(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040779
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】把持式穴掘建柱車の制御装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/00 20060101AFI20240318BHJP
B66F 9/065 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
E21B7/00 B
B66F9/065 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145356
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】八鍬 政和
【テーマコード(参考)】
2D129
3F333
【Fターム(参考)】
2D129AB17
2D129BB04
2D129DC03
2D129DC05
2D129DC13
2D129DC33
2D129DC37
2D129DC63
2D129EB29
3F333AA20
3F333AB04
3F333AE25
3F333DB10
(57)【要約】
【課題】連動作動時の操作性を向上させることのできる把持式穴掘建柱車の制御装置を提供する。
【解決手段】把持式穴掘建柱車1の制御装置は、モード選択スイッチ33が連動モードに選択されている場合において、ブーム旋回起伏操作レバー32aおよび/またはブーム伸縮屈伸操作レバー32bの操作に応じて、把持部81に把持された電柱Pの対地角度を維持した状態で、把持部81が当該電柱Pの軸方向および当該軸方向と直交する方向に直線的に移動するように、ブーム13および支持機構の作動を制御する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車体と、
前記車体上に起伏、伸縮および旋回自在に設けられたブームと、
前記ブームの先端部に設けられ、柱状物を把持する把持部と、
前記ブームの先端部と前記把持部との間に設けられ、前記ブームの先端部に対する前記把持部の位置および姿勢を変更する支持機構と、
前記ブームおよび前記支持機構の作動操作を行うための操作装置と、
前記操作装置の操作に応じて前記ブームおよび前記支持機構を作動させる作動制御部とを備え、
前記操作装置は、前記把持部を当該把持部に把持された前記柱状物の軸方向および当該軸方向と直交する方向に移動させるために操作される把持部操作部を有し、
前記作動制御部は、前記把持部操作部の操作に応じて、前記把持部に把持された前記柱状物の対地角度を維持した状態で、前記把持部が当該柱状物の軸方向および当該軸方向と直交する方向に移動するように、前記ブームおよび前記支持機構の作動を制御することを特徴とする把持式穴掘建柱車の制御装置。
【請求項2】
前記作動制御部は、前記把持部操作部の操作に応じて、前記把持部を、前記柱状物の軸方向と、前記軸方向と直交する第1直交方向と、前記軸方向および前記第1直交方向と直交する第2直交方向とに移動させることを特徴とする請求項1に記載の把持式穴掘建柱車の制御装置。
【請求項3】
前記把持部は、開閉可能な把持爪を有して、所定の回転軸を中心に回転可能に構成されており、
前記第1直交方向は、前記把持爪の開閉方向に設定され、
前記第2直交方向は、前記回転軸方向に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の把持式穴掘建柱車の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電柱等の柱状物を把持する把持部を備えた把持式穴掘建柱車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一つである穴掘建柱車として、車体上に旋回作動自在に設けられた旋回台と、旋回台に起伏作動および伸縮作動自在に設けられたブームと、ブームに装着されて電柱を建て入れるための建柱穴を掘削するオーガ装置と、ブームの先端部に設けられて電柱などの柱状物を把持する把持装置とを備えた把持式の穴掘建柱車が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この把持式の穴掘建柱車を用いて地面に建柱穴を掘削する際には、オーガ装置をブームの先端部から吊り下げた状態でブームを適宜作動させ、そのオーガ装置を所定の掘削位置で回転作動させることで、所定の深さの建柱穴を形成することができる。この建柱穴の掘削が終了した後は、オーガ装置を引き上げてブームの側面に格納するとともに、把持装置に開閉自在に設けられた把持部により電柱を把持し、この電柱を把持した状態でブームを適宜作動させるとともに把持部を屈伸・首振り・回転作動させることで上記掘削された建柱穴に当該電柱を位置合わせして直接建て入れることができるようになっている。このような把持式の穴堀建柱車では、電柱をウィンチやクレーンなどを用いて吊り下げて作業を行う場合と比べて、一連の建柱作業を効率的に行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記建柱作業などの実作業において、把持部に把持された電柱の姿勢を維持したままで当該電柱を所望の方向に移動させたい場合には、ブームの各作動(起伏・伸縮・旋回作動)と、把持部の各作動(屈伸・首振り・回転作動)とを適宜組み合わせて連動作動させる必要があるが、作業者が複数の作動操作を同時並行的に行うのは技能的に難しく、熟練度を要するため、このような連動作動が必要となる場合には、作業効率が低下するとともに、誤操作が多くなり、安全性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、連動作動時の操作性を向上させることのできる把持式穴掘建柱車の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る把持式穴掘建柱車の制御装置は、走行可能な車体と、前記車体上に起伏、伸縮および旋回自在に設けられたブームと、前記ブームの先端部に設けられ、柱状物を把持する把持部と、前記ブームの先端部と前記把持部との間に設けられ、前記ブームの先端部に対する前記把持部の位置および姿勢を変更する支持機構と、前記ブームおよび前記支持機構の作動操作を行うための操作装置と、前記操作装置の操作に応じて前記ブームおよび前記支持機構を作動させる作動制御部とを備え、前記操作装置は、前記把持部を当該把持部に把持された前記柱状物の軸方向および当該軸方向と直交する方向に移動させるために操作される把持部操作部を有し、前記作動制御部は、前記把持部操作部の操作に応じて、前記把持部に把持された前記柱状物の対地角度を維持した状態で、前記把持部が当該柱状物の軸方向および当該軸方向と直交する方向に移動するよう
に、前記ブームおよび前記支持機構の作動を制御することを特徴とする。
【0007】
上記構成の把持式穴掘建柱車の制御装置において、前記作動制御部は、前記把持部操作部の操作に応じて、前記把持部を、前記柱状物の軸方向と、前記軸方向と直交する第1直交方向と、前記軸方向および前記第1直交方向と直交する第2直交方向とに移動させることが好ましい。
【0008】
また、上記構成の把持式穴掘建柱車の制御装置において、前記把持部は、開閉可能な把持爪を有して、所定の回転軸を中心に回転可能に構成されており、前記第1直交方向は、前記把持爪の開閉方向に設定され、前記第2直交方向は、前記回転軸方向に設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る把持式穴掘建柱車の制御装置によれば、把持部操作部の操作に応じて、把持部に把持した柱状物を地面との対地角度を維持した状態で当該柱状物の軸方向および当該軸方向と直交する方向に移動させることができ、作業者は把持部の位置や姿勢に関わらず柱状物を直感的に動かしたい方向に移動させることができるため(作業者の感覚に合致した操作を行うことができるため)、ブームや支持機構の連動作動時の操作性を向上させて、建柱作業や移設作業などの作業効率を高めることができるとともに、意図しない方向への誤操作を防止して、作業の安全性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る把持式穴掘建柱車の側面図である。
【
図3】上記把持式穴掘建柱車の使用状態を示す側面図である。
【
図4】上記把持式穴掘建柱車に設けられた把持装置の斜視図である。
【
図5】上記把持装置の要部を右方から見た斜視図である。
【
図6】上記把持装置の要部を左方から見た斜視図である。
【
図9】上記把持式穴掘建柱車の機能ブロック図である。
【
図10】上記把持装置の把持部が水平姿勢の電柱を把持したときの連動モードにおける把持部の移動方向を説明するための模式図である。
【
図11】上記把持装置の把持部が垂直姿勢の電柱を把持したときの連動モードにおける把持部の移動方向を説明するための模式図である。
【
図12】水平姿勢の電柱を把持した上記把持部を-Y方向に移動させるときの作動を説明するための模式図である。
【
図13】水平姿勢の電柱を把持した上記把持部を+Z方向に移動させるときの作動を説明するための模式図である。
【
図14】垂直姿勢の電柱を把持した上記把持部を+Z方向に移動させるときの作動を説明するための模式図である。
【
図15】垂直姿勢の電柱を把持した上記把持部を+Y方向に移動させるときの作動を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る把持式穴掘建柱車1の全体構成について
図1~
図3を参照して説明する。
【0012】
把持式穴掘建柱車1は、
図1に示すように、車体2の前部に運転キャビン7を有し、車体2の前後に配設された左右一対のタイヤ車輪5により走行可能なトラック車両をベース
に構成されている。車体2の前後左右の四箇所には、車体2を持ち上げ支持するためのジャッキ9が配設されている。各ジャッキ9は、その内部に設けられたジャッキシリンダ(図示せず)を駆動させて下方に伸長させることで車体2を持ち上げ支持し、それにより車体2全体を安定させた状態とする。ジャッキ9の作動操作は、車体2の後部に設けられたジャッキ操作装置(図示せず)の操作により行われる。
【0013】
車体2における運転キャビン7後方の架装領域には、旋回モータ14(
図9を参照)により駆動されて上下軸回りに水平旋回作動自在に構成された旋回台12が設けられている。この旋回台12には、ブーム13の基端部が上下方向に揺動自在(起伏自在)に取り付けられている。
【0014】
ブーム13は、旋回台12側から順に、基端ブーム13a、中間ブーム13bおよび先端ブーム13cが入れ子式に組み合わされた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ15(
図9を参照)の伸縮駆動により、ブーム13を軸方向(長手方向)に伸縮作動させることができる。また、基端ブーム13aと旋回台12との間には起伏シリンダ16が跨設されており、この起伏シリンダ16を伸縮駆動させることにより、ブーム13全体を上下面(垂直面)内で起伏作動させることができる。
【0015】
ブーム13には、基端ブーム13aと先端ブーム13cとに選択的に連結可能なオーガサポート17を介して、建柱穴の掘削を行うためのオーガ装置20が取り付けられている。オーガ装置20は、減速機付きのオーガモータ21と、オーガモータ21を回転駆動させることにより軸周りに回転されるアースオーガ22とを有して構成される。また、基端ブーム13aの側面には、オーガ装置20を格納状態で保持するオーガ格納装置18が配設されている。オーガ装置20は、オーガサポート17に垂直面内で上下に揺動可能に取り付けられており、オーガ装置20をオーガ格納装置18により基端ブーム13aの側方に沿って格納した格納位置と、オーガ装置20をオーガ格納装置18から外してアースオーガ22を地面に対して略垂直姿勢にした作業位置との間で揺動させることが可能である。
【0016】
オーガ装置20を使用するときは、
図3のIに示すように、オーガサポート17を先端ブーム13cに連結させて、オーガ格納装置18から外したオーガ装置20を作業位置に揺動させた状態(アースオーガ22を地面に対して略垂直姿勢にした状態)で、アースオーガ22を回転させながらブーム13の倒伏作動と縮小作動とを連動させて直線的に下方へ移動させることで、建柱穴の掘削作業が可能である。一方、オーガ装置20を使用しないときは、
図3のIIに示すように、オーガサポート17を基端ブーム13aに連結させて、オーガ装置20をオーガ格納装置18により基端ブーム13aの側方に沿った格納位置に格納保持する。オーガ装置20が格納位置にある状態においては、後述の把持装置50を用いて、電柱(
図3に符号Pで示す:以下同様)の建柱作業や障害物の移設作業などの各種の作業を行うことができるようになっている。
【0017】
先端ブーム13cの先端部には、ブームヘッド19が固定されている。このブームヘッド19には、例えば電柱Pや樹木などの対象物(柱状物)を把持する把持装置50が取り付けられている。この把持装置50の構成について
図4~
図8を追加参照して説明する。なお、
図7~
図8では、図を見易くするために、断面を示すハッチングを省略している。また、以下では、説明の便宜上、
図4に示す把持装置50の姿勢を基準として、図示する前後、左右、上下の矢印方向を、前後方向、左右方向、上下方向と呼称して説明する。
【0018】
把持装置50は、ブームヘッド19に上下方向に揺動(屈伸作動)可能に取り付けられたアーム51と、アーム51の先端部に上下方向に揺動(縦首振り作動)可能に取り付けられた第1ジョイント部材60と、第1ジョイント部材60に左右方向に揺動(横首振り
作動)可能に取り付けられた第2ジョイント部材70と、第2ジョイント部材70に回転作動可能に取り付けられたグリッパ80とを備えて構成される。なお、本実施形態では、アーム51、第1ジョイント部材60、第2ジョイント部材70、後述のアームシリンダ55、縦首振りシリンダ62、横首振りシリンダ71、グリッパモータ79などにより、グリッパ80の把持部81の姿勢を変化させる支持機構が構成されている。
【0019】
アーム51は、軸方向(長手方向)の一端部が連結ピン52を介してブームヘッド19に枢結され、軸方向(長手方向)の他端部が連結ピン53を介して第1ジョイント部材60に枢結されている。ブームヘッド19と第1ジョイント部材60との間には、アームシリンダ55が取り付けられている。アームシリンダ55のロッド側端部は、ブームヘッド19に連結ピン56を介して枢結されている。アームシリンダ55のボトム側端部は、第1ジョイント部材60に連結ピン57を介して枢結されている。このアームシリンダ55を伸縮駆動させることで、アーム51をブームヘッド19に対して連結ピン52を中心に上下方向に揺動自在(屈伸作動可能)に構成されている。
【0020】
第1ジョイント部材60は、先端側が開放された上下二股状に形成されており、この二股状の両端部に第2ジョイント部材70が上下一対の連結ピン61を介して枢結されている。第1ジョイント部材60とアーム51との間には、縦首振りシリンダ62が設けられている。縦首振りシリンダ62のボトム側端部は、アーム51の基端側に連結ピン63を介して枢結されている。縦首振りシリンダ62のロッド側端部は、第1ジョイント部材60の上端側に連結ピン64を介して枢結されている。この縦首振りシリンダ62を伸縮駆動させることで、第1ジョイント部材60をアーム51に対して連結ピン53を中心に上下方向に揺動自在(縦首振り作動可能)に構成されている。
【0021】
第2ジョイント部材70は、第1ジョイント部材60によって上下から挟まれるように支持されている。また、第1ジョイント部材60の上端部には、横首振りシリンダ71が設けられている。横首振りシリンダ71は、ボトム側端部が第1ジョイント部材60の先端部に枢結され、ロッド側端部が第2ジョイント部材70の後端部に枢結されている。この横首振りシリンダ71を伸縮駆動させることで、第2ジョイント部材70を第1ジョイント部材60に対して連結ピン61を中心に左右方向に揺動自在(横首振り作動可能)に構成されている。
【0022】
グリッパ80は、対象物を把持する把持部81と、把持部81を支持して第2ジョイント部材70に回転自在に設けられたグリッパハウジング86と、把持部81を開閉作動する開閉機構93とを備えて構成される。
【0023】
把持部81は、一対の把持爪82と、この一対の把持爪82を互いに接近又は離反する方向(開閉方向)に開閉自在に支持する上下一対の支持板部83とを備えている。把持爪82は、例えば電柱Pや樹木などの種々の対象物(柱状物)を把持可能に構成されている。この把持爪82の基端部は、上下の支持板部83に連結ピン84を介して枢結されている。把持爪82の先端部には、互い違いに切欠き82a,82bが形成されており、この先端部同士が互いに交差(オーバーラップ)可能に構成されている。支持板部83には、不図示のアタッチメント(例えば樹木を伐採するための伐採装置)を着脱自在に装着するための平板状の上側ブラケット85が設けられている。
【0024】
グリッパハウジング86は、上下の支持板部83に連結されて第2ジョイント部材70に回転自在に支持された支持筒部87と、この支持筒部87の基端側に固定されて第1ジョイント部材60と第2ジョイント部材70との間に配設されたシリンダブラケット部92とを備えている。
【0025】
支持筒部87は、中空の角筒状に形成された内側筒部88と、この内側筒部88の外周側に設けられて中空の円筒状に形成された外側筒部89とを有した二重構造となっている。内側筒部88の内周側には、後述の開閉機構93の摺動部材95が前後方向にスライド自在に取り付けられている。外側筒部89の外周側には、この外側筒部89と同心状にウォームホイール90が取り付けられている。このウォームホイール90は、第2ジョイント部材70の内側に回転自在に支持されたウォームピニオン91と噛合している。第2ジョイント部材70の上端部には、グリッパモータ79が取り付けられており、このグリッパモータ79の出力軸にウォームピニオン91が減速機を介して連結されている。このグリッパモータ79を正転方向に回転駆動すると、ウォームピニオン91およびウォームホイール90を介して、グリッパ80全体が回転軸線J(
図7を参照)を中心に所定方向に回転作動する。一方、グリッパモータ79を逆転方向に回転駆動すると、ウォームピニオン91およびウォームホイール90を介して、グリッパ80全体が回転軸線J(
図7を参照)を中心に所定方向とは逆方向に回転作動する。なお、
図4に示した把持装置50の姿勢においては、グリッパ80(把持部81)の回転軸線J方向は前後方向に対応し、把持部81の開閉方向(把持方向)は左右方向に対応する。
【0026】
開閉機構93は、一対のリンク部材94と、この一対のリンク部材94にリンク結合される摺動部材95と、この摺動部材95を前後にスライドさせるグリッパシリンダ99とを備えている。各リンク部材94の一端部は、把持爪81の中間部に連結ピン96を介して枢結されている。また、一対のリンク部材94は、各リンク部材94の他端部同士が上下に重なった状態で摺動部材95の先端部に連結ピン97を介して枢結されている。この摺動部材95は、内側筒部88の中空部に挿入されて、当該内側筒部88の内周面に沿って摺動自在(往復動自在)に取り付けられている。この摺動部材95の外周面と内側筒部88の内周面との間には、摺動部材95のスライド(往復移動)を案内するための合成樹脂製のスライダ98が取り付けられている。この摺動部材95の基端部には、グリッパシリンダ99のロッド側端部が連結されている。なお、このグリッパシリンダ99のボトム側端部は、グリッパハウジング86のシリンダブラケット部92に連結されている。このグリッパシリンダ99を伸長駆動すると、当該伸長方向に摺動部材95が摺動してリンク部材94が互いに離反する方向に揺動する。それにより、把持爪82が連結ピン84を支点として開方向に揺動することで(把持爪82が開方向に作動(開作動)することで)、電柱Pなどの柱状物(対象物)の把持を解放することができる。一方、グリッパシリンダ99を縮小駆動すると、当該縮小方向に摺動部材95が摺動してリンク部材94が互いに接近する方向に揺動する。それにより、把持爪82が連結ピン84を支点として閉方向に揺動することで(把持爪82が閉方向に作動(閉作動)することで)、電柱Pなどの柱状物(対象物)を把持することができる。なお、開閉機構93は、左右対称に構成されているため、一対の把持爪82は左右対称に開閉作動するようになっている。
【0027】
車体2における運転キャビン7の直後方で旋回台12の前には、各作業装置(旋回台12、ブーム13、オーガ装置20、把持装置50)の作動を操作するための操作席30が設けられている。この操作席30の前方には、作業者が座ったままの姿勢で操作が可能な操作装置31が配設されている。操作装置31には、
図9に示すように、ブーム13の旋回操作および起伏操作を行うためのブーム旋回起伏操作レバー32a、ブーム13の伸縮操作およびアーム51の屈伸操作を行うためのブーム伸縮屈伸操作レバー32b、アースオーガ22の回転操作を行うためのオーガ操作レバー32c、把持部81の縦首振り操作を行うための把持部縦首振り操作レバー32d、把持部81の横首振り操作を行うための把持部横首振り操作レバー32e、把持部81の回転操作を行うための把持部回転操作レバー32f、把持部81の開閉操作を行うための把持部開閉操作レバー32gなどが設けられている。
【0028】
また、操作装置31には、
図9に示すように、モード選択スイッチ33が設けられてい
る。モード選択スイッチ33は、中立位置および傾倒位置のいずれかに切り換え可能なトグルスイッチにより構成されている(作業者が手を離しても当該切り換えられた操作位置を保持する構成となっている)。モード選択スイッチ33が中立位置に選択されているときは通常モードが設定され、モード選択スイッチ33が傾倒位置に選択されているときは連動モードが設定される。通常モードは、各操作レバー32a~32gの操作に応じて各油圧アクチュエータを独立して駆動させて、ブーム13の起伏作動・伸縮作動・旋回作動、オーガ装置20(アースオーガ22)の回転作動、アーム51の屈伸作動、把持部81の縦首振り作動・横首振り作動・回転作動・開閉作動などを個別に行うことができるモードである。連動モードは、ブーム旋回起伏操作レバー32aおよびブーム伸縮屈伸操作レバー32bの操作に応じて各油圧アクチュエータを組み合わせて駆動(連動駆動)させて、後述の把持部座標系に従って把持部81を移動させることができるモードである。
【0029】
ここで、旋回台12,ブーム13、オーガ装置20、把持装置50などの作動機構は、
図9に示すように、操作装置31からの操作信号を受けて、旋回モータ14、伸縮シリンダ15、起伏シリンダ16、オーガモータ21、アームシリンダ55、縦首振りシリンダ62、横首振りシリンダ71、グリッパモータ79、グリッパシリンダ99(以下、まとめて「油圧アクチュエータ」とも呼称する)を制御するコントローラ100と、この油圧アクチュエータを駆動するための作動油を供給する油圧ユニット110とを備えて構成される。
【0030】
操作装置31の操作により出力された操作信号は、コントローラ100に入力される。コントローラ100は、その操作信号に応じた指令信号を油圧ユニット110(制御バルブ112)に出力する。
【0031】
油圧ユニット110は、作動油を吐出する油圧ポンプ111と、油圧ポンプ111から各油圧アクチュエータに供給する作動油の供給方向及び供給量を制御する制御バルブ112を有して構成される。油圧ポンプ111は、車両のエンジンからPTO機構(図示せず)を介して取り出した動力により駆動される。制御バルブ112は、旋回モータ14に対応する電磁比例制御バルブV1、伸縮シリンダ15に対応する電磁比例制御バルブV2、起伏シリンダ16に対応する電磁比例制御バルブV3、オーガモータ21に対応する電磁比例制御バルブV4、アームシリンダ55に対応する電磁比例制御バルブV5、縦首振りシリンダ62に対応する電磁比例制御バルブV6、横首振りシリンダ71に対応する電磁比例制御バルブV7、グリッパモータ79に対応する電磁比例制御バルブV8、グリッパシリンダ99に対応する電磁比例制御バルブV9を有している。この制御バルブ112は、コントローラ100からの指令信号に基づき、各電磁比例制御バルブV1~V9のスプールを電磁駆動して、油圧ポンプ111から各油圧アクチュエータに供給される作動油の供給方向及び供給量を制御し、各油圧アクチュエータの駆動方向及び駆動速度を制御する(旋回台12、ブーム13、オーガ装置20、把持装置50の作動方向及び作動速度を制御する)。
【0032】
コントローラ100には、ブーム起伏角度検出器120、ブーム伸長量検出器121、ブーム旋回角度検出器122、アーム屈伸角度検出器123、把持部縦首振り角度検出器124、把持部横首振り角度検出器125、把持部回転角度検出器126などの各種検出器が電気的に接続されている。
【0033】
ブーム起伏角度検出器120は、基端ブーム13a内に設けられて、ブーム13の起伏角度を検出する。ブーム伸長量検出器121は、基端ブーム13aの基端部に設けられて、ブーム13の長さ(伸長量)を検出する。ブーム旋回角度検出器122は、車体2に設けられて、車体2に対するブーム13(旋回体12)の旋回角度を検出する。アーム屈伸角度検出器123は、ブームヘッド19とアーム51との連結部(連結ピン52)の近傍
位置に設けられて、ブームヘッド19に対するアーム51の屈伸角度(揺動角度)を検出する。把持部縦首振り角度検出器124は、アーム51と第1ジョイント部材60との連結部(連結ピン53)の近傍位置に設けられて、アーム51に対する第1ジョイント部材60の縦首振り角度(揺動角度)を検出する。把持部横首振り角度検出器125は、第1ジョイント部材60と第2ジョイント部材70との連結部(連結ピン61)の近傍位置に設けられて、第1ジョイント部材60に対する第2ジョイント部材70の横首振り角度(揺動角度)を検出する。把持部回転角度検出器126は、把持部81の回転軸線J回りの回転角度を検出する。
【0034】
コントローラ100は、位置算出部101と、作動制御部102とを備えている。
【0035】
位置算出部101は、ブーム起伏角度検出器120、ブーム伸長量検出器121、ブーム旋回角度検出器122、アーム屈伸角度検出器123、把持部縦首振り角度検出器124、把持部横首振り角度検出器125、把持部回転角度検出器126からの検出情報に基づき、車体2に対する把持部81の位置および姿勢を算出する。把持部81の位置は、車体2を基準とした把持部81の前後方向、左右方向および上下方向の位置である。把持部81の姿勢は、車体2を基準とした把持部81の向きと水平面に対する傾斜角度である。
【0036】
作動制御部102は、モード選択スイッチ33にて選択された作動モードに基づき、操作装置31から出力された操作信号(操作指令)に従って各油圧アクチュエータの駆動を制御する。以下、各作動モードについて説明する。
【0037】
作動制御部102は、モード選択スイッチ33が通常モードに選択されているときに各操作レバー32a~32gが操作されると、各操作レバー32a~32gの操作に応じて対応する各油圧アクチュエータをそれぞれ独立して駆動させる。具体的には、ブーム旋回起伏操作レバー32aが前方(操作しているオペレータを基準とした前後左右方向:以下同様)に傾倒操作されたときは、起伏シリンダ16を縮小駆動させてブーム13を倒伏作動させ、ブーム旋回起伏操作レバー32aが後方に傾倒操作されたときは、起伏シリンダ16を伸長駆動させてブーム13を起仰作動させる。また、ブーム伸縮屈伸操作レバー32bが前方に傾倒操作されたときは、伸縮シリンダ15を伸長駆動させてブーム13を伸長作動させ、ブーム伸縮屈伸操作レバー32bが後方に傾倒操作されたときは、伸縮シリンダ15を縮小駆動させてブーム13を縮小作動させる。また、ブーム旋回起伏操作レバー32aが左方に傾倒操作されたときは、旋回モータ14を正回転駆動させてブーム13を左回り方向に旋回作動させ、ブーム旋回起伏操作レバー32aが右方に傾倒操作されたときは、旋回モータ14を逆回転駆動させてブーム13を右回り方向に旋回作動させる。また、オーガ操作レバー32cが前方に傾倒操作されたときは、オーガモータ21を逆回転駆動させてアースオーガ22を逆転方向に回転作動させ、オーガ操作レバー32cが後方に傾倒操作されたときは、オーガモータ21を正回転駆動させてアースオーガ22を正転方向に回転作動させる。また、ブーム伸縮屈伸操作レバー32bが左方に傾倒操作されたときは、アームシリンダ55を縮小駆動させてアーム51をブーム13の先端部に対して下方に屈伸作動させ、ブーム伸縮屈伸操作レバー32bが右方に傾倒操作されたときは、アームシリンダ55を伸長駆動させてアーム51をブーム13の先端部に対して上方に屈伸作動させる。また、把持部縦首振操作レバー32dが前方に傾倒操作されたときは、縦首振りシリンダ62を伸長駆動させて把持部81を下方に揺動(縦首振り作動)させ、把持部縦首振り操作レバー32dが後方に傾倒操作されたときは、縦首振りシリンダ62を縮小作駆動させて把持部81を上方に揺動(縦首振り作動)させる。また、把持部横首振り操作レバー32eが左方に傾倒操作されたときは、横首振りシリンダ71を伸長駆動させて把持部81を左方に揺動(横首振り作動)させ、把持部横首振り操作レバー32eが右方に傾倒操作されたときは、横首振りシリンダ71を縮小駆動させて把持部81を右方に揺動(横首振り作動)させる。また、把持部回転操作レバー32fが前方に傾倒操作
されたときは、グリッパモータ79を正回転駆動させて把持部81を右回りに回転作動させ、把持部回転操作レバー32fが後方に傾倒操作されたときは、グリッパモータ79を逆転駆動させて把持部81を左回りに回転作動させる。また、把持部開閉操作レバー32gが前方に傾倒操作されたときは、グリッパシリンダ99を縮小駆動させて把持部81を閉方向(対象物を把持する方向)に作動させ、把持部開閉操作レバー32gが後方に傾倒操作されたときは、グリッパシリンダ99を伸長駆動させて把持部81を開方向(対象物の把持を解放する方向)に作動させる。
【0038】
作動制御部102は、モード選択スイッチ33が連動モードに選択された場合、把持部81に対して固定された座標系(「把持部座標系」と呼称する)を設定し、この把持部座標系に従って対応する各油圧アクチュエータの駆動を制御する。この把持部座標系は、
図7に示すように、把持部81の中心(把持した電柱Pの断面中心)を原点として設定されるXYZの直交3軸で表現される座標系である。X軸は、把持部81の開閉方向(把持方向)に沿って設定される座標軸である。Y軸は、把持部81の回転軸線J方向に沿って設定される座標軸である。Z軸は、X軸およびY軸と直交する方向、すなわち、把持部81が把持対象物(電柱P)を把持したときの当該把持対象物(電柱P)の軸方向に沿って設定される座標軸である。それにより、作動制御部102は、モード選択スイッチ33が連動モードに選択されている状態では、ブーム旋回起伏操作レバー32aおよびブーム伸縮屈伸操作レバー32bの操作に応じて各油圧アクチュエータを連動させて、把持部81の姿勢(電柱Pが地面となす角度である対地角度)を維持しながら、把持部81を把持部座標系に基づいて規定される移動方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に沿って直線的に移動させる。
【0039】
ここで、
図10および
図11は、連動モード(把持部座標系)における把持部81の移動方向を説明するための模式図である。具体的には、作動制御部102は、モード選択スイッチ33が連動モードに選択されているときに、ブーム旋回起伏操作レバー32aが前方に傾倒操作されたときは、把持部81を+Z方向(電柱Pの軸方向の先端側)に移動させるように、各油圧アクチュエータを連動駆動させ、ブーム旋回起伏操作レバー32aが後方に傾倒操作されたときは、把持部81を-Z方向(電柱Pの軸方向の基端側)に移動させるように、各油圧アクチュエータを連動駆動させる。また、作動制御部102は、モード選択スイッチ33が連動モードに選択されているときに、ブーム旋回起伏操作レバー32aが右方に傾倒操作されたときは、把持部81を+X方向(把持部81の開閉方向の一方側)に移動させるように、各油圧アクチュエータを連動駆動させ、ブーム旋回起伏操作レバー32aが左方に傾倒操作されたときは、把持部81を-X方向(把持部81の開閉方向の他方側)に移動させるように、各油圧アクチュエータを連動駆動させる。また、作動制御部102は、モード選択スイッチ33が連動モードに選択されているときに、ブーム伸縮屈伸操作レバー32bが前方に傾倒操作されたときは、把持部81を+Y方向(把持部81の回転軸線J方向の一方側)に移動させるように、各油圧アクチュエータを連動駆動させ、ブーム伸縮屈伸操作レバー32bが後方に傾倒操作されたときは、把持部81を-Y方向(把持部81の回転軸線J方向の他方側)に移動させるように、各油圧アクチュエータを連動駆動させる。なお、前述の
図4においては、図中の矢印方向における、左右方向がX軸方向(左方向が-X方向、右方向が+X方向)に対応しており、前後方向がY軸方向(前方向が+Y方向、後方向が-Y方向)に対応しており、上下方向がZ軸方向(上方向が+Z方向、下方向が-Z方向)に対応している。
【0040】
このように作動制御部102は、モード選択スイッチ33が連動モードに選択されている場合には、位置算出部101において算出される把持部81の位置および姿勢を基準とした把持部座標系を設定し、この把持部座標系においてブーム旋回起伏操作レバー32aおよびブーム伸縮屈伸操作レバー32bの操作方向および操作量に応じた把持部81の移動方向および移動速度を決定し、この移動方向および移動速度で把持部81を直線的に移
動させる制御を行う。なお、コントローラ100の記憶部には、位置算出部101において算出される把持部81の位置および姿勢と、把持部座標系における把持部81の移動方向および移動速度とに応じて、連動モードにおいて把持部81を移動させるにあたり最適となる各油圧アクチュエータ(2以上の油圧アクチュエータ)の駆動方向および駆動量を求めるためのデータ、関数、マップまたはテーブルなどが設定されている。
【0041】
次に、本実施形態の理解を容易なものとするために、本実施形態の把持式穴掘建柱車1の作用について説明する。なお、以下の説明において特に言及しない場合には、モード選択スイッチ33は連動モードに選択されているものとする。
【0042】
[地面に横置きされた電柱を移動させる場合]
まず、
図12および
図13を参照して、水平に把持した電柱Pを移動させる場合について説明する。なお、このときの電柱Pの移動は、建柱作業の開始に伴い、作業現場(地面)に横置きされた建柱対象の電柱Pを安全な場所(周囲と干渉しない場所)や建柱穴の付近まで移動させるときなどに行われる。
【0043】
まず、
図12に示すように、把持部81が地面に横置きされた電柱Pを把持した状態において、そのまま電柱Pを上方向に移動させる場合には、ブーム伸縮屈伸操作レバー32bを後方に傾倒操作する。それにより、作動制御部102が、ブーム13の起仰作動(起伏シリンダ16の伸長駆動)と、ブーム13の伸長作動(伸縮シリンダ15の伸長駆動)と、把持部81の下げ方向への縦首振り作動(縦首振りシリンダ62の伸長駆動)および/またはアーム51の下げ方向への屈伸作動(アームシリンダ55の縮小駆動)とを連動駆動させる制御を行うことで、把持した電柱Pの対地角度を維持しながら、把持部81および電柱Pを-Y方向(上方向)に向けて直線的に移動させることができる。なお、この連動作動において、把持部81の下げ方向への縦首振り作動と、アーム51の下げ方向への屈伸作動とについては、基本的には、把持部81の下げ方向への縦首振り作動を優先的に行い、この縦首振り作動の作動範囲(可動範囲)を超えた場合に、アーム51の下げ方向への屈伸作動を補完的に行うようになっている。
【0044】
また、
図13に示すように、把持部81が地面に横置きされた電柱Pを把持した状態において、そのまま電柱Pを軸方向の先端側に向けて移動させる場合には、ブーム旋回起伏操作レバー32aを前方に傾倒操作する。それにより、作動制御部102が、ブーム13の起仰作動(起伏シリンダ16の伸長駆動)と、ブーム13の伸長作動(伸縮シリンダ15の伸長駆動)と、ブーム13の右回り方向への旋回作動(旋回モータ14の逆回転駆動)と、把持部81の下げ方向への縦首振り作動(縦首振りシリンダ62の伸長駆動)および/またはアーム51の下げ方向への屈伸作動(アームシリンダ55の縮小駆動)と、把持部81の左回り方向への回転作動(グリッパモータ79の逆転駆動)とを連動駆動させる制御を行うことで、把持した電柱Pの対地角度を維持しながら、把持部81および電柱Pを+Z方向(軸方向の先端側)に向けて直線的に移動させることができる。
【0045】
[垂直姿勢の電柱を移動させる場合]
次に、
図14および
図15を参照して、垂直に把持した電柱Pを移動させる場合について説明する。なお、このときの電柱Pの移動は、垂直姿勢の電柱Pを建柱穴に差し込むために、当該電柱Pを建柱穴に対して位置合わせするときなどに行われる。
【0046】
まず、
図14に示すように、把持部81が把持した電柱Pを垂直にした状態において、そのまま電柱Pを上方に移動させる場合には、ブーム旋回起伏操作レバー32aを前方に傾倒操作する。それにより、作動制御部102が、ブーム13の起仰作動(起伏シリンダ16の伸長駆動)と、ブーム13の伸長作動(伸縮シリンダ16の伸長駆動)と、把持部81の下げ方向への縦首振り作動(縦首振りシリンダ62の伸長駆動)および/またはア
ーム51の下げ方向への屈伸作動(アームシリンダ55の縮小駆動)とを連動駆動させる制御を行うことで、把持した電柱Pの対地角度を維持しながら、把持部81および電柱Pを+Z方向(上方向)に向けて直線的に移動させることができる。
【0047】
また、
図15に示すように、把持部81が把持した電柱Pを垂直にした状態において、そのまま電柱Pを車両から離れる方向(車両の後方向)に移動させる場合には、ブーム伸縮屈伸操作レバー32bを前方に傾倒操作する。それにより、作動制御部102が、ブーム13の倒伏作動(起伏シリンダ16の縮小駆動)と、ブーム13の伸長作動(伸縮シリンダ16の伸長駆動)と、把持部81の上げ方向への縦首振り作動(縦首振りシリンダ62の縮小駆動)および/またはアーム51の上げ方向への屈伸作動(アームシリンダ55の伸長駆動)とを連動駆動させる制御を行うことで、把持した電柱Pの対地角度を維持しながら、把持部81および電柱Pを+Y方向(車両の後方向)に向けて直線的に移動させることができる。
【0048】
以上、本実施形態の把持式穴掘建柱車1によれば、連動モードにおいてはブーム旋回起伏操作レバー32aおよびブーム伸縮屈伸操作レバー32bの操作に応じて、把持部81に把持した電柱Pを地面との対地角度を維持した状態で当該電柱Pの軸方向および当該軸方向と直交する方向に移動させることができ、作業者は把持部81の位置や姿勢に関わらず電柱Pを直感的に動かしたい方向に移動させることができるため(作業者の感覚に合致した操作を行うことができるため)、ブーム13や支持機構の連動作動時の操作性を向上させて、建柱作業や移設作業などの作業効率を高めることができるとともに、意図しない方向への誤操作を防止して、作業の安全性の向上を図ることが可能となる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
【0050】
上記実施形態では、モード選択スイッチ33が連動モードに選択された状態で、ブーム旋回起伏操作レバー32aおよび/またはブーム伸縮屈伸操作レバー32bが操作されたときに、把持部81を把持部座標系に従って移動させるように構成されていたが、この構成に限定されるものではなく、例えば、操作レバー32a~32gの他に、把持部座標系専用の操作レバーを設けて、この専用の操作レバーが操作されたときに、把持部81を把持部座標系に従って移動させるように構成してもよい(モードの切換えを不要としてもよい)。
【0051】
また、上記実施形態では、車体2上の操作席30に操作装置31が設けられているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、操作装置31を有線式または無線式のリモコン操作装置(可搬型の操作装置)により構成してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、エンジンの動力をPTO機構(パワーテイクオフ機構)によって取り出して油圧ポンプを駆動するPTO駆動型の穴堀建柱車を例示したが、この構成に限定されるものではなく、電気駆動型(バッテリ駆動型)の穴掘建柱車や、その両者を具備して動力源を選択的に切り替えるハイブリッド型の穴掘建柱車であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 把持式穴掘建柱車
2 車体
13 ブーム
31 操作装置
32a ブーム旋回起伏操作レバー(把持部操作部)
32b ブーム伸縮屈伸操作レバー(把持部操作部)
33 モード選択スイッチ(把持部操作部)
50 把持装置
51 アーム(支持機構)
60 第1ジョイント部材(支持機構)
70 第2ジョイント部材(支持機構)
81 把持部
82 把持爪
100 コントローラ
101 位置算出部
102 作動制御部
J 回転軸線(回転軸)