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  • 特開-トロリ線高さの検測装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004075
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】トロリ線高さの検測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20240109BHJP
   B60L 5/26 20060101ALI20240109BHJP
   B60M 1/28 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01B11/02 Z
B60L5/26 Z
B60M1/28 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103535
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】301078191
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山川 寛展
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 洋平
(72)【発明者】
【氏名】三友 雄二
(72)【発明者】
【氏名】志澤 礼健
【テーマコード(参考)】
2F065
5H105
【Fターム(参考)】
2F065AA24
2F065BB27
2F065CC34
2F065DD03
2F065FF41
2F065FF61
2F065GG04
2F065HH13
2F065JJ05
2F065JJ09
2F065PP22
2F065QQ42
5H105AA11
5H105BA02
5H105BB01
5H105CC02
5H105CC12
5H105DD04
5H105DD12
5H105DD22
5H105EE03
5H105EE13
5H105EE21
5H105GG02
5H105GG15
5H105GG18
(57)【要約】
【課題】 低コストでありながら、高精度かつ信頼性の高いトロリ線高さを検測できる、検測装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 軌道を走行する車両からトロリ線の高さを検査測定する検測装置であって、前記車両の屋根上に備えたパンタグラフの舟体の下方に設けた反射板と、該反射板にレーザ光を照射して該反射板までの距離を測定するレーザ測長センサと、該レーザ測長センサが測定した距離に基づいて前記軌道から前記トロリ線の高さを算出する演算装置と、を備えた検測装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道を走行する車両からトロリ線の高さを検査測定する検測装置であって、
前記車両の屋根上に備えたパンタグラフの舟体の下方に設けた反射板と、
該反射板にレーザ光を照射して該反射板までの距離を測定するレーザ測長センサと、
該レーザ測長センサが測定した距離に基づいて前記軌道から前記トロリ線の高さを算出する演算装置と、
を備えたことを特徴とする検測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検測装置において、
前記反射板は、前記舟体の下方の左右に設けられており、
前記レーザ測長センサは、各反射板の下方に設けられており、
各反射板は、前記車両の進行方向に関して左右対称な形状、配置であることを特徴とする検測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検測装置において、
前記舟体は、前記車両の進行方向に複数設けられ、
前記反射板は、各舟体の下方に設けられており、
前記レーザ測長センサは、各反射板の下方に設けられており、
各反射板は、前記車両の進行方向に関して前後対称な形状、配置であることを特徴とする検測装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検測装置において、
前記反射板は、
前記レーザ光が照射される水平平面である反射面と、
前記反射板を前記舟体の下方に取り付けるための垂直リブと、
を有しており、
前記反射板を前記車両の進行方向から見たときに、前記反射面と前記垂直リブが略L字状断面を形成するように配置されていることを特徴とする検測装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検測装置において、
前記垂直リブの前端または後端にリブ傾斜を設けたことを特徴とする検測装置。
【請求項6】
請求項4に記載の検測装置において、
前記反射面の上面に前記垂直リブと直交する第二の垂直リブを設けたことを特徴とする検測装置。
【請求項7】
請求項4に記載の検測装置において、
前記反射面の前端または後端に所定の傾斜角度を設けた端部プレートを設けたことを特徴とする検測装置。
【請求項8】
請求項4に記載の検測装置において、
前記反射面の進行方向の幅が、前記舟体の進行方向の幅の2倍から4倍であることを特徴とする検測装置。
【請求項9】
請求項4に記載の検測装置において、
前記舟体から前記反射面の距離は、前記舟体の高さの1倍から3倍であることを特徴とする検測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道を走行しながらトロリ線の高さを検査測定する、トロリ線高さの検測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電車と呼ばれる、モータを動力源として軌道を走行する鉄道車両には、軌道上方のトロリ線から屋根上のパンタグラフを介して電源供給されるものが多い。パンタグラフは、トロリ線が所定の基準高さに設置されていることを前提に設計・設置されるため、電車の安定走行のためには、自然災害等の影響でトロリ線の設置高さ異常が発生した場合、その異常を早期発見してトロリ線の保守管理に繋げる必要がある。
【0003】
トロリ線の高さを非接触で検測する従来の検測装置として、特許文献1が知られている。例えば、同文献の要約書には、課題として「測定用パンタグラフ以外の通常の営業車両のパンタグラフでトロリ線の高さを測定できるようにする」と記載されており、解決手段として「車両に搭載したパンタグラフ3の一部のターゲット7をカメラによって測定する。カメラで得られた画像からトロリ線1の高さデータを算出する。このようにパンタグラフ3の一部のターゲット7をカメラによって非接触で測定する。」と記載されている。
【0004】
このように、特許文献1では、パンタグラフ上のターゲットをカメラで撮像し、撮像したターゲット画像に基づいてトロリ線の高さを非接触で検測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-194367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、約300km/h程度の高速で走行する鉄道車両に特許文献1の検測装置を搭載する場合、その車両速度に連動して激しく高さ変動するターゲットを鮮明に撮像するには、高フレームレートのハイスピードカメラを利用する必要がある。その場合、カメラが高額になることに加えて、単位時間に撮像される画像数が多くなるため画像処理の演算負荷が大きくなる問題もある。同様に、検測精度向上のために高分解能カメラを利用して高情報量画像を撮像する場合にも、カメラ費用と演算負荷の両面でコストが高くなる問題がある。
【0007】
また、カメラによる撮像画像の品質は、撮像環境の明暗の影響を強く受けるため、曇雨雪等の悪天時や、夜間やトンネル内のように暗い環境下では、光量不足により十分な検測精度を確保できない可能性がある。この問題を改善するために照明装置を別途設けてターゲットを照らす方法も考えられるが、照明装置を追加した分だけコスト増を招くことになる。
【0008】
上記のコスト問題は、特許文献1の検測装置を極少数の検測専用車両に限定して搭載するのであれば大きな問題とはならないが、トロリ線異常の検測即時性を高めるため、一般の営業車両にも検測装置の搭載を拡大するには、高コストの特許文献1の検測装置の採用は現実的でなかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、低コストでありながら、高精度かつ信頼性の高いトロリ線高さを検測できる、検測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その一例を挙げるならば、軌道を走行する車両からトロリ線の高さを検査測定する検測装置であって、前記車両の屋根上に備えたパンタグラフの舟体の下方に設けた反射板と、該反射板にレーザ光を照射して該反射板までの距離を測定するレーザ測長センサと、該レーザ測長センサが測定した距離に基づいて前記軌道から前記トロリ線の高さを算出する演算装置と、を備えた検測装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の検測装置によれば、低コストでありながら、高精度かつ信頼正の高いトロリ線高さを検測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の検測装置を搭載した車両の概略図。
図2】実施例1の検測装置の斜視図。
図3】実施例1のパンタグラフの側面図。
図4】実施例1のパンタグラフの上面図。
図5】実施例2における斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例0014】
図1は、本発明の実施例1に係る検測装置を搭載した車両100の概略図である。この車両100は、トロリ線200から給電されるモータ(図示せず)を動力源として、軌道300を走行する電車(鉄道車両)である。また、車両100の屋根101上には、トロリ線200から車両100への給電経路となる、略く字状のパンタグラフ1が設けられている。このパンタグラフ1は、同じく屋根101上に設けられたパンタグラフ駆動機構102によって、高さを調節できるようになっている。なお、以下では、運転席車両方向をx軸の正方向とし、車両左方向をy軸の正方向とし、車両上方向をz軸の正方向とする、直交座標系を基準として本発明の説明に必要な各方向を定義することとする。
【0015】
本実施例の車両100の走行方向には、図1のように、x軸正方向に向かう正方向D1と、x軸負方向に向かう逆方向D2の2方向がある。パンタグラフ1は、関節部であるヒンジ11と、トロリ線200との接触部である舟体12を有している。車両100が正方向D1に走行する場合には、パンタグラフ1はヒンジ11が上流側となる正方向の走行風W1を受ける。一方、車両100が逆方向D2に走行する場合には、パンタグラフ1はヒンジ11が下流側となる走行風W2を受ける。
【0016】
トロリ線200は、吊架線201からハンガ202によって吊り下げられる。これにより、トロリ線200は、基本的には軌道300から一定の高さ(基準高さ)を保つように設置されるが、自然災害等の影響により、基準高さから大きく外れる場合もある。
【0017】
<検測装置の詳細構造>
次に、図2から図4を用いて、トロリ線200の高さを検測するための、本実施例の検測装置の詳細について説明する。本実施例の検測装置は、主に、屋根101上に設置したレーザ測長センサ2と、パンタグラフ1の舟体12の下方に設置した反射板3、および、図示しない演算装置で構成される。なお、演算装置は、CPU等の演算部や半導体メモリ等の記憶部などを備えたコンピュータであり、予め用意された所定のパラメータとプログラムを用いて、レーザ測長センサ2の出力に基づいて軌道300からトロリ線200の高さを算出するものである。
【0018】
レーザ測長センサ2は、舟体12の下方に設けた反射板3に向けてレーザ光Lを照射し、反射板3までの距離を測定する。演算装置の記憶部には、車両100の高さ、レーザ測長センサ2の高さ、および、舟体12における反射板3の位置等が予め登録されており、レーザ測長センサ2から反射板3までの距離を測定できれば、演算装置の演算部では、車体屋根101から舟体12までの距離を計算でき、最終的に、軌道300からトロリ線200の高さを検測することができる。
【0019】
本実施例のパンタグラフ1は、トロリ線200からの給電を容易かつ確実にするため、図2図3に示すように、y軸と平行な2本の舟体12を備えている。車両100は主に正方向D1に走行するため、以下では、正方向D1側のものを上流側舟体12Uと呼び、逆方向D2側のものを下流側舟体12Dと呼ぶ。
【0020】
パンタグラフ駆動機構102が、パンタグラフ1の駆動ロッド13を駆動すると、ヒンジ11を回動軸としてアーム14が上下する。このとき、舟体12と反射板3は、アーム14の上下動と連動して高さ方向(z軸方向)に上下動する。これにより、トロリ線200の高さが基準高さの近傍で上下変動しても、トロリ線200に舟体12を確実に接触させることができる。
【0021】
駆動ロッド13の駆動を舟体12と反射板3の上下動に繋げるための構成として、パンタグラフ1は、上記した構成に加えて、アーム支持ロッド15と、舟体支持ロッド16と、ロッド連結板17、舟体支持ビーム18、舟体ピラー19、反射板ピラー19aを有している。
【0022】
アーム支持ロッド15は、アーム14の上端に接続された、y軸と平行なロッドである。舟体支持ロッド16は、アーム支持ロッド15と平行に配置された、y軸と平行なロッドである。ロッド連結板17は、平行配置された両ロッドを図3のように連結する。舟体支持ロッド16の左右両端には、x軸と平行な舟体支持ビーム18が設けられている。また、舟体支持ビーム18の前後両端にはz軸方向に延びる舟体ピラー19が設けられ、その上端に舟体12が取り付けられる。また、4つの舟体ピラー19のアーム14側には夫々、反射板3を取り付けるための反射板ピラー19aが形成されている。これらの構成によって、舟体12の下方に反射板3を配置することができ、かつ、舟体12と反射板3を一体として上下動させることができる。
【0023】
以上の構成により、本実施例では、2本の舟体12の下方に4つの反射板3を備えることになる。具体的には、上流側舟体12Uの下方に、上流右側反射板3URと上流左側反射板3ULを備え、下流側舟体12Dの下方に、下流右側反射板3DRと下流左側反射板3DLを備えることになる。
【0024】
図2に示すように、本実施例では、4つの反射板3(3UR、3UL、3DR、3DL)の真下に、4つの測長レーザ装置2(2UR、2UL、2DR、2DL)を設置しており、各々の測長レーザ装置2から対向する反射板3にレーザ光Lを照射することで、4箇所の距離を同時に検測できる。
【0025】
反射板3は、x軸の正方向から見たときに略L字の断面形状を有しており、レーザ光Lを反射するための水平平面である反射面31と、反射板3を反射板ピラー19aに取り付けるための垂直平面である垂直リブ32によって構成される。図4に示すように、本実施例の反射板3は反射板ピラー19aのアーム14側に取り付けられるため、左側設置の反射板3(3UL、3DL)の垂直リブ32であれば反射面31の左側端部に設けられており、右側設置の反射板3(3UR、3DR)の垂直リブ32であれば反射面31の右側端部に設けられている。
【0026】
レーザ光Lは、図3のように、レーザ測長センサ2から照射され反射面31に向かう照射レーザ光L1と、反射面31で反射されレーザ測長センサ2に向かう反射レーザ光L2から成り立っている。4つのレーザ測長センサ2はそれぞれ、相対する反射板3までの距離を測定するので、4箇所の距離を同時に測定することができる。そして、4つのレーザ測長センサ2の出力が入力される演算装置では、4箇所の距離の平均値をレーザ測長センサ2から反射板3までの距離として算出する。これにより、個々のレーザ測長センサ2の出力に基づくトロリ線高さよりも精度や信頼性の高いトロリ線高さを検測することができる。
【0027】
ここで、反射板3の反射面31は単なる水平平面で構成されることから、正方向の走行風W1や、逆方向の走行風W2とは平行に配置されることになる。従って、反射面31の上下面での流れ場は同じであり、上下面で風速分布に差は殆ど生じない。一般に、物体にかかる空気力の一つである揚力は、物体上下面で流速差が生じた場合に静圧に差が生じるため、上下面にかかる圧力差が力となって発生する。したがって、上下面で風速分布に差のない反射板3には顕著な揚力は生じない。
【0028】
パンタグラフ1にとって揚力抑制は重要で、例えば上方向の揚力が過剰に発生するとパンタグラフ1がトロリ線200を持ち上げて、トロリ線200を切断する虞がある。逆に、下方向の揚力が過剰に発生するとパンタグラフ1がトロリ線200から離脱する虞がある。しかし、本実施例の反射板3には揚力が殆ど発生しないことから、パンタグラフ1の基本性能に影響を与えることはなく、安価な検測装置の構成部品として配置することができる。
【0029】
さらに、本実施例の反射板3の垂直リブ32には、図3に示すようなリブ傾斜32aが設けられている。上流側の反射板3(3UR、3UL)のリブ傾斜32aは正方向の走行風W1と対向するように設けられており、下流側の反射板3(3DR、3DL)のリブ傾斜32aは逆方向の走行風W2と対向するように設けられている。これにより、車両100の走行方向によらず、垂直リブ32の流体抵抗を減ずることが可能となり、反射面31での揚力抑制と同様、パンタグラフ1に不要な空気力を与えることはない。
【0030】
ここで、図3に示すように、反射板3のx軸方向の幅Wmはレーザ光Lを反射するのに十分な広さを持つことで、レーザ光Lにとっての照射領域を確保できるため、検測精度や検測信頼性が向上する。しかし、幅Wmが不必要に大きいと、材料費アップによるコスト高や、反射板ピラー19aへの取り付けの不安定さが増し、空気力の影響を受けやすくなることなどの課題があるため、検測の信頼性や頑強性を失う。そのため、反射板3の幅Wmは、例えば、舟体12のx軸方向の幅Wfの2倍以上、4倍以下、特に3倍程度にすることが望ましい。
【0031】
また、トロリ線200の検測精度を向上させるためには、反射板3の設置高さは、トロリ線200と接触するように高さ調節される舟体12に近い方が好ましい。しかし、反射板3が舟体12に近すぎると、舟体12やトロリ線200からの放電などの電気的影響を受け損傷の発生も考えられるため、好ましくない。そのため、舟体12の下部から反射板3までの距離Hmは、舟体12の高さHfの1倍以上、3倍以下、特に2倍程度にすることが望ましい。
【0032】
ここで、4つの反射板3(3UR、3UL、3DR、3DL)を、図2から図4に示す位置に設置した理由を説明する。図1でも示したように、本実施例の車両100は、軌道300上を正方向D1または逆方向D2に進行する。そのため、本実施例では、車両100が何れの方向に進行しても同じ空気力を受け、同じ検測精度が得られるようにしている。
【0033】
具体的には、舟体支持ロッド16の中心軸を含む、yz平面に平行な平面A(図3図4参照)に関し、2つの舟体12と4つの舟体ピラー19の形状と設置位置を面対称にする。同様に、4つの反射板3と反射板ピラー19aの形状と設置位置も、平面Aに関して面対称にする。これにより、正方向D1・逆方向D2で、検測装置の検測精度を同じにすることができ、検測精度の信頼性を確保することができる。
【0034】
また、図4に示すように、4つの反射板3の形状と設置位置は、アーム14の中心軸を含む、xz平面に平行な平面Bに関して面対称となっている。これにより空気力を含む左右方向の力学的バランスが保たれるようになっている。
【0035】
これにより、前後左右4つの反射板3の力学的バランスが取れるようになり、検測の精度向上および信頼性が確保できる。
【0036】
また、トロリ線200は過度の摩耗を避けるために、直線状だけではなくジグザグの蛇行状に張られていることもあるが、反射板が複数配置されているので情報量が多くなっているため、トロリ線200の蛇行状の変化にも対応することができ、検測精度向上に寄与する。また、反射板3の配置が前後方向に面対称かつ左右方向に面対象の配置となっているため(図3図4参照)、ランダムな配置になっている場合より配置距離などが計算しやすくなっており、検測データの参照や統合がしやすくなり、低コストでの検測に寄与する。
【0037】
以上で説明した本実施例の検測装置によれば、低コストでありながら、高精度かつ信頼性の高いトロリ線高さを検測することができる。
【実施例0038】
次に、図5を用いて、本発明の実施例2に係る検測装置を説明する。なお、実施例1との共通点は重複説明を省略する。
【0039】
実施例1では、x軸の正方向から見たときに、略L字状の断面形状を持つ比較的単純な形状の反射板3を用いたが、本実施例では、図5に示すようなより複雑な形状の反射板3を使用する。なお、図5の反射板3は、車両100の右側に配置される反射板3(3UR、3DR)であり、車両100の左側に配置される反射板3(3UL、3DL)はこれと左右対象の形状をしている。
【0040】
図示するように、本実施例の反射板3は、平坦な反射面31の片側に垂直リブ32が立てられている点は実施例1の反射板3と同等である。しかし、反射板3の進行方向に対する幅が大きくなるなどした場合に強度を確保するため、反射面31の前後方向の中央に第二の垂直リブ33を追加して設けている。この場合、反射面31と第二の垂直リブ33を接続する垂直部34に走行風W1または走行風W2の流れが衝突し、反射板3を下側に押下げるような空気力が発生し、パンタグラフ1全体が発生する空気力に影響を受け、検測精度低下が懸念される。
【0041】
そこで、反射面31の前後端部に所定の傾斜角度θを設けた端部プレート35を付与することにより、空気の流れは端部プレート35の下面に沿って滑らかに流れるため、空気力の影響を抑えることができる。したがって検測精度の向上や信頼性確保に寄与できる。
【0042】
端部プレート35は進行方向に向いて傾斜させる。片側だけ付与する場合は、反射板3の軽量化や材料費低減のためのコスト抑制につながるが、流れの影響を極力抑えるためには、反射面31の両端に付与することが好ましい。また、端部プレート35の形状も平板だけでなく、曲面で構成するなどして、より空気力の影響を低減することも可能である。
【0043】
以上のように、本実施例によれば、反射板の反射面の端部に傾斜板を付与する。これにより、高い検測精度が得られ、かつ検測精度の高信頼化が得られる検測装置を提供することができる。
【0044】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 パンタグラフ、
11 ヒンジ、
12 舟体、
12U 上流側舟体、
12D 下流側舟体、
13 駆動ロッド、
14 アーム、
15 アーム支持ロッド、
16 舟体支持ロッド、
17 ロッド連結板、
18 舟体支持ビーム、
19 舟体ピラー、
19a 反射板ピラー、
2 レーザ測長センサ、
3 反射板、
31 反射面、
32 垂直リブ、
32a リブ傾斜、
33 第二の垂直リブ、
34 垂直部、
35 端部プレート、
100 車両、
101 屋根
102 パンタグラフ駆動機構
200 トロリ線、
201 吊架線
202 ハンガ
300 軌道
D1 正方向、
D2 逆方向、
W1 正方向の走行風、
W2 逆方向の走行風、
L レーザ光、
L1 照射レーザ光、
L2 反射レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5