(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040771
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】電力変換装置および電力変換装置による電気系統異常検出方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240318BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H02M7/48 R
H02J3/38 120
H02J3/38 170
H02J3/38 110
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145340
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】荒尾 祐介
【テーマコード(参考)】
5G066
5H770
【Fターム(参考)】
5G066HA13
5G066HB07
5G066HB09
5H770BA11
5H770CA04
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770GA11
5H770GA19
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA05Z
5H770HA14W
5H770JA09X
5H770JA11W
5H770JA16Y
5H770JA17Y
5H770JA17Z
5H770LA02X
5H770LB05
(57)【要約】
【課題】変圧器により、入力系統電源を変圧して、負荷電源系統に出力するための電力変換装置において、変圧器を含む電気系統における電流・電圧の異常を検出する。
【解決手段】三相交流の入力系統電源を変圧器により変圧して、負荷電源系統に三相交流として出力する電力変換装置であり、制御演算部は、電流検出器により検出された電流を電流データとして出力する電流検出部を有し、電流検出部から出力される電流データを参照し、変圧器の2次側の三相交流の各相に流れる電流、または、負荷電源系統に流れる三相交流の各相に流れる電流により、電源系統の異常診断を行う。また、制御演算部は、電圧検出部とを有し、電圧検出部により検出された電圧に基づいて、変圧器の2次側の三相交流の各相の電圧、または、負荷電源系統の三相交流の各相の電圧により、電源系統の異常診断を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流の入力系統電源を変圧器により変圧して、負荷電源系統に三相交流として出力する電源系統に使用される電力変換装置であって、
前記変圧器の2次側と、負荷電源系統に接続され、変圧器の2次側の交流を負荷電源系統に提供する交流に変換する交流変換部と、
前記交流変換部に直流電流を入力する直流充電部と、
前記変圧器の2次側と、負荷電源系統に流れる電流を検出する電流検出器と、
電源系統における電流値と電圧値を演算して、電力変換装置の制御を行う制御演算部とを備え、
前記制御演算部は、前記電流検出器により検出された電流を電流データとして出力する電流検出部を有し、
前記制御演算部は、前記電流検出部から出力される電流データを参照し、前記変圧器の2次側の三相交流の各相に流れる電流、または、負荷電源系統に流れる三相交流の各相に流れる電流により、電源系統の異常診断を行う電力変換装置。
【請求項2】
前記制御演算部は、さらに、
前記変圧器の2次側の三相交流の各相の電圧、または、負荷電源系統の三相交流の各相の電圧を検出する電圧検出部とを有し、
前記電圧検出部により検出された電圧に基づいて、前記変圧器の2次側の三相交流の各相の電圧、または、負荷電源系統の三相交流の各相の電圧により、電源系統の異常診断を行う請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電源系統は、前記変圧器の2次側と前記電力変換装置とに対して、負荷電源系統のオン・オフを行う2次側接点を有し、
前記制御演算部は、前記電圧検出部が検出した電圧と同期した電圧が生成されるように、前記交流変換部に指令し、
前記制御演算部は、前記2次側接点がオフにされた状態のときに、
前記電流検出部が検出した前記変圧器の2次側の三相交流の各相に流れる電流、または、前記電圧検出部により検出された電圧に基づいて、前記変圧器の2次側の三相交流の各相の電圧に基づいて、電源系統の異常診断を行うことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記電源系統は、前記変圧器の2次側と前記電力変換装置とに対して、負荷電源系統のオン・オフを行う2次側接点と、
前記入力系統電源に対して、前記変圧器の1次側のオン・オフを行う1次側接点とを有し、
前記制御演算部は、前記2次側接点がオフにされた状態であり、かつ、前記1次側接点がオフの状態のときに、
前記電流検出部が検出した各相に流れる電流が、ある一定のレベルに制御するように出力電圧を上下させ、
前記電流検出部が検出した前記変圧器の2次側の三相交流の各相に流れる電流、または、前記電圧検出部により検出された電圧に基づいて、前記変圧器の2次側の三相交流の各相の電圧により、電源系統の異常診断を行うことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御演算部は、さらに、前記変圧器の1次側の位相を検出する位相検出部を有し、
前記制御演算部は、前記1次側接点がオフにされた状態で、
前記変圧器の2次側の異常診断を行い、
その後に、出力電圧の位相を合わせて前記1次側接点をオンにし、前記変圧器の1次側の異常予測診断を行うことを特徴とする請求項4記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御演算部が行う異常診断は、負荷電源系統への入力系統電源からの電力供給を遮断するプロセスにおいて、前記2次側接点がオフにされ、前記1次側接点がオフにされるまでの間に実施されることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記制御演算部が行う異常診断は、負荷電源系統への入力系統電源からの電力供給を開始するプロセスにおいて、前記1次側接点がオンの状態にされるまでの間に実施されることを特徴とする請求項4記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御演算部は、いずれか1相が他の相よりも所定の閾値以上電流が高いまたは低い場合に、異常と判断すること、または、3相の電流を合算した場合に、所定の閾値以上電流が高いまたは低い場合に、異常と判断することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御演算部は、ある相のピークレベルの電圧値が、他の相のピークレベルの電圧値に比べて、所定の閾値以上、もしくは、所定の閾値以下にあるときに、異常と判断する、または、ある相の位相が、他の相の位相のずれの正常値より、所定の閾値以上、もしくは、所定の閾値以下にあるときに、異常があるものと判断することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項10】
三相交流の入力系統電源を変圧器により変圧して、負荷電源系統に三相交流として出力する電源系統に使用される電力変換装置による電気系統異常検出方法であって、
前記電力変換装置は、
前記変圧器の2次側と、負荷電源系統に接続され、変圧器の2次側の交流を負荷電源系統に提供する交流に変換する交流変換部と、
前記交流変換部に直流電流を入力する直流充電部と、
前記変圧器の2次側と、負荷電源系統に流れる電流を検出する電流検出器と、
電源系統における電流値と電圧値を演算して、電力変換装置の制御を行う制御演算部とを備え、
前記制御演算部は、前記電流検出器により検出された電流を電流データとして出力する電流検出部と、
前記変圧器の2次側の三相交流の各相の電圧、または、負荷電源系統の三相交流の各相の電圧を検出する電圧検出部とを有し、
前記制御演算部が、前記電流検出部から出力される電流データを参照し、前記変圧器の2次側の三相交流の各相に流れる電流、または、負荷電源系統に流れる三相交流の各相に流れる電流により、電源系統の異常診断を行うステップと、
前記制御演算部が、前記電圧検出部により検出された電圧に基づいて、前記変圧器の2次側の三相交流の各相の電圧、または、負荷電源系統の三相交流の各相の電圧により、電源系統の異常診断を行うステップとを有することを特徴とする電力変換装置による電気系統異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置および電力変換装置による電気系統異常検出方法に係り、特に、三相交流の入力系統電源を変圧して、負荷電源系統に出力するための電源系統における電流・電圧の異常を検出するのに好適な電力変換装置および電力変換装置による電気系統異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置(Power Converter、電源回路:power supplyともいう)は、入力電力から必要とされる出力電力を生成する電力回路であり、産業、電力、電気鉄道分野などで広く利用されている重要デバイスである。
【0003】
入力から出力の間に変換されるものには、電圧、周波数、力率、波形、直流-単相交流-三相交流などの様々な形態がある。
【0004】
電力変換装置に使用される変圧器に関する技術としては、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、変圧器の2次側母線に接続されているアクティブフィルタを利用して受電変圧器の励磁突入電流の抑制を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1には、受電変圧器の2次側母線に接続されているアクティブフィルタを利用して受電変圧器の励磁突入電流の抑制を図ることができるアクティブフィルタが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載されたアクティブフィルタでは、変圧器が高調波抑制するフィルタとしての効果は発揮されるが、変圧器自体の状態をモニタしておらず、そのため変圧器の異常の兆候を取得できないという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、変圧器により、入力系統電源を変圧して、負荷電源系統に出力するための電源系統において、変圧器を含む電気系統における電流・電圧の異常を検出し、診断する電力変換装置および電力変換装置による電気系統異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電力変換装置の構成は、好ましくは、三相交流の入力系統電源を変圧器により変圧して、負荷電源系統に三相交流として出力する電源系統に使用される電力変換装置であって、前記変圧器の2次側と、負荷電源系統に接続され、変圧器の2次側の交流を負荷電源系統に提供する交流に変換する交流変換部と、前記交流変換部に直流電流を入力する直流充電部と、前記変圧器の2次側と、負荷電源系統に流れる電流を検出する電流検出器と、電源系統における電流値と電圧値を演算して、電力変換装置の制御を行う制御演算部とを備え、前記制御演算部は、前記電流検出器により検出された電流を電流データとして出力する電流検出部を有し、前記制御演算部は、前記電流検出部から出力される電流データを参照し、前記変圧器の2次側の三相交流の各相に流れる電流、または、負荷電源系統に流れる三相交流の各相に流れる電流により、電源系統の異常診断を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変圧器により、入力系統電源を変圧して、負荷電源系統に出力するための電源系統において、変圧器を含む電気系統における電流・電圧の異常を検出し、診断する電力変換装置および電力変換装置による電気系統異常検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電力変換装置が用いられる電源系統全体の構成図である。
【
図2】電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】電力変換装置が電源遮断プロセスで行う処理を示すフローチャートである。
【
図4A】電力変換装置が電源投入プロセスで行う処理を示すフローチャートである(その一)。
【
図4B】電力変換装置が電源投入プロセスで行う処理を示すフローチャートである(その二)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態を、
図1ないし
図4Bを用いて説明する。
【0012】
本実施形態の電力変換装置は、変圧器の2次側の電圧を検出し、変圧器を安定化させるために無効電力を制御することによって、変圧器出力を安定化させる機能を有する装置である。
【0013】
先ず、
図1を用いて電力変換装置が用いられる電源系統全体の構成について説明する。
【0014】
本実施形態で説明する電源系統は、
図1に示されるように、1次側接点101、変圧器102、2次側接点103、負荷電源系統104、位相検出器105、電力変換装置100、外部電源ユニット106を有し、図のように接続されている。以下、変圧器102に入力される系統電源側(高圧側)を1次側、変圧されて負荷電源系統に提供する側(低圧側)を2次側と呼ぶ。本実施形態の電源系統は、系統電源側、負荷電源系統側共に、三相交流であるとする。
【0015】
1次側接点101は、入力系統から変圧器102へ電力を供給する際にオン・オフを切り換えるスイッチである。
【0016】
変圧器102は、入力された交流電力の電圧の高さを電磁誘導を利用して変換する電力機器であり、本実施形態では、1次側接点101を通して供給された電力を変圧し、2次側接点103を介して負荷電源系統104と、電力変換装置100へ電力を供給する。
【0017】
2次側接点103は、接続された負荷電源系統104へ電力を供給する際オン・オフを切り換えるスイッチである。
【0018】
2次側接点103を介して接続された負荷電源系統104は、例えば、工場などのユーザーの電力消費のターゲットとなる稼働設備である。
【0019】
位相検出器105は、系統電源の位相を検出し、電力変換装置100へ出力する。
【0020】
外部電源ユニット106は、直流電源、燃料電池、自然エネルギー設備などで構成され、電力変換装置100の変圧器を安定させる分の直流電流を供給する。
【0021】
【0022】
電力変換装置100は、
図2に示されるように、直流充電部201、交流変換部202、電流検出器203、制御演算部210からなる。
【0023】
直流充電部201は、例えば、平滑コンデンサで構成され、平滑コンデンサに電気容量を蓄えることによって、外部電源ユニット106から入力された電力と変圧器側から入力された電力の平滑化を行う。また、例えば、蓄電池で構成され、外部電源ユニットから入力された電力と負荷電源系統側から入力された電力の充放電を行う。
【0024】
交流変換部202は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型トランジスタ)とフライホイールダイオードを用いた交流変換回路で構成され、直流充電部201の直流電力と、制御演算部210のPWM(Pulse Width Modulation)出力部215(後述)の出力指令を入力とし、変圧器の2次側の交流電力を、負荷電源系統に提供する所望の交流に変換し、変圧器および負荷電源系統の電力を制御する。IGBTは、パワートランジスタの一種であり、低い飽和電圧と、比較的速いスイッチング特性を両立させたことに特徴がある。PWM出力部215は、IGBTのゲート(G)に接続され、直流充電部201は、IGBTのコレクタ(C)とエミッタ(E)に接続される。PWMは、スイッチのオン・オフをくり返し行い、ONのパルス幅に比例した電圧を得る制御方式である。
【0025】
制御演算部210は、MCU(Micro Control Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの半導体回路からなる演算器であって、ソフトウェアあるいはハードウェアの演算回路で構成される。
【0026】
電流検出器203は、ホールCT(Current Transformer:変流器)やシャント抵抗で構成され、電力変換装置100と変圧器102または負荷電源系統104に流れる電流を検出し、制御演算部210の電流検出部211(後述)に出力する。ホールCTは、ホール効果を利用した磁気センサである。シャント抵抗は、電流を分流させて、回路に流れる電流を計測するための抵抗器である。
【0027】
制御演算部210は、サブ機能部として、電流検出部211、電流演算部212、電圧検出部213、電源検出部214、PWM出力部215、位相検出部216、情報記憶部217、外部インターフェース218、安定化制御部220を有する。
【0028】
電流検出部211は、AD変換器(Analog Digital Converter)などの変換部であって、電流検出器203が出力した信号を入力とし、演算用データに変換して、電流演算部212に出力する。
【0029】
電流演算部212は、電流検出部211の出力した電流データを入力とし、電流データとして、例えば、無効電流、有効電流を計算し、安定化制御部220に出力する。
【0030】
電圧検出部213は、交流変換部202に入力された電圧を検出し、内部から指令された出力電圧との差異や、変圧器・負荷電源系統から入力される電圧レベルを取得し、安定化制御部220に出力する。
【0031】
電源検出部214は、外部電源ユニット106の電源状況をモニタリングし、電源の状態を安定化制御部220に出力する。
【0032】
PWM出力部215は、交流変換部202の例えばIGBTのゲートに接続され、入力される交流に対してPWM変調を行う。
【0033】
位相検出部216は、位相検出器105が検出した変圧器の一次側の位相を取得することにより、位相情報を演算し、安定化制御部220に出力する。
【0034】
情報記憶部217は、安定化制御部220が演算したデータ、電流データ、電圧データ、寿命演算データなどを取得し、種々のデータをモニタリングしてデータを記憶する。記憶したデータは、外部インターフェース218に出力する。
【0035】
外部インターフェース218は、情報記憶部217から入力したデータを外部のクラウドサービスや管理端末、あるいはスマートフォンやタブレットなどの情報処理端末に出力する。
【0036】
安定化制御部220は、電流演算部212、電圧検出部213、電源検出部214、位相検出部216の出力を入力とし、入力した電流情報および電圧情報を用いて、出力電圧および出力電圧位相を安定させるため、例えば、電圧指令に対して、フィードバックされた電圧が近づくようにPI(Proportional Integral:比例・積分)制御するなどする。この結果は、出力指令とされて、交流変換部202に出力される。
【0037】
次に、
図3ないし
図4Bを用いて電力変換装置による電気系統異常検出処理について説明する。
【0038】
先ず、
図3を用いて電力変換装置が電源遮断プロセスで行う処理について説明する。
【0039】
先ず、電力変換装置100の制御演算部210の安定化制御部220は、電圧検出部213で検出される変圧器102から入力される電圧に対して、電力変換装置100からの出力電圧と出力位相を同期するようにPWM出力部215を制御する(S301)。これは、電源遮断のプロセスにおいて、過大な電流が流れないようにするための処理である。
【0040】
次に、外部装置(図示せず)の指令または電力変換装置100の制御演算部210の指令により、2次側接点103をオフにする(S302)。
【0041】
次に、制御演算部210の安定化制御部220は、負荷電源系統104から切り離された状態になった後、電流検出器203、電流検出部211、電流演算部212のルートにより得られた電流値、および、電圧検出部213より得られた電圧値を取得する(S303)。
【0042】
次に、安定化制御部220は、得られた電流値および電圧値から、異常状態を検証する(S304)。
【0043】
この異常状態の検証は、例えば、負荷条件の変動による電圧降下の影響などの異常状態を検証するものである。
【0044】
異常状態を検証においては、例えば、2次側接点103をオフにしたときに得られるS303の電流値を参照し、3相の平衡性により異常と判断することができる。すなわち、いずれか1相が他の相よりも所定の閾値以上電流が高いまたは低い場合に、異常と判断することができる。電流の閾値は、例えば、励磁電流の5%というように、変圧器102に流れる電流に応じて決定してもよいし、異常判断のレベルとして、例えば、劣化した変圧器102の情報があれば、その情報に基づいて、不平衡のレベルを決めてもよい。
【0045】
また、異常状態を検証においては、例えば、安定化制御部220が、3相の電流を合算した場合に、0とならずに漏れている電流が、所定の閾値以上電流が高い場合に、異常と判断することができる。異常判断のレベルとして、例えば、例えば、劣化した変圧器102の情報があれば、その情報に基づいて、不平衡のレベルを決めてもよい。
【0046】
また、3相における各電圧を、電圧検出部213により検出し、安定化制御部220が、ある相(例えば、R相)のピークレベルの電圧値が、他の相(例えば、S相、T相)のピークレベルの電圧値に比べて、閾値として所定値以上(例えば、1.2以上)、所定値以下(例えば、0.8以下)にあるときに、異常と検出する、また、ある相(例えば、R相)の位相が、他の相(例えば、S相)の位相のずれの正常値(2π/3ラジアン=120度)より、閾値として、所定値以上(例えば、(2π/3)×1.1ラジアン=132度以上)、所定値以下(例えば、(2π/3)×0.9=108度以下)にあるときに、異常があるものと判断することができる。
【0047】
安定化制御部220は、これらのような判断基準に基づいて、電源系統が異常状態にあるか否かを判断し(S305)、異常と判断された場合には(S305:YES)、制御演算部210の外部インターフェース218を介して、ユーザーに異常を伝える(S306)。また、安定化制御部220は、異常と判断されない場合には(S305:NO)、異常判断に使用した電流情報を規定レベルに対して、情報記憶部217に対して記録して起き、計測回数と規定レベルに達した回数に基づいて、異常となる日数を計算して異常予測とし、外部インターフェース218を介して、ユーザーに異常を伝える(S307)。これは、例えば、100回の計測を行ったときに、異常となるレベルの50パーセントの電流が10回計測されたときには、4日以内の異常が予測され、20回計測されたときには、2日以内の異常が予測されるとする、また、100回の計測を行ったときに、異常となるレベルの70パーセントの電流が1回計測されたときには、1日以内の異常が予測されるとするなど、計測回数と電流の規定レベルと、異常予測の日にちをデータベース化して参照すればよい。
【0048】
最後に、外部装置(図示せず)の指令または電力変換装置100の制御演算部210の指令により、1次側接点101をオフにする(S309)。
【0049】
次に、
図4Aおよび
図4Bを用いて電力変換装置が電源投入プロセスで行う処理について説明する。
【0050】
先ず、電力変換装置100の制御演算部210は、1次側接点101がオフ、2次側接点103がオフであるときに、電流制御を行う(S401)。
【0051】
具体的には、外部電源ユニット106から電力変換装置100に直流電流を供給し、制御演算部210の安定化制御部220は、1次側接点101が切断されている状態の変圧器102には電圧が発生していないため、電流が既定のレベルに到達するように、出力電圧を上下させ、PWM出力部215をPI制御する。既定のレベルは、例えば、変圧器102の励磁電流の20%あるいは定格電流の5%など、変圧器102に関する情報から決定し、予め設定値として記憶させておけばよい。
【0052】
次に、安定化制御部220は、1次側接点101オフ時の電流検出器203、電流検出部211、電流演算部212のルートにより得られた変圧器102の2次側の電流値、および、電圧検出部213より得られた変圧器102の2次側の電圧値を取得する(S402)。
【0053】
そして、安定化制御部220は、得られた変圧器102の2次側の電流値、および、得られた変圧器102の2次側の電圧値から、異常状態を検証する(S403)。異常状態の検証と異常状態の判断は、
図3のS304、S305の場合と同様である。
【0054】
すなわち、異常判断は、例えば、3相の平衡性が、いずれか1相が他の相よりも所定の閾値以上電流が高いまたは低い場合に異常と判断してもよいし、電流の閾値は、例えば励磁電流の5%というように、変圧器に流れる電流に応じて決定する。異常判断のレベルとして、例えば、劣化した変圧器の情報があれば、その情報をもとに、不平衡のレベルを決めてもよい。
【0055】
また、異常状態を検証においては、例えば、安定化制御部220が、3相の電流を合算した場合に、0とならずに漏れている電流が、所定の閾値以上電流が高い場合に、異常と判断する。異常判断のレベルとして、例えば、劣化した変圧器の情報があれば、その情報をもとに、不平衡のレベルを決めてもよい。
【0056】
また、3相における各電圧を、電圧検出部213により検出し、安定化制御部220が、ある相(例えば、R相)のピークレベルの電圧値が、他の相(例えば、S相、T相)のピークレベルの電圧値に比べて、閾値として所定値以上(例えば、1.2以上)、所定値以下(例えば、0.8以下)にあるときに、異常と検出する、また、ある相(例えば、R相)の位相が、他の相(例えば、S相)の位相のずれの正常値(2π/3ラジアン=120度)より、閾値として、所定値以上(例えば、(2π/3)×1.1ラジアン=132度以上)、所定値以下(例えば、(2π/3)×0.9=108度以下)にあるときに、異常があるものと判断することができる。
【0057】
安定化制御部220は、これらのような判断基準に基づいて、電源系統が異常状態にあるか否かを判断し(S404)、異常と判断された場合には(S404:YES)、制御演算部210の外部インターフェース218を介して、ユーザーに異常を伝え(S405)、処理を終了する。
【0058】
安定化制御部220は、異常状態でない場合には(S404:NO)、S406に行き、安定化制御部220は、位相検出部216により検出された電圧の位相情報を用い、PWM出力部215に指令し、出力する周波数を制御し、出力電圧の位相と位相検出部216により検出された位相情報による位相とを同期させる(S406)。この処理は、1次側接点101をオンにする前に、位相のずれが過大となり、むだな電流が流れないようにする前処理である。
【0059】
次に、外部装置(図示せず)の指令または電力変換装置100の制御演算部210の指令により、1次側接点101をオンにする(S407)。
【0060】
次に、安定化制御部220は、1次側接点101をオン時での電流制御を行う(S408)。具体的には、例えば、PWM出力部215の出力電圧指令を制御し、電流が1次側接点投入前の所定の既定のレベルに到達するまで、2次側の電圧に対し、位相を同期させた状態で、出力電圧を下げる方向で電流値がある一定レベルで一定になるようにPI制御する。
【0061】
安定化制御部220は、
図3のS301で示したように、電力変換装置100から出力電圧と、変圧器102から入力される電圧の位相を同期させた状態で、電流による診断を行ってもよいが、このように1次側接点101をオン時での電流制御を行うのは、後のステップ(
図4BのS413)での異常状態の検証により、1次側接点の開閉状態の各々の状態での変圧器の1次側と2次側の異常状態を同様の条件で比較するためである。
【0062】
次に、安定化制御部220は、1次側接点101オン時の電流検出器203、電流検出部211、電流演算部212のルートにより得られた変圧器102の2次側の電流値、および、電圧検出部213より得られた変圧器102の2次側の電圧値を取得する(S409)。
【0063】
そして、安定化制御部220は、得られた変圧器102の2次側の電流値、および、得られた変圧器102の2次側の電圧値から、異常状態を検証する(S410)。異常状態の検証と異常状態の判断は、
図3のS304、S305、
図4AのS403、S404の場合と同様である。
【0064】
すなわち、異常判断は、例えば、3相の平衡性が、いずれか1相が他の相よりも所定の閾値以上電流が高いまたは低い場合に異常と判断してもよいし、電流の閾値は、例えば励磁電流の5%というように、変圧器に流れる電流に応じて決定する。異常判断のレベルとして、例えば、劣化した変圧器の情報があれば、その情報をもとに、不平衡のレベルを決めてもよい。
【0065】
また、異常状態を検証においては、例えば、安定化制御部220が、3相の電流を合算した場合に、0とならずに漏れている電流が、所定の閾値以上電流が高い場合に、異常と判断する。異常判断のレベルとして、例えば、劣化した変圧器の情報があれば、その情報をもとに、不平衡のレベルを決めてもよい。
【0066】
また、3相における各電圧を、電圧検出部213により検出し、安定化制御部220が、ある相(例えば、R相)のピークレベルの電圧値が、他の相(例えば、S相、T相)のピークレベルの電圧値に比べて、閾値として所定値以上(例えば、1.2以上)、所定値以下(例えば、0.8以下)にあるときに、異常と検出する、また、ある相(例えば、R相)の位相が、他の相(例えば、S相)の位相のずれの正常値(2π/3ラジアン=120度)より、閾値として、所定値以上(例えば、(2π/3)×1.1ラジアン=132度以上)、所定値以下(例えば、(2π/3)×0.9=108度以下)にあるときに、異常があるものと判断することができる。
【0067】
安定化制御部220は、これらのような判断基準に基づいて、電源系統が異常状態にあるか否かを判断し(S411)、異常と判断された場合には(S411:YES)、制御演算部210の外部インターフェース218を介して、ユーザーに異常を伝え(S412)、処理を終了する。
【0068】
電源系統が異常状態ではないと判断したときには(S411:NO)、1次側接点101オフ時に得られた電源系統の状態と、1次側接点101オン時に得られた電源系統の状態とを比較する(S413)。
【0069】
ここで、1次側接点101オン時に得られた電源系統の状態の方が、1次側接点101オフ時に得られた電源系統の状態と比較して、電流値、電圧値からみて、異常レベルに近いときには、変圧器102の1次側に問題がある可能性が大きいと判定され(S414:>)、その旨を制御演算部210の外部インターフェース218を介して、ユーザーに報知し(S415)、逆に、1次側接点101オフ時に得られた電源系統の状態の方が、1次側接点101オン時に得られた電源系統の状態と比較して、電流値、電圧値からみて、異常レベルに近いときには、変圧器102の2次側に問題がある可能性が大きいと判定され(S414:<)、その旨を制御演算部210の外部インターフェース218を介して、ユーザーに報知し(S417)、1次側接点101オン時に得られた電源系統の状態の方と、1次側接点101オフ時に得られた電源系統の状態が、電流値、電圧値からみて、異常レベルが同程度のときには(S414:=)、その旨を制御演算部210の外部インターフェース218を介して、ユーザーに報知する(S416)。
【0070】
また、安定化制御部220は、問題とあると判定された変圧器の1次側または2次側の異常判断に使用した電流情報または電圧情報を情報記憶部217に対して記録しておき、計測した回数とある異常レベルに達した回数から(例えば、10回の計測に内に、3回異常レベルに達したときには、4日以内に異常のおそれあり、例えば、10回の計測に内に、6回異常レベルに達したときには、2日以内のように異常のおそれありのように記憶されたデータベースを参照)、これから異常が発生する日数を計算して異常予測とし、外部インターフェース218を介して、ユーザーに異常が発生するおそれがある日数として伝えてもよい。また、この判断基準は、変圧器の1次側または2次側で異なったものを用いてもよい。
【0071】
最後に、S403、S411で、1次側接点101オフ時、1次側接点101オン時共に、電源系統に異常があると判定されなければ、2次側接点103をオンにして、変圧器102の2次側を負荷電源系統104に接続する(S420)。
【0072】
以上のように、本実施形態の電力変換装置によれば、3相交流を入力として、入力された3相交流を変圧して出力する負荷電源系統に提供する電源系統において、負荷電源系統から入力系統の電源を遮断するとき、および、負荷電源系統と入力系統の電源を接続するときの各々のときに、電流値、電圧値を取得して電源系統に異常があるか否かを判定することができる。
【符号の説明】
【0073】
100…電力変換装置、101…1次側接点、102…変圧器、103…2次側接点、104…負荷電源系統、105…位相検出器、106…外部電源ユニット、
201…直流充電部、202…交流変換部、203…電流検出器、
210…制御演算部、211…電流検出部、212…電流演算部、213…電圧検出部、214…電源検出部、215…PWM出力部、216…位相検出部、217…情報記憶部、218…外部インターフェース、220…安定化制御部