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特開2024-4079ガスタービン排気車室及びガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004079
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ガスタービン排気車室及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/00 20060101AFI20240109BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20240109BHJP
   F01D 25/30 20060101ALI20240109BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
F02C7/00 E
F01D25/16 B
F01D25/30 Z
F01D25/24 J
F01D25/24 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103545
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西岡 靖記
(72)【発明者】
【氏名】亀田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 慎吾
(57)【要約】
【課題】ストラットの配置の自由度が高いガスタービン排気車室を提供する。
【解決手段】ガスタービン排気車室であって、筒状の車室壁と、車室壁に収容された軸受箱と、車室壁の周方向に間隔をあけて設けられ、車室壁と軸受箱とを連結する複数のストラットと、を備え、複数のストラットは、車室壁の外面から突出する突出部を含む第1突出ストラットと、車室壁の外面から突出しないように設けられた非突出ストラットと、を含み、車室壁と第1突出ストラットとは、車室壁側に設けられた開先を溶接することで固定され、車室壁と非突出ストラットとは、非突出ストラット側に設けられた開先を溶接することで固定される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン排気車室であって、
筒状の車室壁と、
前記車室壁に収容された軸受箱と、
前記車室壁の周方向に間隔をあけて設けられ、前記車室壁と前記軸受箱とを連結する複数のストラットと、
を備え、
前記複数のストラットは、
前記車室壁の外面から突出する突出部を含む第1突出ストラットと、
前記車室壁の外面から突出しないように設けられた非突出ストラットと、
を含み、
前記車室壁と前記第1突出ストラットとは、前記車室壁側に設けられた開先を溶接することで固定され、
前記車室壁と前記非突出ストラットとは、前記非突出ストラット側に設けられた開先を溶接することで固定された、ガスタービン排気車室。
【請求項2】
前記複数のストラットの各々について、前記車室壁の径方向における前記ストラットの外側端と前記車室壁の軸心との水平方向の距離を外側端水平距離と定義すると、
前記非突出ストラットの前記外側端水平距離は、前記複数のストラットの各々の前記外側端水平距離の中で最大である、請求項1に記載のガスタービン排気車室。
【請求項3】
前記複数のストラットの各々について、前記車室壁の径方向における前記ストラットの外側端と前記車室壁の軸心との鉛直方向の距離を外側端鉛直距離と定義すると、
前記第1突出ストラットの前記外側端鉛直距離は、前記複数のストラットの各々の前記外側端鉛直距離の中で最大である、請求項2に記載のガスタービン排気車室。
【請求項4】
前記複数のストラットは、前記周方向において前記第1突出ストラットと前記非突出ストラットとの間の位置に設けられた第2突出ストラットを備え、
前記第2突出ストラットは、前記車室壁の外面から突出する突出部を含み、前記第2突出ストラットの前記突出部の側面と前記車室壁の外面とが溶接された、請求項3に記載のガスタービン排気車室。
【請求項5】
圧縮機と、
前記圧縮機で生成された圧縮空気を燃料と混合して燃焼するための燃焼器と、
前記燃焼器で生成された燃焼ガスから動力を得るためのタービンと、
前記タービンの排気ガスが通過するよう構成された請求項1乃至4の何れか1項に記載のガスタービン排気車室と、
を備える、ガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービン排気車室及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のガスタービン排気車室は、筒状の車室壁と、車室壁に収容された軸受箱と、車室壁と軸受箱との間に環状の排気ガス流路を形成するディフューザ部と、車室壁の周方向に間隔をあけて設けられ、車室壁と軸受箱とを連結する複数のストラットと、を備えており、ガスタービン排気車室の水平方向の外形寸法の大型化を抑制するための構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-101145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の典型的なガスタービン排気車室では、各ストラットは車室の外側に突出する突出部を含み、突出部が隅肉溶接によって車室に固定されていた。このため、隅肉溶接が可能な程度に各ストラットの突出部を大きく突出させる必要があり、他の部品との干渉や輸送上の制約等により、ストラットの配置の自由度が低かった。この点、特許文献1に記載のガスタービン排気車室は、ストラットの配置の自由度を高める観点で改善の余地がある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、ストラットの配置の自由度が高いガスタービン排気車室及びこれを備えるガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン排気車室は、
筒状の車室壁と、
前記車室壁に収容された軸受箱と、
前記車室壁の周方向に間隔をあけて設けられ、前記車室壁と前記軸受箱とを連結する複数のストラットと、
を備え、
前記複数のストラットは、
前記車室壁の外面から突出する突出部を含む第1突出ストラットと、
前記車室壁の外面から突出しないように設けられた非突出ストラットと、
を含み、
前記車室壁と前記第1突出ストラットとは、前記車室壁側に設けられた開先を溶接することで固定され、
前記車室壁と前記非突出ストラットとは、前記非突出ストラット側に設けられた開先を溶接することで固定される。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、
圧縮機と、
前記圧縮機で生成された圧縮空気を燃料と混合して燃焼するための燃焼器と、
前記燃焼器で生成された燃焼ガスから動力を得るためのタービンと、
前記タービンの排気ガスが通過するよう構成された請求項1乃至4の何れか1項に記載のガスタービン排気車室と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ストラットの配置の自由度が高いガスタービン排気車室及びこれを備えるガスタービンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るガスタービン2の概略構成を示す図である。
図2】一実施形態に係るガスタービン排気車室12の概略構成を示す側面図である。
図3図2におけるA-A断面図である。
図4】車室壁14とストラット30Aとの接続部分を拡大して示す概略図である。
図5】車室壁14とストラット30Bとの接続部分を拡大して示す概略図である。
図6】ストラット30Aの端部36Aを回避して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結ボルト16で締結する場合の概略構成を示す図である。
図7】車室壁14とストラット30Cとの接続部分を拡大して示す概略図である。
図8】車室壁14とストラット30Fとの接続部分を拡大して示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0011】
図1は、一実施形態に係るガスタービン2の概略構成を示す図である。
図1に示すように、ガスタービン2は、圧縮機4と、圧縮機4で生成された圧縮空気を燃料と混合して燃焼するための燃焼器6と、燃焼器6で生成された燃焼ガスから動力を得るためのタービン8と、タービン8の排気ガス(タービン8で仕事を終えた燃焼ガス)が通過するように構成されたガスタービン排気車室12と、を備える。
【0012】
図2は、一実施形態に係るガスタービン排気車室12の概略構成を示す側面図である。図3は、図2におけるA-A断面図である。
図2及び図3に示すように、ガスタービン排気車室12は、筒状の車室壁14と、車室壁14に設けられた複数の締結ボルト16とを備える。車室壁14は、車室壁14の上半分を形成する上半ケーシング18と、車室壁14の下半分を形成する下半ケーシング22とを含む。複数の締結ボルト16は、上半ケーシング18の一端側に設けられたフランジ部20Aと下半ケーシング22の一端側に設けられたフランジ部24Aとを締結する複数の締結ボルト16Aと、上半ケーシング18の他端側に設けられたフランジ部20Bと下半ケーシング22の他端側に設けられたフランジ部24Bとを締結する複数の締結ボルト16Bとを含む。
【0013】
図3に示すように、ガスタービン排気車室12は、車室壁14に収容された軸受箱26と、車室壁14と軸受箱26との間に環状の排気ガス流路27を形成するディフューザ部28と、車室壁14の周方向に間隔をあけて設けられ、車室壁14と軸受箱26とを連結する複数のストラット30(30A~30H)と、を備える。図示した例示的形態では、ガスタービン排気車室12が備えるストラット30の本数は8であり、複数のストラット30の各々は、車室壁14の径方向に対して傾斜した方向に沿って直線状に延在する。軸受箱26の内側には、タービンロータ31の回転軸32を回転可能に支持する軸受部34が設けられている。なお、車室壁14の軸心、軸受箱26の軸心及び軸受部34の軸心は、タービンロータ31の回転軸32の軸心Oに一致する。以下、単に「径方向」という場合には車室壁14の径方向すなわちタービンロータ31の径方向を意味し、単に「周方向」という場合には車室壁14の周方向すなわちタービンロータ31の周方向を意味し、単に「軸方向」という場合には車室壁14の軸方向すなわちタービンロータ31の軸方向を意味することとする。
【0014】
複数のストラット30は、複数の締結ボルト16のうち少なくとも1つの締結ボルト16Aによって貫通された端部36Aを含むストラット30A(非突出ストラット)を備える。端部36Aは、ストラット30Aにおける車室壁14側の端部、すなわちストラット30Aにおける径方向における外側の端部であり、図示する形態では上半ケーシング18に溶接されている。ストラット30Aのうち車室壁14と反対側の端部38A、すなわちストラット30Aにおける径方向における内側の端部38Aは、軸受箱26に接続される。図2に示す例示的形態では、フランジ部20Aとフランジ部24Aとは軸方向に配列された複数の締結ボルト16によって締結されており、該複数の締結ボルト16のうち2つの締結ボルト16Aが端部36Aを貫通している。
【0015】
図3に示すように、複数のストラット30は、回転軸32を挟んでストラット30Aと反対側に、複数の締結ボルト16のうち少なくとも1つの締結ボルト16Bによって貫通された端部36Bを備えるストラット30B(非突出ストラット)を含む。端部36Bは、ストラット30Bにおける車室壁14側の端部、すなわちストラット30Bにおける径方向における外側の端部であり、図示する形態では下半ケーシング22に溶接されている。ストラット30Bにおける車室壁14と反対側の端部38B、すなわちストラット30Bにおける径方向における内側の端部38Bは、軸受箱26に接続される。
【0016】
図3に示すように、車室壁14の軸心Oに直交する断面において、ストラット30A,30Bの各々の長手方向と上記水平面Sとのなす角度は、ストラット30A~30Hの各々の長手方向と水平面とのなす角度の中で最小である。すなわち、ストラット30A~30Hの各々について、径方向におけるストラット30の外側端(例えばストラット30Aの外側端39A等)と車室壁14の軸心Oとの水平方向の距離を外側端水平距離と定義すると、ストラット30A,30Bの各々の外側端水平距離は、ストラット30A~30Hの各々の外側端水平距離の中で最大である。なお、図3において、例えばストラット30Aの外側端水平距離はLAであり、例えばストラット30Eの外側端水平距離はLEである。
【0017】
図3に示すように、ストラット30Cは、ストラット30A~30Hの中で車室壁14の上端Ptに最も近い位置に設けられ、ストラット30Dは、ストラット30A~30Hの中で車室壁14の下端Pbに最も近い位置に設けられる。ストラット30Eは、周方向においてストラット30Aとストラット30Cの間に位置し、ストラット30Fは、周方向においてストラット30Bとストラット30Cの間に位置する。ストラット30Gは、周方向においてストラット30Aとストラット30Dの間に位置し、ストラット30Hは、周方向においてストラット30Bとストラット30Dの間に位置する。
【0018】
図3に示すように、車室壁14の軸心Oに直交する断面において、ストラット30C,30Dの各々の長手方向と鉛直線とのなす角度は、複数のストラット30の各々と鉛直線とのなす角度の中で最小である。すなわち、複数のストラット30の各々における径方向の外側端39A~39Hと車室壁14の軸心Oとの鉛直方向の距離を外側端鉛直距離と定義すると、ストラット30C,30Dの各々の外側端鉛直距離は、複数のストラット30の各々の外側端鉛直距離の中で最大である。なお、図3において、例えばストラット30Cの外側端鉛直距離はQCであり、例えばストラット30Fの外側端鉛直距離はQFである。
【0019】
次に、図4及び図5を用いて車室壁14とストラット30A,30Bとの接続部分の詳細構成について説明する。図4は車室壁14とストラット30Aとの接続部分を拡大して示す概略図である。図5は車室壁14とストラット30Bとの接続部分を拡大して示す概略図である。
【0020】
図4に示すように、ストラット30Aの端部36Aと上半ケーシング18とは、ストラット30A側に設けられた開先48Aを溶接することで固定されており、ストラット30Aの端部36Aと上半ケーシング18とは溶接部40Aを介して接続されている。また、図3及び図4の少なくとも一方に示すように、上半ケーシング18のフランジ部20A、溶接部40A、端部36A及び下半ケーシング22のフランジ部24Aを鉛直方向に貫通する貫通孔42Aが形成されている。締結ボルト16Aは、貫通孔42Aに挿通され、フランジ部24A、溶接部40A、端部36A及びフランジ部20Aを貫通して、ナット44Aに螺合して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結する。また、ストラット30Aの車室壁14側(径方向の外側)の端面39Aは、車室壁14の外面15A(上半ケーシング18の外面)から突出しないように形成されている。すなわち、ストラット30Aは、車室壁14の外面15Aから突出しないように設けられている。
【0021】
図4に示す端部36Aは、上半ケーシング18との間にダブリングプレート43Aを保持する保持部46Aと、保持部46Aよりも径方向における外側に形成された先細形状部49Aとを含む。先細形状部49Aにおけるストラット30Aの長手方向に直交する断面の面積は、ストラット30Aの長手方向に沿って車室壁14の軸心O(図3参照)から離れるにつれて小さくなる。また、先細形状部49Aの側面53Aは、ストラット30Aの長手方向に沿って車室壁14の軸心Oから離れるにつれてストラット30Aの軸心MAとの距離が小さくなるように傾斜している。
【0022】
上半ケーシング18には上半ケーシング18をストラット30Aの長手方向に貫通する貫通孔21Aが形成されており、保持部46A、先細形状部49A及びダブリングプレート43Aは、貫通孔21Aの内部に位置する。貫通孔21Aにおけるストラット30Aの長手方向に直交する断面の面積は、ストラット30Aの長手方向の位置によらず一定となっていてもよく、貫通孔21Aの内面55Aはストラット30Aの長手方向に平行であってもよい。
【0023】
かかる構成では、貫通孔21Aの内面55Aとストラット30Aの先細形状部49Aの側面53Aとの間においてストラット30A側に設けられた開先48Aを溶接することで溶接部40Aが形成されている。このように、製造時においてストラット30Aの端部36Aを上半ケーシング18に埋め込むようにストラット30Aの端部36Aと上半ケーシング18との開先溶接を行うことで、高い強度を実現している。なお、保持部46Aには段差46A1が形成されており、開先48Aと上半ケーシング18との溶接時には、段差46A1にダブリングプレート43Aを突き当ててストラット30Aの軸方向におけるダブリングプレート43Aの位置決めを行ってから開先48Aと上半ケーシング18との開先溶接を行ってもよい。
【0024】
上記構成によれば、締結ボルト16Aによってストラット30Aの端部36Aを貫通して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結しているため、ストラット30Aの端部36Aを回避して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結ボルト16で締結する場合(図6に示すように径方向に大きく突出したフランジ部20A,24Aを締結ボルト16で締結する場合)と比較して、締結ボルト16と車室壁14の軸心Oとの距離を小さくすることができる。このため、図6に示した場合と比較して、締結ボルト16に沿って形成される車室壁14の外面15A(フランジ部20Aの端面52A及びフランジ24Aの端面56A)とタービンロータ31の軸心Oとの距離を小さくすることができる。したがって、排気ガス流路27を大型化しつつ、ガスタービン排気車室12の外形寸法のうち車室壁14の軸心Oに直交する水平方向の外形寸法H(図3参照)の大型化を抑制することができる。
【0025】
また、高温の排気ガスからの伝熱によって筒状の車室壁14が膨張した際に、ストラット30Aの端部36Aを回避して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結ボルト16Aで締結する場合(図6参照)と比較して、締結ボルト16Aに作用する引張荷重を小さくすることができる。したがって、締結ボルト16Aの破損を抑制し、ガスタービン2の安定的な運転を実現することができる。
【0026】
図5に示すように、ストラット30Bの端部36Bと下半ケーシング22とは、ストラット30B側に設けられた開先48Bを溶接することで固定されており、ストラット30Bの端部36Bと下半ケーシング22とは、溶接部40Bを介して接続されている。また、図3及び図4の少なくとも一方に示すように、上半ケーシング18のフランジ部20B、溶接部40B、端部36B及び下半ケーシング22のフランジ部24Bを鉛直方向に貫通する貫通孔42Bが形成されている。締結ボルト16Bは、貫通孔42Bに挿通され、フランジ部24B、溶接部40B、端部36B及びフランジ部20Bを貫通して、ナット44Bに螺合して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結する。また、ストラット30Bの車室壁14側(径方向の外側)の端面39Bは、車室壁14の外面15B(下半ケーシング22の外面)から突出しないように形成されている。すなわち、ストラット30Bは、車室壁14の外面15Bから突出しないように設けられている。
【0027】
図5に示す端部36Bは、下半ケーシング22との間にダブリングプレート43Bを保持する保持部46Bと、保持部46Bよりも径方向における外側に形成された先細形状部49Bとを含む。先細形状部49Bにおけるストラット30Bの長手方向に直交する断面の面積は、ストラット30Bの長手方向に沿って車室壁14の軸心O(図3参照)から離れるにつれて小さくなる。また、先細形状部49Bの側面53Bは、ストラット30Bの長手方向に沿ってタービンロータ31の軸心Oから離れるにつれてストラット30Bの軸心MBとの距離が小さくなるように傾斜している。
【0028】
下半ケーシング22には下半ケーシング22をストラット30Bの長手方向に貫通する貫通孔21Bが形成されており、保持部46B、先細形状部49B及びダブリングプレート43Bは、貫通孔21Bの内部に位置する。貫通孔21Bにおけるストラット30Bの長手方向に直交する断面の面積は、ストラット30Bの長手方向の位置によらず一定となっていてもよく、貫通孔21Bの内面55Bはストラット30Bの長手方向に平行であってもよい。
【0029】
かかる構成では、貫通孔21Bの内面55Bとストラット30Bの先細形状部49Bの側面53Bとの間においてストラット30B側に形成された開先48Bを溶接することで溶接部40Bが形成されている。このように、製造時においてストラット30Bの端部36Bを下半ケーシング22に埋め込むようにストラット30Bの端部36Bと下半ケーシング22との開先溶接を行うことで、高い強度を実現している。なお、保持部46Bには段差46B1が形成されており、開先48Bと下半ケーシング22との溶接時には、段差46B1にダブリングプレート43Bを突き当ててストラット30Bの軸方向におけるダブリングプレート43Bの位置決めを行ってから開先48Bと下半ケーシング22との開先溶接を行ってもよい。
【0030】
上記構成によれば、締結ボルト16Bによってストラット30Bの端部36Bを貫通して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結しているため、ストラット30Bの端部36Bを回避して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結ボルト16で締結する場合(図6参照)と比較して、締結ボルト16Bと車室壁14の軸心Oとの距離を小さくすることができる。このため、図6に示した場合と比較して、締結ボルト16に沿って形成される車室壁14の外面15B(フランジ部20Bの端面52B及びフランジ24Bの端面56B)と車室壁14の軸心Oとの距離を小さくすることができる。したがって、排気ガス流路27を大型化しつつ、ガスタービン排気車室12の外形寸法H(図3参照)の大型化を抑制することができる。
【0031】
また、高温の排気ガスからの伝熱によって筒状の車室壁14が膨張した際に、ストラット30Bの端部36Bを回避して上半ケーシング18と下半ケーシング22とを締結ボルト16Bで締結する場合(図6参照)と比較して、締結ボルト16Bに作用する引張荷重を小さくすることができる。したがって、締結ボルト16Bの破損を抑制し、ガスタービン2の安定的な運転を実現することができる。
【0032】
図2及び図3の少なくとも一方に示すように、上半ケーシング18の外面50は、軸方向と直交する水平方向における一端側に、径方向と直交する鉛直面Vに沿って形成された第1平面部52Aを含む。下半ケーシング22の外面54は、軸方向と直交する水平方向における一端側に、第1平面部52Aに隣接し鉛直面Vに沿って形成された第2平面部56Aを含む。図示する形態では、第1平面部52Aは、フランジ部20Aの端面であり、第2平面部56Aはフランジ部24Aの端面である。ストラット30Aの端面39Aと第1平面部52Aと第2平面部56Aと溶接部40Aの外面とは面一になっている。一実施形態では、ストラット30Aの端部36Aと上半ケーシング18とを溶接して溶接部40Aを形成した後に、ストラット30Aの端面39Aと第1平面部52Aと第2平面部56Aと溶接部40Aの外面とが面一になるように機械加工を行ってもよい。
【0033】
図3に示すように、上半ケーシング18の外面50は、軸方向と直交する水平方向における他端側に、径方向と直交する鉛直面Vに沿って形成された第1平面部52Bを含む。下半ケーシング22の外面54は、軸方向と直交する水平方向における他端側に、第1平面部52Bに隣接し鉛直面Vに沿って形成された第2平面部56Bを含む。図示する形態では、第1平面部52Bは、フランジ部20Bの端面であり、第2平面部56Bはフランジ部24Bの端面である。ストラット30Bの端面39Bと第1平面部52Bと第2平面部56Bと溶接部40Bの外面とは面一になっている。一実施形態では、ストラット30Bの端部36Bと下半ケーシング22とを溶接して溶接部40Bを形成した後に、ストラット30Bの端面39Bと第1平面部52Bと第2平面部56Bと溶接部40Bの外面とが面一になるように機械加工を行ってもよい。
【0034】
図7は車室壁14とストラット30C(第1突出ストラット)との接続部分を拡大して示す概略図である。
図7に示すように、ストラット30Cにおける径方向の外側の端部36Cと上半ケーシング18とは、上半ケーシング18側(車室壁14側)に設けられた開先48Cを溶接することで固定されており、ストラット30Cの端部36Cと上半ケーシング18とは溶接部40Cを介して接続されている。また、ストラット30Cの端部36Cは、車室壁14の外面15C(上半ケーシング18の上面)から径方向における外側に突出する突出部60Cを含む。
【0035】
図7に示す端部36Cは、上半ケーシング18との間にダブリングプレート43Cを保持する保持部46Cと、保持部46Cよりも径方向における外側に形成された幅一定部49Cとを含む。幅一定部49Cにおけるストラット30Cの長手方向に直交する断面の面積は、ストラット30Cの長手方向の位置によらず一定であり、幅一定部49Cの側面53Cは、ストラット30Cの長手方向に平行に形成されている。
【0036】
上半ケーシング18には上半ケーシング18をストラット30Cの長手方向に貫通する貫通孔21Cが形成されており、保持部46Cと幅一定部49Cの一部とダブリングプレート43Cとは、貫通孔21Cの内部に位置する。図示する例では、貫通孔21Cの内面55Cは、ストラット30Cの長手方向に平行な内側内面部55Ciと、径方向において内側内面部55の外側に接続し、ストラット30Cの長手方向に沿って車室壁14の軸心O(図3参照)から離れるにつれてストラット30Cの軸心MCとの距離が大きくなるように傾斜した外側内面部55Coとを含む。また、貫通孔21Cにおけるストラット30Cの長手方向に直交する断面の面積は、内側内面部55Ciの範囲ではストラット30Cの長手方向の位置によらず一定であり、外側内面部55Coの範囲ではストラット30Cの長手方向に沿って車室壁14の軸心O(図3参照)から離れるにつれて拡大する。
【0037】
かかる構成では、車室壁14の貫通孔21Cの外側内面部55Coとストラット30Cの幅一定部49Cの側面53Cとの間において車室壁14側に形成された開先48Cを溶接することで溶接部40Cが形成されている。なお、保持部46Cには段差46C1が形成されており、図示する例ではダブリングプレート43Cは段差46C1から離れて配置されているが、ダブリングプレート43Cは段差46C1に突き当てられていてもよい。
【0038】
幾つかの実施形態では、車室壁14とストラット30Dとの溶接部の構造は、図7に示した車室壁14とストラット30Cとの接続部分の構造と同一であってもよい。この場合、ストラット30Dにおける径方向の外側の端部は、車室壁14の外面(下半ケーシング22の下面)から径方向における外側に突出する突出部を含む。また、ストラット30Dにおける径方向の外側の端部と下半ケーシング22とは、車室壁14側に設けられた開先を溶接することで固定され、ストラット30Dにおける径方向の外側の端部と下半ケーシング22とは溶接部を介して接続される。
【0039】
図8は車室壁14とストラット30Fとの接続部分を拡大して示す概略図である。
図8に示すように、ストラット30Fにおける径方向の外側の端部36Fは、車室壁14の外面15C(上半ケーシング18の上面)から径方向における外側に突出する突出部60Fを含む。ストラット30Fの突出部60Fの側面62と車室壁14の外面15Cとが溶接されており、ストラット30Fの突出部60Fと上半ケーシング18とは溶接部40Fを介して接続されている。このように、ストラット30Fは、車室壁14の外側で車室壁14に隅肉溶接されている。
【0040】
図8に示す例では、ストラット30Fの端部36Fは幅一定部49Fを含み、幅一定部49Fにおけるストラット30Fの長手方向に直交する断面の面積は、ストラット30Fの長手方向の位置によらず一定である。また、幅一定部49Fの側面53Fは、ストラット30Fの長手方向に平行に形成されている。
図8に示す例では、上半ケーシング18には上半ケーシング18をストラット30Fの長手方向に貫通する貫通孔21Fが形成されており、幅一定部49Fの一部は貫通孔21Fの内部に位置し、幅一定部49Fの残部が径方向における貫通孔21Fの外側に突出部60Fとして設けられている。図示する例では、貫通孔21Fにおけるストラット30Fの長手方向に直交する断面の面積は、ストラット30Fの長手方向の位置によらず一定となっており、貫通孔21Fの内面55Fはストラット30Fの長手方向に平行である。図示する例では、ダブリングプレート43Fは、貫通孔21Fとストラット30Fとの隙間を貫通孔21Fの外側から塞ぐように突出部60Fの周囲に設けられている。
【0041】
幾つかの実施形態では、ストラット30E,30G,30Hの各々と車室壁14との溶接部の構造は、図8に示した車室壁14とストラット30Fとの溶接部40Fの構造と同一であってもよい。この場合、ストラット30E,30G,30Hの各々における径方向の外側の端部は、車室壁14の外面(上半ケーシング18の上面又は下半ケーシングの下面)から径方向における外側に突出する突出部を含む。また、ストラット30E,30G,30Hの各々の突出部の側面と車室壁14の外面とが溶接されており、ストラット30E,30G,30Hの各々の突出部と車室壁14とは溶接部を介して接続されている。このように、ストラット30E,30G,30Hの各々は、車室壁14の外側で車室壁14に隅肉溶接されていてもよい。
【0042】
以上に説明したように、上記ガスタービン排気車室12では、ストラット30A~30Fと車室壁14との溶接の構造が周方向の位置に応じて異なっている。
【0043】
例えばストラット30Cは、車室壁14の外面15から径方向における外側に突出する突出部60Cを含み、車室壁14とストラット30Cとは、車室壁14側に設けられた開先48Cを溶接することで固定されている。このため、ストラット30Cの突出部60Cの側面と車室壁14の外面15とを隅肉溶接する場合(図8と同様の溶接構造を採用する場合)と比較して、隅肉溶接を行うために必要な突出量を突出部60Cに確保する必要がなく、突出部60Cの突出量を小さくすることができる。したがって、ガスタービン排気車室12の鉛直方向の寸法がストラット30Cの突出部60Cに起因して増大することを抑制することができる。これにより、ストラット30Cと他の部品との干渉や輸送上の制約の影響を受けにくくなり、各ストラット30の配置の自由度を向上することができる。また、ストラット30Cの突出部60Cの側面と車室壁14の外面とを隅肉溶接する場合と比較して溶接量を低減することができる。また、ストラット30Cと車室壁14との開先溶接に用いる開先48Cが車室壁14側に設けられているため、車室壁14の外径が寸法公差によってばらついても開先48Cの深さは変化せず、必要に応じてダブリングプレート43Cの位置の位置を調整することにより溶接深さ及び溶接量を安定させることができる。したがって、ストラット30Cと車室壁14との接合強度を少ない溶接量で確保しつつ、鉛直方向におけるガスタービン排気車室12の寸法の増大を抑制することができる。
【0044】
また、例えばストラット30Aは、車室壁14の外面から突出しないように設けられており、車室壁14とストラット30Aとは、ストラット30A側に設けられた開先48Aを溶接することで固定されている。このため、車室壁14とストラット30Aとを溶接するために車室壁14側に開先を設ける場合と比較して、少ない溶接量で車室壁14とストラット30Aとを固定することができる。また、仮に車室壁14とストラット30Aとを溶接するために車室壁14側に開先を設けた場合、ストラット30Aと車室壁14とを溶接した後に、ガスタービン排気車室12の水平方向の外形寸法Hを小さくするためにストラット30Aの端面39Aと第1平面部52Aと第2平面部56Aと溶接部40Aの外面とが面一になるように機械加工すると、溶接部40Aの深さが減少してしまい、溶接量を安定させる上述の効果が得られない。これに対し、上記のようにストラット30A側に設けられた開先48Aを溶接して車室壁14とストラット30Aとを固定すれば、溶接部40Aの深さを他のストラット30C~30Hより深くしても、比較的少ない溶接量でストラット30Aと車室壁14との接合強度を確保することができる。したがって、ストラット30Aに起因するガスタービン排気車室12の水平方向の外形寸法Hの拡大を抑制しつつ、少ない溶接量でストラット30Aと車室壁14との接合強度を確保することができる。
【0045】
このように、ストラット30A及びストラット30Cの各々と車室壁14との接合強度を少ない溶接量で確保しつつ、ガスタービン排気車室の水平方向の寸法及び鉛直方向の寸法の増大を抑制することができる。
【0046】
また、例えばストラット30Bは、車室壁14の外面から突出しないように設けられており、車室壁14とストラット30Bとは、ストラット30B側に設けられた開先48Bを溶接することで固定されている。このため、ストラット30Aと同様の理由により、ストラット30Bに起因するガスタービン排気車室12の水平方向の外形寸法Hの拡大を抑制しつつ、少ない溶接量でストラット30Bと車室壁14との接合強度を確保することができる。
【0047】
また、幾つかの実施形態では、ストラット30Dは、車室壁14の外面(下半ケーシング22の下面)から径方向における外側に突出する突出部を含み、車室壁14とストラット30Dとは、車室壁14側に設けられた開先を溶接することで固定されている。このため、ストラット30Cと同様の理由により、ストラット30Dと車室壁14との接合強度を少ない溶接量で確保しつつ、ガスタービン排気車室12の鉛直方向の寸法の増大を抑制することができる。
【0048】
また、幾つかの実施形態では、ガスタービン排気車室12の水平方向及び垂直方向の寸法に影響を与えないストラット30E、30F,30G,30Hについては、ストラット30E,30F,30G,30Hの各々における径方向の外側の端部は、車室壁14の外面から径方向における外側に突出する突出部を含み、車室壁14の外側で車室壁14に隅肉溶接されている。この場合、ストラット30E、30F,30G,30Hの各々と車室壁14とを溶接するためにストラット30E、30F,30G,30H及び車室壁14の何れにも開先加工を行う必要がなく、ストラット30E,30F,30G,30Hの各々と車室壁14との接合強度を容易に確保することができる。
【0049】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0050】
例えば、ガスタービン排気車室12が備えるストラット30の本数は8に限定されず、ガスタービン排気車室12の機能を実現可能な任意の数であってもよい。
【0051】
また、ストラット30E、30F,30G,30Hと車室壁14との溶接構造は、例えばストラット30Cと車室壁14との溶接構造と同様であってもよい。すなわち、ストラット30E、30F,30G,30Hの各々は、車室壁14の外面から突出する突出部を含み、車室壁14と30E、30F,30G,30Hの各々とは、車室壁14側に設けられた開先を溶接することで固定されていてもよい。
【0052】
また、図3に示した例では、車室壁14が上半ケーシング18と下半ケーシング22とにより構成された2分割構造となっていたが、車室壁14は、分割構造でなくてもよいし、3以上のケーシングにより構成されていてもよい。また、車室壁14の分割位置は、タービンロータ31の軸心Oを通る水平面でなくてもよく、例えばタービンロータ31の軸心Oを含む鉛直面であってもよいし、例えばタービンロータ31の軸心Oを含み水平面及び鉛直面と交差する平面であってもよい。
【0053】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0054】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン排気車室は、
ガスタービン排気車室(例えば上述のガスタービン排気車室12)であって、
筒状の車室壁(例えば上述の車室壁14)と、
前記車室壁に収容された軸受箱(例えば上述の軸受箱26)と、
前記車室壁の周方向に間隔をあけて設けられ、前記車室壁と前記軸受箱とを連結する複数のストラット(例えば上述の複数のストラット30)と、
を備え、
前記複数のストラットは、
前記車室壁の外面から突出する突出部(例えば上述の突出部60C,60D)を含む第1突出ストラット(例えば上述のストラット30C,30D)と、
前記車室壁の外面から突出しないように設けられた非突出ストラット(例えば上述のストラット30A,30B)と、
を含み、
前記車室壁と前記第1突出ストラットとは、前記車室壁側に設けられた開先(例えば上述の開先48C,48D)を溶接することで固定され、
前記車室壁と前記非突出ストラットとは、前記非突出ストラット側に設けられた開先(例えば上述の開先48A,48B)を溶接することで固定される。
【0055】
上記(1)に記載のガスタービン排気車室によれば、車室壁の外面から突出する突出部を第1突出ストラットが含み、車室壁と第1突出ストラットとは、車室壁側に設けられた開先を溶接することで固定されている。このため、第1突出ストラットの突出部の側面と車室壁の外面とを隅肉溶接する場合と比較して、隅肉溶接を行うために必要な突出量を突出部に確保する必要がなく、突出部の突出量を小さくすることができる。したがって、第1突出ストラットに沿う方向におけるガスタービン排気車室の寸法が第1突出ストラットの突出部に起因して増大することを抑制することができる。これにより、第1突出ストラットと他の部品との干渉や輸送上の制約の影響を受けにくくなり、各ストラットの配置の自由度を向上することができる。また、第1突出ストラットの突出部の側面と車室壁の外面とを隅肉溶接する場合と比較して溶接量を低減することができる。また、第1突出ストラットと車室壁との開先溶接に用いる開先が車室壁側に設けられているため、車室壁の外径が寸法公差によってばらついても開先の深さは変化せず、第1突出ストラットと車室壁との開先溶接における溶接量を安定させることができる。したがって、第1突出ストラットと車室壁との接合強度を少ない溶接量で確保しつつ、第1突出ストラットに沿う方向におけるガスタービン排気車室の寸法の増大を抑制することができる。
【0056】
また、例えば非突出ストラットは、車室壁の外面から突出しないように設けられており、車室壁と非突出ストラットとは、非突出ストラット側に設けられた開先を溶接することで固定されている。このため、車室壁と非突出ストラットとを溶接するために車室壁側に開先を設ける場合と比較して、少ない溶接量で車室壁と非突出ストラットとを固定することができる。また、仮に車室壁と非突出ストラットとを溶接するために車室壁側に開先を設けた場合、非突出ストラットと車室壁とを溶接した後に、非突出ストラットに沿う方向におけるガスタービン排気車室の外形寸法を小さくするために非突出ストラットにおける径方向の外側端面とその隣接面とを面一になるように機械加工すると、溶接部の深さが減少してしまい、溶接量を安定させる上述の効果が得られない。これに対し、上記のように非突出ストラット側に設けられた開先を溶接して車室壁と非突出ストラットとを固定すれば、溶接部の深さを第1突出ストラットの溶接部より深くしても、比較的少ない溶接量で非突出ストラットと車室壁との接合強度を確保することができる。したがって、非突出ストラットに沿う方向におけるガスタービン排気車室の外形寸法の拡大を抑制しつつ、少ない溶接量で非突出ストラットと車室壁との接合強度を確保することができる。
【0057】
このように、第1突出ストラット及び非突出ストラットの各々と車室との接合強度を少ない溶接量で確保しつつ、ガスタービン排気車室における第1突出ストラットに沿う方向の寸法の増大及び非突出ストラットに沿う方向の寸法の増大を抑制することができ、各ストラットの配置の自由度を向上することができる。
【0058】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のガスタービン排気車室において、
前記複数のストラットの各々について、前記車室壁の径方向における前記ストラットの外側端と前記車室壁の軸心との水平方向の距離を外側端水平距離と定義すると、
前記非突出ストラットの前記外側端水平距離は、前記複数のストラットの各々の前記外側端水平距離の中で最大である。
【0059】
上記(2)に記載のガスタービン排気車室によれば、非突出ストラットに起因するガスタービン排気車室の水平方向の外形寸法の拡大を抑制しつつ、少ない溶接量で非突出ストラットと車室壁との接合強度を確保することができる。
【0060】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載のガスタービン排気車室において、
前記複数のストラットの各々について、前記車室壁の径方向における前記ストラットの外側端と前記車室壁の軸心との鉛直方向の距離を外側端鉛直距離と定義すると、
前記第1突出ストラットの前記外側端鉛直距離は、前記複数のストラットの各々の前記外側端鉛直距離の中で最大である。
【0061】
上記(3)に記載のガスタービン排気車室によれば、第1突出ストラットに起因するガスタービン排気車室の鉛直方向の寸法の増大を抑制しつつ、少ない溶接量で第1突出ストラットと車室壁との接合強度を確保することができる。
【0062】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかに記載のガスタービン排気車室において、
前記複数のストラットは、前記周方向において前記第1突出ストラットと前記非突出ストラットとの間の位置に設けられた第2突出ストラット(例えば上述のストラット30E,30F,30G,30H)を備え、
前記第2突出ストラットは、前記車室壁の外面から突出する突出部(例えば上述の突出部60F等)を含み、前記第2突出ストラットの前記突出部の側面(例えば上述の側面62)と前記車室壁の外面(例えば上述の外面15)とが溶接される。
【0063】
上記(4)に記載のガスタービン排気車室によれば、第2突出ストラットと車室壁とを溶接するために第2突出ストラット及び車室壁の何れにも開先加工を行う必要がない。このため、ガスタービン排気車室の水平方向の寸法及び鉛直方向の寸法に影響を与えない第2突出ストラットについて、車室壁との接合強度を容易に確保することができる。
【0064】
(5)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン(例えば上述のガスタービン2)は、
圧縮機(例えば上述の圧縮機4)と、
前記圧縮機で生成された圧縮空気を燃料と混合して燃焼するための燃焼器(例えば上述の燃焼器6)と、
前記燃焼器で生成された燃焼ガスから動力を得るためのタービン(例えば上述のタービン8)と、
前記タービンの排気ガスが通過するよう構成された上記(1)乃至(4)の何れかに記載のガスタービン排気車室と、
を備える。
【0065】
上記(5)に記載のガスタービンによれば、上記(1)乃至(4)の何れかに記載のガスタービン排気車室を備えるため、第1突出ストラット及び非突出ストラットの各々と車室との接合強度を少ない溶接量で確保しつつ、ガスタービン排気車室における第1突出ストラットに沿う方向の寸法の増大及び非突出ストラットに沿う方向の寸法の増大を抑制することができ、各ストラットの配置の自由度を向上することができる。
【符号の説明】
【0066】
2 ガスタービン
4 圧縮機
6 燃焼器
8 タービン
12 ガスタービン排気車室
14 車室壁
15,15A,15B,15C,50,54 外面
16,16A,16B 締結ボルト
18 上半ケーシング
20A,20B フランジ部
21A,21B,21C,21F 貫通孔
21Ci 内側孔部
21Co 外側孔部
22 下半ケーシング
24A,24B フランジ部
26 軸受箱
27 排気ガス流路
28 ディフューザ部
30 ストラット
30A,30B ストラット(非突出ストラット)
30C,30D ストラット(第1突出ストラット)
30E,30F,30G,30H(第2突出ストラット又は第1突出ストラット)
31 タービンロータ
32 回転軸
34 軸受部
36A,36B,36C,36F,38A,38B 端部
39A,39B,39H 端面(外側端)
40A,40B,40C,40F 溶接部
42A,42B 貫通孔
43A,43B,43C ダブリングプレート
44A,44B ナット
46A,46B,46C 保持部
46A1,46B1,46C1 段差
48A,48B,48C,48D 開先
49A,49B 先細形状部
49C,49F 幅一定部
52A,52B 第1平面部
53A,53B,53C,53F,62 側面
55A,55B,55C,55F 内面
55Ci 内側内面部
55Co 外側内面部
56A,56B 第2平面部
60C,60D,60F 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8