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特開2024-4077ダンパー装置、灰回収用シュート及び焼却装置の灰からの有価金属類の回収方法
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  • 特開-ダンパー装置、灰回収用シュート及び焼却装置の灰からの有価金属類の回収方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004077
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ダンパー装置、灰回収用シュート及び焼却装置の灰からの有価金属類の回収方法
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/28 20060101AFI20240109BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20240109BHJP
   B09B 101/30 20220101ALN20240109BHJP
【FI】
B07B1/28 B
B07B1/28 A
B09B3/30 ZAB
B09B101:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103540
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】北井 豪太
(72)【発明者】
【氏名】岡部 由知
(72)【発明者】
【氏名】香島 正実
【テーマコード(参考)】
4D004
4D021
【Fターム(参考)】
4D004AA36
4D004BA05
4D004CA08
4D004CB43
4D021AA01
4D021AB01
4D021AB20
4D021CA03
4D021CB11
4D021DA11
4D021EA10
(57)【要約】
【課題】ストーカ式焼却炉の主灰や飛灰から有価金属類を効率的に回収することができるふるい機能付ダンパー装置及び灰回収用シュートを提供する。
【解決手段】シュートに取り付けられて主流路の一部を形成する本管20-1と、シュートから分岐する副流路を形成する分岐管20-2と、本管20-1と分岐管20-2との連結部を枢動点21-5として枢動可能に取り付けられているふるい板21-1及び遮蔽板21-3を有するダンパー21と、少なくともふるい板21-1を振動させる振動付与手段29とを有し、ふるい板21-1及び遮蔽板21-3は、枢動点21-5を基点として所定角度で異なる方向に向かって延在し、ふるい板21-1は本管20-1内で枢動可能に設けられ、遮蔽板21-3は分岐管20-2内で枢動可能に設けられている、ことを特徴とするふるい機能付ダンパー装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却施設における灰を回収するシュートに取り付けられ、灰を大粒径成分と小粒径成分とに分別するふるい機能を有するダンパー装置であって、
シュートに取り付けられて主流路の一部を形成する本管と、
シュートから分岐する副流路を形成する分岐管と、
上記本管と上記分岐管との連結部を枢動点として枢動可能に取り付けられているふるい板及び遮蔽板を有するダンパーと、
少なくとも上記ふるい板を振動させる振動付与手段と、を有し、
上記本管には、シュートの流路に位置づけられる上部開口及び底部開口が設けられており、
上記ふるい板及び遮蔽板は、上記枢動点を基点として所定角度で異なる方向に向かって延在し、上記ふるい板は上記本管内で枢動可能に設けられ、上記遮蔽板は上記分岐管内で枢動可能に設けられている、
ことを特徴とするふるい機能付ダンパー装置。
【請求項2】
上記ふるい板が、多孔板又はスリット板である請求項1に記載のふるい機能付ダンパー装置。
【請求項3】
焼却施設における灰を回収するシュートであって、
焼却装置からの灰を分級しながら最終的に小粒径の灰を流通させる主流路と、分級された相対的に大粒径の灰を流通させる副流路と、ふるい機能付ダンパー装置を具備し、
上記ふるい機能付ダンパー装置は、
シュートに取り付けられて主流路の一部を形成する本管と、
シュートから分岐する副流路を形成する分岐管と、
上記本管と上記分岐管との連結部を枢動点として枢動可能に取り付けられているふるい板及び遮蔽板を有するダンパーと、
少なくとも上記ふるい板を振動させる振動付与手段と、を有し、
上記本管には、シュートの流路に位置づけられる上部開口及び底部開口が設けられており、
上記ふるい板及び遮蔽板は、上記枢動点を基点として所定角度で異なる方向に向かって延在し、上記ふるい板は上記本管内で枢動可能に設けられ、上記遮蔽板は上記分岐管内で枢動可能に設けられており、
上記ダンパーが閉位置にあるとき、上記ふるい板は上記主流路に位置づけられ、上記遮蔽板は上記副流路を塞ぐように位置づけられ、
上記ダンパーが開位置にあるとき、上記ふるい板は上記副流路の入口に位置づけられ、上記遮蔽板は上記副流路の内部に位置づけられる
ことを特徴とする灰回収用シュート。
【請求項4】
上記ふるい機能付ダンパー装置及び上記副流路を2つ以上具備し、
下段に位置するふるい機能付ダンパー装置の方が、上段に位置するふるい機能付ダンパー装置よりも小粒径の灰を分級することができるように構成されている
ことを特徴とする、請求項3に記載の灰回収用シュート。
【請求項5】
上記ふるい板が、多孔板又はスリット板である請求項3又は4に記載の灰回収用シュート。
【請求項6】
請求項3に記載の灰回収用シュートを具備する焼却装置の灰から有価金属類を分別回収する方法であって、
(工程1)上記ダンパーを閉位置にして、焼却装置からの灰を灰回収用シュートに投入し
、上記ふるい板を振動させ、
(工程2)上記ふるい板を振動させた状態のまま、焼却装置からの灰の投入を停止し、上記ふるい板を通過する有価金属類を含む小粒径成分を上記主流路に落下させて分別回収し、
(工程3)上記ふるい板の振動を停止し、焼却装置からの灰の投入を停止した状態のまま、上記ダンパーを開位置に移動させて、上記ふるい板を通過しなかった大粒径成分を上記副流路に落下させて分別回収する
ことを特徴とする有価金属類の分別回収方法。
【請求項7】
請求項4に記載の灰回収用シュートを具備する焼却装置の灰から有価金属類を分別回収する方法であって、
(工程1-1)上記上段のふるい機能付ダンパー装置のダンパー及び上記下段のふるい機能付ダンパー装置のダンパーを閉位置にして、焼却装置からの灰を灰回収用シュートに投入し、
(工程1-2)上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させ、
(工程2-1)上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させた状態のまま、焼却装置からの灰の投入を停止し、上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を通過した小粒径成分を上記主流路に落下させ、
(工程2-2)上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板の振動を停止し、上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させ、上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を通過した小粒径成分を上記主流路に落下させ、
(工程3-1)上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させた状態のまま、上記上段のふるい機能付ダンパーを開位置に移動させ、上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を通過しなかった大粒径成分を上段の副流路に落下させて分別回収し、(工程3-2)上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させた状態のまま、上記上段のふるい機能付ダンパーを閉位置に移動させ、
(工程4)上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板の振動を停止し、上記下段のふるい機能付ダンパー装置のダンパーを開位置に移動させ、上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を通過しなかった大粒径成分を下段の副流路に落下させて分別回収し、
(工程5)上記下段のふるい機能付ダンパー装置のダンパーを閉位置に移動させ、焼却装置からの灰を灰回収用シュートに投入して、上記(工程1-2)に戻る、
ことを特徴とする有価金属類の分別回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーカ式焼却炉の主灰から有価金属類を効率的に回収することができ、飛灰から異物を除去できるダンパー装置、灰回収用シュート及び焼却装置の灰からの有価金属類の回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物焼却施設では、雑多なごみを焼却しているが、かかる焼却により生じる燃え殻の処理が問題であり、燃え殻の減量化や資源化が求められている。そのため、燃え殻から資源(例えば、有価金属類)を回収し、リサイクルする技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、火格子式廃棄物焼却炉から排出される焼却灰から金属製錬原料を回収する金属製錬原料回収装置が開示されている。特許文献1の図2に明示されているように、火格子の隙間および火格子の燃焼用空気の噴出口から落下する落塵灰は落塵灰捕集装置にて捕集された後、廃棄物ガス化溶融装置へ送られる落塵灰供給運転と、火格子末端部から排出される主灰は主灰捕集装置にて捕集された後、廃棄物ガス化溶融装置へ送られる主灰供給運転と、を切り換えることにより、落塵灰から有価金属類を回収する技術が提案されている。特許文献1には、主灰中の有価金属類が少量であり、その回収は困難であるから、主灰と落塵灰とを分離回収して、それぞれを廃棄物ガス化溶融装置にて別々に溶融処理して有価金属類を回収することが記載されている。
【0004】
特許文献2においては、廃棄物中に混入していた貴金属が付着した貴金属付着粒子を含む焼却灰を破砕し、焼却灰中の貴金属付着粒子の表面から削り取られた貴金属部分を含む貴金属濃縮粒子と、その他の粒子とを生成する破砕工程と、破砕工程で得られた貴金属濃縮粒子とその他の粒子とを一定の粒径に分級する分級工程と、分級工程で分級された粒子を比重選別して貴金属濃縮粒子をその他の粒子から選別する比重選別工程と、貴金属濃縮粒子を含む重量灰に含まれている磁着性の金属を磁場により選別する高磁力選別工程と、有する焼却灰からの貴金属回収方法が提案されている。分級工程は篩分けにより行われ、比重選別工程は吹上空気流と吸引空気流によってエアテーブル上の焼却灰を浮かしつつ振動によって比重の大きい粒状灰が下層、比重の小さい軽量灰が上層となる流動層を形成させることにより行われる乾式工程である。破砕工程は、磁選機を通過した後の焼却灰をロータリーインパクトミルなどの破砕機にて破砕することによって行われる。
【0005】
特許文献3においては、焼却灰を乾燥させ、磁力選別により磁性金属を取り除き、次いで篩分級して、再び磁力選別及び渦電流選別により原所定粒径以下の磁性金属に付着した磁性金属ではない粒子を回収し、竪型ミルにより粉砕、乾燥及び微粉(ミル精粉)と粗粉(ミル排石)への分級を行い、ミル排石に有価金属を濃縮させて回収する、有価金属回収システムが提案されている。
【0006】
特許文献4には、燃焼用空気噴出口の面積の火格子炉床全面積に対する割合が2%以上5%以下の火格子を用いて、火格子の隙間および燃焼用空気噴出口から落下する落塵灰と火格子の末端部から排出される主灰とを分離して捕集し、分離捕集された落塵灰について有価金属類の回収を行う廃棄物焼却灰中の金属回収方法及び装置が開示されている。特許文献4には、有価金属類は主灰よりも落塵灰に多く含まれていること、火格子気孔率が2%より小さいと有価金属類のほとんどが主灰に含まれることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6391046号公報
【特許文献2】特許第6465825号公報
【特許文献3】特許第6375205号公報
【特許文献4】特許第3661662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術においては、落塵灰から分離された主灰はそのまま後段の廃棄物ガス化溶融装置に送られて、廃棄物と一緒に処理される。有価金属類は落塵灰中に多く含まれるが、ストーカ式焼却炉における落塵灰の総量は主灰の総量に比して少量であり、廃棄物全体から回収できる有価金属類は少量である。また、含水率の高い主灰をそのまま廃棄物と一緒に廃棄物ガス化溶融装置にて溶融処理するため、乾燥装置や排水処理装置等が必要になり、エネルギー消費が多い割には有価金属類の回収率が低いという問題がある。
【0009】
特許文献2及び3に記載の技術は、いずれも乾燥した焼却灰を磁選機で磁力選別した後、ミルなどの破砕機で破砕し、その後に分級するため、装置構成が大がかりで煩雑になる。また、磁力選別工程及び破砕工程において、軽量又は小粒径成分が飛散するため、飛散防止のために磁力選別工程の前に焼却灰を湿潤させる装置や、乾燥したままの焼却灰の飛散した成分を収集する装置も必要になる。
【0010】
特許文献4に記載の技術は、特定範囲の火格子気孔率を有する火格子を用いて、火格子の隙間から落下する落塵灰から有価金属類を回収するが、主灰からの有価金属類の回収は行われない。火格子気孔率が特定範囲を逸脱する場合には、有価金属類が主灰に含まれることになり、焼却灰からの有価金属類の回収ができないことになる。
【0011】
また、従来のシュート機構では、クリンカや塊や耐火物などの異物を除去することができず、回収された主灰中に異物が混入することもあり、これらの異物は有価金属類の回収を妨害するばかりでなく、下流側の装置に損傷を与えることもある。
【0012】
上述のように、従来提案されているシュート機構では、未だストーカ式焼却炉の主灰や飛灰から有価金属類を効率的に回収することができていないのが現状である。
【0013】
したがって、本発明の目的は、ストーカ式焼却炉の主灰や飛灰から有価金属類を効率的に回収することができるストーカ式焼却炉の主灰や飛灰から有価金属類を効率的に回収することができる、シュート機構に取り付けるダンパー装置、シュート機構及び有価金属の回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討し、現存する焼却施設の灰を回収するシュートに着目し、ダンパー装置を用いて灰を小粒径成分と大粒径成分とに分級して小粒径成分を回収することで、小粒径成分に含まれている有価金属類を回収できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明は以下の各態様を提供するものである。
[1]焼却施設における灰を回収するシュートに取り付けられ、灰を大粒径成分と小粒径成分とに分別するふるい機能を有するダンパー装置であって、
シュートに取り付けられて主流路の一部を形成する本管と、
シュートから分岐する副流路を形成する分岐管と、
上記本管と上記分岐管との連結部を枢動点として枢動可能に取り付けられているふるい板及び遮蔽板を有するダンパーと、
少なくとも上記ふるい板を振動させる振動付与手段と、を有し、
上記本管には、シュートの流路に位置づけられる上部開口及び底部開口が設けられており、
上記ふるい板及び遮蔽板は、上記枢動点を基点として所定角度で異なる方向に向かって延在し、上記ふるい板は上記本管内で枢動可能に設けられ、上記遮蔽板は上記分岐管内で枢動可能に設けられている、
ことを特徴とするふるい機能付ダンパー装置。
[2]上記ふるい板が、多孔板又はスリット板である上記[1]に記載のふるい機能付ダンパー装置。
[3]焼却施設における灰を回収するシュートであって、
焼却装置からの灰を分級しながら最終的に小粒径の灰を流通させる主流路と、分級された相対的に大粒径の灰を流通させる副流路と、ふるい機能付ダンパー装置を具備し、
上記ふるい機能付ダンパー装置は、
シュートに取り付けられて主流路の一部を形成する本管と、
シュートから分岐する副流路を形成する分岐管と、
上記本管と上記分岐管との連結部を枢動点として枢動可能に取り付けられているふるい板及び遮蔽板を有するダンパーと、
少なくとも上記ふるい板を振動させる振動付与手段と、を有し、
上記本管には、シュートの流路に位置づけられる上部開口及び底部開口が設けられており、
上記ふるい板及び遮蔽板は、上記枢動点を基点として所定角度で異なる方向に向かって延在し、上記ふるい板は上記本管内で枢動可能に設けられ、上記遮蔽板は上記分岐管内で枢動可能に設けられており、
上記ダンパーが閉位置にあるとき、上記ふるい板は上記主流路に位置づけられ、上記遮蔽板は上記副流路を塞ぐように位置づけられ、
上記ダンパーが開位置にあるとき、上記ふるい板は上記副流路の入口に位置づけられ、上記遮蔽板は上記副流路の内部に位置づけられる
ことを特徴とする灰回収用シュート。
[4]上記ふるい機能付ダンパー装置及び上記副流路を2つ以上具備し、
下段に位置するふるい機能付ダンパー装置の方が、上段に位置するふるい機能付ダンパー装置よりも小粒径の灰を分級することができるように構成されている
ことを特徴とする、上記[3]に記載の灰回収用シュート。
[4]上記ふるい板が、多孔板又はスリット板である上記[3]又は[4]に記載の灰回収用シュート。
[6]上記[3]に記載の灰回収用シュートを具備する焼却装置の灰から有価金属類を分別回収する方法であって、
(工程1)上記ダンパーを閉位置にして、焼却装置からの灰を灰回収用シュートに投入し、上記ふるい板を振動させ、
(工程2)上記ふるい板を振動させた状態のまま、焼却装置からの灰の投入を停止し、上記ふるい板を通過する有価金属類を含む小粒径成分を上記主流路に落下させて分別回収し、
(工程3)上記ふるい板の振動を停止し、焼却装置からの灰の投入を停止した状態のまま、上記ダンパーを開位置に移動させて、上記ふるい板を通過しなかった大粒径成分を上記副流路に落下させて分別回収する
ことを特徴とする有価金属類の分別回収方法。
[7]上記[4]に記載の灰回収用シュートを具備する焼却装置の灰から有価金属類を分別回収する方法であって、
(工程1-1)上記上段のふるい機能付ダンパー装置のダンパー及び上記下段のふるい機
能付ダンパー装置のダンパーを閉位置にして、焼却装置からの灰を灰回収用シュートに投入し、
(工程1-2)上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させ、
(工程2-1)上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させた状態のまま、焼却装置からの灰の投入を停止し、上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を通過した小粒径成分を上記主流路に落下させ、
(工程2-2)上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板の振動を停止し、上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させ、上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を通過した小粒径成分を上記主流路に落下させ、
(工程3-1)上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させた状態のまま、上記上段のふるい機能付ダンパーを開位置に移動させ、上記上段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を通過しなかった大粒径成分を上段の副流路に落下させて分別回収し、(工程3-2)上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を振動させた状態のまま、上記上段のふるい機能付ダンパーを閉位置に移動させ、
(工程4)上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板の振動を停止し、上記下段のふるい機能付ダンパー装置のダンパーを開位置に移動させ、上記下段のふるい機能付ダンパー装置のふるい板を通過しなかった大粒径成分を下段の副流路に落下させて分別回収し、
(工程5)上記下段のふるい機能付ダンパー装置のダンパーを閉位置に移動させ、焼却装置からの灰を灰回収用シュートに投入して、上記(工程1-2)に戻る、
ことを特徴とする有価金属類の分別回収方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のダンパー装置は、既存のシュートに取付け可能なものであり、ストーカ式焼却炉の主灰や飛灰から異物を除去して有価金属類を効率的に回収することができるものである。
【0017】
また、本発明のダンパー装置を具備する灰回収用シュートは、ストーカ式焼却炉の主灰や飛灰から異物を除去して有価金属類を効率的に回収することができるものである。
【0018】
また、本発明の有価金属類の回収方法によれば、ストーカ式焼却炉の主灰や飛灰から異物を除去して有価金属類を効率的に回収することができる。
【0019】
さらに、本発明によれば、乾燥した状態で飛散しやすい軽量又は小粒径成分を予め分離し、有価金属類を比較的多量に含む落塵灰及び中径群の主灰を湿潤することなく磁選機に投入することができるため、処分対象の重量が減少し処分費用を削減できる。一方、予め分離した飛散しやすい成分のみを灰押出装置に投入して湿潤させるため、湿潤対象の重量が減少し処分費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、ストーカ式焼却炉と灰押出装置の全体構成を模式的に示す概略説明図である。
図2図2は、本発明のふるい機能付ダンパー装置の一実施形態の内部を透視して示す側面図である。
図3図3(a)は図2に示すふるい板の平面図であり、図3(b)は図3(a)のA-A断面図である。
図4図4(a)は図2に示すふるい板の平面図であり、図4(b)は図4(a)のA-A断面図である。
図5図5(a)は図2に示すふるい板の平面図であり、図5(b)は図5(a)のA-A断面図である。
図6図6(a)は図2に示すふるい板の平面図であり、図6(b)は図6(a)のA-A断面図である。
図7図7は、図2に示すふるい機能付ダンパー装置を上下2段設けた灰回収用シュートの内部を透視して示す側面図である。
図8図8は、図7に示す灰回収用シュートを用いる本発明の有価金属類の回収方法の実施態様における工程1を模式的に示す概略説明図である。
図9図9は、図7に示す灰回収用シュートを用いる本発明の有価金属類の回収方法の実施態様における工程2を模式的に示す概略説明図である。
図10図10は、図7に示す灰回収用シュートを用いる本発明の有価金属類の回収方法の実施態様における工程3を模式的に示す概略説明図である。
図11図11は、図7に示す灰回収用シュートを用いる本発明の有価金属類の回収方法の実施態様における工程4を模式的に示す概略説明図である。
図12図12は、図7に示す灰回収用シュートを用いる本発明の有価金属類の回収方法の実施態様における工程5を模式的に示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0022】
ストーカ式焼却炉においては飛灰よりも主灰が多量に発生する。主灰は、飛灰中の含有量よりも微量ではあるが、金、銀、銅、白金等の貴金属、及び亜鉛、鉛などの有価金属類を含む。本明細書において、「灰」とは主灰及び飛灰の両者を総称するものである。また、本明細書において「有価金属類」とは、主灰又は飛灰中に含まれる貴金属及び有価金属を総称するものである。
【0023】
本発明において「有価金属類高濃縮灰」とは有価金属類が濃縮されて相対的に高濃度で含まれる主灰であり、「有価金属類低濃縮灰」とは有価金属類が濃縮されておらず相対的に低濃度で含まれる主灰である。「有価金属類高濃縮灰」は、主灰中の有価金属類の平均濃度の約1.5倍以上、好ましくは約1.7倍以上の有価金属類の濃度を有し、「有価金属類低濃縮灰」は、主灰中の有価金属類の平均濃度の約0.7倍以下、好ましくは約0.6倍以下の有価金属類の濃度を有する。「有価金属類高濃縮灰」は、「有価金属類低濃縮灰」の有価金属類の濃度の約2倍以上、好ましくは約2.5倍以上の有価金属類の濃度を有することが望ましい。たとえば、有価金属が銅の場合、有価金属類高濃縮灰は、10g/kg以上の銅を含有することが好ましい。
【0024】
図1には、本発明のふるい機能付ダンパー装置20及び30を有する灰回収用シュート10を具備するストーカ式焼却炉1の概略構成を示す。
【0025】
図1に示すストーカ式焼却炉1の焼却炉3内には、給塵装置側から、乾燥帯ストーカ1-1、燃焼帯ストーカ1-2、後燃焼帯ストーカ1-3及び灰回収用シュート10が設けられている。乾燥帯ストーカ1-1、燃焼帯ストーカ1-2及び後燃焼帯ストーカ1-3は、格子状であり、それぞれ対応する乾燥帯シュート10-1、燃焼帯シュート10-2、後燃焼帯シュート10-3を介して、格子の間からの落塵灰を落塵灰搬送コンベヤ4-1に落下させる。乾燥帯シュート10-1、燃焼帯シュート10-2、後燃焼帯シュート10-3には、押込送風機Fから空気が送られて、落塵灰のうち軽量成分を舞い上がらせ、焼却炉3内の負圧によって吸塵されて焼却炉3内に戻り、比較的重量のある成分すなわち比較的有価金属類を多く含む成分が落塵灰として各シュートから落塵灰搬送コンベヤ4-1に落下する。落塵灰搬送コンベヤ4-1からの落塵灰は、第1の主灰搬送コンベヤ4-2に落下し、第1灰ピット5-1に送られる。灰回収用シュート10は、後燃焼帯ストーカ1-3の終端に設けられており、ストーカ式焼却炉1において種々雑多なごみを焼却
処分して得られる焼却灰の主灰に振動を付与して微細化するとともにふるい分けする。ふるい上に残る大きな成分群を磁性物ライン又は不適物ピット(図示せず)に送り、ふるいを通過する成分群を灰押出装置7に投入する。ふるい機能付ダンパー装置20及び30を上下段に設ける場合には、上段のふるいを通過する成分をさらに分級して、中径群を第2の主灰シュート40を介して第1の主灰搬送コンベヤ4-2に落下させて第1灰ピット5-1に送り、小径群を灰押出装置7に投入する。灰押出装置7からの小径群の主灰は主灰搬送コンベヤ4-3に落下し、第2灰ピット5-2に送られる。図1に示すストーカ式焼却炉においては、有価金属類を比較的多量に含む落塵灰及び中径群の主灰は、第1の主灰搬送コンベヤ4-2に備えられている磁選機により鉄などの磁性体が選別されて第1灰ピット5-1に送られ、有価金属類高濃縮灰として回収される。第2灰ピット5-2にて回収される主灰は有価金属類低濃縮灰である。図1に示す灰回収用シュートは上下2段のふるい機能付ダンパー装置を有するが、ふるい機能付ダンパー装置の数はこれに限定されず、1個でも3個以上でもよい。
【0026】
<ふるい機能付ダンパー装置>
本発明のふるい機能付ダンパー装置は、灰を大粒径成分と小粒径成分とに分別するふるい機能を有する。図2に示す実施形態において、ふるい機能付ダンパー装置20は、シュート11に取り付けられて主流路25の一部を形成する本管20-1と、シュート11から分岐する副流路23を形成する分岐管20-2と、本管20-1と分岐管20-2との連結部を枢動点21-5として枢動可能に取り付けられているふるい板21-1及び遮蔽板21-3を有するダンパー21と、少なくともふるい板21-1を振動させる振動付与手段29と、を有する。副流路23を形成する分岐管20-2は、ダンパー21における所定の角度に応じて、後述するように遮蔽板21-3が副流路23側に倒れた際に、ダンパー上にある大粒径成分が副流路23に落下するような角度をもって主流路25の一部を形成する本管20-1から分岐して設けられている。
【0027】
ダンパー21を構成するふるい板21-1及び遮蔽版21-3は、本管20-1と分岐管20-2との連結部を枢動点21-5として枢動可能に取り付けられている。ふるい板21-1及び遮蔽板21-3は、枢動点21-5を中心として扇形状を形成する所定角度で異なる方向に向かって延在している。ふるい板21-1と遮蔽版21-3との間の角度は、ふるい板21-1が分岐管20-2の入口を完全に塞ぎ、主流路25が完全に開通するダンパーの開位置に移動する際に、遮蔽板21-3が副流路23に対してほぼ平行となる角度である。たとえば、本管20-1に対して分岐管20-2が120度で取り付けられている場合、ふるい板21-1と遮蔽板21-3との間の角度は120度もしくは120度以上で、開位置にある際に分岐管20-2に当たらない角度である。
【0028】
ふるい板21-1は、ふるい機能を有するものであれば特に限定されず種々の形態のものとすることができる。例えば、多孔板又はスリット板とすることができ、具体的には、図3図6に示す多孔板又はスリット板を用いることができる。多孔板の孔径P又はスリット板のスリット幅sは、ふるい分けする対象物に応じて決定することができ、たとえば、主灰から磁性物や不適物など大粒径成分をふるい分けして除く場合には10mm以上50mm以下とすることが好ましく、主灰から有価金属類を回収するために小粒径成分のみをふるい分けして通過させる場合には3mm以上10mm未満とすることが好ましく、飛灰から異物をふるい分けして除く場合には5mm以上20mm以下とすることが好ましい。
【0029】
ふるい機能付ダンパー装置を2段以上設ける場合には、上段よりも下段のふるい板の孔径又はスリット幅を小さくすることが好ましく、上段のふるい機能付ダンパー装置で大粒径成分をふるい分けして副流路に落下させて除去し、下段のふるい機能付ダンパー装置で中粒径成分をふるい分けして副流路に落下させ、小粒径成分を主流路に落下させることが
できる。たとえば、上段のふるい板の開孔径又はスリット幅を10mm以上50mm以下とし、下段のふるい板の開孔径又はスリット幅を3mm以上10mm未満とすることができる。
【0030】
図3に示すふるい板121は、図3(a)に示すように複数の開孔Pが整列されて配されている多孔板である。開孔Pは、図3(b)にA-A断面を示すように、同じ幅で板を貫通する。
【0031】
図4に示すふるい板221は、図4(b)にA-A断面を示すように断面が等辺山形のバーbを複数平行に配列し、図4(a)に示すように複数のスリットsが板の幅方向に向けて各々平行に整列されて配されているスリット板である。等辺山形のバーbの頂部を上方に向けて設置することにより、スリットsの幅よりも大きな大粒径成分はふるい上に残り、スリットsの幅よりも小さな小粒径成分がスリットsを通過して落下しやすくなる。
【0032】
図5に示すふるい板321は、図5(b)にA-A断面を示すように断面がフラットなバーbを複数平行に配列し、図5(a)に示すように複数のスリットsが板の幅方向に向けて各々平行に整列されて配されているスリット板である。
【0033】
図6に示すふるい板421は、図6(b)にA-A断面を示すように断面がフラットなバーb1及びb2を互い違いに積層した積層板により形成されている。ここでは、2枚積層した例を示す。積層される2枚のスリットを有するフラットバーb1及びb2の間にはスペースが設けられている。それぞれのフラットバーb1及びb2におけるスリットsは、図5に示すふるい板と同様に配列されているが、フラットバーb1及びb2を互い違いに配列して、スリットsの位置が互いにずれるように積層される。
【0034】
ふるい板21-1は、枢動点21-5を基点として本管20-1内に延在し、主流路25を貫通させるダンパーの開位置と、主流路25を塞ぐダンパーの閉位置との間で枢動可能に設けられている。ダンパーが閉位置にある際に、ふるい板21-1は主灰の小粒径成分を主流路25にふるい落とし、主灰の大粒径成分をふるい板21-1と遮蔽板21-3とによって区切られる領域に残す。遮蔽板21-3は、枢動点21-5を基点として分岐管20-2内に延在し、シリンダーにより駆動されて、ふるい板21-1を一緒に枢動させるように設けられている。所定荷重又は一定時間が経過するか、あるいはレベルセンサー等で検知されると、ふるい板21-1によりふるい分けされた大粒径成分が蓄積されると、シリンダーの駆動によって遮蔽板21-3は副流路23側に枢動し、副流路23の一部となってふるい分けした大粒径成分を流入させる。このとき、ふるい板21-1は遮蔽板21-3と一緒に枢動して、ふるい板21-1は主流路25を開放する開位置に移動する。遮蔽板21-3上に蓄積された大粒径成分が副流路23に投入されて一定時間が経過すると、シリンダーが元の位置に戻り、遮蔽板21-3を枢動させて元の位置に戻し、一緒にふるい板21-1が枢動して閉位置に移動する。
【0035】
図2に示すように、本管20-1には、シュート11の流路に位置づけられる上部開口20-3及び底部開口20-4が設けられている。図示した実施形態においては、上部開口20-3及び底部開口20-4には、フランジ22がそれぞれ設けられている。
【0036】
本管20-1は、ダンパーが開位置と閉位置との間で枢動する際にふるい板21-1の先端の移動を可能とする拡幅部20-5、及びダンパーが閉位置にある際にふるい板21-1の先端を係止させる肩部20-6を有する。肩部20-6の位置は、枢動点21-5の位置と同等又はより高い位置とするのが好ましい。また、ふるい板21-1の基点から先端までの長さは、主流路25の内径よりも長いことが好ましい。
【0037】
分岐管20-2は、ダンパーが開位置と閉位置との間で枢動する際に遮蔽板21-3の先端の移動を可能とする拡幅部20-7、及びダンパーが開位置にある際に、遮蔽板21-3の先端を係止させる係止部20-8を有する。
【0038】
少なくともふるい板21-1は、振動付与手段により振動可能とされている。図示する実施形態において、本管20-1の外部に設けられているモーターを含む振動付与手段29により、ふるい板21-1を振動させる。振動付与手段は特に限定されず、ダンパーが閉位置にある際に、ふるい板21-1を細かく振動させることができればよい。たとえば、ダンパーを開位置及び閉位置に枢動させるシリンダーを小刻みに駆動させることでふるい板21-1を振動させてもよい。
【0039】
<主灰回収用シュート>
図7に、ストーカ式焼却炉に設置される本発明の灰回収用シュートの一実施形態を示す。本実施形態の灰回収用シュート10は、ストーカ式焼却炉に設置されるシュート11に、上段のふるい機能付ダンパー装置20と、上段のふるい機能付ダンパー装置20から離隔されて配置された下段のふるい機能付ダンパー装置30と、を設けたものである。
【0040】
本発明の灰回収用シュート10は、焼却装置からの灰を分級しながら最終的に小粒径の灰を流通させる主流路25と、分級された相対的に大粒径の灰を流通させる副流路23と、ふるい機能付ダンパー装置20を具備する。図7に示す灰回収用シュートは、図2に示すふるい機能付ダンパー装置を上下2段に設けている。ふるい機能付ダンパー装置の構成は上述したとおりである。上段のふるい機能付ダンパー装置20のふるい板21-1の開孔径又はスリット幅は、下段のふるい機能付ダンパー装置30のふるい板31-1の開孔径又はスリット幅より大きい。
【0041】
本実施形態においては、上述したダンパー装置20,30やシュート11以外に本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の部材を設けることができる。
【0042】
〔使用方法(有価金属類の回収方法)〕
図8に、ふるい機能付ダンパー装置を上下2段に設けた灰回収用シュートを用いた有価金属類の回収方法の各工程における各ふるい機能付ダンパー装置の状態を示す。
【0043】
本発明の灰回収用シュート10を用いた、灰を分級することによる有価金属類の回収方法は、以下の各工程を行うことにより実施することができる。1個のふるい機能付ダンパー装置を有する灰回収用シュートを用いた有価金属類の回収方法を、図8~12に示す上段のふるい機能付ダンパー装置20の状態を参照しながら説明する。
(工程1)図8の上段に示すように、ダンパー20を閉位置にして、焼却装置からの灰を灰回収用シュート10に投入し、ふるい板21-1を振動させる。
(工程2)図9の上段に示すように、ふるい板21-1を振動させた状態のまま、焼却装置からの灰の投入を停止し、ふるい板21-1を通過する小粒径成分を主流路25に落下させて分別回収する。
(工程3)図10の上段に示すように、ふるい板21-1の振動を停止し、焼却装置からの灰の投入を停止した状態のまま、ダンパー20を開位置に移動させて、ふるい板21-1を通過しなかった大粒径成分を副流路23に落下させて分別回収する。
(工程4)図11の上段に示すように、ダンパー20を閉位置に移動させて、工程(1)に戻る。
【0044】
上記工程1~4におけるふるい機能付ダンパー装置20の開閉と振動付与との関係を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
次に、上下2段のふるい機能付ダンパー装置20及び30を有する灰回収用シュート10を用いた有価金属類の回収方法を、図8~12に示す上段及び下段のふるい機能付ダンパー装置20及び30の状態を参照しながら説明する。
【0047】
図8に示すように、
(工程1-1)上段のふるい機能付ダンパー装置20のダンパー21及び下段のふるい機能付ダンパー装置30のダンパー31を閉位置にして、焼却装置からの灰を灰回収用シュート10に投入し、
(工程1-2)上段のふるい機能付ダンパー装置20のふるい板21-1を振動させる。
【0048】
図9に示すように、
(工程2-1)上段のふるい機能付ダンパー装置20のふるい板21-1を振動させた状態のまま、焼却装置からの灰の投入を停止し、上段のふるい機能付ダンパー装置20のふるい板21-1の上に蓄積している主灰に振動を与えて微細化し、ふるい板21-1を通過した小粒径成分を主流路25に落下させ、
(工程2-2)上段のふるい機能付ダンパー装置20のふるい板21-1の振動を停止し、下段のふるい機能付ダンパー装置30のふるい板31-1を振動させ、ふるい板31-1の上に蓄積している主灰に振動を与えて微細化し、下段のふるい機能付ダンパー装置30のふるい板31-1を通過した小粒径成分を主流路35に落下させる。
【0049】
図10に示すように、
(工程3-1)下段のふるい機能付ダンパー装置30のふるい板31-1を振動させて微細化と分級を継続した状態のまま、上段のふるい機能付ダンパー21を開位置に移動させ、上段のふるい機能付ダンパー装置20のふるい板21-1を通過しなかった大粒径成分を上段の副流路23に落下させて分別回収し、
(工程3-2)下段のふるい機能付ダンパー装置30のふるい板31-1を振動させて微細化と分級を継続した状態のまま、上段のふるい機能付ダンパー20を閉位置に移動させる。
【0050】
図11に示すように、
(工程4)焼却装置からの灰を灰回収用シュート10に投入を停止し、下段のふるい機能付ダンパー装置30のふるい板31-1の振動を停止し、下段のふるい機能付ダンパー装置30のダンパー31を開位置に移動させ、下段のふるい機能付ダンパー装置30のふるい板31-1を通過しなかった大粒径成分を下流の副流路33に落下させて分別回収する。
【0051】
図12に示すように、
(工程5)下段のふるい機能付ダンパー装置30のダンパー31を閉位置に移動させ、上段のふるい機能付ダンパー装置20のダンパー21が閉位置にある状態で、焼却装置からの灰を灰回収用シュート10に投入し、上記(工程1-2)に戻る。
【0052】
上記工程1~5におけるふるい機能付ダンパー装置20及び30の開閉と振動付与との関係を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
各工程をさらに説明する。
(工程1)
工程1は、最初の段階であり、第1段階の分級を行う工程である。まず、図8に示すように、上段のふるい機能付ダンパー装置20におけるダンパー21のふるい板21-1及び下段のふるい機能付ダンパー装置30におけるダンパー31のふるい板31-1は、それぞれの本管20-1及び30-1の肩部20-6及び30-6に係合して、ダンパー21及び31は閉位置にある。落下してくる主灰を上段のふるい機能付ダンパー装置20におけるダンパー21のふるい板21-1で受け止める。この状態で上段のふるい機能付ダンパー装置20のモーター29を振動させるか、又はダンパー20のピストンを小刻みに駆動させてふるい板21-1を振動させて、主灰を微細化させて、小粒径成分を下方へと落下させることで灰の分級を行う。
【0055】
(工程2)
工程2は、第1段階の分級を完遂する工程である。まず、図9に示すように、上段のふるい機能付ダンパー装置20の振動を継続して、小粒径成分は下段のふるい機能付ダンパー装置30側へと落下させつつ、灰の投入を停止する。そして、上段のふるい機能付ダンパー装置20の振動を所定時間行って、小粒径成分がふるい板21-1上に残らないようにする。ここで所定時間は、灰の状況に応じて任意であるが、約5分とすることが粒径の小さな灰を残さず下段のふるい機能付ダンパー装置30におけるふるい板31-1へと落下させることができる点で好ましい。
【0056】
(工程3)
工程3は、上段のふるい機能付ダンパー装置20において分級した大粒径成分を排出するとともに第2段階目の分級を行う工程である。まず、図10に示すように、工程2において灰の投入を停止した状態を継続して、上段のダンパー21を開位置に移動させてふるい板21-1上に存在する大粒径成分を副流路23へと排出する。そして、更に下段のふるい機能付ダンパー装置30を振動させることにより、ふるい板31-1上にある、ふるい板21-1から落下してきた灰を微細化させながら分級する。
【0057】
(工程4)
工程4は、第2段階目の分級を完了する工程である。すなわち、図11に示すように、下段のふるい機能付ダンパー装置30を所定時間振動させた後、その振動を停止する。ここで所定時間は、灰の状況に応じて任意であるが、約3分とすることが小粒径成分を残さず下方の灰押出装置7へと落下させることができるので好ましい。そして、振動を停止した後、上段のダンパー21を閉位置に移動させ且つ下段のダンパー31を開位置に移動さ
せる。これにより、下段のふるい板31-1上の中粒径成分を副流路23へと移送することができる。
【0058】
(工程5)
工程4の終了後、下段のダンパー31を閉位置に戻し、適宜、図8に示す工程1から繰り返し各工程を順次行うことで、連続的に灰の分級を行うことができる。
【0059】
このように工程1~5を順次繰り返し行うことにより、粗大な異物を含む大粒径成分と、有価金属類を含む中粒径成分と、小粒径成分とに分級して、それぞれ別に回収することができる。大粒径成分は磁性物ラインにて磁気分離することにより鉄などの磁性体を回収することができる。中粒径成分は落塵灰と一緒に磁選機で処理して、鉄などの磁性体を濃縮して回収することができる。小粒径成分は少量ではあるが有価金属類を含むことがあり、分別しなければ回収できなかった少量の有価金属類を分離して回収することができる。小粒径成分が有価金属類を含まない場合には、エコセメントなどとして利用するか、あるいは埋め立て処分などに回す。小粒径成分に再利用できる有価値成分が含まれていない場合には、大粒径成分と中粒径成分とを分別回収して小粒径成分として回収する量は少量となるため、埋め立て処分量を削減することができる。
【0060】
〔他の実施形態〕
本発明は上述の実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、本発明の灰回収用シュートは、上述の実施形態のように上下2つのふるい機能付ダンパー装置を具備する形態に制限されず、3つ以上のふるい機能付ダンパー装置を配することもできる。
【0061】
また、本発明の灰回収用シュートは、主灰を回収対象とするものに限定されず飛灰の回収用とすることもできる。さらに、本発明のふるい機能付ダンパー装置の設置個所は種々の場所とすることができる。例えば、ごみ焼却施設においては、ボイラにおける過熱器の下方、エコノマイザの下方、減温塔の下方、集塵装置の下方、集塵灰搬送路の下方等種々の位置に配置することができる。これらの箇所に本発明のふるい機能付ダンパー装置を設けることで、下流の装置に弊害を発生させる粗大な塊や耐火物などの剥離物などの異物を飛灰から分別回収できる。
【0062】
また、飛灰からの有価金属類回収の場合は、本発明のふるい機能付ダンパー装置を必ずしもシュートに取り付ける必要はなく、他の配管等の適当な位置に連結して配することが可能である。従って、配管の径などを勘案して適度な大きさにサイズを変更することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 焼却炉
10 灰回収用シュート
20 ふるい機能付ダンパー装置
20-1 本管
20-2 分岐管
20-3 上部開口
20-4 底部開口
20-5 本管の拡幅部
20-6 肩部
20-7 分岐管の拡幅部
20-8 係止部
21 ダンパー
21-1 ふるい板
21-3 遮蔽板
21-5 枢動点(ふるい板と遮蔽板との連結部)
22 フランジ
23 副流路
25 主流路
29 振動付与手段(モーター)
30 下段のふるい機能付ダンパー装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12