IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECマグナスコミュニケーションズ株式会社の特許一覧

特開2024-4076認証情報記憶媒体の自動提示装置、及びドアのロック解除システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004076
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】認証情報記憶媒体の自動提示装置、及びドアのロック解除システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20240109BHJP
   E05F 15/77 20150101ALI20240109BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240109BHJP
   G08B 13/06 20060101ALI20240109BHJP
   G07C 9/29 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05F15/77
G06K7/10 268
G08B13/06
G07C9/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103536
(22)【出願日】2022-06-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Java script
2.Python
(71)【出願人】
【識別番号】390010386
【氏名又は名称】NECマグナスコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将弘
(72)【発明者】
【氏名】中澤 大和
【テーマコード(参考)】
2E052
2E250
3E138
5C084
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA06
2E052CA06
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC03
2E052KA27
2E250AA04
2E250AA12
2E250BB08
2E250CC28
2E250DD06
2E250FF28
2E250FF35
3E138AA01
3E138JA01
3E138JB14
3E138JC05
3E138JC19
3E138JD03
3E138JD04
5C084AA02
5C084AA07
5C084BB13
5C084CC07
5C084DD79
5C084HH03
(57)【要約】
【課題】自動ドアに設置されるIDカード読取装置に対して後付けするだけで、読取装置から離隔した位置にいる通行希望者からの遠隔操作によって自動ドアのロックを解除して開放して通行を許容できるようにする。
【解決手段】自動提示装置30は、判定装置12がドア5の開放を許可するための第1の認証データを記憶した第1の認証情報記憶媒体35と、該第1の認証情報記憶媒体を読取装置20による読取りが不可能な退避位置と該読取装置による読み取りが可能な近接位置との間で進退させる記憶媒体進退機構40と、該記憶媒体進退機構に供給する電力を制御する駆動制御部70と、該駆動制御部を制御する主制御部80と、通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて進入資格の有無を判定する認証判定部603と、を備え、主制御部は、認証判定部603が進入資格有りと判定した時に駆動制御部70に動作指令を出力する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の認証データを記憶した認証情報記憶媒体を自動ドアの近傍に設置された読取装置に近づけると、前記読取装置が前記認証情報記憶媒体から前記第1の認証データを読み取り、前記読取装置が読み取った前記第1の認証データが所定の条件を満たすと前記自動ドアのロックを解除して前記自動ドアを開放するロック機能付き自動ドアの前記読取装置に隣接した位置に設置する認証情報記憶媒体の自動提示装置であって、
前記認証情報記憶媒体を前記読取装置による読取りが不可能な退避位置と該読取装置による読み取りが可能な近接位置との間で進退させる記憶媒体進退機構と、
該記憶媒体進退機構に供給する電力を制御する駆動制御部と、
該駆動制御部を制御する主制御部と、
通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて通過資格の有無を判定する認証判定部と、を備え、
前記主制御部は、前記認証判定部が通過資格有りと判定した時に前記駆動制御部に動作指令を出力して前記認証情報記憶媒体を前記退避位置から前記近接位置に移動することを特徴とする認証情報記憶媒体の自動提示装置。
【請求項2】
前記認証判定部は、
前記第2の認証データと機器情報との組合せデータを複数組記憶したテーブルを備え、
前記通過対象が備える移動通信手段から受信した前記第2の認証データと、前記移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得した機器情報とから成る組合せが、前記テーブルに記憶された前記組合せデータの何れかと一致するか否かを判定し、
一致すると判定した場合に、進入資格有りとすることを特徴とする請求項1記載の認証情報記憶媒体の自動提示装置。
【請求項3】
前記認証判定部は、一致しないと判定した場合に、進入資格がない前記移動通信手段からのアクセスが発生した旨のメッセージ、及び前記移動通信手段から受信した第2の認証データと、前記移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得した機器情報との組合せを含む電子メールを管理者の通信端末に送信することを特徴とする請求項1記載の認証情報記憶媒体の自動提示装置。
【請求項4】
前記認証判定部は、
日時を計時するタイマ部と、
メモリ部と、を備え、
前記認証判定部は、
進入資格があることを判定した場合に、前記タイマ部から読み出した日時データに前記第2の認証データと前記機器情報とを付加して、第2の認証データに係わる履歴情報として前記メモリ部に記憶することを特徴とする請求項2記載の認証情報記憶媒体の自動提示装置。
【請求項5】
管理者の通信端末との間でデータを送受信する通信部を備え、
前記認証判定部は、
前記管理者の前記通信端末からの履歴要求を前記通信部で受信すると、前記メモリ部から取得した履歴情報を前記通信部から前記管理者の前記通信端末に送信することを特徴とする請求項4記載の認証情報記憶媒体の自動提示装置。
【請求項6】
認証情報記憶媒体の自動提示装置に加わる外力を検知するセンサと、
通信部と、をさらに備え、
前記主制御部は、前記センサから取得した値が基準値を超えるか否かを判定し、
前記認証判定部は、前記センサから取得した値が基準値を超えると判定した場合に、異常な外力が加わった旨のアラート情報を前記通信部から管理者の通信端末に送信することを特徴とする請求項1記載の認証情報記憶媒体の自動提示装置。
【請求項7】
バッテリから供給される電力により駆動される警報部をさらに備え、
前記警報部は、
認証情報記憶媒体の自動提示装置に加わる外力を検知するセンサと、
前記センサから取得した値が基準値を超えるか否かを判定し、前記センサから取得した値が基準値を超えると判定した場合に、異常な外力が加わったことを表す警報信号を出力する警報生成手段と、
前記警報生成手段から前記警報信号が入力された場合に、警報音を発生するブザーと、を備えることを特徴とする請求項1記載の認証情報記憶媒体の自動提示装置。
【請求項8】
前記記憶媒体進退機構は、
認証情報記憶媒体を保持したカードホルダと、
モータと、
モータの駆動力をカードホルダに伝達する駆動力伝達機構と、を備え、
前記駆動力伝達機構にトルクリミッタを含むことを特徴とする請求項1記載の認証情報記憶媒体の自動提示装置。
【請求項9】
特定の認証データを記憶した認証情報記憶媒体を備えた通過対象にのみ進入が許可される進入規制区域への入口を自動的に開閉するドアと、前記ドアを開閉させる開閉駆動装置と、前記認証情報記憶媒体から前記認証データを読取る読取装置、該読取装置が読み取った認証データが所定の条件を満すか否かを判定する判定装置、及び該判定装置が前記所定の条件を満たすと判定した場合に前記開閉駆動装置を作動させて前記ドアを開放させる制御装置を備えたドアのロック解除装置と、前記読取装置に隣接した位置に配置される認証情報記憶媒体の自動提示装置と、を備えたドアのロック解除システムであって、
前記認証情報記憶媒体の自動提示装置は、
前記判定装置が前記ドアの開放を許可するための第1の認証データを記憶した第1の認証情報記憶媒体と、
該第1の認証情報記憶媒体を前記読取装置による読取りが不可能な退避位置と該読取装置による読み取りが可能な近接位置との間で進退させる記憶媒体進退機構と、
該記憶媒体進退機構に供給する電力を制御する駆動制御部と、
該駆動制御部を制御する主制御部と、
前記通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて進入資格の有無を判定する認証判定部と、を備え、
前記主制御部は、前記認証判定部が進入資格有りと判定した時に前記駆動制御部に動作指令を出力する、
ことを特徴とするドアのロック解除システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドアのロック解除に用いる認証情報記憶媒体の自動提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、研究施設、発電所、病院等々の各種事業所においては、守秘、保安、防犯等の種々のセキュリティーに係る要請から、特定の資格を付与された者や物以外の進入(入場、入室、立ち入り)を禁止する進入規制区域(セキュリティーエリア)が設けられることがある。
特定の資格を有した者や物のみが進入規制区域へ進入することを許容するためのシステムとして、進入規制区域への出入口を開閉する自動ドアと、自動ドアの近傍の壁面に配置されてIDカード等の識別情報記憶体に記憶された識別情報を読取る読取装置と、読取装置からの読み取り情報に基づいて自動ドアを制御する制御手段と、を備えた自動ドアのロック解除システムが知られている。自動ドアは常時においては閉じた状態でロックされている。そして、自動ドアの前に到達した進入希望者が保持するIDカードを読取装置にかざした時に、制御手段は読取装置が読み取った識別情報から進入する資格の有無を判断し、資格ありと判断した場合には自動ドアの駆動装置を駆動してドアを開放する。
しかし、進入希望者が台車等の重量物を押している場合等、自由な動きが制限されている状態にある時にも、自動ドアの前から読取装置のある壁面まで移動した上でIDカードを読取装置にかざすことにより自動ドアを開放させる必要があるため手数がかかり、煩雑であった。
【0003】
特許文献1の冷蔵・冷凍車のドア開閉システムは、運転者に過度の負担を強いることなく、冷蔵・冷凍車の荷台を開閉する自動開閉ドアの施錠・解錠と開閉を自動的に行い、冷蔵食品等の積載物に関するセキュリティーの強化を安価な費用で実施することを目的としている。特許文献1には、自動開閉ドアの自動開閉機構及び自動施錠及び自動解錠を行う施錠・解錠装置と、自動開閉ドアの開閉に関する情報を通信するWi-Fiモジュールを備えた冷蔵・冷凍車に搭載したコントローラと、コントローラのWi-Fiモジュールと情報を通信するために、配送先に備えたWi-Fi用のアクセスポイントと、自動開閉ドアの開閉を許可するための許可情報を送出するドア情報送出手段と、自動開閉機構および施錠・解錠装置の動作を管理するドア開閉管理手段とを備えた管理サーバと、から成るWi-Fiを利用した冷蔵・冷凍車のドア開閉システムが開示されている。
【0004】
ところで、特許文献1に開示された冷蔵・冷凍車のドア開閉システムを上記した進入規制区域への出入口の自動ドアに適用した場合には、進入希望者が台車等の重量物を押している場合等、自由な動きが制限されている状態にある時にも、Wi-Fiモジュールを備えた台車に搭載したコントローラから、Wi-Fi用のアクセスポイントへ許可情報を通信することで、自動ドアを開放するという無線対応システムを想定することが可能である。
しかしながら、既存のIDカードを用いた自動ドア開閉システムに上述したような無線対応システムを導入するためには、Wi-Fi用のアクセスポイントを設置し、台車等にWi-Fiモジュールを備えたコントローラを搭載する等の設備を導入する必要が生ずる。そして、台車等のコントローラからWi-Fiを介して得た許可情報を認識できるように既存の自動ドア開閉システム側でソフトウェア等を大幅に改修する必要があるといった問題がある。
そこで、現状のIDカード読取装置を改修することなく、後付けするだけで、遠隔操作によって自動ドアのロックを解除することが切望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-14831公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、自動ドアに設置されるIDカード読取装置に対して後付けするだけで、読取装置から離隔した位置にいる通過対象との間の通信によって自動ドアのロックを解除して開放して通行を許容できるようにした認証情報記憶媒体の自動提示装置、及び自動ドアのロック解除システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る認証情報記憶媒体の自動提示装置は、第1の認証データを記憶した認証情報記憶媒体を自動ドアの近傍に設置された読取装置に近づけると、前記読取装置が前記認証情報記憶媒体から前記第1の認証データを読み取り、前記読取装置が読み取った前記第1の認証データが所定の条件を満たすと前記自動ドアのロックを解除して前記自動ドアを開放するロック機能付き自動ドアの前記読取装置に隣接した位置に設置する認証情報記憶媒体の自動提示装置であって、前記認証情報記憶媒体を前記読取装置による読取りが不可能な退避位置と該読取装置による読み取りが可能な近接位置との間で進退させる記憶媒体進退機構と、該記憶媒体進退機構に供給する電力を制御する駆動制御部と、該駆動制御部を制御する主制御部と、通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて通過資格の有無を判定する認証判定部と、を備え、前記主制御部は、前記認証判定部が通過資格有りと判定した時に前記駆動制御部に動作指令を出力して前記認証情報記憶媒体を前記退避位置から前記近接位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自動ドアに設置されるIDカード読取装置に対して後付けするだけで、読取装置から離隔した位置にいる通過対象との間の通信によって自動ドアのロックを解除して開放して通行を許容できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係わる認証情報記憶媒体の自動提示装置を含むドアのロック解除システムにおける、進入規制区域への出入口に設置された自動ドア、読取装置、及び認証情報記憶媒体の自動提示装置を示す正面図であり、ドア開閉制御のためのブロック構成図が含まれている。
図2】進入規制区域への出入口に設置された自動ドア、読取装置、及び認証情報記憶媒体の自動提示装置を示す斜視図である。
図3】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係わる認証情報記憶媒体の自動提示装置(認証情報記憶媒体の退避状態)を拡大して示す正面図、及び側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係わる自動提示装置(認証情報記憶媒体の退避状態)の外観斜視図である。
図5】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係わる認証情報記憶媒体の自動提示装置(認証情報記憶媒体の提示状態)を拡大して示す正面図、及び側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係わる認証情報記憶媒体の自動提示装置(認証情報記憶媒体の提示状態)の外観斜視図である。
図7】自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す斜視図である。
図8】自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す正面図である。
図9】自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す斜視図である。
図10】自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す正面図である。
図11】自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおける、自動提示装置を構成するハードウェアを示すブロック図である。
図13】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおける、主制御部を構成するハードウェアを示すブロック図である。
図14】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおける、警報部を構成するハードウェアを示す概略的な回路図である。
図15】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおける、無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図16】(a)は移動通信端末に表示されるアイコンを示す模式図であり、(b)は移動通信端末に表示される画面を示す模式図である。
図17】本発明の一実施形態に係わる自動提示装置、移動通信端末において利用されるコンテンツのソフトウェア階層を示す概念図である。
図18】(a)~(c)は自動提示装置でのデータ処理に用いるテーブルで示した図である。
図19】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおける、進入希望者による移動通信端末の操作からドア解錠までの動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
図20】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおける、進入希望者が所持する移動通信端末が未登録である場合の対応動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
図21】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおける、管理者通信端末からの履歴要求に応じて履歴情報を送信する場合の対応動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
図22】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおいて、自動提示装置に異常な状態が発生した時の対応動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
図23】本発明の一実施形態に係わるドアのロック解除システムにおける、通過対象がロボットである場合の対応動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
図24】自動提示装置を構成する記憶媒体進退機構の他の実施形態(カム式)を示す概略図であり、(a)は昇降部材の退避状態、(b)は昇降部材の突出状態を示している。
図25】自動提示装置を構成する記憶媒体進退機構の他の実施形態(スライダ・クランク式)を示す概略図であり、(a)は昇降部材の退避状態、(b)は昇降部材が中間位置にある状態、(c)は昇降部材の突出状態を示している。
図26】自動提示装置を構成する記憶媒体進退機構の他の実施形態(螺子棒・ナット機構)を示す概略図であり、(a)は昇降部材の退避状態、(b)は昇降部材の突出状態を示している。
図27】自動提示装置を構成する記憶媒体進退機構の他の実施形態(スコッチ・ヨーク機構)を示す概略図であり、(a)は昇降部材の退避状態、(b)は昇降部材の突出状態を示している。
図28】自動提示装置を構成する記憶媒体進退機構の他の実施形態(旋回アーム機構)を示す概略図である。
図29】自動提示装置を構成する記憶媒体進退機構の他の実施形態(ワイヤによる巻き上げ機構)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は進入規制区域への出入口に設置された自動ドア、読取装置、及び認証情報記憶媒体の自動提示装置を示す正面図であり、ドア開閉制御のためのブロック構成図が含まれている。図2図1の斜視図である。
また、図3(a)及び(b)は読取装置及び認証情報記憶媒体の自動提示装置(認証情報記憶媒体の退避状態)を拡大して示す正面図、及び側面図であり、図4は読取装置及び認証情報記憶媒体の自動提示装置(認証情報記憶媒体の退避状態)の外観斜視図である。図5(a)及び(b)は読取装置及び認証情報記憶媒体の自動提示装置(認証情報記憶媒体の提示状態)を拡大して示す正面図、及び側面図であり、図6は読取装置及び認証情報記憶媒体の自動提示装置(認証情報記憶媒体の提示状態)の外観斜視図である。
図7図3中の認証情報記憶媒体の自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す斜視図であり、図8図4中の認証情報記憶媒体の自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す正面図である。
図9図4中の認証情報記憶媒体の自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す斜視図であり、図10図6中の認証情報記憶媒体の自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す正面図であり、図11図6中の認証情報記憶媒体の自動提示装置のカバーを除去した内部構成を示す斜視図である。
【0011】
[自動ドアのロック解除装置]
まず、本発明についての説明の前提として、進入規制区域への進入の可否を判定して自動ドアのロックを解除する自動ドアのロック解除装置の一例について説明する。
工場、研究施設、発電所、病院等々の各種事業所においては、守秘、保安、防犯等々の種々のセキュリティーに係る要請から、特定の資格を付与された人間や物体(搬送用ロボット等を含む)以外の進入を禁止する進入規制区域(セキュリティーエリア)が設けられる。
図1は進入規制区域と非規制区域とを画成する壁1に設けた自動ドアを非規制区域側(正面)から見た図であり、壁1には出入口としての開口部3が設けられており、壁1の裏側には図示しない進入規制区域が位置している。
開口部3には自動ドア5が設けられていて常時においては閉止されている。開口部3の近傍の壁面1には進入希望者Pが保持するIDカード等のID記憶手段Cに記憶されたID情報(識別情報)を読取る読取装置20が配置されている。図1に示すように進入規制区域への進入を希望する者(進入希望者)Pが自動ドア5の前に立っただけでは自動ドアが開放することはなく、進入希望者が読取装置20の近傍まで移動して携帯しているIDカードCを読取装置の読取圏内(通常は前面の読取面20a)に提示する必要がある。
IDカードCは周知のようにカード基板にマイクロコンピュータチップやメモリチップや通信用のアンテナ等を搭載したICカードから構成されている。読取装置(或いは、リーダライタ)20から電波を発射してIDカードCに誘導起電力を供給することによりIDカードを動作させ、読取装置とIDカードとの間で制御コードやデータ等といった情報を非接触にて通信する。
【0012】
自動ドア5は、開口部3に沿って左右に開閉するように構成された2つのドア(ドア部材)7と、各ドア7を開閉駆動(ドアをロックしたりロックを解除)するモータ等の開閉駆動装置10と、読取装置20からのID情報に基づいて進入規制区域への進入資格の有無を判定する判定装置12と、判定結果に基づいて開閉駆動装置10を制御する開閉制御装置14と、を備えている。なお、判定装置12と開閉制御装置14とは、一つの開閉制御ユニットU1を構成している。
開閉駆動装置10は、常時においてはドア7が閉止したロック状態を維持している。読取装置20がIDカードCから読み取ったID情報を判定装置12に送信し、判定装置が進入資格有りと判定した場合に開閉制御装置14が開閉駆動装置10を駆動してドアロックを解除してドア7を開放させる。開口部3には進入者の進入、通過を検知するセンサSを配置し、開閉制御装置14は進入、通過が完了したことが検知された時点で開閉駆動装置10を制御してドアを閉じてロックする。
【0013】
読取装置20は、IDカードの識別情報を読取るリーダ部(或いはリーダライタ部)を備え、進入規制区域に入るために自動ドア5の前に移動してきた進入希望者Pが保持したIDカードCをリーダ部にかざした(接近させた)時にID情報を読み取り、このID情報は判定装置12に送られる。判定装置12は、読取装置20から送られてきたID情報に基づいて当該IDカードの保持者が進入規制区域への進入資格があるか否かを判定する。判定装置12が進入資格があると判定した場合にはその旨を開閉制御装置14に通知し、開閉制御装置は開閉駆動装置10のロックを解除してモータを駆動してドア7を開放動作させる。
【0014】
[自動提示装置]
本発明の認証情報記憶媒体の自動提示装置は、第1の認証データを記憶した認証情報記憶媒体を自動ドアの近傍に設置された読取装置に近づけると、読取装置が認証情報記憶媒体から第1の認証データを読み取り、読取装置が読み取った第1の認証データが所定の条件を満たすと自動ドアのロックを解除して自動ドアを開放するロック機能付き自動ドアの読取装置に隣接した位置に設置される。
更に、本発明は、認証情報記憶媒体を読取装置による読取りが不可能な退避位置と該読取装置による読み取りが可能な近接位置との間で進退させる記憶媒体進退機構と、該記憶媒体進退機構に供給する電力を制御する駆動制御部と、該駆動制御部を制御する主制御部と、通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて通過資格の有無を判定する認証判定部と、を備えており、主制御部が、認証判定部が通過資格有りと判定した時に駆動制御部に動作指令を出力して認証情報記憶媒体を退避位置から近接位置に移動させる点が特徴的である。
また、認証情報記憶媒体の自動提示装置を備えたドアのロック解除システムも特徴的である。
【0015】
以下、本発明を図面に示した実施形態に基づいて詳細に説明する。
認証情報記憶媒体の自動提示装置(以下、自動提示装置、と称する)30は、既設の自動ドアのロック解除装置を構成する読取装置20の近傍に後付けで設置される。
本実施形態では、自動提示装置30は読取装置20の直下に10~20mm程度離間して壁面に設置されているが、後述するようにこれは一例に過ぎない。
図7乃至図11に示すように、自動提示装置30は、読取装置20がドアの開放を許可するための認証データを記憶したICカードとしての認証情報記憶媒体35と、認証情報記憶媒体を読取装置による読取りが不可能な退避(離間)位置と該読取装置による読み取りが可能な近接位置(読取位置、提示位置)との間で進退させる記憶媒体進退機構40と、記憶媒体進退機構40の駆動を制御し、且つフォトインタラプタ90a、90bを監視する駆動制御部70と、駆動制御部70とフリッカー回路部100を制御する主制御部80と、認証情報記憶媒体35を保持した昇降部材(進退部材、認証情報記憶媒体ホルダ)42の現在位置を監視する上下2箇所のフォトインタラプタ90a、90bと、各フォトインタラプタからの検知信号により昇降部材42の位置を把握することにより昇降部材42が退避位置にあること、或いは近接位置にあることを点灯色の違いにより明示して注意を喚起するためのLEDを搭載したフリッカー回路部100と、これらの構成要素を収容するケース200(板金製のベース部と、樹脂製の蓋部)と、を概略備えている。
ケース200は、鋼板からなる金属製のベース部200Aと、ベース部200Aの開放した前面に被さった状態で固定される樹脂製のカバー部200Bと、から概略構成されている。
【0016】
主制御部80は、通過対象としての進入希望者が保持する携帯端末、或いは通過対象としての搬送用ロボットに装備された無線通信部から無線通信により取得した認証データ(ID情報)に基づいて、その者の進入資格の有無を判定し、進入資格有りと判定した時に記憶媒体進退機構40に動作指令を出力する。
記憶媒体進退機構40は、認証情報記憶媒体35を固定した昇降部材(進退部材)42と、昇降部材42を退避位置(非提示位置)と近接位置(提示位置)との間で昇降(進退)させる昇降部材駆動機構(進退部材駆動機構)45と、を備える。記憶媒体進退機構40(昇降部材駆動機構45)は駆動制御部70を介して主制御部80により制御される。
認証情報記憶媒体(第1の認証情報記憶媒体)35は、進入規制区域を備えた事業所に所属する個々の人間に個別に付与されて個々人を認証するためのID情報を記憶した個人専用のIDカードではなく、進入規制区域に入る資格を有した複数の特定の人間を共通して認証するための共通した認証情報を記憶したロック解除用のICカードである。従って、認証情報記憶媒体35は一つの自動提示装置につき一枚配置すればよい。
なお、認証情報記憶媒体35の一例としてICカードを例示したが、ICカードに代えて、ICチップ、RFID、その他、既存の読取装置20が記憶情報を読み取ることができる記憶媒体であってもよい。
また、自動提示装置30と移動通信端末との間の通信データのやりとりについては、後述することとする。
【0017】
昇降部材駆動機構45は、ケース200の底板202に固定されたブラケット210に固定されたDCモータ(モータ)46と、DCモータの出力ギヤ46aと噛合し、且つブラケット210に設けた軸受部材212により回転自在に軸部47aを支持された中間ギヤ47と、中間ギヤ47の軸部47aにより中間ギヤと同軸、且つ一体化されたピニオンギヤ48と、ケース200に固定されて上下方向へ延びるリニアシャフト(ガイドレール)215により上下方向へ進退自在に支持されたラックギヤ49と、を備えている。中間ギヤ47,ピニオンギヤ48,リニアシャフト215、及び、ラックギヤ49は、DCモータからの駆動力を昇降部材(カードホルダ)42に伝達する駆動力伝達機構を構成している。
認証情報記憶媒体35を保持した昇降部材(カードホルダ)42が図3(a)(b)、図4図7図8図9に示した退避位置にある時には、ラックギヤ49は最も下降した退避位置にある。昇降部材が退避位置にあることは、下側のフォトインタラプタ90bにより検知されている。この状態において主制御部80から駆動制御部70に対して昇降部材駆動機構45を上昇方向へ駆動すべき旨の指令が出力されるとDCモータ46が正転(上昇方向への回転)を開始する。すると、出力ギヤ46a、中間ギヤ47を介してピニオンギヤ48に駆動力が伝達されてラックギヤ49が上昇し、昇降部材42も上昇を開始する。
図5(a)(b)、図6図10図11は、退避位置から上昇を開始した昇降部材42が最上昇位置、即ち読取装置20に近接した近接位置(読取位置、提示位置)に達した状態を示している。昇降部材が近接位置にあることは、上側のフォトインタラプタ90aにより検知されている。この時、ラックギヤ49は最も上昇した位置にある。主制御部80は、昇降部材42を近接位置に上昇させた際には読取装置20による正確な読取が可能となるように所定時間停止させ、その後下降させる。
【0018】
ラックギヤ49は連結部材50を介して昇降部材(カードホルダ)42と一体化されている。連結部材50はその樹脂製の側面50aをケース200の側面203の内壁と当接させることによりリニアシャフト215を中心とした無用な昇降部材42の回転(横触れ)を抑制している。また、連結部材50が各フォトインタラプタ90a、90bを通過することにより、フリッカー回路部100に昇降部材42の高さ位置を認識させる。フリッカー回路部100は、各フォトインタラプタからの検知信号により昇降部材42が読取装置20側に突出した近接位置にあると認識した場合には、LED105を赤色に発光させて読取装置に近接する人に注意を喚起する。即ち、読取装置20はIDカードを携帯する者がIDカードをタッチするカードリーダとしての本来の役割を有している。このため、自動提示装置30がスマホ等の通信装置からの遠隔操作により昇降部材42を読取装置上に突出させる時に、読取装置に手指を接近させようとしている他者に昇降部材42が突出入する旨と、接触を避けるべき旨の注意を喚起する必要があるからである。
更に、モータの出力ギヤ46aからラックギヤ49までの間の駆動伝達経路内の適所、例えば軸部47aと中間ギヤ47との間に図示しないトルクリミッタを配置することにより、昇降部材42が読取装置に手指を接近させようとしている者にぶつかったときに直ちに昇降部材の昇降動作が停止するように構成して安全性を高めている。なお、トルクリミッタは前述した駆動力伝達機構を構成している。
【0019】
ケース200を構成する金属製のベース部200Aは、壁1の面に接して固定される底面202と、底面202の左右端縁から前方へ夫々起立した側壁203、204と、底面202の下端縁から前方へ起立した側壁205とから一体的に構成されている。ケースの上端縁側には側壁は無く開放されている。
樹脂製のカバー200Bは、ベース部200Aの側壁203、204、205の外側面を覆うに足る形状を有した側壁253、254、255と、ベース部200Aの前面開放部を塞ぐに足る形状を有した天板252と、ベース部200Aの上部開口を覆うに足る上部側壁256と、を備えている。昇降部材42がケース内部から読取装置20に向かって突出することを可能ならしめるために、上部側壁の対応する位置には昇降部材の出没を許容する開口部258が形成されている。本例では開口部258は上部側壁256から突出したガイド突部260内に形成されている。
カバー200Bの各側壁253~256がベース部200Aの各側壁203~205、及び上部開口を覆うように、カバーをベース部に被せてビスにより固定することによりケース200が完成する。
カバー200Bの天板252に設けた丸穴252aにフリッカー回路部100のLED光を透過するフィルムが対応して配置されている。本実施形態では、認証情報記憶媒体35が退避位置にあるときにはLED105は緑色に、認証情報記憶媒体35が接触位置にある時には赤色に発光する。
ケース200を構成するベース部200Aは鋼板から構成することにより物理的な破壊力から内部の構成要素を保護することができる。しかし、カバー200Bを金属から構成すると内部の各回路とスマートフォン(移動通信手段)との通信ができなくなるため、カバーは電波を通過させる樹脂製である。
従って、カバー200Bが物理的な破壊力により破壊され易い。このため、カバーを破壊しようとする行為、例えばハンマーによる打撃、工具による切断等が行われている場合に発生する振動、衝撃、変形等から、異常が発生している旨を検知して、周囲の人々や、セキュリティー管理者に報知する機能が必要となる。
即ち、進入規制区域への進入資格のないものが不正に進入するためには認証情報記憶媒体35の入手が必要となるが、カバー200Bを破壊することにより認証情報記憶媒体35の取出しが可能になる。しかし、通電時、無通電時に関係なく、カバーが破壊されつつあることを直ちにブザーにより周辺の人々に報知したり、セキュリティー管理者のスマートフォンやPCに報知できるように構成すれば、不正行為を防止することができる。
【0020】
本実施形態ではそのような異常検知機能、及び異常報知機能を付与するために、カバー200Bの適所に、外力が加わったことによる異常な振動や衝撃を検知する圧電振動センサなどの振動センサと、振動センサの異常検知により鳴動して警報音を発する警報装置と、からなる異常報知装置を設置する。異常報知装置を電池式とすることにより、無通電時にも利用することができる。
また、異常報知装置として、振動センサに代えて圧電フィルムから成るフィルムセンサ(圧電センサ)をカバー200Bの裏面に貼り付けておき、不正行為に起因したカバー200Bの僅かな機械的変形を電気信号に変えて警報装置を作動させるように構成してもよい。
また、異常報知装置は異常発生を知らせる電気信号を管理者のPC、スマートフォンに送信するように構成しても良い。
【0021】
[制御系統]
[自動提示装置]
図12は自動提示装置30を構成するハードウェアを示すブロック図である。
自動提示装置30は、駆動制御部70と、駆動制御部70及びフリッカー回路部100を制御する主制御部80と、認証情報記憶媒体35を保持した昇降部材(進退部材、認証情報記憶媒体ホルダ)42の現在位置を監視する上下2箇所のフォトインタラプタ(センサ)90a、90bと、各フォトインタラプタからの検知信号により昇降部材42の位置を把握することにより昇降部材42が退避位置にあること、或いは近接位置にあることを点灯色の違い等により明示して注意を喚起するためのLEDを搭載したフリッカー回路部100と、主制御部80から駆動制御部70に対して昇降部材駆動機構45を上昇方向へ駆動すべき旨の指令が出力されると正転(上昇方向への回転)を開始するDCモータ(駆動源)46と、を概略備えている。
また自動提示装置30には、例えば100Vの交流電源400と、交流電源400から供給される交流電力を5Vの直流電力に変換する電源アダプタ410と、交流電源400から供給される交流電力を12Vの直流電力に変換する電源アダプタ420と、を備えている。
さらに自動提示装置30には、異常報知装置として、カバー200Bの裏面に貼り付けられ、圧電フィルム等の圧電センサから成る振動センサ430を備え、振動センサ430が不正行為に起因したカバー200Bの僅かな機械的変形を電気信号に変えてセンサ信号を主制御部80に出力して警報装置を作動させる。なお、振動センサとしての圧電センサは一例に過ぎない。
また自動提示装置30には、カバー200Bの適所に、異常な振動や衝撃を検知して異常検知により鳴動して警報音を発する警報部440を備えている。
【0022】
[主制御部]
図13は主制御部80を構成するハードウェアを示すブロック図である。
図13に示されているように、主制御部80は、コンピュータによって構築されており、CPU450と、ROM455と、RAM460と、二次記憶装置465と、汎用入出力GPIO470と、入出力USB475と、音声出力I/F480と、表示出力I/F485と、ネットワークI/F490と、を備えている。
CPU450は、主制御部80全体の動作を制御する。
ROM455は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU450の駆動に用いられるプログラムを記憶する。
RAM460は、CPU450のワークエリアとして使用される。
二次記憶装置465は、例えばSDカードであり、プログラムや登録済み認証データ等の各種データを記憶する。
汎用入出力GPIO470は、CPU450と駆動制御部70との間、またはCPU450とフリッカー回路部100との間で動作指令や動作状態をやりとりするインターフェイスである。
入出力USB475は、USB(Universal Serial Bus)メモリやUSBプリンタ等と接続される。
音声出力I/F480は、CPU450からの動作指令に応じて合成音を発生する。
表示出力I/F485は、外部のディスプレイと接続して、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。
ネットワークI/F490は、IEEE802.11規格に準拠しており、通過対象が備える移動通信手段とWi-Fiにより対向して無線通信を行うためのインターフェイスや、管理者の通信端末と有線通信(LAN(Local Area Network))を行うためのインターフェイスである。
バスライン495は、図13に示されているCPU450等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0023】
[警報部]
図14は警報部を構成するハードウェアを示す概略的な回路図である。
警報部440は、バッテリ505と、振動センサ510と、オペアンプ515(警報生成手段)と、ブザー520と、を備え、バッテリ505から供給される電力により駆動される。
振動センサ510は、自動提示装置30に加わる外力を検知するセンサであり、例えば、カバー200Bの適所に生じる異常な振動や衝撃を検知する。
オペアンプ515(警報生成手段)は、振動センサ510から取得した電圧信号(振動検知信号)が表す外力の値が基準値を超えるか否かを判定し、振動センサ510から取得した電圧信号の値が基準値を超えると判定した場合に、異常振動が発生したことを表す警報信号を出力する。
ブザー520は、オペアンプ515(警報生成手段)から警報信号が入力された場合に、警報音を発生する。
振動センサ510が異常な振動や衝撃を検知した場合、オペアンプ515は、振動センサ510から取得した電圧信号の値が基準値を超えると判定し、異常な外力が加わったことを表す警報信号をブザー520に出力する。ブザー520が鳴動して警報音を発生するので、カバー200Bの適所に異常な振動や衝撃を検知したことを警報音として報知することができる。
警報部440には、電源アダプタ410又は420から供給される電力で充電可能なバッテリ505を搭載するので、自動提示装置30が無通電時でも警報部440を利用することができる。
【0024】
図14において、オペアンプ515(警報生成手段)が振動センサ510から取得した値が基準値を超えるか否かを判定し、振動センサ510から取得した値が基準値を超えると判定した場合に、異常な外力が加わったことを表す警報信号をオペアンプ515が出力し、オペアンプ515から警報信号が入力された場合に、ブザー520が警報音を発生することができる。
これより、自動提示装置30が電源オン時でも電源オフ時でも、異常振動が発生すると警報音を発生することができる。
【0025】
[無線通信システム]
図15は本発明の実施形態に係わる無線通信システムの構成を示すブロック図である。
無線通信システム550は、移動通信端末560A、560B、560Cと、自動提示装置30と、メールサーバ570と、管理者通信端末580A、580Bと、通信ネットワークNと、を備えている。
移動通信端末560A、560B、560Cは、移動通信手段であり、IEEE802.11規格に準拠して自動提示装置30の無線通信部601と無線通信によりデータのやりとりを行う。
自動提示装置30は、図1に示す読取装置20に隣接した位置に配置され、図12に示す主制御部80等のハードウェア構成を備えている。自動提示装置30の主制御部80はさらに詳しくは、無線通信部601と、有線通信部602と、認証判定部603と、制御部604と、タイマ部605と、を備えている。
無線通信部601は、通過対象である移動通信端末560A(移動通信端末560B、または移動通信端末560Cでもよい)とIEEE802.11規格に準拠したWi-Fi無線通信によりデータのやりとりを行う。
有線通信部602は、IEEE802.11規格に準拠した有線LANによりネットワークNを介して管理者通信端末580Aとデータのやりとりを行う。
認証判定部603は、通過対象である移動通信端末560A(移動通信端末560B、または移動通信端末560Cでもよい)から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて進入資格の有無を判定する。
制御部604は、主制御部80内に構成され、駆動制御部70やフリッカー回路部100の動作を制御する。
タイマ部605は、日時を計時しており、認証判定部603からの読み出しに応じて現在の日時データを出力する。
メモリ部606は、二次記憶装置465から構成され、プログラムや登録済み認証データ等の各種データを記憶する。
メールサーバ570は、通信端末で起動されたメーラー(メールソフト)の要求に応じて電子メールを受信して蓄積するとともに、メーラーの要求に応じて蓄積された電子メールを送信する。
管理者通信端末580A、580Bは、ドアのロック解除システムの運用を管理する管理者が所持する通信端末であり、自動提示装置30から電子メールを受信する。
通信ネットワークNは、有線LANを介して接続されている通信ネットワークであり、有線LAN上にはメールサーバ570と、管理者通信端末A580Aとか接続されている。また、通信ネットワークNは、例えばWi-Fiルータを介して管理者通信端末B508Bに無線通信により接続されている。
【0026】
[アイコン、画面]
図16(a)は移動通信端末に表示されるアイコンを示す模式図であり、図16(b)は移動通信端末に表示される画面を示す模式図である。
図16(a)に示すように、進入希望者Pが移動通信端末560A(560B、560C)を起動すると、ディスプレイ561上に登録された複数のアイコンが表示され、そのうちの1つが「ドア」アイコン562である。
ドア前で進入希望者Pが「ドア」アイコン562を押すと、アプリが開き、自機のID、MACアドレス(機器情報)(第2の認証データ)を含むコンテンツ要求を自動提示装置30に送信する。この際、自動提示装置30では、移動通信端末560AからID、MACアドレスを受信し、予めテーブルに登録されているデータと比較し、一致した場合に、進入資格有りと判定して画面データを移動通信端末560Aに送信する。
【0027】
ここで、「ドア」アイコン562と、画面563との関係を説明する。
移動通信端末560Aを起動した時点で画面に表示されている「ドア」アイコン562を押すと、アプリが開く。
このアプリはブラウザを起動することが可能であり、ブラウザが起動して画面563に示すIPアドレスエリア564に表示されているIPアドレス(例えば、「192.168.100.134」)に対してpingコマンドを含むECHOパケットをWi-Fi通信により送信する。
なお、pingコマンドを送信した時点で画面563に表示されるのは、IPアドレスエリア564のみであり、アイコン565、566、567はまだ表示されない。
移動通信端末560Aから送信したpingコマンドを自動提示装置30が受信できた場合、自動提示装置30はpingコマンドに対してping応答を移動通信端末560Aに返信する。
自動提示装置30からping応答を受信した移動通信端末560Aは、次に、ID、MACアドレス(機器情報)を含むパケットを自動提示装置30に送信する。この際、自動提示装置30では、移動通信端末560Aから受信したID、MACアドレスと、予めテーブルに登録されているデータと比較し、一致した場合に、進入資格有りと判定して画面データを移動通信端末560Aに送信する。
なお、MAC(Media Access Control address)アドレスは、機器に固有の12個の文字情報であり、本発明においては機器情報として取り扱う。機器情報としては、MACアドレスに代わって、機器のシリアル番号や、管理者が付与した管理番号を利用してもよい。このように固有の機器情報を用いることで、不正アクセスやなりすましに対する事前対策を施すことができる。
自動提示装置30から画面データを受信した移動通信端末560Aは、図16(b)に示すように、画面563に全てのアイコン565、566、567を表示できる。
【0028】
画面563には、図16(b)に示すように、IPアドレスエリア564、「ドア解除」アイコン565、「電源オフ」アイコン566、「リセット」アイコン567が表示される。
IPアドレスエリア564には、無線通信中の自動提示装置30のIPアドレスが表示される。
「ドア解除」アイコン565は、進入希望者Pにより押された場合に、ドア開放要求が自動提示装置30に送信される。
「電源オフ」アイコン566は、進入希望者Pにより押された場合に、電源オフ要求が自動提示装置30に送信される。
「リセット」アイコン567は、進入希望者Pにより押された場合に、リセット要求が自動提示装置30に送信される。
【0029】
[ソフトウェア階層]
図17は、自動提示装置30、移動通信端末560Aにおいて利用されるコンテンツのソフトウェア階層を示す概念図である。コンテンツのソフトウェア階層670は、3種類のプログラミング言語により記述されている。
HTML/CSSにおいて、HTMLとはWebサイトを作成するための言語であり、CSSとは主にWebサイトのデザインを変更するための言語である。
Java scriptは、Webサイトを表示するためのブラウザ上で動作するプログラミング言語である。
Pythonは、デバイスを制御するためのプログラミング言語である。
なお、自動提示装置30は、移動通信端末からコンテンツ要求を受信し、進入資格がある場合に、その都度新たなコンテンツを作成して移動通信端末に配信してもよく、これにより、不正アクセスやなりすましに対する事前対策となり、セキュリティーの向上に寄与することができる。
【0030】
以下に、自動提示装置30、移動通信端末560Aにおける概略的な動作を説明する。
まず、自動提示装置30では、HTML/CSSを用いて作成したコンテンツであるwebブラウザ画面563を移動通信端末(スマートフォン)560Aに送信する。
次に、移動通信端末(スマートフォン)560Aにおいて、webブラウザを起動して画面563上に配置されたいずれかのアイコンが押された場合に、アイコンに対応した動作要求を自動提示装置30に送信する。
移動通信端末(スマートフォン)560Aのwebブラウザ画面563から指定された指令に対応する処理を、自動提示装置30において、Java scriptで処理する。
自動提示装置30は、Java scriptを用いて、主制御部80の汎用入出力GPIO470を制御するPythonのマクロを起動し、駆動制御部70やフリッカー回路部100を動作させる。
【0031】
[各種テーブル]
図18(a)~(c)は、自動提示装置30でのデータ処理に用いるテーブルである。
図18(a)に示す登録済み認証データテーブル680は、移動通信端末(スマートフォン)毎の認証データ(第2の認証データ)を複数記憶しており、自動提示装置30の二次記憶装置465に記憶される。
登録する際には、例えば、進入希望者Pと管理者との立ち会いを行い、移動通信端末(スマートフォン)に対して、特定の認証データ(第2の認証データ)(ID)を割り付ける。この際、移動通信端末にIDを記憶しておく。
【0032】
図18(b)に示す登録済み認証データテーブル682は、移動通信端末(スマートフォン)毎の認証データ(第2の認証データ)とMACアドレス(機器情報)との組合せデータを複数組記憶しており、自動提示装置30の二次記憶装置465に記憶される。
登録する際には、例えば、進入希望者Pと管理者との立ち会いを行い、移動通信端末(スマートフォン)に対して、特定の認証データ(第2の認証データ)(ID)を割り付ける。この際、移動通信端末にIDを記憶しておく。また、自動提示装置30と移動通信端末との間で行われるパケット通信において、パケットから移動通信端末に固有のMACアドレスを取得してテーブル682に登録する。
【0033】
図18(c)に示す履歴情報テーブル684は、タイマ部605から読み出した日時データに第2の認証データとMACアドレス(機器情報)とを付加して、第2の認証データに係わる履歴情報としてメモリ部606に記憶されている。
認証判定部603は、無線通信部601から受信した履歴要求に応じて、メモリ部606から取得した履歴情報を含む電子メールを生成し、該電子メールを有線通信部602から管理者の管理者通信端末A508Aに送信する。
【0034】
[解錠動作]
図19は進入希望者による移動通信端末の操作からドア解錠までの動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
まず、ステップS1では、進入希望者Pが移動通信端末(スマートフォン)560Aを操作して「ドア」アイコン562を押すと、ステップS3では移動通信端末のアプリが開いてディスプレイ上に表示される。
ステップS5では、移動通信端末の画面上のIPアドレスエリア564に表示されるIPアドレスをクリックして、ローカルサイトにアクセスする。ステップS7では、移動通信端末が自機のID、MACアドレス(機器情報)を含むコンテンツ要求を自動提示装置30に送信する。
移動通信端末の無線通信部601が、コンテンツ要求を受信した場合に、ステップS9では、このコンテンツ要求を認証判定部603に出力する。
ステップS11では、認証判定部603は、コンテンツ要求に含まれるID、MACアドレスが、登録済み認証データテーブル682から読み出した認証データ(第2の認証データ)とMACアドレスとの組合せデータの何れかと一致するか否かを判定する。
ここで、ステップS13では、認証判定部603は、一致すると判定した場合に、進入資格有りとし(S13、Yes)、ステップS21、及びステップS25に進む。
認証判定部603は、一致しないと判定した場合に、進入資格なしとし(S13、No)、ステップS15に進む。
【0035】
ステップS15では、認証判定部603は、進入資格がない旨を表すメッセージを無線通信部601に出力する。ステップS17では、認証判定部603から進入資格がない旨を表すメッセージを受信した無線通信部601は、このメッセージを移動通信端末560Aに送信する。この結果、移動通信端末560Aには、進入資格がない旨を表すメッセージが表示される。
【0036】
ステップS21では、認証判定部603は、タイマ部605から現在の日時データを読み出す。
ステップS23では、認証判定部603は、進入資格があることを判定した場合に、タイマ部605から読み出した日時データに第2の認証データとMACアドレスとを付加して、第2の認証データに係わる履歴情報としてメモリ部606に記憶する。
【0037】
一方、ステップS25では、認証判定部603は、コンテンツを無線通信部601に出力し、ステップS27では、無線通信部601から無線通信により移動通信端末560Aにコンテンツ配信を行う。
ステップS29では、無線通信部601からコンテンツ配信を受信した移動通信端末560Aは、コンテンツとしてwebブラウザ画面563(図16(b))をディスプレイに表示する。
ステップS31において、進入希望者Pが移動通信端末560Aのディスプレイに表示されたwebブラウザ画面563(図16(b))を目視確認し、ディスプレイに表示されたwebブラウザ画面563(図16(b))に含まれる「ドア解除」アイコン565を押す。
ステップS33では、移動通信端末560Aは、ドア開放要求を無線通信を介して自動提示装置30に送信する。
ステップS35では、移動通信端末560Aからドア開放要求を受信した自動提示装置30の無線通信部601は、ドア開放要求を認証判定部603に出力する。
ステップS37では、ドア開放要求を受付けた認証判定部603は、ドア開放要求を制御部604に渡す。
ステップS39では、ドア開放要求を受付けた制御部604は、確認応答を認証判定部603に渡す。
ステップS41では、確認応答を受付けた認証判定部603は、確認応答を無線通信部601に渡す。
ステップS43では、確認応答を受付けた無線通信部601は、確認応答を無線通信を介して移動通信端末560Aに送信する。
【0038】
一方、ステップS37において、ドア開放要求を受付けた制御部604は、ステップS51に進み、制御部604は、LEDを点滅するためにフリッカー回路部100に点滅指令を出力する。制御部604から点滅指令を受付けたフリッカー回路部100は、LEDの点滅を開始する。
次に、ステップS53では、制御部604は、モータ起動指令(上昇方向へ駆動すべき旨の指令)を駆動制御部70に出力する。制御部604からモータ起動指令を受付けた駆動制御部70は、電源アダプタ420から供給されている12Vの電力をDCモータ46に出力して起動させる。この結果、DCモータ46の回転が出力ギヤ46a、中間ギヤ47を介してピニオンギヤ48に駆動力が伝達されてラックギヤ49が上昇し、昇降部材42も上昇を開始する。
次に、ステップS55では、制御部604は、上側のフォトインタラプタ90aから受光信号を受信しておき、昇降部材42が各フォトインタラプタ90aを通過することにより光が遮られ、さらに連結部材50の切り欠き部分がフォトインタラプタ90aの位置に到達することで、受光信号が受光状態になったか否かを判定する。受光信号が受光状態になったと判定した場合に、ステップS57に進む。一方、制御部604は、受光信号が受光状態になっていないと判定した場合に、ステップS55に戻り、再度同じ処理を繰り返す。
ステップS57では、制御部604は、モータ一時停止指令を駆動制御部70に出力する。制御部604からモータ一時停止指令を受付けた駆動制御部70は、電源アダプタ420から供給されている12Vの電力を停止させる。この結果、DCモータ46の回転が停止する。
【0039】
次に、ステップS59では、制御部604は、モータ起動指令(下降方向へ駆動すべき旨の指令)を駆動制御部70に出力する。制御部604からモータ起動指令を受付けた駆動制御部70は、電源アダプタ420から供給されている12Vの電力をDCモータ46に出力して反転起動させる。この結果、DCモータ46の回転が出力ギヤ46a、中間ギヤ47を介してピニオンギヤ48に駆動力が伝達されてラックギヤ49が下降し、昇降部材42も下降を開始する。
次に、ステップS61では、制御部604は、下側のフォトインタラプタ90bから受光信号を受信し、連結部材50が各フォトインタラプタ90bを通過することにより光が遮られて受光信号が遮断状態になったか否かを判定する。受光信号が遮断状態になったと判定した場合に、ステップS63に進む。一方、制御部604は、受光信号が遮断状態になっていないと判定した場合に、ステップS61に戻り、再度同じ処理を繰り返す。
ステップS63では、制御部604は、モータ停止指令を駆動制御部70に出力する。制御部604からモータ停止指令を受付けた駆動制御部70は、電源アダプタ420から供給されている12Vの電力を停止させる。この結果、DCモータ46の回転が停止する。
ステップS65では、制御部604は、LEDを消灯するためにフリッカー回路部100に消灯指令を出力する。制御部604から消灯指令を受付けたフリッカー回路部100は、LEDを消灯する。
【0040】
図19において、主制御部80は、通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて進入資格の有無を判定する認証判定部603が進入資格有りと判定した時に駆動制御部70に動作指令を出力する。駆動制御部70は、動作指令に応じて記憶媒体進退機構40に供給する電力を制御し、記憶媒体進退機構40が第1の認証情報記憶媒体35を読取装置20による読取りが不可能な退避(離間)位置から該読取装置20による読み取りが可能な近接位置に進退させる。このため、第1の認証情報記憶媒体35を読取装置20に読み取らせることができる。判定装置12は読取装置20が読み取った認証データが所定の条件を満すか否かを判定し、判定装置12が所定の条件を満たすと判定した場合に、制御装置が開閉駆動装置10を作動させてドアを開放させる。
これにより、自動ドアに設置されるIDカード読取装置に対して後付けするだけで、読取装置から離隔した位置にいる通行希望者からの遠隔操作によって自動ドアのロックを解除してドアを開放して通行を許可させることができる。
【0041】
図19において、認証判定部603は、第2の認証データとMACアドレス(機器情報)との組合せデータをテーブル682に複数組記憶しておき、通過対象が備える移動通信手段から受信した第2の認証データと、移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得したMACアドレスとから成る組合せが、テーブル682に記憶された組合せデータの何れかと一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合に、進入資格有りとする。
これにより、通過対象が備える移動通信手段から受信した第2の認証データとMACアドレスとから成る組合せが、予めテーブル682に記憶された組合せデータの何れかと一致する場合にのみ進入資格有りとすることができ、第2の認証データとMACアドレスとから成る組合せを採用することで、進入資格を有した通過対象になりすますことを防止することができ、格段にセキュリティーを向上することができる。
【0042】
図19において、認証判定部603は、一致しないと判定した場合に、進入資格がない移動通信手段からのアクセスが発生した旨のメッセージ、及び移動通信手段から受信した第2の認証データと、移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得したMACアドレスとの組合せを含む電子メールを管理者の管理者通信端末580Aに送信することができる。
これより、管理者は、進入資格がない第2の認証データと、MACアドレスとの組合せを確認することができ、セキュリティー対策の向上に役立てることができる。
【0043】
[未登録の移動通信端末に関する対応動作]
図20は進入希望者が所持する移動通信端末が未登録である場合の対応動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
なお、図20に示すステップS1~S11の動作は、図19に示すステップS1~S11と同様の動作を表すものであるため、その説明を省略する。
ステップS13において、認証判定部603は、コンテンツ要求に含まれるID、MACアドレスが、登録済み認証データテーブル682から読み出した認証データ(第2の認証データ)とMACアドレスとの組合せデータの何れかと一致しないと判定した場合に、進入資格なしとし(S13、No)、ステップS115に進む。
ステップS115では、認証判定部603は、メーラーを起動して、移動通信端末560Aから受信したコンテンツ要求に含まれるID、MACアドレスを含む電子メールを生成する。この際、電子メールには、例えば「未登録の移動通信端末からのアクセスがありました。移動通信端末のID、MACアドレスは、以下になります。ID=12345678、MACアドレス=AA、~ZZ」というメッセージを含むのが好ましい。
ステップS117では、認証判定部603は、メーラーにおいて生成した電子メールを管理者のメールアドレスに宛てて有線通信部602に出力する。
ステップS119では、有線通信部602は、認証判定部603から受付けた電子メールをメールサーバ570に送信する。
ステップS121では、管理者通信端末580Aがメーラーを起動すると、メール要求をメールサーバ570に送信し、このメール要求を受信したメールサーバ570は管理者通信端末580Aに宛てた電子メールを送信する。この結果、管理者通信端末580Aは、電子メールを受信する。
【0044】
図20において、認証判定部603は、一致しないと判定した場合に、進入資格がない移動通信手段からのアクセスが発生した旨のメッセージ、及び移動通信手段から受信した第2の認証データと、移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得したMACアドレス(機器情報)との組合せを含む電子メールを管理者の管理者通信端末580Aに送信することができる。
これより、管理者は、進入資格がない第2の認証データと、MACアドレスとの組合せを確認することができ、セキュリティー対策の向上に役立てることができる。
【0045】
[履歴要求]
図21は、管理者通信端末からの履歴要求に応じて履歴情報を送信する場合の対応動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
自動提示装置30は、管理者通信端末580Aとの間でデータを送受信する有線通信部602(通信部)を備えている。
ステップS151では、管理者が管理者通信端末580Aのメーラーを起動して、履歴要求を含む電子メールを生成し、この電子メールを自動提示装置30のメールアドレスに宛ててメールサーバ570に送信する。
ステップS153では、自動提示装置30がメーラーを起動すると、メール要求をメールサーバ570に送信し、このメール要求を受信したメールサーバ570は自動提示装置30に宛てた電子メールを送信する。
ステップS155では、メールサーバ570から電子メールを受信した有線通信部602(通信部)は、この電子メールを認証判定部603に出力する。
ステップS157では、認証判定部603は、受信した履歴要求を含む電子メールを分析して、履歴要求が含まれている場合に履歴要求に応じて、メモリ部606の履歴情報テーブル684から履歴情報(図18(c))を読み出し、メーラーを起動して履歴情報を含む電子メールを生成する。
ステップS159では、認証判定部603は、履歴情報を含む電子メールを管理者のメールアドレスに宛てて有線通信部602(通信部)に出力する。
ステップS161では、有線通信部602は、認証判定部603から受付けた電子メールをメールサーバ570に送信する。
ステップS163では、管理者通信端末580Aがメーラーを起動すると、メール要求をメールサーバ570に送信し、このメール要求を受信したメールサーバ570は管理者通信端末580Aに宛てた電子メールを送信する。この結果、管理者通信端末580Aは、履歴情報を含む電子メールを受信する。
以上のように、認証判定部603は、管理者の通信端末580Aからの履歴要求を有線通信部602(通信部)で受信すると、メモリ部606から取得した履歴情報を有線通信部602(通信部)から管理者の通信端末580Aに送信する。
【0046】
図21において、認証判定部603は、有線通信部602から受信した履歴要求に応じて、メモリ部606から取得した履歴情報を含む電子メールを生成し、該電子メールを有線通信部602から管理者の管理者通信端末580Aに送信することができる。
これより、管理者は、履歴情報に含まれる日時データに付加された第2の認証データと機器情報(MACアドレス)との組合せを確認することができ、さらにドアのロック解除システムの利用頻度を確認することができる。
【0047】
[異常発生時の対応処理]
図22は自動提示装置30に異常な状態が発生時の対応動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
自動提示装置30は、自動提示装置に加わる外力を検知する振動センサ430と、有線通信部602(通信部)と、を備えている。
ステップS201では、制御部604は、振動センサ430から電圧信号Vaの値を読み出す。
ステップS203では、制御部604は、電圧信号Vaの値が基準値Vthを超えるか否かを判定する。ここで、制御部604は、電圧信号Vaの値が基準値Vthを超えると判定した場合にステップS205に進み、一方、電圧信号Vaの値が基準値Vthを超えていないと判定した場合にはステップS201に戻り、上述した処理を繰り返す。
振動センサ430から読み出した電圧信号Vaの値が基準値Vthを超えている場合、不正行為に起因した異常な外力が加わることによりカバー200Bの僅かな機械的変形が発生していることが想定できる。そこで、ステップS205では、制御部604は、異常発生信号を認証判定部603に出力する。
ステップS207では、認証判定部603は、制御部604から受付けた異常発生信号に応じて、異常な外力が加わった旨のメッセージを含む電子メール(アラート情報)を生成する。
ステップS209では、認証判定部603は、異常な外力が加わった旨のメッセージを含む電子メールを管理者のメールアドレスに宛てて有線通信部602(通信部)に出力する。
ステップS211では、有線通信部602は、認証判定部603から受付けた電子メールをメールサーバ570に送信する。
ステップS213では、管理者通信端末580Aがメーラーを起動すると、メール要求をメールサーバ570に送信し、このメール要求を受信したメールサーバ570は管理者通信端末580Aに宛てた電子メールを送信する。この結果、管理者通信端末580Aは、異常な外力が加わった旨のメッセージを含む電子メールを受信する。
【0048】
図22において、主制御部80は、振動センサ430から取得した値が基準値を超えるか否かを判定し、認証判定部603は、振動センサ430から取得した値が基準値を超えると判定した場合に、異常な外力が加わった旨のメッセージを含む電子メールを通信部602から管理者の管理者通信端末580Aに送信することができる。
これより、自動提示装置30が電源オン時に、異常な外力が加わった旨のメッセージを含む電子メールを管理者の管理者通信端末に送信することができる。
【0049】
[通過対象が搬送用ロボットである場合]
図23は、通過対象が搬送用ロボットである場合の対応動作を示すフローチャートを含むシーケンス図である。
ロボット700は、台車を搬送するために用いる搬送用ロボットであり、例えば、製造現場、倉庫などの搬送作業を代替する自律搬送型ロボットであればよい。
ロボット700は、無線通信部703と、ロボット制御部701と、を備えている。
無線通信部703は、認証情報記憶媒体の自動提示装置30とWi-Fi無線通信を行う。
ロボット制御部701は、無線通信部703が受信している電波信号の強度値が基準値を超えるか否かを判定し、電波信号の強度値が基準値を超えると判定した場合に第2の認証データを含む認証要求を無線通信部703を介して認証情報記憶媒体の自動提示装置30に送信する。
【0050】
ステップS251では、ロボット制御部701は、Wi-Fi信号を検知する旨の指示を無線通信部703に出力する。
ステップS253では、無線通信部703は、当該指示に従ってWi-Fi信号を検知して、受信しているWi-Fi信号(電波信号)の強度値Vsを出力する。この際、周囲にWi-Fi通信機能を有するスマートフォンを所持した1人以上の通行人が存在することも想定できるので、無線通信部703は、自動提示装置30が扱うIPアドレス(例えば、上述した「192.168.100.134」)を特定して、当該IPアドレスに対応するWi-Fi信号(電波信号)の強度値Vsを出力すればよい。
なお、スマートフォンに搭載されたRSSI(Received Signal Strength Indicator)値を確認するアプリを起動すれば、信号強度を確認することが可能になる。
ステップS253では、ロボット制御部701は、Wi-Fi信号(電波信号)の強度値Vsが基準値Vsthを超えているか否かを判定する。ここで、ロボット制御部701は、強度値Vsが基準値Vsthを超えている場合には、ロボット700が自動提示装置30の直前に到達したこととみなし、ステップS301に移行する。
一方、ロボット制御部701は、強度値Vsが基準値Vsthを超えていない場合には、ロボット700が自動提示装置30の直前に到達していないこととみなし、ステップS253に戻り上述した処理を繰り返す。
【0051】
なお、移動通信端末においては、図16に示すアイコンや画面はディスプレイに表示されるものとして扱ったが、ロボット700においては、図16に示すアイコンや画面はRAM上に展開されるデータとして扱うこととする。
まず、ステップS301では、ロボット制御部701は、「ドア」アプリを起動すると、ステップS303では「ドア」アプリが開いてRAM上に展開される。
ステップS305では、ロボット制御部701は、RAM上に展開されたIPアドレスエリア564に含まれるIPアドレスを参照して、ローカルサイトにアクセスする。ステップS307では、ロボット制御部701は、自機のID、MACアドレス(機器情報)を含むコンテンツ要求を自動提示装置30に送信する。
自動提示装置30の無線通信部601が、コンテンツ要求を受信した場合に、ステップS309では、このコンテンツ要求を認証判定部603に出力する。
ステップS311では、認証判定部603は、コンテンツ要求に含まれるID、MACアドレスが、登録済み認証データテーブル682から読み出した認証データ(第2の認証データ)とMACアドレスとの組合せデータの何れかと一致するか否かを判定する。
ここで、ステップS313では、認証判定部603は、一致すると判定した場合に、進入資格有りとし(S313、Yes)、ステップS321、及びステップS325に進む。
認証判定部603は、一致しないと判定した場合に、進入資格なしとし(S313、No)、ステップS315に進む。
【0052】
ステップS315では、認証判定部603は、進入資格がない旨を表すメッセージを無線通信部601に出力する。ステップS317では、認証判定部603から進入資格がない旨を表すメッセージを受信した無線通信部601は、このメッセージをロボット700に送信する。この結果、ロボット700には、進入資格がない旨を表すメッセージが受信される。
【0053】
ステップS321では、認証判定部603は、タイマ部605から現在の日時データを読み出す。
ステップS323では、認証判定部603は、進入資格があることを判定した場合に、タイマ部605から読み出した日時データに第2の認証データとMACアドレスとを付加して、第2の認証データに係わる履歴情報としてメモリ部606に記憶する。
【0054】
一方、ステップS325では、認証判定部603は、コンテンツを無線通信部601に出力し、ステップS327では、無線通信部601から無線通信によりロボット700の無線通信部703にコンテンツ配信を行う。
ステップS329では、無線通信部601からコンテンツ配信を受信した無線通信部703は、当該コンテンツをロボット制御部701に出力する。ロボット制御部701は、コンテンツデータ(図16(b)の符号563に相当する)をRAM上に展開する。
ステップS331において、ロボット制御部701は、ロボット700のRAM上に展開されたコンテンツデータから、「ドア解除」指令565を抽出し、さらに「ドア解除」指令565に対応したドア開放要求を無線通信部703に発行する。
ステップS333では、無線通信部703は、ドア開放要求を無線通信を介して自動提示装置30に送信する。
ステップS335では、ロボット700からドア開放要求を受信した自動提示装置30の無線通信部601は、ドア開放要求を認証判定部603に出力する。
ステップS337では、ドア開放要求を受付けた認証判定部603は、ドア開放要求を制御部604に渡す。
ステップS339では、ドア開放要求を受付けた制御部604は、確認応答を認証判定部603に渡す。
ステップS341では、確認応答を受付けた認証判定部603は、確認応答を無線通信部601に渡す。
ステップS343では、確認応答を受付けた無線通信部601は、確認応答を無線通信を介してロボット700に送信する。
以下、図23に示すステップS345~S351の動作は、図19に示すステップS45~S51と同様の動作を表すものであるため、その説明を省略する。
【0055】
図23において、ロボット制御部701は、自動提示装置30と無線通信を行う無線通信部703が受信している電波信号の強度値が基準値を超えるか否かを判定し、電波信号の強度値が基準値を超えると判定した場合に第2の認証データを含む認証要求を無線通信部703を介して認証情報記憶媒体の自動提示装置30に送信することができる。
これより、通過対象が自動提示装置30に一定程度近づいた位置にあることを確認した上で、認証要求を自動提示装置30に送信することができ、ロボットを利用した搬送態様に役立てることができる。
【0056】
[記憶媒体進退機構40の変形実施形態]
図24(a)(b)は自動提示装置30を構成する記憶媒体進退機構40の他の実施形態(カム式)を示す概略図であり、(a)は昇降部材の退避状態、(b)は昇降部材の突出状態を示している。
記憶媒体進退機構40を構成する昇降部材駆動機構45は、軸301を中心として矢印方向へ回転するカム300と、カムを回転駆動する図示しないモータ、或いはソレノイドを備え、前記実施形態において示した駆動制御部70がモータ等を制御する。駆動制御部70は前記実施形態に示した主制御部80により制御される。
認証情報記憶媒体35を保持した昇降部材(進退部材)42は(a)に示した退避位置と(b)に示した突出位置との間を安定して進退するように図示しないガイドによりガイドされている。また、昇降部材42は図示しない弾性部材により退避位置に付勢されている。(a)に示した状態ではカム300が退避位置にあるため昇降部材を弾性部材に抗して押し上げておらず、退避位置に保持している。(a)の状態にあるカム300が反時計回り方向へ180度回転すると、弾性部材に抗して(b)に示したように昇降部材42を突出位置にまで押し上げる。昇降部材が突出位置にある時には、認証情報記憶媒体35は読取装置20の読取面20aに提示された状態となっている。
(b)の突出状態が所定時間継続した時に主制御部80は駆動制御部70に指令を出してカム300が(a)の状態に復帰するように時計回り方向へ180度回転させる。
【0057】
次に図25(a)(b)及び(c)は自動提示装置30を構成する記憶媒体進退機構40の他の実施形態(スライダ・クランク式)を示す概略図であり、(a)は昇降部材の退避状態、(b)は昇降部材が中間位置にある状態、(c)は昇降部材の突出状態を示している。
記憶媒体進退機構40を構成する昇降部材駆動機構45は、位置固定された軸321により一端を支持された短尺シャフト320と、短尺シャフト320の他端に対して軸322により一端を回転自在に軸支された長尺シャフト325と、軸321を中心として短尺シャフト320を時計回り方向へ回転駆動する図示しないモータ、或いはソレノイドを備え、前記実施形態において示した駆動制御部70がモータ等を制御する。駆動制御部70は前記実施形態に示した主制御部80により制御される。長尺シャフト325の他端は軸327により昇降部材42の下部適所に対して回転自在に軸支されている。
認証情報記憶媒体35を保持した昇降部材(進退部材)42は(a)に示した退避位置と(c)に示した突出位置との間を安定して直線的に進退するように図示しないガイドによりガイドされている。
昇降部材42は図示しない弾性部材により退避位置に付勢されている。(a)の状態では短尺シャフト320、及び長尺シャフト325が退避位置にあるため、昇降部材を弾性部材に抗して押し上げておらず、退避位置に保持している。(a)の状態にある短尺シャフト320が時計回り方向へ90度回転すると、長尺シャフト325との協働により弾性部材に抗して(b)に示したように昇降部材42が中間位置に上昇する。続いて、短尺シャフト320が更に90度回転して長尺シャフトが(c)に示した位置に達すると、昇降部材42を突出位置にまで押し上げる。昇降部材が突出位置にある時には、認証情報記憶媒体35は読取装置20の読取面20aに提示された状態となっている。
【0058】
図26(a)及び(b)は自動提示装置30を構成する記憶媒体進退機構40の他の実施形態(螺子棒・ナット機構)を示す概略図であり、(a)は昇降部材の退避状態、(b)は昇降部材の突出状態を示している。
記憶媒体進退機構40を構成する昇降部材駆動機構45は、正逆方向へ回転駆動される螺子棒330と、螺子棒330に噛合して螺子棒の回転により上下方向へ進退するナット332と、螺子棒を回転させる図示しないモータと、を備え、ナット332は昇降部材(進退部材)42に固定されている。ナット332は図示しない回転規制部材により回転を規制される。前記実施形態において示した駆動制御部70がモータ等を制御する。駆動制御部70は前記実施形態に示した主制御部80により制御される。
認証情報記憶媒体35を保持した昇降部材(進退部材)42は(a)に示した退避位置と(b)に示した突出位置との間を安定して直線的に進退するように図示しないガイドによりガイドされている。
(a)の状態にある螺子棒330が上昇方向へ回転すると、回転を規制されたナット332が上昇し、昇降部材が(b)に示した突出位置に達する。昇降部材が突出位置にある時には、認証情報記憶媒体35は読取装置20の読取面20aに提示された状態となっている。
【0059】
図27(a)及び(b)は自動提示装置30を構成する記憶媒体進退機構40の他の実施形態(スコッチ・ヨーク機構)を示す概略図であり、(a)は昇降部材の退避状態、(b)は昇降部材の突出状態を示している。
記憶媒体進退機構40を構成する昇降部材駆動機構45は、回転軸340aを中心として矢印方向へ回転駆動される回転盤340と、回転盤を回転させる図示しないモータと、昇降部材42に上部を固定されて下方へ延びる作動部材345と、を備える。前記実施形態において示した駆動制御部70がモータ等を制御する。駆動制御部70は前記実施形態に示した主制御部80により制御される。
作動部材345はその下端部に横長の長穴(環状部)347を備え、長穴347内には回転盤340の盤面に設けたピン341が長穴内を移動自在に遊嵌している。
昇降部材(進退部材)42は(a)に示した退避位置と(b)に示した突出位置との間を安定して直線的に進退するように図示しないガイドによりガイドされている。
(a)の状態にある時にはピン341は最下降位置にあって長穴347の中心位置にある。このため、昇降部材42は退避位置にある。
回転盤340が(a)の状態から矢印方向へ180度回転して(b)の状態になると、ピン341は最上昇位置にあって長穴347の中心位置にある。このため、昇降部材42は突出位置にある。
昇降部材が突出位置にある時には、認証情報記憶媒体35は読取装置20の読取面20aに提示された状態となっている。
【0060】
図28は自動提示装置30を構成する記憶媒体進退機構40の他の実施形態(旋回アーム機構)を示す概略図であり、破線は昇降部材の退避状態、実線は昇降部材の突出状態を示している。
記憶媒体進退機構40を構成する昇降部材駆動機構45は、回転軸361を中心として矢印方向へ旋回するアーム360と、回転軸361を回転させる図示しないモータと、を備える。前記実施形態において示した駆動制御部70がモータを制御する。駆動制御部70は前記実施形態に示した主制御部80により制御される。
アーム360の先端には昇降部材42が固定されており、アームの旋回により昇降部材は破線で示した退避位置と実線で示した突出位置との間を旋回移動する。
昇降部材が突出位置にある時には、認証情報記憶媒体35は読取装置20の読取面20aに提示された状態となっている。
【0061】
図29は自動提示装置30を構成する記憶媒体進退機構40の他の実施形態(ワイヤによる巻き上げ機構)を示す概略図であり、破線は昇降部材の退避状態、実線は昇降部材の突出状態を示している。
記憶媒体進退機構40を構成する昇降部材駆動機構45は、回転中心371を中心として正逆回転するドラム370と、一端をドラム370に固定されて巻掛けられ、ドラムの正逆回転により所定の軌道に沿って進退するワイヤ375と、ドラム370を回転させる図示しないモータと、を備える。前記実施形態において示した駆動制御部70がモータを制御する。駆動制御部70は前記実施形態に示した主制御部80により制御される。
ワイヤ375の先端には昇降部材42が固定されており、ドラムの回転によるワイヤの送り出し、巻取り動作により昇降部材は破線で示した退避位置と実線で示した突出位置との間を昇降移動する。
昇降部材が突出位置にある時には、認証情報記憶媒体35は読取装置20の読取面20aに提示された状態となっている。
なお、上記各実施形態では、昇降部材(進退部材)42を上下方向に動作させる例を中心に説明したが、昇降部材を横方向、斜め方向へ進退させる構成としてもよい。
【0062】
〔本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第1態様>
本態様の認証情報記憶媒体の自動提示装置は、第1の認証データを記憶した認証情報記憶媒体35を自動ドアの近傍に設置された読取装置20に近づけると、読取装置が認証情報記憶媒体から第1の認証データを読み取り、読取装置が読み取った第1の認証データが所定の条件を満たすと自動ドアのロックを解除して自動ドアを開放するロック機能付き自動ドアの読取装置に隣接した位置に設置される手段であって、更に認証情報記憶媒体を読取装置による読取りが不可能な退避位置と該読取装置による読み取りが可能な近接位置との間で進退させる記憶媒体進退機構40と、該記憶媒体進退機構に供給する電力を制御する駆動制御部70と、該駆動制御部を制御する主制御部80と、通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて通過資格の有無を判定する認証判定部60と、を備える。更に、主制御部80は、認証判定部が通過資格有りと判定した時に駆動制御部に動作指令を出力して認証情報記憶媒体を退避位置から近接位置に移動させる、ことを特徴とする。
本態様によれば、主制御部80は、通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて進入資格の有無を判定する認証判定部603が進入資格有りと判定した時に駆動制御部70に動作指令を出力し、駆動制御部70が動作指令に応じて、記憶媒体進退機構40に供給する電力を制御し、記憶媒体進退機構40が第1の認証情報記憶媒体35を読取装置20による読取りが不可能な退避(離間)位置から該読取装置20による読み取りが可能な近接位置に進退させ、第1の認証情報記憶媒体35を読取装置20に読み取らせることができ、判定装置12は読取装置20が読み取った認証データが所定の条件を満すか否かを判定し、判定装置12が所定の条件を満たすと判定した場合に、制御装置が開閉駆動装置10を作動させてドアを開放させることができる。
これにより、自動ドアに設置されるIDカード読取装置に対して後付けするだけで、読取装置から離隔した位置にいる通行希望者からの遠隔操作によって自動ドアのロックを解除して開放して通行を許容できるようにすることができる。
【0063】
<第2態様>
本態様の認証判定部603は、第2の認証データと機器情報(MACアドレス)との組合せデータを複数組記憶したテーブル682を備え、通過対象が備える移動通信手段から受信した第2の認証データと、移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得した機器情報(MACアドレス)とから成る組合せが、テーブル682に記憶された組合せデータの何れかと一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合に、進入資格有りとすることを特徴とする。
本態様によれば、認証判定部603は、第2の認証データと機器情報(MACアドレス)との組合せデータをテーブル682に複数組記憶しておき、通過対象が備える移動通信手段から受信した第2の認証データと、移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得した機器情報(MACアドレス)とから成る組合せが、テーブル682に記憶された組合せデータの何れかと一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合に、進入資格有りとする。
これにより、通過対象が備える移動通信手段から受信した第2の認証データと機器情報(MACアドレス)とから成る組合せが、予めテーブル682に記憶された組合せデータの何れかと一致する場合にのみ進入資格有りとすることができ、第2の認証データと機器情報(MACアドレス)とから成る組合せを採用することで、通過対象になりすますことを防止することができ、格段にセキュリティーを向上することができる。
【0064】
<第3態様>
本態様の認証判定部603は、一致しないと判定した場合に、進入資格がない移動通信手段からのアクセスが発生した旨のメッセージ、及び移動通信手段から受信した第2の認証データと、移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得した機器情報(MACアドレス)との組合せを含む電子メールを管理者の管理者通信端末580Aに送信することを特徴とする。
本態様によれば、認証判定部603は、一致しないと判定した場合に、進入資格がない移動通信手段からのアクセスが発生した旨のメッセージ、及び移動通信手段から受信した第2の認証データと、移動通信手段と無線通信を行う際に用いられるパケットから取得した機器情報(MACアドレス)との組合せを含む電子メールを管理者の管理者通信端末580Aに送信することができる。
これより、管理者は、進入資格がない第2の認証データと、機器情報(MACアドレス)との組合せを確認することができ、セキュリティー対策の向上に役立てることができる。
【0065】
<第4態様>
本態様の認証判定部603は、日時を計時するタイマ部605と、メモリ部606と、を備え、認証判定部603は、進入資格があることを判定した場合に、タイマ部605から読み出した日時データに第2の認証データと機器情報(MACアドレス)とを付加して、第2の認証データに係わる履歴情報としてメモリ部606に記憶することを特徴とする。
本態様によれば、認証判定部603は、進入資格があることを判定した場合に、タイマ部605から読み出した日時データに第2の認証データと機器情報(MACアドレス)とを付加して、第2の認証データに係わる履歴情報としてメモリ部606に記憶することができる。
これより、必要に応じて、履歴情報に含まれる日時データに付加された第2の認証データと機器情報(MACアドレス)との組合せをメモリ部606から取得することができる。
【0066】
<第5態様>
本態様は、管理者の管理者通信端末580Aとの間でデータを送受信する有線通信部602(通信部)を備え、認証判定部603は、管理者の管理者通信端末580Aからの履歴要求を有線通信部602で受信すると、メモリ部606から取得した履歴情報を有線通信部602から管理者の管理者通信端末580Aに送信することを特徴とする。
本態様によれば、認証判定部603は、有線通信部602から受信した履歴要求に応じて、メモリ部606から取得した履歴情報を含む電子メールを生成し、該電子メールを有線通信部602から管理者の管理者通信端末580Aに送信することができる。
これより、管理者は、履歴情報に含まれる日時データに付加された第2の認証データと機器情報(MACアドレス)との組合せを確認することができ、さらにドアのロック解除システムの利用頻度を確認することができる。
【0067】
<第6態様>
本態様の認証情報記憶媒体の自動提示装置30は、自動提示装置に加わる外力を検知するセンサ430と、通信部602と、を備え、主制御部80は、センサ430から取得した値が基準値を超えるか否かを判定し、認証判定部603は、センサ430から取得した値が基準値を超えると判定した場合に、異常な外力が加わった旨のアラート情報を通信部602から管理者の管理者通信端末580Aに送信することを特徴とする。
本態様によれば、主制御部80は、センサ430から取得した外力の値が基準値を超えるか否かを判定し、認証判定部603は、センサ430から取得した値が基準値を超えると判定した場合に、異常な外力が加わった旨のアラート情報(例えば、メッセージを含む電子メール)を通信部602から管理者の管理者通信端末580Aに送信することができる。
これより、自動提示装置30が電源オン時に、異常が発生した旨のアラートを管理者の管理者通信端末に送信することができる。
【0068】
<第7態様>
本態様の認証情報記憶媒体の自動提示装置30は、バッテリ505から供給される電力により駆動される警報部440をさらに備え、警報部440は、認証情報記憶媒体の自動提示装置に加わる外力を検知するセンサ510と、センサから取得した値が基準値を超えるか否かを判定し、センサから取得した値が基準値を超えると判定した場合に、異常な外力が加わったことを表す警報信号を出力する警報生成手段515と、警報生成手段から前記警報信号が入力された場合に、警報音を発生するブザー520と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、センサ510から取得した外力の値が基準値を超えるか否かを判定し、センサ510から取得した値が基準値を超えると判定した場合に、異常な外力が加わったことを表す警報信号を警報生成手段515が出力し、警報生成手段515から警報信号が入力された場合に、ブザー520が警報音を発生することができる。
これより、自動提示装置30が電源オン時でも電源オフ時でも、異常振動が発生すると警報音を発生することができる。
【0069】
<第8態様>
本態様では、記憶媒体進退機構40は、認証情報記憶媒体35を保持したカードホルダ(昇降部材)42と、モータ46と、モータの駆動力をカードホルダに伝達する駆動力伝達機構と、を備え、駆動力伝達機構にトルクリミッタを含むことを特徴とする。
これによれば、モータからカードホルダまでの間の駆動伝達経路内にトルクリミッタを配置することにより、昇降部材42が読取装置に手指等を接近させようとしている者にぶつかったときに直ちに昇降部材の昇降動作を停止させて安全性を高めることができる。
<第9態様>
本態様のドアのロック解除システムは、特定の認証データを記憶した認証情報記憶媒体35を備えた通過対象にのみ進入が許可される進入規制区域への入口を自動的に開閉するドア5と、ドア5を開閉させる開閉駆動装置10と、認証情報記憶媒体35から認証データを読取る読取装置20、該読取装置20が読み取った認証データが所定の条件を満すか否かを判定する判定装置12、及び該判定装置12が所定の条件を満たすと判定した場合に開閉駆動装置10を作動させてドアを開放させる制御装置を備えたドアのロック解除装置と、読取装置20に隣接した位置に配置される認証情報記憶媒体35の自動提示装置30と、を備え、認証情報記憶媒体35の自動提示装置30は、判定装置12がドア5の開放を許可するための第1の認証データを記憶した第1の認証情報記憶媒体35と、該第1の認証情報記憶媒体35を読取装置20による読取りが不可能な退避(離間)位置と該読取装置20による読み取りが可能な近接位置との間で進退させる記憶媒体進退機構40と、該記憶媒体進退機構40に供給する電力を制御する駆動制御部70と、該駆動制御部70を制御する主制御部80と、通過対象から無線通信により取得した第2の認証データに基づいて進入資格の有無を判定する認証判定部603と、を備え、主制御部80は、認証判定部603が進入資格有りと判定した時に駆動制御部70に動作指令を出力する、ことを特徴とする。
これによれば、第1態様に係る認証情報記憶媒体の自動提示装置と同様の作用、効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…壁(壁面)、3…開口部、5…自動ドア、7…ドア、20…読取装置、20a…読取面、10…開閉駆動装置、12…判定装置、14…開閉制御装置、U1…開閉制御ユニット、30…自動提示装置、35…認証情報記憶媒体、40…記憶媒体進退機構、42…昇降部材、45…昇降部材駆動機構、46…DCモータ、46a…出力ギヤ、47…中間ギヤ、47a…軸部、48…ピニオンギヤ、49…ラックギヤ、50…連結部材、70…駆動制御部、80…主制御部、90a、90b…フォトインタラプタ、100…フリッカー回路部、200…ケース、200…ベース部、200B…カバー部、202…底板、203、204、205…側面、210…ブラケット、212…軸受部材、215…リニアシャフト、252…天板、256…上部側壁、258…開口部、260…ガイド突起、400…交流電源、410…電源アダプタ、420…電源アダプタ、430…振動センサ、440…警報部、450…CPU、455…ROM、460…RAM、465…二次記憶装置、470…汎用入出力GPIO、475…入出力USB、495…バスライン、505…バッテリ、508B…管理者通信端末、510…振動センサ、515…オペアンプ、520…ブザー、550…無線通信システム、560A、560B、560C…移動通信端末、561…ディスプレイ、562…アイコン、563…画面、570…メールサーバ、580A、580B…管理者通信端末、601…無線通信部、602…有線通信部(通信部)、603…認証判定部、604…制御部、605…タイマ部、606…メモリ部、701…ロボット制御部、703…無線通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29