IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

特開2024-40696型内成型体、型内成型体の製造方法、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法
<>
  • 特開-型内成型体、型内成型体の製造方法、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法 図1
  • 特開-型内成型体、型内成型体の製造方法、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法 図2
  • 特開-型内成型体、型内成型体の製造方法、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法 図3
  • 特開-型内成型体、型内成型体の製造方法、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法 図4
  • 特開-型内成型体、型内成型体の製造方法、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040696
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】型内成型体、型内成型体の製造方法、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 31/20 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
E01B31/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145209
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】土合 恭平
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA33
2D057CB00
(57)【要約】
【課題】繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の機械的強度の低下を抑制しつつ、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を再利用可能して、廃棄物を削減することができる型内成型体、型内成型体の製造方法、および繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法を提供する。
【解決手段】繊維補強硬化性樹脂発泡成形体2と、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体2の周囲を覆う熱硬化性樹脂層3と、を備える、型内成型体1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の周囲を覆う熱硬化性樹脂層とが一体に硬化されてなる、型内成型体。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂層がガラスを含む充填剤を含有する、請求項1に記載の型内成型体。
【請求項3】
さらに、前記熱硬化性樹脂層の周囲を覆う枠体を備え、前記枠体は前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と同一の材質の発泡成型体からなる、請求項1に記載の型内成型体。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂層がガラスを含む充填剤を含有し、前記熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂と前記充填剤の合計質量に対して前記充填剤の含有量が1質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の型内成型体。
【請求項5】
圧縮強度が40MPa以上である、請求項1に記載の型内成型体。
【請求項6】
せん断強度が7MPa以上である、請求項1に記載の型内成型体。
【請求項7】
繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を成形型に入れる第1の工程と、
前記成形型内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する、型内成型体の製造方法。
【請求項8】
さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記成形型を取り外す第3の工程を有する、請求項7に記載の型内成型体の製造方法。
【請求項9】
前記成形型が、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と同一の材質の発泡成型体からなる、請求項7に記載の型内成型体の製造方法。
【請求項10】
繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を成形型に入れる第1の工程と、
前記成形型内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法。
【請求項11】
さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記成形型を取り外す第3の工程を有する、請求項10に記載の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型内成型体、型内成型体の製造方法、および繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レールを設置する方法としては、バラスト上にまくらぎを設け、その上にレールを支える方法が用いられている。そして、レール上を列車が通過するとまくらぎは列車荷重を受ける。
レールの継ぎ目や分岐部では、レールの曲げ剛性が他の部分に比べて低く、列車荷重により、バラストの圧密化が進んで軌道沈下が生じやすく、列車が通過する際に、軌道が上下する「あおり現象」が発生しやすい。
【0003】
そして、このようなバラストとの摩擦により、まくらぎが摩耗する。特にまくらぎの木口面は摩耗しやすい。そして、この摩耗は、バラストと接触する部分に不均一に発生し、まくらぎの木口面などの表面が凹凸状態となる。
また、分岐部などでは、列車が通過する際、道床横方向(レール方向に対して垂直方向)や、道床縦方向(レール方向に対して平行方向)に加わる力が大きい。したがって、まくらぎの木口部とバラストとの間に作用する力がより強くなり、まくらぎが摩耗しやすい。
【0004】
鉄道用のまくらぎとして、繊維強化樹脂が使われているが、摩耗等により永続的に使用が出来ないため、摩耗したまくらぎを補修または廃棄する必要がある。繊維強化樹脂からなるまくらぎの補修方法としては、例えば、摩耗したFFU(Fiber reinforced Foamed Urethane)を粉砕し、充填剤として再利用する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、FFUは、熱硬化性樹脂発泡体(硬質ウレタン樹脂)をガラス長繊維で強化した構造を有し、プラスチックと天然木材の特徴を併せ持つ軽くて強く腐食しない軽量耐食構造材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-9115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の補修方法は、FFUの粉砕工程を有するために手間が掛かることや、粉体を結着させるために発泡成形体としての機械的強度が低下するという課題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の機械的強度の低下を抑制しつつ、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を再利用可能して、廃棄物を削減することができる型内成型体、型内成型体の製造方法、および繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の周囲を覆う熱硬化性樹脂層とが一体に硬化されてなる、型内成型体。
[2]前記熱硬化性樹脂層がガラスを含む充填剤を含有する、[1]に記載の型内成型体。
[3]さらに、前記熱硬化性樹脂層の周囲を覆う枠体を備え、前記枠体は前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と同一の材質の発泡成型体からなる、[1]に記載の型内成型体。
[4]前記熱硬化性樹脂層がガラスを含む充填剤を含有し、前記熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂と前記充填剤の合計質量に対して前記充填剤の含有量が1質量%以上10質量%以下である、[1]に記載の型内成型体。
[5]圧縮強度が40MPa以上である、[1]に記載の型内成型体。
[6]せん断強度が7MPa以上である、[1]に記載の型内成型体。
[7]繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を成形型に入れる第1の工程と、
前記成形型内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する、型内成型体の製造方法。
[8]さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記成形型を取り外す第3の工程を有する、[7]に記載の型内成型体の製造方法。
[9]前記成形型が、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と同一の材質の発泡成型体からなる、[7]に記載の型内成型体の製造方法。
[10]繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を成形型に入れる第1の工程と、
前記成形型内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法。
[11]さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記成形型を取り外す第3の工程を有する、[10]に記載の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の機械的強度の低下を抑制しつつ、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を再利用可能して、廃棄物を削減することができる型内成型体、型内成型体の製造方法、および繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る型内成型体を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る型内成型体を示し、図1のA-A線に沿う断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る型内成型体の製造方法を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る型内成型体の製造方法を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る型内成型体の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の型内成型体、型内成型体の製造方法、および繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
[型内成型体]
図1は、本発明の一実施形態に係る型内成型体を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る型内成型体を示し、図1のA-A線に沿う断面図である。
なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。
【0013】
図1および図2に示すように、本実施形態の型内成型体1は、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体(以下、「繊維補強発泡成形体」と略すこともある。)2と、熱硬化性樹脂層3と、を備える。熱硬化性樹脂層3は、繊維補強発泡成形体2の周囲(外周)を覆っている。
型内成型体1の形状は、特に限定されないが、例えば、図1に示すように、四角柱状をなしている。
【0014】
「繊維補強硬化性樹脂発泡成形体」
繊維補強発泡成形体2は、樹脂と、繊維とを含む複合体であり、前記樹脂が発泡体からなる成形体である。
繊維補強発泡成形体2を構成する樹脂は、特に限定されないが、型内成型体1を強度の要求される構造材として用いる場合には、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、具体的には、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。軽量かつ高強度な型内成型体1を得るためには、前記樹脂としては、硬質ポリウレタン樹脂の発泡体が好ましい。
【0015】
繊維補強発泡成形体2に含まれる繊維は、補強繊維としての機能を有していれば特に限定されないが、例えば、モノフィラメント、フィブリル化繊維素(髭状の繊維が突き出たもの)、織り糸等が挙げられる。また、繊維は、例えば、ガラス繊維のみでもよく、ガラス繊維に炭素繊維や合成繊維等の補強繊維が複合された複合繊維でもよい。
【0016】
繊維補強発泡成形体2は、一度以上使用されたものでもよいし、未使用のものでもよい。繊維補強発泡成形体2は、建築物、車両船舶、鉄道施設および水処理施設等の用途に用いることができる。繊維補強発泡成形体2の形状は特に限定されない。
【0017】
繊維補強発泡成形体2は、ポリオール化合物、イソシアネート化合物および繊維を含む組成物を、一方向に引き揃えられた強化長繊維束に含浸させてなるものでもよい。
【0018】
繊維補強発泡成形体2は、上記繊維以外の充填材、発泡剤、整泡材、触媒等のその他の成分が含まれていてもよい。前記の各成分の混合方法は、特に限定されない。
【0019】
「熱硬化性樹脂層」
熱硬化性樹脂層3は、繊維補強発泡成形体2の周囲を覆う、一体の層であり、継ぎ目や亀裂等がない。
熱硬化性樹脂層3を構成する熱硬化性樹脂は、特に限定されないが、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂層3は、前記熱硬化性樹脂の発泡体で形成されていてもよい。
【0020】
熱硬化性樹脂層3は、ガラスを含む充填剤を含有していてもよい。前記充填剤としては、例えば、ガラスチップやガラスビーズ等が挙げられる。前記充填剤を含有することにより、熱硬化性樹脂層3の強度が向上する。
【0021】
熱硬化性樹脂層3がガラスを含む充填剤を含有する場合、熱硬化性樹脂と充填剤の合計質量に対して充填剤の含有量が1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。充填剤の含有量が前記下限値以上であると、熱硬化性樹脂層3の強度が向上する。充填剤の含有量が前記上限値以下であると、熱硬化性樹脂層3の強度が向上する。
【0022】
熱硬化性樹脂層3の厚みは、10mm以上であることが好ましい。
【0023】
「型内成型体の強度」
型内成型体1は、圧縮強度が40MPa以上であることが好ましい。
【0024】
型内成型体1の圧縮強度は、JIS E 1203:2007「合成まくらぎ」に準拠して測定することができる。
【0025】
型内成型体1は、せん断強度が7MPa以上であることが好ましい。
【0026】
型内成型体1のせん断強度は、JIS E 1203:2007「合成まくらぎ」に準拠して測定することができる。
【0027】
本実施形態の型内成型体1によれば、繊維補強発泡成形体2の機械的強度の低下を抑制しつつ、繊維補強発泡成形体2を再利用可能して、廃棄物を削減することができる。また、本実施形態の型内成型体1は、繊維補強発泡成形体2の周囲が熱硬化性樹脂層3で覆われて、熱硬化性樹脂層3に継ぎ目や亀裂等がないため、機械的強度や耐候性に優れる。熱硬化性樹脂層3に継ぎ目や亀裂等があると、その部分から型内成型体1が壊れることがある。また、熱硬化性樹脂層3に継ぎ目や亀裂等があると、その部分から内部に水分が侵入して劣化しやくなる。
【0028】
[型内成型体の製造方法]
図3は、本発明の一実施形態に係る型内成型体の製造方法を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係る型内成型体の製造方法を示す斜視図である。
【0029】
本実施形態の型内成型体の製造方法は、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を成形型に入れる第1の工程と、前記成形型内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する。本実施形態の型内成型体の製造方法は、さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記成形型を取り外す第3の工程を有していてもよい。
【0030】
「第1の工程」
図3に示すように、第1の工程では、繊維補強発泡成形体2を成形型10に入れる。第1の工程では、成形型10の内面(内側面、内底面)に離型剤を塗布した後、繊維補強発泡成形体2を成形型10に入れる。繊維補強発泡成形体2が使用されたものである場合、摩耗している面が上面側に来るように、繊維補強発泡成形体2を成形型10に入れる。
【0031】
成形型10は、繊維補強発泡成形体2と成形型10の間に、上述の熱硬化性樹脂を充填できるように、繊維補強発泡成形体2よりも長さと幅が10mm~20mm大きいものを用いることが好ましい。
【0032】
成形型10の材質は、特に限定されないが、例えば、樹脂、金属等が挙げられる。
成形型10を型内成型体1の補強材として用いる場合、成形型10は、繊維補強発泡成形体2と同一の材質の発泡成型体からなることが好ましい。この場合、繊維補強発泡成形体2と成形型10の間に形成した熱硬化性樹脂層3を介して、繊維補強発泡成形体2と成形型10を一体化することができる。そのため、成形型10を取り外す第3の工程が不要となる。
【0033】
「第2の工程」
図4に示すように、第2の工程では、成形型10内に熱硬化性樹脂20を流し込む。この際、繊維補強発泡成形体2の表面上にて、熱硬化性樹脂20が平滑面を形成するように、熱硬化性樹脂20を流し込む。
その後、熱硬化性樹脂20が完全に硬化するまで養生し、繊維補強発泡成形体2と成形型10の間に熱硬化性樹脂層3を形成する。
【0034】
「第3の工程」
第3の工程では、熱硬化性樹脂20が完全に硬化した後、成形型10を180度回転させて、成形型10から型内成型体1を取り外す。
【0035】
本実施形態の型内成型体の製造方法によれば、繊維補強発泡成形体2の機械的強度の低下を抑制しつつ、繊維補強発泡成形体2を再利用可能して型内成型体1を製造することができる。その結果、使用後の繊維補強発泡成形体2の廃棄量を削減することができる。
【0036】
[繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法]
本実施形態の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法は、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を成形型に入れる第1の工程と、前記成形型内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する。本実施形態の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法は、さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記成形型を取り外す第3の工程を有していてもよい。
【0037】
本実施形態の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法において、第1の工程、第2の工程および第3の工程は、上述の本実施形態の型内成型体の製造方法における第1の工程、第2の工程および第3の工程と同様に行うことができる。
【0038】
本実施形態の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の補修方法によれば、繊維補強発泡成形体2の機械的強度の低下を抑制しつつ、繊維補強発泡成形体2を再利用可能して型内成型体1を製造することができる。その結果、使用後の繊維補強発泡成形体2の廃棄量を削減することができる。
【0039】
[他の実施形態]
なお、本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
【0040】
例えば、以下に示すような変形例を採用してもよい。
図5に示すように、型内成型体1は、熱硬化性樹脂層3の周囲を覆う枠体30を備えていてもよい。この場合、枠体30は繊維補強発泡成形体2と同一の材質の発泡成型体からなり、熱硬化性樹脂層3を介して、繊維補強発泡成形体2と枠体30が一体化している。
なお、枠体30は、上記の実施形態の型内成型体の製造方法で用いられる成形型10である。
このように繊維補強発泡成形体2と枠体30が一体化していることにより、型内成型体1の強度がより向上する。
【実施例0041】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
「実施例1」
繊維補強硬化性樹脂発泡成形体として、合成まくらぎを用意した。合成まくらぎとしては、商品名:エスロンネオランバーFFU74(積水化学工業株式会社製)を用いた。
ポリウレタン(商品名:スミフェンTM、住化コベストロウレタン株式会社製)と、イソシアネート硬化剤(MDI:Methylene Diphenyl Isocyanate、商品名:スミジュール44V10、住化コベストロウレタン株式会社株式会社製)とを、質量比で1:1の割合で混合し、撹拌した。
内面に離型剤を塗布した熱硬化性樹脂製製の成形型内に合成まくらぎを入れた後、成形型内に撹拌した樹脂を流し込んだ。
樹脂が完全に硬化するまで養生して、合成まくらぎと成形型の間に熱硬化性樹脂層を形成し、型内成型体を得た。
その後、成形型を180度回転させて、成形型から型内成型体を取り外した。
【0043】
「実施例2」
熱硬化性樹脂層にガラスチップを含有させた。熱硬化性樹脂層を形成する熱硬化性樹脂とガラスチップの合計質量に対してガラスチップの含有量を5質量%とした。
その他の点は実施例1と同様にして、型内成型体を得た。
【0044】
「比較例1」
実施例1、2で用いた合成まくらぎを用いた。
【0045】
[圧縮強度の評価]
実施例1、2で得られた型内成型体、および比較例1の合成まくらぎを切断加工し、合成まくらぎに関する日本工業規格JIS E 1203:2007「合成まくらぎ」に従って、20mm×20mm×40mmの直六面体を作製した。
実施例1、2および比較例1の直六面体について、JIS E 1203:2007「合成まくらぎ」に準拠して縦圧縮試験を行った。結果を表1に示す。
表1に示す結果から、実施例1、2の型内成型体は、70.2MPa~77.2MPaの圧縮強度を発現し、比較例1の合成まくらぎよりも強度が高いことが分かった。
【0046】
[せん断強度の評価]
実施例1、2で得られた型内成型体、および比較例1の合成まくらぎを切断加工し、40mm×50mm×52mmの直六面体を作製し、その直六面体の中央部に10mm×10mmの切欠きを形成した。
実施例1、2および比較例1の直六面体について、JIS E 1203:2007「合成まくらぎ」に準拠してせん断強さ試験を行った。結果を表1に示す。
表1に示す結果から、実施例1、2の型内成型体は、25.0MPa~27.5MPaのせん断強度を発現し、比較例1の合成まくらぎよりも強度が高いことが分かった。
【0047】
【表1】
【符号の説明】
【0048】
1 型内成型体
2 繊維補強硬化性樹脂発泡成形体(繊維補強発泡成形体)
3 熱硬化性樹脂層
10 成形型
20 熱硬化性樹脂
30 枠体
図1
図2
図3
図4
図5