安全性を確保できるとともに利便性を向上することができる機械式駐車装置の制御方法及び機械式駐車装置を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態における機械式駐車装置の一例の乗降室を平面視で示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す機械式駐車装置の概略を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す機械式駐車装置に車両を入庫するときの手順の一例の概略を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図1に示す機械式駐車装置から車両を出庫するときの手順の一例の概略を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1に示す機械式駐車装置に車両を入庫するときの手順の他の例の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。
【0018】
(実施形態)
図1は、本実施形態における機械式駐車装置の一例の乗降室を平面視で示す模式図である。
図2は、
図1に示す機械式駐車装置の概略を示すブロック図である。
【0019】
以下では、例えば、車両Vが前進して出入口4を通って乗降室3に乗り入れたときに車両Vから視た方向を前後左右として説明する。なお、ここでは、機械式駐車装置1として、エレベータ式駐車装置を例に説明するが、エレベータ式に限らず、垂直循環式、水平多層式、箱型循環式、平面往復式等の駐車装置であってもよい。
【0020】
この機械式駐車装置1は、車両搭載手段であるパレット6が収容される複数の格納部を有する駐車塔2を備えている。ここでは、駐車塔2の1階が乗降室3であり、正面側に乗降室3の出入口4が備えられている。出入口4には上下にスライドして開閉する出入口扉5が設けられ、出入口扉5を開閉する扉開閉装置22(
図2)を備えている。駐車塔2の2階以上の階には、パレット6に搭載された車両Vを格納する複数の格納部が備えられている。例えば、駐車塔2の中央部に鉛直方向に延びる昇降路が設けられ、この昇降路を挟んで両側に、パレット6を格納するための複数段の格納部が鉛直方向に並んで設けられている。各格納部と乗降室3の所定位置(
図1に示されたパレット6の位置)との間でパレット6を昇降路を通過させて搬送する搬送装置21(
図2)を備えている。この搬送装置21には、エレベータ式駐車装置の公知のものを使用でき、詳細は省略する。また、乗降室3の外部の出入口4の近傍には、機械式駐車装置1の操作等を行うための操作盤7が設けられている。ここでは、操作盤7に制御装置8が内蔵されている例を示している。
【0021】
また、乗降室3には、パレット6の前後左右に、乗降室3内において人などの物体を検知する光電センサ、LIDARなどの公知の物体検知センサ11~14が設けられている。また、パレット6上の車両Vを検知する公知の物体検知センサ16が設けられ、出入口4にも公知の物体検知センサ15が設けられている。また、乗降室3内の前方には、入庫する車両のナンバープレートを正面から撮影するカメラ9が設けられている。
【0022】
図1、
図2に示すように、機械式駐車装置1は、操作盤7と、制御装置8と、カメラ9と、物体検知センサ11~16と、搬送装置21と、出入口扉5を開閉する扉開閉装置22と、通信装置31等を有している。操作盤7は、画面に文字及び画像等を表示する表示装置である表示部71、操作入力部72、ICカードの情報を読み取るカードリーダ73、所定の音声案内等を出力するスピーカ74等を備えている。操作入力部72は、例えば、出入口扉5を閉じるために操作する閉扉釦、安全確認釦等を有しており、機械式駐車装置1の利用者等の操作による操作信号を制御装置8へ出力する。操作入力部72は、表示部71と一体化されてタッチパネル付きディスプレイとして構成されていてもよいし、表示部71とは別の操作ボタン等によって構成されていてもよい。
【0023】
制御装置8は、操作盤7の操作入力部72及びカードリーダ73からの信号、カメラ9の撮影画像(画像信号)及び各物体検知センサ11~16からの出力信号を入力し、操作盤7の表示部71及びスピーカ74へ必要な信号を出力する。また、制御装置8は、搬送装置21及び扉開閉装置22の動作を制御する。また、制御装置8は、通信装置31を介して管理センタのサーバ等と通信が可能である。この制御装置8は、CPU等の演算処理部と、ROMおよびRAM等を含みCPUが実行する制御プログラム及び種々のデータ等を記憶する記憶部8mを有しており、CPUが制御プログラムを実行することにより機械式駐車装置1全体を制御する。なお、制御装置8は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0024】
このような機械式駐車装置1では安全のため、制御装置8は、出入口扉5が開かれているときには、搬送装置21を動作させない。よって、車両が乗降室3へ入庫された場合には、必ず出入口扉5を閉じた後でなければ、搬送装置21によって当該車両が搭載されたパレット6を格納部へ搬送することができない。また、本実施形態では、先の利用者の車両が乗降室3から出庫された後は、出入口扉5を閉じることなく、次の利用者の入庫を行うことが可能になる。なお、各格納部には予め番号が付与されており、制御装置8は、入庫車両を搭載したパレット6の格納場所を格納部の番号によって把握している。以下、
図3、
図4を参照して詳しく説明する。
【0025】
図3は、機械式駐車装置1に車両を入庫するときの手順の一例の概略を示すフローチャートである。
【0026】
この機械式駐車装置1の個々の利用者は、機械式駐車装置1を利用することを予め契約した契約者である。利用者(契約者)には、例えば、利用者ごとの利用者識別情報(例えば数字からなる番号または英数字の文字列)が記憶された専用のICカードが貸与されている。制御装置8の記憶部8mには、予め複数の利用者(契約者)の利用者識別情報を含む利用者情報が記憶されている。利用者情報には、各利用者について、利用者識別情報と利用者の車両の自動車登録番号とが予め関連付けられてなる利用者車両情報が含まれる。また、記憶部8mには、利用者の車両が入庫されているか否かを示し、かつ、入庫されている場合には車両が搭載されたパレット6が格納された格納部の番号を含む入出庫情報が、当該利用者の利用者識別情報と関連付けられて記憶されている。この入出庫情報は利用者車両情報に含めて記憶されるようにしてもよい。利用者車両情報に登録される自動車登録番号は、例えば、操作盤7の操作入力部72を操作して制御装置8へ入力することができる。あるいは、機械式駐車装置1専用のアプリケーションソフトウェア(以下、「駐車装置専用アプリ」という)をスマートフォン等の利用者の携帯端末にインストールし、利用者が駐車装置専用アプリを操作して自動車登録番号をサーバ等を介して制御装置8(通信装置31)へ送信するようにしてもよいし、利用者がパソコンやスマートフォン等からインターネットを介して接続した専用の管理サイトから自動車登録番号を入力することで、この入力された自動車登録番号をサーバ等を介して制御装置8(通信装置31)へ送信するようにしてもよい。
【0027】
入庫する利用者である運転者は、車両Vを出入口4の前で停車して、操作盤7のカードリーダ73にICカードをタッチすることにより認証操作を行うと、制御装置8は、ICカードから読み取られた利用者識別情報を認識し、認識した利用者識別情報が記憶部8mに記憶された利用者情報に含まれるいずれかの利用者識別情報と一致するか否かの判定を行い、一致したときに認証操作を行った利用者が予め登録された正規の利用者(契約者)であることを確認する(ステップS1:認証処理)。なお、上記判定結果が一致しなければ、制御装置8は、表示部71及びスピーカ74を用いてエラー報知を行い、次の認証操作を待つ状態に戻る。
【0028】
制御装置8は、認証操作を行った利用者が正規の利用者であることを確認すると、入出庫情報に基づいて利用者の車両が格納されているか否かを判断し、格納されていない場合には、入庫が要求されていると判断して搬送装置21を制御して車両が搭載されていない空きパレット6を格納部から乗降室3へ搬送させる(ステップS2:呼出処理)。そして、空きパレット6が乗降室3に到着すると、扉開閉装置22を制御して出入口扉5を開放させる(ステップS3:開扉処理)。
【0029】
出入口扉5が開放されると、利用者は、車両Vを入庫する(ステップS4)。すなわち、車両Vを乗降室3のパレット6上の所定の停車位置に乗り入れて停車する。
【0030】
そして、利用者は出入口4を通って乗降室3の外へ退出した後、乗降室3内の無人を確認し、操作盤7に設けられている安全確認釦を押す(ステップS5)。続けて、利用者は、認証操作及び閉扉操作を行う(ステップS6)。認証操作は、ステップS1の場合と同様、操作盤7のカードリーダ73にICカードをタッチする操作であり、閉扉操作は、操作盤7に設けられている閉扉釦を押す操作であり、出入口扉5を閉じるための操作である。ここで、認証操作と閉扉操作の順序はどちらが先に行われてもよい。また、認証操作は安全確認操作(安全確認釦を押す操作)の前に行われてもよい。制御装置8は認証操作によって入力される利用者識別情報を認識する(ステップS7:利用者識別情報認識処理)。
【0031】
一方、制御装置8は、例えば利用者が車両を入庫する際に、利用者識別情報特定処理(ステップS8)を行う。
【0032】
このステップS8の利用者識別情報特定処理では、制御装置8は、乗降室3に入庫する車両Vのナンバープレートを乗降室3内に設けられたカメラ9で撮影し、ナンバープレートの撮影画像に基づいて車両Vと関連する利用者識別情報を特定する。より具体的には、制御装置8は、例えば、カメラ9で撮影されたナンバープレートの撮影画像に基づいて車両の自動車登録番号を文字として認識し、利用者車両情報を参照して上記認識した自動車登録番号と関連付けられた利用者識別情報を車両Vと関連する利用者識別情報に特定する。ナンバープレートの撮影画像から自動車登録番号を文字として認識する際、AIを用いて行ってもよい。
【0033】
カメラ9での撮影は、出入口扉5が開いてから、車両が乗降室3のパレット6上の所定位置に停止したときまでの間に行われることが好ましい。これにより、自動車登録番号の認識に時間がかかりカメラ9で撮影してから利用者識別情報の特定までに少し長い時間を要してもステップS7の直後にステップS9を実施できる。カメラ9での撮影は、例えば、出入口扉5が開いた直後から所定時間間隔(例えば0.5秒間隔)で行ってもよいし、出入口扉5が開いた後、車両が乗降室3へ進入し始めたときから所定時間間隔で行ってもよい。車両が乗降室3へ進入し始めたときは、例えば、物体検知センサ14,15で物体が検知され始めたときとして検出することができる。なお、カメラ9で撮影してから自動車登録番号を認識するまでに長い時間を要する場合には、車両が乗降室3のパレット6上の所定位置に停止したとき、例えば、物体検知センサ16で物体が検知され、物体検知センサ13~15で物体が検知されなくなった状態のときにカメラ9の撮影を終了するようにしてもよい。また、カメラ9で撮影してから自動車登録番号を認識するまでの時間が短時間の場合には、自動車登録番号が認識できればカメラ9の撮影を終了するようにしてもよい。また、自動車登録番号の認識において、例えば、2回連続して撮影した撮影画像を用いて認識される自動車登録番号が同じ場合に、その自動車登録番号に確定することにより、認識精度を高めることができる。自動車登録番号が確定されたときカメラ9での撮影や自動車登録番号の認識処理を終了してもよい。また、カメラ9で撮影してから自動車登録番号を認識するまでの時間がごく短時間の場合には、利用者が認証操作及び閉扉操作(ステップS6)を行った直後にカメラ9で撮影を行うようにしてもよい。
【0034】
なお、利用者車両情報の他の例として、利用者車両情報を、各利用者について利用者識別情報と利用者の車両のナンバープレートの撮影画像(画像データ)とが予め関連付けられてなる情報(以下、「情報A」という)としておいてもよい。この場合、前もって、各利用者は例えば前述の駐車装置専用アプリをインストールしたスマートフォン等の携帯端末を用いて車両のナンバープレートを撮影し、この撮影画像とともに利用者識別情報を制御装置8へ送信しておく。これにより、制御装置8は、情報Aからなる利用者車両情報を予め記憶している。この場合、制御装置8は、ステップS8では、情報Aからなる利用者車両情報を参照して、カメラ9で撮影されたナンバープレートの撮影画像と関連付けられる利用者識別情報を車両Vと関連する利用者識別情報に特定する。この際、利用者車両情報に画像データとして登録されているナンバープレートの中から、カメラ9で撮影されたナンバープレートと同一と判定可能な画像データを検索し、検索された画像データと関連付けられる利用者識別情報を車両Vと関連する利用者識別情報に特定する。上記画像データの検索は、AIを用いて行うことができる。
【0035】
なお、上記ステップS8の利用者識別情報特定処理において、カメラ9でナンバープレートが撮影された車両Vと関連する利用者識別情報を特定する処理は、例えば、管理センタのサーバ(管理サーバ)で行うようにしてもよい。この場合、制御装置8は、カメラ9の撮影画像データを通信装置31から管理サーバへ送信する。管理サーバは、カメラ9の撮影画像データに基づいて特定した利用者識別情報を通信装置31へ送信し、制御装置8は、通信装置31で受信した利用者識別情報を取得する。管理サーバには、カメラ9の撮影画像から利用者識別情報を特定するために必要な利用者車両情報等が予め記憶されている。
【0036】
そして、制御装置8は、ステップS7で認識した利用者識別情報と、ステップS8で特定した利用者識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS9)。これら両方の利用者識別情報が一致し、かつ閉扉操作が行われていれば、扉開閉装置22を制御して出入口扉5を閉じる(ステップS10:閉扉処理)。制御装置8は、出入口扉5が完全に閉じられた後、搬送装置21を制御して車両Vが搭載されたパレット6を所定の格納部へ搬送させる。
【0037】
また、ステップS9で、両方の利用者識別情報が一致しなければ、制御装置8は、表示部71及びスピーカ74を用いてエラー報知を行う(ステップS11)。このエラー報知は、例えば、「乗降室内の安全確認(無人確認)からやり直してください」というような内容であってもよい。
【0038】
本実施形態では、出入口扉5が開いた状態で、入庫する車両(入庫対象の車両)のナンバープレートの撮影画像に基づいて車両と関連する利用者識別情報を特定するとともに、車両が入庫した後の利用者による操作盤7への認証操作に基づいて利用者識別情報を認識し、特定した利用者識別情報と認識した利用者識別情報とが一致し、かつ車両が入庫後に利用者によって閉扉操作が行われた場合に、出入口扉5を閉じるようにしている。ここで、入庫した後に操作盤7に認証操作を行った利用者と閉扉操作を行った利用者とは同一の利用者とみなすことができる。よって、入庫した車両の利用者(運転者)と、入庫後に認証操作および閉扉操作を行った利用者とが一致した場合に出入口扉5を閉じるようにしている。つまり、入庫車両の運転者が降車して乗降室3から退出し乗降室3の外部の操作盤7で閉扉操作を行うことによって出入口扉5が閉じられることとなり、車内、乗降室3内の無人確認をより確実にでき、乗降室3内に人が閉じ込められるのを防いで安全性を確保することができる。
【0039】
また、入庫前に出入口扉5を開いた利用者が入庫を取りやめて機械式駐車装置から離れてどこかへ行ってしまった後に、次の利用者がステップS1における認証操作を行うことなく車両を乗降室3へ入庫しても、ステップS9の判定が一致すれば、出入口扉5を閉じることができ、利便性を向上することができる。また、前の利用者が出庫した後、出入口扉5を閉じるのを忘れた場合に、次の利用者がステップS1における認証操作を行うことなく入庫しても、ステップS9の判定が一致すれば、出入口扉5を閉じることができ、利便性を向上させることができる。
【0040】
次に、
図4は、機械式駐車装置1から車両を出庫するときの手順の一例の概略を示すフローチャートである。
【0041】
出庫する利用者は、入庫する場合同様、操作盤7のカードリーダ73にICカードをタッチすることにより認証操作を行うと、制御装置8は、ICカードから読み取られた利用者識別情報を認識し、認識した利用者識別情報が記憶部8mに記憶された利用者情報に含まれるいずれかの利用者識別情報と一致するか否かの判定を行い、一致したときに認証操作を行った利用者が予め登録された正規の利用者(契約者)であることを確認する(ステップS21:認証処理)。なお、上記判定結果が一致しなければ、制御装置8は、表示部71及びスピーカ74を用いてエラー報知を行い、次の認証操作を待つ状態に戻る。
【0042】
制御装置8は、認証操作を行った利用者が正規の利用者であることを確認すると、入出庫情報に基づいて利用者の車両が格納されているか否かを判断し、格納されている場合には、搬送装置21を制御して利用者の車両が搭載されたパレット6を格納部から乗降室3へ搬送させる(ステップS22:呼出処理)。そして、パレット6が乗降室3に到着すると、扉開閉装置22を制御して出入口扉5を開放させる(ステップS23:開扉処理)。
【0043】
出入口扉5が開放されると、利用者は、出入口4を通って乗降室3内へ入り、車両に乗車して出庫する(ステップS24)。利用者は車両を出入口4を通過させて乗降室3の外へ出してから停車させて下車する。
【0044】
次に、ステップS25,S26は、
図3のステップS5,S6と同様の操作であり、利用者は乗降室3内の無人を確認し、操作盤7に設けられている安全確認釦を押す(ステップS25)。続けて、利用者は、入庫時のステップS6と同様の認証操作及び閉扉操作を行う(ステップS26)。制御装置8はステップS26での認証操作によって利用者識別情報を認識し、この利用者識別情報と、ステップS21で認識した利用者識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS27)。これら両方の利用者識別情報が一致し、かつ閉扉操作が行われていれば、扉開閉装置22を制御して出入口扉5を閉じる(ステップS28:閉扉処理)。
【0045】
また、ステップS27で、両方の利用者識別情報が一致しなければ、制御装置8は、入庫時のステップS11と同様のエラー報知を行う(ステップS29)。
【0046】
上記において、ステップS23の開扉処理が行われた後、ステップS24で利用者が車両を出庫中に、例えば入庫のために訪れた次の利用者がステップS1と同様の認証操作(ステップS31)を行う場合がある。この場合、制御装置8は、次の利用者が正規の利用者(契約者)であることを確認する(ステップS31:認証処理)。正規の利用者であることを確認すると、制御装置8は、入出庫情報に基づいて利用者の車両が格納されているか否かを判断し、格納されていない場合には、表示部71及びスピーカ74を用いて入庫案内のアナウンスを行う(ステップS32)。このアナウンスは、例えば、「出庫車が退出した後、すぐに入庫してください」というような内容であってもよい。つまり、この場合、出庫車が退出した後、出入口扉5を閉じることなく、次の利用者の入庫を可能にし、出庫車が乗降室3から出入口4を通って退出した後、次の利用者は車両を乗降室3へ入庫する(ステップS33)。このステップS33は、
図3のステップS4に相当し、この場合、ステップS2の呼出処理及びステップS3の開扉処理を省略できるので、機械式駐車装置1を効率的に運用することができる。なお、出庫車が乗降室3から退出後に自動的に出入口扉5を閉じる機能(以下、「出庫時自動閉扉機能」という)を持つ機械式駐車装置においては、出庫中に次の入庫利用者による認証操作が行われた場合、出庫時自動閉扉機能を停止し、出庫車が乗降室3から退出後も出入口扉5が開いた状態のまま次の入庫利用者による入庫を待つようにしてもよい。
【0047】
出庫時自動閉扉機能を持つ機械式駐車装置では、出庫する車両を搭載したパレットを格納部から乗降室3へ搬送し、出入口扉5を開放した後、出庫時自動閉扉機能を実行する。出庫時自動閉扉機能が実行されると、例えば、制御装置8は、乗降室3内に設置されたセンサ群(例えば、物体検知センサ11~16及び測域センサ等を含むセンサ群)からの出力信号に基づいて、利用者(運転者)の乗降室3への入室を検知後に、車両の乗降室3からの退出および乗降室3内の無人を検知すると、出入口扉5を閉じる(閉扉処理)。
【0048】
また、制御装置8は、前の利用者が車両を出庫中に、次の利用者の認証処理が行われ、次の利用者の車両が格納されている場合には、表示部71及びスピーカ74を用いて出庫案内のアナウンスを行う。このアナウンスは、例えば、「出庫車が退出し、前の利用者によって出入口扉が閉じられた後、次に出入口扉が開いてから出庫してください」というような内容であってもよい。つまり、この場合、制御装置8は、前の利用者によってステップS25,S26が行われ、ステップS27の判定で利用者識別情報が一致してステップS28の閉扉処理を行った後、次の利用者の出庫のための呼出処理(ステップS22)を行う。ここでは、前の利用者が車両を出庫後に安全確認操作(ステップS25)と認証操作及び閉扉操作(ステップS26)とを行っているが、前述の出庫時自動閉扉機能を持つ機械式駐車装置においては、前の利用者による操作(ステップS25,S26)を必要とせず出入口扉5の閉扉処理(ステップS26)を行うことができる。
【0049】
また、本例の機械式駐車装置1のように出庫時自動閉扉機能を持たない機械式駐車装置においても、前の利用者が車両を出庫中に、次の利用者の認証処理が行われた場合には、前の利用者の車両が出庫後に、次の利用者によって安全確認操作と認証操作及び閉扉操作とが行われた場合でも、閉扉処理が行われるように構成してもよい。このように構成することで、前の利用者が出入口扉5の外で車両から降車して出入口扉5を閉じるための操作(ステップS25,S26)を行う必要が無くなる。
【0050】
上記のように本実施形態では、前の利用者が出庫中に次の利用者が認証操作を行えば、適切なアナウンスが行われ、次の利用者が入庫する場合には、前の利用者が出庫した後、出入口扉5を閉じることなく、次の利用者の入庫を可能にし、利便性を向上させ、機械式駐車装置1を効率的に運用することができる。
【0051】
なお、上記では、ステップS1,S6,S21,S26,S31での認証操作にICカードを用いた操作を例示したが、これに限らず、暗証番号による認証、指紋などによる生体認証、スマートフォンを用いた認証など種々の公知の方法を用いることができる。
【0052】
また、乗降室3内のカメラ9に代えて、乗降室3の外に入庫する車両(入庫対象の車両)のナンバープレートを撮影するカメラ19(
図1)が設けられていてもよい。この場合、入庫車両は乗降室3の外に設けられた入庫車両の所定の待機場所に停車して待機する。例えば
図1に実線で示された車両Vは待機場所に停車しており、待機場所は、例えば出入口扉5の前方あるいは斜め前方の所定場所としてもよい。この待機場所で待機中の車両のナンバープレートをカメラ19で撮影し、利用者車両情報を参照して撮影されたナンバープレートの撮影画像に基づいて車両と関連する利用者識別情報を特定する利用者識別情報特定処理を行い、この後に続いて空パレットの呼出処理を行うように構成してもよい。この場合の機械式駐車装置1に車両を入庫するときの手順の概略のフローチャートを
図5に示す。
【0053】
入庫する利用者(運転者)は車両Vを乗降室3の外の所定の待機場所に停車して待機する。この車両Vを検知すると、制御装置8は、車両Vのナンバープレートをカメラ19で撮影し、利用者車両情報を参照して撮影されたナンバープレートの撮影画像に基づいて車両Vと関連する利用者識別情報を特定する利用者識別情報特定処理を行う(ステップS8)。この利用者識別情報特定処理は、
図3のステップS8と同様にして行うことができる。なお、待機場所に停車した車両Vの検知手段は、カメラ19に内蔵されてあってもよいし、カメラ19とは別に設けられてあってもよい。また、カメラ19は待機場所に停車した車両Vのナンバープレートを撮影可能な位置に設置されていればよく、カメラ19の設置位置及び入庫車両の待機場所は、前述の
図1の例に限らず、適宜変更することができる。
【0054】
制御装置8は、利用者車両情報に撮影したナンバープレートの文字(自動車登録番号)または画像データが存在し利用者識別情報を特定できた場合には、当該車両の入庫が要求されていると判断し空パレットの呼出処理を行う(ステップS2)。このステップS2~S7,S9~S11は、
図3の場合と同様であり、以降の説明を省略する。
【0055】
この
図5の場合、
図3における呼出処理(ステップS2)前の認証処理(ステップS1)を省略することができ、利用者はステップS1の認証処理のための認証操作を省略することができる。
【0056】
また、上記の機械式駐車装置1では、各格納部が車高に応じた各車種用に分類されていない場合を例に説明したが、機械式駐車装置1によっては、車高が大きく異なる複数の車種を効率よく駐車できるように、格納部の高さを変えて各格納部が各車種用に分類されている場合がある。つまり、各格納部の高さが、専用の車種の車両の高さに応じて定められている場合がある。例えば、複数の格納部が、普通車用(低車高車用)、ハイルーフ車用(高車高車用)の2つの車種用に分類されている場合には、普通車用の格納部にハイルーフ車を格納することはできない。また、各パレット6が格納される格納部は予め決められているため、例えば、前の利用者の車両が普通車であって出庫した場合に、次の利用者の車両が普通車より車高の高いミドルルーフ車やハイルーフ車であって入庫する場合には、前述のように出庫車が退出した後、出入口扉5を閉じることなく、同じパレット6上へ入庫することはできない。
【0057】
このように格納部が普通車用、ハイルーフ車用に分類されている場合には、例えば、利用者車両情報に利用者の車両の高さに応じた格納部の種類を予め登録しておく。そして、制御装置8は、利用者の認証処理を行った後、利用者車両情報及び入出庫情報を参照して、利用者の車両が格納されていない場合には、登録された種類(普通車用、ハイルーフ車用)に該当する格納部のパレット6を乗降室3へ呼び出すようにすればよい。そして、前の利用者が車両を出庫中に、次の利用者の認証処理が行われ(
図4のステップS31)、次の利用者の車両が格納されていない場合であって、前の利用者の利用者車両情報に登録された格納部の種類と、次の利用者の利用者車両情報に登録された格納部の種類とが同じ場合には、前述のように、出庫に続けての入庫、すなわち、出庫車が退出した後、出入口扉5を閉じることなく、次の利用者の入庫を可能にすることができる。
【0058】
一方、前の利用者と次の利用者とで利用者車両情報に登録された格納部の種類が異なる場合には、制御装置8は、出庫に続けての入庫を不可とし、表示部71及びスピーカ74を用いて、例えば、「出庫車が退出し、前の利用者によって出入口扉が閉じられた後、次に出入口扉が開いてから入庫してください」というような入庫案内のアナウンスを行うようにしてもよい。つまり、この場合、制御装置8は、前の利用者によってステップS25,S26が行われ、ステップS27の判定で利用者識別情報が一致してステップS28の閉扉処理を行った後、次の利用者の入庫のための呼出処理(
図3のステップS2)を行う。ここで、出庫時自動閉扉機能を持つ機械式駐車装置においては、前の利用者による操作(ステップS25,S26)を必要とせず出入口扉5の閉扉処理(ステップS26)を行うことができる。また、本例の機械式駐車装置1のように出庫時自動閉扉機能を持たない機械式駐車装置においても、前の利用者が車両を出庫中に、次の利用者の認証処理が行われた場合には、前の利用者の車両が出庫後に、次の利用者によって安全確認操作と認証操作及び閉扉操作とが行われた場合でも、閉扉処理が行われるように構成してもよい。これにより、前の利用者が出入口扉5の外で車両から降車して出入口扉5を閉じるための操作(ステップS25,S26)を行う必要が無くなる。
【0059】
なお、ハイルーフ車用の格納部の全個数よりもハイルーフ車用の格納部の登録数が少ない場合で、出庫車の登録がハイルーフ車用の格納部であって、次の入庫車の登録が普通車用の格納部である場合には、制御装置8は、出庫に続けての入庫を可能にするようにしてもよい。上記では、複数の格納部が2つの車種用に分類されている場合を例に説明したが、普通車用(低車高車用)、ミドルルーフ車用(中車高車用)、ハイルーフ車用(高車高車用)の3つの車種用に分類されている場合についても同様である。
【0060】
また、前述の
図3を参照して説明した入庫する場合において、入庫前に出入口扉5を開いた前の利用者が入庫を取りやめて機械式駐車装置から離れてどこかへ行ってしまった場合や、前の利用者が出庫した後、出入口扉5を閉じるのを忘れた場合に、次の利用者がステップS1における認証操作を行うことなく車両を乗降室3へ入庫した場合には、制御装置8は、前の利用者の車両の格納部の種類と次の利用者の車両の格納部の種類とが一致するか否かを判定し、一致する場合には次の利用者の入庫を可能とし、一致しない場合には、例えば入庫をやり直す必要がある旨のアナウンスを、表示部71、スピーカ74及び乗降室3内に設けられた報知手段(表示装置、スピーカ)を用いて行うようにすればよい。
【0061】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、安全性を確保できるとともに利便性を向上することができる機械式駐車装置の制御方法及び機械式駐車装置等として有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 機械式駐車装置
3 乗降室
5 出入口扉
6 パレット(車両搭載手段)
7 操作盤
8 制御装置
9,19 カメラ