(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040763
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】触覚デバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/01 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145328
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宇野 貴昭
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555AA80
5E555BA23
5E555BA38
5E555BB23
5E555BB38
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA41
5E555CA42
5E555CB33
5E555DA24
5E555DB20
5E555EA19
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザの快適性を高められる触覚デバイスを提供する。
【解決手段】触覚デバイス1は、手Hの甲側においてユーザの指に装着可能であると共に、指を長手方向に引張可能な引張部2と、装身具10に、引張部2を作動させるように構成された駆動部4と、指への触覚出力情報を取得する取得部、引張部2の状態に基づいて指の姿勢を検知すると共に、取得部が取得した触覚出力情報に基づいて駆動部4による引張部2の作動を制御する制御部及び無線通信を介して外部デバイスと通信を行う通信部を有する処理装置5と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の甲側においてユーザの指に装着可能であると共に、前記指を長手方向に引張可能に構成された引張部と、
前記引張部を作動させるように構成された駆動部と、
前記指への触覚出力情報を取得するように構成された取得部と、
前記引張部の状態に基づいて前記指の姿勢を検知すると共に、前記取得部が取得した前記触覚出力情報に基づいて前記駆動部による前記引張部の作動を制御するように構成された制御部と、
を備える、触覚デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の触覚デバイスであって、
前記指の爪に装着可能であると共に、前記爪に振動を与えるように構成された振動部をさらに備え、
前記制御部は、前記触覚出力情報に基づいて前記振動部の振動を制御するように構成される、触覚デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の触覚デバイスであって、
前記振動部は、前記指の側部が露出するように前記爪に装着可能に構成される、触覚デバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の触覚デバイスであって、
前記取得部は、前記制御部が検知した前記姿勢を外部デバイスに出力すると共に、前記触覚出力情報を前記外部デバイスから取得するように構成される、触覚デバイス。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の触覚デバイスであって、
前記引張部は、ラバーアクチュエータを有する、触覚デバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の触覚デバイスであって、
前記制御部は、前記引張部の状態に基づいて前記指の少なくとも第1関節の姿勢を検知するように構成され、
前記引張部は、少なくとも前記第1関節の曲がりが小さくなるように前記指を引張するように構成される、触覚デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、触覚デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想物体に対する触覚をユーザに疑似的に与えるデバイスとして、ユーザの手に装着する触覚デバイスが公知である(特許文献1参照)。この触覚デバイスは、指サック又はグローブの内部に骨材と共に配置された弾性膨張収縮体の変形によって、指等に触覚を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の触覚デバイスは、指サック又はグローブによってユーザの指が覆われる。そのため、ユーザが指先に不快を感じるおそれがある。また、デバイスを装着した状態での手の動きに制限が生じ得る。
【0005】
本開示の一局面は、ユーザの快適性を高められる触覚デバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、手の甲側においてユーザの指に装着可能であると共に、指を長手方向に引張可能に構成された引張部と、引張部を作動させるように構成された駆動部と、指への触覚出力情報を取得するように構成された取得部と、引張部の状態に基づいて指の姿勢を検知すると共に、取得部が取得した触覚出力情報に基づいて駆動部による引張部の作動を制御するように構成された制御部と、を備える触覚デバイスである。
【0007】
このような構成によれば、手の甲側に装着される引張部の作動によってユーザの指に触覚を与えることができるため、ユーザの指先における不快感及び手の動きの制限を低減できる。また、引張部の状態に基づいて指の姿勢が検知されるため、仮想物体に接触した際に現実感の高い触覚をユーザの指に発生させることができる。
【0008】
本開示の一態様は、指の爪に装着可能であると共に、爪に振動を与えるように構成された振動部をさらに備えてもよい。制御部は、触覚出力情報に基づいて振動部の振動を制御するように構成されてもよい。このような構成によれば、仮想スイッチに対する押圧操作等の入力触覚をユーザに提供することができる。
【0009】
本開示の一態様では、振動部は、指の側部が露出するように爪に装着可能に構成されてもよい。このような構成によれば、入力触覚をユーザに提供しつつ、ユーザの指先の開放感を高められる。
【0010】
本開示の一態様では、取得部は、制御部が検知した姿勢を外部デバイスに出力すると共に、触覚出力情報を外部デバイスから取得するように構成されてもよい。このような構成によれば、ユーザに現実感の高い触覚を提供しつつ、触覚デバイスを小型化することができる。
【0011】
本開示の一態様では、引張部は、ラバーアクチュエータを有してもよい。このような構成によれば、引張部及び駆動部を小型化できる。そのため、触覚デバイスを装着したユーザの快適性の向上効果を促進できる。
【0012】
本開示の一態様では、制御部は、引張部の状態に基づいて指の少なくとも第1関節の姿勢を検知するように構成されてもよい。引張部は、少なくとも第1関節の曲がりが小さくなるように指を引張するように構成されてもよい。このような構成によれば、仮想物体に接触した際の触覚の現実感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態における触覚デバイスの模式図である。
【
図2】
図2Aは、
図1の触覚デバイスにおける引張部及び振動部の模式的な側面図であり、
図2Bは、
図2AのIIB-IIB線での模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、制御部による引張部の制御の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す触覚デバイス1は、ユーザの手Hに装着して使用される。触覚デバイス1は、ユーザに仮想物体を提示する外部デバイス100(
図5参照)と共に使用される。仮想物体は、仮想現実(VR:Virtual Reality)空間、拡張現実(AR:Augmented Reality)空間等の仮想空間において表示されるものであってもよいし、空中ディスプレイのように仮想物体単体で表示されるものであってもよい。
【0015】
外部デバイス100は、仮想物体を形成する演算装置と、仮想物体を表示する表示装置と、ユーザの位置及び姿勢を検出するセンサとを有する。センサは、例えば、カメラ、触覚センサ等が使用される。
【0016】
外部デバイス100が提示する仮想物体には、例えば、壁、ボタン状のスイッチ等が含まれる。外部デバイス100は、例えば自動車に設置され、空中タッチパネルを乗員に提供する。
【0017】
触覚デバイス1は、ユーザの手Hが仮想物体に接触した際の触覚をユーザに与えるアンサーバック機能を有する。触覚デバイス1は、複数の引張部2と、複数の振動部3と、駆動部4と、処理装置5と、装着具10とを備える。
【0018】
<引張部>
複数の引張部2は、それぞれ手Hの甲側においてユーザの指Fに1つずつ装着可能に構成された紐状の部品である。
【0019】
図2Aに示すように、引張部2は、作動部21と、連結部22とを有する。作動部21は、ユーザの指Fの長手方向に沿って延伸している。作動部21の一方の端部は、連結部22により、振動部3を介してユーザの爪に取り付けられている。作動部21の他方の端部は、駆動部4(つまり装着具10)に連結されている。作動部21は、駆動部4によって、指Fの長手方向Lに沿って伸縮又は移動するように構成されている。
【0020】
引張部2は、指Fの背の一部を被覆しており、指Fの側部及び腹は被覆していない。また、作動部21は、
図2Bに示すように、指Fの背側に密着して取り付けられるように構成されているとよい。
【0021】
引張部2は、駆動部4によってユーザの指先(つまり爪)から離れる方向に収縮又は移動することで、指Fを、指Fの長手方向に引張可能に構成されている。引張部2は、少なくとも指Fの第1関節の曲がりが小さくなるように指Fを引張する。これにより指Fが伸びるため、ユーザに疑似的な触覚が与えられる。複数の引張部2は、互いに独立して作動する。
【0022】
作動部21の材質は特に限定されないが、ラバーアクチュエータが好ましい。ラバーアクチュエータは、例えば、弾性体チューブと、弾性体チューブを被覆するスリーブとを有する。弾性体チューブは、ゴム、シリコン等の弾性体で構成される。スリーブは、繊維の編物等で構成され、伸縮性を有する。このタイプのラバーアクチュエータは、弾性体チューブ内への流体(例えば、空気、油等)の注入及び排出により伸縮する。
【0023】
また、ラバーアクチュエータは、弾性体チューブと、弾性体チューブの表裏に配置された電極とを有してもよい。このタイプのラバーアクチュエータは、電圧の印加及び解除により伸縮する。
【0024】
作動部21がこのようなラバーアクチュエータで構成されることで、引張部2及び駆動部4を小型化できる。そのため、触覚デバイス1を装着したユーザの快適性の向上効果を促進できる。
【0025】
また、作動部21は、必ずしも外部入力によって伸縮するものでなくてもよい。駆動部4によって引張部2を巻き取る構成とすれば、作動部21は必ずしも伸縮性を有しなくてもよい。そのため、作動部21は、例えば撚糸で構成されてもよい。ただし、指Fとの接触を考慮して、作動部21は弾性及び/又は伸縮性を有するとよい。
【0026】
<振動部>
複数の振動部3は、それぞれ、ユーザの指Fの爪に1つずつ装着可能に構成された部品である。振動部3は、ユーザの爪に振動を与えるように構成されている。
【0027】
図3Aに示すように、振動部3は、装着部31と、振動体32とを有する。装着部31は、ユーザの爪を覆う板状の部材である。装着部31は、例えば両面テープによって爪に固定される。
【0028】
装着部31は、指Fの側部が露出するように爪に装着可能である。つまり、装着部31は、指Fの側部及び腹は覆っていない。なお、装着部31は、ユーザの爪全体を覆ってもよいし、爪の一部(例えば先端部)のみを覆ってもよい。
【0029】
振動体32は、電気信号の入力に基づいて装着部31を振動させる小型デバイスである。振動体32としては、
図3Aに示す振動モータ、
図3Bに示す振動ソレノイド、
図3Cに示す振動式スピーカ等が挙げられる。振動体32への電力供給は、例えば引張部2内に配置された配線を介して行われる。
【0030】
振動体32の振動によって、ユーザの指先に爪の表面と垂直方向(つまり爪の厚み方向)の入力が発生する。これにより、仮想スイッチ等を押したときの触覚がユーザに疑似的に与えられる。
【0031】
なお、引張部2の作動部21がラバーアクチュエータの場合、ラバーアクチュエータの上下方向の伸縮によって装着部31を爪の厚み方向に振動させることができる。このように引張部2によって装着部31を振動させることができる場合は、振動部3は必ずしも振動体32を有しなくてもよい。
【0032】
図4Aに示すように、装着部31は、引張部2の連結部22が連結される被連結部31Aを有する。
図4Aは、連結部22がフック、被連結部31Aが孔又は凹部である例である。連結部22が被連結部31Aに係合することで、引張部2が装着部31に連結される。なお、被連結部31Aがフック、連結部22が孔又は凹部であってもよい。
【0033】
図4Bは、連結部22及び被連結部31Aが共に磁石又は磁性体である例である。連結部22が磁力によって被連結部31Aに連結されることで、引張部2が装着部31に連結される。
【0034】
図4Cは、連結部22が凸状部であり、被連結部31Aが凹状部である例である。連結部22が被連結部31Aに挿入されることで、引張部2が装着部31に連結される。なお、被連結部31Aが凸状部、連結部22が凹状部であってもよい。
【0035】
<駆動部>
図1に示す駆動部4は、引張部2を作動させるように構成されている。駆動部4は、引張部2によって指Fを引張するために、引張部2を収縮又は移動させる。駆動部4は、装着具10に収容されている。
【0036】
引張部2の作動部21がラバーアクチュエータで構成される場合には、駆動部4は、ラバーアクチュエータへの流体の供給及び排出、又は通電制御を行うことで、引張部2を作動させる。例えば、駆動部4は、ラバーアクチュエータからの流体の排出、又はラバーアクチュエータへの通電により引張部2を収縮させることで指Fを引張させる。また、駆動部4は、ラバーアクチュエータへの流体の供給、又はラバーアクチュエータへの通電停止により引張部2を膨張させることで指Fの引張を解除する。
【0037】
駆動部4は、引張部2を巻き取る巻取器であってもよい。この場合、駆動部4は、引張部2を巻き取ることで指Fを引張させる。また、駆動部4は、引張部2を送り出すことで指Fの引張を解除する。
【0038】
駆動部4は、ユーザが引張部2を指Fへ装着した際に、引張部2をユーザの手Hに密着させるために引張部2を収縮又は移動させてもよい。
【0039】
<処理装置>
処理装置5は、例えばプロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータである。処理装置5は、装着具10に収容されている。
図5に示すように、処理装置5は、制御部51と、取得部52と、通信部53とを有する。
【0040】
<制御部>
制御部51は、ユーザの指Fの姿勢を検知する検知機能と、引張部2及び振動部3の作動を制御する制御機能とを有する。
【0041】
検知機能では、制御部51は、引張部2の状態に基づいてユーザの指Fの姿勢を検知する。「指Fの姿勢」は、例えば指Fの曲がり具合であり、指Fの各関節の曲がり角度が含まれる。
【0042】
「引張部2の状態」としては、例えば、ラバーアクチュエータへの流体の供給量、引張部2の巻き取り量等が挙げられる。制御部51は、引張部2の状態に基づいて指Fの少なくとも第1関節の姿勢を検知する。
【0043】
制御部51は、例えば判定式を用いて指Fの姿勢を推定する。この判定式は、引張部2の状態を説明変数(つまり独立変数)、指Fの姿勢を目的変数とする統計学的手法によって予め作成されている。制御部51は、推定した指Fの姿勢を検知結果として取得部52に通知する。
【0044】
統計学的手法としては、多変量解析、教師あり機械学習、又はこれらの組み合わせが用いられる。教師あり機械学習では、指Fの姿勢を教師データとし、上述の説明変数を入力データとして、機械学習が行われる。
【0045】
学習ステップでは、多数のラベル(つまり教師データ)付きの説明変数の組み合わせを機械学習回路に分析させる。機械学習回路は、多数のラベル付きデータから説明変数の組み合わせを複数のラベル(つまり指Fの姿勢)に分類するための特徴量を学習し、判定式を構築する。
【0046】
なお、制御部51は、外部デバイス100が検出したユーザの姿勢の情報(つまり外部デバイス100のセンサ出力)を引張部2の状態と組み合わせることで、指Fの姿勢を検知してもよい。
【0047】
また、制御部51は、ユーザが手を広げた状態で体の一部(例えば、手、腿等)を叩くといった予め定めた初期化動作をすることで、指Fの姿勢のゼロ点補正を行う。つまり、制御部51は、初期化動作によって指Fの姿勢を初期化する。
【0048】
制御機能では、制御部51は、取得部52が取得した触覚出力情報に基づいて、駆動部4による引張部2の作動と、振動部3の振動とを制御する。触覚出力情報には、指Fの仮想物体との接触、仮想スイッチの操作などのイベント発生情報と、イベントにおける指Fが受ける反力の方向及び大きさ等が含まれている。
【0049】
制御部51は、触覚出力情報に指Fの仮想物体との接触イベントが含まれている場合、その反力の方向及び大きさに合わせて駆動部4の作動量(つまり引張部2の引張量)を設定し、駆動部4に入力する。反力の方向及び大きさと、駆動部4の作動量との関係は、予め関数やテーブルの形で記憶されている。駆動部4は、制御部51からの入力を受けて、指Fが引張されるように引張部2を設定された作動量で作動させる。
【0050】
図6に示すように、第1凸部P1と第2凸部P2とを有する仮想壁Wにユーザが指Fを近づけたとき、仮想壁Wに指Fが干渉する位置では、仮想壁Wからの反力を含む触覚出力情報が取得部52によって外部デバイス100から取得される。
【0051】
制御部51は、触覚出力情報に基づいて、仮想壁Wと干渉する領域において指Fを引張するように駆動部4を制御する。これにより、指Fが仮想壁Wに接触した感覚がユーザに与えられる。
【0052】
また、制御部51は、触覚出力情報に基づいて、仮想壁Wと離れた領域において指Fの引張を解除するように駆動部4を制御する。これにより、指Fが仮想壁Wから離れた感覚がユーザに与えられる。
【0053】
したがって、
図6に示すように、ユーザが仮想壁Wに沿って指Fを動かしたとき、指Fの引張と解除との組み合わせによって、第1凸部P1及び第2凸部P2に振れたような疑似触覚がユーザの指Fに与えられる。つまり、制御部51は、触覚出力情報に基づいた駆動部4の制御によって、ユーザに仮想物体の表面をなぞる疑似感覚を与える。
【0054】
また、制御部51は、触覚出力情報に、指Fによる仮想スイッチの押下操作の発生情報が含まれている場合に、振動部3を振動させる。具体的には、制御部51は、1回の押下(つまりクリック)に対し、1回の振動を振動部3に指示する。
【0055】
さらに制御部51は、振動部3への指示と同時に、触覚出力情報に含まれる仮想スイッチと指Fとの位置関係に基づいて、指Fを曲げるために駆動部4を制御する。これにより、仮想スイッチを押した感覚がユーザに与えられる。
【0056】
<取得部>
図5に示す取得部52は、通信部53を介して、制御部51が検知した指Fの姿勢を外部デバイス100に出力する。また、取得部52は、通信部53を介して、指Fへの触覚出力情報を外部デバイス100から取得するように構成されている。
【0057】
外部デバイス100では、指Fの姿勢と、外部デバイス100が検出したユーザの手の動き及び位置とから、指Fに対する触覚出力情報を算出する。触覚出力情報は、取得部52に出力された後、制御部51へ送信される。そのため、処理装置5において複雑な演算が不要となり、処理装置5及びバッテリの小型化が図れる。
【0058】
<通信部>
通信部53は、無線通信を介して外部デバイス100と通信を行うように構成されている。
【0059】
<装着具>
装着具10は、駆動部4、処理装置5及びバッテリ(図示省略)を収納している。装着具10は、例えばリストバンド形状であり、ユーザの手首に着脱可能に構成されている。複数の引張部2は、装着具10に保持されている。
【0060】
触覚デバイス1は、例えば以下の手順でユーザの手Hに装着される。まず、複数の駆動部4をそれぞれユーザの複数の指Fの爪に装着する。次に、装着具10をユーザの腕に装着する。その後、複数の引張部2をれぞれ複数の駆動部4に連結する。
【0061】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)手の甲側に装着される引張部2の作動によってユーザの指Fに触覚を与えることができるため、ユーザの指先における不快感及び手の動きの制限を低減できる。また、引張部2の状態に基づいて指Fの姿勢が検知されるため、仮想物体に接触した際に現実感の高い触覚をユーザの指Fに発生させることができる。
【0062】
(1b)爪に振動を与える振動部3によって、仮想スイッチに対する押圧操作等の入力触覚をユーザに提供することができる。
(1c)振動部3が指Fの側部を露出させることで、入力触覚をユーザに提供しつつ、ユーザの指先の開放感を高められる。
【0063】
(1d)取得部52が外部デバイス100に指Fの姿勢を出力し、外部デバイス100から触覚出力情報を取得することで、ユーザに現実感の高い触覚を提供しつつ、触覚デバイス1を小型化することができる。
【0064】
(1e)制御部51が指Fの少なくとも第1関節の姿勢を検知し、引張部2が少なくとも第1関節の曲がりが小さくなるように指Fを引張することで、仮想物体に接触した際の触覚の現実感を向上させることができる。
【0065】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0066】
(2a)上記実施形態の触覚デバイスにおいて、引張部及び振動部は、1つの指(例えば人差し指)のみに装着されてもよい。つまり、触覚デバイスは、1つの引張部及び1つの駆動部を備えてもよい。
【0067】
(2b)上記実施形態の触覚デバイスにおいて、引張部は、必ずしも振動部を介してユーザの指に装着されなくてもよい。例えば、引張部は、ユーザの爪又は爪以外の指先に直接取り付けられてもよい。
【0068】
(2c)上記実施形態の触覚デバイスにおいて、触覚デバイスは、必ずしも振動部を有しなくてもよい。つまり、触覚デバイスは、引張部のみによってユーザの指に疑似的な触覚を与えるものであってもよい。
【0069】
(2d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0070】
1…触覚デバイス、2…引張部、3…振動部、4…駆動部、5…処理装置、
10…装着具、21…作動部、22…連結部、31…装着部、31A…被連結部、
32…振動体、51…制御部、52…取得部、53…通信部、100…外部デバイス。