(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040749
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/77 20230101AFI20240318BHJP
【FI】
H04N5/3745
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145302
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高柳 功
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX03
5C024CX43
5C024GX03
5C024GX15
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
5C024HX13
5C024HX23
5C024HX29
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供する。
【解決手段】固体撮像装置10は、出力ノードND1の電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部230と、出力ノードの電荷量に応じた電圧信号に対する信号を保持し、保持信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタCR21,CS21を含む信号保持部250と、信号保持部250の入力ノードと第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、出力バッファ部による比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部240と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う画素が配置された画素部を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部と、
少なくとも、前記出力ノードの電荷量に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能で、保持した信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、
前記信号保持部の入力ノードと前記第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、前記出力バッファ部による前記比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部と、を含む
固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の参照信号は、第1の傾きを有する第1のランプ(RAMP)信号であり、
前記第2の参照信号は、前記第1の傾きと異なる第2の傾きを有する第2のランプ(RAMP)信号である
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第2の傾きは前記第1の傾きより大きい
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第2の参照信号は非線形である
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記信号保持部は、
前記保持用信号取出部を介して入力される前記第2の参照信号を保持可能な信号保持キャパシタと、
前記信号保持キャパシタを前記保持用信号取出部と選択的に接続するスイッチ素子と、
前記信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて選択的に信号線に出力する出力部と、を含む
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記信号保持部は、
前記保持用信号取出部を介して入力される前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に応じた前記第2の参照信号を保持可能な第1の信号保持キャパシタと、
前記第1の信号保持キャパシタを前記保持用信号取出部と選択的に接続する第1のスイッチ素子と、
前記第1の信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて選択的に第1の信号線に出力する第1の出力部と、
前記保持用信号取出部を介して入力されるリセット状態時の前記信号電圧に応じた前記第2の参照信号を保持可能な第2の信号保持キャパシタと、
前記第2の信号保持キャパシタを前記保持用信号取出部と選択的に接続する第2のスイッチ素子と、
前記第2の信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて選択的に第2の信号線に出力する第2の出力部と、を含む
請求項5記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記出力ノードに接続された蓄積トランジスタと、
前記蓄積トランジスタを介して少なくとも前記出力ノードの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、を含む
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記蓄積トランジスタと前記蓄積容量素子が、前記出力ノードと基準電位との間に直列に接続されている
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記蓄積トランジスタが前記出力ノードと前記リセット素子との間に接続され、前記蓄積トランジスタと前記リセット素子の接続点と基準電位との間に前記蓄積容量素子が接続されている
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記出力バッファ部は、
ゲートが前記出力ノードとしてのフローティングディフュージョンに接続され、当該フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を出力するソースフォロワトランジスタと、
前記ソースフォロワトランジスタにより出力された電圧信号と前記第1の参照信号とを比較し、デジタル化した前記比較結果信号を前記保持用信号取出部に出力する比較器と、を含み、
前記比較器は、
前記電圧信号と前記第1の参照信号との比較動作を行い、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときに出力レベルを非アクティブレベルからアクティブレベルに反転する
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記比較器は、
一方のトランジスタのゲートに前記信号電圧が供給され、他方のトランジスタのゲートに前記第1の参照信号が供給され、前記信号電圧と前記第1の参照電圧との比較動作を行う差動トランジスタ対と、
前記一方のトランジスタのドレイン側および前記他方のトランジスタのドレイン側に接続されてカレントミラーを形成するアクティブ負荷回路と、を含む
請求項10記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記差動トランジスタ対の前記一方のトランジスタと前記ソースフォロワトランジスタが共用されている
請求項11記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記比較器は、
前記他方のトランジスタのドレインと前記アクティブ負荷回路との接続点により前記比較結果信号を出力する
請求項11または12記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記出力バッファ部は、
ゲートが前記出力ノードとしてのフローティングディフュージョンに接続され、当該フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換可能で、ソースに前記第1の参照信号が供給されるソースフォロワトランジスタと、
前記ソースフォロワトランジスタのドレインに接続された負荷と、を含み、
前記ソースフォロワトランジスタのドレインと前記負荷との接続点により前記比較結果信号を出力する
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項15】
光電変換を行う画素が配置された画素部を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部と、
少なくとも、前記出力ノードの電荷量に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能で、保持した信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、
前記信号保持部の入力ノードと前記第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、前記出力バッファ部による前記比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部と、を含む
固体撮像装置の駆動方法であって、
傾きが異なる2つの参照信号を適用し、一方の第1の参照信号は信号電圧と比較し、他方の第2の参照信号は電圧保持信号に適用し、参照信号の入力間に異なる傾きを与え、
前記出力バッファ部において、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力して前記保持用信号取出部を導通状態に保持して、実効電圧ゲインを得つつ前記第2の参照信号を前記信号保持部に保持する
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項16】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換を行う画素が配置された画素部を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部と、
少なくとも、前記出力ノードの電荷量に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能で、保持した信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、
前記信号保持部の入力ノードと前記第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、前記出力バッファ部による前記比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部と、を含む
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)出力方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
ところで、CMOSイメージセンサでは、フォトダイオードで生成しかつ蓄積した光電荷を、画素毎あるいは行毎に順次走査して読み出す動作が行われる。
この順次走査、すなわち、電子シャッタとしてローリングシャッタを採用した場合は、光電荷を蓄積する露光の開始時間、および終了時間を全ての画素で一致させることができない。そのため、順次走査の場合、動被写体の撮像時に撮像画像に歪みが生じるという問題がある。
【0005】
そこで、画像歪みが許容できない、高速に動く被写体の撮像や、撮像画像の同時性を必要とするセンシング用途では、電子シャッタとして、画素アレイ部中の全画素に対して同一のタイミングで露光開始と露光終了とを実行するグローバルシャッタが採用される。
【0006】
電子シャッタとしてグローバルシャッタを採用したCMOSイメージセンサは、画素内に、たとえば、画素受光部(光電変換読み出し部)から読み出された信号を信号保持キャパシタに保持する信号保持部が設けられている。
グローバルシャッタを採用したCMOSイメージセンサでは、フォトダイオードから電荷を電圧信号として一斉に信号保持部の信号保持キャパシタにアナログ的なサンプルホールド動作により蓄積し、そののち順次読み出すことにより、画像全体の同時性を確保している(たとえば、非特許文献1参照)。
また、このCMOSイメージセンサは、たとえば光電変換読み出し部の出力を、信号保持部をバイパスして信号線に転送するバイパススイッチを有しており、グローバルシャッタ機能に加えてローリングシャッタ機能を併せ持つように構成されていてもよい。
【0007】
また、各画素に比較器を含むADC(さらにはメモリ部)を配置して、画素アレイ部中の全画素に対して同一のタイミングで露光開始と露光終了とを実行するグローバルシャッタをも実現可能にするデジタル画素(ピクセル)センサが提案されている(たとえば特許文献1,2参照)。
【0008】
そして、高ダイナミックレンジを持つ高画質のCMOSイメージセンサのグローバルシャッタ機能を備えた画素としては、VMGS(電圧モードグローバルシャッタ)画素、およびCMGS(電荷モードグローバルシャッタ)画素が知られている。
【0009】
これらのうち、VMGS画素は、CMGS画素と比較して、シャッタ効率が高く、寄生光の感度が低いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US 7164114 B2 FIG.4
【特許文献2】US 2010/0181464 A1
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】J. Aoki, et al., “A Rolling-Shutter Distortion-Free 3D Stacked Image Sensor with -160dB Parasitic Light Sensitivity In-Pixel Storage Node” ISSCC 2013 / SESSION 27 / IMAGE SENSORS / 27.3.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、VMGS画素を持つCMOSイメージセンサは、CMGS画素を持つCMOSイメージセンサに比較して、大きなフロアノイズが懸念される。
【0013】
VMGS画素の主要なノイズ減は、電圧サンプルホールドでの熱ノイズであり、雑音電圧Vnは次式で表すことができる。
【0014】
[数1]
Vn = SQRT(kT / CSH)
【0015】
ここで、Rは抵抗値、Tは絶対温度、kはボルツマン定数、CSHはサンプルホールド用容量素子の容量値をそれぞれ表し、またSQRTは平方根(square root)を示している。
【0016】
次に、電圧信号Vsは電子電圧変換ゲインCGを用いて次式で表される。
【0017】
Vs = Nsig(e)x CG(V / e)
【0018】
したがって、電子参照ノイズNnは次のように表される。
【0019】
Nn(e)= 1 / CG x SQRT(kT / CSH)
【0020】
この式において、電子参照ノイズNnを低減させるには、電子電圧変換ゲインCGまたは電圧サンプルホールド用キャパシタの容量値CSHの増加が必要であることを意味する。
【0021】
容量値CSHの増加は、画素サイズによる物理的な制約を受ける。
また、電子電圧変換ゲインCGの増加は、通常、ダイナミックレンジDRの減少を招く。
それらに対応して、ダイナミックレンジDRを拡張するために、複数の変換ゲインCGを有する画素が提案されている。
しかしながら、高変換ゲインCGを備える構成では、フロアノイズの点でCMGS画素に比較して十分であるとは言い難い。
【0022】
また、CMOSイメージセンサの重要な性能指標にランダムノイズがあり、主なランダムノイズ源として、画素とAD変換器があることが知られている。
一般的には、ランダムノイズ低減手法として、トランジスタサイズを大きくすることでフリッカノイズ(flicker noise)を低減する、もしくは比較器出力に容量を付加し、帯域を落とすことでCDSによるノイズのフィルタ効果を狙う方法が知られている。
しかし、それぞれの手法では、面積が増大する、容量増により比較器の反転遅延が劣化し、撮像素子のフレームレートが上げられないという不利益がある。
【0023】
本発明は、電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能で、ひいては高ゲインモードでは輝度の高い光信号に対して低いゲインを維持しながら高い画素ゲインを得ることが可能で、低ゲインモードでは低変換ゲインの読み出しが可能であり、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換を行う画素が配置された画素部を有し、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部と、少なくとも、前記出力ノードの電荷量に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能で、保持した信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、前記信号保持部の入力ノードと前記第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、前記出力バッファ部による前記比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部と、を含む。
【0025】
本発明の第2の観点は、光電変換を行う画素が配置された画素部を有し、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部と、少なくとも、前記出力ノードの電荷量に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能で、保持した信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、前記信号保持部の入力ノードと前記第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、前記出力バッファ部による前記比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部と、を含む固体撮像装置の駆動方法であって、傾きが異なる2つの参照信号を適用し、一方の第1の参照信号は信号電圧と比較し、他方の第2の参照信号は電圧保持信号に適用し、参照信号の入力間に異なる傾きを与え、前記出力バッファ部において、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力して前記保持用信号取出部を導通状態に保持して、実効電圧ゲインを得つつ前記第2の参照信号を前記信号保持部に保持する。
【0026】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換を行う画素が配置された画素部を含み、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、前記電圧信号と前記第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部と、少なくとも、前記出力ノードの電荷量に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能で、保持した信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、前記信号保持部の入力ノードと前記第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、前記出力バッファ部による前記比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部と、を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能で、ひいては高ゲインモードでは輝度の高い光信号に対して低いゲインを維持しながら高い画素ゲインを得ることが可能で、低ゲインモードでは低変換ゲインの読み出しが可能であり、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る出力バッファ部を形成する比較器の構成例を示す回路図である。
【
図4】本本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の主として画素部における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図7】本発明の第4の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図8】本発明の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図9】本発明の第6の実施形態を説明するための図であって、参照信号としてのランプ信号の他のパターン例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0031】
この固体撮像装置10は、
図1に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0032】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、後で詳述するように、VMGS画素を含んで構成されている。
VMGS画素は、転送素子を通じて光電変換素子(PD)で蓄積された電荷が転送される出力ノード(フローティングディフュージョンFD)と、出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、電圧信号と第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部と、少なくとも、出力ノードの電荷量に応じた電圧信号に対する信号を保持可能で、保持した信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、信号保持部の入力ノードと第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、出力バッファ部による比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部と、を含む。
本第1の実施形態においては、第1の参照信号は、第1の傾きCL1,CL11を有する第1のランプ信号RAMP1であり、第2の参照信号は、第1の傾きCL1,CL11と異なる第2の傾きCL2,CL12を有する第2のランプ信号RAMP2である。本第1の実施形態では、第2の傾きCL2,CL12は第1の傾きCL1,CL1より大きい。
そして、本第1の実施形態において、出力バッファ部は、比較器を有し、この比較器により変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、電圧信号と第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号SCMPを出力する。
【0033】
本第1の実施形態のVMGS画素の処理の基本概念は、以下の通りである。
第1のランプ信号RAMP1を出力バッファ部の比較器(コンパレータ)に供給し、電圧信号VSLを信号スロープADC方式でデジタル信号に変換する。
第2のランプ信号RAMP2は、第1のランプ信号RAMP1の第1の傾きとは異なる第2の傾きで供給される。
比較器の出力は第2のランプ信号RAMP2の保持(ラッチ)に使用される。たとえば第1の傾きCL1と第2の傾きCL2の比率(勾配の比率)rは、r=CL2/CL1(r=第2の傾き(勾配)CL2の勾配/第1の傾きCL1の勾配)として表される。
傾きが異なるため、第1のランプ信号RAMP1と第2のランプ信号RAMP2の傾きのゲイン比に応じてサンプルホールド用信号保持キャパシタの保持電圧(ラッチ電圧)が得られ、電圧ゲインとなる。
サンプルホールド用信号保持キャパシタでのkT / Cノイズが支配的なノイズの場合、実効入力参照電子ノイズは1/rに抑えられる。
【0034】
このように、本第1の実施形態の固体撮像装置10は、電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能で、ひいては高ゲインモードでは輝度の高い光信号に対して低いゲインを維持しながら高い画素ゲインを得ることが可能で、低ゲインモードでは低変換ゲインの読み出しが可能であり、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能に構成されている。
【0035】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要、特に、画素部20のVMCS画素(以下、単に画素という場合もある)の構成および機能、それらに関連した読み出し処理等について詳述する。
【0036】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
【0037】
画素部20に配置される画素200は、画素受光部210、出力ノード220(ND1)としてのフローティングディフュージョンFD1、出力バッファ部230、保持用信号取出部240、および信号保持部250を含んで構成されている。
【0038】
画素200の画素受光部210は、たとえば光電変換素子であるフォトダイオードPD1、転送素子としての転送トランジスタTG1-Tr、およびリセット素子としてのリセットトランジスタRST1-Trを有する。
画素200においては、フォトダイオードPD1に対して、転送トランジスタTG1-Tr、リセットトランジスタRST1-Tr、出力バッファ部230を構成するソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF1-Tr、電流源素子IC1、出力ノード220(ND1)としてのフローティングディフュージョンFD1、比較器231、および読み出しノードND2をそれぞれ一つずつ有する。
なお、フローティングディフュージョンFD1には容量CJが寄生している。
【0039】
フォトダイオードPD1は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷が正孔(ホール)であったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本実施形態は、複数のフォトダイオードおよび転送トランジスタ間で、各トランジスタを共有している場合にも有効である。
【0040】
各画素200において、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0041】
画素受光部210の転送トランジスタTG1-Trは、フォトダイオードPD1とフローティングディフュージョンFD1の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TGにより制御される。
転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TGがハイ(H)レベルの転送期間PTに選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD1で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD1に転送する。
なお、フォトダイオードPD1およびフローティングディフュージョンFD1が所定のリセット電位にリセットされた後、転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TGがロー(L)レベルの非導通状態となり、フォトダイオードPD1は蓄積期間PIとなる。
【0042】
リセットトランジスタRST1-Trは、電源電圧VDDの電源線VddとフローティングディフュージョンFD1の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST1-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD1を電源電圧VDDの電源線Vddの電位にリセットする。
【0043】
出力バッファ部230は、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1の電荷を電荷量に応じた電圧信号VSLに変換し、変換した電圧信号VSLと第1の参照信号とを比較器231により比較し、電圧信号と第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号SCMPを保持用信号取出部240に出力する。
【0044】
本第1の実施形態において、出力バッファ部230は、ソースフォロワトランジスタSF1-Tr、電流源素子IC1、比較器231、および読み出しノードND2を含んで構成されている。
【0045】
なお、本第1の実施形態において、電圧信号VSLには、画素信号としての読み出しリセット信号(信号電圧)(VRST)および読み出し信号(信号電圧)(VSIG)が含まれる。
【0046】
本第1の実施形態においては、電圧信号VSLが読み出しリセット信号VRSTの場合、第1の参照信号は、第1の傾きCL1を有する第1のランプ信号RAMP1であり、第2の参照信号は、第1の傾きCL1と異なる第2の傾きCL2を有する第2のランプ信号RAMP2である。本第1の実施形態では、第2の傾きCL2は第1の傾きCL1より大きい。
電圧信号VSLが読み出し信号VSIGの場合、第1の参照信号は、第1の傾きCL11を有する第1のランプ信号RAMP1であり、第2の参照信号は、第1の傾きCL11と異なる第2の傾きCL12を有する第2のランプ信号RAMP2である。本第1の実施形態では、第2の傾きCL12は第1の傾きCL11より大きい。
また、読み出し信号VSIGの場合の第1の傾きCL11は読み出しリセット信号VRSTの場合の第1の傾きCL1より大きい。同様に、読み出し信号VSIGの場合の第2の傾きCL12は読み出しリセット信号VRSTの場合の第2の傾きCL2より大きい。
【0047】
そして、本第1の実施形態において、出力バッファ部230は、比較器231を有している。比較器231は、ソースフォロワトランジスタSF1-Trにより変換した電圧信号VSLと第1のランプ信号RAMP1とを比較し、電圧信号VSLと第1のランプ信号RAMP1が同等レベルになったときにアクティブ、たとえばハイレベルH(またはローレベルL)の比較結果信号SCMPを保持用信号取出部240の制御端子に出力する。
【0048】
ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF1-Trは、ソースが読み出しノードND2に接続され、ドレイン側が電源線Vddに接続され、ゲートがフローティングディフュージョンFD1に接続されている。
読み出しノードND2と基準電位VSS(たとえばGND)の間に電流源素子IC1が接続されている。
そして、読み出しノードND2は比較器231の一方の入力端子としての反転入力端子(-)に接続されている。
比較器231は、他方の入力端子としての非反転入力端子(+)は、第1の参照信号としての第1のランプ信号RAMP1の供給ラインLSRP1に接続されている。
【0049】
比較器231は、電圧信号VSLと第1のランプ信号RAMP1との比較動作を行い、電圧信号VSLと第1のランプ信号RAMP1が同等レベルになったときに比較結果信号SCMPの出力レベルを非アクティブレベル(たとえばローレベル)からアクティブレベル(ハイレベル)に反転する。
【0050】
比較器231の構成例
本第1の実施形態に係る比較器231は、一方のトランジスタのゲートに信号電圧VSLが供給され、他方のトランジスタのゲートに第1の参照信号としての第1のランプ信号RAMP1が供給され、信号電圧VSLと第1のランプ信号RAMP1との比較動作を行う差動トランジスタ対と、一方のトランジスタのドレイン側および他方のトランジスタのドレイン側に接続されてカレントミラーを形成するアクティブ負荷回路と、を含んで構成される。
【0051】
図3は、本第1の実施形態に係る出力バッファ部を形成する比較器の構成例を示す回路図である。
【0052】
図3の比較器231は、PMOSトランジスタPT21,PT22、NMOSトランジスタNT21,NT22、電流源I21、およびノードND21,ND22を含んで構成されている。
【0053】
PMOSトランジスタPT21のソースとPMOSトランジスタPT22のソース同士が接続されて、その接続ノードが電源電位VDDに接続されている。
NMOSトランジスタPT21のソースとNMOSトランジスタPT22のソース同士が接続されて、その接続ノードが基準電位VSSに接続された電流源I21に接続されている。
【0054】
PMOSトランジスタPT21のドレインとNMOSトランジスタN21のドレインが接続され、その接続点によりノードND21が形成されている。
PMOSトランジスタPT22のドレインとNMOSトランジスタNT22のドレイが接続され、その接続点によりノードND22が形成されている。
そして、ノードND21がPMOSトランジスタPT21,PT22のゲートに接続され、ノードND22が出力ノードND221に接続されている。
【0055】
これらの構成要素のうち、ソース同士が接続されたNMOSトランジスタNT21,NT22により差動トランジスタ対232が形成されている。
NMOSトランジスタNT21により一方のトランジスタ232-1が形成され、NMOSトランジスタNT22により他方のトランジスタ232-2が形成されている。
そして、一方のトランジスタ232-1を形成するNMOSトランジスタNT21のゲートに電圧信号VSLが供給され、他方のトランジスタ232-2を形成するNMOSトランジスタNT22のゲートに第1の参照電圧としての第1のランプ信号RAMP1が供給される。
【0056】
また、一方のトランジスタとしてのNMOSトランジスタNT21のドレイン側および他方のトランジスタとしてのNMOSトランジスタNT22のドレイン側に、PMOSトランジスタPT21およびPMOSトランジスタPT22によりカレントミラーが形成されるアクティブ負荷回路233が配置されている。
【0057】
このような構成を有する比較器231においては、他方のトランジスタとしてのNMOSトランジスタNT22のドレインとアクティブ負荷回路233を構成するPMOSトランジスタPT22のドレインとの接続ノードND22が、比較結果信号SCMPの出力ノードND221に接続されている。
すなわち、比較器231は、他方のトランジスタとしてのNMOSトランジスタNT22のドレイン側から比較結果信号SCMPを出力する。
【0058】
保持用信号取出部240は、信号保持部250の入力ノードND3と第1の参照信号としての第1のランプ信号RAMP1と異なる第2の参照信号としての第2のランプ信号RAMP2の供給ラインLSRP2との間に配置され、出力バッファ部230による比較結果信号SCMPにより導通状態、非導通状態が制御される。
本第1の実施形態において、保持用信号取出部240はたとえばNMOSトランジスタNT240により形成される。
【0059】
本第1の実施形態に係る画素200においては、出力バッファ部230の比較器231が保持用信号取出部240のスイッチ制御端子であるNMOSトランジスタNT240のゲートに接続され、保持用信号取出部240の入力端子である一方のソース・ドレインが第2のランプ信号RAMP2の供給ラインLSRP2に接続され、出力端子である他方のソース・ドレインが信号保持部250の入力部である入力ノードND3に接続されている。
【0060】
第2のランプ信号RAMP2は、電圧信号VSLが読み出しリセット信号VRSTの場合、第1のランプ信号RAMP1の傾きCL1と異なる第2の傾きCL2を有する。
第2のランプ信号RAMP2は、電圧信号VSLが読み出し信号VSIGの場合、第1のランプ信号RAMP1の傾きCL11と異なる第2の傾きCL12を有する。
第2のランプ信号RAMP2は、第1のランプ信号RAMP1とは異なる傾きで供給される。本第1の実施形態では、第2の傾きCL2は第1の傾きCL1より大きい。同様に、第2の傾きCL12は第1の傾きCL11より大きい。
【0061】
比較器231の出力は第2のランプ信号RAMP2の保持(ラッチ)に使用される。第1の傾きCL1と第2の傾きCL2の比率(勾配の比率)rは、r=CL2/CL1(r=第2の傾き(勾配)CL2の勾配/第1の傾きCL1の勾配)として表される。
また、第1の傾きCL11と第2の傾きCL12の比率(勾配の比率)rは、r=CL12/CL11(r=第2の傾き(勾配)CL12の勾配/第1の傾きCL11の勾配)として表される。
傾きが異なるため、第1のランプ信号RAMP1と第2のランプ信号RAMP2の傾きのゲイン比に応じてサンプルホールド用信号保持キャパシタの保持電圧(ラッチ電圧)が得られ、電圧ゲインとなる。
【0062】
画素200の信号保持部250は、基本的に、入力ノードND3を含む入力部251、サンプルホールド部252、第1の出力部253、第2の出力部254、平均化部255、および保持ノードND4,ND5を含んで構成されている。
【0063】
入力部251は、入力ノードND3が保持用信号取出部240の出力端子に接続され、第1のランプ信号RAMP1に同期して保持用信号取出部240から読み出される読み出しリセット信号(VRST1)および読み出し信号(VSIG1)に相当する第2のランプ信号RAMP2をサンプルホールド部252に入力する。
【0064】
サンプルホールド部252は、第1のスイッチ素子としての第1のサンプリングスイッチ(たとえばNMOSトランジスタにより形成されるサンプリングトランジスタ)SHS1-Sw、第2のスイッチ素子としての第2のサンプリングトランジスタ(たとえばNMOSトランジスタにより形成されるサンプリングトランジスタ)SHR1-Sw、第1の信号保持キャパシタCS21、および第2の信号保持キャパシタCR21を含んで構成されている。
【0065】
第1のサンプリングスイッチSHS1-Trは、保持用信号取出部240に接続された入力ノードND3と保持ノードND4との間に接続されている。
第1のサンプリングスイッチSHS1-Swは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、サンプルホールド部252の第1の信号保持キャパシタCS21を、保持ノードND4を介して保持用信号取出部240の第2のランプ信号RAMP2の出力端子と選択的に接続する。
第1のサンプリングスイッチSHS1-Swは、たとえば制御信号SHSがハイレベルに期間に導通状態となる。
第1の信号保持キャパシタCS21は、保持ノードND4と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0066】
第2のサンプリングスイッチSHR1-Swは、保持用信号取出部240に接続された入力ノードND4と保持ノードND5との間に接続されている。
第2のサンプリングスイッチSHR1-Swは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、サンプルホールド部252の第2の信号保持キャパシタCR21を、保持ノードND5を介して保持用信号取出部240の第2のランプ信号RAMP2の出力端子と選択的に接続する。
第2のサンプリングスイッチSHR1-Swは、たとえば制御信号SHRがハイレベルに期間に導通状態となる。
第2の信号保持キャパシタCR21は、保持ノードND5と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0067】
なお、第1のサンプリングスイッチSHS1-Swおよび第2のサンプリングスイッチSHR1-Swは、MOSトランジスタ、たとえばNMOSトランジスタにより形成される。
【0068】
第1の出力部253は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第1の信号保持キャパシタCS21に保持された信号を保持電圧に応じて増幅して出力する第1の増幅部AMP1、および第1の増幅部AMP1により増幅した信号を選択的に定電流源Ibiasにより駆動される第1の垂直信号線LSGN11に出力する第1の選択スイッチSEL1-Swを含んで構成されている。
【0069】
第1の増幅部AMP1と第1の選択スイッチSEL1-Swは、保持ノードND4と第1の垂直信号線LSGN11の間に直列に接続されている。
【0070】
第1の選択スイッチSEL1-Swは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RS1により制御される。
第1の選択スイッチSEL1-Swは、制御信号RS1がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、第1の増幅AMP1は第1の信号保持キャパシタCS21の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VSIG)を第1の垂直信号線LSGN11に出力する。
【0071】
第2の出力部254は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第2の信号保持キャパシタCR21に保持された信号を保持電圧に応じて増幅して出力する第2の増幅部AMP2、および第2の増幅部AMP2により増幅した信号を選択的に定電流源Ibiasにより駆動される第2の垂直信号線LSGN12に出力する第2の選択スイッチSEL2-Swを含んで構成されている。
【0072】
第2の増幅部AMP2と第2の選択スイッチSEL2-Swは、保持ノードND5と第2の垂直信号線LSGN12の間に直列に接続されている。
【0073】
第2の選択スイッチSEL2-Swは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RS2により制御される。
第2の選択スイッチSEL2-Swは、制御信号RS2がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、第2の増幅部AMP2は第2の信号保持キャパシタCR21の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VRST)を第2の垂直信号線LSGN12に出力する。
【0074】
平均化部255は、保持ノードND4と保持ノードND5との間に、平均化部としての平均化用スイッチAV1-Swが接続されて構成されている。
平均化用トランジスタAV1-Swのゲートには制御信号CBが供給される。
【0075】
制御信号CBは、第1の信号保持キャパシタCS21に保持された読み出し信号VSIGの読み出し、並びに、第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出しリセット信号VRSTの差動の読み出しが並行して行われた後、Hレベルで供給され、この後、第1の出力部253および第2の出力部254を通して平均化された信号の差動の読み出しが並行して行われる。
【0076】
このように、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10においては、画素信号ストレージとしての信号保持部250に、電圧モードで、画素信号を全画素で同時にサンプリングし、第1の信号保持キャパシタCS21および第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出し信号VSIGに対応する変換信号を第1の垂直信号線LSGN11に読み出すとともに、読み出しリセット信号VRSTに対応する変換信号を第2の垂直信号線LSGN12に同時並列的に読み出し、差動の信号としてカラム読み出し回路40に供給する。
【0077】
画素部20には、画素200(PXL)がN行×M列配置されているので、各制御線LSEL、LRST、LTG、LFBはそれぞれN本、垂直信号線LSGN11,LSGN12は2×M本ある。
図1においては、各制御線LSEL、LRST、LTGを1本の行走査制御線として表している。同様に、各垂直信号線LSGN11,LSGN12を1本の垂直信号線として表している。
【0078】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッタ行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッタ行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0079】
カラム読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0080】
本第1の実施形態に係るカラム読み出し回路40は、アンプ(AMP,増幅器)、サンプリング(S/H)回路を含んで構成される。
なお、カラム読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路等を含んで構成可能である。
【0081】
水平走査回路50は、読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、図示しない信号処理回路に出力する。
【0082】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0083】
(固体撮像装置10の読み出し動作)
以上、固体撮像装置10の各部の特徴的な構成および機能について説明した。
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の読み出し動作等について詳述する。
【0084】
図4は、本本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の主として画素部における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0085】
図4(A)は画素200の画素受光部210のリセットトランジスタRST1-Trの制御信号RSTを示している。
図4(B)は画素200の画素受光部210の転送トランジスタTG1-Trの制御信号TGを示している。
図4(C)は比較器231に供給される第1のランプ信号RAMP1を示している。
図4(D)は保持用信号取出部240に供給される第2のランプ信号RAMP2を示している。
図4(E)は画素200の信号保持部250の第2のサンプリングスイッチSHR1-Swの制御信号SHRを示している。
図4(F)は画素200の信号保持部250の第1のサンプリングスイッチSHS1-Swの制御信号SHSを示している。
図14(G)は画素200の信号保持部250の選択スイッチSEL1-Sw、SEL2-Swの制御信号RSを示している。
図14(H)は画素200の信号保持部250の平均化用スイッチAV1-Swの制御信号CBを示している。
【0086】
グローバルシャッタモード時には、画素アレイは、アクティブ状態であり、出力ノードND1の電荷量に応じた電圧信号VSLと第1のランプ信号RAMP1との比較器231の比較結果に応じて、保持用信号取出部240から電圧信号である第2のランプ信号RAMP2を信号保持部250に出力可能状態となっている。
【0087】
図4において、時刻t11~t12は、画素アレイのすべての画素受光部210におけるフォトダイオードPD1および出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD1のリセット期間および電荷の蓄積期間Tintである。
【0088】
なお、このリセット期間においては、たとえば、第1のサンプリングスイッチSHS1-Swの制御信号SHS、第2のサンプリングスイッチSHR1-Swの制御信号SHR、平均化用スイッチAV1-Swの制御信号CB、選択スイッチSEL1-Sw,SEL2-Swを制御する制御信号RS1,RS2はLレベルに設定され、第1のサンプリングスイッチSHS1-Sw、第2のサンプリングスイッチSHR1-Sw、平均化用スイッチAV1-Sw、選択スイッチSEL1-Sw,SEL2-Swが非導通状態に制御される。
【0089】
このような状態で、リセット期間において、制御信号RSTがHレベルの期間に選択されて、リセットトランジスタRST1-Trが導通状態となる。
そして、制御信号RSTがHレベル期間中に、転送トランジスタTG1-Trが、制御信号TGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD1で光電変換され蓄積された電荷(電子)の蓄積ノードが出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD1と導通状態となり、フォトダイオードPD1およびフローティングディフュージョンFD1が電源線Vddの電位にリセットされる。
【0090】
フォトダイオードPD1のリセット後、転送トランジスタTG1-Trの制御信号TGがLレベルに切り替えられ、転送トランジスタTG1-Trが非導通状態となり、フォトダイオードPD1では光電変換された電荷の蓄積が開始される。
このとき、リセットトランジスタRST1-Trの制御信号RSTはHレベルに保持されており、フローティングディフュージョンFD1が電源線Vddの電位にリセットされたままの状態に保持される。
そして、リセット期間の終了のため、リセットトランジスタRST1-Trの制御信号RSTはLレベルに切り替えられ、リセットトランジスタRST1-Trは非導通状態となる。
【0091】
また、リセットトランジスタRST1-Trの制御信号RSTがLレベルに切り替えられる制御と同時並列的に、信号保持部250では、第1のサンプリングスイッチSHS1-Sw、第2のサンプリングスイッチSHR1-Swの制御信号SHS、SHRがLレベルに保持されている。そして、リセット期間が終了後、画素アレイのすべての信号保持部250では、次の制御が行われる。
すなわち、信号保持部250において、時刻t12を含む所定期間に制御信号SHRがHレベルに切り替えられて第2のサンプリングスイッチSHR1-Swが導通状態となるように制御される。
【0092】
これにより、時刻t12に、出力バッファ部230において、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1の電荷がソースフォロワトランジスタSF1-TRにより電荷量に応じた電圧信号VRSTに変換され、変換された電圧信号VRSTが比較器231に供給される。
【0093】
比較器231においては、ソースフォロワトランジスタSF1-Trにより変換された電圧信号VRSTと第1の傾きCL1を有する第1のランプ信号RAMP1とが比較される。そして、比較器231においては、電圧信号VRSTと第1のランプ信号RAMP1が同等レベルになったときにアクティブ、たとえばハイレベルHの比較結果信号SCMPが保持用信号取出部240の制御端子に出力される。
【0094】
アクティブの比較結果信号SCMPを受けて、保持用信号取出部240が導通状態に保持され、第1の傾きCL1より大きい第2の傾きCL2を有する第2のランプ信号RAMP2が信号保持部250の入力部251に供給され、第2のサンプリングスイッチSHR1-Swを通して第2の信号保持キャパシタCR21に保持される。
【0095】
第2の信号保持キャパシタCR21に読み出し信号VRSTを保持した後、制御信号SHRがLレベルに切り替えられて、第2のサンプリングスイッチSHR1-Swが非導通状態となる。
【0096】
この一連の電圧信号VRSTの保持動作は、要約すると次のように行われる。
第1のランプ信号RAMP1を出力バッファ部230の比較器231に供給し、電圧信号VSL(VRST)を信号スロープADC方式でデジタル信号に変換する。
第2のランプ信号RAMP2は、第1のランプ信号RAMP1の第1の傾きCL1とは異なる第2の傾きCL2で供給される。
比較器231の出力は第2のランプ信号RAMP2の保持(ラッチ)に使用される。第1の傾きCL1と第2の傾きCL2の比率(勾配の比率)rは、r=CL2/CL1(r=第2の傾き(勾配)CL2の勾配/第1の傾きCL1の勾配)として表される。
傾きが異なるため、第1のランプ信号RAMP1と第2のランプ信号RAMP2の傾きのゲイン比に応じてサンプルホールド用信号保持キャパシタCR21の保持電圧(ラッチ電圧)が得られ、電圧ゲインとなる。
サンプルホールド用信号保持キャパシタCR21でのkT / Cノイズが支配的なノイズの場合、実効入力換算電界ノイズは1/rに抑えられる。
【0097】
ここで、時刻t13を含む所定期間が転送期間となる。
転送期間には、各画素受光部210において、転送トランジスタTG1-Trが、制御信号TGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD1で光電変換され蓄積された電荷(電子)がフローティングディフュージョンFD1に転送される。
転送期間が終了すると、転送トランジスタTG1-Trの制御信号TGがLレベルに切り替えられ、転送トランジスタTG1-Trが非導通状態となる。
【0098】
次に、すべての信号保持部250では、次の制御が行われる。
信号保持部250において、時刻t14を含む所定期間に制御信号SHSがHレベルに切り替えられて第1のサンプリングスイッチSHS1-Swが導通状態となるように制御される。
【0099】
これにより、時刻t14において、出力バッファ部230において、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1の電荷がソースフォロワトランジスタSF1-TRにより電荷量に応じた電圧信号VSIGに変換され、変換された電圧信号VSIGが比較器231に供給される。
【0100】
比較器231においては、ソースフォロワトランジスタSF1-Trにより変換された電圧信号VSIGと第1の傾きCL11を有する第1のランプ信号RAMP1とが比較される。そして、比較器231においては、電圧信号VSIGと第1のランプ信号RAMP1が同等レベルになったときにアクティブ、たとえばハイレベルHの比較結果信号SCMPが保持用信号取出部240の制御端子に出力される。
【0101】
アクティブの比較結果信号SCMPを受けて、保持用信号取出部240が導通状態に保持され、第1の傾きCL11より大きき第2の傾きCL12を有する第2のランプ信号RAMP2が信号保持部250の入力部251に供給され、第1のサンプリングスイッチSHS1-Swを通して第1の信号保持キャパシタCS21に保持される。
【0102】
第1の信号保持キャパシタCS21に読み出し信号VSIGを保持した後、制御信号SHSがLレベルに切り替えられて、第1のサンプリングスイッチSHS1-Swが非導通状態となる。
【0103】
この一連の電圧信号VSIGの保持動作は、要約すると次のように行われる。
第1のランプ信号RAMP1を出力バッファ部230の比較器231に供給し、電圧信号VSL(VSIG)を信号スロープADC方式でデジタル信号に変換する。
第2のランプ信号RAMP2は、第1のランプ信号RAMP1の第1の傾きCL11とは異なる第2の傾きCL12で供給される。
比較器231の出力は第2のランプ信号RAMP2の保持(ラッチ)に使用される。第1の傾きCL11と第2の傾きCL12の比率(勾配の比率)rは、r=CL12/CL11(r=第2の傾き(勾配)CL12の勾配/第1の傾きCL11の勾配)として表される。
傾きが異なるため、第1のランプ信号RAMP1と第2のランプ信号RAMP2の傾きのゲイン比に応じてサンプルホールド用信号保持キャパシタCS21の保持電圧(ラッチ電圧)が得られ、電圧ゲインとなる。
サンプルホールド用信号保持キャパシタCS21でのkT / Cノイズが支配的なノイズの場合、実効入力換算電界ノイズは1/rに抑えられる。
【0104】
この状態で保持した信号を読み出すため、画素アレイの中のある一行を選択するために、その選択された行の各選択スイッチSEL1-Sw,SEL2-Swの制御信号RS1,RS2がHレベルに設定されて、その選択スイッチSEL1-SwおよびSEL2-Swが導通状態となる。
そして、時刻t15において、第1の信号保持キャパシタCS21に保持された読み出し信号VSIGの読み出し、並びに、第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出しリセット信号VRSTの読み出しが並行して行われる。
【0105】
このとき、各信号保持部250においては、保持ノードND4に接続された第1の増幅部AMP1により、保持ノードND4に接続された第1の信号保持キャパシタCS21の保持電圧に応じて、列出力の読み出し信号VSIGとして第1の垂直信号線LSGN11に出力され、差動の信号として読み出し回路40に供給される。
これと並行して、各信号保持部250においては、保持ノードND5に接続された第2の増幅部AMP2により、保持ノードND5に接続された第2の信号保持キャパシタCR21の保持電圧に応じて、列出力の読み出しリセット信号VRSTとして第2の垂直信号線LSGN12に出力され、差動の信号として読み出し回路40に供給される。
【0106】
次に、信号保持部250において、時刻t16を含む所定期間に制御信号CBがHレベルに切り替えられて平均化用スイッチAV1-Swが導通状態となる。
これにより、選択行のリセットレベルと信号レベルの平均化が行われる。
そして、制御信号CBがLレベルに切り替えられた後の時刻t17において、第1の信号保持キャパシタCS21に保持された読み出し信号VSIG、並びに、第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出しリセット信号VRSTを平均化して信号の読み出しが並行して行われる。
【0107】
このとき、各信号保持部250においては、保持ノードND4に接続された第1の増幅部AMP1により、保持ノードND4における平均化電圧に応じて、列出力の平均化信号として第1の垂直信号線LSGN11に出力され、カラム読み出し回路40に供給される。
これと並行して、各信号保持部250においては、保持ノードND5に接続された第2の増幅部AMP2により、保持ノードND5における平均化電圧に応じて、列出力の平均化信号として第2の垂直信号線LSGN12に出力され、カラム読み出し回路40に供給される。
【0108】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、固体撮像装置10は、VMGS画素を有する。
このVMGS画素は、転送素子を通じて光電変換素子(PD1)で蓄積された電荷が転送される出力ノード220(ND1,フローティングディフュージョンFD1)と、出力ノードND1の電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、電圧信号と第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号を出力する出力バッファ部230と、少なくとも、出力ノードの電荷量に応じた電圧信号に対する信号を保持可能で、保持した信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタCR21,CS21を含む信号保持部250と、信号保持部250の入力ノードと第1の参照信号と異なる第2の参照信号の供給ラインとの間に配置され、出力バッファ部による比較結果信号により導通状態、非導通状態が制御される保持用信号取出部240と、を含む。
本第1の実施形態においては、第1の参照信号は、第1の傾きCL1,CL11を有する第1のランプ信号RAMP1であり、第2の参照信号は、第1の傾きCL1,CL11と異なる第2の傾きCL2,CL12を有する第2のランプ信号RAMP2である。本第1の実施形態では、第2の傾きCL2,CL12は第1の傾きCL1,CL1より大きい。
そして、本第1の実施形態において、出力バッファ部230は、比較器231を有し、この比較器231により変換した電圧信号と第1の参照信号とを比較し、電圧信号と第1の参照信号が同等レベルになったときにアクティブの比較結果信号CMPを出力する。
【0109】
本第1の実施形態のVMGS画素の処理の基本概念は、以下の通りである。
第1のランプ信号RAMP1を出力バッファ部の比較器231に供給し、電圧信号VSLを信号スロープADC方式でデジタル信号に変換する。
第2のランプ信号RAMP2は、第1のランプ信号RAMP1の第1の傾きとは異なる第2の傾きで供給される。
比較器の出力は第2のランプ信号RAMP2の保持(ラッチ)に使用される。たとえば第1の傾きCL1と第2の傾きCL2の比率(勾配の比率)rは、r=CL2/CL1(r=第2の傾き(勾配)CL2の勾配/第1の傾きCL1の勾配)として表される。
傾きが異なるため、第1のランプ信号RAMP1と第2のランプ信号RAMP2の傾きのゲイン比に応じてサンプルホールド用信号保持キャパシタの保持電圧(ラッチ電圧)が得られ、電圧ゲインとなる。
サンプルホールド用信号保持キャパシタでのkT / Cノイズが支配的なノイズの場合、実効入力換算電界ノイズは1/rに抑えられる。
【0110】
このように、本第1の実施形態の固体撮像装置10は、傾き(勾配)が異なる2つのランプ信号RAMP1,RAMP2を適用し、一方の第1のランプ信号RAMP1は信号電圧VSLと比較し、他方の第2のランプ信号RAMP2は電圧保持信号(ラッチ信号)に適用し、ランプ入力間に異なる傾き(勾配)を与えることにより、実効電圧ゲインが得られるため、サンプルホールド(SH)ノードにおける入力電子参照ノイズは、ゲインをGで表すと、1/Gに減少させることが可能となる。
したがって、本第1の実施形態の固体撮像装置10によれば、電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能で、ひいては高ゲインモードでは輝度の高い光信号に対して低いゲインを維持しながら高い画素ゲインを得ることが可能で、低ゲインモードでは低変換ゲインの読み出しが可能であり、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能となる。
【0111】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【0112】
本第2の実施形態の画素200Aが、第1の実施形態の画素200と異なる点は、次の通りである。
本第2の実施形態の画素200Aは、複数の変換ゲインを持て、ダイナミックレンジの拡大を図れるように、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1に接続された蓄積トランジスタCG1-Trと、蓄積トランジスタCG1-Trを介して少なくとも出力ノードND1の電荷を蓄積する蓄積容量素子CG1と、が画素受光部210Aに追加された構成を有する。
本第2の実施形態においては、出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD11と基準電位VSSとの間に、蓄積トランジスタCG1-Trと蓄積容量素子CG1が直列に接続されている。
【0113】
このように、フローティングディフュージョンFD11と基準電位VSSとの間に、蓄積トランジスタCG1-Trと蓄積容量素子CG1を直列に接続した回路を追加することにより、複数の異なるゲイン(少なくとも高ゲイン、低ゲイン)を持つことができる。これにより、ダイナミックレンジをさらに増加させることができる。
そして、いわゆるランプゲイン機能および画素変換ゲインを組み合わせてさらなるゲイン範囲を得ることができる。
【0114】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【0115】
本第3の実施形態の画素200Bが、第1の実施形態の画素200と異なる点は、次の通りである。
本第3の実施形態の画素200Bは、上述した第2の実施形態と同様に、複数の変換ゲインを持て、ダイナミックレンジの拡大を図れるように、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1に接続された蓄積トランジスタLO1-Trと、蓄積トランジスタLO1-Trを介して少なくとも出力ノードND1の電荷を蓄積する蓄積容量素子Cloficと、を含むLOFIC回路が追加された構成を有する。
LOFIC回路は、フローティングディフュージョンFD1の容量Cfd1に、所定の容量を選択的に付加可能な回路に相当する。
本第3の実施形態においては、蓄積トランジスタLO1-Trが出力ノードND1とリセットトランジスタRST1-Trとの間に接続され、蓄積トランジスタLO1-TrとリセットトランジスタRST1-Trの接続点と基準電位VSSとの間に蓄積容量素子Cloficが接続されている。
【0116】
このように、蓄積トランジスタLO1-Trが出力ノードND1とリセットトランジスタRST1-Trとの間に接続され、蓄積トランジスタLO1-TrとリセットトランジスタRST1-Trの接続点と基準電位VSSとの間に蓄積容量素子Cloficが接続されたLOFIC回路を追加することにより、複数の異なるゲイン(少なくとも高ゲイン、低ゲイン)を持つことができる。これにより、ダイナミックレンジをさらに増加させることができる。
そして、いわゆるランプゲイン機能および画素変換ゲインを組み合わせてさらなるゲイン範囲を得ることができる。
【0117】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【0118】
本第4の実施形態の画素200Cが、第1、第2および第3の実施形態の画素200,200A,200Bと異なる点は、次の通りである。
本第4の実施形態の画素200Cにおいて、出力バッファ部230Cを形成する比較器231Cの差動トランジスタ対232Cの一方のトランジスタ232-1(NT21)とソースフォロワトランジスタSF1-Trが共用され、ソースフォロワトランジスタSF1-Trのゲート入力が比較器231Cの反転入力として使用されている。
【0119】
本第4の実施形態によれば、上述した第1から第3の実施形態の効果と同様の効果を得られることはもとより、画素回路を単純化でき、その結果、トランジスタの数を削減することが可能となる。
【0120】
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【0121】
本第5の実施形態の画素200Dが、上述した第1、第2、第3、および第4の実施形態の画素200~200Cと異なる点は、次の通りである。
本第5の実施形態の画素200Dは、出力バッファ部230Dにおいて、比較器の代わりに、ソース入力増幅器234が採用されている。
ソース入力増幅器234においては、ソースフォロワトランジスタSF1-Trのソースに第1のランプ信号RAMP1を入力し、ソースフォロワトランジスタSF1-TrのドレインとPMOSトランジスタPT23により形成される負荷235との接続点ND6により比較結果信号SCMPを保持用信号取出部240の制御端子に出力する。
【0122】
本第5の実施形態によれば、上述した第1から第4の実施形態の効果と同様の効果を得られることはもとより、画素回路を簡略化でき、その結果、トランジスタの数を削減することが可能となる。
【0123】
(第6の実施形態)
図9は、本発明の第6の実施形態を説明するための図であって、参照信号としてのランプ信号の他のパターン例を示す図である。
【0124】
本第6の実施形態の画素200Eが、上述した第1、第2、第3、第4、および第5の実施形態の画素200~200Dと異なる点は、次の通りである。
本第6の実施形態の画素200Eは、線形の第1の参照信号としての第1のランプ信号RAMP1と、非線形の第2の参照信号としての第2のランプ信号RAMP2を採用している。
【0125】
すなわち、本第6の実施形態では、単一勾配(傾き)の第1のランプ信号RAMP1を採用するとともに、線形-対数(またはニー(knees))ランプパターンを第2のランプ信号RAMP2に採用している。
この構成を採用することにより、データを圧縮するか、または光応答曲線を柔軟に制御することが可能となる。
【0126】
また、本第6の実施形態によれば、CSDの精度を上げるために、低信号領域を線形にすることができる。
また、第1のランプ信号RAMP1の非線形ランプと比較すると、比較器の遅延は安定していることが推察される。
この機能を使用するために、上述したすべての実施形態の任意の画素回路を使用することができる。
【0127】
以上説明した固体撮像装置10,10A~10Eは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0128】
図10は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0129】
本電子機器300は、
図10に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10A~10Eが適用可能なCMOSイメージセンサ310を有する。
さらに、電子機器300は、このCMOSイメージセンサ310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)320を有する。
電子機器300は、CMOSイメージセンサ310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)330を有する。
【0130】
信号処理回路330は、CMOSイメージセンサ310の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路330で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0131】
上述したように、CMOSイメージセンサ310として、前述した固体撮像装置10,10A~10Eを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0132】
10,10A~10E・・・固体撮像装置、20,20A~20E・・・画素部、200,200A~200E・・・画素、PD1・・・フォトダイオード、TG1-Tr・・・転送トランジスタ、RST1-Tr・・・リセットトランジスタ、SF1-Tr・・・ソースフォロワトランジスタ、FD1・・・フローティングディフュージョン、210・・・画素受光部、220・・・出力ノード、230・・・出力バッファ部、231・・・比較器、240・・・保持用信号取出部、250・・・信号保持部、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路(カラム読み出し回路)、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・読み出し部、300・・・電子機器、310・・・CMOSイメージセンサ、320・・・光学系、330・・・信号処理回路(PRC)。