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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040766
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】検査方法、検査装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20240318BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240318BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20240318BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20240318BHJP
【FI】
G01M11/00 T
G02B7/28 H
G03B13/36
H04N5/232 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145333
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】523290528
【氏名又は名称】JDI Design and Development 合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】橋本 伸一郎
【テーマコード(参考)】
2G086
2H011
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2G086EE10
2H011AA06
2H151AA15
2H151BB31
2H151CE12
2H151EB20
5C122DA12
5C122EA55
5C122EA68
5C122FD01
5C122FD08
5C122FH01
5C122FH23
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB06
5C122HB07
(57)【要約】
【課題】専用のハードウェアを必要とせず、高いピント精度でかつ高速にオートフォーカスさせることができる検査方法等を提供する。
【解決手段】撮影装置により撮影されたディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の輝度を、1次元の輝度に圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する取得ステップ(S12)と、1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する生成ステップ(S13)と、当該画素領域に映る画素の周期構造に基づき、周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から撮影装置の撮影倍率を算出する算出ステップ(S14)と、撮影装置におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した撮影倍率とから、検査用画像における撮影装置のピント位置である現在ピント位置を推定する推定ステップ(S15)とを含む。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが行うディスプレイパネルの検査方法であって、
撮影装置により撮影された前記ディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の輝度を、それぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する取得ステップと、
前記1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する生成ステップと、
前記画素領域には前記複数の画素が周期的な構造で形成されていることに基づき、前記周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から前記撮影装置の撮影倍率を算出する算出ステップと、
前記撮影装置におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した前記撮影倍率とから、前記検査用画像における前記撮影装置のピント位置である現在ピント位置を推定する推定ステップとを含む、
検査方法。
【請求項2】
前記算出ステップでは、
前記1以上のピーク位置のうち基本周波数のピーク位置が、前記検査用画像に映る前記画素領域の1画素単位の構造に対応するピーク位置であると推定することで、前記基本周波数のピーク位置から前記撮影装置の撮影倍率を算出する、
請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記生成ステップでは、前記1次元輝度プロファイルを2回、フーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する、
請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記倍率情報は、前記撮影装置の複数のピント位置のそれぞれにおいて前記撮影装置により撮影されたディスプレイパネルの画素領域の画像の1次元輝度プロファイルを、フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値を撮影倍率としたときの、前記複数のピント位置との関係を示す情報である、
請求項2に記載の検査方法。
【請求項5】
さらに、
推定した前記現在ピント位置と、前記倍率情報とから、合焦に必要な前記撮影装置の移動量を算出し、前記移動量を用いて、前記撮影装置の位置を調整する調整ステップを含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項6】
ディスプレイパネルの検査装置であって、
撮影装置により撮影された前記ディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の輝度を、それぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する取得部と、
前記1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する生成部と、
前記画素領域には前記複数の画素が周期的な構造で形成されていることに基づき、前記周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から前記撮影装置の撮影倍率を算出する算出部と、
前記撮影装置におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した前記撮影倍率とから、前記検査用画像における前記撮影装置のピント位置である現在ピント位置を推定する推定部とを備える、
検査装置。
【請求項7】
ディスプレイパネルの検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
撮影装置により撮影された前記ディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の輝度を、それぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する取得ステップと、
前記1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する生成ステップと、
前記画素領域には前記複数の画素が周期的な構造で形成されていることに基づき、前記周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から前記撮影装置の撮影倍率を算出する算出ステップと、
前記撮影装置におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した前記撮影倍率とから、前記検査用画像における前記撮影装置のピント位置である現在ピント位置を推定する推定ステップと、を、コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査方法、検査装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネルの生産工程では、製品の品質を保つために様々な検査が行われており、画像検査はその中の大きなウェイトを占めている。
【0003】
近年の画像検査では、オペレータによる判定精度を向上させるだけでなく、自動検査による判定精度を向上させるために、高品質な画像が求められている。
【0004】
高品質な画像で画像検査を行うべく、検査装置には、一般的に、高品質な撮影素子または光学系などが採用される。また、高品質な画像を得るためには画像のピント精度にかかわるオートフォーカス機構も重要であり、コントラスト検出式AFなどのオートフォーカス機構が検査装置に用いられる(例えば特許文献1)。
【0005】
コントラスト検出式AFは、ピント位置を変化させながら画像のコントラストピークを探す方式である。つまり、コントラスト検出式AFでは、専用のAF用ハードウェアを必要とせず、画像そのものを用いてオートフォーカス処理を行う。このため、コントラスト検出式AFは、ピント精度が高いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3316684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で用いられるコントラスト検出式AFは、ピント精度が高いという利点がある一方で、ピンボケしているカメラ位置の方向が合焦位置から+方向か-方向かがわからないため、動作速度が遅くなるという欠点がある。検査装置はタクトが重要な要素であるため、検査装置にコントラスト検出式AFを用いることは大きな弱点となる。
【0008】
なお、オートフォーカス機構には、コントラスト検出式AF以外に、レーザー式AFも知られている。レーザー式AFは、パネルにレーザー光を照射してパネル面との距離を直接的に測定する方式であるため、動作速度が速いという利点がある。しかしながら、レーザー式AFは、専用のAF用ハードウェアが必要であり、しかも高精度のAF用ハードウェアは高価であるという欠点がある。さらに、検査装置にレーザー式AFを用いる場合、レーザー検出器とディスプレイパネル面との距離とが測定されるので、ピント位置を合わせるために用いる光学系とディスプレイパネル面との距離へ変換するためのキャリブレーションが必要になるなどの問題もある。
【0009】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、専用のハードウェアを必要とせず、高速にオートフォーカスさせるための処理を行うことができる検査方法などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る検査方法は、コンピュータが行うディスプレイパネルの検査方法であって、撮影装置により撮影された前記ディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の輝度を、それぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する取得ステップと、前記1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する生成ステップと、前記画素領域には前記複数の画素が周期的な構造で形成されていることに基づき、前記周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から前記撮影装置の撮影倍率を算出する算出ステップと、前記撮影装置におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した前記撮影倍率とから、前記検査用画像における前記撮影装置のピント位置である現在ピント位置を推定する推定ステップとを含む。
【0011】
このように、専用のハードウェアを必要とせずに、演算処理だけで検査用画像における撮影装置20の現在ピント位置を推定することができる。また、近年のプロセッサ等を備えるコンピュータの性能から、撮影装置20により撮影された検査用画像を1次元に輝度圧縮してフーリエ変換処理することを高速に行える。
【0012】
よって、本態様の検査方法によれば、専用のハードウェアを必要とせず、高速にオートフォーカスさせるための処理を行うことができる。
【0013】
また、前記算出ステップでは、前記1以上のピーク位置のうち基本周波数のピーク位置が、前記検査用画像に映る前記画素領域の1画素単位の構造に対応するピーク位置であると推定することで、前記基本周波数のピーク位置から前記撮影装置の撮影倍率を算出してもよい。
【0014】
また、例えば、前記生成ステップでは、前記1次元輝度プロファイルを2回、フーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成してもよい。
【0015】
また、例えば、前記倍率情報は、前記撮影装置の複数のピント位置のそれぞれにおいて前記撮影装置により撮影されたディスプレイパネルの画素領域の画像の1次元輝度プロファイルを、フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値を撮影倍率としたときの、前記複数のピント位置との関係を示す情報であってもよい。
【0016】
また、例えば、さらに、推定した前記現在ピント位置と、前記倍率情報とから、合焦に必要な前記撮影装置の移動量を算出し、前記移動量を用いて、前記撮影装置の位置を調整する調整ステップを含んでいてもよい。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る検査装置は、ディスプレイパネルの検査装置であって、撮影装置により撮影された前記ディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の輝度を、それぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する取得部と、前記1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する生成部と、前記画素領域には前記複数の画素が周期的な構造で形成されていることに基づき、前記周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から前記撮影装置の撮影倍率を算出する算出部と、前記撮影装置におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した前記撮影倍率とから、前記検査用画像における前記撮影装置のピント位置である現在ピント位置を推定する推定部とを備える。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るプログラムは、ディスプレイパネルの検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、撮影装置により撮影された前記ディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の輝度を、それぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する取得ステップと、前記1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する生成ステップと、前記画素領域には前記複数の画素が周期的な構造で形成されていることに基づき、前記周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から前記撮影装置の撮影倍率を算出する算出ステップと、前記撮影装置におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した前記撮影倍率とから、前記検査用画像における前記撮影装置のピント位置である現在ピント位置を推定する推定ステップと、を、コンピュータに実行させる。
【0019】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本開示により、専用のハードウェアを必要とせず、高いピント精度でかつ高速にオートフォーカスさせることができる検査方法などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施の形態に係る検査装置を含む検査システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る検査装置の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る検査装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態に係るディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の一例である。
図5図5は、図4に示す検査用画像の輝度をX軸で圧縮した場合の1次元輝度プロファイルを示す図である。
図6図6は、図4に示す検査用画像の輝度をY軸で圧縮した場合の1次元輝度プロファイルを示す図である。
図7A図7Aは、実施の形態に係るディスプレイパネルの画素領域の検査用画像の別の例である。
図7B図7Bは、図7Aに示す検査用画像の輝度をY軸で圧縮した場合の1次元輝度プロファイルを示す図である。
図8図8は、実施の形態に係る生成部により高速フーリエ変換処理された1次元輝度プロファイルの一例を説明するための図である。
図9図9は、図6の1次元輝度プロファイルに対して高速フーリエ変換処理が2回行われた場合の周波数スペクトル強度プロファイルを示す図である。
図10図10は、実施の形態に係る生成部により高速フーリエ変換処理された1次元輝度プロファイルの別の例を説明するための図である。
図11図11は、図7Bの1次元輝度プロファイルに対して高速フーリエ変換処理が2回行われた場合の周波数スペクトル強度プロファイルを示す図である。
図12図12は、実施の形態に係る基本周波数の値を撮影倍率とする場合の倍率情報の一例を示す図である。
図13図13は、実施の形態に係る検査装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、規格、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0023】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る検査装置等について説明する。
【0024】
[1.検査システム]
以下、図を用いて、本実施の形態に係る検査装置10について説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る検査装置10を含む検査システムの概略構成を示す図である。
【0026】
図1に示される検査システムは、検査装置10と、撮影装置20と、ステージ21と、ステージ駆動部22とを備える。
【0027】
検査装置10は、ディスプレイパネル30の画素領域を撮影した検査用画像を用いて画像検査を行うための装置である。ここで、ディスプレイパネル30は、液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネルなどであり、リジッドパネルであってもよいしフレキシブルパネルであってもよい。ディスプレイパネル30の画素領域には複数の画素が行列状に配置されている。複数の画素のそれぞれは、例えばRGBサブピクセルといった複数の副画素で構成されている。
【0028】
撮影装置20は、全群繰り出し方式などによりレンズをフォーカスする光学系で構成され、ディスプレイパネル30の画素領域を撮影する。全群繰り出し式などの光学系では、ピント位置と撮影倍率とに強い相関がある。なお、撮影装置20は、インナーフォーカスなどによりレンズをフォーカスする光学系で構成され、ディスプレイパネル30の画素領域を撮影してもよい。インナーフォーカスなど光学系でもピント位置と撮影倍率には強い相関関係がある。撮影倍率は、撮影面上に映る像の大きさと、被写体の実際の大きさとの比率である。また、撮影装置20は、図1に示すようにディスプレイパネル30との距離が略一定に保たれており、図1の(a)~(c)に示すように移動されることで、ピント位置が調整される。図1では、図1の(b)はピント位置があっているすなわち合焦位置、図1の(a)及び(c)はピンボケしている位置としての例が示されている。
【0029】
撮影装置20は、ディスプレイパネル30の画素領域を撮影することによりディスプレイパネル30の検査用画像を取得する。撮影装置20は、図1に示す(a)、(b)または(c)の位置などに移動することで、撮影装置20が有する光学系のピント位置を調整することができる。なお、撮影装置20は、検査装置10により制御されるが、他のコンピュータにより制御されてもよい。
【0030】
ステージ21は、ディスプレイパネル30を保持する。
【0031】
ステージ駆動部22は、ボールねじ、ガイドレール及びモータにより構成され、撮影装置20に対してステージ21を相対的に移動させる。なお、ステージ駆動部22は、検査装置10により制御されるが、他のコンピュータにより制御されてもよい。
【0032】
[1-1.検査装置10のハードウェア構成]
本実施の形態に係る検査装置10の機能構成を説明する前に、図2を用いて、本実施の形態に係る検査装置10のハードウェア構成の一例について説明する。
【0033】
図2は、本実施の形態に係る検査装置10の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0034】
コンピュータ1000は、図2に示すように、入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、GPU1006、読取装置1007、送受信装置1008及びバス1009を備えるコンピュータである。入力装置1001、出力装置1002、CPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007及び送受信装置1008は、バス1009により接続される。
【0035】
入力装置1001は、入力ボタン、タッチパッド、タッチパネルディスプレイなどといったユーザインタフェースとなる装置であり、ユーザの操作を受け付ける。なお、入力装置1001は、ユーザの接触操作を受け付ける他、音声での操作、リモコン等での遠隔操作を受け付ける構成であってもよい。
【0036】
出力装置1002は、入力装置1001と兼用されており、タッチパッドまたはタッチパネルディスプレイなどによって構成され、ユーザに知らすべき情報を通知する。
【0037】
内蔵ストレージ1004は、フラッシュメモリなどである。また、内蔵ストレージ1004は、検査装置10の機能を実現するためのプログラム、及び、検査装置10の機能構成を利用したアプリケーションの少なくとも一方が、予め記憶されていてもよい。また、内蔵ストレージ1004は、後述する画像処理を行う手順、フーリエ変換(Fourier Transformation;FFT)処理の数式、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation;FFT)処理の数式、プログラムを含む手順、撮影装置20の撮影倍率の算出手順、撮影装置20の現在ピント位置の推定手順、撮影装置20の倍率情報などが記憶されるとしてもよい。
【0038】
RAM1005は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory)であり、プログラム又はアプリケーションの実行に際してデータ等の記憶に利用される。
【0039】
GPU1006は、画像演算処理装置(Graphics Processing Unit)であり、内蔵ストレージ1004に記憶されたプログラム、アプリケーション、データをGPUに内蔵された専用RAMにコピーし、そのプログラムやアプリケーションに含まれる命令に従って画像演算処理を実行する。
【0040】
読取装置1007は、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る。読取装置1007は、上記のようなプログラムやアプリケーションが記録された記録媒体からそのプログラム、アプリケーションを読み取り、内蔵ストレージ1004に記憶させる。
【0041】
送受信装置1008は、無線又は有線で通信を行うための通信回路である。送受信装置1008は、例えばネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置から上記のようなプログラム、アプリケーションをダウンロードして内蔵ストレージ1004に記憶させてもよい。
【0042】
CPU1003は、中央演算処理装置(Central Processing Unit)であり、内蔵ストレージ1004に記憶されたプログラム、アプリケーションをRAM1005にコピーし、そのプログラムやアプリケーションに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行する。
【0043】
[1-2.検査装置10の機能構成]
続いて、図3を用いて本実施の形態に係る検査装置10の各機能構成について説明する。
【0044】
図3は、本実施の形態に係る検査装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
検査装置10は、図3に示されるように、取得部101と、生成部102と、算出部103と、推定部104と、ピント調整部105とを備える。なお、検査装置10において、ピント調整部105は必須ではなく、外部に備えられてもよい。
【0046】
[1-2-1.取得部101]
取得部101は、撮影装置20により撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像を取得する。取得部101は、取得した検査用画像の輝度を、複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する。なお、上記の複数の画素のそれぞれは、複数の副画素で構成されている。また、取得部101は、検査装置10の機能を実現するコンピュータにおいて、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、上記の画像処理機能及び取得機能を実現することができる。
【0047】
図4は、本実施の形態に係るディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像の一例である。図4には、ピントが合ったすなわち合焦の検査用画像の一例が検査用画像61として示されている。検査用画像61に映る画素領域には、ディスプレイパネル30により表示される画面の構成単位となる1つの画素(ピクセル)と、その1つの画素をさらに分割した例えばRGBなどの単色の点となる副画素(サブピクセル)とが複数示されている。つまり、図4の検査用画像61には、RGBなどの単色の点となる副画素(サブピクセル)がまとまって1つの画素(ピクセル)として機能する複数の画素で構成されるディスプレイパネル30の画素領域が示されている。図4に示す例では、B(Blue)の副画素の幅がR(Red)とG(Green)の副画素の幅よりも広い縦長の長方形の副画素が構成する1つの画素が行列状に並んで形成されている。すなわち、図4に示す検査用画像61に映る画素領域は複数の画素が周期的な構造で形成されている。以下では、1画素を構成する複数の副画素の並び方向すなわちそれぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向を、X軸と称する。また、1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向をY軸と称する。
【0048】
図5は、図4に示す検査用画像61の輝度をX軸で圧縮した場合の1次元輝度プロファイル62を示す図である。図6は、図4に示す検査用画像61の輝度をY軸で圧縮した場合の1次元輝度プロファイル63を示す図である。図5及び図6において縦軸は、輝度、より正確には輝度の総和である。図5において横軸はX座標すなわちX軸上の画素位置を示し、図6において横軸はY座標すなわちY軸上の画素位置を示す。なお、X軸で圧縮とは、X軸上の画素位置それぞれにおいて当該画素位置のY軸に沿ったすべての画素の輝度の総和を算出することである。同様に、Y軸で圧縮とは、Y軸上の画素位置それぞれにおいて当該画素位置のX軸に沿ったすべての画素の輝度の総和を算出することである。
【0049】
本実施の形態では、取得部101は、撮影装置20により撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像として例えば図4に示す検査用画像61を取得する。また、取得部101は、取得した検査用画像61の輝度を、1次元の輝度にY軸で圧縮する画像処理を施すことにより、例えば図6に示す1次元輝度プロファイル63を取得する。
【0050】
ここで、検査用画像61の輝度をX軸で圧縮せずY軸で圧縮する理由について、図5に示す1次元輝度プロファイル62と図6に示す1次元輝度プロファイル63とを用いて説明する。
【0051】
図5に示す1次元輝度プロファイル62は、X軸すなわち1画素を構成する複数の副画素の並び方向で輝度を圧縮している。1画素単位での並びは周期的であるものの、1画素単位内の複数の副画素の並び(つまりX軸に沿った副画素の並び)は対称でないため、図5に示す1次元輝度プロファイル62の形は複雑な形になっている。一方、図6に示す1次元輝度プロファイル63は、Y軸すなわち1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向で輝度を圧縮している。Y軸に沿った1画素単位での並びは同一パターンであるため、図6に示す1次元輝度プロファイル63の形は単純な形となっている。つまり、後述する生成部102でフーリエ変換処理(高速フーリエ変換処理)を行い、1次元輝度プロファイルの形(波形)が、どのような形(波形)の合成で成り立っているかを知るためには、1次元輝度プロファイルの形は単純の方がよいからである。なお、セルピッチが等間隔の場合すなわちR、G、Bの副画素の幅が等しい場合、輝度をX軸で圧縮してもY軸で圧縮してもよい。
【0052】
このようにして、取得部101は、撮影装置20により撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像から、1次元輝度プロファイルを取得することができる。
【0053】
なお、比較のためにピンボケすなわちピントが合っていない検査用画像を取得した場合についても説明する。
【0054】
図7Aは、本実施の形態に係るディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像の別の例である。図7Bは、図7Aに示す検査用画像65の輝度をY軸で圧縮した場合の1次元輝度プロファイル66を示す図である。
【0055】
つまり、取得部101は、撮影装置20により撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像として例えば図7Aに示すピンボケの検査用画像65を取得する。そして、取得部101は、取得した検査用画像65の輝度を、1次元の輝度にY軸で圧縮する画像処理を施すことで、例えば図7Bに示す1次元輝度プロファイル66を取得する。図7Bに示す1次元輝度プロファイル66の形は、図6に示す1次元輝度プロファイル63の形と異なっているのがわかる。
【0056】
[1-2-2.生成部102]
生成部102は、1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する。なお、生成部102は、検査装置10の機能を実現するコンピュータにおいて、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、フーリエ変換処理及び生成機能を実現することができる。
【0057】
なお、以下では、高速フーリエ変換処理を用いる場合を例に挙げて説明を行うが、これに限らず、フーリエ変換処理であればどのようなアルゴリズムでもよい。
【0058】
また、生成部102は、取得部101が取得した1次元輝度プロファイルを1回高速フーリエ変換処理する場合に限らず、2回高速フーリエ変換処理してもよい。より具体的には、生成部102は、取得部101が取得した1次元輝度プロファイルを2回、高速フーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成してもよい。ここで、さらに複数回、高速フーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成してもよい。
【0059】
図8は、本実施の形態に係る生成部102により高速フーリエ変換処理された1次元輝度プロファイルの一例を説明するための図である。図8の(a)には、図6の1次元輝度プロファイル63が示されており、図8の(b)には、図8の(a)の1次元輝度プロファイル63に対して高速フーリエ変換処理が1回行われた場合の周波数スペクトル強度プロファイル63aが示されている。図9は、図6の1次元輝度プロファイル63に対して高速フーリエ変換処理が2回行われた場合の周波数スペクトル強度プロファイル63bを示す図である。
【0060】
本実施の形態では、生成部102は、例えば図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63に対して高速フーリエ変換処理を1回または2回行う。
【0061】
例えば、図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63の形を波形とみなして高速フーリエ変換処理を1回行うことで、図8の(b)に示される周波数スペクトル強度プロファイル63aが生成される。また、例えば、図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63の形を波形とみなして高速フーリエ変換処理を2回行うことで、図9に示される周波数スペクトル強度プロファイル63bが生成される。
【0062】
ここで、ピンボケすなわちピントが合っていない検査用画像65の1次元輝度プロファイル66に対して高速フーリエ変換処理を1回または2回行う場合についても説明する。
【0063】
図10は、本実施の形態に係る生成部102により高速フーリエ変換処理された1次元輝度プロファイルの別の例を説明するための図である。図10の(a)には、図7Bの1次元輝度プロファイル66が示されており、図10の(b)には、図10の(a)の1次元輝度プロファイル66に対して高速フーリエ変換処理が1回行われた場合の周波数スペクトル強度プロファイル66aが示されている。図11は、図7Bの1次元輝度プロファイル66に対して高速フーリエ変換処理が2回行われた場合の周波数スペクトル強度プロファイル66bを示す図である。
【0064】
例えば、図10の(a)に示す1次元輝度プロファイル66の形を波形とみなして高速フーリエ変換処理を1回行うことで、図10の(b)に示される周波数スペクトル強度プロファイル66aが生成される。また、例えば、図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63の形を波形とみなして高速フーリエ変換処理を2回行うことで、図11に示される周波数スペクトル強度プロファイル66bが生成される。
【0065】
図10の(b)に示す周波数スペクトル強度プロファイル66aでは、図8の(b)に示す周波数スペクトル強度プロファイル63aと比較すると、高周波成分のパワースペクトルの波がないことがわかる。
【0066】
このようにして、生成部102は、検査用画像の1次元輝度プロファイルの形を波形とみなして高速フーリエ変換処理を行うことで、周波数スペクトル強度プロファイルを生成することができる。生成した周波数スペクトル強度プロファイルからは、検査用画像の1次元輝度プロファイルの波形に含まれる周波数成分とその振幅とがわかる。
【0067】
[1-2-3.算出部103]
算出部103は、ディスプレイパネル30の画素領域には複数の画素が周期的な構造で形成されていることに基づき、周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から撮影装置20の撮影倍率を算出する。より具体的には、算出部103は、1以上のピーク位置のうち基本周波数のピーク位置が、検査用画像に映る画素領域の1画素単位の構造に対応するピーク位置であると推定することで、基本周波数のピーク位置から撮影装置20の撮影倍率を算出する。なお、算出部103は、例えば検査装置10の機能を実現するコンピュータにおいて、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、算出機能を実現することができる。
【0068】
本実施の形態では、算出部103は、生成部102により生成された周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる波の周波数とパワースペクトルの大きさと、ディスプレイパネル30の画素領域の構造的な性質とから、撮影装置20の撮影倍率を算出する。撮影倍率は、撮影面上に映る像の大きさと、被写体の実際の大きさとの比率である。つまり、本実施の形態では、撮影倍率は、撮影装置20により撮影された検査用画像に映る画素領域の画素の大きさと、実際のディスプレイパネル30の画素領域における画素の大きさとの比率である。
【0069】
より具体的には、算出部103は、例えば、図8の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル63aに含まれる1以上の波のうち、aの点線円で示される波が最も低い周波数成分をもつ波であることから、aの点線円で示される波の周波数を基本周波数と推定する。
【0070】
ここで、図8の(a)に示すように、1次元輝度プロファイル63は、1000データ(1000ピクセル)で構成されている。図8の(b)に示すように、周波数スペクトル強度プロファイル63aの基本周波数の波すなわちaの点線円で示される波のピーク位置の数値が7である。算出部103は、1000/7=143と算出できるので、図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63において、143データ周期の波に該当するのは、aの点線円で示される波であることが推定される。また、図4に示す検査用画像61のY軸方向には画素が8つ並んでいる周期構造を有する画素領域が示されており、図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63において、aの点線円で示される波は8つ示されている。これらから、このaの点線円で示される波は、1画素単位に対応する波であるのがわかる。よって、周波数スペクトル強度プロファイル63aにおいてaの点線円で示される基本周波数の波は、1画素単位に対応する波であるのがわかる。
【0071】
同様に、例えば、図8の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル63aにおいてbの点線円で示される波が、図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63においてbの点線円で示される波であることが推定される。より具体的には、図8の(a)に示すように、1次元輝度プロファイル63は、1000データ(100ピクセルのデータ)で構成されている。図8の(b)に示すように、周波数スペクトル強度プロファイル63aにおいてbの点線円で示される波のピーク位置の数値が14である。算出部103は、1000/14=71と算出できるので、図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63において、71データ周期の波に該当するのは、bの点線円で示される波であることが推定される。なお、図8の(a)においてbの点線円で示される波は、aの点線円で示される波に含まれた2つコブの波に対応する。また、図8の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル63aにおいてbの点線円で示される波のピーク位置の周波数は、基本周波数の2倍になっている。
【0072】
同様にして、算出部103は、例えば、図8の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル63aにおいてcの点線円で示される波が、図8の(a)に示す1次元輝度プロファイル63においてcの点線円で示される波であることが推定される。なお、図8の(a)においてcの点線円で示される波は、cの点線円で示される波に含まれた3つのトゲの波に対応する。また、図8の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル63aにおいてcの点線円で示される波のピーク位置の周波数は、基本周波数の3倍になっている。
【0073】
このようにして、算出部103は、周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上の波のピーク位置から基本周波数を算出でき、ディスプレイパネル30の画素領域では画素の周期的な構造を示す構造的な性質から、1画素単位のデータ周期を算出できる。これにより、算出部103は、撮影装置20により撮影された検査用画像に映る画素領域の画素の大きさを算出できるので、実際のディスプレイパネル30の画素領域における画素の大きさを用いて、撮影倍率を算出できる。
【0074】
なお、本実施の形態では、算出部103は、1次元輝度プロファイルを1回または2回の高速フーリエ変換処理することにより得た基本周波数のピーク位置の値を撮影倍率として算出してもよい。
【0075】
より具体的には、算出部103は、1次元輝度プロファイルを1回高速フーリエ変換処理することにより得た図8の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル63aの基本周波数の値7を撮影倍率として算出してもよい。また、算出部103は、1次元輝度プロファイルを2回高速フーリエ変換処理することにより得た図9の周波数スペクトル強度プロファイル63bの基本周波数の値を撮影倍率として算出してもよい。図9の周波数スペクトル強度プロファイル63bにおいて、dの点線円で示される波が最も低い周波数成分をもつ波であり、dの点線円で示される波のピーク位置の周波数が基本周波数である。
【0076】
上記では、ピントが合ったすなわち合焦の検査用画像61の周波数スペクトル強度プロファイル63aについて説明したが、ピンボケの検査用画像65の周波数スペクトル強度プロファイル66aについても同様のことが言えるので、以下説明する。
【0077】
算出部103は、例えば、図10の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル66aに含まれる1以上の波のうち、aの点線円で示される波が最も低い周波数成分をもつ波であることから、aの点線円で示される波の周波数を基本周波数と推定できる。
【0078】
より具体的には、図10の(a)に示すように、1次元輝度プロファイル66は、1000データ(100ピクセルのデータ)で構成されている。図10の(b)に示すように、周波数スペクトル強度プロファイル66aにおいてaの点線円で示される基本周波数の波のピーク位置の数値が7である。算出部103は、1000/7=143と算出できるので、図10の(a)に示す1次元輝度プロファイル66において、143データ周期の波に該当するのは、aの点線円で示される波であると推定できる。なお、図10の(a)においてaの点線円で示される波は、1画素単位に対応する波であるのがわかる。これにより、周波数スペクトル強度プロファイル66aにおいてaの点線円で示される基本周波数の波は、1画素単位に対応する波であるのがわかる。
【0079】
同様に、例えば、図10の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル66aにおいてbの点線円で示される波が、図10の(a)に示す1次元輝度プロファイル66においてbの点線円で示される波であると推定される。より具体的には、図10の(a)に示すように、1次元輝度プロファイル66は、1000データ(100ピクセルのデータ)で構成されている。図10(b)に示すように、周波数スペクトル強度プロファイル66aにおいてbの点線円で示される波のピーク位置の数値が14である。算出部103は、1000/14=71と算出できるので、図10の(a)に示す1次元輝度プロファイル66において、71データ周期の波に該当するのは、bの点線円で示される波であると推定できる。なお、図10の(a)においてbの点線円で示される波は、aの点線円で示される波に含まれた2つのコブの波に対応する。また、図10の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル66aにおいてbの点線円で示される波のピーク位置の周波数は、基本周波数の2倍になっている。
【0080】
このように、基本周波数に関しては、ピンボケの検査用画像65の周波数スペクトル強度プロファイル66aについても、合焦の検査用画像61の周波数スペクトル強度プロファイル63aと同様に取り扱える。つまり、算出部103は、ピンボケの検査用画像65の周波数スペクトル強度プロファイル66aから撮影倍率を算出できる。
【0081】
また、同様に、算出部103は、1次元輝度プロファイルを1回高速フーリエ変換処理することにより得た図10の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル66aの基本周波数の値7を撮影倍率として算出してもよい。また、算出部103は、1次元輝度プロファイルを2回高速フーリエ変換処理することにより得た図11の周波数スペクトル強度プロファイル66bの基本周波数の値を撮影倍率として算出してもよい。図11の周波数スペクトル強度プロファイル66bにおいて、dの点線円で示される波が最も低い周波数成分をもつ波であることから、dの点線円で示される波のピーク位置の周波数が基本周波数である。
【0082】
[1-2-4.推定部104]
推定部104は、撮影装置20におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出部103が算出した撮影倍率とから、検査用画像における撮影装置20のピント位置である現在ピント位置を推定する。なお、推定部104は、検査装置10の機能を実現するコンピュータにおいて、例えばメモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、推定機能を実現することができる。
【0083】
本実施の形態に係る撮影装置20が有する全群繰り出し式などの光学系では、ピント位置と撮影倍率が1対1となる。撮影装置20におけるピント位置と撮影倍率との関係を示すこの倍率情報は予め取得できる。また、本実施の形態に係る撮影装置20がインナーフォーカスなどの光学系を有する場合でも、インナーフォーカスなどの光学系におけるピント位置と撮影倍率には強い相関関係がある。このため、撮影装置20におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報は予め取得できる。
【0084】
したがって、推定部104は、倍率情報を参照することで、算出部103が算出した撮影倍率から、検査用画像における撮影装置20の現在のピント位置を推定できる。
【0085】
なお、上述したように、本実施の形態では、撮影装置20により撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の画像の1次元輝度プロファイルを、高速フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値を撮影倍率とする場合がある。この場合、撮影装置20の複数のピント位置それぞれにおける1次元輝度プロファイルを、高速フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値(撮影倍率)と、複数のピント位置との関係を示す情報を、撮影装置20の倍率情報とすればよい。
【0086】
図12は、本実施の形態に係る基本周波数の値を撮影倍率とする場合の倍率情報の一例を示す図である。図12に示すFFT値は、1次元輝度プロファイルに対して、高速フーリエ変換処理を2回行うことにより得た基本周波数の値である。
【0087】
図12には、撮影装置20の複数のピント位置において撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の画像から取得したFFT値とピント位置との関係が倍率情報70として示されている。図12に示す倍率情報70は、次のように作成した。まず、撮影装置20のピント位置を-500μm~500μmの範囲において10μm刻みでずらしてディスプレイパネル30の画素領域を撮影した100枚のピントずらし画像を取得した。続いて、取得した100枚のピントずらし画像をY軸で圧縮した1次元輝度プロファイルを2回高速フーリエ変換処理することで、100枚のピントずらし画像に対する基本周波数の値であるFFT値を算出した。そして、異なる100のピント位置と、FFT値との関係を直線近似し近似直線を取得した。このようにして、図12に示す倍率情報70を作成した。
【0088】
推定部104は、図12に示す倍率情報70に基づいて、算出部103が算出した撮影倍率であるFFT値から、撮影装置20の現在のピント位置を推定できる。さらに、図12に示す倍率情報70を用いることにより、現在のピント位置から、合焦位置となる0μmのピント位置までの距離を算出することができる。
【0089】
なお、図12に示す例では、1次元輝度プロファイルに対して、高速フーリエ変換処理を2回行うことにより得た基本周波数の値をFFT値であるとして説明したが、これに限らない。1次元輝度プロファイルに対して、高速フーリエ変換処理を1回行うことにより得た基本周波数の値をFFT値としてもよい。この場合でも図12に示す倍率情報70と同様の倍率情報を作成することができるので、推定部104は、同様に作成した倍率情報に基づいて、算出部103が算出した撮影倍率であるFFT値から、撮影装置20の現在のピント位置を推定できる。
【0090】
[1-2-5.ピント調整部105]
ピント調整部105は、推定部104が推定した現在ピント位置と、倍率情報とから、合焦に必要な撮影装置20の移動量を算出し、算出した移動量を用いて、撮影装置20の位置を調整する。なお、ピント調整部105は、検査装置10の機能を実現するコンピュータにおいて、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、上記調整機能を実現することができる。
【0091】
本実施の形態では、上述したように、撮影装置20により撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の画像の1次元輝度プロファイルに対して高速フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値を撮影倍率とする場合がある。この場合、倍率情報として、撮影装置20の複数のピント位置それぞれにおける1次元輝度プロファイルを、高速フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値(FFT値)と、複数のピント位置との関係を示す情報を用いればよい。この倍率情報の一例が上述した図12の倍率情報70である。ピント調整部105は、図12に示すような倍率情報または図12に示す倍率情報に含まれる近似直線を用いることにより、現在のピント位置から、合焦位置となる0μmのピント位置までの距離を算出することができる。よって、ピント調整部105は、図12に示すように倍率情報と、推定部104により推定された現在ピント位置とから、合焦に必要な撮影装置20の移動量を算出でき、算出した移動量を用いて、撮影装置20の位置を調整することができる。
【0092】
このようにして、検査装置10は、撮影装置20のピントを合わせることができるので、ピントの合った高品質な検査用画像を得ることができる。
【0093】
[1-3.検査装置10の動作]
以上のように構成された検査装置10の動作の一例について以下説明する。
【0094】
図13は、本実施の形態に係る検査装置10の動作を示すフローチャートである。
【0095】
まず、検査装置10は、ディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像を取得する(S11)。より具体的には、取得部101は、撮影装置20により撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像を取得する。例えば、取得部101は、図4に示す検査用画像61または図7Aに示す検査用画像65のような、ディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像を取得する。
【0096】
次に、検査装置10は、ステップS11で取得した検査用画像を、1次元の輝度にY軸で圧縮する画像処理を施すことにより、1次元輝度プロファイルを取得する(S12)。より具体的には、取得部101は、取得した検査用画像の輝度を、それぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸(Y軸)とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施して得た、1次元輝度プロファイルを取得する。例えば、取得部101は、図6に示す1次元輝度プロファイル63または図7Bに示す1次元輝度プロファイル66のような、検査用画像の輝度をY軸で圧縮した1次元輝度プロファイルを取得する。
【0097】
次に、検査装置10は、ステップS12で取得した1次元輝度プロファイルを、高速フーリエ変換処理することにより、周波数スペクトル強度プロファイルを生成する(S13)。より具体的には、生成部102は、ステップS12で取得した1次元輝度プロファイルを、1回または2回高速フーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する。
【0098】
例えば、算出部103は、上記1次元輝度プロファイルを1回高速フーリエ変換処理して、図8の(b)に示す周波数スペクトル強度プロファイル63a、または、図10の(b)に示す周波数スペクトル強度プロファイル66aのような、周波数スペクトル強度プロファイルを生成する。なお、算出部103は、上記1次元輝度プロファイルを2回高速フーリエ変換処理して、図9に示す周波数スペクトル強度プロファイル63b、または、図11に示す周波数スペクトル強度プロファイル66bのような、周波数スペクトル強度プロファイルを生成してもよい。
【0099】
次に、検査装置10は、ステップS13で生成した周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上の波のピーク位置から撮影装置20の撮影倍率を算出する(S14)。より具体的には、算出部103は、生成部102により生成された周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる波の周波数とパワースペクトルの大きさと、ディスプレイパネル30の画素領域の構造的な性質とから、撮影装置20の撮影倍率を算出する。算出部103は、1以上のピーク位置のうち基本周波数のピーク位置が、検査用画像に映る画素領域の1画素単位の構造に対応するピーク位置であると推定し、基本周波数のピーク位置から撮影装置20の撮影倍率を算出する。例えば、算出部103は、図8の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル63aまたは図10の(b)の周波数スペクトル強度プロファイル66aに含まれる1以上の波のピーク位置から基本周波数を算出し、算出した基本周波数を用いて、撮影倍率を算出する。
【0100】
次に、検査装置10は、撮影装置20の倍率情報から、検査用画像を撮影した撮影装置20の現在のピント位置を推定する(S15)。より具体的には、推定部104は、撮影装置20におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した撮影倍率とから、検査用画像における撮影装置20のピント位置である現在ピント位置を推定する。なお、撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の画像の1次元輝度プロファイルを、1回または2回高速フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値を撮影倍率としてもよい。この場合、1回または2回高速フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値(撮影倍率)と、複数のピント位置との関係を示す情報を、撮影装置20の倍率情報として用いることで、算出した撮影倍率から現在のピント位置を推定することができる。
【0101】
[1-4.効果等]
本実施の形態に係る検査装置10等は、撮影装置20により撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像の輝度を、それぞれ複数の副画素で構成される複数の画素における1画素を構成する複数の副画素の並び方向の垂直方向を軸とした1次元の輝度に圧縮する画像処理を施す。このような画像処理を施すことにより取得した1次元輝度プロファイルをフーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成する。このフーリエ変換は少なくとも1回であり、2回でもよい。また、本実施の形態に係る検査装置10等は、当該画素領域には複数の画素が周期的な構造で形成されていることに基づき、周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置から撮影装置20の撮影倍率を算出する。そして、撮影装置20におけるピント位置と撮影倍率との関係を示す倍率情報と、算出した撮影倍率とから、検査用画像における撮影装置20の現在ピント位置を推定する。
【0102】
このように、本実施の形態に係る検査装置10等は、撮影装置20により撮影された検査用画像を1次元に輝度圧縮してフーリエ変換処理する。そして、フーリエ変換処理することで得た周波数スペクトル強度プロファイルを用いて、検査用画像における撮影装置20の現在ピント位置を推定する。撮影装置20が有するレンズなどの光学系におけるピント位置と撮影倍率とには強い相関関係があり、また、ディスプレイパネル30の画素領域では周期的な構造が形成されているという性質を利用して、周波数スペクトル強度プロファイルから、現在ピント位置を推定している。
【0103】
つまり、本実施の形態に係る検査装置10等は、専用のハードウェアを必要とせずに、演算処理だけで検査用画像における撮影装置20の現在ピント位置を推定することができる。また、近年のプロセッサ等を備えるコンピュータの性能から、本実施の形態に係る検査装置10等は、撮影装置20により撮影された検査用画像を1次元に輝度圧縮してフーリエ変換処理することを高速に行える。
【0104】
よって、本実施の形態に係る検査装置10等によれば、専用のハードウェアを必要とせず、高速にオートフォーカスさせるための処理を行うことができる。
【0105】
ここで、本実施の形態に係る検査装置10等は、周波数スペクトル強度プロファイルに含まれる1以上のピーク位置のうち基本周波数のピーク位置が、検査用画像に映る画素領域の1画素単位の構造に対応するピーク位置であると推定する。そして、推定した基本周波数のピーク位置から撮影装置20の撮影倍率を算出する。
【0106】
これにより、撮影装置20により撮影された検査用画像のピントが合っておらずピンボケであっても、周波数スペクトル強度プロファイルから現在ピント位置を推定できるので、撮影倍率を算出することができる。
【0107】
図14は、本実施の形態に係るディスプレイパネル30の画素領域の検査用画像のピント位置における周波数スペクトル強度分布を示す図である。図14の(a)には、ピント位置が-3(μm)のピンボケ位置の例が示されており、図14の(b)には、ピント位置が0(μm)のピントが合っている合焦位置の例が示されており、図14の(c)には、ピント位置が+3(μm)のピンボケ位置の例が示されている。図14の(a)~(c)の撮影装置20の位置は、例えば図1に示す(a)~(c)の撮影装置20の位置である。
【0108】
図14の(a)~(c)を比較するとわかるように、ピントが合っている場合には、hで示される点線円に含まれる高い空間周波数成分の波形がある。また、図14の(a)~(c)に示される周波数スペクトル強度分布では、高い空間周波数成分を除く波形も異なっている。つまり、同一のディスプレイパネル30の画素領域を撮影した検査用画像であっても、ピント位置によりフーリエ変換処理により得られる周波数スペクトル強度分布が異なるので、ピンボケ具合がわかる。そこで、本実施の形態では、フーリエ変換処理により得られる周波数スペクトル強度分布が異なること、撮影装置20が有する光学系におけるピント位置と撮影倍率とには強い相関関係があり、ディスプレイパネル30の画素領域では周期的な構造が形成されていることを利用する。つまり、波数スペクトル強度プロファイルに含まれる基本周波数のピーク位置から、撮影装置20の構造的な性質及び光学系の性質を利用することで、現在ピント位置を推定することができる。
【0109】
また、本実施の形態に係る検査装置10等は、撮影装置20により撮影された検査用画像を1次元に輝度圧縮して得た1次元輝度プロファイルを2回フーリエ変換処理することにより周波数スペクトル強度プロファイルを生成してもよい。これにより、周波数スペクトル強度プロファイルから基本周波数を推定することが容易になる。
【0110】
また、倍率情報は、撮影装置20の光学的な性質から得たものでなくもよい。より具体的には、倍率情報は、撮影装置20の複数のピント位置のそれぞれにおいて撮影されたディスプレイパネル30の画素領域の画像の1次元輝度プロファイルを、フーリエ変換処理することにより得た基本周波数の値と、複数のピント位置との関係を示す情報であってもよい。ここで、基本周波数の値を撮影倍率としている。
【0111】
これにより、1回または2回のフーリエ変換処理を行うことにより生成した周波数スペクトル強度プロファイルの基本周波数から、倍率情報を利用して、直接現在ピント位置を推定できるので、高速に現在ピント位置を推定できる。
【0112】
また、本実施の形態に係る検査装置10等は、さらに、推定した現在ピント位置と倍率情報とから、合焦に必要な撮影装置20の移動量を算出し、算出した移動量を用いて、撮影装置20の位置を調整してもよい。
【0113】
このように、現在ピント位置と合焦に必要な撮影装置20の移動量とは、倍率情報及び検査用画像を用いて演算処理のみで得られるので、専用のハードウェアを必要とせず、高速にオートフォーカスさせる処理を行うことができる。
【0114】
つまり、本実施の形態に係る検査装置10等によれば、専用のハードウェアを必要とせず、高いピント精度でかつ高速にオートフォーカスさせることができる。
【0115】
換言すると、本実施の形態に係る検査装置10等は、専用のAF用ハードウェアを必要とせず、撮影装置20が撮影した検査用画像そのものを用いてオートフォーカス(AF)を行うための処理を高速に行うことができる。これにより、専用のAF用ハードウェアを必要とせず、ピント精度が高くキャリブレーションが不要という利点を持つ高速なAF処理を実現できる。
【0116】
以上、本開示に係る検査装置及び検査方法などについて、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態及び変形例に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0117】
また、以下に示す形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0118】
(1)上記の検査装置を構成する構成要素の一部は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、GPU、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。前記RAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0119】
(2)上記の検査装置を構成する構成要素の一部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、GPUなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサまたは前記GPUが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0120】
(3)上記の検査装置を構成する構成要素の一部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、GPUなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサまたは前記GPUが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0121】
(4)また、上記の検査装置を構成する構成要素の一部は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0122】
また、上記の判定装置を構成する構成要素の一部は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0123】
(5)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0124】
(6)また、本開示は、マイクロプロセッサとGPUとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサまたは前記GPUは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0125】
(7)また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0126】
(8)また、上記の検査装置を構成する構成要素の一部をクラウドまたはサーバ装置でおこなってもよい。
【0127】
(9)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本開示はディスプレイパネルの画素領域の検査用画像を用いて検査する検査工程において検査用画像を撮影する際に低コストかつ高いピント精度でかつ高速にオートフォーカスさせることができる検査方法、検査装置及びプログラムなどに利用できる。
【符号の説明】
【0129】
10 検査装置
20 撮影装置
21 ステージ
22 ステージ駆動部
30 ディスプレイパネル
61、65 検査用画像
62、63、66 1次元輝度プロファイル
63a、63b、66a、66b 周波数スペクトル強度プロファイル
101 取得部
102 生成部
103 算出部
104 推定部
105 ピント調整部
1000 コンピュータ
1001 入力装置
1002 出力装置
1003 CPU
1004 内蔵ストレージ
1005 RAM
1006 GPU
1007 読取装置
1008 送受信装置
1009 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13