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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040780
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】樹脂成形体、樹脂成形体の補修方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 3/44 20060101AFI20240318BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20240318BHJP
   B29C 70/68 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
E01B3/44
B29C70/54
B29C70/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145357
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】土合 恭平
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC05
4F205AD05
4F205AD16
4F205AH30
4F205HM02
4F205HT16
4F205HT26
4F205HW02
(57)【要約】
【課題】繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を現場で簡便に補修することが可能な樹脂成形体、および樹脂成形体の補修方法を提供する。
【解決手段】多角柱状の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体2と、少なくとも繊維補強硬化性樹脂発泡成形体2の長手方向の両方の端部のそれぞれの一面に接合されている板材3と、を備える、樹脂成形体1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角柱状の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と、少なくとも前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の両方の端部のそれぞれの一面に接合されている板材と、を備える、樹脂成形体。
【請求項2】
前記板材は、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と接合している面において、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体に沿う溝を有する、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項3】
前記板材の硬さが13N/mm以上である、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項4】
前記板材は、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と同一の材質の発泡成型体からなる、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項5】
前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と前記板材が、金属製のボルト、樹脂製のボルトまたは接着剤で接合されている、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項6】
前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と前記板材が、それぞれに設けられた嵌合部によって接合されている、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項7】
前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体が合成まくらぎである、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項8】
前記板材が、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の両方の端部のそれぞれの一面、および前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の中央部の一面に接合されている、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項9】
少なくとも多角柱状の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の両方の端部のそれぞれの一面に接合された板材において、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体に沿う溝に、前記一面と垂直方向に側面板を設置して、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の周囲に枠体を形成する第1の工程と、
前記枠体内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する、樹脂成形体の補修方法。
【請求項10】
さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記側面板を取り外す第3の工程を有する、請求項9に記載の樹脂成形体の補修方法。
【請求項11】
前記側面板が、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と同一の材質の発泡成型体からなる、請求項9に記載の樹脂成形体の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形体、および樹脂成形体の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レールを設置する方法としては、バラスト上にまくらぎを設け、その上にレールを支える方法が用いられている。そして、レール上を列車が通過するとまくらぎは列車荷重を受ける。
レールの継ぎ目や分岐部では、レールの曲げ剛性が他の部分に比べて低く、列車荷重により、バラストの圧密化が進んで軌道沈下が生じやすく、列車が通過する際に、軌道が上下する「あおり現象」が発生しやすい。
【0003】
そして、このようなバラストとの摩擦により、まくらぎが摩耗する。特にまくらぎの木口面は摩耗しやすい。そして、この摩耗は、バラストと接触する部分に不均一に発生し、まくらぎの木口面などの表面が凹凸状態となる。
また、分岐部などでは、列車が通過する際、道床横方向(レール方向に対して垂直方向)や、道床縦方向(レール方向に対して平行方向)に加わる力が大きい。したがって、まくらぎの木口部とバラストとの間に作用する力がより強くなり、まくらぎが摩耗しやすい。
【0004】
鉄道用のまくらぎとして、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体が使われているが、摩耗等により永続的に使用が出来ないため、摩耗したまくらぎを補修または廃棄する必要がある。繊維強化樹脂からなるまくらぎの補修方法としては、例えば、まくらぎの木口面を覆う形状の部材を取り付けて、木口面の耐摩耗性の向上や現場で摩耗した部分の補修作業を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-288899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の補修方法は、まくらぎの木口面の形状に合わせて部材を作製することや、部材をまくらぎに接合するために手間が掛かることや、まくらぎの長手方向側面部に発生する摩耗については補修作業を行うことができないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を現場で簡便に補修することが可能な樹脂成形体、および樹脂成形体の補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]多角柱状の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と、少なくとも前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の両方の端部のそれぞれの一面に接合されている板材と、を備える、樹脂成形体。
[2]前記板材は、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と接合している面において、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体に沿う溝を有する、[1]に記載の樹脂成形体。
[3]前記板材の硬さが13N/mm以上である、[1]に記載の樹脂成形体。
[4]前記板材は、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と同一の材質の発泡成型体からなる、[1]に記載の樹脂成形体。
[5]前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と前記板材が、金属製のボルト、樹脂製のボルトまたは接着剤で接合されている、[1]に記載の樹脂成形体。
[6]前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と前記板材が、それぞれに設けられた嵌合部によって接合されている、[1]に記載の樹脂成形体。
[7]前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体が合成まくらぎである、[1]に記載の樹脂成形体。
[8]前記板材が、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の両方の端部のそれぞれの一面、および前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の中央部の一面に接合されている、[1]に記載の樹脂成形体。
[9]少なくとも多角柱状の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の両方の端部のそれぞれの一面に接合された板材において、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体に沿う溝に、前記一面と垂直方向に側面板を設置して、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の周囲に枠体を形成する第1の工程と、
前記枠体内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する、樹脂成形体の補修方法。
[10]さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記側面板を取り外す第3の工程を有する、[9]に記載の樹脂成形体の補修方法。
[11]前記側面板が、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と同一の材質の発泡成型体からなる、[9]に記載の樹脂成形体の補修方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体を現場で簡便に補修することが可能な樹脂成形体、および樹脂成形体の補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形体を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の補修方法を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の補修方法を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の変形例を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の変形例を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の変形例を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の樹脂成形体、および樹脂成形体の補修方法について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
[樹脂成形体]
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形体を示す斜視図である。
なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の樹脂成形体1は、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体(以下、「繊維補強発泡成形体」と略すこともある。)2と、板材3と、を備える。板材3(3A,3B)は、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体2の長手方向の両方の端部2Aのそれぞれの一面に接合されている。
繊維補強発泡成形体2の形状は、多角柱状であり、例えば、図1に示すような四角柱状である。
【0014】
「繊維補強硬化性樹脂発泡成形体」
繊維補強発泡成形体2は、樹脂と、繊維とを含む複合体であり、前記樹脂が発泡体からなる成形体である。
繊維補強発泡成形体2を構成する樹脂は、特に限定されないが、樹脂成形体1を強度の要求される構造材として用いる場合には、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、具体的には、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。軽量かつ高強度な樹脂成形体1を得るためには、前記樹脂としては、硬質ポリウレタン樹脂の発泡体が好ましい。
【0015】
繊維補強発泡成形体2に含まれる繊維は、補強繊維としての機能を有していれば特に限定されないが、例えば、モノフィラメント、フィブリル化繊維素(髭状の繊維が突き出たもの)、織り糸等が一方向に引き揃えられたものが挙げられる。また、繊維は、例えば、ガラス繊維のみでもよく、ガラス繊維に炭素繊維や合成繊維等の補強繊維が複合された複合繊維でもよい。
【0016】
繊維補強発泡成形体2は、一度以上使用されたものでもよいし、未使用のものでもよい。繊維補強発泡成形体2は、建築物、車両船舶、鉄道施設および水処理施設等の用途に用いることができる。繊維補強発泡成形体2の形状は特に限定されない。本実施形態の樹脂成形体1では、繊維補強発泡成形体2は、合成まくらぎであることが好ましい。
【0017】
繊維補強発泡成形体2は、ポリオール化合物、イソシアネート化合物および繊維を含む組成物を、一方向に引き揃えられた強化長繊維束に含浸させてなるものでもよい。
【0018】
繊維補強発泡成形体2は、上記繊維以外の充填材、発泡剤、整泡材、触媒等のその他の成分が含まれていてもよい。前記の各成分の混合方法は、特に限定されない。
【0019】
「板材」
板材3の材質は、繊維補強発泡成形体2よりも硬いものであれば特に限定されないが、例えば、金属、コンクリート、セラミックス、樹脂等が挙げられる。板材3は、繊維補強発泡成形体2と同一の材質の発泡成型体からなることが好ましい。
【0020】
図1に示すように、板材3は、繊維補強発泡成形体2と接合している面(上面)3aにおいて、繊維補強発泡成形体2の外面(外側面)2a、2bに沿う溝4を有することが好ましい。板材3が溝4を有することにより、後述する樹脂成形体の補修方法において、溝4内に側面板の一端部を嵌め込み、板材3の上面3aと垂直方向に側面板を設置して、繊維補強発泡成形体2の周囲に枠体を形成することができる。
【0021】
板材3の厚みは、10mm以上が好ましい。
【0022】
板材3の繊維補強発泡成形体2の長手方向の長さは、繊維補強発泡成形体2の長さよりも40mm以上長いことが好ましい。
【0023】
板材3の硬さは、13N/mm以上であることが好ましい。
【0024】
板材3の硬さは、JIS Z 2243-1:2018「ブリネル硬さ試験」に準拠して測定することができる。
【0025】
繊維補強発泡成形体2と板材3が、金属製のボルト、樹脂製のボルトまたは接着剤で接合されていることが好ましい。
ここで、「接着剤」とは、接着する対象(繊維補強発泡成形体2と板材3)の間に設けて、その対象を接合できる材料であればどのようなものであってもよく、液状の樹脂であって、所定の条件により硬化する硬化型樹脂などであってもよい。
繊維補強発泡成形体2と板材3が前記のように接合されていることにより、後述する補修後において、繊維補強発泡成形体2と板材3の一体性が向上する。
【0026】
本実施形態の樹脂成形体1によれば、繊維補強発泡成形体2を現場で簡便に補修することが可能な樹脂成形体1を提供することができる。これにより、繊維補強発泡成形体2を再利用可能して、廃棄物を削減することができる。
【0027】
[樹脂成形体の補修方法]
図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の補修方法を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形体の補修方法を示す斜視図である。
【0028】
本実施形態の再生成型体の製造方法は、少なくとも多角柱状の繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の長手方向の両方の端部のそれぞれの一面に接合された板材において、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体に沿う溝に、前記一面と垂直方向に側面板を設置して、前記繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の周囲に枠体を形成する第1の工程と、前記枠体内に熱硬化性樹脂を流し込む第2の工程と、を有する。本実施形態の再生成型体の製造方法は、さらに、前記第2の工程の後に、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記側面板を取り外す第3の工程を有していてもよい。
【0029】
「第1の工程」
第1の工程では、例えば、図4に示すような繊維補強発泡成形体2の一面の全面に接合された板材3において、繊維補強発泡成形体2に沿う溝4に、前記一面と垂直方向に側面板10を設置して、図2に示すような繊維補強発泡成形体2の周囲に枠体20を形成する。言い換えれば、板材3の溝4内に側面板10の一端部を嵌め込み、板材3の上面3aと垂直方向に側面板10を設置して、繊維補強発泡成形体2の周囲に枠体20を形成する。
なお、ここでは、後述する樹脂成形体1の第1の変形例(板材3が、繊維補強発泡成形体2の一面の全面に接合されている例)を用いた場合を例示する。
【0030】
枠体20は、繊維補強発泡成形体2と枠体20の間に、上述の熱硬化性樹脂を充填できるように、繊維補強発泡成形体2よりも長さと幅が10mm~20mm大きいものを用いることが好ましい。
【0031】
側面板10の材質は、特に限定されないが、例えば、樹脂、金属等が挙げられる。
側面板10(枠体20)を樹脂成形体1の補強材として用いる場合、側面板10は、繊維補強発泡成形体2と同一の材質の発泡成型体からなることが好ましい。この場合、繊維補強発泡成形体2と側面板10(枠体20)の間に形成した熱硬化性樹脂層40を介して、繊維補強発泡成形体2と側面板10(枠体20)を一体化することができる。そのため、側面板10(枠体20)を取り外す第3の工程が不要となる。
【0032】
「第2の工程」
図2に示すように、第2の工程では、枠体20内に熱硬化性樹脂30を流し込む。この際、繊維補強発泡成形体2の表面上にて、熱硬化性樹脂30が平滑面を形成するように、熱硬化性樹脂30を流し込む。
その後、図3に示すように、熱硬化性樹脂30が完全に硬化するまで養生し、繊維補強発泡成形体2と枠体20の間に熱硬化性樹脂層40を形成する。
【0033】
熱硬化性樹脂は、特に限定されないが、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0034】
「第3の工程」
第3の工程では、熱硬化性樹脂30が完全に硬化した後、枠体20を180度回転させて、枠体20から樹脂成形体1を取り外す。
【0035】
本実施形態の樹脂成形体の補修方法によれば、繊維補強発泡成形体2を現場で簡便に補修することできる。
【0036】
[他の実施形態]
なお、本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
【0037】
例えば、以下に示すような変形例を採用してもよい。
「第1の変形例」
図4に示すように、板材3は、繊維補強発泡成形体2の一面の全面に接合されていてもよい。このようにすれば、上述のように、板材3に側面板を嵌め込んで、繊維補強発泡成形体2の全周を補修することができる。
【0038】
「第2の変形例」
図5に示すように、板材3は、繊維補強発泡成形体2の対向するそれぞれの端部2Aの一面、および繊維補強発泡成形体2の中央部2Bの一面に接合されていてもよい。このようにすれば、上述のように、板材3に側面板を嵌め込んで、繊維補強発泡成形体2の端部2Aおよび中央部2Bを補修することができる。
【0039】
「第3の変形例」
図6に示すように、繊維補強発泡成形体2と板材3は、それぞれに設けられた嵌合部によって接合されていてもよい。言い換えれば、繊維補強発泡成形体2の対向するそれぞれの端部2Aに設けられた嵌合凹部2Cに、板材3の一端部に設けられた嵌合凸部3Cを嵌め込んで、繊維補強発泡成形体2と板材3を接合してもよい。
【0040】
「第4の変形例」
図7に示すように、繊維補強発泡成形体2と板材3は、だぼつぎという方法によって接合されていてもよい。言い換えれば、繊維補強発泡成形体2の対向するそれぞれの端部2Aの一面から突出するように設けられた柱状の突起部2Dを、板材3の厚み方向に凹む穴部3Dに嵌め込んで、繊維補強発泡成形体2と板材3を接合してもよい。
【実施例0041】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
「実施例1」
繊維補強硬化性樹脂発泡成形体として、ガラス長繊維強化硬質ウレタン樹脂発泡体を素材とする合成木材(商品名:エスロンネオランバーFFU74、積水化学工業株式会社製)を用いた。
繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の一面の全面に、上記合成木材からなる厚み20mmの板材を接合し、樹脂成形体とした。この板材には、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と接合している面において、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体に沿う溝が設けられていた。
板材の溝内に側面板の一端部を嵌め込み、板材の上面と垂直方向に側面板を設置して、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体の周囲に枠体を形成した。側面板としては、上記合成木材からなる厚み10mmの板を用いた。
ポリウレタン(商品名:スミフェンTM、住化コベストロウレタン株式会社製)と、イソシアネート硬化剤(MDI:Methylene Diphenyl Isocyanate、商品名:スミジュール44V10、住化コベストロウレタン株式会社株式会社製)とを、質量比で1:1の割合で混合し、撹拌した。
枠体内に撹拌した樹脂を流し込んだ。
樹脂が完全に硬化するまで養生して、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と枠体の間に樹脂層を形成し、樹脂層を介して繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と枠体を接合した。
【0043】
「実施例2」
繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と枠体の間に樹脂層を形成した後、枠体を180度回転させて、枠体から樹脂成形体を取り外したこと以外は実施例1と同様にして、繊維補強硬化性樹脂発泡成形体と枠体を接合した。
【0044】
「比較例1~3」
繊維補強硬化性樹脂発泡成形体として、ガラス長繊維強化硬質ウレタン樹脂発泡体を素材とする合成木材において、使用後の合成まくらぎを用いた。
【0045】
[耐摩耗性の評価]
実施例1、2で得られた補修後の樹脂成形体、および比較例1~3の合成まくらぎを切断加工し、耐摩耗性を評価した。
耐摩耗性の評価を、下記のように行った。
実施例1、2で得られた補修後の樹脂成形体、および比較例1~3の合成まくらぎについて、木口および側面を平面視した場合に、深さ10mm以上の凹みがある場合を摩耗していると判定し、摩耗している面積の割合を画像測定器で測定し、画像処理ソフトにより算出した。
結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【符号の説明】
【0047】
1 樹脂成形体
2 繊維補強硬化性樹脂発泡成形体(繊維補強発泡成形体)
3 板材
4 溝
10 側面板
20 枠体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7