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特開2024-40782板状部材、板状部材の製造方法及び什器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040782
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】板状部材、板状部材の製造方法及び什器
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/00 20060101AFI20240318BHJP
   B27N 3/02 20060101ALI20240318BHJP
   B27N 3/04 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B27N3/00 C
B27N3/02 C
B27N3/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145359
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】512317733
【氏名又は名称】エースジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】判藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】塩寺 亮義
【テーマコード(参考)】
2B260
【Fターム(参考)】
2B260BA02
2B260BA05
2B260CB04
2B260CD06
(57)【要約】
【課題】製造工数や製造コストを削減でき、環境貢献や災害防止等に配慮した板状部材、板状部材の製造方法及び什器を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る板状部材は、複数のチップ状の木質材と接着剤とを含む混合材によって成形された板状の基材と、基材の第1面上に重ね合わされた第1表面材と、を備えている。第1表面材は、基材に含まれる接着剤によって基材に接合されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチップ状の木質材と接着剤とを含む混合材によって成形された板状の基材と、
前記基材の第1面上に重ね合わされた第1表面材と、を備え、
前記第1表面材は、前記基材に含まれる前記接着剤によって前記基材に接合されている板状部材。
【請求項2】
前記基材は、前記第1表面材の外周端面のうち少なくとも一部を覆う縁部を備えている請求項1に記載の板状部材。
【請求項3】
前記基材のうち、前記第1面とは反対側を向く第2面上に重ね合わされた第2表面材を備え、
前記第2表面材は、前記基材に含まれる前記接着剤によって前記基材に接合されている請求項1又は請求項2に記載の板状部材。
【請求項4】
前記木質材の少なくとも一部に未利用材を含んでいる請求項1又は請求項2に記載の板状部材。
【請求項5】
前記未利用材は、間伐材、倒木又は流木を含んでいる請求項4に記載の板状部材。
【請求項6】
前記木質材は、葉、枝又は根を含んでいる請求項4に記載の板状部材。
【請求項7】
複数のチップ状の木質材と接着剤とを含む混合材によって成形された板状の基材と、
前記基材の第1面上に重ね合わされた第1表面材と、を備えた板状部材の製造方法であって、
前記混合材の層に第1表面材を重ね合わせた状態で、前記混合材及び前記第1表面材をまとめて加熱圧縮することで、前記混合材に含まれる前記接着剤によって前記第1表面材と前記基材とを接合する成形工程を備えている板状部材の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の板状部材を備えている什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材、板状部材の製造方法及び什器に関する。
【背景技術】
【0002】
什器等に用いられる板状部材として、いわゆるパーティクルボードを用いる方法が知られている。板状部材は、複数のチップ状の木質材が押し固められてなる板状の基材と、基材の表裏面に重ね合わされた化粧材と、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1に記載された構成では、チップ状の木質材と接着剤とを混合した混合材を加熱圧縮することで基材を成形した後、基材の表面に別途接着剤を介して化粧材が貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-160722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、基材を成形する工程の後、化粧材を貼り付ける工程が別途必要になることから、製造工数や製造コストを削減する点で未だ改善の余地があった。特に、近時では、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)を達成するべく、環境貢献や災害防止等に配慮した製品を提供することが求められている。
【0005】
本発明は、製造工数や製造コストを削減でき、環境貢献や災害防止等に配慮した板状部材、板状部材の製造方法及び什器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る板状部材は、複数のチップ状の木質材と接着剤とを含む混合材によって成形された板状の基材と、前記基材の第1面上に重ね合わされた第1表面材と、を備え、前記第1表面材は、前記基材に含まれる前記接着剤によって前記基材に接合されている。
【0007】
本態様によれば、基材と第1表面材とを一括に接合できるので、製造工程の削減や低コスト化を図ることができる。
【0008】
(2)上記(1)の態様に係る板状部材において、前記基材は、前記第1表面材の外周端面のうち少なくとも一部を覆う縁部を備えていることが好ましい。
本態様によれば、板状部材の外周部分が基材によって形成されるので、使用者に対して木質材の質感を与えることができる。また、第1表面材の外周端面に対して後処理を行う必要がないので、製造工程の更なる削減を図ることができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の態様に係る板状部材において、前記基材のうち、前記第1面とは反対側を向く第2面上に重ね合わされた第2表面材を備え、前記第2表面材は、前記基材に含まれる前記接着剤によって前記基材に接合されていることが好ましい。
本態様によれば、基材の両面が表面材によって覆われるため、温度条件や湿度条件を天板の両面で同等に維持することができる。これにより、板状部材の反りや歪み等を抑制することができる。
【0010】
(4)上記(1)から(3)の何れかの態様に係る板状部材において、前記木質材の少なくとも一部に未利用材を含んでいることが好ましい。
本態様によれば、基材の材料として未利用材を用いることで、環境貢献や災害防止等に配慮した製品を低コストで提供することができ、国連が主導する持続可能な開発目標を達成することができる。
【0011】
(5)上記(4)の何れかの態様に係る板状部材において、前記未利用材は、間伐材、倒木又は流木を含んでいることが好ましい。
本態様によれば、基材の材料として未利用材を用いることで、環境貢献や災害防止等に配慮した製品を低コストで提供することができ、国連が主導する持続可能な開発目標を達成することができる。
【0012】
(6)上記(4)又は(5)の態様に係る板状部材において、前記木質材は、葉、枝又は根を含んでいることが好ましい。
本態様によれば、基材の材料として葉、枝又は根を利用することで、環境貢献や災害防止等に配慮した製品を低コストで提供することができ、国連が主導する持続可能な開発目標を達成することができる。
【0013】
(7)本発明の一態様に係る板状部材の製造方法は、複数のチップ状の木質材と接着剤とを含む混合材によって成形された板状の基材と、前記基材の第1面上に重ね合わされた第1表面材と、を備えた板状部材の製造方法であって、前記混合材の層に第1表面材を重ね合わせた状態で、前記混合材及び前記第1表面材をまとめて加熱圧縮することで、前記混合材に含まれる前記接着剤によって前記第1表面材と前記基材とを接合する成形工程を備えている。
【0014】
(8)本発明の一態様に掛かる什器は、上記(1)から(7)の何れかの態様に係る板状部材を備えている。
本態様によれば、環境貢献や災害防止等に配慮した低コストな什器を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
上記各態様によれば、製造工数や製造コストを削減でき、環境貢献や災害防止等に配慮した板状部材、板状部材の製造方法及び什器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る天板付什器の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る天板の斜視断面図である。
図3】第1実施形態に係る天板の断面図である。
図4】第1実施形態に係る天板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る成形工程を説明するための工程図である。
図6】第2実施形態に係る天板の斜視断面図である。
図7】変形例に係る天板の断面図である。
図8】少なくとも1つの実施形態に係る管理システムの構成を示す図である。
図9】少なくとも1つの実施形態における未利用材の管理手順を示す図である。
図10】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。また、本実施形態において、「向かい合う」とは、2つの面それぞれの直交方向(法線方向)が互いに一致している場合に限らず、直交方向同士が交差している場合も含んでいる。
【0018】
(第1実施形態)
[天板昇降式什器1]
図1は、天板付什器1の斜視図である。
図1に示すように、天板付什器1は、例えばオフィスや公共施設、住宅等に設置されるテーブル装置である。天板付什器1は、支持構造体11と、天板(板状部材)12と、を備えている。以下の説明では、床面Fに直交する方向を上下方向とし、上下方向に直交する2方向を左右方向及び前後方向として説明する。
【0019】
<支持構造体11>
支持構造体11は、床面F上に設置されて天板12を下方から支持する。支持構造体11は、支持フレーム21と、複数の脚体22と、を備えている。
支持フレーム21は、平面視で例えば矩形枠状に形成されている。
各脚体22は、支持フレーム21における各角部に対応して設けられている。各脚体22は、アジャスタ等を介して床面Fに接地している。なお、脚体22の位置や本数等は適宜変更が可能である。
【0020】
<天板12>
図2は、天板12の斜視断面図である。図3は、天板12の断面図である。
図2図3に示すように、天板12は、例えば平面視矩形状の板状部材である。天板12は、締結部材等を介して支持フレーム21に固定されている。天板12は、いわゆるパーティクルボードである。具体的に、天板12は、基材31と、化粧材(第1表面材)32と、を備えている。なお、天板12は、矩形状に限らず、円形状や矩形状以外の多角形状であってもよい。
【0021】
基材31は、チップ状の木質材からなる複数のチップ部と接着剤との混合材が押し固められて成形されている。木質材とは、木質原料として、バージン木質材料(大本系や草本系等の植物由来の木質材料(樹幹等))や、加工が施された木質材料(集成材や合板、合成材等)であってもよく、枝、葉、根等であってもよい。また、上述した木質材としては、主伐材であってもよく、未利用材やリサイクル材等であってもよい。主伐材とは、木質材製品としての利用を目的として収集される材料を指す。未利用材とは、木質材製品としての利用以外に収集される材料を指し、例えば間伐材や倒木、流木等を挙げることができる。間伐材とは、森林の成長過程で密集化する立木を間引く間伐の過程で発生する木質材のことである。倒木とは、山間部で土砂崩れ等があったときになぎ倒された木質材のことである。流木とは、倒木のうち、川やダム等に流れ着いたものである。リサイクル材とは、木質材のうち、工場や建築現場等で発生する端材、解体作業時に発生する廃材等である。
【0022】
木質材の樹種は、特に限定されることはなく、針葉樹(ヒノキ科(スギやヒノキ等)やイチイ科(イチイやイヌガヤ等)等)及び広葉樹(マツ科(アカマツやクロマツ等)やブナ科(ブナやクリ等))の何れであってもよい。この場合、一つの基材31に対し、複数の樹種の木質材が含まれていてもよい。上述した条件の下、本実施形態の基材31で用いられる木質材としては、針葉樹又は広葉樹の未利用材のうち、バージン木質材料、枝、葉、樹皮又は根を少なくとも一部に含んでいることが好ましい。なお、本実施形態において、チップ状とは、木質材が破砕又は粉砕された状態を意味し、小片状や粉状、粒状、繊維状を含んでいる。
【0023】
本実施形態において、接着剤には、熱硬化性の接着剤が用いられる。本実施形態では、例えばイソシアネート系接着剤や尿素樹脂接着剤、フェノール樹脂系接着剤等を単独又は2種以上を混合して用いることができる。特に、上述した接着剤のうち、イソシアネート系接着剤は、他の接着剤に比べて耐水性や耐熱性に優れている点で好ましい。
【0024】
基材31は、天板12の平面視外形を構成する。すなわち、基材31は、平面視で矩形板状に形成されている。基材31の外周縁のうち、上下端縁には面取りが施されている。具体的に、基材31は、裏層部41と、芯層部42と、表層部43と、が厚さ方向(上下方向)に一体で積層された構成である。
裏層部41は、基材31の下面(裏面)を構成する層である。裏層部41は、チップサイズが1mm以上3mm以下の粉状(微粉)のチップ部が集積されて形成された層である。裏層部41には、支持フレーム21と天板12とを固定する締結部材等が締結される。
【0025】
芯層部42は、基材31における厚さ方向の中央部を構成する層である。芯層部42は、裏層部41の上方に積層されている。芯層部42は、裏層部41を構成するチップ部のチップサイズよりも大きいチップサイズのチップ部が集積されて形成された層である。本実施形態において、芯層部42を構成するチップ部のチップサイズは、5mm以上10mm以下の小片状に形成されている。
【0026】
表層部43は、基材31の上面(表面)を構成する層である。表層部43は、芯層部42の上方に積層されている。表層部43を構成するチップ部のチップサイズは、裏層部41を構成するチップ部のチップサイズと同等になっている。表層部43のうち、外周縁を除く部分には、凹部43aが形成されている。凹部43aは、基材31(表層部43)の上面に対して、厚さ方向に窪んでいる。凹部43aの深さは、例えば化粧材32の厚さと同等に形成されている。表層部43のうち、凹部43aを区画する側壁部分は、基材31の外周縁に沿って延びる枠状の縁部43bとして機能する。平面視において、縁部43bの内側面(凹部43aの内側面)は、基材31の外周端面を補形する形状となっている。但し、縁部43bの内周面と基材31の外周端面とは、異形状であってもよい。
【0027】
このように、本実施形態の基材31は、芯層部42に対して厚さ方向の両側にチップサイズの小さいチップ部により構成された裏層部41及び表層部43が積層されている。これにより、芯層部42の凹凸を裏層部41及び表層部43で吸収することができ、基材31の外面を平滑に維持し易い。また、基材31は、芯層部42、裏層部41及び表層部43の順に厚さが薄くなっている。特に、裏層部41を表層部43よりも厚く設定することで、基材31の反りを抑制することができる。
【0028】
化粧材32は、基材31に上方から重ね合わされている。化粧材32は、基材31の縁部43bとともに、天板12の上面を構成している。化粧材32は、例えばメラミン等により形成されたシート状のものである。化粧材32の平面視外形は、基材31の平面視外形よりも一回り小さい。化粧材32は、表面が露出した状態で、凹部43a内に埋め込まれている。化粧材32は、凹部43aの内面において、基材31に含まれる接着剤によって、基材31に一体に接合されている。具体的に、化粧材32の裏面は、凹部43aの底面(第1面)上に接合されている。一方、化粧材32の外周端面は、凹部43aの内側面上に接合されている。これにより、化粧材32の外周端面は、縁部43bによって全周が取り囲まれている。
【0029】
<天板12の製造方法>
次に、上述した天板12の製造方法について説明する。図4は、天板12の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態の天板12は、破砕工程S1、分類工程S2、乾燥工程S3、接着剤混合工程S4、成形工程S5、冷却工程S6等を経て製造される。
【0030】
破砕工程S1では、収集した木質材をチップ状に粉砕する。破砕工程S1では、収集した木質材について、木質材の樹種や部位等に限らず、一括して粉砕してもよく、樹種や部位毎に粉砕してもよい。これにより、複数のチップ部が形成される。また、本実施形態では、収集した木質材を粉砕する方法について説明するが、これに限られない。天板12に使用する木質材は、予め粉砕されたものを収集してもよい。
【0031】
破砕工程S1の後、分類工程S2において、粉砕された木質材(チップ部)をチップサイズ毎に分類する。
乾燥工程S3では、チップ部を含水率が例えば6%以上15%以下になるまで乾燥させる。
【0032】
接着剤混合工程S4では、チップ部と接着剤とを混ぜ合わせる。具体的には、不図示の容器に複数のチップ部を投入した後、容器内を撹拌しながら容器内に接着剤を投入する。これにより、チップ部と接着剤との混合材が生成される。
【0033】
図5は、成形工程S5を説明するための工程図である。
図5に示すように、成形工程S5では、接着剤混合工程S4で生成した混合材31Aと、化粧材32と、を成形型100内にセットし、加熱圧縮(熱プレス)することで、天板12を成形する。本実施形態の成形型100は、第1型101と、第1型101に対して上下方向に移動可能な第2型102と、を備えている。
第1型101は、固定型である。第1型101には、天板12の平面視外形に倣った凹部101aが形成されている。第1型101の側壁101bには、第1解放孔105a及び第2解放孔105bが形成されている。各解放孔105a,105bは、凹部101aの内周面上で開口して、凹部101aの内外を連通させる。第1解放孔105aは、凹部101aの内周面において、天板12のうち厚さ方向の中心よりも上方で、化粧材32よりも下方に位置する部分に対応して開口している。第2解放孔105bは、凹部101aの内周面において、天板12の厚さ方向の中心付近で開口している。本実施形態において、第1解放孔105a及び第2解放孔105bは、凹部101aの内周面全周を互いに間隔をあけた状態で交互に(千鳥状に)形成されている。
【0034】
第2型102は、可動型である。第2型102は、凹部101aの上端開口部を通じて凹部101a内に進退可能に構成されている。凹部101aの内面と第2型102の下面とで囲まれた空間は、天板12の外形を成形するキャビティCを構成している。
【0035】
上述した成形型100を用いて天板12を成形するには、まず成形型100を加熱する。この際、成形型100の温度は、接着剤の硬化温度よりも高く、化粧材32の融点よりも低い温度に設定することが好ましい。本実施形態において、接着剤にイソシアネート系接着剤を用いた場合、成形型100の温度は例えば140℃±20℃前後に設定することが好ましい。このような温度に設定することで、外気温に左右されず、接着剤を確実に硬化させることができるとともに、成形時に化粧材32の溶融や基材31の焦げ等が発生することを抑制できる。
【0036】
成形型100の加熱後、天板12の材料を凹部101a内に投入する。具体的には、基材31の材料として、裏層部41となる混合材、芯層部42となる混合材及び表層部43となる混合材を順に投入した後、積層された混合材の層に化粧材32を重ね合わせる。その後、第2型102を凹部101a内に進入させ、キャビティC内において基材31の材料と化粧材32とをまとめて加熱圧縮する。なお、本実施形態では、未加圧の混合材の層に対して化粧材32を重ね合わせる構成としたが、この構成に限られない。例えば、積層された混合材の層を、化粧材32を重ね合わせる前に仮加圧(一次加圧)した後、化粧材32と合わせて本加圧(二次加圧)を行ってもよい。また、裏層部41、芯層部42及び表層部43それぞれの混合材の層を、別々(上層となる混合材が投入される前)に仮加圧してもよい。
【0037】
キャビティC内を加熱圧縮することで、キャビティC内に存在する空気が解放孔105a,105bを通じて排出されながら、混合材中においてチップ部同士が接着剤によって接合される。また、混合材に含まれる接着剤が化粧材32に付着することで、化粧材32が混合材に一体に接合される。これにより、天板12が成形される。
天板12の硬化後、成形型100を型開きし、天板12を取り出す。その後、冷却工程S6を経ることで、上述した天板12が完成する。
【0038】
このように、本実施形態の天板12において、化粧材32が基材31に含まれる接着剤によって基材31に接合される構成とした。
この構成によれば、成形工程において基材31と化粧材32とを一括に接合できるので、製造工程の削減や低コスト化を図ることができる。
【0039】
本実施形態の天板12において、基材31が化粧材32の外周端面を覆う縁部43bを備えている構成とした。
この構成によれば、天板12の外周部分が基材31によって形成されるので、使用者に対して木質材の質感を与えることができる。また、化粧材32の外周端面に対して後処理を行う必要がないので、製造工程の更なる削減を図ることができる。
【0040】
本実施形態の天板12において、木質材の少なくとも一部に間伐材や倒木、流木等の未利用材を含んでいる構成とした。
この構成によれば、基材31の材料として未利用材を用いることで、環境貢献や災害防止等に配慮した製品を低コストで提供することができ、国連が主導する持続可能な開発目標を達成することができる。
【0041】
本実施形態の天板12において、木質材が、葉、枝又は根を含んでいる構成とした。
この構成によれば、基材31の材料として葉、枝又は根を用いることで、環境貢献や災害防止等に配慮した製品を低コストで提供することができ、国連が主導する持続可能な開発目標を達成することができる。特に、葉や枝等からなるチップ部は、チップサイズを細かくし易い(微粉にし易い)ので、裏層部41や表層部43等の外面に露出する部分に用いることで、良好な質感(手触り等)を与えることができる。また、葉や枝等からなるチップ部を、チップサイズの大きいチップ部同士と混ぜ合わせて使用することで、チップサイズの大きいチップ部同士の隙間を葉や枝等からなるチップ部によって埋めることができる。これにより、強度に優れた天板12を提供することができる。
【0042】
本実施形態の天板付什器1では、上述した天板12を備えているため、環境貢献や災害防止等に配慮した低コストな天板付什器1を提供することができる。
【0043】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の天板12を示す斜視断面図である。第2実施形態では、基材31の下面にも化粧材(第2表面材)50を設けている点で上述した第1実施形態と相違している。
図6に示すように、裏層部41のうち、外周縁を除く部分には、凹部41aが形成されている。凹部41aは、基材31(裏層部41)の下面に対して、厚さ方向に窪んでいる。したがって、裏層部41のうち、凹部41aを区画する側壁部分は、基材31の外周縁に沿って延びる枠状の縁部41bとして機能する。図示の例において、凹部41a,43aは、同形同大に形成されている。但し、凹部41a,43aの大きさをそれぞれ異ならせてもよい。
【0044】
化粧材50は、基材31の下面に重ね合わされている。化粧材50は、基材31の縁部41bとともに、天板12の下面を構成している。化粧材50は、例えばフェノール樹脂等により形成されたシート状のものである。化粧材50の平面視外形は、基材31の平面視外形よりも一回り小さい。化粧材50は、表面が露出した状態で、凹部41a内に埋め込まれている。化粧材50は、凹部41aの内面において、基材31に含まれる接着剤によって、基材31に一体に接合されている。具体的に、化粧材50の裏面は、凹部41aの底面(第1面とは反対側を向く第2面)上に接合されている。一方、化粧材50の外周端面は、凹部41aの内周面上に接合されている。これにより、化粧材50の外周端面は、縁部41bによって全周が取り囲まれている。
【0045】
なお、第2実施形態の天板12は、上述した成形工程において、基材31の材料を凹部101a内に投入する前に、化粧材50を凹部101aの底面上にセットすることで成形することが可能である。
【0046】
このように、本実施形態の天板12では、基材31の上下面が化粧材32,50によって覆われるため、温度条件や湿度条件を天板12の上下面で同等に維持することができる。これにより、天板12の反りや歪み等を抑制することができる。
【0047】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、本発明に係る板状部材をテーブル装置の天板12に採用した場合について説明したが、この構成に限られない。板状部材は、テーブル装置以外の天板付什器(例えば、棚等)や、天板付什器以外の什器(例えば、仕切りや椅子等)に採用してもよく、建材(例えば、壁材や床材)等に採用してもよい。
上述した実施形態では、化粧材の外周端面が縁部によって覆われる構成について説明したが、この構成に限られない。化粧材の外周端面が板状部材の外周端面に露呈していてもよい。また、板状部材の外周端面が別途化粧材により覆われていてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、化粧材にメラミン等を用いた場合について説明したが、この構成に限られない。化粧材は、金属や無垢板や集成材等、基材31と異なる質感を得られるものであればよい。
【0049】
上述した実施形態では、チップサイズの異なる裏層部41、芯層部42及び表層部43が基材31の全体に亘って形成されている構成について説明したが、この構成に限られない。例えば図7に示す天板12において、基材31のうち、化粧材32と平面視で重なり合う部分(中央部31a)は、上述した実施形態と同様に裏層部41、芯層部42及び表層部43により構成されている。一方、基材31のうち、化粧材32に対して外周側に位置する部分(縁部31b)は、粉状のチップ部が集積されて構成されている。この場合、縁部31bを構成するチップ部は、裏層部41や表層部43で用いるチップ部と同等のものを用いることができる。なお、中央部31aの表面と縁部31bのうち中央部31aよりも突出した部分との間には、化粧材32が埋め込まれた凹部31cが形成されている。
この構成によれば、天板12のうち基材31が露出する部分(外周端面及び表裏面)がチップサイズの小さいチップ部により構成されるので、良好な質感(手触り等)を与えることができる。
【0050】
(未利用材の調達について)
上述の実施形態に係る基材31は、木質材として未利用材を含んで構成されてよい。以下、調達業者による基材31に用いられる未利用材の調達方法について説明する。
間伐等のために伐採されたものの森林から搬出されずに放置された木材が、未利用材として発生する。未利用材が森林に多く残されると森林における交通が不便になったり、未利用材の腐食などにより環境に影響が生じたりするなどの問題があることから、積極的な回収が求められている。未利用材の回収は、調達業者等において管理されている。また、未利用材の回収量は管理者に報告される。管理者の例としては、電力メーカー、森林組合、地方自治体、国などが挙げられる。
【0051】
まず、調達業者は、未利用材が存在する森林の所有者(出荷主)と未利用材の売買契約を結ぶ。出荷主の例としては、森林の所有者の他、電力メーカー、森林組合、地方自治体、国などが挙げられる。未利用材の代金としては、例えば単位価格に未利用材の材積を乗算したものとする。調達業者は、森林から未利用材を回収すると、粉砕機501などを用いて当該未利用材をチップ状に粉砕する。これは、上述した実施形態に係る破砕工程S1(図4)に対応する。調達業者は、粉砕した未利用材を所定の面積の開口を有する筒状の容器502に投入し、未利用材の高さを計測する。これにより、回収した未利用材の体積を算出することができる。なお、未利用材は、出荷主毎に異なる容器に収容され、各容器502は出荷主に関連付けられる。このとき、調達業者は、粉砕された未利用材をサイズ毎に分類し、サイズ毎に異なる容器502に投入してもよい。例えば粉砕機501が小片状のチップ部と粉状のチップ部(微粉)とを分離して出力する場合には、チップ部と微粉とを異なる容器502に投入してもよい。
【0052】
調達業者は、計算した出荷主毎の未利用材の体積を未利用材の材積として管理者に報告する。通常、材積計算は、丸太の長さ、末口の径、空洞率などに基づいてなされるが、未利用材は枝葉を含んでいたり、曲がりがあったりするため、通常の材積計算手法を適用することが困難である。そこで、粉砕後の木材を容器502に投入することで、適切に未利用材の材積を算出することができる。調達業者は、算出した材積に基づいて未利用材の代金を算出する。調達業者は、出荷主に代金を支払い、未利用材を得る。調達業者は、回収された未利用材について算出報告書及び出荷報告書を作成し、書面と共にデータを管理者に提出する。管理者は当該データを告知し、管理する。当該告知内容はウェブサイト等で一般公開されて第三者も閲覧可能となる。通常、出荷報告書においては、木材ごとに樹種と材積が関連付けられるが、未利用材は複数の樹種が混在して回収されるため、樹種に代えて未利用材であることをコンピュータに記録することが好ましい。
これにより、調達業者は、未利用材を適切に調達することができる。
【0053】
なお、未利用材の材積は、体積に代えて重量に基づいて計算されてもよい。すなわち、未利用材の材積は、未利用材の重量に所定の係数を乗算して体積に換算したものであってよい。ただし、未利用材の含水率には個体差があるため、重量に基づいて計算を行う場合には、破砕工程S1に加え、乾燥工程S3も行うことが好ましい。
【0054】
すなわち、調達業者は、乾燥機503を用いて粉砕された未利用材を含水率が所定の範囲になるまで乾燥させる。調達業者は、乾燥させた未利用材の重量を計測し、これを用いて未利用材の材積を計算することができる。
【0055】
また、上記に加えて木材の産地、木材の種類、木材の部位及びその割合、伐採時期等をデータ化して未利用材の情報として記録しても良い。これらの未利用材の情報は、調達業者から管理者に提出されるデータに含まれてよい。この場合、管理者は、告示するデータにこれらの未利用材の情報を含めてもよい。板状部材等の成形品の安定した特性、強度に合わせて、前述の管理情報を元に利用者から要望された所望の特性、強度を確保可能なウッドチップの配合を選択して提供することが出来るものとしても良い。
【0056】
(未利用材の管理について)
ここで、未利用材の回収から利用までの情報をトレーサブルに管理する方法について説明する。図8は、少なくとも1つの実施形態に係る管理システム500の構成を示す図である。
管理システム500は、未利用材の情報をトレーサブルに管理する。管理システム500は、管理サーバ510、携帯端末520、距離計530、含水計540、重量計550、タグ560を備える。管理サーバ510と携帯端末520とはインターネットなどの広域通信網Nを介して接続可能に構成される。携帯端末520と、距離計530、含水計540および重量計550は、それぞれ近距離無線通信または有線通信によって接続可能に構成される。タグ560の例としては、RFID(Radio Frequency Identifier)、二次元コード、バーコードなどが挙げられる。タグ560は、容器502に付され、当該容器502に収容される未利用材に関連付けられる。
【0057】
管理サーバ510は、未利用材に付されたタグ560のID(未利用材ID)に関連付けて、未利用材の回収場所、体積、含水率、重量、および利用製品を記憶する。管理サーバ510は、携帯端末520からデータを受信し、当該データにタイムスタンプまたは電子署名を付して記録する。管理サーバ510は、タグ560から読み出された未利用材IDに基づくリクエストを受け付け、当該未利用材IDに関連付けられた未利用材の情報を提供する。
【0058】
携帯端末520は、タグ560から未利用材IDを読み取る。また携帯端末520は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等による測位機能を有し、位置情報を計測する。携帯端末520は、距離計530、含水計540および重量計550から計測データを取得し、読み取った未利用材IDに関連付けて計測データに基づく情報を管理サーバ510へ送信する。携帯端末520は、携帯可能に構成され、例えば調達業者に属する作業者によって操作される。携帯端末520は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノートPCなどであってよい。
【0059】
距離計530は、粉砕機501によって粉砕され乾燥機503によって乾燥されたチップ状の未利用材を収容する容器502の開口から内容物までの距離を計測する。距離計530が計測した距離を容器502の既知の高さから減算することで、未利用材の高さを計算することができる。また、容器502の既知の底面積に計算した高さを乗算することで、未利用材の体積を計算することができる。距離計530は、例えばレーザー距離計であってよい。
【0060】
含水計540は、容器502に収容された未利用材の含水率を計測する。含水計540の例としては、高周波の電波により木材の誘電率を測定し、誘電率から含水率を計測する高周波式含水計、木材に電圧をかけて電気抵抗を測定し、電気抵抗から含水率を計測する電気抵抗式含水計、木材にマイクロ波を照射してその減衰率を測定し、減衰率から含水率を計測するマイクロ波透過式含水計が挙げられる。
【0061】
重量計550は、容器502に収容された未利用材の重量を計測する。なお、重量計550は、容器502の重量を差し引いた計測値を出力してもよい。
距離計530、含水計540および重量計550による計測は同時になされてもよいし、異なるタイミングになされてもよい。
【0062】
ここで、未利用材の情報をサーバ510に記録する方法を説明する。図9は、少なくとも1つの実施形態に係る未利用材の管理手法を示すフローチャートである。
まず、調達業者は、回収した未利用材を粉砕機501に投入する(ステップS51)。これは、図4のステップS1の破砕工程に相当する。粉砕機501は、未利用材を粉砕し、粉砕した未利用材を乾燥機503に供給する(ステップS52)。これは、図4のステップS3の乾燥工程に相当する。乾燥機503は、未利用材が所定の含水量になるまで未利用材を乾燥させ、乾燥させた未利用材を容器502に投入する(ステップS53)。なお容器502は重量計550の上に乗せられている。乾燥機503は、例えば予め定められた乾燥時間の間乾燥を行ってもよいし、乾燥機503内の湿度の変化に基づいて乾燥の終了タイミングを決定してもよいし、乾燥機503内に設けられた含水計の計測値に基づいて乾燥の終了タイミングを決定してもよい。なお、図4のステップS2の分類工程は、乾燥工程S2の前になされてもよいし、乾燥工程S2の後になされてもよい。
【0063】
未利用材(一群の木質材)が容器502に投入されると、調達業者は、容器502の開口部に、検出部が鉛直下方を向くように距離計530を設ける。また調達業者は、容器502内の未利用材に触れるように含水計540を設ける(ステップS54)。なお、距離計530および含水計540は、予め容器502に取り付けられていてもよい。
調達業者は、携帯端末520を操作し、容器502に付されたタグ560の未利用材IDを読み取る(ステップS55)。携帯端末520は、未利用材IDを読み取ると、GNSSを用いた測位によって位置データを取得する(ステップS56)。また、携帯端末520は、距離計530、含水計540および重量計550に計測データの送信指示を出力し、各センサから計測データを受信する(ステップS57)。携帯端末520は、距離計530の受信データと容器502の既知の底面積および高さから未利用材の体積を算出する(ステップS58)。携帯端末520は、位置データ、距離の計測データ、含水率の計測データ、重量の計測データ、ならびに未利用材の高さおよび体積の値を、読み取った未利用材IDに関連付けてサーバ510に送信する(ステップS59)。なお、位置データは、未利用材の回収場所を表す。携帯端末520は、送信するデータに電子署名やタイムスタンプを付してもよい。なお、粉砕された未利用材をチップ材と微粉とに分けて容器502に収容する場合、携帯端末520は、それぞれの容器502の未利用材IDに関連付けて、未利用材の樹種として、チップ材か、微粉(樹皮、枝、葉など)かの別を記録してもよい。
【0064】
サーバ510は、携帯端末520からデータを受信し、データベースに記録する(ステップS60)。サーバ510は、受信したデータに電子署名やタイムスタンプを付してもよい。これにより、サーバ510は、未利用材の回収時の情報を記憶することができる。
管理者に未利用材の情報を提供する場合、調達業者または管理者は、未利用材を収容する容器502に付されたタグ560の未利用材IDを携帯端末520で読み取り、当該未利用材IDに関連付けられた情報をサーバ510に照会することで、未利用材の情報を得ることができる。少なくとも、管理者は、未利用材の回収場所、体積、含水率および重量を取得することができる。なお、重量は含水率によって変化するため、含水率を用いて重量を標準化してもよい。例えば、管理者は、未利用材の重量として、全乾状態(含水率が0%)に換算した重量を用いてもよいし、生木相当の含水率に換算した重量を用いてもよい。これにより、管理者は、算出報告書または出荷報告書において、産出地、樹種、重量および/または体積を表示することができる。また、未利用材の体積として、データに含まれる高さと容器502の底面積とを含む計算式を表示することで、チップ材について換算した体積であることを明記することができる。
【0065】
計測を終えた未利用材は加工業者に受け渡される。なお、調達業者と加工業者とは同一であってもよい。なお、未利用材は容器502に収容された状態で流通してもよいし、袋などに詰め替えられて流通してもよい。いずれの場合も、未利用材はタグ560と共に流通する。つまり、未利用材が袋などに詰め替えられて流通する場合、タグ560は当該袋に付け替えられる。加工業者は、容器502に付されたタグ560の未利用材IDを携帯端末520で読み取り、サーバ510に照会することで、未利用材の出所を確認することができる(ステップS61)。加工業者は、図4に示す接着剤混合工程S4、成形工程S5、冷却工程S6等を経て未利用材から製品(例えば、天板付什器1)を製造する(ステップS62)。製造した製品には、タグ560と別のタグ570が付される(ステップS63)。当該タグ570は、製品の個体を示す製品IDを表す。加工業者は、携帯端末520によってタグ570から製品IDを読み取り、当該製品IDと、ステップS61で読み取った未利用材IDと、当該製品の生産日時(タイムスタンプ)とを関連付けてサーバ510に送信する(ステップS64)。サーバ510は、受信したデータをデータベースに記録する(ステップS65)。
なお、一の容器502に収容された未利用材から複数の製品が生産される場合、一の未利用材IDに関連付けて複数の製品IDが登録されてもよい。また、一の製品が複数の未利用材を用いて生産される場合、一の製品IDに関連付けて複数の未利用材IDが登録されてもよい。これにより、製品IDを参照することで、製品の種類および当該製品に用いた未利用材に係る情報を特定することができる。これにより、利用者は最終製品に付されたタグ570から、未利用材の情報を得ることができる。
【0066】
製品を生産するために要する未利用材の量は既知であるため、未利用材IDと複数の製品IDとを関連付けたデータベースを参照することで、未利用材IDに係る未利用材の量と、各製品IDに係る製品の生産に用いた未利用材の総量とを比較することができる。未利用材IDに係る未利用材の量と、各製品IDに係る製品の生産に用いた未利用材の総量とは、当然ほぼ等しくなるため、データベースを参照することで、生産におけるデータの改ざんの有無を確認することができる。なお、図8に示す例では、タグ570が製品である天板付什器1の天板12の上面に設けられているが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るタグ570は、天板12の裏面に設けられてもよいし、天板付什器1の流通時に天板付什器1を梱包する梱包材などに付されていてもよい。
【0067】
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ600は、プロセッサ610、メインメモリ620、ストレージ630、インタフェース640を備える。
上述のサーバ510および携帯端末520は、コンピュータ600に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ630に記憶されている。プロセッサ610は、プログラムをストレージ630から読み出してメインメモリ620に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ610は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ620に確保する。プロセッサ610の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0068】
プログラムは、コンピュータ600に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ600は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ610によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0069】
ストレージ630の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ630は、コンピュータ600のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース640または通信回線を介してコンピュータ600に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ600に配信される場合、配信を受けたコンピュータ600が当該プログラムをメインメモリ620に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ630は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0070】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ630に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0071】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0072】
上述した実施形態は、以下のようにも表現され得る。
(付記1)
未利用材を粉砕して生成されたチップ状の木質材である一群の木質材が収容された、上部に開口を有する容器の前記開口から、前記容器内に収容された前記一群の木質材の表面までの距離を計測する距離計と、
前記距離計から前記計測データを取得し、前記容器の底面積に、計測された前記距離と前記容器の高さとの差を乗算することで、前記一群の木質材に係る情報として前記一群の木質材の体積を算出する端末装置と
を備える管理システム。
(付記2)
未利用材を粉砕して生成されたチップ状の木質材である一群の木質材の含水率を計測する含水計と、
前記一群の木質材の重量を計測する重量計と、
前記含水率の計測データと前記重量の計測データとを関連付けた情報を、前記一群の木質材に係る情報として生成する端末装置と
を備える管理システム。
(付記3)
前記含水計および前記重量計は、乾燥機によって乾燥された前記一群の木質材について前記一群の木質材に係る情報を生成する
付記2に記載の管理システム。
(付記4)
前記端末装置は、前記一群の木質材に係る情報に、タイムスタンプまたは電子署名を付す
付記1から付記3の何れかに記載の管理システム。
(付記5)
前記一群の木質材を示す未利用材IDを記憶し、前記一群の木質材と共に流通する第1タグを備え、
前記端末装置は、前記一群の木質材に係る情報を前記未利用材IDに関連付ける
付記1から付記4の何れかに記載の管理システム。
【符号の説明】
【0073】
1:天板付什器(什器)
12:天板(板状部材)
31:基材
32:化粧材(第1表面材)
41b:縁部
43b:縁部
50:化粧材(第2表面材)
500:管理システム
501:粉砕機
502:容器
503:乾燥機
510:管理サーバ
520:携帯端末(端末装置)
530:距離計
540:含水計
550:重量計
560:タグ(第1タグ)
570:タグ(第2タグ)
600:コンピュータ
610:プロセッサ
620:メインメモリ
630:ストレージ
640:インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10