(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040751
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/77 20230101AFI20240318BHJP
【FI】
H04N5/3745
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145304
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高柳 功
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX03
5C024CX43
5C024GX03
5C024GX15
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
5C024HX13
5C024HX29
5C024HX35
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供する。
【解決手段】固体撮像装置10は、光電変換読み出し部230と、増幅回路240と、増幅回路240により増幅された読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部250と、低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線LSGN11と、増幅回路240の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線LSGN12と、を含み、増幅回路230は、差動トランジスタ対241の第2の差動トランジスタ241-2とソースフォロワトランジスタSF-Trが共用されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配置された画素部を有し、
前記各画素は、
光電変換した電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電荷量に応じた電圧信号として読み出す光電変換読み出し部と、
前記光電変換読み出し部から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能な増幅回路と、
前記増幅回路により増幅された前記読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、
低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線と、
前記増幅回路の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線と、を含み、
前記光電変換読み出し部は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワトランジスタと、
リセット期間に前記出力ノードを前記第2の画素内信号線の電位または所定の電位にリセットするリセット素子と、
一方の電極が前記出力ノードに接続され、他方の電極が前記第2の画素内信号線に接続される帰還キャパシタと、を含み、
前記第1の画素内信号線は、
前記ソースフォロワトランジスタによる電圧信号の出力ラインに接続され、かつ、前記増幅回路の入力側に接続されており、
前記増幅回路は、
第1の差動トランジスタと第2の差動トランジスタを含み、第1の差動トランジスタのゲートに前記参照信号が供給され、差動増幅機能を有する差動トランジスタ対を含み、
前記差動トランジスタ対の前記第2の差動トランジスタと前記ソースフォロワトランジスタが共用されている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記増幅回路は、制御信号に応じて、
低ゲイン読み出しモード時には、前記ソースフォロワトランジスタによるソースフォロワ増幅動作により低ゲインで増幅された読み出した電圧信号を前記第1の画素内信号線に出力し、
高ゲイン読み出しモード時には、前記増幅回路の前記差動トランジスタ対と前記帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路によって作りだされるミラー効果によって、電荷を帰還キャパシタに転送させて、高ゲインで増幅された電圧信号を前記第2の画素内信号線に出力する
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記増幅回路は、
前記第1の差動トランジスタのドレイン側に接続された第1の負荷回路および前記第2の差動トランジスタのドレイン側に接続された第2の負荷回路を有し、前記第1の負荷回路と前記第2の負荷回路が、前記第1の差動トランジスタのドレイン側から前記第2の差動トランジスタのドレイン側への電流経路を含むカレントミラーを形成するように接続されたアクティブ負荷回路と、
制御信号に応じて、低ゲイン読み出しモード時に、前記第1の負荷回路を非アクティブ化して、前記第2の負荷回路と前記ソースフォロワトランジスタによる低ゲイン読み出し回路を形成し、高ゲイン読み出しモード時には、前記第1の負荷回路をアクティブ化して、前記増幅回路の前記差動トランジスタ対と前記帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路による高ゲイン読み出し回路を形成する読み出し回路形成部と、を含む
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1の負荷回路は、
ゲートおよびドレインが前記第1の差動トランジスタのドレイン側に接続された第1の負荷トランジスタを含み、
前記第2の負荷回路は、
ドレインが前記第2の差動トランジスタとしての前記ソースフォロワトランジスタのドレイン側に接続され、ゲートが前記第1の負荷トランジスタのゲートおよびドレインに接続された第2の負荷トランジスタを含み、
前記読み出し回路形成部は、
低ゲイン読み出しモード時に、前記第1の負荷トランジスタのゲートを前記第1の負荷トランジスタが導通状態を保持可能な所定電位に接続するとともに、前記第1の負荷トランジスタのゲートおよびドレインも当該所定電位に接続して当該第1の負荷トランジスタを非アクティブ化させるアクティブ化制御回路を含む
請求項3記載の固体撮像装置。
【請求項5】
低ゲイン読み出しモード時に、前記参照信号は前記第1の差動トランジスタが非導通状態に保持されるレベルで当該第1の差動トランジスタのゲートに供給される
請求項3記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記出力ノードに接続された蓄積トランジスタと、
前記蓄積トランジスタを介して少なくとも前記出力ノードとの間で電荷の授受が可能な容量素子と、を含む
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記信号保持部は、
前記第1の画素内信号線に接続され、前記第1の画素内信号線に読み出された低ゲインの読み出し電圧信号をサンプリング可能な低ゲイン用サンプリング回路と、
前記第2の画素内信号線に読み出された高ゲインの読み出し電圧信号をサンプリング可能な高ゲイン用サンプリング回路と、を含む
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記低ゲイン用サンプリング回路は、
前記第1の画素内信号線を介して第1の入力ノードに入力される前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた第1の読み出し電圧信号を保持可能な第1の信号保持キャパシタと、
前記第1の信号保持キャパシタを前記第1の画素内信号線と選択的に接続する第1のスイッチ素子と、
前記第1の信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて選択的に第1の信号線に出力する第1の出力部と、
前記第1の画素内信号線を介して前記第1の入力ノードに入力されるリセット状態時の第1の読み出しリセット電圧信号を保持可能な第2の信号保持キャパシタと、
前記第2の信号保持キャパシタを前記第1の画素内信号線と選択的に接続する第2のスイッチ素子と、
前記第2の信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて選択的に第2の信号線に出力する第2の出力部と、を含み、
前記高ゲイン用サンプリング回路は、
前記第2の画素内信号線を介して第2の入力ノードに入力される前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた第2の読み出し電圧信号を保持可能な第3の信号保持キャパシタと、
前記第3の信号保持キャパシタを前記第2の画素内信号線と選択的に接続する第3のスイッチ素子と、
前記第3の信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて選択的に第1の信号線に出力する第3の出力部と、
前記第2の画素内信号線を介して前記第4の入力ノードに入力されるリセット状態時の第2の読み出しリセット電圧信号を保持可能な第4の信号保持キャパシタと、
前記第4の信号保持キャパシタを前記第2の画素内信号線と選択的に接続する第4のスイッチ素子と、
前記第4の信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて選択的に第2の信号線に出力する第4の出力部と、を含む
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記信号保持部の前記低ゲイン用サンプリング回路は、
前記第1の信号保持キャパシタに保持された信号と前記第2の信号保持キャパシタに保持された信号とを選択的に平均化可能な第1の平均化部を含み、
前記信号保持部の前記高ゲイン用サンプリング回路は、
前記第3の信号保持キャパシタに保持された信号と前記第4の信号保持キャパシタに保持された信号とを選択的に平均化可能な第2の平均化部を含む
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記低ゲイン用サンプリング回路と前記高ゲイン用サンプリング回路は、
前記第1の信号保持キャパシタと前記第3の信号保持キャパシタが共用されて、第1の保持ノードに接続された第1の共用信号保持キャパシタが形成され、
前記第2の信号保持キャパシタと前記第4の信号保持キャパシタが共用されて、第2の保持ノードに接続された第2の共用信号保持キャパシタが形成され、
前記第1の出力部と前記第3の出力部が共用されて、第1の保持ノードの保持電圧に応じて第1の信号線に出力する第1の共用出力部が形成され、
前記第2の出力部と前記第4の出力部が共用されて、第2の保持ノードの保持電圧に応じて第2の信号線に出力する第2の共用出力部が形成され、
前記第1の平均化部と前記第2の平均化部が共用されて、第1の保持ノードの保持電圧と第2の保持ノードの保持電圧とを選択的に平均化可能な共用平均化部が形成され、
前記第1のスイッチ素子が、前記第1の画素内信号線に接続された前記第1の入力ノードと前記第1の保持ノードとの間に接続され、
前記第2のスイッチ素子が、前記第1の画素内信号線に接続された前記第1の入力ノードと前記第2の保持ノードとの間に接続され、
前記第3のスイッチ素子が、前記第2の画素内信号線に接続された前記第2の入力ノードと前記第1の保持ノードとの間に接続され、
前記第4のスイッチ素子が、前記第2の画素内信号線に接続された前記第2の入力ノードと前記第2のノードとの間に接続されている
請求項9記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記光電変換読み出し部は、
前記帰還キャパシタと前記出力ノードとしてのフローティングディフュージョンとの接続側帰還ノードに、リセット動作後の前記リセット素子としてのリセットトランジスタからの注入電荷を補償するための電荷補償キャパシタが接続されている
請求項1記載の固体撮像措置。
【請求項12】
前記電荷補償キャパシタに電荷注入パルスが印加される
請求項11記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記電荷注入パルスは、
前記高ゲイン読み出しモード時は第1の電圧で印加され、
前記低ゲイン読み出しモード時は前記第1の電圧より高い第2の電圧で印加される
請求項12記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記光電変換読み出し部は、
前記光電変換素子に接続され、当該光電変換素子に蓄積された電荷を放出可能なアンチブルーミングゲート素子を含む
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記リセット素子は、
前記出力ノードと前記帰還キャパシタと前記第2の画素内信号線との接続ノードとの間に接続され、
ゲートがリセット用制御信号の供給ラインに接続されている
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記リセット素子は、
前記出力ノードと所定電位との間に接続され、
ゲートが前記帰還キャパシタと前記第2の画素内信号線との接続ノードに接続されている
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項17】
第1のブロックと、
前記第1のブロックと接続部を通して接続された第2のブロックと、を含み、
前記第1のブロックには、
少なくとも前記画素の少なくとも前記光電変換読み出し部が形成され、
前記第2のブロックには、
少なくとも前記画素の前記増幅回路の前記アクティブ負荷回路、前記信号保持部、前記第1の画素内信号線、前記第2の画素内信号線、前記第1の信号線、および前記第2の信号線が形成されている
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項18】
前記増幅回路の前記第1の差動トランジスタが前記第1のブロックに形成されている
請求項17記載の固体撮像装置。
【請求項19】
複数の画素が配置された画素部を有し、
前記各画素は、
光電変換した電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電荷量に応じた電圧信号として読み出す光電変換読み出し部と、
前記光電変換読み出し部から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能な増幅回路と、
前記増幅回路により増幅された前記読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、
低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線と、
前記増幅回路の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線と、を含み、
前記光電変換読み出し部は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワトランジスタと、
リセット期間に前記出力ノードを前記第2の画素内信号線の電位または所定の電位にリセットするリセット素子と、
一方の電極が前記出力ノードに接続され、他方の電極が前記第2の画素内信号線に接続される帰還キャパシタと、を含み、
前記第1の画素内信号線は、
前記ソースフォロワトランジスタによる電圧信号の出力ラインに接続され、かつ、前記増幅回路の入力側に接続されており、
前記増幅回路は、
第1の差動トランジスタと第2の差動トランジスタを含み、第1の差動トランジスタのゲートに前記参照信号が供給され、差動増幅機能を有する差動トランジスタ対と、
前記第1の差動トランジスタのドレイン側に接続された第1の負荷回路および前記第2の差動トランジスタのドレイン側に接続された第2の負荷回路を有し、前記第1の負荷回路と前記第2の負荷回路が、前記第1の差動トランジスタのドレイン側から前記第2の差動トランジスタのドレイン側への電流経路を含むカレントミラーを形成するように接続されたアクティブ負荷回路と、を含み、
前記差動トランジスタ対の前記第2の差動トランジスタと前記ソースフォロワトランジスタが共用されている
固体撮像装置の駆動方法であって、
低ゲイン読み出しモード時には、
前記第1の負荷回路を非アクティブ化して、前記第2の負荷回路と前記ソースフォロワトランジスタによる低ゲイン読み出し回路を形成して、前記ソースフォロワトランジスタによるソースフォロワ増幅動作により低ゲインで増幅された読み出した電圧信号を前記第1の画素内信号線に出力し、
高ゲイン読み出しモード時には、
前記第1の負荷回路をアクティブ化して、前記増幅回路の前記差動トランジスタ対と前記帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路による高ゲイン読み出し回路を形成して、前記増幅回路の前記差動トランジスタ対と前記帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路によって作りだされるミラー効果によって、電荷を帰還キャパシタに転送させて、高ゲインで増幅された電圧信号を前記第2の画素内信号線に出力する
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項20】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
複数の画素が配置された画素部を有し、
前記各画素は、
光電変換した電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電荷量に応じた電圧信号として読み出す光電変換読み出し部と、
前記光電変換読み出し部から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能な増幅回路と、
前記増幅回路により増幅された前記読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、
低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線と、
前記増幅回路の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線と、を含み、
前記光電変換読み出し部は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワトランジスタと、
リセット期間に前記出力ノードを前記第2の画素内信号線の電位または所定の電位にリセットするリセット素子と、
一方の電極が前記出力ノードに接続され、他方の電極が前記第2の画素内信号線に接続される帰還キャパシタと、を含み、
前記第1の画素内信号線は、
前記ソースフォロワトランジスタによる電圧信号の出力ラインに接続され、かつ、前記増幅回路の入力側に接続されており、
前記増幅回路は、
第1の差動トランジスタと第2の差動トランジスタを含み、第1の差動トランジスタのゲートに前記参照信号が供給され、差動増幅機能を有する差動トランジスタ対を含み、
前記差動トランジスタ対の前記第2の差動トランジスタと前記ソースフォロワトランジスタが共用されている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)出力方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
ところで、CMOSイメージセンサでは、フォトダイオードで生成しかつ蓄積した光電荷を、画素毎あるいは行毎に順次走査して読み出す動作が行われる。
この順次走査、すなわち、電子シャッタとしてローリングシャッタを採用した場合は、光電荷を蓄積する露光の開始時間、および終了時間を全ての画素で一致させることができない。そのため、順次走査の場合、動被写体の撮像時に撮像画像に歪みが生じるという問題がある。
【0005】
そこで、画像歪みが許容できない、高速に動く被写体の撮像や、撮像画像の同時性を必要とするセンシング用途では、電子シャッタとして、画素アレイ部中の全画素に対して同一のタイミングで露光開始と露光終了とを実行するグローバルシャッタが採用される。
【0006】
電子シャッタとしてグローバルシャッタを採用したCMOSイメージセンサは、画素内に、たとえば、光電変換読み出し部から読み出された信号を信号保持キャパシタに保持する信号保持部が設けられている。
グローバルシャッタを採用したCMOSイメージセンサでは、フォトダイオードから電荷を電圧信号として一斉に信号保持部の信号保持キャパシタにアナログ的なサンプルホールド動作により蓄積し、そののち順次読み出すことにより、画像全体の同時性を確保している(たとえば、非特許文献1参照)。
また、このCMOSイメージセンサは、たとえば光電変換読み出し部の出力を、信号保持部をバイパスして信号線に転送するバイパススイッチを有しており、グローバルシャッタ機能に加えてローリングシャッタ機能を併せ持つように構成されていてもよい。
【0007】
また、各画素の構成としては代表的なものとして、4トランジスタ(4Tr)APS画素(たとえば特許文献1参照)、あるいは容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA:Capacitive Trans-Impedance Amplifier)画素(たとえば特許文献2,3参照)が知られている。
【0008】
そして、高ダイナミックレンジを持つ高画質のCMOSイメージセンサのグローバルシャッタ機能を備えた画素としては、VMGS(電圧モードグローバルシャッタ)画素、およびCMGS(電荷モードグローバルシャッタ)画素が知られている。
【0009】
これらのうち、VMGS画素は、CMGS画素と比較して、シャッタ効率が高く、寄生光の感度が低いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005-65074号公報
図2
【特許文献2】特表2006-505975号公報
【特許文献3】特表2002-501718号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】J. Aoki, et al., “A Rolling-Shutter Distortion-Free 3D Stacked Image Sensor with -160dB Parasitic Light Sensitivity In-Pixel Storage Node” ISSCC 2013 / SESSION 27 / IMAGE SENSORS / 27.3.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、上述した4TrAPS画素の高感度化は、変換ゲイン(コンバージョンゲイン)を高めることで実現できる。4TrAPS画素では、フローティングディフュージョンFDの容量Cfd1を下げることである程度の高感度化が可能であるが、ゲインが高過ぎる場合は実効的な飽和電子数が減少するため、高輝度な被写体のディテールが欠落してしまう。
反対に、フローティングディフュージョンFDの容量Cfd1を上げると高輝度被写体のディテールは得られるが、低輝度被写体のディテールが欠落する。
さらに、フォトダイオードPD1とフローティングディフュージョンFD間の電位差の減少が顕著になり、ラグ(Lag)の発生による動画の画質劣化を招く。
また、画素リセット時におけるクロックフィードスルー等による電圧変動はコンバージョンゲインが高くなるほど大きくなり電圧振幅範囲を狭めるため、実効的な飽和電子数がさらに低下する。
よって一般的に、高感度化と高ダイナミックレンジ化を同時に実現することは従来の画素構成では困難であると言える。
【0013】
また、上述したCTIA画素においては、帰還キャパシタCFの容量Cfb1を、4TrAPS画素のフローティングディフュージョンFDの容量Cfd1より小さくすることにより高感度化を実現でき、低輝度被写体を明るく映し出すことができる。
ただし、高感度になるほど飽和電子数が低下するため、高輝度被写体のディテールがより欠落する。
【0014】
そして、VMGS画素を持つCMOSイメージセンサは、CMGS画素を持つCMOSイメージセンサに比較して、大きなフロアノイズが懸念される。
【0015】
VMGS画素の主要なノイズ減は、電圧サンプルホールドでの熱ノイズであり、雑音電圧Vnは次式で表すことができる。
【0016】
[数1]
Vn = SQRT(kT / CSH)
【0017】
ここで、Tは絶対温度、kはボルツマン定数、CSHはサンプルホールド用容量素子の容量値をそれぞれ表し、またSQRTは平方根(square root)を示している。
【0018】
次に、電圧信号Vsは電子電圧変換ゲインCGを用いて次式で表される。
【0019】
Vs = Nsig(e)x CG(V / e)
【0020】
したがって、電子参照ノイズNnは次のように表される。
【0021】
Nn(e)= 1 / CG x SQRT(kT / CSH)
【0022】
この式において、電子参照ノイズNnを低減させるには、電子電圧変換ゲインCGまたは電圧サンプルホールド用キャパシタの容量値CSHの増加が必要であることを意味する。
【0023】
容量値CSHの増加は、画素サイズによる物理的な制約を受ける。
また、電子電圧変換ゲインCGの増加は、通常、ダイナミックレンジDRの減少を招く。
それらに対応して、ダイナミックレンジDRを拡張するために、複数の変換ゲインCGを有する画素が提案されている。
しかしながら、高変換ゲインCGを備える構成では、フロアノイズの点でCMGS画素に比較して十分であるとは言い難い。
【0024】
また、CMOSイメージセンサの重要な性能指標にランダムノイズがある。
一般的には、ランダムノイズ低減手法として、トランジスタサイズを大きくすることでフリッカノイズ(flicker noise)を低減する、もしくは演算増幅器出力に容量を付加し、帯域を落とすことでCDSによるノイズのフィルタ効果を狙う方法が知られている。
しかし、それぞれの手法では、面積が増大する、容量増により演算増幅器の反転遅延が増大し、撮像素子のフレームレートが上げられないという不利益がある。
【0025】
本発明は、電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能で、ひいては高ゲインモードでは輝度の高い光信号に対して低いゲインを維持しながら高い画素ゲインを得ることが可能で、低ゲインモードでは低変換ゲインの読み出しが可能であり、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、複数の画素が配置された画素部を有し、前記各画素は、光電変換した電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電荷量に応じた電圧信号として読み出す光電変換読み出し部と、前記光電変換読み出し部から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能な増幅回路と、前記増幅回路により増幅された前記読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線と、前記増幅回路の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線と、を含み、前記光電変換読み出し部は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワトランジスタと、リセット期間に前記出力ノードを前記第2の画素内信号線の電位または所定の電位にリセットするリセット素子と、一方の電極が前記出力ノードに接続され、他方の電極が前記第2の画素内信号線に接続される帰還キャパシタと、を含み、前記第1の画素内信号線は、前記ソースフォロワトランジスタによる電圧信号の出力ラインに接続され、かつ、前記増幅回路の入力側に接続されており、前記増幅回路は、第1の差動トランジスタと第2の差動トランジスタを含み、第1の差動トランジスタのゲートに前記参照信号が供給され、差動増幅機能を有する差動トランジスタ対を含み、前記差動トランジスタ対の前記第2の差動トランジスタと前記ソースフォロワトランジスタが共用されている。
【0027】
本発明の第2の観点は、複数の画素が配置された画素部を有し、前記各画素は、光電変換した電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電荷量に応じた電圧信号として読み出す光電変換読み出し部と、前記光電変換読み出し部から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能な増幅回路と、前記増幅回路により増幅された前記読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線と、前記増幅回路の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線と、を含み、前記光電変換読み出し部は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワトランジスタと、リセット期間に前記出力ノードを前記第2の画素内信号線の電位または所定の電位にリセットするリセット素子と、一方の電極が前記出力ノードに接続され、他方の電極が前記第2の画素内信号線に接続される帰還キャパシタと、を含み、前記第1の画素内信号線は、前記ソースフォロワトランジスタによる電圧信号の出力ラインに接続され、かつ、前記増幅回路の入力側に接続されており、前記増幅回路は、第1の差動トランジスタと第2の差動トランジスタを含み、第1の差動トランジスタのゲートに前記参照信号が供給され、差動増幅機能を有する差動トランジスタ対と、前記第1の差動トランジスタのドレイン側に接続された第1の負荷回路および前記第2の差動トランジスタのドレイン側に接続された第2の負荷回路を有し、前記第1の負荷回路と前記第2の負荷回路が、前記第1の差動トランジスタのドレイン側から前記第2の差動トランジスタのドレイン側への電流経路を含むカレントミラーを形成するように接続されたアクティブ負荷回路と、を含み、前記差動トランジスタ対の前記第2の差動トランジスタと前記ソースフォロワトランジスタが共用されている固体撮像装置の駆動方法であって、低ゲイン読み出しモード時には、前記第1の負荷回路を非アクティブ化して、前記第2の負荷回路と前記ソースフォロワトランジスタによる低ゲイン読み出し回路を形成して、前記ソースフォロワトランジスタによるソースフォロワ増幅動作により低ゲインで増幅された読み出した電圧信号を前記第1の画素内信号線に出力し、高ゲイン読み出しモード時には、前記第1の負荷回路をアクティブ化して、前記増幅回路の前記差動トランジスタ対と前記帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路による高ゲイン読み出し回路を形成して、前記増幅回路の前記差動トランジスタ対と前記帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路によって作りだされるミラー効果によって、電荷を帰還キャパシタに転送させて、高ゲインで増幅された電圧信号を前記第2の画素内信号線に出力する。
【0028】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、複数の画素が配置された画素部を有し、前記各画素は、光電変換した電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電荷量に応じた電圧信号として読み出す光電変換読み出し部と、前記光電変換読み出し部から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能な増幅回路と、前記増幅回路により増幅された前記読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線と、前記増幅回路の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線と、を含み、前記光電変換読み出し部は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワトランジスタと、リセット期間に前記出力ノードを前記第2の画素内信号線の電位または所定の電位にリセットするリセット素子と、一方の電極が前記出力ノードに接続され、他方の電極が前記第2の画素内信号線に接続される帰還キャパシタと、を含み、前記第1の画素内信号線は、前記ソースフォロワトランジスタによる電圧信号の出力ラインに接続され、かつ、前記増幅回路の入力側に接続されており、前記増幅回路は、第1の差動トランジスタと第2の差動トランジスタを含み、第1の差動トランジスタのゲートに前記参照信号が供給され、差動増幅機能を有する差動トランジスタ対を含み、前記差動トランジスタ対の前記第2の差動トランジスタと前記ソースフォロワトランジスタが共用されている。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能で、ひいては高ゲインモードでは輝度の高い光信号に対して低いゲインを維持しながら高い画素ゲインを得ることが可能で、低ゲインモードでは低変換ゲインの読み出しが可能であり、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る信号保持部の基本的な構成例、並びに増幅回路、第1の画素内信号線、第2の画素内信号線、および信号保持部の接続関係を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の主として画素部における高ゲイン読み出しモード時の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る画素の高ゲイン読み出しモード時の増幅回路等に供給される制御信号および形成される読み出し回路の状態の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の主として画素部における低ゲイン読み出しモード時の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る画素の低ゲイン読み出しモード時の増幅回路等に供給される制御信号および形成される読み出し回路の状態の一例を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の主として電荷注入保証機能を有する画素部における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図12】本発明の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図13】本発明の第6の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【
図14】本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置の画素部における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図15】本発明の第6の実施形態に係る画素の入出力伝達特性について説明するための図である。
【
図16】本発明の第6の実施形態における高ゲインと低ゲインの出力範囲の設定について説明するための図である。
【
図17】本発明の第6の実施形態におけるダイナミックに高ゲインと低ゲインの出力範囲を設定する場合について説明するための図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0033】
この固体撮像装置10は、
図1に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0034】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、後で詳述するように、VMGS画素を含んで構成されている。
各VMGS画素は、光電変換した電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電荷量に応じた電圧信号として読み出す光電変換読み出し部と、光電変換読み出し部から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能な増幅回路と、増幅回路により増幅された読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部と、低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線と、増幅回路の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線と、を含んで構成されている。
【0035】
光電変換読み出し部は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子(フォトダイオードPD)と、光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子としての転送トランジスタと、転送トランジスタを通じて光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノード(フローティングディフュージョンFD)と、出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワトランジスタと、リセット期間にフローティングディフュージョンを第2の画素内信号線の電位または所定の電位にリセットするリセット素子としてのリセットトランジスタと、一方の電極がフローティングディフュージョンFDに接続され、他方の電極が第2の画素内信号線に接続される帰還キャパシタと、を含み、第1の画素内信号線は、ソースフォロワトランジスタによる電圧信号の出力ラインに接続され、かつ、増幅回路の入力側に接続されている。
【0036】
本第1の実施形態において、増幅回路は、第1の差動トランジスタと第2の差動トランジスタを含み、第1の差動トランジスタのゲートに参照信号VOFが供給され、差動増幅機能を有する差動トランジスタ対を有する。
さらに増幅回路は、第1の差動トランジスタのドレイン側に接続された第1の負荷回路および第2の差動トランジスタのドレイン側に接続された第2の負荷回路を有し、第1の負荷回路と第2の負荷回路が、第1の差動トランジスタのドレイン側から第2の差動トランジスタのドレイン側への電流経路を含むカレントミラーを形成するように接続されたアクティブ負荷回路と、を含む。
そして、増幅回路は、差動トランジスタ対の第2の差動トランジスタとソースフォロワトランジスタが共用(共有)されている。すなわち、増幅回路において、第1の差動トランジスタとソースフォロワトランジスタのソース同士が、たとえば第1の画素内信号線を介して接続されて差動トランジスタ対が形成されている。
【0037】
本第1の実施形態において、低ゲイン読み出しモードMLG時には、読み出し回路形成部が、第1の負荷回路を非アクティブ化して、第2の負荷回路とソースフォロワトランジスタによる低ゲイン読み出し回路を形成する。
そして、形成した低ゲイン読み出し回路において、ソースフォロワトランジスタによるソースフォロワ増幅動作により低ゲインで増幅された読み出した電圧信号を第1の画素内信号線に出力する。
また、高ゲイン読み出しモードMHG時には、読み出し回路形成部が、第1の負荷回路をアクティブ化して、増幅回路の差動トランジスタ対と帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路による高ゲイン読み出し回路を形成する。
そして、高ゲイン読み出し回路において、増幅回路の差動トランジスタ対と帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路によって作りだされるミラー効果によって、電荷を帰還キャパシタに転送させて、高ゲインで増幅された電圧信号を第2の画素内信号線に出力する。
【0038】
このように、本第1の実施形態の固体撮像装置10は、電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能で、ひいては高ゲインモードでは輝度の高い光信号に対して低いゲインを維持しながら高い画素ゲインを得ることが可能で、低ゲインモードでは低変換ゲインの読み出しが可能であり、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能に構成されている。
【0039】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要、特に、画素部20のVMCS画素(以下、単に画素という場合もある)の構成および機能、それらに関連した読み出し処理等について詳述する。
【0040】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
【0041】
本第1の実施形態において、画素部20に配置される画素200は、第1のブロックであるセンシング部210と第2のブロックである回路部220に分かれて形成されている。
たとえば、本第1の実施形態においては、画素レベルのスタックプロセスでは、第1のブロックであるセンシング部210と第2のブロックである回路部220は異なるウェハレベルで実装される。
本第1の実施形態においては、第1のブロックであるセンシング部210が第1の基板110に形成され、第2のブロックである回路部220が第2の基板120に形成された積層構造を有していてもよい。
【0042】
このような積層構造において、第1基板110のセンシング部210と第2基板120の回路部220とが、それぞれビア(Die-to-Die Via)やマイクロバンプ等を用いて電気的な接続が行われている。
【0043】
本第1の実施形態において、画素200は、光電変換読み出し部230、増幅回路240、および信号保持部250、第1の画素内信号線LSGN11、第2の画素内信号線LSGN12、第1の垂直信号線LSGN21、および第2の垂直信号線LSGN22を主構成要素として構成されている。
そして、画素部20に配置される画素200において、第1のブロックであるセンシング部210には光電変換読み出し部230および増幅回路240の一部分が形成され、第2のブロックである回路部220に増幅回路240の大部分および信号保持部250が形成されている。
【0044】
この画素200の光電変換読み出し部230は、たとえば光電変換素子であるフォトダイオードPD11を有する。
このフォトダイオードPD11に対して、転送素子としての転送トランジスタTG-Tr、リセット素子としてのリセットトランジスタRST-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF-Tr、蓄積素子としての蓄積トランジスタCG-Tr、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD11、帰還キャパシタCF11、および蓄積キャパシタCS11をそれぞれ一つずつ有する。
なお、出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD11には容量CJが寄生している。
【0045】
各画素200において、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0046】
本第1の実施形態の画素200は、複数の変換ゲインを持て(本実施形態では高ゲインと低ゲインを持て)、ダイナミックレンジの拡大を図れるように、出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD11に接続された蓄積トランジスタCG-Trと、蓄積トランジスタCG-Trを介して少なくとも出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD11の電荷を蓄積する蓄積キャパシタCS11と、が配置されている。
本第1の実施形態においては、出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD11と基準電位VSSとの間に、蓄積トランジスタCG-Trと蓄積キャパシタCS11が直列に接続されている。
【0047】
このように、フローティングディフュージョンFD11と基準電位VSSとの間に、蓄積トランジスタCG-Trと蓄積キャパシタCS11を直列に接続した回路を配置することにより、複数の異なるゲイン(少なくとも高ゲイン、低ゲイン)を持つことができる。これにより、ダイナミックレンジをさらに増加させることができる。
【0048】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部230は、第1の画素内信号線LSGN11および第2の画素内信号線LSGN12に接続されている。
光電変換読み出し部230は、低ゲイン読み出しモードMLG時には、低ゲインの読み出し電圧(信号電圧)N1(VRST1,VSIG1)を第1の画素内信号線LSGN11に出力する。
光電変換読み出し部230は、高ゲイン読み出しモードMHG時には、高ゲインの読み出し電圧(信号電圧)N2(VRST2,VSIG2)を第2の画素内信号線LSGN12に出力する。
【0049】
本第1の実施形態においては、第1の画素内信号線LSGN11はソースフォロワトランジスタSF-Trのソース側に接続された定電流源I230により駆動され、第2の画素内信号線LSGN12は回路部220に配置されている増幅回路(アンプ)240により駆動される。
【0050】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部230は、CTIA(容量性帰還トランスインピーダンスアンプ)回路の帰還部分とソースフォロワアンプを組み合わせた構成を有する。
【0051】
フォトダイオードPD11は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷が正孔(ホール)であったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本実施形態は、複数のフォトダイオード間で、各トランジスタを共有している場合や、選択トランジスタを有している画素を採用している場合にも有効である。
【0052】
光電変換読み出し部230の転送トランジスタTG-Trは、フォトダイオードPD11とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TGにより制御される。
転送トランジスタTG-Trは、制御信号TGがハイレベルHの転送期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD11で光電変換され蓄積された電荷(電子)を出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0053】
リセットトランジスタRST-Trは、第2の画素内信号線LSGN12とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD11を第2の画素内信号線LSGN12の電位にリセットする。
なお、第2の画素内信号線LSGN12の電位VREF等については後で詳述する。
【0054】
光電変換読み出し部230において、リセットトランジスタRST-Trと、帰還キャパシタCF11の一方の電極と、ソースフォロワトランジスタSF-Trのドレインとが接続され、その接続ノードND2が、ブロック間の接続端子T1を介して、増幅回路240の出力側が接続される第2の画素内信号線LSGN12に接続されている。
【0055】
ソースフォロワトランジスタSF-Trは、ドレインが第2の画素内信号線LSGN12との接続ノードND2に接続され、ソースが電流源I230に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF-Trのドレインと電流源I230との接続部により読み出しノードND3が形成され、その読み出しノードND3がブロック間の接続端子T2を介して、増幅回路240の一方の差動トランジスタのソース側が接続される第1の画素内信号線LSGN11に接続されている。
【0056】
ソースフォロワトランジスタSF-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFD11が接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF-Trは、低ゲイン読み出しモードMLG時に、フローティングディフュージョンFD11の電荷を電荷量(電位)に応じた電圧信号に変換した列出力の低ゲインの読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)を第1の画素内信号線LSGN11に出力する。
【0057】
帰還キャパシタCF11は、フローティングディフュージョンFD11と第2の画素内信号線LSGN12に接続される接続ノードND2の間に接続されている。
すなわち、帰還キャパシタCF11は、フローティングディフュージョンFD11と接続ノードND2(第2の画素内信号線LSGN12)の間に、リセットトランジスタRST-Trと並列に接続されている。
帰還キャパシタCF11は、一方の電極がフローティングディフュージョンFD11に接続され、他方の電極が接続ノードND2を介して第2の画素内信号線LSGN12に接続されている。
【0058】
帰還キャパシタCF11は、容量がCfb11に設定される。この帰還キャパシタCF11の容量Cfb11はフローティングディフュージョンFD11の容量Cfd11より小さい値に設定されている。
また、帰還キャパシタCF11は、MOM(Metal-Oxide-Metal)キャパシタを適用することにより、従来の4TrAPS画素より製造ばらつきが少なく、電圧依存性が小さい線形な応答特性と高感度化を実現することができる。
【0059】
なお、ソースフォロワトランジスタSF-Trは、低雑音を実現するために、いわゆる埋め込みチャネル型トランジスタであってもよい。
また、スイッチング素子として機能するリセットトランジスタRST-Trは、オンするために必要なゲート・ソース間電圧を低減するために、低閾値のトランジスタであってもよい。
【0060】
(増幅回路240の構成例)
増幅回路240は、光電変換読み出し部230から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能である。
増幅回路240は、差動トランジスタ対241、アクティブ負荷回路242、および読み出し回路形成部243を含んで構成されている。
【0061】
差動トランジスタ対241は、ソース同士が接続され、その接続部が電流源I230に接続された第1の差動トランジスタ241-1と第2の差動トランジスタ241-2を含み、第1の差動トランジスタ241-1のゲートに制御信号としての参照信号VOFが供給され、差動増幅機能を有する。
【0062】
そして、増幅回路240は、差動トランジスタ対241の第2の差動トランジスタ241-2とソースフォロワトランジスタSF-Trが共用されている。
すなわち、増幅回路240において、第1の差動トランジスタ241-1とソースフォロワトランジスタSF-Trのソース同士が、たとえば第1の画素内信号線LSGN11を介して接続されて差動トランジスタ対241が形成されている。
なお、本第1の実施形態において、第1の差動トランジスタ241-1とソースフォロワトランジスタSF-TrがNMOSトランジスタNT21,NT22により形成されている。
【0063】
さらに増幅回路240のアクティブ負荷回路242は、第1の差動トランジスタ241-1のドレイン側に接続された第1の負荷回路2421および第2の差動トランジスタ241-2のドレイン側に接続された第2の負荷回路2422を有する。
アクティブ負荷回路242は、第1の負荷回路2421と第2の負荷回路2422が、第1の差動トランジスタ241-1のドレイン側ノードND4から第2の差動トランジスタ241-2のドレイン側ノードND5への電流経路を含むカレントミラーMIRを形成するように接続されている。
【0064】
第1の負荷回路2421は、ゲートおよびドレインが第1の差動トランジスタ241-1のドレイン側ノードND4に接続された第1の負荷トランジスタとしてのPMOSトランジスタPT21、およびPMOSトランジスタPT21のソースと電源電位VDDとの間に接続され、ゲートが基準電位VSSに接続されたPMOSトランジスタPT22を含んで構成されている。
【0065】
第2の負荷回路2422は、ドレインが第2の差動トランジスタ242-2としてのソースフォロワトランジスタSF-Trのドレイン側に接続された第2の画素内信号線LSGN12(ノードND5)に接続され、ゲートが第1の負荷トランジスタとしてのPMOSトランジスタPT21のゲートおよびドレインに接続された第2の負荷トランジスタとしてのPMOSトランジスタPT23、およびPMOSトランジスタPT23のソースと電源電位VDDとの間に接続され、ゲートが基準電位VSSに接続されたPMOSトランジスタPT24を含んで構成されている。
第2の負荷トランジスタとしてのPMOSトランジスタPT23のドレイン側は増幅回路240の出力ノードND5を形成し、第2の画素内信号線LSGN12に接続されている。
【0066】
読み出し回路形成部243は、制御信号XSFに応じて、低ゲイン読み出しモードMLG時に、第1の負荷回路2421を非アクティブ化して、第2の負荷回路2422とソースフォロワトランジスタSF-Trによる低ゲイン読み出し回路244を形成する。
読み出し回路形成部243は、制御信号XSFに応じて、高ゲイン読み出しモードMHG時には、第1の負荷回路2421をアクティブ化して(アクティブに保持して)、増幅回路240の差動トランジスタ対241と帰還キャパシタCF11を含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路による高ゲイン読み出し回路245を形成する。
【0067】
読み出し回路形成部243は、アクティブ化制御回路2431を主構成要素として有している。
アクティブ化制御回路2431は、ドレインが第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21のゲートおよびドレイン(第1の差動トランジスタ241-1のドレイン側ノードND4)に接続され、ソースが基準電位VSSに接続され、ゲートが制御信号XSFの供給ラインに接続されたスイッチングトランジスタSW-Trを含んで構成されている。
なお、スイッチングトランジスタSW-TrはNMOSトランジスタNT23により構成されている。
【0068】
アクティブ化制御回路2431は、低ゲイン読み出しモードMLG時には、制御信号XSFがハイレベルで供給され、スイッチングトランジスタSW-Trが導通状態に切り替えられる。
これに伴い、アクティブ化制御回路2431は、第1の負荷トランジスタのゲート、すなわちPMOSトランジスタPT21のゲートを第1の負荷トランジスタが導通状態を保持可能な所定電位(本例では基準電位VSS)に接続するとともに、第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21のゲートおよびドレインもこの所定電位VSSに接続して第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21を非アクティブ化させる。
【0069】
アクティブ化制御回路2431は、この低ゲイン読み出しモードMLG時には、第2の負荷回路2422の第2の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT23のゲートも基準電位VSSに接続され、PMOSトランジスタPT23は導通状態に保持される。
これにより、アクティブ化制御回路2431は、この低ゲイン読み出しモードMLG時には、第2の負荷回路2422とソースフォロワトランジスタSF-Trによる低ゲイン読み出し回路244を形成させる。
そして、形成した低ゲイン読み出し回路244において、ソースフォロワトランジスタSF-Trによるソースフォロワ増幅動作により低ゲインで増幅された読み出した電圧信号N1が第1の画素内信号線LSGN11に出力される。
【0070】
アクティブ化制御回路2431は、高ゲイン読み出しモードMHG時には、制御信号XSFがローレベルで供給され、スイッチングトランジスタSW-Trが非導通状態に切り替えられる。
これに伴い、アクティブ化制御回路2431は、第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21のゲートおよびドレインが基準電位VSSから切り離され、第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21をアクティブ化させ、カレントミラー回路もアクティブ化させる。
これにより、アクティブ化制御回路2431は、高ゲイン読み出しモードMHG時には、第1の負荷回路2421をアクティブ化して、増幅回路240の差動トランジスタ対241と帰還キャパシタCF11を含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路による高ゲイン読み出し回路245を形成させる。
そして、高ゲイン読み出し回路245において、増幅回路240の差動トランジスタ対241と帰還キャパシタCF11を含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路によって作りだされるミラー効果によって、電荷を帰還キャパシタCF11に転送させて、高ゲインで増幅された電圧信号が第2の画素内信号線LSGN12に出力される。
【0071】
(信号保持部250の構成例)
信号保持部250は、増幅回路240により増幅された読み出し電圧信号である低ゲインの読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)および高ゲインの読み出し電圧N2(VRST2,VSIG2)を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタCS21,CR21、CS31,CR31を含む。
【0072】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る信号保持部の基本的な構成例、並びに増幅回路、第1の画素内信号線、第2の画素内信号線、および信号保持部の接続関係を示す図である。
図3の信号保持部250Aは、低ゲイン用回路素子と高ゲイン用回路素子を共用していない基本構成例を示しており、
図2の信号保持部250は低ゲイン用回路素子と高ゲイン用回路素子を共用し、回路構成を簡素化した構成例を示している。
ここでは、
図3の基本構成について説明した後、
図2の共用構成について説明する。
【0073】
信号保持部250Aは、第1の画素内信号線LSGN11に接続され、第1の画素内信号線LSGN11に読み出された低ゲインの読み出し電圧信号をサンプリング可能な低ゲイン用サンプリング回路251と、第2の画素内信号線LSGN12に読み出された高ゲインの読み出し電圧信号をサンプリング可能な高ゲイン用サンプリング回路252と、を含んで構成されている。
すなわち、信号保持部250Aにおいては、低ゲインの読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)は低ゲイン用サンプリング回路251によりサンプリングし、高ゲインの読み出し電圧N2(VRST2,VSIG2)は高ゲイン用サンプリング回路252によりサンプリングする。
【0074】
より具体的には、低ゲイン用サンプリング回路251は、基本的に、第1の入力ノードND21を含む第1の入力部2511、第1のサンプルホールド部2512、第1の出力部2513、第2の出力部2514、第1の平均化部2515、第1の保持ノードND22、および第2の保持ノードND23を含んで構成されている。
【0075】
第1の入力部2511は、第1の入力ノードND21が第1の画素内信号線LSGN11に接続され、低ゲイン読み出しモードMLG時に、光電変換読み出し部230、増幅回路240から読み出される第1の読み出しリセット信号(VRST1)および第1の読み出し信号(VSIG1)を第1のサンプルホールド部2512に入力する。
【0076】
第1のサンプルホールド部2512は、第1のスイッチ素子としての第1のサンプリングスイッチ(たとえばNMOSトランジスタにより形成されるサンプリングトランジスタ)SHS21-Sw、第2のスイッチ素子としての第2のサンプリングトランジスタ(たとえばNMOSトランジスタにより形成されるサンプリングトランジスタ)SHR21-Sw、第1の信号保持キャパシタCS21、および第2の信号保持キャパシタCR21を含んで構成されている。
【0077】
第1のサンプリングスイッチSHS21-Swは、第1の画素内信号線LSGN11に接続された第1の入力ノードND21と第1の保持ノードND22との間に接続されている。
第1のサンプリングスイッチSHS21-Swは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、サンプルホールド部2512の第1の信号保持キャパシタCS21を、第1の保持ノードND22を介して第1の画素内信号線LSGN11と選択的に接続する。
第1のサンプリングスイッチSHS21-Swは、たとえば制御信号SHS21がハイレベルの期間に導通状態となる。
第1の信号保持キャパシタCS21は、第1の保持ノードND22と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0078】
第2のサンプリングスイッチSHR21-Swは、第1の画素内信号線LSGN11に接続された第1の入力ノードND21と第2の保持ノードND23との間に接続されている。
第2のサンプリングスイッチSHR21-Swは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、サンプルホールド部2512の第2の信号保持キャパシタCR21を、第2の保持ノードND23を介して第1の画素内信号線LSGN11と選択的に接続する。
第2のサンプリングスイッチSHR21-Swは、たとえば制御信号SHR21がハイレベルの期間に導通状態となる。
第2の信号保持キャパシタCR21は、第2の保持ノードND23と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0079】
なお、第1のサンプリングスイッチSHS21-Swおよび第2のサンプリングスイッチSHR21-Swは、MOSトランジスタ、たとえばNMOSトランジスタにより形成される。
【0080】
第1の出力部2513は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第1の信号保持キャパシタCS21に保持された信号を保持電圧に応じて増幅して出力する出力用第1のソースフォロワトランジスタSF21-Tr、および第1のソースフォロワトランジスタSF21-Trにより増幅した信号を選択的に定電流源Ibiasにより駆動される第1の垂直信号線LSGN21に出力する第1の選択スイッチSEL21-Swを含んで構成されている。
【0081】
出力用第1のソースフォロワトランジスタSF21-Trと第1の選択スイッチSEL21-Swは、電源電位VDDと第1の垂直信号線LSGN21の間に直列に接続されている。
【0082】
第1の選択スイッチSEL21-Swは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RS21により制御される。
第1の選択スイッチSEL21-Swは、制御信号RS21がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、出力用第1のソースフォロワトランジスタSF21-Tr1は第1の信号保持キャパシタCS21の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VSIG)を第1の垂直信号線LSGN21に出力する。
【0083】
第2の出力部2514は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第2の信号保持キャパシタCR21に保持された信号を保持電圧に応じて増幅して出力する出力用第2のソースフォロワトランジスタSF22-Tr、および第2のソースフォロワトランジスタSF22-Trにより増幅した信号を選択的に定電流源Ibiasにより駆動される第2の垂直信号線LSGN22に出力する第2の選択スイッチSEL22-Swを含んで構成されている。
【0084】
出力用第2のソースフォロワトランジスタSF22-Trと第2の選択スイッチSEL22-Swは、電源電位VDDと第2の垂直信号線LSGN22の間に直列に接続されている。
【0085】
第2の選択スイッチSEL22-Swは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RS22により制御される。
第2の選択スイッチSEL22-Swは、制御信号RS22がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、出力用第2のソースフォロワトランジスタSF22-Trは第2の信号保持キャパシタCR21の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VRST)を第2の垂直信号線LSGN22に出力する。
【0086】
第1の平均化部2515は、第1の保持ノードND22と第2の保持ノードND23との間に、平均化部としての平均化用スイッチAV21-Swが接続されて構成されている。
平均化用トランジスタAV21-Swのゲートには制御信号SCB21が供給される。
【0087】
制御信号SCB21は、第1の信号保持キャパシタCS21に保持された第1の読み出し信号VSIGの読み出し、並びに、第2の信号保持キャパシタCR21に保持された第2の読み出しリセット信号VRSTの差動の読み出しが並行して行われた後、Hレベルで供給され、この後、第1の出力部2513および第2の出力部2514を通して平均化された信号の差動の読み出しが並行して行われる。
【0088】
高ゲイン用サンプリング回路252は、基本的に、第2の入力ノードND31を含む第2の入力部2521、第2のサンプルホールド部2522、第3の出力部2523、第4の出力部2524、第2の平均化部2525、第3の保持ノードND32、および第4の保持ノードND33を含んで構成されている。
【0089】
第2の入力部2521は、第2の入力ノードND31が第2の画素内信号線LSGN12に接続され、高ゲイン読み出しモードMHG時に、光電変換読み出し部230、増幅回路240から読み出される第2の読み出しリセット信号(VRST2)および第2の読み出し信号(VSIG2)を第2のサンプルホールド部2522に入力する。
【0090】
第2のサンプルホールド部2522は、第3のスイッチ素子としての第3のサンプリングスイッチ(たとえばNMOSトランジスタにより形成されるサンプリングトランジスタ)SHS31-Sw、第4のスイッチ素子としての第4のサンプリングトランジスタ(たとえばNMOSトランジスタにより形成されるサンプリングトランジスタ)SHR31-Sw、第3の信号保持キャパシタCS31、および第4の信号保持キャパシタCR31を含んで構成されている。
【0091】
第3のサンプリングスイッチSHS31-Swは、第2の画素内信号線LSGN12に接続された第2の入力ノードND31と第3の保持ノードND32との間に接続されている。
第3のサンプリングスイッチSHS31-Swは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、第2のサンプルホールド部2522の第3の信号保持キャパシタCS31を、第3の保持ノードND32を介して第2の画素内信号線LSGN12と選択的に接続する。
第3のサンプリングスイッチSHS31-Swは、たとえば制御信号SHS31がハイレベルの期間に導通状態となる。
第3の信号保持キャパシタCS31は、第3の保持ノードND32と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0092】
第4のサンプリングスイッチSHR31-Swは、第2の画素内信号線LSGN12に接続された第2の入力ノードND31と第4の保持ノードND33との間に接続されている。
第4のサンプリングスイッチSHR21-Swは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、第2のサンプルホールド部2522の第4の信号保持キャパシタCR31を、第4の保持ノードND33を介して第2の画素内信号線LSGN12と選択的に接続する。
第4のサンプリングスイッチSHR31-Swは、たとえば制御信号SHR31がハイレベルの期間に導通状態となる。
第4の信号保持キャパシタCR31は、第4の保持ノードND33と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0093】
なお、第3のサンプリングスイッチSHS31-Swおよび第4のサンプリングスイッチSHR31-Swは、MOSトランジスタ、たとえばNMOSトランジスタにより形成される。
【0094】
第3の出力部2523は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第3の信号保持キャパシタCS31に保持された信号を保持電圧に応じて増幅して出力する出力用第3のソースフォロワトランジスタSF31-Tr、および第3のソースフォロワトランジスタSF31-Trにより増幅した信号を選択的に定電流源Ibiasにより駆動される第1の垂直信号線LSGN21に出力する第3の選択スイッチSEL31-Swを含んで構成されている。
【0095】
出力用第3のソースフォロワトランジスタSF31-Trと第3の選択スイッチSEL31-Swは、電源電位VDDと第1の垂直信号線LSGN21の間に直列に接続されている。
【0096】
第3の選択スイッチSEL31-Swは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RS31により制御される。
第3の選択スイッチSEL31-Swは、制御信号RS31がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、出力用第3のソースフォロワトランジスタSF31-Tr1は第3の信号保持キャパシタCS31の保持電圧に応じた列出力の第2の読み出し電圧(VSIG)を第1の垂直信号線LSGN21に出力する。
【0097】
第4の出力部2524は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第4の信号保持キャパシタCR31に保持された信号を保持電圧に応じて増幅して出力する出力用第4のソースフォロワトランジスタSF32-Tr、および第4のソースフォロワトランジスタSF32-Trにより増幅した信号を選択的に定電流源Ibiasにより駆動される第2の垂直信号線LSGN22に出力する第4の選択スイッチSEL32-Swを含んで構成されている。
【0098】
出力用第4のソースフォロワトランジスタSF32-Trと第4の選択スイッチSEL32-Swは、電源電位VDDと第2の垂直信号線LSGN22の間に直列に接続されている。
【0099】
第4の選択スイッチSEL32-Swは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RS32により制御される。
第4の選択スイッチSEL32-Swは、制御信号RS32がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、出力用第4のソースフォロワトランジスタSF32-Trは第4の信号保持キャパシタCR31の保持電圧に応じた列出力の第2の読み出しリセット電圧(VRST)を第2の垂直信号線LSGN22に出力する。
【0100】
平均化部2525は、第3の保持ノードND32と第4の保持ノードND33との間に、平均化部としての平均化用スイッチAV31-Swが接続されて構成されている。
平均化用トランジスタAV31-Swのゲートには制御信号SCB31が供給される。
【0101】
制御信号SCB31は、第3の信号保持キャパシタCS31に保持された第2の読み出し信号VSIGの読み出し、並びに、第2の信号保持キャパシタCR31に保持された第2の読み出しリセット信号VRSTの差動の読み出しが並行して行われた後、Hレベルで供給され、この後、第3の出力部2523および第4の出力部2524を通して平均化された信号の差動の読み出しが並行して行われる。
【0102】
以上、信号保持部250における低ゲイン用サンプリング回路251と高ゲイン用サンプリング回路252の共用構成を持たない基本構成例について説明した。
本第1の実施形態では、
図2の信号保持部250は、低ゲイン用回路素子と高ゲイン用回路素子を共用し、回路構成を簡素化し、トランジスタ数を削減することが可能な共用構成例を示している。
ここで、
図3の基本構成に関連付けて
図2の共用構成について説明する。
図2においては、理解を容易にするために、
図3と同一構成部分は同一符号をもって表す。また、共用部分は、符号値が小さい方を用いることとする。
【0103】
図2の信号保持部250において、低ゲイン用サンプリング回路251と高ゲイン用サンプリング回路252は、第1の信号保持キャパシタCS21と第3の信号保持キャパシタCS31が共用されて、第1の保持ノードND22に接続された第1の共用信号保持キャパシタCS21が形成されている。
同様に、第2の信号保持キャパシタCR21と第4の信号保持キャパシタCR31が共用されて、第2の保持ノードND23に接続された第2の共用信号保持キャパシタCR21が形成されている。
第1の出力部2513と第3の出力部2523が共用されて、第1の保持ノードND22の保持電圧に応じて第1の垂直信号線LSGN21に出力する第1の共用出力部2513が形成されている。
第2の出力部2514と第4の出力部2524が共用されて、第2の保持ノードND23の保持電圧に応じて第2の垂直信号線LSGN22に出力する第2の共用出力部2514が形成されている。
第1の平均化部2515と第2の平均化部2525が共用されて、第1の保持ノードND22の保持電圧と第2の保持ノードND23の保持電圧とを選択的に平均化可能な共用平均化部2515が形成されている。
【0104】
そして、第1のスイッチ素子としての第1のサンプリングスイッチSHS21-Swが、第1の画素内信号線LSGN11に接続された第1の入力ノードND21と第1の保持ノードND22との間に接続されている。
第2のスイッチ素子としての第2のサンプリングスイッチSHR21-Swが、第1の画素内信号線LSGN11に接続された第1の入力ノードND21と第2の保持ノードND23との間に接続されている。
第3のスイッチ素子としての第3のサンプリングスイッチSHS31-Swが、第2の画素内信号線LSGN12に接続された第2の入力ノードND31と第1の保持ノードND22との間に接続されている。
第4のスイッチ素子としての第4のサンプリングスイッチSHR31-Swが、第2の画素内信号線LSGN12に接続された第2の入力ノードND31と第2の保持ノードND23との間に接続されている。
【0105】
このように、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10においては、画素信号ストレージとしての信号保持部250に、電圧モードで、画素信号を全画素で同時にサンプリングし、第1の信号保持キャパシタCS21および第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出し信号VSIGに対応する変換信号を第1の垂直信号線LSGN21に読み出し、読み出しリセット信号VRSTに対応する変換信号を第2の垂直信号線LSGN22に読み出し、差動の信号としてカラム読み出し回路40に供給する。
【0106】
画素部20には、画素PXLがN行×M列配置されているので、各制御線はそれぞれN本、垂直信号線LSGN21,LSGN22は2×M本ある。
図1においては、各制御線を1本の行走査制御線として表している。同様に、各垂直信号線LSGN21,LSGN22を1本の垂直信号線として表している。
【0107】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッタ行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッタ行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0108】
カラム読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0109】
本第1の実施形態に係るカラム読み出し回路40は、アンプ(AMP,増幅器)、サンプリング(S/H)回路を含んで構成される。
なお、カラム読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、等を含んで構成可能である。
【0110】
水平走査回路50は、読み出し回路40の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、図示しない信号処理回路に出力する。
【0111】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する
【0112】
(固体撮像装置10の読み出し動作)
以上、固体撮像装置10の各部の特徴的な構成および機能について説明した。
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の読み出し動作等について説明する。
なお、以下では、高ゲイン読み出しモードMHG時の動作について説明し、次いで、低ゲイン読み出しモードMLG時の動作について説明する。
【0113】
図4(A)~(J)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の主として画素部における高ゲイン読み出しモード時の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る画素の高ゲイン読み出しモード時の増幅回路等に供給される制御信号および形成される読み出し回路の状態の一例を示す図である。
図6(A)~(J)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の主として画素部における低ゲイン読み出しモード時の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る画素の低ゲイン読み出しモード時の増幅回路等に供給される制御信号および形成される読み出し回路の状態の一例を示す図である。
【0114】
図4(A)および
図6(A)は、画素200の光電変換読み出し部230のリセットトランジスタRST-Trの制御信号RSTを示している。
図4(B)および
図6(B)は画素200の光電変換読み出し部230の転送トランジスタTG-Trの制御信号TGを示している。
図4(C)および
図6(C)は、画素200の読み出し回路形成部243を形成するスイッチングトランジスタSW-Trの制御信号XSFを示している。
図4(D)および
図6(D)は画素200の光電変換読み出し部230の蓄積トランジスタCG-Trの制御信号CGを示している。
図4(E)および
図6(E)は信号保持部250の高ゲイン用サンプリング回路252の第4のサンプリングスイッチSHR31-Swの制御信号SHR31を示している。
図4(F)および
図6(F)は信号保持部250の低ゲイン用サンプリング回路251の第2のサンプリングスイッチSHR21-Swの制御信号SHR21を示している。
図4(G)および
図6(G)は信号保持部250の高ゲイン用サンプリング回路252の第3のサンプリングスイッチSHS31-Swの制御信号SHS31を示している。
図4(H)および
図6(H)は信号保持部250の低ゲイン用サンプリング回路251の第1のサンプリングスイッチSHS21-Swの制御信号SHS21を示している。
図4(I)および
図6(I)は画素200の信号保持部250の選択スイッチSEL21-Sw、SEL22-Swの制御信号RS21,RS22を示している。
図4(J)および
図6(J)は画素200の信号保持部250の平均化用スイッチAV21-Swの制御信号SCB21を示している。
【0115】
(高ゲイン読み出しモード時MHGの読み出し動作)
アクティブ化制御回路2431は、高ゲイン読み出しモードMHG時には、
図4(C)および
図5に示すように、制御信号XSFがローレベル(0V)で供給され、スイッチングトランジスタSW-Trが非導通状態に切り替えられる。
これに伴い、アクティブ化制御回路2431は、第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21のゲートおよびドレインが基準電位VSSから切り離され、第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21をアクティブ化させ、カレントミラー回路もアクティブ化させる。
これにより、高ゲイン読み出しモードMHG時には、第1の負荷回路2421をアクティブ化して、増幅回路240の差動トランジスタ対241と帰還キャパシタCF11を含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路による高ゲイン読み出し回路245が形成される。
そして、高ゲイン読み出し回路245において、増幅回路240の差動トランジスタ対241と帰還キャパシタCF11を含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路によって作りだされるミラー効果によって、電荷を帰還キャパシタに転送させて、高ゲインで増幅された電圧信号が第2の画素内信号線LSGN12に出力される。
【0116】
以上を前提として、
図4(A)に示すように、リセット用制御信号RSTがアクティブのハイレベルの期間はフローティングディフュージョンFD11および蓄積キャパシタCS11のノードリセット期間である。また、画素200の帰還キャパシタCF11が第2の画素内信号線LSGN12と電気的に接続状態にある。
次いで、
図4(E)に示すように、高ゲイン用サンプリング回路252のリセット用サンプリングスイッチSHR31-Swをオンオフ制御する制御信号SHR31がHレベルに設定されてリセット用サンプリングスイッチSHR31-Swがオン状態となる。
【0117】
この状態において、
図4(A)に示すように、フローティングディフュージョンFD11のノードリセット期間にリセットトランジスタRST-Trが、制御線に印加される制御信号RSTがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD11の電位および増幅回路(エラーアンプ)240の出力である第2の垂直信号線LSGN12が基準電圧VREF(VDD)にリセットされ、固定される。
また、上記リセット期間において、
図4(D)に示すように、蓄積トランジスタCG-Trが、制御線に印加される制御信号CGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、蓄積キャパシタCS11の電荷がリセット(排出)される。
【0118】
このリセット期間が経過した後(リセットトランジスタRST-Trが非導通状態)、転送期間が開始される前に制御信号SHR31がLレベルに切り替えられるまでの期間が、FDノードリセット解除後のセットリング期間となる。
このとき、スイッチングトランジスタSW-Trの制御信号XSFがLレベルに設定されたままであることから、FDノードリセット状態を解除することで、増幅回路(エラーアンプ)240の出力を一定電圧(VREF)に固定することができ、リセットトランジスタRST-Trのクロックフィードスルーによる高ゲイン側の共用高ゲイン用サンプリング回路(252)に供給される。
【0119】
次いで、セトリング期間終了までにおいて、高ゲインの読み出しリセット電圧VRST2を高ゲイン用サンプリング回路252によりサンプリングする。
【0120】
次に、リセット電圧の読み出し期間が終了し、蓄積電荷の転送期間となる。
転送期間においては、
図4(B)に示すように、転送トランジスタTG-Trが、制御線に印加される制御信号TGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD11で光電変換され蓄積された電荷(電子)がフローティングディフュージョンFD11に転送される。
【0121】
この場合、増幅回路(エラーアンプ)240の出力が接続される第2の画素内信号線LSGN12に出力される高ゲインの読み出し信号電圧N2(VSIG)は電圧が上がる。
これに対して、フローティングディフュージョンFD11のノード電圧と第1の画素内信号線LSGN11に出力される画素の低ゲインのSFアンプ出力は電圧が下がる。
この場合、飽和するまで増幅回路(エラーアンプ)240の出力側が上がり続け、飽和しだすと画素のSFアンプ出力電圧が下がり始める。
この場合、ゲインが高いため、増幅回路(エラーアンプ)240の出力側の変化量は画素のSFアンプ出力電圧の変化量より大きい。
【0122】
そして、
図4(G)に示すように、共用の高ゲイン用サンプリング回路252の信号用サンプリングスイッチSHS31-Swをオンオフ制御する制御信号SHS31がHレベルに設定されて信号用サンプリングスイッチSHS31-Swがオン状態となる。
【0123】
この転送期間が経過した後(転送トランジスタTG-Trが非導通状態)、フォトダイオードPD11が光電変換して蓄積した電荷に応じた信号電圧VSIGを読み出す信号電圧期間となる。
換言すれば、この期間は信号電荷転送後のセットリング期間である。
【0124】
この期間において、第2の垂直信号線LSGN12には、高ゲインの読み出し信号電圧N2(VSIG2)が出力され、この読み出し信号電圧VSIG2は高ゲイン用サンプリング回路252に供給される。
【0125】
次いで、高ゲインの読み出し信号電圧VSIG2を高ゲイン用サンプリング回路252によりサンプリングする。
そして、たとえば読み出し部70の一部を構成するカラム読み出し回路40において、高ゲインの信号電圧VSIG2とリセット電圧VRST2の差分演算(VRST2-VSIG2)をとることで信号成分を取り出す。
【0126】
このとき、
図4(I)に示すように、保持した信号を読み出すため、画素アレイの中のある一行を選択するために、その選択された行の各選択スイッチSEL21-Sw,SEL22-Swの制御信号RS21,RS22がHレベルに設定されて、その選択スイッチSEL21-SwおよびSEL22-Swが導通状態となる。
そして、第1の信号保持キャパシタCS21に保持された読み出し信号VSIGの読み出し、並びに、第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出しリセット信号VRSTの読み出しが並行して行われる。
【0127】
このとき、各信号保持部250においては、保持ノードND22に接続された出力用第1のソースフォロワトランジスタSF21-Trにより、保持ノードND22に接続された第1の信号保持キャパシタCS21の保持電圧に応じて、列出力の読み出し信号VSIGとして第1の垂直信号線LSGN21に出力され、差動の信号として読み出し回路40に供給される。
これと並行して、各信号保持部250においては、保持ノードND23に接続された出力用第2のソースフォロワトランジスタSF22-Trにより、保持ノードND23に接続された第2の信号保持キャパシタCR21の保持電圧に応じて、列出力の読み出しリセット信号VRSTとして第2の垂直信号線LSGN22に出力され、差動の信号として読み出し回路40に供給される。
【0128】
次に、信号保持部250において、
図4(J)に示すように、制御信号SCB21がHレベルに切り替えられて平均化用スイッチAV21-Swが導通状態となる。
これにより、選択行のリセットレベルと信号レベルの平均化が行われる。
そして、制御信号SCB21がLレベルに切り替えられた後の所定のタイミングにおいて、第1の信号保持キャパシタCS21に保持された読み出し信号VSIG、並びに、第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出しリセット信号VRSTを平均化して信号の読み出しが並行して行われる。
【0129】
このとき、各信号保持部250においては、保持ノードND22に接続された出力用第1のソースフォロワトランジスタSF21-Trにより、保持ノードND22における平均化電圧に応じて、列出力の平均化信号として第1の垂直信号線LSGN21に出力され、カラム読み出し回路40に供給される。
これと並行して、各信号保持部250においては、保持ノードND23に接続された出力用第2のソースフォロワトランジスタSF22-Trにより、保持ノードND23における平均化電圧に応じて、列出力の平均化信号として第2の垂直信号線LSGN22に出力され、カラム読み出し回路40に供給される。
【0130】
(低ゲイン読み出しモード時MLGの読み出し回路構成)
アクティブ化制御回路2431は、低ゲイン読み出しモードMLG時には、
図6(C)および
図7に示すように、制御信号XSFがハイレベル(VAA)で供給され、スイッチングトランジスタSW-Trが導通状態に切り替えられる。
これに伴い、アクティブ化制御回路2431は、第1の負荷トランジスタのゲート、すなわちPMOSトランジスタPT21のゲートを第1の負荷トランジスタが導通状態を保持可能な所定電位(本例では基準電位VSS)に接続するとともに、第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21のゲートおよびドレインもこの所定電位VSSに接続して第1の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT21を非アクティブ化させる。
【0131】
アクティブ化制御回路2431は、この低ゲイン読み出しモードMLG時には、第2の負荷回路2422の第2の負荷トランジスタであるPMOSトランジスタPT23のゲートも基準電位VSSに接続され、PMOSトランジスタPT23は導通状態に保持される。
これにより、アクティブ化制御回路2431は、この低ゲイン読み出しモードMLG時には、第2の負荷回路2422とソースフォロワトランジスタSF-Trによる低ゲイン読み出し回路244が形成される。
そして、形成した低ゲイン読み出し回路244において、ソースフォロワトランジスタSSF-Trによるソースフォロワ増幅動作により低ゲインで増幅された読み出した電圧信号が第1の画素内信号線LSGN11に出力される。
【0132】
また、低ゲイン読み出しモードMLG時の大部分の期間においては、
図6(D)に示すように、蓄積トランジスタCG-Trの制御信号CGがハイレベルに設定され、蓄積トランジスタCG-Trが導通状態に保持される。これにより、低ゲイン読み出しモードMLGの期間中、フローティングディフュージョンFD11と蓄積キャパシタCS11が接続状態に保持され、ソースフォロワトランジスタSF-Trのゲインが低ゲイン状態に保持される。
【0133】
リセット期間においては、たとえば、第1のサンプリングスイッチSHS21-Swの制御信号SHS21、第2のサンプリングスイッチSHR21-Swの制御信号SHR21、平均化用スイッチAV21-Swの制御信号SCB21、選択スイッチSEL21-Sw,SEL22-Swを制御する制御信号RS1,RS2はLレベルに設定され、第1のサンプリングスイッチSHS21-Sw、第2のサンプリングスイッチSHR21-Sw、平均化用スイッチAV21-Sw、選択スイッチSEL21-Sw,SEL22-Swが非導通状態に制御される。
【0134】
このような状態で、リセット期間において、
図6(A)に示すように、制御信号RSTがHレベルの期間に選択されて、リセットトランジスタRST-Trが導通状態となり、フローティングディフュージョンFD11が電源電位VDDの電位にリセットされる。
そして、リセット期間の終了のため、リセットトランジスタRST-Trの制御信号RSTはLレベルに切り替えられ、リセットトランジスタRST-Trは非導通状態となる。
【0135】
また、リセットトランジスタRST-Trの制御信号RSTがLレベルに切り替えられる制御と同時並列的に、信号保持部250では、第1のサンプリングスイッチSHS21-Sw、第2のサンプリングスイッチSHR21-Swの制御信号SHS21、SHR21がLレベルに保持されている。そして、リセット期間が終了後、画素アレイのすべての信号保持部250では、次の制御が行われる。
すなわち、信号保持部250において、
図6(F)に示すように、所定期間に制御信号SHR21がHレベルに切り替えられて第2のサンプリングスイッチSHR21-Swが導通状態となるように制御される。
【0136】
これにより、所定のタイミングで、光電変換読み出し部230において、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD11の電荷がソースフォロワトランジスタSF-Trにより電荷量に応じた電圧信号VRSTに変換され、変換された電圧信号VRSTが信号保持部250の入力部2511に供給され、第2のサンプリングスイッチSHR21-Swを通して第2の信号保持キャパシタCR21に保持される。
【0137】
第2の信号保持キャパシタCR21に読み出し信号VRSTを保持した後、制御信号SHR21がLレベルに切り替えられて、第2のサンプリングスイッチSHR21-Swが非導通状態となる。
【0138】
ここで、所定時刻を含む所定期間が転送期間となる。
転送期間には、各光電変換読み出し部230において、
図6(B)に示すように、転送トランジスタTG-Trが、制御信号TGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD11で光電変換され蓄積された電荷(電子)がフローティングディフュージョンFD11に転送される。
転送期間が終了すると、転送トランジスタTG-Trの制御信号TGがLレベルに切り替えられ、転送トランジスタTG-Trが非導通状態となる。
【0139】
次に、すべての信号保持部250では、次の制御が行われる。
信号保持部250において、
図6(H)に示すように、所定期間に制御信号SHS21がHレベルに切り替えられて第1のサンプリングスイッチSHS21-Swが導通状態となるように制御される。
【0140】
これにより、光電変換読み出し部230において、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD11の電荷がソースフォロワトランジスタSF-Trにより電荷量に応じた電圧信号VSIGに変換され、変換された電圧信号VSIGが第1の画素内信号線LSGN11を介して信号保持部250に供給される。
電圧信号VSIGは、信号保持部250の入力部251に供給され、第1のサンプリングスイッチSHS21-Swを通して第1の信号保持キャパシタCS21に保持される。
【0141】
第1の信号保持キャパシタCS21に読み出し信号VSIGを保持した後、制御信号SHS21がLレベルに切り替えられて、第1のサンプリングスイッチSHS21-Swが非導通状態となる。
【0142】
このとき、保持した信号を読み出すため、画素アレイの中のある一行を選択するために、
図6(I)に示すように、その選択された行の各選択スイッチSEL21-Sw,SEL22-Swの制御信号RS21,RS22がHレベルに設定されて、その選択スイッチSEL21-SwおよびSEL22-Swが導通状態となる。
そして、第1の信号保持キャパシタCS21に保持された読み出し信号VSIGの読み出し、並びに、第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出しリセット信号VRSTの読み出しが並行して行われる。
【0143】
このとき、各信号保持部250においては、保持ノードND22に接続された出力用第1のソースフォロワトランジスタSF21-Trにより、保持ノードND22に接続された第1の信号保持キャパシタCS21の保持電圧に応じて、列出力の読み出し信号VSIGとして第1の垂直信号線LSGN21に出力され、差動の信号として読み出し回路40に供給される。
これと並行して、各信号保持部250においては、保持ノードND23に接続された出力用第2のソースフォロワトランジスタSF22-Trにより、保持ノードND23に接続された第2の信号保持キャパシタCR21の保持電圧に応じて、列出力の読み出しリセット信号VRSTとして第2の垂直信号線LSGN22に出力され、差動の信号として読み出し回路40に供給される。
【0144】
次に、信号保持部250において、
図6(J)に示すように、所定期間に制御信号SCB21がHレベルに切り替えられて平均化用スイッチAV21-Swが導通状態となる。
これにより、選択行のリセットレベルと信号レベルの平均化が行われる。
そして、制御信号SCB21がLレベルに切り替えられた後、第1の信号保持キャパシタCS21に保持された読み出し信号VSIG、並びに、第2の信号保持キャパシタCR21に保持された読み出しリセット信号VRSTを平均化して信号の読み出しが並行して行われる。
【0145】
このとき、各信号保持部250においては、保持ノードND22に接続された出力用第1のソースフォロワトランジスタSF21-Trにより、保持ノードND22における平均化電圧に応じて、列出力の平均化信号として第1の垂直信号線LSGN21に出力され、カラム読み出し回路40に供給される。
これと並行して、各信号保持部250においては、保持ノードND23に接続された出力用第2のソースフォロワトランジスタSF22-Trにより、保持ノードND23における平均化電圧に応じて、列出力の平均化信号として第2の垂直信号線LSGN22に出力され、カラム読み出し回路40に供給される。
【0146】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、固体撮像装置10は、VMGS画素200を含んで構成されている。
各VMGS画素200は、光電変換した電荷を蓄積し、蓄積した電荷を電荷量に応じた電圧信号として読み出す光電変換読み出し部230と、光電変換読み出し部230から読み出される読み出し電圧信号を増幅可能な増幅回路240と、増幅回路240により増幅された読み出し電圧信号を保持可能で、保持した電圧信号を出力可能なサンプルホールド用信号保持キャパシタを含む信号保持部250と、低ゲインの読み出し電圧信号が出力される第1の画素内信号線LSGN11と、増幅回路240の出力側が接続され、高ゲインの読み出し電圧信号が出力される第2の画素内信号線LSGN12と、を含んで構成されている。
光電変換読み出し部230は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積するフォトダイオードPD11と、フォトダイオードPD11に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子としての転送トランジスタTG-Tr、転送トランジスタを通じてPD11で蓄積された電荷が転送される出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD11と、出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワトランジスタSF-Trと、リセット期間にフローティングディフュージョンを第2の画素内信号線LSGN12の電位または所定の電位にリセットするリセット素子としてのリセットトランジスタRST-Trと、一方の電極がフローティングディフュージョンFDに接続され、他方の電極が第2の画素内信号線LSGN12に接続される帰還キャパシタCF11と、を含み、第1の画素内信号線LSGN11は、ソースフォロワトランジスタSF-Trによる電圧信号の出力ラインに接続され、かつ、増幅回路240の入力側に接続されている。
そして、増幅回路240は、差動トランジスタ対241の第2の差動トランジスタとソースフォロワトランジスタSF-Trが共用されている。
【0147】
本第1の実施形態において、低ゲイン読み出しモードMLG時には、読み出し回路形成部243が、第1の負荷回路2421を非アクティブ化して、第2の負荷回路2422とソースフォロワトランジスタSF-Trによる低ゲイン読み出し回路244を形成する。
そして、形成した低ゲイン読み出し回路243において、ソースフォロワトランジスタSF-Trによるソースフォロワ増幅動作により低ゲインで増幅された読み出した電圧信号を第1の画素内信号線LSGN11に出力する。
また、高ゲイン読み出しモードMHG時には、読み出し回路形成部243が、第1の負荷回路2421をアクティブ化して、増幅回路240の差動トランジスタ対241と帰還キャパシタCF11を含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路による高ゲイン読み出し回路245を形成する。
そして、高ゲイン読み出し回路245において、増幅回路240の差動トランジスタ対241と帰還キャパシタCF11を含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路によって作りだされるミラー効果によって、電荷を帰還キャパシタCF11に転送させて、高ゲインで増幅された電圧信号を第2の画素内信号線LSGN12に出力する。
【0148】
したがって、本第1の実施形態の固体撮像装置10によれば、電圧サンプルホールド用信号保持キャパシタの容量値を増加させることなく、電圧サンプルホールドノードにおけるノイズを低減することが可能で、ひいては高ゲインモードでは輝度の高い光信号に対して低いゲインを維持しながら高い画素ゲインを得ることが可能で、低ゲインモードでは低変換ゲインの読み出しが可能であり、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能となる。
【0149】
また、高ゲインモードでは、600-800uV/eを超える変換ゲインが期待されるため、ノイズを大幅に削減することが可能となる。また、低ゲインモードでは、変換ゲインが100uV/e以下であるため、所望の飽和状態を得ることが可能となる。
また、蓄積キャパシタを追加すると、より高い光信号のLFWを増大させることが可能となる。
さらにまた、増幅回路240の差動トランジスタ対と帰還キャパシタを含む容量性帰還トランスインピーダンスアンプ(CTIA)回路においては、画素アンプトランジスタであるソースフォロワトランジスタSF-Trを差動アンプの負の入力ノードとして利用するため、消費電力を非常に低く抑えることができる。なお、共有によって増加する寄生容量は変換ゲインに影響しない。
また、本実施形態の増幅回路240は、信号電荷の損失なしに動作モードを高ゲインモード(CTIA)モードから低ゲインモード(SFモード)に変更することが可能である。
【0150】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図9は(A)~(I)は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の主として電荷注入保証機能を有する画素部における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0151】
図9(A)は、画素200Bの光電変換読み出し部230のリセットトランジスタRST-Trの制御信号RSTを示している。
図9(B)は画素200Bの光電変換読み出し部230の転送トランジスタTG-Trの制御信号TGを示している。
図9(C)は画素200Bの読み出し回路形成部243を形成するスイッチングトランジスタSW-Trの制御信号XSFを示している。
図9(D)は画素200Bの光電変換読み出し部230の蓄積トランジスタCG-Trの制御信号CGを示している。
図9(E)は信号保持部250の高ゲイン用サンプリング回路252の第4のサンプリングスイッチSHR31-Swの制御信号SHR31を示している。
図9(F)は信号保持部250の低ゲイン用サンプリング回路251の第2のサンプリングスイッチSHR21-Swの制御信号SHR21を示している。
図9(G)は信号保持部250の高ゲイン用サンプリング回路252の第3のサンプリングスイッチSHS31-Swの制御信号SHS31を示している。
図9(H)は信号保持部250の低ゲイン用サンプリング回路251の第1のサンプリングスイッチSHS21-Swの制御信号SHS21を示している。
図9(I)は画素200BのフローティングディフュージョンFD11への電荷注入を制御する電荷注入制御信号INJを示している。
図9(J)は画素200の信号保持部250の選択スイッチSEL21-Sw、SEL22-Swの制御信号RS21,RS22を示している。
図9(K)は画素200Bの信号保持部250の平均化用スイッチAV21-Swの制御信号SCB21を示している。
【0152】
本第2の実施形態の画素200Bが、第1の実施形態の画素200と異なる点は、次の通りである。
本第2の実施形態の画素200Bは、リセット動作後のリセットトランジスタRST-Trからの注入電荷を補償するために、フローティングディフュージョンFD11とリセットトランジスタRST-Trとの接続ノード(CFノード)NDCに電荷補償用キャパシタCinjが接続されている。
電荷補償用キャパシタCinjは、一方の電極が接続ノードNDCに接続され、他方の電極が電荷注入制御信号INJの供給ラインに接続されている。
【0153】
本第2の実施形態においては、リセット期間終了後に、電荷注入制御信号(パルス)INJをキャパシタCinjに印加して、フローティングディフュージョンFD11に、オフセット補正のための電荷を注入する。
本例では、フローティングディフュージョンFD11に容量の小さいキャパシタCinjを接続し、リセットトランジスタRST-Trが非導通状態(オフ)になった後の負のパルスを適用している。
【0154】
本実施形態に係る画素においては、変換ゲインが非常に高いため、増幅回路(アンプ回路)240はリセットトランジスタRST-Trからの電荷注入の影響を受ける。最悪のケースでは、アンプの出力がフィードスルー電荷によって飽和する可能性がある。
そこで、本第2の実施形態においては、リセット操作終了後、INJパルスを印加することにより、CFノード(接続ノード)NDCに補償電荷が注入される。
さらに、INJノードにより高い電圧を印加することにより、低ゲイン読み出しのためのソースフォローモードでの回路ダイナミックレンジを最適化(最大化)することが可能となる。
電荷注入パルスINJは、高ゲイン読み出しモードMHG時は第1の電圧V11で印加され、低ゲイン読み出しモードMLG時は第1の電圧V11より高い第2の電圧V12(>V11)で印加される。
このように、本実施形態に係る画素構成の場合、変換ゲインが大きいため、増幅回路(アンプ)の範囲を維持するには、本第2の実施形態のように、リセット(RST)電荷フィードスルーの補償が有益である。
【0155】
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【0156】
本第3の実施形態の画素200Cが、第1の実施形態の画素200と異なる点は、次の通りである。
本第3の実施形態の画素200Cにおいては、増幅回路240の差動トランジスタ対241の第1の差動トランジスタ241-1が、第2のブロック220C側ではなく、光電変換読み出し部230と同様の第1のブロック210C側に形成されている。
【0157】
この構成では、第2のブロック220Cに配置された増幅回路240の第1の負荷回路2421における第1の差動トランジスタ241-1のドレイン側との接続ノードND4が、接続端子T3を介して、第1のブロック210Cに配置された第1の差動トランジスタ241-1のドレインと接続されている。
そして、第1のブロック210Cに配置された第1の差動トランジスタ241-1のソースが読み出しノードND3に接続され、読み出しノードND3が接続端子T2を介して、第2のブロック220Cに形成された第1の画素内信号線LSGN11に接続されている。
【0158】
本第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様の効果を得られることはもとより、増幅回路240Cの+入力と-入力の間でより良いパフォーマンスのマッチングが得られ、オフセットを小さくすることが可能となる。
なお、本第3の実施形態の構成は上述した第2の実施形態にも適用可能である。
【0159】
(第4の実施形態)
図11は、本発明の第4の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【0160】
本第4の実施形態の画素200Dが、第3の実施形態の画素200Cと異なる点は、次の通りである。
本第4の実施形態の画素200Dにおいて、光電変換読み出し部230Dは、フォトダイオードPD11に接続され、フォトダイオードPD11に蓄積された電荷を放出可能なアンチブルーミングゲート素子ABG-Trを含む。
【0161】
たとえば、非常に強い光が入射した場合、電子がフォトダイオードPD11から溢れ出し、隣接する画素に流れ込むことでアーチファクト(Artifacts)となる。
よって、本第4の実施形態によれば、上述した第3の実施形態の効果と同様の効果を得られることはもとより、オフ電圧を自身の閾値電圧より充分低く、かつ0Vより少し高めに設定することで、溢れ出した電荷をフォトダイオードPD11の外部に流し込む経路を形成することによりブルーミングを低減することができる。
また、読み出し回路の動作とは無関係にフォトダイオードPD11をリセットすることが可能となる。
【0162】
なお、本第4の実施形態の構成は上述した第1、第2および第3の実施形態にも適用可能である。
【0163】
(第5の実施形態)
図12は、本発明の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【0164】
本第5の実施形態の画素200Eが、第4の実施形態の画素200Dと異なる点は、次の通りである。
本第5の実施形態の画素200Eにおいて、光電変換読み出し部230Eは、リセットトランジスタRST-Trのソース・ドレインが電源電位VDDとフローティングディフュージョンFD11との間に接続され、ゲートが接続ノードND2に接続されている。
【0165】
本第5の実施形態によれば、信号読み出しにはソースフォロワトランジスタSF-Trが使用され、低スルーレートのテーパリセットを実現することができる。
【0166】
(第6の実施形態)
図13は、本発明の第6の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図14(A)~(K)は、本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置の画素部における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0167】
図14(A)は、画素200Fの光電変換読み出し部230DのリセットトランジスタRST-Trの制御信号RSTを示している。
図14(B)は画素200Fの光電変換読み出し部230Dの転送トランジスタTG-Trの制御信号TGを示している。
図14(C)は画素200Fの読み出し回路形成部243を形成するスイッチングトランジスタSW-Trの制御信号XSFを示している。
図14(D)は画素200Fの光電変換読み出し部230Dの蓄積トランジスタCG-Trの制御信号CGを示している。
図14(E)は画素200Fの光電変換部230Dのアンチブルーミングゲート素子ABG-Trを制御する制御信号ABを示している。
図14(F)は信号保持部250Fの高ゲイン用サンプリング回路252の第4のサンプリングスイッチSHR31-Swの制御信号SHR31を示している。
図14(G)は信号保持部250Fの低ゲイン用サンプリング回路251の第2のサンプリングスイッチSHR21-Swの制御信号SHR21を示している。
図14(H)は信号保持部250Fの高ゲイン用サンプリング回路252の第3のサンプリングスイッチSHS31-Swの制御信号SHS31を示している。
図14(I)は信号保持部250Fの低ゲイン用サンプリング回路251の第1のサンプリングスイッチSHS21-Swの制御信号SHS21を示している。
図14(J)は画素200の信号保持部250Fの選択スイッチSEL21-Sw、SEL22-Swの制御信号RS21~RS24を示している。
図14(K)は画素200Fの信号保持部250Fの平均化用スイッチAV21-Sw、AV22-Swの制御信号SCB21、22を示している。
【0168】
本第6の実施形態係る固体撮像装置10Fが、第1の実施形態の固体撮像装置10と異なる点は、次の通りである。
上述した第1の実施形態の固体撮像装置10において、低ゲイン読み出しモードMLGと高ゲイン読み出しモードMHGでは、フォトダイオードPD11の異なる状態での蓄積電荷に対応する信号として個別に読み出す。
これに対して、本第6の実施形態に係る固体撮像装置10Fにおいては、フォトダイオードPD11の同じ状態での蓄積電荷に対応する信号として順番に読み出す。
換言すれば、本第6の実施形態に係る固体撮像装置10Fにおいては、光電変換読み出し部230Dは、低ゲインの読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)の第1の画素内信号線LSGN11の出力と、高ゲインの読み出し電圧N2(VRST2,VSIG2)の第2の画素内信号線LSGN12の出力とを、同時並列的に行う機能を有する。
【0169】
ここで、本第6の実施形態に係る固体撮像装置10Fにおける画素200Fの入出力伝達特性、高ゲインと低ゲインの出力範囲の設定について説明する。
【0170】
(画素200Fの入出力伝達特性)
まず、本第6の実施形態に係る画素200Fの入出力伝達特性について説明する
【0171】
図15は、本第1の実施形態に係る画素の入出力伝達特性について説明するための図である。
図15において、横軸が入射光量を、縦軸が出力信号レベルを表している。
【0172】
図15の画素入出力伝達特性からわかるように、入射光量の少ない低輝度領域は高ゲインであるCTIA回路が主に動作する。
CTIA飽和点でCTIA出力が飽和し、自動的に画素の低ゲインアンプとしてのソースフォロワトランジスタSF-Tr(SF回路)が主に動作する。ここでは、CTIAとSF出力信号レベルを同一にしたが、本実施形態においては異なった値でも良い。
【0173】
なお、増幅回路240を形成するたとえばエラーアンプのDC利得を高くすることで、CTIA飽和開始点での非線形性を低減することができる
【0174】
(高ゲインと低ゲインの出力範囲の設定)
次に、本第6の実施形態における高ゲインと低ゲインの出力範囲の設定について説明する。
【0175】
図16は、本第6の実施形態における高ゲインと低ゲインの出力範囲の設定について説明するための図である。
図16において、横軸は、標準時STDR、高ゲイン優先時HGNR、低ゲイン優先時LGNRの場合分けを示している。
縦軸は、画素のソースフォロワ(SF)アンプ電圧出力範囲(ただし閾値が0Vとする)VSFR、エラーアンプの電圧出力範囲VEARを示している。
図16において、VCLPは、エラーアンプの出力をクリップさせるクリップ電圧を、VREFはいわゆるユニティゲインバッファ(Unity Gain Buffer)構成時のエラーアンプの基準電圧を、VpinはフォトダイオードPD11のピンニング電圧(PD11から完全電荷転送を実現可能な最低電圧)を、それぞれ示している。
【0176】
図16に示すように、標準的な高ゲインと低ゲインの組合せがほしいときは、基準電圧VREFをクリップ電圧VCLPとピンニング電圧Vpinの中間より少し下側に設定する(もしくは中間点でもよい)。
【0177】
高ゲイン出力をより多く必要とするときは、基準電圧VREF’をピンニング電圧Vpinよりに設定する(a’/(a’+b’) > a/(a+b)の関係)。
これにより、ダイナミックレンジは減少するがより高S/Nを保った画像取得が可能となる。
【0178】
低ゲイン出力をより多く必要とするときは、基準電圧VREF’’をクリップ電圧VCLPよりに設定する(a’’/(a’’+b’’) < a/(a+b)の関係)。
これにより、ダイナミックレンジを広げることができる。
【0179】
また、ADCを含む読出し回路の雑音フロアと光ショット雑音によって基準電圧VREFを調節することで、より実用的であるSNR10指標を高めるための最適化を電圧調整だけで実施できる。
従来のLOFIC画素では、高ゲイン、低ゲインの範囲を個別に変更することが困難である。
【0180】
また、ダイナミックに高ゲインと低ゲイン出力の範囲を設定するように構成することも可能である。
【0181】
図17は、本第1の実施形態におけるダイナミックに高ゲインと低ゲインの出力範囲を設定する場合について説明するための図である。
フローティングディフュージョンFD11のリセット時に、低ゲイン電圧出力が最大になるよう、基準電圧VREFをクリップ電圧VCLP付近に設定する(a/(a+b) << b/(a+b)の関係)。
フローティングディフュージョンFDリセット解除後に、基準電圧VREFをΔVREF分だけ低下した電圧に変更する。その結果、エラーアンプの入力端子間に電位差が生じるが、その電位差をキャンセルにするようにエラーアンプの出力が低下する。容量性負帰還の効果により、最終的なエラーアンプ出力VREF’は、ΔVREF/帰還率β(Cfb11/(Cfb11+Cfd11))だけ基準電圧VREFから低下した電圧に落ち着く。VREF’はピンニング電圧Vpinより十分低い値に設定することが可能なため、従来のLOFIC画素より高ゲイン電圧範囲を大きくできる(a’ >> aの関係)。
これにより、FDノード電圧は(VREF-VREF’)×帰還率β(Cfb11/(Cfb11+Cfd11))分、つまりΔVREFだけ低下するが、βが0.125、(VREF-VREF’)が2Vとしても0.25V程度の損失にしかならず(c’ /(b’ +c’) << b’ /(b’ +c’)の関係)、
図16に示した低ゲイン出力範囲拡大LGNRの場合における、画素SF電圧可動範囲VSFRよりも大きく設定することができる。
よって、高ゲイン電圧範囲と低ゲイン電圧範囲の両方を同時に拡大させたいとき、またはクリップ電圧VCLPや電源電圧を下げた場合でも、充分な高ゲイン電圧範囲と低ゲイン電圧範囲の両方を得たいときに有効である。
【0182】
以上説明した画素200Fの光電変換読み出し部230Dにおいて、高ゲイン読み出しモードMHG時には、フォトダイオードPD11からの電荷が少ない場合は、CTIA回路によって作りだされるミラー効果によって、電荷が容量Cfb11の帰還キャパシタCF11にすべて転送され、高ゲインで増幅された出力電圧N2(VRST2,VSIG2)を得る。
一方、低ゲイン読み出しモードMLG時には、CTIA回路が飽和するとミラー効果が自動的に減少するため、より容量Cfd11の大きいフローティングディフュージョンFD11に残りの超過電荷が移動し、低ゲインで増幅された出力電圧N1(VRST1,VSIG1)を得る。
【0183】
本第6の実施形態に係る固体撮像装置10Fにおいては、低ゲインの読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)の第1の画素内信号線LSGN11の出力と、高ゲインの読み出し電圧N2(VRST2,VSIG2)の第2の画素内信号線LSGN12の出力とは、
図3の構成と同様に、異なる信号メモリである低ゲインサンプリング回路および高ゲインサンプリング回路によりサンプリングされる。
すなわち、固体撮像装置10Fの信号保持部250Fにおいては、高ゲインと低ゲインの信号電圧N1,N2を同時にサンプリングすることが可能である。
【0184】
また、固体撮像装置10Fでは、たとえば以下に示すような流れで信号読み出しが行われる。
(1)高ゲイン読み出しモードMHGの読み出し信号レベルに基づいて、サンプリングされて記憶されている信号である、高ゲインの読み出し電圧N2(VRST2,VSIG2)または低ゲインの読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)を選択する。
(2)高ゲイン読み出しモードMHGの読み出し信号である読み出し電圧N2(VRST2,VSIG2)のサンプリング、読み出し、を行い、低ゲイン読み出しモードMLG信号である読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)サンプリング、読み出しを行う。
【0185】
また、本第6の実施形態に係る固体撮像装置10Fにおいては、
図14(D),(F),(G)に示すように、高ゲイン読み出しモードMHGの読み出し信号である読み出し電圧N2(VRST2,VSIG2)のサンプリング、ホールドの前に、制御信号CGを所定期間ハイレベルに設定して、リセットトランジスタRST-Tr,蓄積トランジスタCG-Trを通して。蓄積キャパシタCS11の蓄積ノードが初期化される。
また、本第6の実施形態に係る固体撮像装置10Fにおいては、
図14(B),(H),(I)に示すように、低ゲイン読み出しモードMLGの読み出し信号である読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)のサンプリング、ホールドの前に、フォトダイオードPD11の残りの変化を取り除くために、再度、制御信号TGを所定期間ハイレベルに設定して、第2の転送処理が行われる。
【0186】
また、低ゲイン読み出しモードMLGの読み出し信号である読み出し電圧N1(VRST1,VSIG1)のサンプリング、ホールドは、いわゆる3トランジスタ動作方式で動作する。
この場合、kTCノイズは読み出しノイズフロアに影響するがノイズ信号結合点におけるフォトンショットノイズによるスクリーニングが期待される。
【0187】
本第6の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果をえることができるとともに、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本第6の実施形態に係る固体撮像装置10Fは、高ゲインと低ゲインの2種類に増幅された信号電圧を同時並列的に読み出し、高ゲインと低ゲインの信号電圧を同時並列的にサンプリングすることができ、高ゲインで高輝度信号を読み出せ、高輝度信号は飽和を抑える低ゲインで読み出せ、しかも2回の読み出しで高ゲインと低ゲインの信号を得ることができる。
【0188】
以上説明した固体撮像装置10,10A~10Fは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0189】
図18は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0190】
本電子機器300は、
図18に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10A~10Fが適用可能なCMOSイメージセンサ310を有する。
さらに、電子機器300は、このCMOSイメージセンサ310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)320を有する。
電子機器300は、CMOSイメージセンサ310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)330を有する。
【0191】
信号処理回路330は、CMOSイメージセンサ310の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路330で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0192】
上述したように、CMOSイメージセンサ310として、前述した固体撮像装置10,10A~10Dを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0193】
10,10B~10F・・・固体撮像装置、20,20B~20F・・・画素部、200,200B~200F・・・画素、PD11・・・フォトダイオード、TG-Tr・・・転送トランジスタ、RST-Tr・・・リセットトランジスタ、SF-Tr・・・ソースフォロワトランジスタ、FD11・・・フローティングディフュージョン、210・・・第1のブロック(センシング部)、220・・・第2のブロック(回路部)、230・・・光電変換読み出し部、240・・・増幅回路、241・・・差動トランジスタ対、242・・・アクティブ負荷回路、243・・・読み出し回路形成部、2431・・・アクティブ化制御回路、244・・・低ゲイン読み出し回路、245・・・高ゲイン読み出し回路、250,250A・・・信号保持部、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路(カラム読み出し回路)、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・読み出し部、300・・・電子機器、310・・・CMOSイメージセンサ、320・・・光学系、330・・・信号処理回路(PRC)。