(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040691
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/407 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
H04N1/407
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145202
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 昌弘
【テーマコード(参考)】
5C077
【Fターム(参考)】
5C077LL04
5C077PP15
5C077PP21
5C077PP52
5C077TT09
(57)【要約】
【課題】原稿画像の全体に対して明るさ補正を行う場合に比較して、より短時間に明るさ補正を行うことができる情報処理装置及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】画像形成装置10は、原稿が設置される設置領域に対する撮影画像のなかの原稿画像における予め定められた条件を満足する画像領域を処理対象領域として明るさ補正を行う補正部11Aを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原稿が設置される設置領域に対する撮影画像のなかの原稿画像における予め定められた条件を満足する画像領域を処理対象領域として明るさ補正を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記撮影画像における前記設置領域において明るさが予め定められた条件で切り替わる境界部と、前記設置領域における外周部とで囲まれた領域で、かつ、明るい側の領域に含まれる前記原稿画像の領域を前記処理対象領域とする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記設置領域における前記原稿の設置面の前記明るい側の領域を除く領域の明るさと、前記明るい側の領域の明るさとの差分を用いて、前記明るさ補正を行う、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記撮影画像がカラー画像である場合、前記設置領域における前記原稿の設置面の前記明るい側の領域を除く領域と、前記明るい側の領域との色差を用いて、前記明るさ補正を行う、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記撮影画像は、原稿押さえ板が未使用の前記設置領域に対する撮影によって得られた撮影画像である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記撮影画像は、書画カメラによって得られた撮影画像である、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記書画カメラによって得られた撮影画像における前記処理対象領域に対して纏めて明るさ補正を行う、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記明るい側の明るさは、日光によるものである、
請求項2~請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
原稿が設置される設置領域に対する撮影画像のなかの原稿画像における予め定められた条件を満足する画像領域を処理対象領域として明るさ補正を行う、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光の影響による画質の低下を抑制するための技術として以下の技術があった。
【0003】
特許文献1には、原稿を原稿台に載せる際に、原稿等が撮影光束を遮ることを防止するとともに迷光等を防止することを目的とした書画台が開示されている。
【0004】
この書画台は、原稿を載せる原稿台と、前記原稿台に載せられた原稿の画像光束を反射する第1ミラーと、前記第1ミラーからの画像光束を反射する第2ミラーと、前記第2ミラーからの画像光束を取り込むカメラとを備えている。そして、この書画台は、前記第1ミラーから前記第2ミラーまでの画像光束を通すために前記原稿台に形成されたアパーチャー部に、該画像光束に沿った形状を有する保護カバーを備えたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、シェーディング補正等の明るさ補正を原稿画像に対して行う場合、太陽光や照明光等の外光が原稿の設置領域の一部のみに入射した場合であっても、原稿画像の全体を補正の対象としており、明るさ補正を行うのに比較的長時間を要する、という問題点があった。
【0007】
本開示の目的は、原稿画像の全体に対して明るさ補正を行う場合に比較して、より短時間に明るさ補正を行うことができる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、原稿が設置される設置領域に対する撮影画像のなかの原稿画像における予め定められた条件を満足する画像領域を処理対象領域として明るさ補正を行う。
【0009】
また、第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記撮影画像における前記設置領域において明るさが予め定められた条件で切り替わる境界部と、前記設置領域における外周部とで囲まれた領域で、かつ、明るい側の領域に含まれる前記原稿画像の領域を前記処理対象領域とするものである。
【0010】
また、第3態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記設置領域における前記原稿の設置面の前記明るい側の領域を除く領域の明るさと、前記明るい側の領域の明るさとの差分を用いて、前記明るさ補正を行うものである。
【0011】
また、第4態様に係る情報処理装置は、第3態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記撮影画像がカラー画像である場合、前記設置領域における前記原稿の設置面の前記明るい側の領域を除く領域と、前記明るい側の領域との色差を用いて、前記明るさ補正を行うものである。
【0012】
また、第5態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記撮影画像が、原稿押さえ板が未使用の前記設置領域に対する撮影によって得られた撮影画像であるものである。
【0013】
また、第6態様に係る情報処理装置は、第5態様に係る情報処理装置において、前記撮影画像が、書画カメラによって得られた撮影画像であるものである。
【0014】
また、第7態様に係る情報処理装置は、第6態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記書画カメラによって得られた撮影画像における前記処理対象領域に対して纏めて明るさ補正を行うものである。
【0015】
また、第8態様に係る情報処理装置は、第2態様~第4態様の何れか1態様に係る情報処理装置において、前記明るい側の明るさが、日光によるものである。
【0016】
更に、上記目的を達成するために、第9態様に係る情報処理プログラムは、原稿が設置される設置領域に対する撮影画像のなかの原稿画像における予め定められた条件を満足する画像領域を処理対象領域として明るさ補正を行う、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
第1態様及び第9態様によれば、原稿画像の全体に対して明るさ補正を行う場合に比較して、より短時間に明るさ補正を行うことができる。
【0018】
第2態様によれば、新たな部材を要することなく、処理対象領域を特定することができる。
【0019】
第3態様によれば、設置面の明るい側の領域を除く領域の明るさと、明るい側の領域の明るさとを用いない場合に比較して、より簡易に明るさ補正を行うことができる。
【0020】
第4態様によれば、色差を用いずに明るさ補正を行う場合に比較して、より高精度に明るさ補正を行うことができる。
【0021】
第5態様によれば、外光の影響を受けやすい状況での撮影画像に対して、より短時間に明るさ補正を行うことができる。
【0022】
第6態様によれば、日光の影響を受けやすい書画カメラによる撮影画像に対して、より短時間に明るさ補正を行うことができる。
【0023】
第7態様によれば、ライン毎に明るさ補正を行う場合に比較して、より短時間に明るさ補正を行うことができる。
【0024】
第8態様によれば、日光による影響を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の全体的な構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る画像形成装置の電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】従来の技術の問題点の説明に供する図であり、室内の照明の影響の一例を示す平面図である。
【
図4】従来の技術の問題点の説明に供する図であり、直射日光の影響の一例を示す平面図である。
【
図5】実施形態に係る画像形成装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、書画カメラによる撮影画角内に直射日光が入射した場合の撮影画像の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、明るさ補正の対象とする領域の導出方法の説明に供する図である。
【
図9】他の実施形態に係る画像形成装置の全体的な構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、本開示の技術の情報処理装置を、オフィス内に設けられ、かつ、書画カメラを有する画像形成装置を対象として適用した場合の形態例について説明する。但し、本開示の技術の適用対象は、オフィスに限るものではなく、店舗、学校、家庭内等といった画像形成装置が設置され得る場所であれば、如何なる場所でも適用対象となり得る。また、本開示の技術の適用対象は、画像形成装置に限るものではなく、例えば、ノートブック型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ等のコンピュータや、携帯電話機等の情報端末等、カメラによる撮影によって得られた画像に太陽光等の外光が入力される可能性のある装置であれば、如何なる装置でも適用対象となり得る。
【0027】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の全体的な構成の一例を示す斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、上面に原稿が置かれる原稿台30、各種情報の表示や各種情報の入力を行うユーザ・インタフェース部(以下、「UI部」という。)40、画像が形成された用紙を排紙するトレイ50、及び各種用紙を給紙する給紙部60を備えている。
【0029】
また、本実施形態に係る画像形成装置10は、原稿台30の上面側を撮影可能に構成された書画カメラ70が設けられている。本実施形態に係る書画カメラ70は、一端部が原稿台30の奥手側に固定されたアーム72の他端部に設けられており、その撮影画角が、原稿台30における原稿配置領域32にほぼ一致するように位置決めされている。
【0030】
なお、本実施形態では、書画カメラ70としてカラーの動画像を撮影するものを適用しているが、これに限るものではない。例えば、モノクロやグレイスケールの動画像を撮影するものを書画カメラ70として適用する形態としてもよい。
【0031】
一方、本実施形態に係るUI部40は、各種スイッチ類を有する入力部14、及び液晶ディスプレイ等により構成された表示部15を備えている。本実施形態に係る表示部15は、ディスプレイの表面側に光透過性を有するタッチパネルが設けられた、所謂タッチパネル・ディスプレイとして構成されている。
【0032】
なお、本実施形態では、画像形成装置10として、画像印刷機能、画像読取機能、及び画像送信機能等を有するデジタル複合機を適用している。但し、この形態に限るものではなく、画像印刷機能のみを有する画像形成装置や、画像印刷機能及び画像読取機能のみを有する画像形成装置等の他の画像形成装置を画像形成装置10として適用する形態としてもよい。
【0033】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の電気系の構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置10の電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、及び上述した入力部14及び表示部15を有するUI部40を備えている。また、本実施形態に係る画像形成装置10は、媒体読み書き装置(R/W)16、通信インタフェース(I/F)部18、及び上述した書画カメラ70を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、UI部40、媒体読み書き装置16、通信I/F部18、及び書画カメラ70はバスBを介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0035】
本実施形態に係る記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、情報処理プログラム13Aが記憶されている。情報処理プログラム13Aは、情報処理プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16に接続され、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの情報処理プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。CPU11は、情報処理プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、情報処理プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0036】
なお、図示は省略するが、画像形成装置10には、画像形成エンジン、画像読取装置等の画像処理に関する装置が備えられていることは言うまでもない。
【0037】
次に、
図3及び
図4を参照して、従来の技術の問題点について説明する。
図3は、従来の技術の問題点の説明に供する図であり、室内の照明の影響の一例を示す平面図である。また、
図4は、従来の技術の問題点の説明に供する図であり、直射日光の影響の一例を示す平面図である。
【0038】
一例として
図3に示すように、書画カメラ70による撮影画角内である原稿台30の原稿配置領域32に対して太陽光が入射されない場合は、室内の照明により、原稿配置領域32の一部領域32Aに当該照明の影響が生じる。この場合、照明光は太陽光に比較して輝度が低く、また、一部領域32Aにおいて明るさが段階的に変化するため、書画カメラ70による撮影によって得られた画像(以下、「撮影画像」という。)に対する影響は限定的である。
【0039】
これに対し、一例として
図4に示すように、太陽光が原稿配置領域32に入射する場合、室内と室外との境界となる窓の枠に沿った部分に対応する直線的な境界部32Bを隔てて、明るい領域32Cと、他の領域32Dとで、極端に輝度が異なることとなる。この結果、撮影画像には、大きな段差を有する光量むらが生じてしまう、という問題点があった。
【0040】
この問題は、本実施形態に係る画像形成装置10のように、自動原稿送り装置や原稿押さえ板がない、書画カメラを有する画像形成装置において生じる可能性が高い。
【0041】
一方で、画像の光量むらを抑制するために、従来、シェーディング補正等の明るさ補正を行っている。画像形成装置10に自動原稿送り装置が設けられている場合や、原稿押さえ板が設けられている場合には、装置内に設けられた撮像部を用いて、主走査方向のラインデータを連続的にスキャンすることで1面分の画像情報を生成する。この場合において明るさ補正を行う場合には、通常、主走査方向のラインデータの取得と同時に明るさ補正を行うことで、1面分の画像情報の生成と同時に明るさ補正を終了させることができる。
【0042】
これに対し、書画カメラは面単位でスキャンを行うため、従来のライン単位でのスキャンと並行した明るさ補正は適用することができない。また、書画カメラによる撮影によって得られた撮影画像については、利便性を高めるため、画像形成等を行う前に、リアルタイムでのスキャン及びプレビュー画像の表示が要求される。
【0043】
このため、書画カメラを有する画像形成装置では、高いスループットを維持しつつ、明るさ補正を行う必要がある。
【0044】
そこで、本実施形態に係る画像形成装置10では、書画カメラ70による撮影によって得られた撮影画像に対して、太陽光による影響を受けた領域のみに絞って、明るさ補正を纏めて行う。
【0045】
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の機能的な構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
図5に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、補正部11Aを含む。画像形成装置10のCPU11が情報処理プログラム13Aを実行することで、補正部11Aとして機能する。
【0047】
本実施形態に係る補正部11Aは、原稿が設置される設置領域(本実施形態では、原稿配置領域32)に対する撮影画像のなかの原稿画像における予め定められた条件を満足する画像領域を処理対象領域として明るさ補正を行う。本実施形態では、補正部11Aによる明るさ補正としてシェーディング補正を適用しているが、これに限るものではない。例えば、撮影画像における太陽光による影響を受けた領域の輝度値を、予め定められた値だけ一律に低下させる補正を、上記明るさ補正として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、上記予め定められた条件として、他の画像領域との境界位置における明るさの差が予め定められた閾値以上である、との条件を適用しているが、これに限るものではない。例えば、予め定められた閾値以上明るい、との条件を、上記予め定められた条件として適用する形態としてもよい。
【0048】
なお、上記閾値としては、当該閾値を適用することで、太陽光による影響を受けた領域と、他の領域とを区分することができる値として、実機を用いた実験や、実機の設計仕様、及び実機が設けられている環境の条件等を用いたコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた値を適用することができる。
【0049】
本実施形態に係る補正部11Aは、上記撮影画像における上記設置領域において明るさが予め定められた条件(本実施形態では、上記閾値以上)で切り替わる境界部と、当該設置領域における外周部とで囲まれた領域で、かつ、明るい側の領域に含まれる原稿画像の領域を処理対象領域とする。
【0050】
また、本実施形態に係る補正部11Aは、上記設置領域における原稿の設置面の上記明るい側の領域を除く領域の明るさと、上記明るい側の領域の明るさとの差分を用いて、明るさ補正を行う。
【0051】
特に、本実施形態に係る補正部11Aは、撮影画像がカラー画像である場合、上記設置領域における原稿の設置面の上記明るい側の領域を除く領域と、当該明るい側の領域との色差を用いて、明るさ補正を行う。
【0052】
更に、本実施形態に係る補正部11Aは、書画カメラ70によって得られた撮影画像における上記処理対象領域に対して纏めて明るさ補正を行う。これは、上述したように、書画カメラにおいては面単位でスキャンを行うためである。
【0053】
次に、
図6~
図8を参照して、情報処理を実行する場合の本実施形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
図6は、本実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0054】
図6に示す情報処理は、ユーザにより、原稿を原稿台30の原稿配置領域32に載せた後、UI部40を介して情報処理の実行が指示された場合に、画像形成装置10のCPU11が情報処理プログラム13Aを実行することで、実行される。
【0055】
図6のステップ100で、CPU11は、書画カメラ70に対して動画像の撮影を開始させる指示を送信する。この指示に応じて、書画カメラ70は動画像の撮影を開始し、記憶部13における予め定められた記憶領域への撮影画像を示す画像情報の記憶を開始する。
【0056】
ステップ102で、CPU11は、記憶部13に記憶された1面分の画像情報を読み出す。ここで読み出した画像情報が示す撮影画像80は、一例として
図7に示すように、太陽光による明るい領域82Cを含むものとなる場合がある。なお、
図7は、本実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、書画カメラ70による撮影画角内に直射日光が入射した場合の撮影画像の一例を示す図である。
【0057】
そこで、ステップ104で、CPU11は、一例として
図8に示すように、撮影画像80の外周部における明るさが予め定められた条件(本実施形態では、上記閾値以上)で変化する点P1及び点P2の特定を試みる。なお、
図8は、本実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、明るさ補正の対象とする領域の導出方法の説明に供する図である。
【0058】
ここで、一例として
図8に示した撮影画像80では、太陽光が入射されているため、点P1及び点P2を特定することができるが、太陽光が入射されていない場合には、これらの2点を特定することができない。
【0059】
そこで、ステップ106で、CPU11は、点P1及び点P2の2点を特定することができたか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ114に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ108に移行する。
【0060】
ステップ108で、CPU11は、特定した点P1及び点P2を用いて、以下に示すように、明るさ補正を実施する領域である処理対象領域を特定する。
【0061】
まず、CPU11は、点P1及び点P2の2点を直線で結ぶことで、境界部82Bを特定する。
【0062】
次いで、CPU11は、境界部82Bと、撮影画像における外周部とで囲まれた領域で、かつ、明るい側の領域(
図8に示す例では、点P1、点P2、点P3、及び点P4で囲まれた領域)に含まれる、原稿画像の領域(
図8に示す例では、点P5、点P6、点P7、及び点P8で囲まれた領域)を処理対象領域として特定する。なお、原稿画像の領域は、原稿台30における原稿配置領域32の原稿が載せられる面の色と、他の色との境界位置を検出することで特定することができるが、原稿画像の領域の特定方法は、この方法に限らないことは言うまでもない。
【0063】
ステップ110で、CPU11は、特定した処理対象領域を対象として明るさ補正を実行する。なお、本実施形態では、上記明るさ補正として、原稿の設置面の通常の領域と、明るい領域82Cとの色差(距離)を、処理対象領域の画素値から減じる処理を適用しているが、これに限るものではない。例えば、原稿の設置面の通常の領域の明るさと、明るい領域82Cの明るさとの差分値を、処理対象領域の画素値から減じる処理を、上記明るさ補正として適用する形態としてもよい。
【0064】
ステップ112で、CPU11は、以上の明るさ補正が施された画像情報を、ステップ102の処理で読み出した画像情報の記憶部13における記憶領域に記憶する。この処理によって記憶部13に記憶された画像情報が用いられて、上述したプレビュー画像が表示部15に表示されることになる。
【0065】
ステップ114で、CPU11は、本情報処理を終了するタイミングとして予め定められた終了タイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ102に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ116に移行する。本実施形態では、上記終了タイミングとして、ユーザにより、UI部40を介して情報処理の終了が指示されたタイミングを適用しているが、これに限るものでないことも言うまでもない。
【0066】
ステップ116で、CPU11は、書画カメラ70に対して動画像の撮影を停止させる指示を送信し、その後に本情報処理を終了する。この指示に応じて、書画カメラ70は動画像の撮影を停止する。
【0067】
なお、上記実施形態では、本開示の技術を、一例として
図1に示す、UI部40が装置の前面側に設けられた画像形成装置10に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本開示の技術を、一例として
図9に示す、UI部40が装置の後面側(
図10に示す例では、書画カメラ70のアーム72)に設けられた画像形成装置10に適用する形態としてもよい。
【0068】
以上、実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0069】
また、上記実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0070】
また、上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU等)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0071】
更に、上記実施形態では、情報処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、情報処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0072】
その他、上記実施形態で説明した画像形成装置10の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0073】
また、上記実施形態で説明した情報処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0074】
(付記)
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原稿が設置される設置領域に対する撮影画像のなかの原稿画像における予め定められた条件を満足する画像領域を処理対象領域として明るさ補正を行う、
情報処理装置。
(((2)))
前記プロセッサは、
前記撮影画像における前記設置領域において明るさが予め定められた条件で切り替わる境界部と、前記設置領域における外周部とで囲まれた領域で、かつ、明るい側の領域に含まれる前記原稿画像の領域を前記処理対象領域とする、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記設置領域における前記原稿の設置面の前記明るい側の領域を除く領域の明るさと、前記明るい側の領域の明るさとの差分を用いて、前記明るさ補正を行う、
(((2)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記プロセッサは、
前記撮影画像がカラー画像である場合、前記設置領域における前記原稿の設置面の前記明るい側の領域を除く領域と、前記明るい側の領域との色差を用いて、前記明るさ補正を行う、
(((3)))に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記撮影画像は、原稿押さえ板が未使用の前記設置領域に対する撮影によって得られた撮影画像である、
(((1)))から(((4)))の何れか1項に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記撮影画像は、書画カメラによって得られた撮影画像である、
(((5)))に記載の情報処理装置。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記書画カメラによって得られた撮影画像における前記処理対象領域に対して纏めて明るさ補正を行う、
(((6)))に記載の情報処理装置。
(((8)))
前記明るい側の明るさは、日光によるものである、
(((2)))から(((4)))の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0075】
(((1)))に係る情報処理装置によれば、原稿画像の全体に対して明るさ補正を行う場合に比較して、より短時間に明るさ補正を行うことができる。
(((2)))に係る情報処理装置によれば、新たな部材を要することなく、処理対象領域を特定することができる。
(((3)))に係る情報処理装置によれば、設置面の明るい側の領域を除く領域の明るさと、明るい側の領域の明るさとを用いない場合に比較して、より簡易に明るさ補正を行うことができる。
(((4)))に係る情報処理装置によれば、色差を用いずに明るさ補正を行う場合に比較して、より高精度に明るさ補正を行うことができる。
(((5)))に係る情報処理装置によれば、外光の影響を受けやすい状況での撮影画像に対して、より短時間に明るさ補正を行うことができる。
(((6)))に係る情報処理装置によれば、日光の影響を受けやすい書画カメラによる撮影画像に対して、より短時間に明るさ補正を行うことができる。
(((7)))に係る情報処理装置によれば、ライン毎に明るさ補正を行う場合に比較して、より短時間に明るさ補正を行うことができる。
(((8)))に係る情報処理装置によれば、日光による影響を補正することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 画像形成装置
11 CPU
11A 補正部11A
12 メモリ
13 記憶部
13A 情報処理プログラム
14 入力部
15 表示部
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
30 原稿台
32 原稿配置領域
32A 一部領域
32B 境界部
32C 明るい領域
32D 他の領域
40 UI部
50 トレイ
60 給紙部
70 書画カメラ
72 アーム
80 撮影画像
82B 境界部
82C 明るい領域
P1~P8 点