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特開2024-40767RFIDタグ用ブーストアンテナ、及び、RFIDタグ付き装着ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040767
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】RFIDタグ用ブーストアンテナ、及び、RFIDタグ付き装着ユニット
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240318BHJP
   H01Q 19/02 20060101ALI20240318BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G06K19/077 296
H01Q19/02
H01Q1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145334
(22)【出願日】2022-09-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年7月20日~22日 東京ビッグサイト東展示棟 ブース番号M4-005にてネジ型RFID、ボルトRFIDタグを展示し公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】平田 周孝
【テーマコード(参考)】
5J020
5J046
【Fターム(参考)】
5J020AA02
5J020AA03
5J020BA02
5J020BC08
5J020BD03
5J020BD04
5J020CA02
5J020DA02
5J046AA02
5J046AA03
5J046AB06
5J046QA02
(57)【要約】
【課題】配置される場所によらず、通信距離向上に対応可能なRFIDタグ用ブーストアンテナ、及び、RFIDタグ付き装着部材を提供する。
【解決手段】このRFIDタグ用ブーストアンテナは、被着体Aに挿入する部分を有するインサート部51と、電波を送受信するRFIDタグ52と、RFIDタグ52を内蔵した頭部53と、を備えたRFIDタグ付き装着部材に装備する。RFIDタグ用ブーストアンテナは、インサート部51が貫通する孔部111を有し、被着体Aに添えられるスティック状のベース基材と、孔部111の周囲乃至半周囲み、RFIDタグ52と電気的接続又は電磁界結合する接続部121と、接続部121に連続し、ベース基材に添うブーストアンテナエレメントと、を有するアンテナ基材と、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に挿入されるインサート部と、電波を送受信するRFIDタグと、前記RFIDタグを内蔵した頭部と、を備えたRFIDタグ付き装着部材に装備するRFIDタグ用ブーストアンテナであって、
前記インサート部が貫通する孔部を有し、前記被着体に添えられるスティック状のベース基材と、
前記孔部の周囲乃至半周囲み、前記RFIDタグと電気的接続又は電磁界結合する接続部と、前記接続部に連続し、前記ベース基材に添うブーストアンテナエレメントと、を有するアンテナ基材と、
を備えているRFIDタグ用ブーストアンテナ。
【請求項2】
前記ブーストアンテナエレメントは、前記被着体又は前記ベース基材から離間可能とされている、
請求項1に記載のRFIDタグ用ブーストアンテナ。
【請求項3】
前記ブーストアンテナエレメントは、樹脂封止され、又はアンテナフィルムで被覆されている、
請求項2に記載のRFIDタグ用ブーストアンテナ。
【請求項4】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記アンテナ基材が前記ベース基材に対して傾斜姿勢となることによって前記被着体から離間させる係止機構を備え、
前記係止機構は、前記ベース基材の一端側に設けられた穴部と、当該穴部内でスライドする主動部材と、前記アンテナ基材に設けられた凹部及び従動部材と、前記アンテナ基材の一端側と前記ベース基材の一端側とを係合する係合部と、を備え、
前記ベース基材の穴部は、前記主動部材が嵌る窪み部と、当該窪み部に隣り合う開口部と、を有し、
前記主動部材は、前記開口部から前記アンテナ基材側へ突出する突出部と、前記インサート部が貫通する一方の連通部及び他方の連通部と、を有し、
前記従動部材は、前記ベース基材の開口部内に突出する状態と、前記主動部材に当たる状態とに転換する突出した部位を有し、
前記係合部は、前記ベース基材の一端側と前記アンテナ基材の一端側の一方又は他方にそれぞれ設けられた軸と軸受けとを備え、
前記アンテナ基材が前記ベース基材と重なる重合姿勢では、前記インサート部が前記一方の連通部に挿通され、前記主動部材が仮固定され、前記主動部材の突出部が前記アンテナ基材の開口部に入り、
前記アンテナ基材が前記ベース基材に対して傾斜する傾斜姿勢では、前記インサート部が前記他方の連通部に挿通され、前記主動部材が仮固定され、前記主動部材の突出部がアンテナ基材の従動部材を押し上げる、
請求項3に記載のRFIDタグ用ブーストアンテナ。
【請求項5】
前記ベース基材は、前記被着体から離間させる折目となる複数の屈曲部を有し、
前記ブーストアンテナエレメントは、前記ベース基材の屈曲部で折り曲げ可能とされ

前記アンテナ基材は、前記ブーストアンテナエレメントを覆うアンテナフィルムを備えている、
請求項2に記載のRFIDタグ用ブーストアンテナ。
【請求項6】
前記屈曲部は、前記ベース基材及び前記アンテナ基材がコの字状又はヘの字状、逆F型アンテナ、その他の任意の方向に折曲できるように形成されている、
請求項5に記載のRFIDタグ用ブーストアンテナ。
【請求項7】
前記ブーストアンテナエレメントは、前記ベース基材に重なった位置と、スライドすることによって前記ベース基材を延伸するような位置とに離間可能なスライド部材を備え、
前記接続部は、伸縮自在とされている、
請求項2に記載のRFIDタグ用ブーストアンテナ。
【請求項8】
請求項1に記載のRFIDタグ用ブーストアンテナと、
被着体に挿入する部分を有するインサート部と、電波を送受信するRFIDタグと、前記RFIDタグを内蔵した頭部と、を備えたRFIDタグ付き装着部材と、
を備えているRFIDタグ付き装着ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部を有するボルトや頭部を有するピンのような装着部材の頭部にRFID(Radio Frequency Identification)タグを内蔵したRFIDタグ付き装着部材に装備されるRFIDタグ用ブーストアンテナ、及び、RFIDタグ付き装着部材にRFIDタグ用ブーストアンテナを装備したRFIDタグ付き装着ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグは、ICチップにアンテナを接続したもので、アクティブタイプやパッシブタイプなどに分類される。アクティブタイプは、自ら電源を備えている。パッシブタイプは、リーダライタから照射される電波をエネルギーとして駆動する。RFIDタグは、リーダライタとデータの交信がされ、各種のデータが読み書きされる。
【0003】
特許文献1には、使用履歴などを必要とする金属物品などに固定されるブーストアンテナ付きRFIDタグについての発明が記載されている。このブーストアンテナ付きRFIDタグは、ブーストアンテナと小型のRFIDタグとを組み合わせることによって通信距離を向上させることができる。ブーストアンテナは、放射部とグランド部と短絡部とを含んでいる。放射部とグランド部は、導電性材料で対向するように形成されている。短絡部は、放射部の一端とグランド部の一端とを接続するとともに、放射部とグランド部とを互いに電気的に導通する。
【0004】
このブーストアンテナ付きRFIDタグは、グランド部が金属部品のような導体に設置されることで、放射部がグランド部の延長部分として働き、アンテナの利得が向上し、通信距離が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2020/203598号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたブーストアンテナ付きRFIDタグは、RFIDタグがブーストアンテナの放射部とグランド部との間であって、短絡部側に偏った位置に配置される。そして、グランド部には、導体にネジ止めするための一対の取付孔が備えられている。したがって、ブーストアンテナの向きは、取付孔の位置に規制される。ブーストアンテナは、放射部に向かって電波が放射されるという指向性を有する。このブーストアンテナ付きRFIDタグは、配置された場所によっては、ブーストアンテナの指向性が適切な方向とならず、通信距離が向上しないこともある。
【0007】
本発明は、配置される場所によらず、通信距離向上に対応可能なRFIDタグ用ブーストアンテナ、及び、RFIDタグ付き装着部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナは、
被着体に挿入されるインサート部と、電波を送受信するRFIDタグと、前記RFIDタグを内蔵した頭部と、を備えたRFIDタグ付き装着部材に装備するRFIDタグ用ブーストアンテナであって、
前記インサート部が貫通する孔部を有し、前記被着体に添えられるスティック状のベース基材と、
前記孔部の周囲乃至半周囲み、前記RFIDタグと電気的接続又は電磁界結合する接続部と、前記接続部に連続し、前記ベース基材に添うブーストアンテナエレメントと、を有するアンテナ基材と、
を備えている。
【0009】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記ブーストアンテナエレメントは、前記被着体又は前記ベース基材から離間可能とされている。
【0010】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記ブーストアンテナエレメントは、樹脂封止され、又はアンテナフィルムで被覆されている。
【0011】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記アンテナ基材が前記ベース基材に対して傾斜姿勢となることによって前記被着体から離間させる係止機構を備え、
前記係止機構は、前記ベース基材の一端側に設けられた穴部と、当該穴部内でスライドする主動部材と、前記アンテナ基材に設けられた凹部及び従動部材と、前記アンテナ基材の一端側と前記ベース基材の一端側とを係合する係合部と、を備え、
前記ベース基材の穴部は、前記主動部材が嵌る窪み部と、当該窪み部に隣り合う開口部と、を有し、
前記主動部材は、前記開口部から前記アンテナ基材側へ突出する突出部と、前記インサート部が貫通する一方の連通部及び他方の連通部と、を有し、
前記従動部材は、前記ベース基材の開口部内に突出する状態と、前記主動部材に当たる状態とに転換する突出した部位を有し、
前記係合部は、前記ベース基材の一端側と前記アンテナ基材の一端側の一方又は他方にそれぞれ設けられた軸と軸受けとを備え、
前記アンテナ基材が前記ベース基材と重なる重合姿勢では、前記インサート部が前記一方の連通部に挿通され、前記主動部材が仮固定され、前記主動部材の突出部が前記アンテナ基材の開口部に入り、
前記アンテナ基材が前記ベース基材に対して傾斜する傾斜姿勢では、前記インサート部が前記他方の連通部に挿通され、前記主動部材が仮固定され、前記主動部材の突出部がアンテナ基材の従動部材を押し上げる。
【0012】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記ベース基材は、前記被着体から離間させる折目となる複数の屈曲部を有し、
前記ブーストアンテナエレメントは、前記ベース基材の屈曲部で折り曲げ可能とされ、
前記アンテナ基材は、前記ブーストアンテナエレメントを覆うアンテナフィルムを備えている。
【0013】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記屈曲部は、前記ベース基材及び前記アンテナ基材がコの字状又はヘの字状、逆F型アンテナ、その他の任意の方向に折曲できるように形成されている。
【0014】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記ブーストアンテナエレメントは、前記ベース基材に重なった位置と、スライドすることによって前記ベース基材を延伸するような位置とに離間可能なスライド部材を備え、
前記接続部は、伸縮自在とされている。
【0015】
本発明に係るRFIDタグ付き装着ユニットは、
本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナと、
被着体に挿入する部分を有するインサート部と、電波を送受信するRFIDタグと、前記RFIDタグを内蔵した頭部と、を備えたRFIDタグ付き装着部材と、
を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配置される場所によらず、通信距離向上に対応可能なRFIDタグ用ブーストアンテナ、及び、RFIDタグ付き装着部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を表側から見た分解斜視図である。
図2】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を裏側から見た斜視図である。
図3】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を示す断面正面図である。
図4】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を表側から見た斜視図である。
図5】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を裏側から見た斜視図である。
図6】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を示す断面正面図である。
図7】本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナに備えられた接続部であって、(a)~(e)は異なる態様を示す斜視図、(f)は好ましくない態様を示す斜視図である。
図8】本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナの第2の実施形態の第1例を示す平面図である。
図9】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第1例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体に沿った状態を示す正面図である。
図10】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第1例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体から離れた状態を示す正面図である。
図11】本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナの第2の実施形態の第2例を示す平面図である。
図12】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第2例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体に沿った状態を示す正面図である。
図13】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第2例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体から離れた状態を示す正面図である。
図14】本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナの第2の実施形態の第3例を示す平面図である。
図15】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第3例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体に沿った状態を示す正面図である。
図16】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第3例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体から離れた状態を示す正面図である。
図17】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第3の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を表側から見た斜視図である。
図18】本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第3の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を表側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔RFIDタグ付き装着部材〕
本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナを装備するRFIDタグ付き装着部材について、図3及び図6を参照しながら説明する。図3は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を示す断面正面図である。図6は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を示す断面正面図である。
【0019】
本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナ(以下、主として「ブーストアンテナ」という。)10を装備するRFIDタグ付き装着部材(以下、主として「装着部材」という。)50は、インサート部51と、RFID(Radio Frequency Identification)タグ52と、頭部53と、を備えている。
【0020】
インサート部51は、各種パレットや各種コンテナなどの被着体Aに設けられた固定用孔(採番せず)に挿入される。装着部材50は、インサート部51に図示しないネジ山を形成したボルト、あるいは、ネジ山を形成しないピンなど限定するものでない。
【0021】
インサート部51の頭部53側の頂端面には、RFIDタグ52が接着剤などによって固定される。RFIDタグ52は、パッシブ型タグである。すなわち、このRFIDタグ52は、バッテリーを内蔵せず、リーダライタ(図示せず)から電波を受けて、この電波を電源として駆動する。RFIDタグ52は、情報を記録するICチップと、無線通信するためのアンテナとを組み合わせた超小型(例えば、縦・横・厚さが2.5mm・2.5mm・0.375mm)のチップ状の電子部品である。
【0022】
頭部53は、インサート部51の頂部を拡径するように設けられる。頭部53内には、RFIDタグ52を囲むような螺旋状の主アンテナ54が埋め込まれている。主アンテナ54は、RFIDタグ52に入出力する電波を送受信しやすくする。頭部53の外周面には、長さ方向に平目のようなローレット目が形成されている。ただし、頭部53の外周面には、ローレット目が形成されていなくてもよいし、六角ボルトのような頭部53に形成されてもよい。頭部53の中心側は、RFIDタグ52をインサート部51の頂端面に固定した直後において、穴状に成形されているが、樹脂55によって封止される。
【0023】
〔ブーストアンテナの第1の実施形態〕
装着部材50に装備される第1の実施形態のブーストアンテナ10について、図1乃至図7を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を表側から見た分解斜視図である。図2は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を裏側から見た斜視図である。図3は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を示す断面正面図である。
【0025】
図4は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を表側から見た斜視図である。図5は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を裏側から見た斜視図である。図6は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第1の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を示す断面正面図である。
【0026】
図7は、本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナに備えられた接続部であって、(a)~(e)は異なる態様を示す斜視図、(f)は好ましくない態様を示す斜視図である。
【0027】
装着部材50に装備される第1の実施形態のブーストアンテナ10は、ベース基材11と、アンテナ基材12と、を備えている。ベース基材11は、被着体Aに添えられるスティック状の部材である。ベース基材11の一端側に孔部111が設けられ、他端側に取付孔112が設けられている。孔部111には、装着部材50のインサート部51が挿通される。取付孔112には、ボルトやピンなどの固定部材(以下、「ボルト」として説明する。)60が挿通される。被着体Aには、孔部111と取付孔112に連通する位置にネジ孔などの固定用孔が設けられている。この固定用孔に装着部材50のインサート部51とボルト60が締められることで、ベース基材11が被着体Aに固定される。
【0028】
アンテナ基材12は、導電性の接続部121と、図1乃至図6において図示しない導電性のブーストアンテナエレメント(図8図11では221)と、これらを樹脂封止する被覆部材123と、を有している。ブーストアンテナエレメントは、使用状況に合わせてミアンダ形状や長方形状(図14参照)などの形態が選定される。
【0029】
図7(a)~(e)に示すように、接続部121は、孔部111の周囲又は半周だけ囲む。接続部121は、図7(a)に示すような円リング形状、図7(b)に示すような外側が四角で内側が円のリング形状、図7(c)に示すような四角枠状、図7(d)に示すような半円形、図7(e)に示すような孔部111を半分だけ囲む角形状など、種々の形状であってもよい。ただし、図7(f)に示すように、弧形状の接続部121は、好ましくない。このような接続部121は、RFIDタグ52と隙間を空けて対峙する。隙間の間隔が狭い接続部121とRFIDタグ52は、電気的接続され、隙間の間隔が広い接続部121とRFIDタグは、電磁界結合される。
【0030】
アンテナ基材12の被覆部材123は、ベース基材11に重なる大きさのスティック状の裏面側バー123aとスティック状の表面側バーと123bがブーストアンテナエレメントを挟むように重ね合わせている。
【0031】
アンテナ基材12は、ベース基材11から離間可能に設けられている。具体的には、アンテナ基材12は、ベース基材11に重なる重合姿勢(図1乃至図3参照)と、ベース基材11から離れた傾斜姿勢(図4乃至図6参照)とに姿勢転換ができるようにされている。
【0032】
そのため、ブーストアンテナ10は、係止機構13を備えている。係止機構13は、ベース基材11の一端側に設けられた穴部131と、この穴部131内でスライドし、アンテナ基材12の姿勢を転換させる主動部材132と、アンテナ基材12の一端側とベース基材11の一端側とを係合する係合部133と、を備えている。係合部133は、アンテナ基材12の一端側の側面から突出した軸133aと、ベース基材11の一端側に設けられ、軸133aを嵌める軸受け133bとを備えている。
【0033】
ベース基材11の穴部131は、主動部材132が嵌る窪み部131aと、この窪み部131aに隣り合う開口部131bと、を有している。窪み部131aは、嵌められる主動部材132が穴部131から抜け出ないように設けられる。主動部材132は、傾斜孔132aと、突出部132bと、2か所の連通部132d,132eと、を有している。主動部材132の突出部132bは、アンテナ基材12の姿勢を転換させるため、開口部131bからアンテナ基材12側へ突出した状態で開口部131b内を移動する。傾斜孔132aは、一端側から他端側へ次第に大きくなる。突出部132bは、一端側から他端側へ次第に厚肉になるような傾斜面とされている。一方の連通部132dは、主動部材132の一端面に入り込む凹曲面状に形成され,主動部材132がアンテナ基材12を押し上げない位置で孔部111と連続する。他方の連通部132eは、筒状に形成され、主動部材132がアンテナ基材12を押し上げる位置で孔部111と連通する。
【0034】
アンテナ基材12は、ベース基材11に重なる姿勢で主動部材132の突出部132bが入る凹部124と、この凹部124に隣り合い、主動部材132に追従するように突出した従動部材125と、を有している。凹部124は、裏面側バー123aの一端側にコの字状の切欠き部を形成し、表面側バー123bが切欠き部を覆うようにして設けられる。従動部材125は、アンテナ基材12の凹部124内に位置するように表面側バー123bに固定される。従動部材125には、ベース基材11の開口部131b内に突出する状態と、主動部材132に当たる状態とに転換する突出した部位125aを有している。従動部材125の突出した部位125aは、突出部132bの傾斜孔132aに入り、重合姿勢で突出部132bの傾斜面と平行になる傾斜面を有している。
【0035】
このようなブーストアンテナを装着部材50が装備したRFIDタグ付き装着ユニット(以下、主として「装着ユニット」という。)は、各種のパレットや各種のコンテナなどの被着体Aに固定される。ブーストアンテナ10の孔部111に挿通された装着部材50のインサート部51が被着体Aの固定用孔に締結される。ブーストアンテナ10の取付孔112から被着体Aの固定用孔にボルト60が締め付けられる。このようにして装着ユニットが被着体Aに固定される。
【0036】
被着体Aがプラスチック製である場合や、あるいは容器内に水などの誘電率が高い液体が溜められていない場合は、図1乃至図3に示すように、アンテナ基材12を被着体Aに重ねた重合姿勢とする。図2に示すように、この姿勢において、装着部材50のインサート部51は、一方の連通部132dに嵌められた状態となる。したがって、主動部材132は、仮固定された状態に位置ずれしない。図3に示すように、主動部材132の突出部132bは、アンテナ基材12の基材の凹部124内に入った状態となり、突出部132bの傾斜面と従動部材125の傾斜面とが隙間を空けて向き合う。このような状態となることにより、アンテナ基材12はベース基材11に重なる。
【0037】
装着ユニットの装着部材50に備えられたRFIDタグ52には、装着ユニットが固定された容器内の製品などの管理番号や製造年月日、入出庫管理などの種々の情報がリーダライタによって読み書きされる。リーダライタから送受信される電波は、微弱であってもブーストアンテナ10によってブーストされ、RFIDタグ52に読み書きされる。
【0038】
図7(a)~(e)に示すように、ブーストアンテナに連続する接続部121でRFIDタグ52と直接、又は主ブーストアンテナを介してRFIDタグ52と電気的接続または磁界結合によって、電波は送受信される。いずれにしても、プラスチック製の被着体Aや水などの誘電率が高い液体が溜められない容器のような被着体Aにあっては、電波の送受信に影響しないため、アンテナ基材12がベース基材11に重なり合っていても、障害なく、電波が送受信され、RFIDタグ52に情報の読み書きをすることができる。
【0039】
他方、被着体Aが金属板やペール缶のような金属製である場合や、水などの誘電率が高い液体を溜める容器である場合は、アンテナ基材12がベース基材11と重なっていると、電波の送受信に障害が発生するおそれがある。したがって、このような場合は、図4乃至図6に示すように、アンテナ基材12を傾斜姿勢とする。
【0040】
アンテナ基材12を傾斜姿勢とするには、図5に示すように、装着部材50のインサート部51が筒状の他方の連通部132eを貫通するようにする。このインサート部51の先端部は、被着体Aの固定用孔に結合することで、装着ユニットが被着体Aに固定される。
【0041】
装着部材50のインサート部51が他方の連通部132eに貫通するように、係合部133は、穴部131の一方側(図において左側)に位置する。図6に示すように、係合部133の傾斜面がアンテナ基材12の従動部材125の突出した部位125aを押し上げる状態となる。しかも、従動部材125の突出した部位125aは、インサート部51が他方の連通部132eを貫通している。したがって、主動部材132は、仮固定された状態に位置ずれしない。したがって、アンテナ基材12は、傾斜した姿勢が維持される。
【0042】
このようにアンテナ基材12が傾斜姿勢となった装着ユニットは、被着体Aが金属製や水などの誘電率が高い液体を溜める容器であっても、被着体Aが障害となることはなく、微弱な電波をブーストアンテナ10がブーストし、リーダライタと送受信し、RFIDタグ52と情報を読み書きすることができる。
【0043】
〔ブーストアンテナの第2の実施形態〕
装着部材50に装備される第2の実施形態第1例のブーストアンテナ20について、図8乃至図10を参照しながら説明する。図8は、本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナの第2の実施形態の第1例を示す平面図である。図9は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第1例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体に沿った状態を示す正面図である。図10は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第1例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体から離れた状態を示す正面図である。
【0044】
装着部材50に装備される第2の実施形態第1例のブーストアンテナ20は、ベース基材21と、アンテナ基材22と、を備えている。このベース基材21の一端側には、装着部材50のインサート部51が挿入される孔部211が形成されている。ベース基材21の他端側には、ネジが挿入される取付孔212が形成されている。
【0045】
ベース基材21は、被着体Aから離間させる折目となる屈曲部213を有している。図9に示すように、屈曲部213は、ベース基材21が(図面では下向き)コの字状に折曲できるように、幅方向のV字状の溝によって形成されている。ベース基材21が被着体Aに重なる側の面(以下、「裏面」という。)の2か所には、一方の孔部211と他方の取付孔212とに近接した位置で広い間隔をもって溝の屈曲部213が形成されている。ベース基材21の他方の側の面(以下、「表面」という。)の2か所には、裏面側の溝よりも狭い間隔をもって溝の屈曲部213が形成されている。
【0046】
ベース基材21の表面には、アンテナ基材22が設けられている。アンテナ基材22は、ブーストアンテナエレメント221と接続部222がベース基材21にパターンニングされることによって設けられる。ブーストアンテナエレメント221と接続部222は、ベース基材21の屈曲部213で折り曲げられても切断されないようにされている。図示したブーストアンテナエレメント221は、ミアンダ形状であるが、使用態様によって長方形や種々の形状にパターンニングされる。
【0047】
接続部222は、ベース基材21の表面で孔部を囲むように設けられる。接続部222は、図7(a)~(e)に示したような種々の形状が採用される。接続部222は、ブーストアンテナエレメント221に連続する。
【0048】
ブーストアンテナエレメント221及び接続部222は、アンテナフィルム223によって覆われる。ブーストアンテナエレメント221は、アンテナフィルム223によって覆われるため、ベース基材21から剥がれないようにすることができる。アンテナフィルム223は、ベース基材21の屈曲部213で折り曲げられても切断されないようにされている。したがって、アンテナ基材22は、ブーストアンテナエレメント221と接続部222とアンテナフィルム223とを備えている。
【0049】
被着体Aがプラスチック製である場合や、あるいは容器内に水などの誘電率が高い液体が溜められていない場合は、図9に示すように、ベース基材21を被着体Aに重ねた重合姿勢とする。ベース基材21の表面に設けられたアンテナ基材22も、折り曲げられないで平坦な状態で被着体Aに添う。
【0050】
他方、被着体Aが金属製である場合や、水などの誘電率が高い液体を溜める容器である場合は、図10に示すように、ベース基材21とアンテナ基材22とを4か所の屈曲部213で山折りと谷折りとに折り曲げることで、下向きコの字状の姿勢とする。そうすると、ブーストアンテナエレメント221が被着体Aから離間し、被着体Aの影響を受けることなく、微弱な電波をブーストアンテナエレメント221がブーストし、そのブーストされた電波をRFIDタグ52が送受信することができる。
【0051】
次に、装着部材50に装備される第2の実施形態第2例のブーストアンテナ20について、図11乃至図13を参照しながら説明する。図11は、本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナの第2の実施形態の第2例を示す平面図である。図12は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第2例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体に沿った状態を示す正面図である。図13は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第2例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体から離れた状態を示す正面図である。
【0052】
装着部材50に装備される第2の実施形態第2例のブースアンテナも、第1例のブーストアンテナ20と同様に、ベース基材21とアンテナ基材22を備えている。ベース基材21は、屈曲部213や孔部211、取付孔212を有する。アンテナ基材22は、ブーストアンテナエレメント221や接続部222、アンテナフィルム223を有する。
【0053】
しかし、この第2例のベース基材21の屈曲部213は、裏面の両側(2か所)と表面の他方側(1か所)に設けられ、表面の一方側に設けられない。第2例のブーストアンテナ20の他の構成は第1例と同様である。
【0054】
被着体Aがプラスチック製である場合や、あるいは容器内に水などの誘電率が高い液体が溜められていない場合は、図12に示すように、ベース基材21を被着体Aに重ねた重合状態とする。すなわち、ベース基材21及びアンテナ基材22は、折り曲げられないで平坦な状態で被着体Aに添う。
【0055】
他方、被着体Aが金属製である場合や、水などの誘電率が高い液体を溜める容器である場合は、図13に示すように、ベース基材21とアンテナ基材22とを3か所の屈曲部213で山折りと谷折りとに折り曲げることで、ヘの字状の姿勢とする。そうすると、ブーストアンテナエレメント221が被着体Aから離間し、被着体Aの影響を受けることなく、微弱な電波をブーストアンテナエレメント221がブーストし、このブーストされた電波をRFIDタグ52が送受信することができる。
【0056】
次に、装着部材50に装備される第2の実施形態第3例のブーストアンテナ20について、図14乃至図16を参照しながら説明する。図14は、本発明のRFIDタグ用ブーストアンテナの第2の実施形態の第3例を示す平面図である。図15は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第3例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体に沿った状態を示す正面図である。図16は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第2の実施形態の第3例であって、ベース基材及びアンテナ基材が被着体から離れた状態を示す正面図である。
【0057】
第2の実施形態第3例のブーストアンテナ20も、第1例のブーストアンテナ20と同様に、ベース基材21とアンテナ基材22を備えている。アンテナ基材22は、屈曲部213や孔部211、接続部222、アンテナフィルム223を有する。図15の態様において、ベース基材21の裏面の他端側の裏面及び表面の一端側の2か所と他端側には、屈曲部213が設けられている。すなわち、ベース基材21の裏面の一端側には、屈曲部213が設けられていない。ベース基材21の一端縁と表面側の一端側の屈曲部213との長さは、他の表面側の一端側の2か所の屈曲部213の間隔よりも長くされている。この屈曲部213の間隔とベース基材21の他端側の2か所の屈曲部213の間隔とは同じとされている。ベース基材21の他端縁と他端側の屈曲部213との長さは、孔部にネジを通せる必要最小限とされる。
【0058】
図15の態様において、アンテナ基材22のブーストアンテナエレメント221は、ベース基材21の表面側に設けられる。ベース基材21の屈曲部213で切断されないように折り曲げ可能とされている。図14に示したブーストアンテナエレメント221は、細長い長方形に形成されている。したがって、このアンテナ基材22のブーストアンテナエレメント221と接続部222は、同じ幅に形成されている。長方形状のブーストアンテナエレメント221は、ミアンダ形状のブーストアンテナエレメント221よりも電気長や共振周波数を容易に設定することができる。ただし、接続部222は、図7(a)~(e)のように形成してもよい。また、ブーストアンテナエレメント221は、ミアンダ形状であってもよい。
【0059】
被着体Aがプラスチック製である場合や、あるいは容器内に水などの誘電率が高い液体が溜められていない場合は、図15に示すように、ベース基材21を被着体Aに重ねた姿勢とする。すなわち、ベース基材21及びアンテナ基材22は、折り曲げられないで平坦な状態とされ、被着体Aに添う。
【0060】
被着体Aが金属製であったり、水などの誘電率が高い液体を溜める容器であったりした場合は、図16に示すように、ベース基材21とアンテナ基材22とが4か所の屈曲部213で山折りと谷折りとに折り曲げることで、逆F型アンテナのように被着体Aから離間した状態とする。逆F型アンテナは、給電点と短絡点がグランド接続され、放射を行う本体部が存在する。
【0061】
図15に示したような被着体Aに沿った向きのブーストアンテナ20は、表裏反転される。したがって、被着体Aに沿った向きのベース基材21の基端側で被着体Aに添っていないブーストアンテナエレメント221はそのままとされ、そのブーストアンテナエレメント221に連続し、屈曲部213と屈曲部213との間のブーストアンテナエレメント221は起立姿勢となり、中間のブーストアンテナエレメント221は被着体Aに向き合う状態となる。
【0062】
〔ブーストアンテナの第3の実施形態〕
装着部材50に装備される第3の実施形態第1例のブーストアンテナ30について、図17及び図18を参照しながら説明する。図17は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第3の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材に沿った状態を表側から見た斜視図である。図18は、本発明のRFIDタグ付き装着ユニットの第3の実施形態であって、アンテナ基材がベース基材から離れた状態を表側から見た斜視図である。
【0063】
第3の実施形態のブーストアンテナ30は、ベース基材31とアンテナ基材32とを備えている。アンテナ基材22は、スライド部材321とブーストアンテナエレメント(図示せず)と接続部323とを有している。スライド部材321は、ベース基材31と同じ幅のスティック状に形成されている。スライド部材321は、ベース基材31上を長さ方向にスライドするスティック状に形成されている。接続部323は、ベース基材31の孔部(図示せず)からブーストアンテナエレメントまでに設けられる。この接続部323は、被覆部材(採番せず)のスライドに追従できるように伸縮可能とされている。
【0064】
ベース基材31は、被着体Aに固定されている。被着体Aが箱形状で角部を有している場合において、ベース基材31は、被着体Aの角部の際に固定される。
【0065】
被着体Aがプラスチック製である場合や、あるいは容器内に水などの誘電率が高い液体が溜められていない場合は、図17に示すように、アンテナ基材32をベース基材31に重ねた状態とする。
【0066】
被着体Aが金属製であったり、水などの誘電率が高い液体を溜める容器であったりした場合は、図18に示すように、スライド部材321がベース基材31から延長し、被着体Aから突出した状態とする。
【0067】
〔その他の実施形態〕
前記各実施形態では、装着部材50が主アンテナ54を頭部53に内蔵するとした。しかし、本発明に係るブーストアンテナ10,20,30は、主アンテナ54を備えない装着部材50に装備してもよい。
【0068】
前記実施形態では、アンテナ基材12,22,33が被着体A又はベース基材11,21,31から離間可能とした。これは、被着体Aが金属製の場合や、水などの誘電率が高い液体を溜める容器であっても確実に微弱な電波を送受信することができるようにするためである。換言すれば、被着体Aが金属製でない場合や、水などの誘電率が高い液体を溜めない容器に限られる場合は、アンテナ基材12,22,33が被着体A又はベース基材11,21,31から離間可能としなくてもよい。
【0069】
第1の実施形態では、アンテナ基材12,22,33が傾斜姿勢となるようにした。しかし、アンテナ基材12,22,33が被着体A又はベース基材11,21,31に対して直角方向に向くようにしてもよい。また、第1の実施形態の係合部133は、アンテナ基材12に軸133aが突出し、ベース基材11に軸受け133bが突出するとした。しかし、係合部133は、ベース基材11に軸133aが突出し、アンテナ基材12に軸受け133bが突出するようにしてもよい。第1の実施形態では、一方の連通部132dが凹曲面状に形成されるとした。しかし、一方の連通部132dも筒状に形成されてもよい。
【0070】
第2の実施形態では、3パターンを示した。しかし、ベース基材21及びアンテナ基材22は、W字状や逆V(Λ)字状、S字状、横向きU字状などに折曲できるようにしてもよい。第2の実施形態では、屈曲部213がV字状の溝によって形成されるとした。しかし、屈曲部213は、U字状の溝や単なる切込によって形成されてもよい。
【0071】
第1及び第3の実施形態では、ブーストアンテナエレメントが樹脂封止されるとした。しかし、ブーストアンテナエレメントが変形しない素材で形成されている場合は、樹脂封止しなくてもよい。
【0072】
〔まとめ〕
以上まとめると、本発明が適用されるRFIDタグ付き装着部材の頭部、RFIDタグマウントユニット及びRFIDタグ付き装着部材は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態をとることができる。
【0073】
本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナ10,20,30は、
被着体Aに挿入する部分を有するインサート部51と、電波を送受信するRFIDタグ52と、前記RFIDタグ52を内蔵した頭部53と、を備えたRFIDタグ付き装着部材に装備するRFIDタグ用ブーストアンテナ10,20,30であって、
前記インサート部51が貫通する孔部111,211を有し、前記被着体Aに添えられるスティック状のベース基材11,21,31と、
前記孔部111,211の周囲乃至半周囲み、前記RFIDタグ52と電気的接続又は電磁界結合する接続部121,222,323と、前記接続部121,222,323に連続し、前記ベース基材11,21,31に添うブーストアンテナエレメント221と、を有するアンテナ基材12,22,32と、
を備えている。
【0074】
この本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナ10,20,30は、微弱な電波がブーストアンテナエレメント221によってブーストされ、接続部121,222,323を介してRFIDタグ付き装着部材に備えられたRFIDタグ52に送受信することができる。
【0075】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナ10,20,30において、
前記アンテナ基材12,22,32は、前記被着体A又は前記ベース基材11,21,31から離間可能に設けられている。
【0076】
このRFIDタグ用ブーストアンテナ10,20,30は、アンテナ基材12,22,32が被着体A又は前記ベース基材11,21,31から離間可能に設けられていることにより、RFIDタグ用ブーストアンテナ10,20,30を備えたRFIDタグ付き装着ユニットが金属製の被着体Aや水などの誘電率が高い液体を溜める被着体Aに固定する場合でも使用することができる。すなわち、被着体Aが金属製や水などの誘電率が高い液体を溜める場合でも、このRFIDタグ用ブーストアンテナは、アンテナ基材12,22,32が被着体A又は前記ベース基材11,21,31から離間させ、微弱の電波をブーストすることができる。
【0077】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナ10,30において、
前記アンテナ基材12,32は、前記ブーストアンテナエレメントを樹脂封止する被覆部材123を有している。
【0078】
このRFIDタグ用ブーストアンテナは、アンテナ基材12,32がブーストアンテナエレメントを樹脂封止する被覆部材123を有していることにより、ブーストアンテナエレメントが変形しやすい材質であっても、アンテナ機体を被着体A又はベース基材11,21,31から離間させやすくすることができる。
【0079】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記アンテナ基材12が前記ベース基材11に対して傾斜姿勢となることによって前記被着体Aから離間させる係止機構13を備え、
前記係止機構13は、前記ベース基材11の一端側に設けられた穴部131と、当該穴部131内でスライドする主動部材132と、前記アンテナ基材12に設けられた凹部124及び従動部材125と、前記アンテナ基材12の一端側と前記ベース基材11の一端側とを係合する係合部133と、を備え、
前記ベース基材11の穴部131は、前記主動部材132が嵌る窪み部131aと、当該窪み部131aに隣り合う開口部131bと、を有し、
前記主動部材132は、前記開口部131bから前記アンテナ基材12側へ突出する突出部132bと、前記インサート部51が貫通する一方の連通部132d及び他方の連通部132eと、を有し、
前記従動部材125は、前記ベース基材11の開口部131b内に突出する状態と、前記主動部材132に当たる状態とに転換する突出した部位を有し、
前記係合部133は、前記ベース基材11の一端側と前記アンテナ基材12の一端側の一方又は他方にそれぞれ設けられた軸133aと軸受け133bとを備え、
前記アンテナ基材12が前記ベース基材11と重なる重合姿勢では、前記インサート部51が前記一方の連通部132dに挿通され、前記主動部材132が仮固定され、前記主動部材132の突出部132bが前記アンテナ基材12の開口部131bに入り、
前記アンテナ基材12が前記ベース基材11に対して傾斜する傾斜姿勢では、前記インサート部51が前記他方の連通部132eに挿通され、前記主動部材132が仮固定され、前記主動部材132の突出部132bがアンテナ基材12の従動部材125を押し上げる。
【0080】
この本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナは、主動部材132や係合部133を含む係止機構13を備えていることにより、アンテナ基材12が重合姿勢と傾斜姿勢とに転換することができる。係止機構13に備えられた主動部材132の一方の連通部132d又は他方の連通部132eにインサート部51が挿通されることで、主動部材132を仮固定した状態とし、位置ずれないいため、アンテナ基材12が重合姿勢又は傾斜姿勢を維持することができる。
【0081】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記ベース基材21は、前記被着体Aから離間させる折目となる複数の屈曲部213を有し、
前記ブーストアンテナエレメント221は、前記ベース基材21の屈曲部213で折り曲げられ、
前記アンテナ基材は、前記ブーストアンテナエレメント221を覆うアンテナフィルム223を備えている。
【0082】
この本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナは、ベース基材21が折目となる複数の屈曲部213を有し、ブーストアンテナエレメント221が屈曲部213で折り曲げられることにより、ブーストアンテナエレメント221を被着体A又はベース基材21から離間させやすくすることができる。ブーストアンテナエレメント221は、アンテナフィルム223によって覆われるため、ベース基材21から剥がれないようにすることができる。
【0083】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記屈曲部213は、前記ベース基材21及び前記アンテナ基材がコの字状又はヘの字状、任意の方向に折曲できるように形成されている。
【0084】
この本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナは、ベース基材21及びアンテナ基材がコの字状又はヘの字状、逆F型アンテナ、その他の任意の方向に折曲されることで、ブーストアンテナエレメント221を被着体Aから離間させることができる。
【0085】
前記本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナにおいて、
前記ブーストアンテナエレメントは、前記ベース基材31に重なった位置と、スライドすることによって前記ベース基材31を延伸するような位置とに離間可能なスライド部材321を備え、
前記接続部121,222は、伸縮自在とされている。
【0086】
この本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナは、スライド部材321がベース基材31に重なった位置と離れた位置とにスライドすることによって、被着体Aが角部を有する場合に、ブーストアンテナエレメントが被着体Aの角部から突出させることができる。
【0087】
本発明に係るRFIDタグ付き装着ユニットは、
本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナと、
被着体Aに挿入する部分を有するインサート部51と、電波を送受信するRFIDタグ52と、前記RFIDタグ52を内蔵した頭部53と、を備えたRFIDタグ付き装着部材と、
を備えている。
【0088】
この本発明に係るRFIDタグ付き装着ユニットは、本発明に係るRFIDタグ用ブーストアンテナをRFIDタグ付き装着部材が装備することで、RFIDタグ付き装着部材に備えられたRFIDタグ52は、微弱な電波でもリードライトすることができる。
【符号の説明】
【0089】
10・・・・ブーストアンテナ
11・・・・ベース基材
111・・・孔部
121・・・接続部
124・・・凹部
125・・・従動部材
125a・・突出した部位
12・・・・アンテナ基材
123・・・被覆部材
13・・・・係止機構
131・・・穴部
131a・・窪み部
131b・・開口部
132・・・主動部材
132b・・突出部
133・・・係合部
133a・・軸
133b・・軸受け
20・・・・ブーストアンテナ
21・・・・ベース基材
211・・・孔部
213・・・屈曲部
22・・・・アンテナ基材
221・・・ブーストアンテナエレメント
222・・・接続部
223・・・アンテナフィルム
30・・・・ブーストアンテナ
31・・・・ベース基材
32・・・・アンテナ基材
321・・・スライド部材
323・・・接続部
50・・・・RFIDタグ付き装着部材(装着部材)
51・・・・インサート部
52・・・・RFIDタグ
53・・・・頭部
60・・・・固定部材
A・・・・・被着体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18