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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040699
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20240318BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20240318BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
F25D23/02 304E
F25D23/02 305A
F25D21/04 E
F25D23/00 305B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145214
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新井 祐志
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA06
3L102KB04
3L102KC03
3L102KD09
3L102KE04
3L102LE02
3L102MA02
3L102MB22
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、観音開き式の扉において真空断熱材の共用化を図ることにより、生産性に優れた冷蔵庫を提供することにある。
【解決手段】
中央部から両側に開く左扉2a及び右扉2bを備え、左扉2a及び右扉2bのそれぞれが前板21および後板と、前板21と後板との間に設けられた真空断熱材20と、を有する冷蔵庫であって、左扉2aに設けられた第1真空断熱材201と右扉2bに設けられた第2真空断熱材202とは、同一サイズ規格の真空断熱材である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部から両側に開く左扉及び右扉を備え、前記左扉及び前記右扉のそれぞれが前板および後板と、前記前板と前記後板との間に設けられた真空断熱材と、を有する冷蔵庫であって、
前記左扉に設けられた第1真空断熱材と前記右扉に設けられた第2真空断熱材とは、同一サイズ規格の真空断熱材である冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記左扉及び前記右扉のうちいずれか一方の扉は、他方の扉との間の隙間に設けられる回転仕切体が設けられ、
前記回転仕切体は、前記後板の側に配され、回転仕切体コードが引き出されており、
前記一方の扉の真空断熱材は、前記前板の側に配され、水平方向視で前記回転仕切体コードが引き出されている部分と、空間を隔てて対向している冷蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の冷蔵庫において、
前記前板は、曲げ剛性が500N・mm以上の材料で形成されている冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記左扉及び前記右扉のうちいずれか一方の扉は、他方の扉との間の隙間に設けられる回転仕切体が設けられ、
前記回転仕切体は、前記後板の側に配され、回転仕切体コードが引き出されており、
前記一方の扉の真空断熱材は、前記後板の側に配され、水平方向視で前記回転仕切体コードが引き出されている部分を避けるように、切欠き形状部が設けられている冷蔵庫。
【請求項5】
請求項4に記載の冷蔵庫において、
前記他方の扉は、前記一方の扉の前記真空断熱材を、前後方向を軸として略半回転させた向きに相当する向きの真空断熱材を備え、
前記一方の扉の前記真空断熱材と前記他方の扉の前記真空断熱材とは、耳折部が前記前板の側に形成され、接着剤又はテープで前記後板に固定されている冷蔵庫。
【請求項6】
請求項4に記載の冷蔵庫において、
前記他方の扉は、前記一方の扉の前記真空断熱材を、上下方向を軸として略半回転させた向きの真空断熱材を備え、
前記一方の扉の前記真空断熱材と前記他方の扉の前記真空断熱材とは、耳折部が互いに、前後方向において反対側に形成され、
耳折部が前記後板の側にある真空断熱材は、テープで前記後板に固定されている冷蔵庫。
【請求項7】
中央部から両側に開く左扉及び右扉を備え、前記左扉及び前記右扉のそれぞれが前板および後板と、前記前板と前記後板との間に設けられた真空断熱材と、を有する冷蔵庫であって、
前記左扉に設けられた第1真空断熱材と前記右扉に設けられた第2真空断熱材とは、左右又は上下の少なくとも一方において非対称となる形状を有し、
前記第1真空断熱材及び前記第2真空断熱材は、前記左扉及び前記右扉の両方で使用可能な共用部品として構成されている冷蔵庫。
【請求項8】
請求項7に記載の冷蔵庫において、
前記第1真空断熱材及び前記第2真空断熱材は、切欠き形状部を有し、
前記第1真空断熱材の前記切欠き形状部と前記第2真空断熱材の前記切欠き形状部とは、前記第1真空断熱材と前記第2真空断熱材とが単体において、同じ形状、且つ同じ大きさであり、前記第1真空断熱材及び前記第2真空断熱材の同じ位置に設けられている冷蔵庫。
【請求項9】
請求項8に記載の冷蔵庫において、
前記第1真空断熱材と前記第2真空断熱材とは、前記左扉と前記右扉とで、前記切欠き形状部の上下方向における位置、または左右方向における位置の少なくとも一方が異なる位置となるように、前記左扉及び前記右扉のそれぞれに配置される冷蔵庫。
【請求項10】
請求項8に記載の冷蔵庫において、
前記第1真空断熱材と前記第2真空断熱材とは、前記左扉と前記右扉とで、裏表が逆向きとなるように、前記左扉及び前記右扉のそれぞれに配置される冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内箱と外箱との間に断熱材が充填され、正面を開口とした断熱箱体と、断熱箱体の正面の開口を塞ぐ観音式の扉と、を備えた冷蔵庫が記載されている。特許文献1の冷蔵庫の扉は、冷蔵庫室内側の側面が開口する扁平な箱形の外板と、冷蔵庫前方に開口する扁平な箱形で、外板にそれぞれの開口側を対向させた状態で固定される内板と、外板と内板との間にそれらの対向面の全面に挟み込まれるように配置された真空断熱材と、を備え、外板と内板とは、断熱箱体に回動可能に装着するためのヒンジ部を上下に有する。特許文献1の冷蔵庫では、ヒンジなどの固く、動きのある部材から真空断熱材を保護するために、真空断熱材は、ヒンジ部に近接する角部分を面取りされた形状に形成されている(要約および図9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-141630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の観音開き式の扉では、ヒンジなどの固く、動きのある部材から真空断熱材を保護することに配慮しているが、観音式の二つの扉において、真空断熱材を共用化することについては配慮がない。
【0005】
本発明の目的は、観音開き式の扉において真空断熱材の共用化を図ることにより、生産性に優れた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、
中央から両側に開く左扉及び右扉を備え、前記左扉及び前記右扉のそれぞれが前板および後板と、前記前板と前記後板との間に設けられた真空断熱材と、を有する冷蔵庫であって、
前記左扉に設けられた第1真空断熱材と前記右扉に設けられた第2真空断熱材とは、同一サイズ規格の真空断熱材である。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、
中央から両側に開く左扉及び右扉を備え、前記左扉及び前記右扉のそれぞれが前板および後板と前記前板と前記後板との間に設けられた真空断熱材とを有する冷蔵庫であって、
前記左扉に設けられた第1真空断熱材と前記右扉に設けられた第2真空断熱材とは、左右又は上下の少なくとも一方において非対称となる形状を有し、
前記第1真空断熱材及び前記第2真空断熱材は、前記左扉及び前記右扉の両方で使用可能な共用部品として構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、観音開き式の扉において真空断熱材の共用化を図ることにより、生産性に優れた冷蔵庫を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る冷蔵庫の外観を示す正面図。
図2】本発明に係る冷蔵庫の冷蔵室に用いられる左扉を斜め前側から見た外観斜視図。
図3図2の左扉の前板を裏側(後方)から見た斜視図。
図4図2の左扉の後板を裏側(後方)から見た斜視図。
図5】本発明に係る冷蔵庫の左扉に配される回転仕切体の配線を示す平面図。
図6図5のVI部を拡大して示す拡大図。
図7】本発明に係る冷蔵庫の冷蔵室に用いられる左右の扉に配される真空断熱材の一例を示す平面図。
図8】本発明に係る冷蔵庫の左右の扉に配された真空断熱材の一実施例(実施例1)を示す平面図。
図9】本発明に係る冷蔵庫の左右の扉に配された真空断熱材の一実施例(実施例2)を示す平面図。
図10】本発明に係る冷蔵庫の左右の扉に配された真空断熱材の一実施例(実施例3)を示す平面図。
図11】本発明に係る冷蔵庫の左右の扉に配された真空断熱材の一実施例(実施例4)を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例に係る冷蔵庫について、図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る冷蔵庫1の外観を示す正面図である。
【0011】
上下方向および左右方向が図1に示すように定義される。上下方向は、冷蔵庫1が水平面に設置された状態において、鉛直方向に一致する。左右方向は水平面に平行で、かつ図1の紙面に平行な方向である。左右方向は、冷蔵庫1の幅方向と一致する。上下方向および左右方向のほか、前後方向が図1の紙面に垂直な方向に定義される。前後方向は、水平面に平行であり、奥行き方向と呼ぶ場合もある。
【0012】
冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、左右に並設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1は、それぞれの貯蔵室の開口を開閉する扉を備えている。これらの扉は、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室扉2a,2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室扉3aと、上段冷凍室扉4aと、下段冷凍室扉5aと、野菜室扉6aとで構成される。なお、本実施例では、5つの貯蔵室、6つの扉を有する冷蔵庫を例に挙げて説明するが、貯蔵室および扉の構成は、上述した構成の冷蔵庫に限定される訳ではない。引出式の扉にはそれぞれ、収納容器と、前後に延在する扉側レールが設けられており、冷蔵庫1の内箱(不図示)側のレールに例えば摺動可能である。
【0013】
冷蔵室2は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5は、庫内を冷凍温度帯の例えば平均的に-18℃程度にした冷凍貯蔵室である。野菜室6は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に6℃程度にした冷蔵貯蔵室で、間接的な冷却により、食品の乾燥を抑えた冷蔵貯蔵室である。
【0014】
下段冷凍室5の後側には、各貯蔵室内を冷却する冷却器が配置されている。図示は省略するが、冷却器、圧縮機、凝縮器、およびキャプラリーチューブが接続され、冷凍サイクルが構成される。そして、冷却器の上方には、冷却器にて冷却された冷気を循環させるための送風機が配置され、送風機の下流には貯蔵室内に冷気を吐出する吐出口が形成されている。なお、冷却器は複数あっても良く、配置は下段冷凍室5の後側に限定されるものではなく、冷蔵室2の後側に配置されてもよい。
【0015】
引出式の扉は、引出式の扉に接続された扉側のレール(不図示)が内箱のレール(不図示)に接続され、内箱に支持される。引出式の扉又は扉側レールには食品を収納可能な容器が取付けられ、引出式の扉とともに移動する。
【0016】
冷蔵庫1の本体は、金属製の外箱7と、合成樹脂製の内箱(不図示)と、外箱7と内箱との間に充填された硬質ウレタンフォーム等の発泡断熱材や真空断熱材を含む断熱材と、によって形成される断熱箱体で構成される。
【0017】
冷蔵室2と、製氷室3および上段冷凍室4とは、略水平な面として配された断熱仕切部10によって隔てられている。また、下段冷凍室5と野菜室6とは、略水平な面として配された断熱仕切部11によって隔てられている。これらの断熱仕切部10,11は、異なる温度帯の貯蔵室を区画する部分に設けられ、冷凍温度帯室の冷気によって冷蔵温度帯室内が冷え過ぎないようにする役割を果たす。
【0018】
さらに、外箱7と内箱との間には、発泡断熱材に加えて、発泡断熱材よりも熱伝導率の低い真空断熱材が実装されることで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能が高められている。
【0019】
図2乃至図4を参照して、冷蔵室2の開口を開閉する冷蔵室扉2a,2bについて説明する。図2は、本発明に係る冷蔵庫1の冷蔵室2に用いられる左扉2aを斜め前側から見た外観斜視図である。図3は、図2の左扉の前板を裏側(後方)から見た斜視図である。図4は、図2の左扉の後板を裏側(後方)から見た斜視図である。
【0020】
左扉2a及び右扉2bは、一部の構成(例えば、回転仕切体24)を除いて、左右対称に、同様に構成されている。このため、ここでは左扉2aを取り上げ、左扉2aについて説明する。
【0021】
左扉2aは、前板21と後板22とが組み合わされて構成されており、前板21と後板22との間には断熱材として発泡断熱材(不図示)と真空断熱材20(図5および図6参照)とが配されている。前板21は庫外に露出する部材であり、外板とも呼ばれる。後板22は庫内に面する部材であり、内板とも呼ばれる。
【0022】
冷蔵室2の左扉2a及び右扉2bは、中央部から両側に開く観音開き式の扉として構成される。このために、左扉2aは、左縁の上下端側それぞれに差し込まれた左ヒンジを備える。右扉2bは、右縁の上下端側それぞれに差し込まれた右ヒンジを備える。
【0023】
図2において、23は左扉2aの左縁の上端側に差し込まれる左ヒンジ用の差し込み部を示す。図2では左扉2aの上端側の差し込み部23のみを図示しているが、左縁の下端側にも左ヒンジ用の差し込み部23が設けられている。また、左扉2a及び右扉2bは、一部の構成(例えば、回転仕切体24)を除いて、左右対称に、同様に構成されており、右扉2bには、右縁の上下端側に右ヒンジ用の差し込み部23が設けられている。
【0024】
図2において、24は回転仕切体を示す。回転仕切体24は、左扉2aと右扉2bとのうち、一方の扉に設けられ、左扉2aと右扉2bとが閉じられた状態において、左扉2aと右扉2bと間の隙間に設けられ、左扉2aと右扉2bと間の隙間を塞ぐ。本実施例では、回転仕切体24は左扉2aに設けられるものとし、図4に示すように、左扉2aの後板22に取り付けられている。回転仕切体24は右扉2bに設けられてもよい。
【0025】
回転仕切体24は、左扉2aの側縁に回動自在に連結され、左扉2aとともに動作する。また、回転仕切体24は、左扉2aを閉じたときに左扉2aに対して起立し(突出し)、左扉2aと右扉2bとの間に形成される隙間を断熱する。また、左扉2aを開く際には、回転仕切体24は左扉2a側に倒れて収納され、回転仕切体24が右扉2bと接触しないように構成されている。
【0026】
図5を参照して、回転仕切体24の配線について説明する。図5は、本発明に係る冷蔵庫1の左扉2aに配される回転仕切体24の配線を示す平面図である。図6は、図5のVI部を拡大して示す拡大図である。
【0027】
回転仕切体24にはヒータ(不図示)が設けられ、庫内と庫外の温度差により生じる結露を防ぐ。このヒータに通電するため、回転仕切体24からは回転仕切体コード25が引き出されており、左扉2aには回転仕切体コード25が配線されている。
【0028】
回転仕切体コード25を配線するため、左扉2aの後板22には回転仕切体コード25を挿通する挿通孔26が設けられている。
【0029】
図7を参照して、真空断熱材20について説明する。図7は、本発明に係る冷蔵庫1の冷蔵室2に用いられる左右の扉2a,2bに配される真空断熱材20の一例を示す平面図である。
【0030】
真空断熱材20は、芯材(不図示)とこの芯材を封入する袋体とを有する。袋体は芯材が入れられるため、芯材よりも大きい。袋体は芯材が入れられた後、袋体の側縁20a’~20d’を芯材の側縁部に沿って20a~20dまで折り返すことで、芯材の大きさに相当する大きさに成形される。側縁20a’~20d’の折り返しにより、真空断熱材20の周縁部には袋体の耳折部(折り曲げ部、折り返し部)20a1~20d1が形成される。
【0031】
真空断熱材20は、適宜、切欠き形状部20eが設けられる。例えば、真空断熱材20が図6の挿通孔26を塞いで回転仕切体コード25を配線できない場合、挿通孔26を避けるように、真空断熱材20には切欠き形状部20eが設けられる。
【0032】
切欠き形状部20eは挿通孔26を避けるために必要な形状に芯材を取り除き、芯材を取り除いた縁部(切欠き部)20e’に沿って袋体を折り返すことにより形成される。このとき切欠き形状部20eには、袋体の折り曲げ部(折り返し部)20e1が形成される。
【0033】
上述した様に、本実施例の第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は、芯材と芯材を封入する袋体とを有する。第1真空断熱材201の芯材と第2真空断熱材202の芯材とは、単体において同じ形状、且つ同じ大きさであり、同じ位置に切欠き部を有する。第1真空断熱材201の袋体と第2真空断熱材202の袋体とは、それぞれの芯材が有する切欠き部20e’の位置に、切欠き部20e’に沿って折り曲げられた折り曲げ部20e1を有する。
【0034】
[実施例1]
図8を参照して、真空断熱材20の第1実施例について説明する。図8は、本発明に係る冷蔵庫1の左右の扉2a,2bに配された真空断熱材20の一実施例(実施例1)を示す平面図である。なお図8では、後板22を取り除いて、後方から左扉2aを見た様子を図示している。
【0035】
本実施例の冷蔵庫1は、中央部から両側に開く左扉2a及び右扉2bを備え、左扉2a及び右扉2bのそれぞれが、前板21および後板22と、前板21と後板22との間に設けられた真空断熱材20と、を有する。左扉2aに設けられた第1真空断熱材201と右扉2bに設けられた第2真空断熱材202とは、同一サイズ規格の真空断熱材である。
【0036】
すなわち本実施例では、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は、左扉2a及び右扉2bの両方で使用可能な共用部品として構成され、第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とを共用化して使用することができる。
【0037】
左扉2aの長さ寸法L2aと右扉2bの長さ寸法L2bとは同じ大きさであり、左扉2aの幅寸法W2aと右扉2bの幅寸法W2bとは同じ大きさである。大きさの異なる扉に、共有化した真空断熱材を用いると、大きい方の扉では断熱性能が低下することになる。本実施例では左扉2aと右扉2bとを同じ大きさにして真空断熱材を共有化することにより、左扉2a及び右扉2bの断熱性能を低下させることがない。
【0038】
左扉2aと右扉2bとは、断熱性能に実質的な低下が生じない範囲、或いは断熱性能の低下が許容範囲内で、大きさを異ならせてもよい。
【0039】
第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とは、同一サイズ規格であることから、同一の形状及び大きさに形成され、公差の範囲内で重なり合う。また同一サイズ規格の真空断熱材201,202は、他の規格の真空断熱材と区別するため、同じサイズ(規格)を示す記載(記号)が付されることが好ましい。
【0040】
本実施例の左扉2a及び右扉2bは、触れることで扉が開くタッチオープン用操作ユニット12a,12bが設けられている。タッチオープン用操作ユニット12a,12bは左扉2a及び右扉2bのそれぞれの前板21に設けられる。タッチオープン用操作ユニット12a,12bが設けられる冷蔵庫1では、人が触れたことを検知するために、前板21をガラス板で構成することが好ましい。
【0041】
本実施例では、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は前板21に接着剤またはテープ(両面テープ)で貼り付けられる構成であり、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は、前板21に設けられたタッチオープン用操作ユニット12a,12bとの干渉を避けるために切欠き形状部20eが設けられている。
【0042】
これは、真空断熱材201とタッチオープン用操作ユニット12a,12bとが干渉し、真空断熱材201,202がタッチオープン用操作ユニット12a,12bに乗り上げた場合、発泡断熱材を充填したときに、発泡断熱材が真空断熱材201,202とタッチオープン用操作ユニット12a,12bとの隙間から侵入して、真空断熱材201,202の剥がれ等の不具合が発生してしまう虞があるからである。
【0043】
第1真空断熱材201の切欠き形状部20eは、前側から見て、左扉2aの右下(図8は後側から見た図のため逆)に配置され、第2真空断熱材202の切欠き形状部20eは、前側から見て、右扉2bの左下(図8は後側から見た図のため逆)に配置される。
【0044】
すなわち、第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とは、左扉2aと右扉2bとで、切欠き形状部20e(図7の切欠き部20e’及び折り曲げ部20e1に相当)の左右方向における位置が異なる位置となるように、左扉2a及び右扉2bのそれぞれに配置される。
【0045】
第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202のそれぞれは、切欠き形状部20eが設けられることにより、左右において非対称となる形状を有する。
【0046】
第1真空断熱材201の切欠き形状部20eは、左扉2aのタッチオープン用操作ユニット12aと対向する部位に配置されている。第2真空断熱材202の切欠き形状部20eは、右扉2bのタッチオープン用操作ユニット12bと対向する部位に配置されている。
【0047】
第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は、左扉2a及び右扉2bの両方で使用可能な共用部品として構成される。この場合、右扉2bの第2真空断熱材202は、左扉2aの第1真空断熱材201を、上下方向を軸Ax1として略半回転させた向きになる。言い換えると、第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とは、左扉2aと右扉2bとで、裏表が逆向きとなるように、左扉2a及び右扉2bのそれぞれに配置される。この場合、第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とは、左扉2aと右扉2bとで、上下は入れ替わることなく、左右が入れ替わる。さらに、左扉2aの第1真空断熱材201と右扉2bの第2真空断熱材202とは、耳折部20a1~20d1が互いに、前後方向において反対側に形成される。
【0048】
本実施例では、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は前板21に接着剤またはテープ(両面テープ)で貼り付けられる構成であり、前板21に設けられるタッチオープン用操作ユニット12aを避けるために、切欠き形状部20eを設ける必要がある。第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は後板22に接着剤またはテープ(両面テープ)で貼り付けられる構成であってもよい。その場合、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は、タッチオープン用操作ユニット12aを避ける必要がなく、切欠き形状部20eを設けない構成とすることができる。
【0049】
本実施例では、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は前板21に配される構成であるため、後板22に設けられる回転仕切体コード25の挿通孔26を切欠き形状部20eで避ける必要がない。図8では、第1真空断熱材201の25aで示す部分が挿通孔26と対向するが、この部分25aに切欠き形状部20eは設けていない。この場合、左扉2aの第1真空断熱材201は、前板21の側に配され、水平方向視で回転仕切体コード25が引き出されている部分と、空間を隔てて対向する。
【0050】
本実施例の場合、第1真空断熱材201は耳折部20a1~20d1とは反対側の面が前板21に貼り付けられ、第2真空断熱材202は耳折部20a1~20d1の側の面が前板21に貼り付けられる。耳折部20a1~20d1が設けられている側の面は耳折部20a1~20d1で平面性が悪くなる。この面に接着剤を機械で塗る場合、接着剤の使用量が増加する、或いは機械塗りが困難であるといった課題の生じることがある。
【0051】
このような課題を解消するには、耳折部20a1~20d1が設けられている側の面を前板21に貼り付ける第2真空断熱材202では、テープ(両面テープ)で貼り付けるようにするとよい。
【0052】
本実施例では、前板21をガラス板で構成しており、この場合の前板21の曲げ剛性は70,000N・mm超の値を有する。前板21がこれだけの曲げ剛性を有していれば、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202を前板21に貼り付けても、前板21の撓み等の変形を抑制することができる。一方、前板21を鋼板で構成する場合、鋼板を薄くすることにより、前板21の曲げ剛性が400N・mm以下となる場合がある。この場合、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202を前板21に貼り付けると、前板21に撓み等の変形が生じる場合がある。
【0053】
前板21にはガラス板や鋼板、その他の材料の部材を用いることができるが、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202を前板21に貼り付ける場合、前板21は曲げ剛性が500N・mm以上の部材で構成することが好ましい。前板21に鋼板を用いる場合は、鋼板の厚みを厚くしたり、複数枚の鋼板を重ねて用いることで、曲げ剛性を500N・mm以上にすることが好ましい。
【0054】
[実施例2]
図9を参照して、真空断熱材20の第2実施例について説明する。図9は、本発明に係る冷蔵庫1の左右の扉2a,2bに配された真空断熱材20の一実施例(実施例2)を示す平面図である。なお図9では、後板22を取り除いて、後方から左扉2aを見た様子を図示している。本実施例では第1実施例との相違点について説明し、同様な構成には実施例1と同じ符号を付し、重複する説明を省略する。また、第1実施例で説明した構成の変更は、矛盾しない範囲で本実施例にも適用可能であり、第1実施例で説明した作用効果についても、矛盾しない範囲で本実施例でも得られる。
【0055】
左扉2a及び右扉2bのうちいずれか一方の扉は、他方の扉との間の隙間に設けられる回転仕切体24が設けられる。本実施例では、回転仕切体24は左扉2aに設けられているものとする。回転仕切体24は、後板22の側に配され、回転仕切体コード25が引き出されている。一方の扉(左扉)2aの真空断熱材(第1真空断熱材)201は、後板22の側に配され、水平方向視で回転仕切体コード25が引き出されている部分(挿通孔)26の近傍を避けるように、切欠き形状部20eが設けられている。
【0056】
他方の扉(右扉)2bは、一方の扉2aの第1真空断熱材201を、前後方向を軸Ax2として略半回転させた向きに相当する向きの真空断熱材(第2真空断熱材)201を備える。
【0057】
一方の扉2aの第1真空断熱材201と他方の扉2bの第2真空断熱材202とは、耳折部20a1~20d1が前板21の側に形成され、接着剤又はテープで後板22に固定される。
【0058】
本実施例では、第1真空断熱材201の切欠き形状部20eは、左扉2aの右上に配置され、第2真空断熱材202の切欠き形状部20eは、右扉2bの左下に配置される。第1真空断熱材201の切欠き形状部20eは回転仕切体コード25を避けるために利用される。一方、第2真空断熱材202の切欠き形状部20eは特に利用されない、すなわち本来不要なものであるが、真空断熱材の共用化のために存在する。
【0059】
本実施例では、第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とは、左扉2aと右扉2bとで、切欠き形状部20e(図7の切欠き部20e’及び折り曲げ部20e1に相当)の上下方向における位置、および左右方向における位置の両方が異なる位置となるように、左扉2a及び右扉2bのそれぞれに配置される。
【0060】
本実施例において、左扉2aの第1真空断熱材201と右扉2bの第2真空断熱材202とは、前板21に固定してもよい。この場合、第1真空断熱材201の切欠き形状部20eは、前側から見て、左扉2aの右上と右下の両方に配置する。左扉2aの右下に配置した切欠き形状部20eは、タッチオープン用操作ユニット12a(図8参照)を避けるために使用される。
【0061】
左扉2aの第1真空断熱材201を軸Ax2の周りに回転させて第2真空断熱材202とした場合、第2真空断熱材202の切欠き形状部20eは、前側から見て、右扉2bの左下と左上の両方に配置される。この場合、右扉2bの左下に配置した切欠き形状部20eは、タッチオープン用操作ユニット12b(図8参照)を避けるために使用される。一方で、右扉2bの左上に配置した切欠き形状部20eは、特に利用されない、すなわち本来不要なものである。
【0062】
[実施例3]
図10を参照して、真空断熱材20の第3実施例について説明する。図10は、本発明に係る冷蔵庫1の左右の扉2a,2bに配された真空断熱材20の一実施例(実施例3)を示す平面図である。なお図10では、後板22を取り除いて、後方から左扉2aを見た様子を図示している。本実施例では第1実施例との相違点について説明し、同様な構成には実施例1と同じ符号を付し、重複する説明を省略する。また、第1実施例及び第2実施例で説明した構成の変更は、矛盾しない範囲で本実施例にも適用可能であり、第1実施例及び第2実施例で説明した作用効果についても、矛盾しない範囲で本実施例でも得られる。
【0063】
他方の扉(右扉)2bは、一方の扉(左扉)2aの真空断熱材(第1真空断熱材)201を、上下方向を軸Ax1として略半回転させた向きの真空断熱材(第2真空断熱材)202を備える。一方の扉2aの第1真空断熱材201と他方の扉2bの第2真空断熱材202とは、耳折部20a1~20d1が互いに、前後方向において反対側に形成される。耳折部20a1~20d1が後板22の側にある第2真空断熱材202は、テープで後板22に固定されている。
【0064】
この場合、第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とは、左扉2aと右扉2bとで、上下は入れ替わることなく、左右が入れ替わる。
【0065】
上述した様に、耳折部20a1~20d1の向きで固定方法を変えることにより、真空断熱材の固定を良好に行うことができる。
【0066】
[実施例4]
図11を参照して、真空断熱材20の第3実施例について説明する。図11は、本発明に係る冷蔵庫1の左右の扉2a,2bに配された真空断熱材20の一実施例(実施例4)を示す平面図である。なお図11では、後板22を取り除いて、後方から左扉2aを見た様子を図示している。本実施例は第2実施例の真空断熱材202の配置を変更した形態であり、第2実施例との相違点について説明する。
【0067】
第2実施例では、右扉2bは、左扉2aの第1真空断熱材201を、軸Ax2周りに略半回転させた向きに相当する向きの第2真空断熱材201を備えるように構成したが、本実施例では、左扉2aの第1真空断熱材201の向きに相当する向きの第2真空断熱材201を備える。これにより、左扉2aの第1真空断熱材201と右扉2bの第2真空断熱材201との共用化を図ってもよい。
【0068】
上述した各実施例の冷蔵庫1は、下記特徴を有する。
(1)中央部から両側に開く左扉2a及び右扉2bを備え、左扉2a及び右扉2bのそれぞれが前板21および後板22と、前板21と後板22との間に設けられた真空断熱材20と、を有する冷蔵庫1であって、
左扉2aに設けられた第1真空断熱材201と右扉2bに設けられた第2真空断熱材202とは、同一サイズ規格の真空断熱材である。
【0069】
(2)(1)において、
左扉2a及び右扉2bのうちいずれか一方の扉は、他方の扉との間の隙間に設けられる回転仕切体24が設けられ、
回転仕切体24は、後板22の側に配され、回転仕切体コード25が引き出されており、
一方の扉2aの真空断熱材201は、前板21の側に配され、水平方向視で回転仕切体コード25が引き出されている部分と、空間を隔てて対向している。
【0070】
(3)(2)において、
前板21は、曲げ剛性が500N・mm以上の材料で形成される。
【0071】
(4)(1)において、
左扉2a及び右扉2bのうちいずれか一方の扉は、他方の扉との間の隙間に設けられる回転仕切体24が設けられ、
回転仕切体24は、後板22の側に配され、回転仕切体コード25が引き出されており、
一方の扉2aの真空断熱材201は、後板22の側に配され、水平方向視で回転仕切体コード25が引き出されている部分を避けるように、切欠き形状部20eが設けられている。
【0072】
(5)(4)において、
他方の扉2bは、一方の扉2aの真空断熱材201を、前後方向を軸Ax2として略半回転させた向きに相当する向きの真空断熱材202を備え、
一方の扉2aの真空断熱材201と他方の扉2bの真空断熱材202とは、耳折部20a1~20d1が前板21の側に形成され、接着剤又はテープで後板22に固定されている。
【0073】
(6)(4)において、
他方の扉2bは、一方の扉2aの真空断熱材201を、上下方向を軸Ax1として略半回転させた向きの真空断熱材202を備え、
一方の扉2aの真空断熱材201と他方の扉2bの真空断熱材202とは、耳折部20a1~20d1が互いに、前後方向において反対側に形成され、
耳折部20a1~20d1が後板22の側にある真空断熱材202は、テープで後板22に固定されている。
【0074】
(7)中央部から両側に開く左扉2a及び右扉2bを備え、左扉2a及び右扉2bのそれぞれが前板21および後板22と、前板21と後板22との間に設けられた真空断熱材20と、を有する冷蔵庫1であって、
左扉2aに設けられた第1真空断熱材201と右扉2bに設けられた第2真空断熱材202とは、左右又は上下の少なくとも一方において非対称となる形状を有し、
第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は、左扉2a及び右扉2bの両方で使用可能な共用部品として構成されている。
【0075】
(8)(7)において、
第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202は、切欠き形状部20eを有し、
第1真空断熱材201の切欠き形状部20eと第2真空断熱材202の切欠き形状部20eとは、第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とが単体の状態において、同じ形状、且つ同じ大きさであり、第1真空断熱材201及び第2真空断熱材202の同じ位置に設けられている。
【0076】
(9)(8)において、
第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とは、左扉2aと右扉2bとで、切欠き形状部20eの上下方向における位置、または左右方向における位置の少なくとも一方が異なる位置となるように、左扉2a及び右扉2bのそれぞれに配置される。
【0077】
(10)(8)において、
第1真空断熱材201と第2真空断熱材202とは、左扉2aと右扉2bとで、裏表が逆向きとなるように、左扉2a及び右扉2bのそれぞれに配置される。
【0078】
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…冷蔵庫、2a…左扉、2b…右扉、20…真空断熱材、20a1~20d1…耳折部、20e…切欠き形状部、21…前板、22…後板、24…回転仕切体、25…回転仕切体コード、201…第1真空断熱材、202…第2真空断熱材、Ax1…上下方向の軸、Ax2…前後方向の軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11