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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040752
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】制御装置、設計支援装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20240318BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240318BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/17
G05B23/02 301P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145308
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】梶 航士
(72)【発明者】
【氏名】有田 未来生
【テーマコード(参考)】
3C223
4F206
【Fターム(参考)】
3C223AA12
3C223BA01
3C223CC01
3C223EB03
3C223FF13
3C223FF35
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH13
4F206AP10
4F206AR11
4F206JA07
4F206JL02
4F206JP12
4F206JP15
4F206JP22
4F206JP25
4F206JP27
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】設計上のタイミングを容易に確認することができる技術を提供する。
【解決手段】処理を行うモータ制御部120と、モータ制御部120にて処理を行う設計上のタイミングである設計タイミング及びモータ制御部120が処理を実際に行ったタイミングである実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示制御部150と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理を行う処理部と、
前記処理部にて前記処理を行う設計上のタイミングである設計タイミング及び当該処理部が当該処理を実際に行ったタイミングである実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記表示部に、前記設計タイミングと前記実タイミングとを並べて表示させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、時間軸を前記表示部における左右方向に表示させるとともに、前記設計タイミングと前記実タイミングとを上下方向に隣接した位置に表示させる、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記処理部は、複数の処理を行い、
前記表示制御部は、前記複数の処理における一の処理の前記実タイミングと当該複数の処理における他の処理の前記設計タイミングとが時間的に重なり合っている場合に前記表示部に警告を表示させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記他の処理の前記設計タイミングを前記一の処理の前記実タイミングと重ならないように提案する提案部をさらに備える、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記実タイミングが前記設計タイミングよりも遅延し、当該実タイミングが予め定められたタイミングを超過している場合に前記表示部に警告を表示させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
処理を行う処理部にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミングを取得する設計値取得部と、
前記処理部が実際に前記処理を行ったタイミングである実タイミングを取得する実測値取得部と、
前記設計値取得部が取得した前記設計タイミング及び前記実測値取得部が取得した前記実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える設計支援装置。
【請求項8】
コンピュータに、
処理を行う処理機能と、
前記処理機能にて前記処理を行う設計上のタイミングである設計タイミング及び当該処理機能が当該処理を実際に行ったタイミングである実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
処理を行う処理部にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミングを取得する設計値取得機能と、
前記処理部が実際に前記処理を行ったタイミングである実タイミングを取得する実測値取得機能と、
前記設計値取得機能が取得した前記設計タイミング及び前記実測値取得機能が取得した前記実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示制御機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、設計支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置が設計通りの時間で動作しているかどうかを簡単に確認できるようにする技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載された装置は、機械駆動部を構成するアクチュエータの動作時間を確認する稼働モニタ手段を備える。稼働モニタ手段は、アクチュエータの実際の動作と、設計上の動作の時間差を識別可能に表示手段に表示させる表示出力手段を備える。表示手段は、例えばランプ等の光源とされる。その場合、表示出力手段は、アクチュエータを動作させたときに、設計上の時間が経過した時点で点滅させ、動作の完了で点灯状態とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-249709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モーションコントローラ等の高速周期で動作する機器は、一定の時間までに与えられた処理を完了しなければならないために、処理を行うタイミングの設計が重要である。そのため、設計上のタイミングが適切であるか否かを、処理時間を測定しつつ確認する必要がある。
本発明は、設計上のタイミングを容易に確認することができる制御装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、処理を行う処理部と、前記処理部にて前記処理を行う設計上のタイミングである設計タイミング及び当該処理部が当該処理を実際に行ったタイミングである実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える制御装置である。
ここで、前記表示制御部は、前記表示部に、前記設計タイミングと前記実タイミングとを並べて表示させても良い。
また、前記表示制御部は、時間軸を前記表示部における左右方向に表示させるとともに、前記設計タイミングと前記実タイミングとを上下方向に隣接した位置に表示させても良い。
また、前記処理部は、複数の処理を行い、前記表示制御部は、前記複数の処理における一の処理の前記実タイミングと当該複数の処理における他の処理の前記設計タイミングとが時間的に重なり合っている場合に前記表示部に警告を表示させても良い。
また、前記他の処理の前記設計タイミングを前記一の処理の前記実タイミングと重ならないように提案する提案部をさらに備えても良い。
また、前記表示制御部は、前記実タイミングが前記設計タイミングよりも遅延し、当該実タイミングが予め定められたタイミングを超過している場合に前記表示部に警告を表示させても良い。
他の観点から捉えると、本発明は、処理を行う処理部にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミングを取得する設計値取得部と、前記処理部が実際に前記処理を行ったタイミングである実タイミングを取得する実測値取得部と、前記設計値取得部が取得した前記設計タイミング及び前記実測値取得部が取得した前記実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える設計支援装置である。
また、他の観点から捉えると、本発明は、コンピュータに、処理を行う処理機能と、前記処理機能にて前記処理を行う設計上のタイミングである設計タイミング及び当該処理機能が当該処理を実際に行ったタイミングである実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示機能と、を実現させるプログラムである。
また、他の観点から捉えると、本発明は、コンピュータに、処理を行う処理部にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミングを取得する設計値取得機能と、前記処理部が実際に前記処理を行ったタイミングである実タイミングを取得する実測値取得機能と、前記設計値取得機能が取得した前記設計タイミング及び前記実測値取得機能が取得した前記実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示制御機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、設計上のタイミングを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る射出成形装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】制御装置の機能を示すブロック図の一例である。
図3】表示制御部が表示部に表示させる表示画面の一例を示す図である。
図4】制御装置が行う表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る制御装置の概略構成の一例を示す図である。
図6】第2実施形態に係る表示制御部が表示部に表示させる表示画面の一例を示す図である。
図7】第3実施形態に係る射出成形システムの概略構成の一例を示す図である。
図8】第4実施形態に係る射出成形システムの概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る射出成形装置1の概略構成の一例を示す図である。
射出成形装置1は、型締装置(不図示)と、溶融樹脂を射出する射出装置10と、射出装置10に成形材料を供給する供給装置80と、装置全体を制御する制御ユニット40と、を備えている。これら型締装置、射出装置10、供給装置80、制御ユニット40については後で詳述する。また、以下の説明において、射出装置10が溶融樹脂を射出する側を前側とし、射出する側とは反対側を後側とする。
【0009】
また、射出成形装置1は、ユーザの入力操作を受け付ける操作部51と、操作受付画面や画像を表示する表示部52とを備えている。操作部51は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等の入力装置であることを例示することができる。表示部52は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであることを例示することができる。操作部51及び表示部52は、一体的に構成されていても良い。
【0010】
射出成形装置1は、型閉じ工程、型締め工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、計量工程、型開き工程、及び、突き出し工程を1サイクルとし、成形品を繰り返し製造する。型閉じ工程は、固定金型及び可動金型で構成される金型装置を閉じる工程である。型締め工程は、金型装置を締める工程である。充填工程は、金型装置内に溶融樹脂を流し込む工程である。保圧工程は、流し込んだ樹脂に圧力をかける工程である。冷却工程は、保圧工程後に金型装置内で樹脂を固化させる工程である。計量工程は、次の成形品のための溶融樹脂を計量する工程である。型開き工程は、金型装置を開く工程である。突き出し工程は、型開き後の金型装置から成形品を突き出す工程である。なお、成形サイクルの短縮のため、計量工程は、冷却工程が行われている間に行われても良い。
【0011】
(型締装置)
型締装置は、固定金型が取り付けられる固定プラテンと、可動金型が取り付けられる可動プラテンとを備え、可動プラテンを進退させ、可動金型を固定金型に接離させることによって型閉じ、型締め及び型開きを行う。
【0012】
(射出装置)
射出装置10は、成形材料としての樹脂を加熱するためのシリンダ11と、シリンダ11の前端に配設されたノズル12とを有する。また、射出装置10は、シリンダ11内に、回転可能であり、かつ、回転軸方向に進退自在に配設されたスクリュ20と、シリンダ11を加熱する加熱源としてのヒータh11、h12及びh13と、シリンダ11の後側に配設された駆動装置60とを有する。
【0013】
スクリュ20は、スクリュ本体21と、スクリュ本体21より前側に配設された射出部22とを有し、後端の軸部を介して駆動装置60と連結される。
【0014】
シリンダ11の後部には、成形材料供給口としての樹脂供給口14が形成されている。樹脂供給口14は、スクリュ20をシリンダ11内の最も前側に位置させた状態において、ねじ溝の後端部と対向する箇所に形成されている。樹脂供給口14には、シリンダ11内に樹脂を供給する供給装置80が取り付けられている。
【0015】
駆動装置60は、シリンダ11内でスクリュ20を回転させたり進退させたりする装置である。
駆動装置60は、シリンダ11内でスクリュ20を回転させる駆動源としての計量モータ61と、シリンダ11内でスクリュ20を回転軸方向に移動させる駆動源としての射出モータ62とを有する。計量モータ61及び射出モータ62はサーボモータであることを例示することができる。
【0016】
射出モータ62とスクリュ20との間には、射出モータ62の回転運動をスクリュ20の直線運動に変換する運動変換機構等が設けられる。例えば、運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットとの間には、ボールやローラ等が設けられていることを例示することができる。
【0017】
(供給装置80)
供給装置80は、成形材料(例えば樹脂ペレット)を収容するホッパ81と、ホッパ81の下端から水平方向に延びるフィードシリンダ82と、フィードシリンダ82の前端から下方に延びる筒状の案内部83とを有する。また、供給装置80は、フィードシリンダ82内において回転可能に配設されたフィードスクリュ84と、フィードスクリュ84を回転させるフィードモータ85とを有する。
【0018】
(制御ユニット)
制御ユニット40は、CPU41と、制御プログラム等を格納するROM42と、演算結果等を格納する読書き可能なRAM43と、ハードディスク等の記憶部44と、入力インターフェイス(I/F)45と、出力インターフェイス(I/F)46とを有する。制御ユニット40は、ROM42または記憶部44等の記憶領域に記憶されたプログラムをCPU41で実行させることにより、各種機能を実現する。
【0019】
制御ユニット40は、計量モータ61、射出モータ62、フィードモータ85等の駆動を制御するモータ制御装置47と、ヒータh11~h13の温度を制御するヒータ制御装置48とを有する。
【0020】
モータ制御装置47は、計量モータ61、射出モータ62、フィードモータ85それぞれの駆動を制御する、計量モータ用制御装置、射出モータ用制御装置、フィードモータ用制御装置を有する。これら3つの制御装置の構成は同一であるので、以下に、計量モータ用制御装置を例にして詳述する。なお、以下では、計量モータ用制御装置を、「制御装置100」と称する。
【0021】
図2は、制御装置100の機能を示すブロック図の一例である。
制御装置100は、計量モータ61に電流を供給するための駆動回路110と、駆動回路110の作動を制御するモータ制御部120とを備える。また、制御装置100は、ユーザにより入力された設計値を取得する設計値取得部130と、モータ制御部120の後述する各機能部から実測値を取得する実測値取得部140と、表示部52の表示を制御する表示制御部150とを備える。
【0022】
駆動回路110は、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路であり、計量モータ61の各相(例えば、U相、V相、W相の3相)のそれぞれについて一対のトランジスタを有している。
【0023】
モータ制御部120は、モータ70(例えば計量モータ61)の回転速度を検出するエンコーダ71からのアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換する電子回路であるAD変換部121と、AD変換部121から出力されたデジタル電気信号を用いて制御指令値を演算する演算部122とを有する。また、モータ制御部120は、モータ70をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し出力するPWM出力部123を有する。
【0024】
演算部122は、上位の制御装置、例えば射出成形装置1の作動を統括的に制御する制御装置(不図示)から制御装置100に出力された速度指令値とモータ70の回転速度とが一致するように制御指令値を演算する。
PWM出力部123は、演算部122から出力された制御指令値に基づいてモータ70をPWM駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力する。
【0025】
モータ制御部120は、AD変換部121による変換、演算部122による演算、及び、PWM出力部123によるPWM信号の生成及び出力からなる一連の処理を、予め定められた周期(サイクル)にて行う。
【0026】
設計値取得部130は、例えば操作部51を介してユーザにより入力された、モータ制御部120の各機能部にて処理を行う設計上のタイミング(以下、「設計タイミング」と称する場合がある。)を取得する。例えば、設計値取得部130は、AD変換部121、演算部122及びPWM出力部123にて処理を行う設計上のタイミングを取得する。
【0027】
そして、設計値取得部130は、AD変換部121にて変換処理を行う設計上のタイミングとして入力された設計変換タイミングT1を、AD変換部121が変換処理を行うタイミングとして設定する。また、設計値取得部130は、演算部122にて演算処理を行う設計上のタイミングとして入力された設計演算タイミングT2を、演算部122が演算処理を行うタイミングとして設定する。また、設計値取得部130は、PWM出力部123にてPWM信号の生成及び出力処理を行う設計上のタイミングとして入力された設計出力タイミングT3を、PWM出力部123がPWM信号の生成及び出力処理を行うタイミングとして設定する。
【0028】
なお、設計変換タイミングT1及び設計演算タイミングT2は、予め定められた周期となるように設定されることを例示することができる。また、設計出力タイミングT3は、同じ周期において演算部122から出力された制御指令値を用いることができるタイミングとなるように、設計演算タイミングT2後の予め定められた時間経過後となるように設定されることを例示することができる。
また、設計値取得部130が行うタイミングの設定は、各機能部が機能を実現するためのプログラム上のタイミングを記憶領域に記憶することを例示することができる。
【0029】
実測値取得部140は、モータ制御部120の各機能部にて実際に処理を行ったタイミング(以下、「実タイミング」と称する場合がある。)を、各機能部から取得する。例えば、実測値取得部140は、AD変換部121が実際に変換処理を行ったタイミングである実変換タイミングA1を、AD変換部121から取得する。また、実測値取得部140は、演算部122が実際に演算処理を行ったタイミングである実演算タイミングA2を、演算部122から取得する。また、実測値取得部140は、PWM出力部123が実際にPWM信号の生成及び出力処理を行ったタイミングである実出力タイミングA3を、PWM出力部123から取得する。
【0030】
表示制御部150は、設計値取得部130が取得した、モータ制御部120の各機能部(本実施の形態においてはAD変換部121、演算部122及びPWM出力部123)にて処理を行う設計上のタイミングを表示部52に表示させる設計値表示制御部151を有する。また、表示制御部150は、実測値取得部140が取得した、モータ制御部120の各機能部にて実際に処理を行ったタイミングを表示部52に表示させる実測値表示制御部152を有する。また、表示制御部150は、設計上のタイミングと実際に処理を行ったタイミングとが重なり合う部分や、実際に処理を行ったタイミングが予め定められた時間を超過する部分に対して警告を表示部52に表示させる警告表示制御部153を有する。
【0031】
図3は、表示制御部150が表示部52に表示させる表示画面の一例を示す図である。
設計値表示制御部151は、設計値取得部130から、設計変換タイミングT1、設計演算タイミングT2及び設計出力タイミングT3を取得するとともに、取得した、設計変換タイミングT1、設計演算タイミングT2及び設計出力タイミングT3を表示部52に表示させる。
【0032】
実測値表示制御部152は、実測値取得部140から、実変換タイミングA1、実演算タイミングA2及び実出力タイミングA3を取得するとともに、取得した、実変換タイミングA1、実演算タイミングA2及び実出力タイミングA3を表示部52に表示させる。
【0033】
そして、表示制御部150においては、設計値表示制御部151が表示させる設計変換タイミングT1と、実測値表示制御部152が表示させる実変換タイミングA1とを、表示部52において並べて表示させる。つまり、表示部52における設計変換タイミングT1の表示領域と実変換タイミングA1の表示領域とを隣接させる。図3には、時間軸を表示部52における左右方向とした上で、設計変換タイミングT1の表示領域と実変換タイミングA1の表示領域とを表示部52における上下方向に隣接させた例を示している。
【0034】
同様に、設計値表示制御部151が表示させる設計演算タイミングT2,設計出力タイミングT3と、実測値表示制御部152が表示させる実演算タイミングA2,実出力タイミングA3とを、表示部52において並べて表示させる。つまり、表示部52における設計演算タイミングT2,設計出力タイミングT3の表示領域と、実演算タイミングA2,実出力タイミングA3の表示領域とを隣接させる。図3には、時間軸を表示部52における左右方向とした上で、設計演算タイミングT2,設計出力タイミングT3の表示領域と、実演算タイミングA2,実出力タイミングA3の表示領域とを表示部52における上下方向に隣接させた例を示している。
【0035】
警告表示制御部153は、表示部52に表示させた表示画面において、時間的に2つの処理が重なり合う部分に対して警告を表示する。警告表示制御部153は、例えば、時間的に重なり合う処理における重なり合う部分の周囲を囲む円や楕円を表示することを例示することができる。例えば、図3には、実変換タイミングA1と、設計演算タイミングT2及び実演算タイミングA2とが時間的に重なり合っているので、警告表示制御部153が、重なり合う部分の周囲を囲む楕円154を表示する例を示している。また、警告表示制御部153は、警告を表す文言を表示しても良い。例えば、図3には、楕円154に対して矢印を差すとともに、「重なり合っている!」との文言を付した例を示している。なお、ここでいう警告は、「時間的に2つの処理が重なり合っていることを告げ知らせること」の意味であり、時間的に重なり合う処理における重なり合う部分の周囲を囲む円や楕円、及び、「重なり合っている!」との文言は、警告の一例である。
【0036】
また、警告表示制御部153は、実際に処理を行ったタイミングが予め定められた時間を超過する部分に対して警告を表示する。警告表示制御部153は、例えば、実際に行った処理が、予め定められた時間を超えている場合に、超えている部分の周囲を囲む円や楕円を表示することを例示することができる。例えば、図3には、実出力タイミングA3が予め定められた1サイクルの時間を超えているので、警告表示制御部153が、時間的に超過する部分の周囲を囲む円155を表示する例を示している。また、警告表示制御部153は、警告を表す文言を表示しても良い。例えば、図3には、円155に対して矢印を差すとともに、「超過!」との文言を付した例を示している。なお、ここでいう警告は、「実際に処理を行ったタイミングが予め定められた時間を超過することを告げ知らせること」の意味であり、円155及び「超過!」との文言は、警告の一例である。
【0037】
また、設計値表示制御部151が表示部52に表示させる設計上のタイミング(例えば設計変換タイミングT1)と、実測値表示制御部152が表示部52に表示させる実際に処理を行ったタイミング(例えば実変換タイミングA1)と、警告表示制御部153が表示部52に表示させる警告とは異なる色であると良い。例えば、表示部52の画面の背景色が白色、時間軸が黒色である場合に、設計上のタイミングが青色、実際に処理を行ったタイミングが緑色、警告が赤色であると良い。これにより、ユーザに、タイミングが重なり合っている部分があることや、超過する部分があることを容易に把握させることができる。
【0038】
なお、図3には、時間的に2つの処理が重なり合う部分に対する警告と実際に処理を行ったタイミングが予め定められた時間を超過する部分に対する警告とを同じ表示画面に示す例を示している。しかしながら、同じ表示画面に示す態様に限定されない。時間的に2つの処理が重なり合う部分に対する警告と実際に処理を行ったタイミングが予め定められた時間を超過する部分に対する警告とを異なる表示画面に表示しても良い。
【0039】
また、警告表示制御部153が表示部52に警告を表示させる表示画面には、設計値表示制御部151が表示させる設計上のタイミング(例えば設計変換タイミングT1)又は実測値表示制御部152が表示させる実際に処理を行ったタイミング(例えば実変換タイミングA1)のいずれか一方を表示しても良い。
【0040】
例えば、実測値表示制御部152が表示させる実際に処理を行ったタイミングのみと警告表示制御部153が表示させる警告とを表示しても良い。かかる場合には、実測値表示制御部152が実変換タイミングA1と実演算タイミングA2とを表示させるとともに、警告表示制御部153が実変換タイミングA1と実演算タイミングA2とが重なり合う部分の周囲を囲む楕円154及び「重なり合っている!」との文言を表示させることを例示することができる。これにより、ユーザに、タイミングが重なり合っている部分があることを容易に把握させることができる。また、実測値表示制御部152が実出力タイミングA3を表示させるとともに、警告表示制御部153が時間的に超過する部分の周囲を囲む円155及び「超過!」との文言を表示させることを例示することができる。これにより、ユーザに、超過する部分があることを容易に把握させることができる。
【0041】
あるいは、設計値表示制御部151が表示させる設計上のタイミングのみと警告表示制御部153が表示させる警告とを表示しても良い。かかる場合には、設計値表示制御部151が設計変換タイミングT1と設計演算タイミングT2とを表示させるとともに、警告表示制御部153が楕円154及び「重なり合っている!」との文言を表示させることを例示することができる。このとき、実変換タイミングA1が表示されていないことから、重なり合っているのが何と何かが不明となるおそれがある。それゆえ、例えば、楕円154にて囲まれている設計演算タイミングT2と重なり合っている対象が実変換タイミングA1であることを把握し易くするために、「実変換タイミングA1と重なり合っている!」等と、重なり合う対象を文字にて表示すると良い。これにより、ユーザに、タイミングが重なり合っている部分があることを容易に把握させることができる。
【0042】
以上説明したように、制御装置100は、処理を行う処理部の一例としてのモータ制御部120と、モータ制御部120にて処理を行う設計上のタイミングである設計タイミング及びモータ制御部120が処理を実際に行ったタイミングである実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部52に表示させる表示制御部150と、を備える。
【0043】
上述したように、関連する情報は、一の機能部の処理の実タイミングと他の機能部の処理の設計タイミングとの重なり合い、実タイミングが予め定められた時間を超過していること、設計タイミングと実タイミングとの差等であることを例示することができる。
【0044】
そして、制御装置100によれば、表示部52に上記関連する情報が表示されるので、ユーザは、設計上のタイミングが適切であるか否かを容易に確認することができる。モータ制御部120の各機能部のように高速周期で動作する機器は、一定の時間までに与えられた処理を完了しなければならず、処理を行うタイミングの設計が重要であるために、設計上のタイミングが適切であるか否かを、処理を実際に行ったタイミングを測定しつつ確認する必要があるが、制御装置100は、ユーザに容易に確認させることができる。その結果、ユーザは、機能追加や変更を行うべくタイミング設計のパラメータを調整するとしても、一定の時間までに与えられた処理を完了することを容易に実現することができる。
【0045】
表示制御部150は、表示部52に、設計タイミングと実タイミングとを並べて表示させる。これにより、ユーザに、設計上のタイミングと実タイミングとを可視化し、比較を容易に確認させることができる。
【0046】
例えば、表示制御部150は、図3に示すように、時間軸を表示部52における左右方向に表示させるとともに、設計タイミングと実タイミングとを上下方向に隣接した位置に表示させる。これにより、ユーザに、設計上のタイミングが適切であるか否かを容易に確認させることができる。ただし、表示部52における表示態様は限定されない。例えば、表示制御部150は、時間軸を表示部52における上下方向に表示させるとともに、設計タイミングと実タイミングとを左右方向に隣接した位置に表示させても良い。
【0047】
また、モータ制御部120は、複数の処理を行い、表示制御部150は、複数の処理における一の処理の実タイミングと当該複数の処理における他の処理の設計タイミングとが時間的に重なり合っている場合に表示部52に警告を表示させる。これにより、ユーザは、設計上のタイミングが適切でないことを容易に把握することができる。
【0048】
また、表示制御部150は、実タイミング(例えば実出力タイミングA3)が設計タイミング(例えば設計出力タイミングT3)よりも遅延し、実タイミング(例えば実出力タイミングA3)が予め定められたタイミング(例えば1周期の終わりのタイミング)を超過している場合に表示部52に警告を表示させる。これにより、ユーザは、設計上のタイミングが適切でないことを容易に把握することができる。
【0049】
以上説明した、制御装置100が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、CPU41が、制御装置100の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。例えば、プログラムを記録した非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体を制御装置100に提供し、CPU41が記録媒体に格納されたプログラムを読み出す。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した第1実施形態の機能を実現することになり、そのプログラム自体、及びそれを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0050】
そして、制御装置100の機能を実現するプログラムは、処理を行う処理機能と、当該処理機能にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミング及び当該処理機能が当該処理を実際に行ったタイミングである実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部に表示させる表示機能と、を実現させる。
【0051】
なお、上述した第1実施形態において、表示制御部150の実測値表示制御部152が表示部52に表示させる実タイミング(例えば実変換タイミングA1、実演算タイミングA2、実出力タイミングA3)は複数の周期(例えば5周期分)における平均値であっても良い。
以下、実測値表示制御部152が複数の周期における平均値の実タイミングを表示部52に表示させる場合の手順について説明する。
【0052】
図4は、制御装置100が行う表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
制御装置100は、この処理を、例えば予め定めた制御周期にて(例えば1ミリ秒毎に)繰り返し実行する。
制御装置100は、先ず、各機能部(本実施の形態においてはAD変換部121、演算部122及びPWM出力部123)にて処理を行う設計上のタイミングを設定する(S401)。これは、設計値取得部130が例えば操作部51を介してユーザにより入力された各機能部にて処理を行う設計上のタイミングを取得し、各機能部が当該設計上のタイミングにて処理を行うように設定する処理である。
【0053】
その後、各機能部が、設定された設計上のタイミングにて実際に処理を行い(S402)、実測値取得部140が、各機能部が実際に処理を行った実タイミングを取得する(S403)。
そして、制御装置100は、実タイミングの平均値を算出するのに十分な数のデータを実測値取得部140が取得したか否かを判別する(S404)。例えば5周期分の実タイミングの平均値を算出すると予め定められている場合には、実測値取得部140が5周期分の実タイミングを取得したか否かを判別する。なお、S404の処理は実測値取得部140が行う処理である。
【0054】
十分なデータを取得していない場合(S404でNO)、制御装置100は、S402以降の処理を行う。他方、十分なデータを取得した場合(S404でYES)、表示制御部150は、図3に示すように、設計タイミングと実タイミングとを、表示部52に表示させる(S405)。
【0055】
このように、実測値表示制御部152が表示部52に表示させる実タイミングとして、複数の周期における平均値を用いることで、一の機能部の処理の実タイミングと他の機能部の処理の設計タイミングとの重なり合いや、実タイミングが予め定められた時間を超過していること等の精度を高めることができる。
【0056】
ただし、複数の周期における平均値を用いるのではなく、1つの周期における値を用いても良い。かかる場合には、図4のフローチャートを用いて説明した表示処理におけるS404を削除すれば良い。
【0057】
なお、上述した第1実施形態においては、設計タイミングと実タイミングとを表示部52に表示させて可視化することを、モータ制御部120を例にして説明しているが、モータ制御部120のような数十μsec周期の動作に限定されず、msec周期の動作にも適用しても良い。例えば、型閉じ工程、型締め工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、計量工程、型開き工程、及び、突き出し工程からなる1サイクルの成形処理における設計タイミングと実タイミングとを表示部52に表示させて可視化しても良い。
また、センサはエンコーダ71に限定されない。例えば、シリンダ11内の圧力を検出するセンサであっても良い。
【0058】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る制御装置200の概略構成の一例を示す図である。
第2実施形態に係る制御装置200は、第1実施形態に係る制御装置100に対して、モータ制御部120の各機能部にて処理を行う設計上のタイミングの修正を提案する提案部210を備えている点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第2実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0059】
提案部210は、設計値取得部130から、設計上のタイミング(例えば、設計変換タイミングT1、設計演算タイミングT2及び設計出力タイミングT3)を取得するとともに、実測値取得部140から、実際に処理を行ったタイミング(例えば、実変換タイミングA1、実演算タイミングA2及び実出力タイミングA3)を取得する。
【0060】
そして、提案部210は、一の機能部における実タイミングと、当該一の機能部とは異なる他の機能部における設計タイミングとが重なっている場合には、当該他の機能部における設計タイミングを、当該一の機能部における実タイミングと重ならないように遅らせることを提案する。例えば、図3に示した例においては、AD変換部121が実際に変換処理を行ったタイミングである実変換タイミングA1と、演算部122にて演算処理を行う設計上の設計演算タイミングT2とが時間的に重なり合っているので、演算部122が、1周期前にAD変換部121が変換処理を行ったデータを用いて演算処理を行うおそれがある。そこで、提案部210は、演算部122にて演算処理を行う設計上の設計演算タイミングT2を、AD変換部121が実際に変換処理を終了した後から開始するように修正することを提案する。例えば、提案部210は、一の機能部(例えばAD変換部121)における実タイミング(例えば実変換タイミングA1)と、他の機能部(例えば演算部122)における設計タイミング(例えば設計演算タイミングT2)とが2(μsec)重なり合っている場合には、他の機能部における設計タイミングを少なくとも重なり合っている時間分(2(μsec))遅らせることを提案することを例示することができる。
【0061】
図6は、第2実施形態に係る表示制御部150が表示部52に表示させる表示画面の一例を示す図である。
提案部210が設計上のタイミングの修正を提案する場合、表示制御部150は、設計上のタイミングの修正の提案を表示部52に表示させる。例えば、図3に示したように実変換タイミングA1と設計演算タイミングT2とが時間的に重なり合っていることに起因して提案部210が設計演算タイミングT2を例えば3(μsec)遅らせることを提案する場合には、表示制御部150は、図6に示すように、設計演算タイミングT2を3(μsec)遅らせる修正を提案する文言(例えば、「3μsec遅らせますか?」)を表示部52に表示させる。
【0062】
また、提案部210は、ユーザが修正の提案を受け入れた場合に修正するようにしても良い。例えば、表示制御部150は、図6に示すように、提案を受け入れるかどうかを確認するための文言(例えば、「はい」と「いいえ」)を表示部52に表示させる。そして、ユーザが例えば操作部51を操作することで提案を受け入れることを選択した場合(例えば、「はい」を押した場合)に、提案部210は修正すると良い。
【0063】
つまり、提案部210は、特定の処理(例えば演算処理)を行う設計上のタイミングを修正した場合には、当該特定の処理を行う機能部(例えば演算部122)が修正後の設計上のタイミングにて当該特定の処理を行うように設定する。例えば、提案部210は、設計演算タイミングT2を遅らせることを提案し、それが受け入れられた場合には、演算部122が遅らせた後の設計演算タイミングT2にて演算処理を行うように設定する。
【0064】
以上説明したように、第2実施形態に係る制御装置200は、一の処理(例えば変換処理)の実タイミングと他の処理(例えば演算処理)の設計タイミングとが時間的に重なり合っている場合に、当該他の処理の設計タイミングを当該一の処理の実タイミングと重ならないように提案する提案部210を備える。このように構成された制御装置200によれば、ユーザが修正内容を検討する手間を削減することができるので、ユーザ利便性を向上させることができる。
【0065】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る射出成形システム3の概略構成の一例を示す図である。
射出成形システム3は、射出成形装置1と、射出成形装置1との間で情報を送受信することが可能な端末装置250とを備えている。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第3実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0066】
射出成形装置1と端末装置250とは、ネットワーク260を介して互いに通信を行うことが可能となっている。ネットワーク260は、装置間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットであることを例示することができる。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。無線LANは、例えばWiFi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)であることを例示することができる。
【0067】
射出成形装置1の制御ユニット40は、端末装置250との間で情報を送受信するための、通信インターフェイス(I/F)49を有する。
【0068】
端末装置250は、ノートPC、タブレットPC、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)等の可搬型の端末であることを例示することができる。
端末装置250は、CPU(不図示)、ROM(不図示)、RAM(不図示)、記憶部(不図示)、入力I/F(不図示)、出力I/F(不図示)、通信I/F(不図示)等を有する制御装置300を備えている。
【0069】
また、端末装置250は、ユーザの入力操作を受け付ける操作部251と、操作受付画面や画像を表示する表示部252とを備えている。操作部251は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等の入力装置であることを例示することができる。表示部252は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであることを例示することができる。操作部251及び表示部252は、一体的に構成されていても良い。
【0070】
制御装置300は、ROM又は記憶部等に記憶されたプログラムをCPUで実行させることにより、上述した、設計値取得部130、実測値取得部140、表示制御部150と同様の機能をそれぞれ実現する、設計値取得部330、実測値取得部340、表示制御部350を有する。
【0071】
設計値取得部330は、例えば、操作部251を介してユーザにより入力された、射出成形装置1のモータ制御部120の各機能部にて処理を行う設計上のタイミングを取得する。
実測値取得部340は、例えば、射出成形装置1のモータ制御部120の各機能部にて実際に処理を行ったタイミングである実タイミングを、各機能部から取得する。
【0072】
表示制御部350は、上述した、設計値表示制御部151、実測値表示制御部152、警告表示制御部153にそれぞれ相当する、設計値表示制御部351、実測値表示制御部352、警告表示制御部353を有する。
【0073】
設計値表示制御部351は、例えば、設計値取得部330から取得した設計上のタイミングを表示部252に表示させる。
実測値表示制御部352は、例えば、実測値取得部340から取得した実タイミングを表示部252に表示させる。
警告表示制御部353は、例えば、設計タイミングと実タイミングとが重なり合う部分や、実タイミングが予め定められた時間を超過する部分に対する警告を表示部252に表示させる。
【0074】
以上説明したように、端末装置250は、ユーザが、モータ制御部120における設計上のタイミングを設定する際の支援を行うことが可能な設計支援装置の一例である。そして、端末装置250は、処理を行う処理部の一例としてのモータ制御部120にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミングを取得する設計値取得部330と、モータ制御部120が実際に当該処理を行ったタイミングである実タイミングを取得する実測値取得部340と、を備える。また、端末装置250は、設計値取得部330が取得した設計タイミング及び実測値取得部340が取得した実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部252に表示させる表示制御部350を備える。
【0075】
以上のように構成された端末装置250、既に工場等に設置されている射出成形装置1に対する機能追加や機能変更の際のタイミング設計を可能にする。例えば、ユーザは、射出成形装置1の傍等、射出成形装置1が設置されている工場で端末装置250を用いてタイミング設計を行っても良いし、射出成形装置1が設置されている工場の外において遠隔的に端末装置250を操作することでタイミング設計を行っても良い。
【0076】
なお、端末装置250の制御装置300は、第2実施形態に係る制御装置200が備える提案部210を備え、提案部210が設計上のタイミングの修正を提案する場合、表示制御部350は、設計上のタイミングの修正の提案を表示部252に表示させても良い。そして、提案部210は、ユーザが修正の提案を受け入れた場合に修正するようにしても良い。
また、射出成形装置1の制御ユニット40は、設計値取得部130、実測値取得部140、表示制御部150を有していても良いし、有していなくても良い。
【0077】
以上説明した、制御装置300が行う処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、端末装置250のCPU(不図示)が、制御装置300の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。制御装置300の機能を実現するプログラムは、処理を行う処理部にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミングを取得する設計値取得機能と、当該処理部が実際に当該処理を行ったタイミングである実タイミングを取得する実測値取得機能と、を実現させる。また、プログラムは、前記設計値取得機能が取得した前記設計タイミング及び前記実測値取得機能が取得した前記実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部252に表示させる表示制御機能と、を実現させる。
【0078】
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る射出成形システム4の概略構成の一例を示す図である。
射出成形システム4は、射出成形装置1と、射出成形装置1との間で情報を送受信することが可能なサーバ500とを備えている。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第4実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0079】
射出成形装置1とサーバ500とは、ネットワーク550を介して互いに通信を行うことが可能となっている。ネットワーク550は、装置間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)であることを例示することができる。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。無線LANは、例えばWiFi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)であることを例示することができる。
【0080】
射出成形装置1の制御ユニット40は、サーバ500との間で情報を送受信するための、通信インターフェイス(I/F)49を有する。
【0081】
サーバ500は、CPU(不図示)、ROM(不図示)、RAM(不図示)、記憶部(不図示)、入力I/F(不図示)、出力I/F(不図示)、通信I/F(不図示)等を有する制御装置400を備えている。
【0082】
制御装置400は、ROM又は記憶部等に記憶されたプログラムをCPUで実行させることにより、上述した、設計値取得部130、実測値取得部140、表示制御部150と同様の機能をそれぞれ実現する、設計値取得部430、実測値取得部440、表示制御部450を有する。
【0083】
設計値取得部430は、射出成形装置1の設計値取得部130から、射出成形装置1のモータ制御部120の各機能部にて処理を行う設計上のタイミングを取得する。
実測値取得部340は、射出成形装置1の実測値取得部140から、射出成形装置1のモータ制御部120の各機能部にて実際に処理を行ったタイミングである実タイミングを、各機能部から取得する。
【0084】
表示制御部450は、上述した、設計値表示制御部151、実測値表示制御部152、警告表示制御部153にそれぞれ相当する、設計値表示制御部451、実測値表示制御部452、警告表示制御部453を有する。
【0085】
設計値表示制御部451は、設計値取得部430から取得した設計上のタイミングを射出成形装置1の表示部52に表示させる。
実測値表示制御部452は、実測値取得部440から取得した実タイミングを射出成形装置1の表示部52に表示させる。
警告表示制御部453は、例えば、設計タイミングと実タイミングとが重なり合う部分や、実タイミングが予め定められた時間を超過する部分に対する警告を射出成形装置1の表示部52に表示させる。
【0086】
以上説明したように、サーバ500は、ユーザが、モータ制御部120における設計上のタイミングを設定する際の支援を行うことが可能な設計支援装置の一例である。そして、サーバ500は、処理を行う処理部の一例としてのモータ制御部120にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミングを取得する設計値取得部430と、モータ制御部120が実際に当該処理を行ったタイミングである実タイミングを取得する実測値取得部440と、を備える。また、サーバ500は、設計値取得部430が取得した設計タイミング及び実測値取得部440が取得した実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を射出成形装置1の表示部52に表示させる表示制御部450を備える。
【0087】
以上のように構成された射出成形システム4においては、設計タイミングや実タイミングを表示部52に表示させることをサーバ500に行わせることができる。その結果、射出成形装置1が、設計値表示制御部151、実測値表示制御部152及び警告表示制御部153を備えていなくても良いので、射出成形装置1の制御装置100の負荷を抑制することができる。なお、サーバ500は、上述した設計値取得部430、実測値取得部440を備えずに、表示制御部450が、射出成形装置1の設計値取得部130や実測値取得部140からそれぞれ設計タイミングや実タイミングを取得しても良い。
【0088】
なお、サーバ500の制御装置400は、第2実施形態に係る制御装置200が備える提案部210を備え、提案部210が設計上のタイミングの修正を提案する場合、表示制御部450は、設計上のタイミングの修正の提案を表示部52に表示させても良い。そして、提案部210は、ユーザが修正の提案を受け入れた場合に修正するようにしても良い。
また、射出成形装置1の制御ユニット40は、設計値取得部130、実測値取得部140、表示制御部150を有していても良いし、有していなくても良い。
【0089】
以上説明した、制御装置400が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、サーバ500のCPU(不図示)が、制御装置400の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。制御装置400の機能を実現するプログラムは、処理を行う処理部にて当該処理を行う設計上のタイミングである設計タイミングを取得する設計値取得機能と、当該処理部が実際に当該処理を行ったタイミングである実タイミングを取得する実測値取得機能と、を実現させる。また、プログラムは、前記設計値取得機能が取得した前記設計タイミング及び前記実測値取得機能が取得した前記実タイミングの少なくともいずれかのタイミングに関連する情報を表示部52に表示させる表示制御機能と、を実現させる。
【符号の説明】
【0090】
1…射出成形装置、3,4…射出成形システム、10…射出装置、51…操作部、52,252…表示部、60…駆動装置、61…計量モータ、62…射出モータ、100,200,300,400…制御装置、120…モータ制御部、130,330,430…設計値取得部、140,340,440…実測値取得部、150,350,450…表示制御部、210…提案部、250…端末装置、500…サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8