(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040785
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】閃光カウンタ
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20240318BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G01J1/42 M
G01J1/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145365
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】中村 宗明
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA02
2G065AA04
2G065AB14
2G065AB16
2G065AB27
2G065AB28
2G065BB23
2G065BB24
2G065BC22
2G065BC35
(57)【要約】
【課題】 本発明は、閃光灯が設置された現地にて、閃光灯の発光回数の測定が可能な可搬性を有する閃光カウンタを提供する。
【解決手段】 照度測定部20、制御部40および表示部30を有し、前記照度測定部20は閃光灯から出射される照射光の照度を測定して、前記照度の測定データを前記制御部40に送信し、前記制御部40は、前記照度測定部40から送信された前記測定データを受信して、前記照度の変化を前記閃光灯の発光回数としてカウントし、前記表示部30に前記発光回数を表示する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照度測定部、制御部および表示部を有し、
前記照度測定部は閃光灯から出射された照射光の照度を測定して、前記照度の測定データを前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記照度測定部から送信された前記測定データを受信して、前記照度の変化を前記閃光灯の発光回数としてカウントし、前記表示部に前記発光回数を表示することを特徴とする閃光カウンタ。
【請求項2】
前記照度測定部は略矩形形状の筐体を有し、
前記筐体は上面に前記閃光灯から出射された照射光を受光する窓と、
前記筐体の内部に前記窓から入射した入射光を受光する照度計と、
前記窓と前記照度計との間に配置され前記入射光の照度を調整するフィルタと、
を備える、請求項1に記載の閃光カウンタ。
【請求項3】
前記照度測定部は、前記フィルタを水平方向に摺動させるためのスリットを備える、請求項1または2に記載の閃光カウンタ。
【請求項4】
前記閃光カウンタは略直方体形状の本体を有し、
前記本体の上面に前記照度測定部、前記本体の正面に電源スイッチ、USBコネクタ及び前記表示部を備える、請求項1に記載の閃光カウンタ。
【請求項5】
前記本体の底部に、前記本体を載置するための足部、三脚を取り付けるための固定部と、開閉可能かつ取着自在のバッテリカバーが設けられている、請求項1に記載の閃光カウンタ。
【請求項6】
前記本体は前記バッテリカバー内に取付自在に収納されるバッテリを内蔵するとともに、前記バッテリまたは前記USBコネクタから給電される電力によって駆動される、請求項4または5に記載の閃光カウンタ。
【請求項7】
前記本体は、防水性および防湿性を備える、請求項1に記載の閃光カウンタ。
【請求項8】
航空機着陸誘導用の閃光灯に用いられる、請求項1に記載の閃光カウンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閃光カウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、空港等において、着陸する航空機の滑走路への誘導に供するため、滑走路に複数の閃光灯が設置されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/142731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような空港の滑走路灯に設置される閃光灯は、複数の滑走路を有する大型空港に設置される場合、航空機の進入する方向から滑走路末端に向かって、約30mおきに、8~29灯程度設置される。さらに、航空機が真っ直ぐに滑走路に進入できない空港に設置される閃光灯の場合には、滑走路への進入路上の要所に、例えば、数kmごとに設置されている。
【0005】
空港の滑走路等に設置された閃光灯は、経年変化や故障等によって、閃光灯の発光回数(点滅回数)が初期設定値から変化する傾向が否めない。閃光灯の発光回数は、国土交通省で定めた保安基準に合致していなければならないため、定期的な検査が必要である。しかしながら、従前の閃光灯の発光回数の確認は、空港の滑走路等に設置された閃光灯に測定者が対峙して、ポータブルの手動カウンタを持ちながら、所定時間、例えば、1分間の閃光灯の発光回数を、目視で確認し、1回の発光毎に、カウントボタンを1回押す操作繰り返して、1分間における閃光灯の発光回数を手動で計数する必要があった。
【0006】
本発明は、閃光灯が設置された現地において、閃光灯の点滅回数を自動で計数可能な閃光カウンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の閃光カウンタは、照度測定部、制御部および表示部を有し、前記照度測定部は閃光灯から出射される照射光の照度を測定して前記照度の測定データを前記制御部に送信し、前記制御部は、前記照度測定部から送信された前記測定データを受信し、前記照度の変化を前記閃光灯の発光回数としてカウントし、前記表示部に前記発光回数を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可搬性を有する小型の閃光カウンタを用いることにより、閃光灯が設置された現地で閃光灯の発光回数の計数を容易に行うことが可能である。さらに、本発明の閃光カウンタは、短時間で簡便に多くの閃光灯の検査ができ、測定者の作業負担を軽減するなど、工数面、費用面等で多大な改善効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、実施例における閃光カウンタを上面側からみた斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、実施例における閃光カウンタを底面側からみた斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1AのA-A線による閃光カウンタの概略断面図である。
【
図3A】
図3Aは、実施例における閃光カウンタの上面図である。
【
図3B】
図3Bは、実施例における閃光カウンタの正面図である。
【
図3C】
図3Cは、実施例における閃光カウンタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の閃光カウンタについて、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。また、以下の
図1Aから
図3Dにおいて、同一部材には同一符号を付している。
【0011】
航空機誘導用の閃光灯は、通常状態においては、例えば、1分間に120回の発光が繰り返される構成である。閃光灯の経年変化や故障等により、発光回数すなわち発光回数が増減するなど閃光灯の点滅状態が不規則になることは、航空機の誘導に重要な影響を及ぼすため、定期的な点検が必要である。
【0012】
本実施例の閃光カウンタ1は、閃光灯から出射される照射光の照度を照度計で測定し、照度の明暗の変化を基準として、閃光灯の発光状態の定期的な検査を行う。
【0013】
本発明の閃光カウンタ1は、本体5からなり、上面に照度測定部20、正面に表示部30、電源スイッチ70などが配置され、本体5の内部には、制御部40及びバッテリ55が内蔵されている。本発明は、主として、LEDが実装された閃光灯を検査するものであるが、キセノンランプを用いた閃光灯等、LED以外のランプを用いた閃光灯の発光回数の測定に用いてもよい。また、本発明の閃光カウンタ1は、航空機着陸用の誘導に用いられる閃光灯用の閃光カウンタであるが、これに限定されるものではない。
【実施例0014】
本実施例の閃光カウンタ1について説明する。
図1Aは、本発明装置の1実施例における閃光カウンタ1を上面側からみた斜視図、
図1Bは、同閃光カウンタ1を底面側からみた斜視図である。
【0015】
図1Aに示すように、閃光カウンタ1は、略直方体形状の本体5を有する。本体5の上面には照度測定部20が、正面には、表示部30、電源スイッチ70及びリセットボタン32が配置されている。
【0016】
照度測定部20は、略直方体形状の筐体22からなり、筐体22の上面に、透光性の窓27が設けられている。窓27は、閃光灯から出射された照射光を受光するための窓であり、窓27の下部には、照度計(図示省略)が配置されている。
【0017】
図1Bに示すように、本体5の底面の四隅には、床面に対して本体5を支持するための足部60が設けられている。また、本体5の底面には、本体5の内部にバッテリ55を取着可能に収納するための凹部(図示省略)が設けられている。その凹部は、バッテリカバー50により覆われている。バッテリカバー50は、本体5の底面とほぼ同一水平面となるように設けられており、本体5から取り外し可能である。
【0018】
図2は、
図1AのA-A線で垂直方向に切断した閃光カウンタ1の概略断面図である。同図に示すように、本体5の内部には、回路モジュールからなる制御部40と、導線43により制御部40と導通するバッテリ55が配設されている。照度測定部20は、制御部40に閃光灯の照度の測定データを送信し、制御部40は照度の測定データを受信して、照度の変化、すなわち照度の明暗を所定の閾値に基づいて、閃光灯の点滅回数に変換して、発光回数としてカウントし、所定時間における発光回数のデータを、導線45を通じて表示部30に送信する。
【0019】
電源スイッチ70は、閃光カウンタ1の電源のON/OFFの切替を行う。
【0020】
実施例の閃光カウンタ1には、4カ所の足部60の他に、底面に三脚を取り付けるためのネジ孔10が設けられている。閃光カウンタ1のネジ孔10に三脚(図示省略)を取り付けることにより、閃光カウンタ1は、現地の滑走路の地面等に立脚されて、高さ調整が行われ、閃光灯の発光回数等の測定をすることができる。
【0021】
図3Aは、実施例における閃光カウンタ1の上面図、
図3Bは、同閃光カウンタ1の正面図、
図3Cは、同閃光カウンタ1の側面図、
図3Dはフィルタ25の平面図である。
【0022】
図3Aに示すように、閃光カウンタ1の本体5の上面には、照度測定部20が設置されている。
図3Bに示すように、閃光カウンタ1の本体5の正面には、表示部30、電源スイッチ70及びUSBコネクタ75が配置されている。USBコネクタ75は、USB端子を有するモバイルバッテリから給電を受けるためのコネクタである。本体5に内蔵されたバッテリ55が消耗したときなどに、モバイルバッテリをUSBコネクタ75に接続して、モバイルバッテリからの給電により、測定を継続することができる。なお、バッテリ55を装着していない状態であっても、モバイルバッテリをUSBコネクタ75に接続することによって、測定が可能である。バッテリ55としては単三マンガン電池、単三アルカリ電池等の乾電池(一次電池)を用いるが、単三ニッケル水素電池等の充電池(二次電池)等を用いてもよい。
【0023】
本体5の正面には、表示部30が設けられている。表示部30は、液晶モジュールからなり、制御部40により算出された所定時間内の発光回数(点滅回数)データを受信して、所定時間における閃光灯の発光回数を表示する。発光回数が、例えば、1分間に120回であった場合、表示部30には、120という数字が表示される。また、リセットボタン32を押すことによって、発光回数データが消去されて、初期状態に戻されて、再び閃光灯の発光回数のカウントが開始され、所定時間である1分後に、表示部30にカウントされた発光回数が表示される。
【0024】
図3Dに示すように、照度測定部20の側面には、水平方向に細長く延びるスリット23が設けられている。閃光灯から出射される照射光は、12,000cd(カンデラ)以上のものもあり、照度計では対応できないこともある。そのため、照射光を減衰させるためのフィルタ25が設けられている。フィルタ25は、閃光灯から出射された照射光の照度を減光することにより、照度計の入力値を調整するものである。フィルタ25は略矩形状をなし、少なくとも窓27の下部を覆うサイズである。フィルタ25の一端にはレバー24が取り付けられており、フィルタ25の本体は、スリット23の内部に内蔵されている。
【0025】
照度の測定時に、レバー24をスリット23に沿って水平方向に摺動させて、フィルタ25を窓27の下面に位置させることで測定の準備が完了する。フィルタ25は、例えば、NDフィルタ(中性濃度フィルター)であるが、照度を減衰させるものでれば、他のフィルタでもよい。なお、フィルタ25は照度の減衰率が異なるものを何種類か揃えておき、閃光灯から出射される照射光の強さに応じて、減光率が適正となるものに取り替えることで、適正な照度に調整すればよい。
【0026】
本体5のサイズは、縦100mm-300mm、横100mm-300mm、高さ30-150mm、好ましくは縦150mm-250mm、横150-250mm、高さ60mm-120mmである。
【0027】
なお、本体5には、スチール板の加工材が用いられるが、ステンレス板、アルミニウム板など他の金属材料のほか、ABS、PC(ポリカーボネート)などのプラスチック材料を用いてもよい。また、本体5は、雨天や霧等における使用を妨げないように、防水、防湿仕様を備えていてもよい。
【0028】
また、本体5の側面に把手(図示省略)を取り付け、さらに可搬性を付与してもよい。
【0029】
以上、実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本発明によれば、可搬性を有する閃光カウンタを用いることにより、閃光灯が設置された現地での簡単なセッティングで閃光灯の発光回数の測定ができるため、短時間で検査ができ、検査者の作業負担を軽減するなど、工数面、費用面などで大きな改善効果を得ることができる。