(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040768
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
B60J 3/02 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
B60J3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145335
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深津 剛
(57)【要約】
【課題】バイザ本体による遮光面積を確保しつつ狭いスペースに取付け可能な車両用サンバイザを提供する。
【解決手段】車両用サンバイザ1は、バイザ本体2を有する。バイザ本体2の側縁2eから側方に横軸3が延出する。横軸3は、車両に対して回動可能に支持されてバイザ本体2を上下方向に回動可能に支持する。横軸3から下方に縦軸4が延出する。縦軸4は、バイザ本体2を横方向に回動可能に支持する。縦軸4の全長は、バイザ本体2が横軸3から垂下する使用位置Pにおいて、バイザ本体2の厚み方向である正面視でバイザ本体2上またはバイザ本体2内において延出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用サンバイザであって、
バイザ本体と、
前記バイザ本体の側縁から側方に延出しかつ車両に対して回動可能に支持されて前記バイザ本体を上下方向に回動可能に支持する横軸と、
前記バイザ本体が前記横軸から垂下する使用位置において前記バイザ本体の厚み方向である正面視で全長が前記バイザ本体上または前記バイザ本体内において前記横軸から下方に延出して前記バイザ本体を横方向に回動可能に支持する縦軸を有する車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用サンバイザであって、
前記バイザ本体には、前記正面視において前記横軸と前記縦軸の連結部と前記横軸とを露出するように前記厚み方向に窪む凹部が形成されている車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項1に記載された車両用サンバイザであって、
前記縦軸に沿って前記バイザ本体が移動することを許容するスライド支持部が前記バイザ本体に設けられ、
前記使用位置における前記バイザ本体の上縁には、前記横軸が前記バイザ本体の上縁から出ることを許容するように上方に開口する切り欠き部が設けられる車両用サンバイザ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載された車両用サンバイザであって、
前記横軸が延出する前記側縁の反対側において前記バイザ本体を前記車両に着脱可能に装着するサポート機構を有し、
前記サポート機構は、
(A)前記使用位置における前記バイザ本体の上縁に沿って上方に開口するサポート溝と、
前記車両から延出しかつ前記サポート溝に着脱可能に取付けられるサポート軸とを有する、あるいは
(B)前記バイザ本体の前記反対側から側方に突出するサポート軸と、
前記車両に設けられ、前記サポート軸が着脱可能に取付けられるサポート溝を有する、あるいは
(C)前記バイザ本体の前記反対側に設けられかつ前記車両に設けられた第1係止部に磁力を有して着脱される第2係止部を有する、車両用サンバイザ。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1つに記載された車両用サンバイザであって、
前記バイザ本体を上方へ付勢するように前記横軸を付勢するクリップが車両側に設けられる、車両用サンバイザ。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1つに記載された車両用サンバイザであって、
前記横軸の一端を回動可能に支持する横軸取付部が、車体または車体に取付けられる車両部品に設けられる、車両用サンバイザ。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1つに記載された車両用サンバイザであって、
前記バイザ本体は、前記正面視において外周から内周に窪まない略矩形状である車両用サンバイザ。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1つに記載された車両用サンバイザであって、
前記バイザ本体には、前記縦軸に沿って前記バイザ本体が移動することを許容するスライド支持部と、
前記バイザ本体を前記使用位置において前記縦軸に対して上限位置で解除可能に保持する定位置保持部を有する車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用サンバイザは、板状のバイザ本体と、バイザ本体を回動可能に支持する支軸を有している。例えば特許文献1のバイザ本体は、角部に切り欠き部を有し、切り欠き部から支軸の横軸が側方に延出している。横軸の先端から縦軸が延出している。縦軸の先端が車室天井面に装着されたブラケットに回動可能に支持されている。特許文献2のバイザ本体は、角部に切り欠き部を有し、切り欠き部から支軸の縦軸が上方に延出している。縦軸の先端から横軸が延出している。横軸の先端が車室天井面に装着されたブラケットに回動可能に支持されている。いずれのバイザ本体も支軸の横軸を軸中心として、フロントガラスに沿う使用位置と天井面に沿う格納位置との間で回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-41734号公報
【特許文献2】特開2007-22476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1と特許文献2の支軸の横軸と縦軸は、いずれも正面視においてバイザ本体から飛び出ている。そのためバイザ本体とブラケットの間に隙間が生じてしまう。しかもバイザ本体やブラケットを車室天井面に設けることが困難な場合がある。例えば天井面のスペースが小さい場合、あるいは車室内高さを確保するために天井面への取付け場合に制限がある場合がある。そこで、バイザ本体による遮光面積を確保しつつ狭いスペースに取付け可能な車両用サンバイザが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、バイザ本体を有する。バイザ本体の側縁から側方に横軸が延出する。横軸は、車両に対して回動可能に支持されてバイザ本体を上下方向に回動可能に支持する。横軸から下方に縦軸が延出する。縦軸は、バイザ本体を横方向に回動可能に支持する。縦軸の全長は、バイザ本体が横軸から垂下する使用位置において、バイザ本体の厚み方向である正面視でバイザ本体上またはバイザ本体内において延出する。
【0006】
したがってバイザ本体を使用状態にすると、縦軸の全長がバイザ本体上またはバイザ本体内に位置する。そのため横軸のみがバイザ本体と車両の間の隙間に位置する。その結果、バイザ本体と車両の間が狭い場合であってもバイザ本体を車両に取付けることができる。そしてバイザ本体は、縦軸と厚み方向においてオーバーラップする。そのためバイザ本体による遮光面積も広く確保できる。しかも例えばバイザ本体を薄くすることも可能である。すなわちバイザ本体を天井に沿う格納位置Kへ付勢する付勢構造を横軸が取付けられる車両側に設けることができる。これによりバイザ本体を薄くすることができる。
【0007】
本開示の他の1つの特徴によると、バイザ本体には、正面視において横軸と縦軸の連結部と、横軸とを露出するように厚み方向に窪む凹部が形成されている。すなわち横軸は、正面視においてバイザ本体上に位置する基部を有する。その基部が全長に渡って露出している。縦軸を中心にバイザ本体を使用位置からサイド位置に横方向に回動させる。その際、横軸の基部の裏側を覆うバイザ本体は、横軸よりも裏方向へ移動する。そして横軸の基部の表側には、バイザ本体が存在しない。そのためバイザ本体は、横軸の基部に干渉すること無く、使用位置からサイド位置に回動できる。
【0008】
本開示の他の1つの特徴によると、バイザ本体には、縦軸に沿ってバイザ本体が移動することを許容するスライド支持部が設けられる。使用位置におけるバイザ本体の上縁には、横軸がバイザ本体の上縁から出ることを許容するように上方に開口する切り欠き部が設けられる。したがって使用時においてバイザ本体を縦軸に沿って下げると、横軸の基部がバイザ本体の切り欠き部から現れる。すなわち横軸がバイザ本体の上縁から出る。縦軸を中心にバイザ本体を使用位置からサイド位置に横方向に回動させる。その際、横軸の基部は、バイザ本体に覆われていない。そのためバイザ本体は、横軸の基部に干渉すること無く、使用位置からサイド位置に回動できる。
【0009】
本開示の他の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、横軸が延出する側縁の反対側においてバイザ本体を車両に着脱可能に装着するサポート機構を有する。サポート機構は、サポート溝とサポート軸を有する。サポート溝は、使用位置におけるバイザ本体の上縁に沿って上方に開口する。サポート軸は、車両からバイザ本体の他側縁に向けて延出し、サポート溝に着脱可能に取付けられる。したがってサポート溝がバイザ本体の上縁に位置する。これによりバイザ本体の遮光面積を狭くすることなく、サポート機構が構成される。しかも溝と軸という簡易な構造で構成され得る。
【0010】
本開示の他の1つの特徴によると、サポート機構は、サポート軸とサポート溝を有する。サポート軸は、横軸が延出するバイザ本体の側縁の反対側の他側縁から側方に突出する。サポート溝は車両に設けられている。サポート軸は、サポート溝に着脱可能に取付けられる。したがってサポート軸は、バイザ本体の他側縁に設けられる。そのためバイザ本体の上部を凹ませることなく、サポート軸が設けられる。これによりバイザ本体の遮光面積を狭くすることなく、サポート機構が構成される。しかも溝と軸という簡易な構造で構成され得る。
【0011】
本開示の他の1つの特徴によると、サポート機構は、第1係止部と第2係止部を有している。第1係止部は、車両に設けられている。第2係止部は、横軸が延出するバイザ本体の側縁の反対側の他側縁に設けられている。第1係止部は、磁力を利用して第2係止部に着脱可能に取付けられる。したがってサポート機構は、例えばバイザ本体の上部を凹ませることなく設けられる。これによりバイザ本体の遮光面積を狭くすることなく、サポート機構が構成される。しかもサポート機構は、磁力を利用する構成であるため、バイザ本体と車両の隙間が狭い場合であっても設けられ得る。
【0012】
本開示の他の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、バイザ本体を上方へ付勢するように横軸を付勢するクリップが車両側に設けられる。したがって、バイザ本体を上下方向に回動させる回動機構を、バイザ本体内に設ける必要がない。これにより、バイザ本体の厚さを抑えることができる。よって、車室内空間をより広くすることができる。
【0013】
本開示の他の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、横軸取付部が、車体または車体に取付けられる車両部品に設けられる。横軸取付部は、横軸の一端を回動可能に支持する。したがって、横軸を支持する従来のブラケットを車両の天井面に取り付ける必要がない。これにより天井裏のスペースが狭い場合であってもバイザ本体を取付けることができる。
【0014】
本開示の他の1つの特徴によると、バイザ本体は、正面視において外周から内周に窪まない略矩形状である。したがってバイザ本体による遮光面積を広く確保できる。
【0015】
本開示の他の1つの特徴によると、バイザ本体は、スライド支持部と定位置保持部を有する。スライド支持部は、縦軸に沿ってバイザ本体が移動することを許容する。定位置保持部は、バイザ本体を使用位置において縦軸に対して上限位置で解除可能に保持する。したがって使用時にバイザ本体が不本意に下がってしまうことが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】車両天井に取付けられたサンバイザと車両内部の一部の斜視図である。
【
図2】実施例1に係る車両用サンバイザの分解斜視図である。
【
図3】凹部近傍におけるバイザ本体の側面拡大図である。
【
図4】サイド位置におけるバイザ本体の回動を示す図である。
【
図6】実施例2に係るバイザ本体が定位置の際の支軸とスライド支持部の斜視図である。
【
図7】バイザ本体が下げ位置の際の支軸とスライド支持部の斜視図である。
【
図8】実施例3に係るサポート機構の模式図である。
【
図9】実施例4に係るサポート機構の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施例1>
本発明の1つの実施形態について図面を用いて説明する。車両用サンバイザ1は、
図1に示すように板状のバイザ本体2と、車両の天井面14に装着されるガーニッシュ6を備える。ガーニッシュ6は、フロントガラス15の上辺に隣接するように天井面14に装着される。バイザ本体2は、支軸1aを介してガーニッシュ6に装着される。支軸1aは、L字状であって、縦軸4と横軸3を備える。縦軸4はバイザ本体2に挿入されている。横軸3は、縦軸4の端部から側方に延出し、先端部3b(先端)がガーニッシュ6に接続されている。横軸3を軸中心にバイザ本体2は、上下方向に回動される。縦軸4を軸中心にバイザ本体2は、前方の使用位置Pからサイド位置Sへ回動される。
【0018】
図2に示すようにバイザ本体2は、中空板状である。バイザ本体2は、厚み方向に重ねられる第1の芯材2aと第2の芯材2bを備える。第2の芯材2bは、フロントガラス15側に位置する。第2の芯材2b(バイザ本体2)は、バイザ本体2の厚み方向である正面視において外周から内周に窪まない矩形状である。
図3を参照するように第1の芯材2aと第2の芯材2bは、表皮材2kで覆われている。
【0019】
図2に示すように第1の芯材2aには、凹部2dが形成されている。凹部2dは、バイザ本体2が
図1の使用位置Pにおける上側でかつ車両外側(例えば右側)に位置する。したがって
図3に示すように凹部2dは、バイザ本体2を乗員側からフロントガラス15側に厚み方向に窪んでいる。凹部2dは、正面視において横軸3を露出する。詳しくは、バイザ本体2上に位置する横軸3全体と、横軸3と縦軸4の連結部1bを露出する。
【0020】
図1,2に示すように、バイザ本体2にはミラーユニット12が設けられる。第1の芯材2aの表面(乗員対向面)には、バイザ本体2の内部に向かって凹んだミラー収容部が形成される。ミラー収容部には、矩形状のミラー枠が嵌め込まれる。ミラー枠に開閉可能にミラー蓋が装着される。ミラー蓋は、ミラー枠に嵌め込まれたミラーを覆う閉じ位置と解放する開き位置に移動する。
【0021】
図2に示すように支軸1aは、例えば金属製の棒状部材である。支軸1aの縦軸4は、バイザ本体2内に挿入される。詳しくは、使用位置Pにおいて正面視で縦軸4の全長がバイザ本体2(例えば第2の芯材2b)上に位置する。縦軸4の上部を除く、ほぼ全長がバイザ本体2(例えば第2の芯材2b)内に位置する。縦軸4の上部から横軸3が側方に延出している。縦軸4は、バイザ本体2の側縁2eに沿って上下方向に延出し、バイザ本体2の側縁2eに隣接している。縦軸4の上部は、バイザ本体2の上端縁近傍に位置している。縦軸4の下部は、バイザ本体2の上下略中心に位置している。
【0022】
図2に示すように横軸3は、縦軸4からバイザ本体2の側縁を超えて側方に延出している。例えば横軸3は、縦軸4から車両外側へ延出している。横軸3の基部3aは、使用位置Pにおいて正面視でバイザ本体2上に位置する。横軸3の端部3b、例えば横軸3の先端側略半分は、バイザ本体2から外れた場所に位置する。横軸3の端部3bがガーニッシュ6に回動可能に保持される。横軸3の端部3bには、平面3cが形成されている。
【0023】
図2に示すようにバイザ本体2は、支軸1aが設けられる反対側にサポート受け部材2hを有する。サポート受け部材2hは、
図5に示すようにバイザ本体2の側縁2f(例えば左側縁)と上縁2cの角近傍に設けられる。サポート受け部材2hは、使用位置Pにおけるバイザ本体2の上縁2cに沿って配置される。サポート受け部材2hは、上方に開口するサポート溝2gを有する。サポート溝2gは、バイザ本体2の側縁2fに端部が開口している。サポート溝2gは、サポート軸7と嵌合する形状に形成されている。サポート溝2gは、側面視においてU字状を呈している。サポート溝2gには、ガーニッシュ6に設けられたサポート軸7が着脱可能に保持される。
図1に示すようにサポート軸7と横軸3を中心としてバイザ本体2が使用位置Pと格納位置Kに上下に回動される。
【0024】
図2に示すようにガーニッシュ6は、板状で天井14に装着されるガーニッシュ本体6cを有する。ガーニッシュ本体6cは、格納位置Kのバイザ本体2に対面する。ガーニッシュ本体6cの奥行き(前後方向の長さ)は、格納位置Kのバイザ本体2の前後長さとほぼ同じである。ガーニッシュ本体6cの左右方向の長さは、格納位置Kのバイザ本体2の左右方向よりも長い。バイザ本体2の左右幅を超えたガーニッシュ本体6cの左右領域には、下方に膨出する膨出部6a,6bが形成される。
【0025】
図1に示すようにガーニッシュ6の膨出部6a,6bは、格納位置Kのバイザ本体2の両側縁2e,2fに沿う。膨出部6a,6bの膨出高さは、バイザ本体2の厚さとほぼ同じである。車両外側に位置する右側の膨出部6aには、横軸3の一端が取り付けられる。
図2に示すように膨出部6aは、横軸3の先端部3bを回動可能に保持する保持部6d(横軸取付部)が形成される。保持部6dは、ガーニッシュ本体6cの前部近傍に位置する。保持部6dには、クリップ5が設けられる。
【0026】
図2に示すようにクリップ5は、金属板であり、例えば略U字状に曲げ加工して形成されている。クリップ5の間に横軸3が挿通されてクリップ5が弾性的に広がる。クリップ5内に横軸3の平面3cが位置する。クリップ5は、平面3cが当接する方向に横軸3を付勢して回動させる。これによりバイザ本体2が
図1の格納位置Kに向けて付勢される。
【0027】
図2に示すようにガーニッシュ6の左側の膨出部6bには、サポート軸7が設けられる。サポート軸7は、例えば金属製であり、例えば棒状である。サポート軸7は、膨出部6bの側面(右面)の前部近傍に位置する。サポート軸7は、膨出部6bの側面から反対の膨出部6aに向けて延出している。サポート軸7は、バイザ本体2のサポート溝2gに着脱可能に取付けられる。
【0028】
図1に示すようにバイザ2は、サポート機構であるサポート軸7とサポート溝2gによって回動可能に保持される。サポート軸7と横軸3を軸中心としてバイザ本体2は、使用位置Pと格納位置Kとの間で回動する。サポート軸7からバイザ本体2を取り外して、バイザ本体2を縦軸4回りにサイド位置Sへ回動できる。このとき横軸3全体と、横軸3と縦軸4の連結部1bが、凹部2dによってバイザ本体2から露出している。そのため、バイザ本体2の上縁2cと干渉することなく横方向にバイザ本体2を回動させることができる。また
図4に示すように、サイド位置Sにあるバイザ本体2を、横軸3を中心に前方へ回動させることができる。
【0029】
上述するように、車両用サンバイザ1は、バイザ本体2を有する。
図1に示すように、バイザ本体2の右側縁2eから側方に横軸3が延出する。横軸3は、車両に対して回動可能に支持されてバイザ本体2を上下方向に回動可能に支持する。横軸3から下方に縦軸4が延出する。縦軸4は、バイザ本体2を横方向に回動可能に支持する。縦軸4の全長は、バイザ本体2が横軸3から垂下する使用位置Pにおいて、バイザ本体2の厚み方向である正面視でバイザ本体2上またはバイザ本体2内において延出する。
【0030】
したがってバイザ本体2を使用状態にすると、縦軸4の全長がバイザ本体2上またはバイザ本体2内に位置する。そのため横軸3のみがバイザ本体2と車両の間の隙間に位置する。その結果、バイザ本体2と車両の間が狭い場合であってもバイザ本体2を車両に取付けることができる。そしてバイザ本体2は、縦軸4と厚み方向においてオーバーラップする。そのためバイザ本体2による遮光面積も広く確保できる。しかも例えばバイザ本体2を薄くすることも可能である。すなわちバイザ本体2を天井14に沿う格納位置Kへ付勢する付勢構造(例えばクリップ5)を横軸3が取付けられる車両側に設けることができる。これによりバイザ本体2を薄くすることができる。
【0031】
図1,2に示すように、バイザ本体2には、正面視において横軸3と縦軸4の連結部1bと、横軸3とを露出するように厚み方向に窪む凹部2dが形成されている。すなわち横軸3は、正面視においてバイザ本体2上に位置する基部3aを有する。その基部3aが全長に渡って露出している。縦軸4を中心にバイザ本体2を使用位置Pからサイド位置Sに横方向に回動させる。その際、横軸3の基部3aの裏側を覆うバイザ本体2は、横軸3よりも裏方向へ移動する。そして横軸3の基部3aの表側には、バイザ本体2が存在しない。そのためバイザ本体2は、横軸3の基部3aに干渉すること無く、使用位置Pからサイド位置Sに回動できる。
【0032】
図2,5に示すように、車両用サンバイザ1は、横軸3が延出する側縁2e(右側縁)の反対側においてバイザ本体2を車両に着脱可能に装着するサポート機構を有する。サポート機構は、サポート溝2gとサポート軸7を有する。サポート溝2gは、使用位置Pにおけるバイザ本体2の上縁2cに沿って上方に開口する。サポート軸7は、車両からバイザ本体2の他側縁2f(左側縁)に向けて延出し、サポート溝2gに着脱可能に取付けられる。したがってサポート溝2gがバイザ本体2の上縁2cに位置する。これによりバイザ本体2の遮光面積を狭くすることなく、サポート機構が構成される。しかも溝と軸という簡易な構造で構成され得る。
【0033】
図2に示すように、車両用サンバイザ1は、バイザ本体2を上方へ付勢するように横軸3を付勢するクリップ5が車両側に設けられる。したがって、バイザ本体2を上下方向に回動させる回動機構を、バイザ本体2内に設ける必要がない。これにより、バイザ本体2の厚さを抑えることができる。よって、車室内空間をより広くすることができる。
【0034】
図2に示すように、車両用サンバイザ1は、横軸取付部(例えば保持部6d)が、車体または車体に取付けられる車両部品に設けられる。横軸取付部は、横軸3の一端を回動可能に支持する。したがって、横軸3を支持する従来のブラケットを車両の天井面14に取り付ける必要がない。これにより天井裏のスペースが狭い場合であってもバイザ本体2を取付けることができる。
【0035】
図2に示すように、バイザ本体2は、正面視において外周から内周に窪まない矩形状である。したがってバイザ本体2による遮光面積を広く確保できる。
【0036】
<実施例2>
バイザ本体2は、
図2に示す凹部2dを有さず、代わりに
図6,7の構成を有していても良い。
図6に示すようにバイザ本体2は、上縁2cに切り欠き部2mが形成された横軸受け部2qを有する。さらにバイザ本体2内には、スライドケース8とスライド枠9が設けられる。
【0037】
横軸受け部2qは、
図6に示すようにバイザ本体2の側縁2e(例えば右側縁)と上縁2cの角近傍に設けられる。横軸受け部2qは、使用位置Pにおけるバイザ本体2の上縁2cに沿って配置される。横軸受け部2qは、バイザ本体2の側縁2eに端部が開口する切り欠き部2mを有する。切り欠き部2mは、横軸3がバイザ本体2の上縁2cから出ることを許容するように上方に開口している。切り欠き部2mは、横軸受け部2qの略半分の長さに渡って延出している。切り欠き部2mは、側面視においてU字状を呈している。
【0038】
図6に示すように、スライド枠9は、バイザ本体2内において横軸受け部2qの下側に設けられる。スライド枠9は、バイザ本体2の使用位置Pにおける正面視で、長手方向が縦軸4に沿った略長方形状を呈している。スライド枠9の下端部9aは、段差形状に形成されている。スライド枠9は、左右の側壁にレール9cが設けられている。スライド枠9の下端部9aは、定位置保持部9dを有する。定位置保持部9dには、例えば樹脂製または金属製の部材等が設けられる。
【0039】
図6に示すように、スライド枠9には、スライドケース8がレール9cに沿ってスライド可能に嵌め込まれている。スライドケース8は、バイザ本体2の使用位置Pにおける正面視で、長手方向が縦軸4に沿った略長方形状を呈している。スライドケース8の下端部8aは、スライド枠9の下端部9aと係合するように段差形状に形成されている。スライドケース8の下端部8aは、定位置保持部8cを有する。定位置保持部8cは、スライド枠9の定位置保持部9dと係合する構成である。定位置保持部8cには、例えば樹脂製または金属製の部材等が設けられる。
【0040】
スライドケース8には、上端部8b側から縦軸4が挿入されている。縦軸4の下端側略半分は、スライドケース8内に位置する。縦軸4の上部から横軸3が側方に延出している。縦軸4は、バイザ本体2の側縁2eに沿って上下方向に延出し、バイザ本体2の側縁2eに隣接している。縦軸4の上部は、バイザ本体2の上端縁近傍に位置している。スライドケース8と縦軸4は、一体となってスライド枠9内をスライド移動する。
【0041】
スライドケース8とスライド枠9は、バイザ本体2内において、縦軸4に沿ってバイザ本体2が移動することを許容するスライド支持部10として機能する。
図6に示すように、スライド支持部10は、バイザ本体2を使用位置Pにおいて縦軸4に対して上限位置(定位置P1)で解除可能に保持する定位置保持部8c,9dを有している。バイザ本体2が使用位置Pの定位置P1にあるときに、スライドケース8の下端部8aとスライド枠9の下端部9aが当接する。スライド枠9内の上端側9bはスペースが空いている。スライドケース8の下端部8aにおける定位置保持部8cとスライド枠9の下端部9aにおける定位置保持部9dが係合することにより、定位置保持部8c,9dはバイザ本体2を保持する。
【0042】
図7に示すように、バイザ本体2を下方に下げるように力を加えることで、定位置保持部8c,9dによる保持が解除される。これにより、バイザ本体2を使用位置Pの定位置P1から下げ位置P2に移動させることができる。スライドケース8は、スライド支持部10の上端側9bに位置する。そして、バイザ本体2が下方スライドすることにより、横軸3の基部3aと、横軸3と縦軸4の連結部1bが露出する。これにより、バイザ本体2を、横軸3の基部3aに干渉すること無く、使用位置Pからサイド位置Sに回動できる。バイザ本体2の下げ位置P2において、スライドケース8の上端部8bは、横軸受け部2qの下面2nと当接する。スライドケース8の上端部8bは、バイザ本体2を使用位置Pにおいて縦軸4に対して下げ位置P2で保持する下げ位置保持部として機能する。
【0043】
上述するように、
図6,7に示すバイザ本体2には、縦軸4に沿ってバイザ本体2が移動することを許容するスライド支持部10が設けられる。使用位置Pにおけるバイザ本体2の上縁2cには、横軸3がバイザ本体2の上縁2cから出ることを許容するように上方に開口する切り欠き部2mが設けられる。したがって使用時においてバイザ本体2を縦軸4に沿って下げると、横軸3の基部3aがバイザ本体2の切り欠き部2mから現れる。すなわち横軸3がバイザ本体2の上縁2cから出る。縦軸4を中心にバイザ本体2を使用位置Pからサイド位置Sに横方向に回動させる。その際、横軸3の基部3aは、バイザ本体2に覆われていない。そのためバイザ本体2は、横軸3の基部3aに干渉すること無く、使用位置Pからサイド位置Sに回動できる。
【0044】
図6,7に示すバイザ本体2は、スライド支持部10と定位置保持部8c,9dを有する。スライド支持部10は、縦軸4に沿ってバイザ本体2が移動することを許容する。定位置保持部8c,9dは、バイザ本体2を使用位置Pにおいて縦軸4に対して上限位置(定位置P1)で解除可能に保持する。したがって使用時にバイザ本体2が不本意に下がってしまうことが抑制される。
【0045】
<実施例3>
車両用サンバイザ1におけるサポート機構は、
図5に示す構成の代わりに、
図8の構成を有していても良い。
図8に示すように、ガーニッシュ6の左側の膨出部6bには、サポート溝31が設けられる。サポート溝31は、膨出部6bの表面から奥側(ガーニッシュ6の厚み方向)に窪んでいる。サポート溝31は、側面(右面)の前部近傍が開口している。バイザ本体2の側縁2f(例えば左側縁)と上縁2cの角近傍には、サポート軸30が設けられる。サポート軸30は、例えば金属製であり、例えば棒状である。サポート軸30は、使用位置Pにおけるバイザ本体2の上縁2cに沿って、バイザ本体2の側縁2fから側方に突出する。サポート軸30は、膨出部6bのサポート溝31に着脱可能に取付けられる。
【0046】
上述するように、
図8に示すバイザ本体2のサポート機構は、サポート軸30とサポート溝31を有する。サポート軸30は、横軸3が延出するバイザ本体2の側縁2e(右側縁)の反対側の他側縁2f(左側縁)から側方に突出する。サポート溝31は、車両に装着されたガーニッシュ6の膨出部6bに設けられている。サポート軸30は、サポート溝31に着脱可能に取付けられる。したがってサポート軸30は、バイザ本体2の他側縁2f(左側縁)に設けられる。そのためバイザ本体2の上部を凹ませることなく、サポート軸30が設けられる。これによりバイザ本体2の遮光面積を狭くすることなく、サポート機構が構成される。しかも溝と軸という簡易な構造で構成され得る。
【0047】
<実施例4>
車両用サンバイザ1におけるサポート機構は、
図5に示す構成の代わりに、
図9の構成を有していても良い。
図9に示すように、バイザ本体2の側縁2f(例えば左側縁)と上縁2cの角近傍には、第1係止部41が設けられる。第1係止部41は、金属製であり、例えば棒状である。第1係止部41は、使用位置Pにおけるバイザ本体2の上縁2cに沿って、バイザ本体2の側縁2fから側方に突出する。ガーニッシュ6の左側の膨出部6bには、第2係止部42が設けられる。第2係止部42は、例えば金属製であり、例えば棒状である。第2係止部42は、膨出部6bの側面(右面)の前部近傍に位置する。第2係止部42は、膨出部6bの側面から反対の膨出部6aに向けて延出している。第2係止部42の先端には、磁石43が備えられている。第1係止部41の先端部41aと磁石43の間に作用する磁力を利用して、第1係止部41が第2係止部42に着脱可能に取付けられる。
【0048】
上述するように、
図9に示すバイザ本体2のサポート機構は、第1係止部41と第2係止部42を有している。第1係止部41は、車両に装着されたガーニッシュ6の膨出部6bに設けられている。第2係止部42は、横軸3が延出するバイザ本体2の側縁2e(右側縁)の反対側の他側縁2f(左側縁)に設けられている。第1係止部41は、磁力を利用して第2係止部42に着脱可能に取付けられる。したがってサポート機構は、例えばバイザ本体2の上部を凹ませることなく設けられる。これによりバイザ本体2の遮光面積を狭くすることなく、サポート機構が構成される。しかもサポート機構は、磁力を利用する構成であるため、バイザ本体2と車両の隙間が狭い場合であっても設けられ得る。
【0049】
本開示は、上述した実施形態で説明した外観、構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、サポート機構の第1係止部と第2係止部は、いずれか一方に磁石を設けて他方を金属製部材とする構成に限られず、両方に磁石を設けても良い。
【0050】
ガーニッシュ6の両膨張部は、バイザ本体2の側縁2e,2fの全長に亘って沿う構成に限られず、例えば側縁2e,2fの80%程度の長さ、あるいは側縁2e,2fの半分以上の長さなど、適宜変更できる。横軸取付部は、車体に設けられる構成としても良く、車体に取付けられる車両部品に設けられる構成としても良い。
【0051】
定位置保持部8c,9dは、磁力により保持する構成としても良い。例えば、スライドケース8の下端部8aとスライド枠9の下端部9aのいずれか一方に磁石を設け、他方に金属製の部材を設けた構成としても良い。また、定位置保持部8c,9dは、樹脂製の部材が嵌合する構成としても良い。下げ位置保持部は、磁力により保持する構成としても良い。例えばスライドケース8の上端部8b側に磁石を設け、横軸受け部2qの下面2nに金属製の部材を設けても良い。また、下げ位置保持部は、樹脂製の部材が嵌合する構成としても良い。
【0052】
バイザ本体2は、バイザ本体2の厚み方向である正面視において、バイザ本体2の外周が全周に亘って内周に窪まない矩形状に限られず、略矩形状も含まれる。またバイザ本体2は、バイザ本体2の周縁の一部が、外周から内周に窪んだ形状であっても良い。例えば、バイザ本体2の正面視において、バイザ本体の上縁2cが外周から内周に窪まない矩形状を呈する構成としても良い。
【0053】
車両用サンバイザ1は、バイザ本体2を表皮材2kで覆う構成に限られず、表皮レスバイザーであっても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 車両用サンバイザ
1a 支軸
1b 横軸と縦軸の連結部
2 バイザ本体
2c 上縁
2d 凹部
2e 右側縁
2f 左側縁
2g サポート溝
2m 切り欠き部
3 横軸
3b 横軸の先端部
4 縦軸
5 クリップ
6 ガーニッシュ(車両)
6a 膨出部
6b 膨出部
6d 保持部(横軸取付部)
7 サポート軸
8 スライドケース
8c 定位置保持部
9 スライド枠
9d 定位置保持部
10 スライド支持部
12 ミラーユニット
14 天井(天井面)
15 フロントガラス
30 サポート軸
31 サポート溝
41 第1係止部
42 第2係止部
K 格納位置
P 使用位置
P1 定位置
P2 下げ位置
S サイド位置