(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040792
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】製造支援システム及び製造支援方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240318BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240318BHJP
B21D 28/06 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
B21D28/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145378
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(71)【出願人】
【識別番号】504279326
【氏名又は名称】株式会社アマダマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】門谷 吾郎
【テーマコード(参考)】
3C100
4E048
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA34
3C100AA57
3C100AA68
3C100BB05
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100DD05
3C100DD22
3C100DD32
3C100DD35
4E048DA03
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】部品の追跡可能性を向上できる製造支援システム及び製造支援方法。
【解決手段】母材となる材料を切断して個々の部品に加工する切断加工装置と、個々の前記部品にそれぞれ異なるユニークな識別子を含む情報を付加する識別子付加部とを備え前記識別子は、少なくとも前記部品の前記母材の母材情報と紐づけて管理されている。前記母材は、鋼材であり、前記母材情報は、前記母材の鋼材検査証明書を含む。前記識別子を含む情報は、一次元コード又は二次元コードとして付加される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材となる材料を切断して個々の部品に加工する切断加工装置と、
個々の前記部品にそれぞれ異なるユニークな識別子を含む情報を付加する識別子付加部と
を備え、
前記識別子は、少なくとも前記部品の前記母材の母材情報と紐づけて管理されている
製造支援システム。
【請求項2】
前記母材は、鋼材であり、
前記母材情報は、前記母材の鋼材検査証明書を含む
請求項1に記載の製造支援システム。
【請求項3】
前記識別子を含む情報は、一次元コード又は二次元コードとして付加される
請求項1又は2に記載の製造支援システム。
【請求項4】
前記識別子と、前記部品の部品種別に関する情報とを格納する記憶部を備え、
前記部品種別に関する情報と、前記部品種別に関する情報が共通する複数の前記部品の前記識別子からなる識別子群とを紐づけて管理するよう構成されている
請求項1又は2に記載の製造支援システム。
【請求項5】
前記識別子を読み込み可能な識別子読込部を備え、
前記記憶部は、一又は複数の前記部品で構成される製品の製品情報を更に格納しており、
前記製品情報は、前記製品を構成する前記部品の前記部品種別に関する情報を含み、
前記製品情報の前記部品種別に関する情報と紐づけられた前記識別子群の中に前記識別子読込部が読み込んだ前記識別子があるか否かを判定する識別子判定処理と、
前記識別子判定処理で前記識別子があった場合、前記識別子を前記製品情報に割り当てる割当処理と
を実行可能に構成されている
請求項4に記載の製造支援システム。
【請求項6】
前記製品の前記製品情報に割り当てられた一の前記識別子を読み込むことにより、前記製品を構成する全ての前記部品に対して検品処理を実行可能に構成されている
請求項5に記載の製造支援システム。
【請求項7】
母材となる材料を切断して個々の部品に加工する切断加工工程と、
個々の前記部品にそれぞれ異なるユニークな識別子を含む情報を付加する識別子付加工程と
を備え、
前記識別子は、少なくとも前記部品の前記母材の母材情報と紐づけて管理されている
製造支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造支援システム及び製造支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の各部品に割り当てられた識別情報と、各部品についての製造から設置までの流通過程の履歴に関する流通履歴データとを収集し、部品毎に流通履歴データを識別情報に対応付けて記録するホストコンピュータを備える部品探索支援システムがある(特許文献1等)。
【0003】
従来の部品探索支援システムにおいて、ホストコンピュータは、設計データを記憶しており、設計データは複数の部品データの集合体を有している。また、部品データは、識別情報、三次元形状情報、位置情報及び属性情報から構成されている。属性情報は、部品が有する属性(例えば、種類、原材料、製造業者、製造工場等)を定義する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の部品探索支援システムでは、建造物の部品の工場における製造段階から、工事現場における製造段階まで流通する過程を追跡することは可能であるが、各部品の母材の製造業者や、製造工場、製造番号等を追跡することはできない。そのため、例えば、部品に不具合等の問題が発生しても、問題が部品の原材料、すなわち、母材に起因するものである場合、不良の母材の特定や、同じ母材又は同一ロットの母材から製造された他部品の特定ができないという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、部品の追跡可能性を向上できる製造支援システム及び製造支援方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る製造支援システムは、母材となる材料を切断して個々の部品に加工する切断加工装置と、個々の前記部品にそれぞれ異なるユニークな識別子を含む情報を付加する識別子付加部とを備え、前記識別子は、少なくとも前記部品の前記母材の母材情報と紐づけて管理されている。
【0008】
本発明の一態様に係る製造支援方法は、母材となる材料を切断して個々の部品に加工する切断加工工程と、個々の前記部品にそれぞれ異なるユニークな識別子を含む情報を付加する識別子付加工程とを備え、前記識別子は、少なくとも前記部品の前記母材の母材情報と紐づけて管理されている。
【0009】
本発明の一態様に係る製造支援システム及び製造支援方法によれば、部品に付される識別子と、部品の母材の母材情報とを紐づけて管理するため、部品の追跡可能性を向上できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る製造支援システム及び製造支援方法によれば、部品の追跡可能性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る製造支援システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の生産管理装置を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の切断加工装置による加工の一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の紐づけ情報の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の部品の収集の一例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の識別子の割当の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の識別子の割当の一例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の識別子の割当の一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の製造支援端末を示す機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の製品情報選択画面の一例を示す概略図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の識別子読取画面の一例を示す概略図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の識別子読取画面の一例を示す概略図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の製造支援方法の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本実施形態の製造支援方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
[本実施形態に係るシステムの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る製造支援システムを示す概略図である。
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る製造支援システム1を概説する。本実施形態に係る製造支援システム1は、定尺の母材BMを複数の部品Pに切り分ける切断加工等の一次加工と、複数の部品Pから製品を組み立てる溶接等の二次加工とを含む一連の製造工程を管理する製造支援システムである。製造支援システム1は、概略的には、
図1に示すように、母材BMとなる材料を切断して個々の部品Pに加工する切断加工装置10と、個々の部品Pにそれぞれ異なるユニークな識別子iを含む情報を付加する識別子付加部として機能する識別子付加装置30とを備える。本実施形態において、母材BMは、例えば、鋼板、H型鋼、CT型鋼、山形鋼、溝形鋼等の長尺の鋼材(型鋼)であるが、これに限定されない。
【0014】
また、製造支援システム1は、生産管理部として機能する生産管理装置100と、設計支援部として機能する設計支援装置70とを備える。さらに、製造支援システム1は、一の製品を構成する複数の部品Pの収集を支援可能な一又は複数の製造支援端末200を更に備える。またさらに、製造支援システム1は、一次加工及び二次加工で使用される種々の任意の加工装置を更に備えてもよい。
【0015】
切断加工装置10、識別子付加装置30、生産管理装置100、設計支援装置70及び製造支援端末200は、ローカルネットやイントラネット等のプライベートネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。無線通信により接続する場合、所在管理システム1は、1又は複数のアクセスポイントAPを更に備えてもよい。
【0016】
切断加工装置10は、NC(数値制御:Numerical Control)制御によって母材BMを加工するバンドソーやレーザ加工機等の加工機であり、母材BMを切断して個々の部品Pに加工可能な構成であれば、種々の任意の構成を採用可能である。また、切断加工装置10は、母材BMを切断して個々の部品Pに加工する際に、部品P毎に識別子iを発行するよう構成されている。識別子iは、例えば、切断時の日付と、切断加工装置10の略称と、連続番号とで構成されてもよいし、連続番号のみで構成されてもよいし、ランダムな文字及び数字の羅列であってもよい。
【0017】
なお、切断加工装置10は、部品種別に関する情報PIが共通する部品Pであっても、個々の部品P毎に異なる識別子iを発行する。本実施形態において、「部品種別に関する情報が共通する部品」とは、同じ加工プログラムで加工される同一材料、同一形状の複数の部品Pを意味する。また、本実施形態において、「同一材料」は、材料の材質及び寸法が同じであればよく、材料の製造元や製造ロットが異なっていてもよい。
【0018】
切断加工装置10は、設計支援装置70が作成する加工プログラムを取得可能に構成されている。なお、本実施形態において、切断加工装置10は、生産管理装置100から加工プログラムを取得するが、これに限定されず、設計支援装置70から直接取得してもよい。
【0019】
また、切断加工装置10は、加工開始時、加工中断時、及び加工完了時に加工実績を生産管理装置100に送信するよう構成されている。加工実績は、例えば、各部品Pに発行した識別子iと、母材毎の加工開始時、加工中断時、及び加工完了時のそれぞれに対応する時刻等の情報とを含む。
【0020】
図3は、本実施形態の切断加工装置による加工の一例を示す概略図である。
このような構成を備える切断加工装置10は、例えば、
図3に示すように、母材(1)を切断して「部品A」1個と「部品B」2個に加工し、それぞれに「ID601」、「ID724」及び「ID725」という識別子iを発行する。同様に、切断加工装置10は、母材(2)を切断して「部品B」1個と「部品C」2個に加工し、それぞれに「ID726」、「ID841」及び「ID842」という識別子iを発行する。また、切断加工装置10は、母材(3)を切断して「部品B」1個と「部品C」2個に加工し、それぞれに「ID727」、「ID843」及び「ID844」という識別子iを発行する。さらに、切断加工装置10は、母材(4)を切断して「部品A」2個と「部品C」1個に加工し、それぞれに「ID602」、「ID603」及び「ID845」という識別子iを発行する。
【0021】
なお、母材(1)から作られた「部品A」と、母材(4)から作られた「部品A」は、部品種別に関する情報PIが共通する部品Pである。また、母材(1)から作られた「部品B」と、母材(2)から作られた「部品B」と、母材(3)から作られた「部品B」は、部品種別に関する情報PIが共通する部品Pである。さらに、母材(2)から作られた「部品C」と、母材(3)から作られた「部品C」と、母材(4)から作られた「部品C」は、部品種別に関する情報PIが共通する部品Pである。
【0022】
識別子付加装置30は、例えば、インクジェットプリンタやレーザ刻印が可能なレーザ加工機等である。識別子付加装置30は、部品Pに識別子iを含む情報を印刷又は刻印することで直接部品Pに識別子iを含む情報を付加してもよいし、シールやタグ、プレート等の別部材に識別子iを含む情報を印刷又は刻印し、その別部材を部品Pに付加することで、間接的に部品Pに識別子iを含む情報を付加してもよい。
【0023】
なお、本実施形態において、識別子iを含む情報は、一次元コード又は二次元コードとして付加されるが、これに限定されず、識別子iを含む情報は、識別子iを直接表示するものであってもよい。また、切断加工装置10がレーザ加工機の場合、製造支援システム1は、識別子付加装置30を備えずに、切断加工装置10が識別子付加部として機能してもよい。
【0024】
設計支援装置70は、デスクトップパソコン(desktop personal computer)やノートパソコン(laptop computer)、タブレット(tablet)端末等の電子計算機であり、CAD(コンピュータ支援設計:computer-aided design)/CAM(コンピュータ支援製造:computer-aided manufacturing)ソフトを有する。
【0025】
設計支援装置70は、設計図を基に建物の平面及び立体の施工図データを作成する。施工図データは、物件名や、工区、階数等の物件情報と、物件を構成する柱や梁等の一又は複数の部品Pで構成される製品の製品情報と、柱や梁等の穴あけ加工の穴位置や開先形状等の加工情報を含む。製品情報は、その製品を構成する構成部品の構成部品リストや、その製品を構成する部品の部品種別に関する情報PI、工程情報等を有する。
【0026】
また、設計支援装置70は、作成した施工図データを基に母材BMから部品Pを切り出す取合データ(切断加工装置10の加工プログラム)や、穴あけ加工用の穴あけデータ等の一次加工及び二次加工で各加工装置が使用する加工プログラムを作成する。さらに、設計支援装置70は、施工図や製品及び部品の図面、加工指示書等の施工図データ及び加工プログラムの帳票を出力する。
【0027】
[生産管理装置の構成]
図2は、本実施形態の生産管理装置を示す機能ブロック図である。
生産管理装置100は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコン、タブレット端末等の電子計算機であり、入力部110と、表示部120と、制御部130と、記憶部140とを備える。生産管理装置100は、概略的には、設計支援装置70が作成した施工図データと加工プログラムを取り込み、製品情報の管理を行う。また、生産管理装置100は、取り込んだデータから製作手配情報の作成及び管理と、製作手配毎の進捗及び工程の管理とを行う。さらに、生産管理装置100は、各工程のリードタイムの表示と、各工程の負荷量の管理とを行う。
【0028】
入力部110は、例えば、キーボード(Keyboard)、マウス(Mouse)、タッチパッド(Touchpad)、ジョイスティック(Joystick)等の入力機器により構成されており、入力部110を操作することにより、生産管理装置100において通常必要とされる情報入力の機能に加え、例えば、製品情報の検索や識別子iの割当等の操作をすることができる。このような構成を備えることにより、生産管理装置100は、入力部110を介して手動により製品情報の選択や識別子iの割当等の操作ができる。
【0029】
表示部120は、表示装置としてのディスプレイ(Display)を有しており、生産管理装置100において通常必要とされる画面表示の機能に加え、例えば、進捗や工程の管理画面等を表示する。また、表示部120は、入力部110の機能を有するタッチパネル(Touch screen)で構成され得る。表示部120がタッチパネルで構成された場合は、ユーザは、例えば表示部120を操作することにより、製品情報の選択や識別子iの割当等の各種の情報を生産管理装置100に対して入力可能となる。
【0030】
なお、入力部110及び表示部120の構成は、上述した構成に限定されず、これら入力部110及び表示部120に代わり、同等の機能を有する構成であれば(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)、これに限定されるものではない。
【0031】
制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)を有する統合型演算処理装置により構成される。制御部130は、製品情報管理部131と、母材情報管理部133と、識別子管理部135とを備える。
【0032】
製品情報管理部131は、設計支援装置70から取り込んだ施工図データの製品情報を管理する。また、製品情報管理部131は、施工図データから製作手配情報を作成し、製品及びその製品を構成する部品Pの進捗及び工程を管理する。
【0033】
母材情報管理部133は、切断加工装置10で加工する母材BMの母材情報BIを管理する。母材情報BIは、母材BMの製造元、材料、寸法、製造番号及び鋼材検査証明書(ミルシート:Mill Test Report)を含む。また、母材情報管理部133は、切断加工装置10の加工実績を基に切断加工装置10が各部品Pに発行した識別子iと、その部品Pの母材BMの母材情報BIとを紐づけて管理する。
【0034】
図4は、本実施形態の紐づけ情報の一例を示す概略図である。
例えば、母材情報管理部133は、
図4に示すように、母材(1)の母材情報BIと、切断加工装置10が母材(1)を切断加工して作った各部品Pに発行した識別子i(「ID601」、「ID724」及び「ID725」)とを紐づけて管理する。また、母材情報管理部133は、母材(2)の母材情報BIと、切断加工装置10が母材(2)を切断加工して作った各部品Pに発行した識別子i(「ID726」、「ID841」及び「ID842」)とを紐づけて管理する。
【0035】
さらに、母材情報管理部133は、母材(3)の母材情報BIと、切断加工装置10が母材(3)を切断加工して作った各部品Pに発行した識別子i(「ID727」、「ID843」及び「ID844」)とを紐づけて管理する。またさらに、母材情報管理部133は、母材(4)の母材情報BIと、切断加工装置10が母材(4)を切断加工して作った各部品Pに発行した識別子i(「ID602」、「ID603」及び「ID845」)とを紐づけて管理する。
【0036】
識別子管理部135は、切断加工装置10が各部品Pに発行した識別子iを管理する。また、識別子管理部135は、部品種別に関する情報PIと、部品種別に関する情報PIが共通する複数の部品Pの識別子iからなる識別子群Gとを紐づけて管理する。
【0037】
例えば、識別子管理部135は、
図4に示すように、切断加工装置10が母材(1)及び母材(4)を切断加工して作った「部品A」の部品種別に関する情報PIと、切断加工装置10が各「部品A」に発行した識別子i(「ID601」~「ID603」)からなる識別子群Gとを紐づけて管理する。また、識別子管理部135は、切断加工装置10が母材(1)~(3)を切断加工して作った「部品B」の部品種別に関する情報PIと、切断加工装置10が各「部品B」に発行した識別子i(「ID724」~「ID727」)からなる識別子群Gとを紐づけて管理する。さらに、識別子管理部135は、切断加工装置10が母材(2)~(4)を切断加工して作った「部品C」の部品種別に関する情報PIと、切断加工装置10が各「部品C」に発行した識別子i(「ID841」~「ID845」)からなる識別子群Gとを紐づけて管理する。
【0038】
また、識別子管理部135は、製品情報に含まれる部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gの中に製造支援端末200の後述する制御部230の識別子読込部233が読み込んだ識別子iがあるか否かを判定する識別子判定処理と、識別子判定処理で識別子iがあった場合、識別子iを製品情報に割り当てる割当処理とを実行可能に構成されている。
【0039】
さらに、識別子管理部135は、識別子判定処理で識別子iがあった場合であっても、その識別子iが既に割当済の場合、その識別子iを製品情報に割り当てないように構成されている。またさらに、識別子管理部135は、識別子判定処理の判定結果を製造支援端末200に送信可能に構成されている。
【0040】
図5は、本実施形態の部品の収集の一例を示す概略図である。
例えば、
図5に示すように、ユーザが二次加工で製品X、製品Y及び製品Zを組み立てるために製造支援端末200を使用して各製品を構成する部品Pを収集(ピッキング)するとする。なお、ユーザは、まず、製品Xに必要な部品Pを収集し、その後、製品Yに必要な部品Pを収集し、最後に製品Zに必要な部品Pを収集するものとして説明するが、この限りではない。
【0041】
ユーザが製品Xの製品情報(1)を選択し、識別子「ID602」が付された「部品A」の識別子iを含む情報を製造支援端末200の後述する識別子読取部250で読み取ると、製造支援端末200の制御部230の識別子読込部233が識別子「ID602」を読み込む。そして、識別子管理部135は、識別子「ID602」が製品Xの製品情報(1)に含まれる部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gにあるか否かを判定する。
【0042】
図6は、本実施形態の識別子の割当の一例を示す概略図である。
識別子「ID602」は、
図6に示すように、製品Xの製品情報(1)に含まれる「部品A」の部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gに含まれており、かつ識別子「ID602」は、未割当である。したがって、識別子管理部135は、識別子「ID602」を製品Xの製品情報(1)に割り当てる。
【0043】
同様に、ユーザが識別子「ID725」が付された「部品B」の識別子iを含む情報と、識別子「ID841」が付された「部品C」の識別子iを含む情報と、識別子「ID844」が付された「部品C」の識別子iを含む情報とを製造支援端末200の識別子読取部250で読み取ると、識別子管理部135は、識別子「ID725」、「ID841」及び「ID844」を製品Xの製品情報(1)に割り当てる。
【0044】
なお、製品Xを構成する部品Pを収集する段階では、全ての識別子iが未割当のため、ユーザは、上述した識別子i以外の識別子iが付された部品Pを収集することも可能である。例えば、ユーザは、識別子「ID602」が付された「部品A」の代わりに、識別子「ID601」又は「ID603」が付された「部品A」を収集してもよい。
【0045】
次に、ユーザが製品Yの製品情報(2)を選択し、識別子「ID601」が付された「部品A」の識別子iを含む情報を製造支援端末200の識別子読取部250で読み取ると、製造支援端末200の制御部230の識別子読込部233が識別子「ID601」を読み込む。そして、識別子管理部135は、識別子「ID601」が製品Yの製品情報(2)に含まれる部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gにあるか否かを判定する。
【0046】
図7は、本実施形態の識別子の割当の一例を示す概略図である。
識別子「ID601」は、
図7に示すように、製品Yの製品情報(2)に含まれる「部品A」の部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gに含まれており、かつ識別子「ID601」は、未割当である。したがって、識別子管理部135は、識別子「ID601」を製品Yの製品情報(2)に割り当てる。
【0047】
同様に、ユーザが識別子「ID603」が付された「部品A」の識別子iを含む情報と、識別子「ID842」が付された「部品C」の識別子iを含む情報と、識別子「ID843」が付された「部品C」の識別子iを含む情報とを製造支援端末200の識別子読取部250で読み取ると、識別子管理部135は、識別子「ID603」、「ID842」及び「ID843」を製品Yの製品情報(2)に割り当てる。
【0048】
ここで、製品Yに必要な部品Pを収集する際に、ユーザが誤って既に製品Xの製品情報(1)に割り当てられている識別子i(例えば、「ID602」等)を含む情報を製造支援端末200の識別子読取部250で読み取った場合を考える。この場合、識別子「ID602」は、製品Yの製品情報(2)に含まれる「部品A」の部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gに含まれているが、割当済の識別子iであるため、識別子管理部135は、識別子「ID602」を製品Yの製品情報(2)に割り当てない。
【0049】
最後に、ユーザが製品Zの製品情報(3)を選択し、識別子「ID724」が付された「部品B」の識別子iを含む情報を製造支援端末200の識別子読取部250で読み取ると、製造支援端末200の制御部230の識別子読込部233が識別子「ID724」を読み込む。そして、識別子管理部135は、識別子「ID724」が製品Zの製品情報(3)に含まれる部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gにあるか否かを判定する。
【0050】
図8は、本実施形態の識別子の割当の一例を示す概略図である。
識別子「ID724」は、
図8に示すように、製品Zの製品情報(3)に含まれる「部品B」の部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gに含まれており、かつ識別子「ID724」は、未割当である。したがって、識別子管理部135は、識別子「ID724」を製品Zの製品情報(3)に割り当てる。
【0051】
同様に、ユーザが識別子「ID726」が付された「部品B」の識別子iを含む情報と、識別子「ID727」が付された「部品B」の識別子iを含む情報と、識別子「ID845」が付された「部品C」の識別子iを含む情報とを製造支援端末200の識別子読取部250で読み取ると、識別子管理部135は、識別子「ID726」、「ID727」及び「ID845」を製品Zの製品情報(3)に割り当てる。
【0052】
一方で、製品Zに必要な部品Pを収集する際に、ユーザが誤って既に製品Xの製品情報(1)又は製品Yの製品情報(2)に割り当てられている識別子iを含む情報を製造支援端末200の識別子読取部250で読み取った場合、識別子管理部135は、その識別子iを製品Zの製品情報(3)に割り当てない。
【0053】
記憶部140は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有すると共に、様々なデータを読み書き可能に記憶する。記憶部140は、
図2に示すように、製品情報格納部141と、母材情報格納部143と、識別子格納部145と、紐づけ情報格納部147とを含む。また、記憶部140は、生産管理装置100の各部の制御に必要なプログラムを格納する。
【0054】
製品情報格納部141は、設計支援装置70から取り込んだ施工図データの製品情報を格納する。格納される製品情報は、製品を構成する構成部品の構成部品リストや、その製品を構成する部品の部品種別に関する情報PI、工程情報等を有する。母材情報格納部143は、切断加工装置10で加工する母材BMの母材情報BIを格納する。
【0055】
識別子格納部145は、切断加工装置10が各部品Pに発行した識別子iと、部品種別に関する情報PIが共通する複数の部品Pの識別子iからなる識別子群Gとを格納する。紐づけ情報格納部147は、部品Pの識別子iと、その部品Pの母材BMの母材情報BIとの紐づけ情報を格納する。また、紐づけ情報格納部147は、部品Pの識別子iの製品情報への割当情報を格納する。
【0056】
[製造支援端末の構成]
図9は、本実施形態の製造支援端末を示す機能ブロック図である。
製造支援端末200は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコン、タブレット端末等の電子計算機であり、
図9に示すように、入力部210と、表示部220と、制御部230と、記憶部240とを備える。また、製造支援端末200は、識別子iを含む情報を光学的に読み取る為の識別子読取部250を備える。さらに、製造支援端末200は、ネットワークを介して生産管理装置100と接続しており、製品情報の一覧等を閲覧可能に構成されている。なお、製造支援端末200は、部品Pの収集を支援する観点から、収集時に持ち運べるように可搬性を有する端末であることが好ましい。
【0057】
入力部210は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、ジョイスティック等の入力機器により構成されており、入力部210を操作することにより、製造支援端末200において通常必要とされる情報入力の機能に加え、例えば、製品情報の選択や識別子iの入力等の操作をすることができる。このような構成を備えることにより、製造支援端末200は、入力部210を介して手動により識別子iを入力し、識別子iを制御部230の後述する識別子読込部233に読み込ませることができる。
【0058】
図10は、本実施形態の製品情報選択画面の一例を示す概略図である。
図11及び
図12は、本実施形態の識別子読取画面の一例を示す概略図である。
表示部220は、表示装置としてのディスプレイを有しており、製造支援端末200において通常必要とされる画面表示の機能に加え、例えば、製品情報選択画面222や識別子読取画面224等を表示する。また、表示部220は、入力部210の機能を有するタッチパネルで構成され得る。表示部220がタッチパネルで構成された場合は、ユーザは、例えば表示部220を操作することにより、製品情報の選択や識別子iの入力等の各種の情報を製造支援端末200に対して入力可能となる。
【0059】
製品情報選択画面222は、
図10に示すように、製品情報一覧表示領域222aと、製品情報表示領域222bと、識別子読取アイコン222cとを備える。製品情報一覧表示領域222aは、制御部230の後述する製品情報取得部231が生産管理装置100から取得した製品情報の一覧を表示可能に構成されている。
【0060】
製品情報一覧表示領域22aには、各製品情報に含まれる一部の情報、例えば、製品名称や、二次加工の加工予定日等と、各製品情報の割当状態とが表示される。各製品情報の割当状態は、製品情報への識別子iの割当状態、ひいては、製品情報に係る製品を構成する部品Pの収集状況を示す。本実施形態において、割当状態は、「割当可」、「割当不可」、「割当中」及び「割当済」で示される。
【0061】
本実施形態において、「割当可」は、製品情報に係る製品を構成する全ての部品Pの一次加工が完了しており、全ての部品Pの識別子iを製品情報に割り当てられることを意味する。また、「割当不可」は、製品情報に製品を構成する一部又は全部の部品Pの一次加工が完了しておらず、まだ部品Pの識別子iを製品情報に割り当てられないことを意味する。「割当中」は、他のユーザが現在製品情報に係る製品を構成する部品Pを収集し、識別子iを製品情報に割り当てていることを意味する。「割当済」は、製品情報に係る製品を構成する部品Pの収集が完了し、既に識別子iが製品情報に割り当てられていることを意味する。
【0062】
製品情報表示領域222bは、製品情報一覧表示領域222aでユーザが選択した製品情報の詳細を表示可能に構成されている。また、製品情報表示領域222bは、構成部品リスト表示領域222dを含んでいる。構成部品リスト表示領域222dには、製品情報に係る製品を構成する部品Pの一覧が表示される。
【0063】
識別子読取アイコン222cは、このアイコンをクリック又はタップすることで、識別子読取画面224を表示可能に構成されている。また、製造支援端末200は、識別子読取アイコン222cがクリック又はタップされると、識別子読取部250が識別子iを含む情報を読み取り可能な状態になり、製品情報表示領域222bに表示されている製品情報に係る製品を構成する部品Pの収集が可能となる。
【0064】
識別子読取画面224は、
図11及び
図12に示すように、撮影範囲表示領域224aと、構成部品リスト表示領域224bと、判定結果表示領域224cとを備える。撮影範囲表示領域224aは、識別子読取部250の撮影範囲を表示可能に構成されている。すなわち、本実施形態において、撮影範囲表示領域224aは、撮影画面であり、二次元コード等の識別子iを含む情報を撮影するためのガイドラインが表示される。
【0065】
構成部品リスト表示領域224bは、部品Pを収集する製品の構成部品リスト224bを表示可能に構成されている。また、構成部品リスト表示領域224bは、個々の部品Pの収集状況(識別子iの割当状況)を表示可能に構成されている。判定結果表示領域224cは、生産管理装置100の制御部130の識別子管理部135の判定結果を表示可能に構成されている。
【0066】
なお、入力部210及び表示部220の構成は、上述した構成に限定されず、これら入力部210及び表示部220に代わり、同等の機能を有する構成であれば(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)、これに限定されるものではない。
【0067】
制御部230は、例えば、CPU及びGPUを有する統合型演算処理装置により構成される。制御部230は、製品情報取得部231と、識別子読込部233を備える。製品情報取得部231は、生産管理装置100の制御部130の製品情報管理部131が管理する製品情報を取得する製品情報取得可能に構成されている。
【0068】
識別子読込部233は、入力部210で入力された識別子i及び識別子読取部250で読み取られた識別子iを含む情報から識別子iを読み込み可能に構成されている。また、識別子読込部233は、読み込んだ識別子iがユーザが選択した製品情報に含まれる部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gの中にあるか否かを生産管理装置100に問い合わせる。
【0069】
記憶部240は、HDD、SSD等の記憶媒体を有すると共に、様々なデータを読み書き可能に記憶する。また、記憶部240は、生産管理装置100から取得した製品情報や、入力部210で入力された識別子i及び識別子読取部250で読み取られた識別子iを含む情報を格納する。さらに、記憶部240は、製造支援端末200の各部の制御に必要なプログラムを格納する。
【0070】
本実施形態において、識別子読取部250は、レンズ及びイメージセンサが1つずつ配されたカメラであるが、これに限定されない。識別子読取部250は、光学的に識別子iが付された情報を読み取り可能な構成であれば、例えば、CCD方式スキャナや、レーザ方式スキャナ等の種々の任意の構成を採用可能である。
【0071】
以上の構成を備える製造支援システム1は、製造支援端末200の制御部230の識別子読込部233が製品の製品情報に割り当てられた一の識別子iを読み込むことにより、生産管理装置100の製品情報管理部131が製品を構成する全ての部品Pに対して検品処理を実行可能に構成されている。本実施形態において、「検品処理」は、製品及び部品の出荷前の検品だけでなく、在庫状況を管理するための検品も意味する。
【0072】
例えば、出荷前の検品においては、二次加工後の組み立て済みの製品を出荷する際に、その製品を構成するいずれかの部品Pに付された識別子iを読み込むことで、他の構成部品も検品処理を実行することができる。例えば、
図5に示す製品Xの検品処理時に、部品Aの識別子「ID602」を読み込むことで、製品Xを構成する部品B(識別子「ID724」)、部品C(識別子「ID841」)及び部品C(識別子「ID844」)も検品処理を実行することができる。
【0073】
また、例えば、収集した複数の部品Pを組み立てずに梱包して出荷する場合の出荷前の検品や、部品Pの収集後、二次加工までに日数が空き、在庫状況を検品する場合においても、同様の処理を実行することができる。
【0074】
[本実施形態に係る製造支援方法]
次に、本実施形態に係る製造支援システム1による製造支援方法について説明する。本実施形態に係る製造支援方法は、概略的には、母材BMとなる材料を切断して個々の部品Pに加工する切断加工工程と、個々の部品Pにそれぞれ異なるユニークな識別子iを含む情報を付加する識別子付加工程とを備え、識別子iは、少なくとも部品Pの母材BMの母材情報BIと紐づけて管理されている。
【0075】
また、製造支援方法は、部品Pに付された識別子iを読み込む識別子読込工程と、製品情報に含まれる部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gの中に読み込んだ識別子iがあるか否かを判定する識別子判定工程と、識別子判定工程で識別子iがあった場合、識別子iを製品情報に割り当てる割当工程とを備える。
【0076】
図13は、本実施形態の製造支援方法の一例を示すフローチャートである。
本実施形態に係る一次加工での製造支援方法について
図13を参照して詳述する。まず、設計支援装置70は、設計図を基に建物の平面及び立体の施工図データを作成する(
図13のS1)。続いて、設計支援装置70は、作成した施工図データを基に母材BMから部品Pを切り出す加工プログラム等を作成する(
図13のS2)。
【0077】
次に、生産管理装置100は、設計支援装置70が作成した施工図データや加工プログラム等を取得する(
図13のS10)。そして、生産管理装置100は、取得したデータを基に製品の製作手配情報を作成する(
図13のS11)。その後、切断加工装置10は、生産管理装置100から製作手配情報に係る部品Pの加工プログラムを取得する。そして、取得した加工プログラムに従って母材BMを切断し、個々の部品Pに加工する(
図13のS20:切断加工工程)。
【0078】
また、切断加工装置10は、個々の部品Pにそれぞれ異なる識別子iを発行する(
図13のS21)。なお、切断加工装置10は、識別子iを切断加工前に発行してもよいし、切断加工中に発行してもよいし、切断加工後に発行してもよい。さらに、切断加工装置10は、加工開始時、加工中断時、及び加工完了時に加工実績を生産管理装置100に送信する(
図13のS22)。
【0079】
切断加工工程と同時に、又はその後、識別子付加装置30は、切断加工装置10が発行した識別子iを取得する。そして、識別子付加装置30は、切断加工が完了した部品Pに識別子iを含む情報を付加する(
図13のS30:識別子付加工程)。
【0080】
生産管理装置100の制御部130の母材情報管理部133は、切断加工装置10から取得した加工実績に基づいて、識別子iと、その識別子iが発行された部品Pの母材情報BIとを紐づける(
図13のS12:紐づけ工程)。また、生産管理装置100の制御部130の識別子管理部135は、部品Pの部品種別に関する情報PIと、部品種別に関する情報PIが共通する複数の部品Pの識別子iからなる識別子群Gとを紐づける。
【0081】
なお、紐づけ工程は、識別子付加工程よりも前に実行されてもよいし、識別子付加工程と同時に実行されてもよいし、識別子付加工程の後に実行されてもよい。
【0082】
図14は、本実施形態の製造支援方法の一例を示すフローチャートである。
本実施形態に係る二次加工での製造支援方法について
図14を参照して詳述する。なお、以下の説明では、二次加工における加工機等による製品の加工及び組立の説明は省略し、製品の加工及び組立に必要な部品Pの収集の支援についてのみ説明するものとする。また、本実施形態において、ユーザは、製造支援端末200の識別子読取部250に識別子iを含む情報を読み取らせるが、入力部210を介して識別子iを入力してもよい。
【0083】
まず、製造支援端末200の制御部230の製品情報取得部231は、生産管理装置100から製品情報を取得する(
図14のS110)。そして、製造支援端末200は、取得した製品情報の一覧を表示部220の製品情報選択画面222の製品情報一覧表示領域222aに表示する(
図14のS111)。ユーザは、製品情報選択画面222の製品情報一覧表示領域222aから部品Pを収集する製品情報を選択する(
図14のS120)。
【0084】
その後、製造支援端末200の表示部220の製品情報選択画面222の製品情報表示領域222bには、ユーザが選択した製品情報の詳細が表示される。ユーザは、製品情報表示領域222bで製品情報の詳細を確認し、部品の収集を開始する。表示部220は、製品情報選択画面222の識別子読取アイコン222cをユーザがクリック又はタップすることで、識別子読取画面224が表示される。また、製造支援端末200は、識別子読取画面224を表示すると共に、識別子読取部250が識別子iを含む情報を読み取り可能な状態になる。
【0085】
ユーザは、製造支援端末200の表示部220の識別子読取画面224の撮影範囲表示領域224aを見ながらで部品Pに付された識別子iを含む情報を識別子読取部250に読み取らせ、部品を収集する(
図14のS121)。なお、ユーザは、個々の部品Pを収集する度に、部品Pに付された識別子iを含む情報を識別子読取部250に読み取らせてもよいし、複数の部品Pを収集した後に、各部品Pに付された識別子iを含む情報を識別子読取部250に読み取らせてもよい。
【0086】
製造支援端末200の制御部230の識別子読込部233は、識別子読取部250が読み取った識別子iを含む情報から識別子iを読み込む(
図14のS112:識別子読込工程)。また、識別子読込部233は、読み込んだ識別子iが、ユーザが選択した製品情報に含まれる部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gの中にあるか否かを生産管理装置100に問い合わせる(
図14のS113)。
【0087】
生産管理装置100の制御部130の識別子管理部135は、問い合わせられた識別子iが、ユーザが選択した製品情報に含まれる部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gの中にあるか否かを判定する(
図14のS100:識別子判定工程)。問い合わせられた識別子iが識別子群Gの中にある場合(
図14のS100にてYES)、識別子管理部135は、その識別子iを識別子群Gと紐づけられた部品種別に関する情報PIを含む製品情報に割り当てる(
図14のS101:割当工程)。
【0088】
その後、識別子管理部135は、判定結果を製造支援端末200に返却する(
図14のS102)。この場合の判定結果は、例えば、「OK」や、「〇」、「割当可能」、「割当完了」等として返される。
【0089】
なお、問い合わせられた識別子iが識別子群Gの中にあっても、既にその識別子iが割当済の場合、識別子管理部135は、その識別子iを割り当てずに判定結果を製造支援端末200に返却する(
図14のS102)。この場合の判定結果は、例えば、「NG」や、「×」、「割当済」、「割当不可」等として返される。
【0090】
一方で、問い合わせられた識別子iが識別子群Gの中にない場合(
図14のS100にてNO)、識別子管理部135は、識別子iを割り当てずに判定結果を製造支援端末200に返却する(
図14のS102)。この場合の判定結果は、例えば、「NG」や、「×」、「該当なし」、「割当不可」等として返される。
【0091】
判定結果の返却後、製造支援端末200の表示部220の識別子読取画面224の判定結果表示領域224cには、
図11及び
図12に示すように、生産管理装置100から返却された判定結果が表示される(
図14のS114)。以上の工程により、本実施形態に係る製造支援システム1による一連の製造支援方法が実行される。
【0092】
なお、本実施形態において、上述した
図14のS112からS114までの一連の工程は、識別子iを含む情報を読み取る毎に実行されるが、これに限定されない。例えば、複数の部品Pを収集した後に、各部品Pに付された識別子iを含む情報を識別子読取部250に読み取らせる場合、識別子iを纏めて読み込み、読み込んだ全ての識別子iについて判定を行った後に、判定結果を製造支援端末200の表示部220の識別子読取画面224に一括表示してもよい。
【0093】
[本実施形態に係る製造支援システム及び製造支援方法の利点]
以上説明したように、本実施形態に係る製造支援システム1は、母材BMとなる材料を切断して個々の部品Pに加工する切断加工装置10と、個々の部品Pにそれぞれ異なるユニークな識別子iを含む情報を付加する識別子付加部(識別子付加装置30)とを備え、識別子iは、少なくとも部品Pの母材BMの母材情報BIと紐づけて管理されている。
【0094】
そして、本実施形態に係る製造支援システム1は、このような構成を備えることにより、個々の部品Pに付される識別子iと、部品Pの母材BMの母材情報BIとを紐づけて管理するため、部品Pの追跡可能性を向上できるという利点を有している。例えば、母材BMのリコール等が発生した場合に、その母材BMを切断加工して作られた部品Pを特定することができる。
【0095】
また、本実施形態に係る製造支援システム1において、母材BMは、鋼材であり、母材情報BIは、母材BMの鋼材検査証明書を含む。このような構成を備えることにより、母材BMの詳細な情報を識別子i、ひいては、部品Pと紐づけることができるという利点を有している。また、母材情報BIが鋼材検査証明書を含むことで、様々な母材BMの情報の入力の工数を削減できるという利点を有している。
【0096】
さらに、本実施形態に係る製造支援システム1において、識別子iを含む情報は、一次元コード又は二次元コードとして付加される。このような構成を備えることにより、部品Pに付された識別子iを検索する際に、識別子iを手入力する必要がなくなり、入力間違えや検索にかかる時間を減らすことができるという利点を有している。また、識別子iを目視確認可能な大きさで付加する必要がないため、識別子iを含む情報を部品Pの外観に影響を与えないように付加できるという利点を有している。
【0097】
またさらに、本実施形態に係る製造支援システム1は、識別子iと、部品Pの部品種別に関する情報PIとを格納する記憶部140を備え、部品種別に関する情報PIと、部品種別に関する情報PIが共通する複数の部品Pの識別子iからなる識別子群Gとを紐づけて管理するよう構成されている。このような構成を備えることにより、部品種別に関する情報PIが共通する複数の部品Pに付された識別子iをまとめて管理することができるという利点を有している。
【0098】
また、本実施形態に係る製造支援システム1は、識別子iを読み込み可能な識別子読込部233を備え、記憶部140は、一又は複数の部品Pで構成される製品の製品情報を更に格納しており、製品情報は、製品を構成する部品Pの部品種別に関する情報PIを含み、製品情報の部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gの中に識別子読込部233が読み込んだ識別子iがあるか否かを判定する識別子判定処理と、識別子判定処理で識別子iがあった場合、識別子iを製品情報に割り当てる割当処理とを実行可能に構成されている。このような構成を備えることにより、複数の製品の構成部品として使用可能な部品Pがどの製品に使用されても、その部品Pの識別子iが製品情報に割り当てられるため、製品に使用されている部品Pの母材情報BMまで追跡することができるという利点を有している。
【0099】
さらに、本実施形態に係る製造支援システム1は、製品の製品情報に割り当てられた一の識別子iを読み込むことにより、製品を構成する全ての部品Pに対して検品処理を実行可能に構成されている。このような構成を備えることにより、検品処理のミスや工数を減らすことができるという利点を有している。
【0100】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0101】
例えば、上述した実施形態において、母材BMは、鋼材であり、母材情報BIは、母材BMの鋼材検査証明書を含むものとして説明したが、これに限定されない。母材BMは、鋼材以外の種々の任意の材料を採用可能である。また、母材情報BIは、鋼材検査証明書を含まなくてもよい。母材情報BIは、母材BMを特定可能な情報を含むものであれば、種々の任意の構成を採用可能である。
【0102】
上述した実施形態において、識別子iを含む情報は、一次元コード又は二次元コードとして付加されるものとして説明したが、これに限定されない。識別子iを含む情報は、識別子iを目視で視認可能な状態で付加されてもよいし、磁気情報として付加されてもよいしICタグやRFIDタグ等の非接触通信タグとして付加されてもよい。
【0103】
上述した実施形態において、製造支援システム1は、識別子iと、部品Pの部品種別に関する情報PIとを格納する記憶部140を備え、部品種別に関する情報PIと、部品種別に関する情報PIが共通する複数の部品Pの識別子iからなる識別子群Gとを紐づけて管理するよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。製造支援システム1は、部品種別に関する情報PIと識別子群Gとを紐づけて管理しなくてもよい。
【0104】
上述した実施形態において、製造支援システム1は、識別子iを読み込み可能な識別子読込部233を備え、記憶部140は、一又は複数の部品Pで構成される製品の製品情報を更に格納しており、製品情報は、製品を構成する部品Pの部品種別に関する情報PIを含み、製品情報の部品種別に関する情報PIと紐づけられた識別子群Gの中に識別子読込部233が読み込んだ識別子iがあるか否かを判定する識別子判定処理と、識別子判定処理で識別子iがあった場合、識別子iを製品情報に割り当てる割当処理とを実行可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。製造支援システム1は、識別子判定処理及び割当処理を実行できなくてもよい。また、製造支援端末200は、識別子読取部233を含むものとして説明したが、これに限定されず、生産管理装置100が識別子読取部を含んでもよい。
【0105】
上述した実施形態において、製造支援システム1は、製品の製品情報に割り当てられた一の識別子iを読み込むことにより、製品を構成する全ての部品Pに対して検品処理を実行可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。製造支援システム1は、製品の製品情報に割り当てられた一の識別子iを読み込むことにより、製品を構成する全ての部品Pに対して検品処理を実行できなくてもよい。
【0106】
上述した実施形態において、生産管理装置100の記憶部140は、製品情報格納部141と、母材情報格納部143と、識別子格納部145と、紐づけ情報格納部147とを含むものとして説明したが、これに限定されない。製造支援システム1は、サーバを更に備え、生産管理装置100の記憶部140の代わりに、サーバの記憶部が製品情報格納部と、母材情報格納部と、識別子格納部と、紐づけ情報格納部とを含んでもよい。
【0107】
上述した実施形態において、生産管理装置100は、識別子読取部を備えないことを前提として説明したが、これに限定されず、生産管理装置100は、識別子読取部を更に備えてもよい。
【0108】
上述した実施形態において、製造支援システム1は、切断加工装置10と、識別子付加装置30と、生産管理装置100と、設計支援装置70とを備えるものとして説明したが、これに限定されず、上述の装置の一部又は全部が一体となって構成されてもよい。また、製造支援システム1は、製造支援端末200を備えるものとして説明したが、これに限定されず、製造支援端末200を備えなくてもよい。
【0109】
上述した実施形態において、製造支援端末200は、識別子iを含む情報を光学的に読み取る為の識別子読取部250を備えるものとして説明したが、これに限定されない。製造支援端末200は、識別子iを含む情報が、一次元コード又は二次元コードとして付加されない場合、識別子読取部250を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 製造支援システム
10 切断加工装置
30 識別子付加装置
70 設計支援装置
100 生産管理装置
110 入力部
120 表示部
130 制御部
131 製品情報管理部
133 母材情報管理部
135 識別子管理部
140 記憶部
141 製品情報格納部
143 母材情報格納部
145 識別子格納部
200 製造支援端末
210 入力部
220 表示部
222 製品情報選択画面
222a 製品情報一覧表示領域
222b 製品情報表示領域
222c 識別子読取アイコン
222d 構成部品リスト表示領域
224 識別子読取画面
224a 撮影範囲表示領域
224b 構成部品リスト表示領域
224c 判定結果表示領域
230 制御部
231 製品情報取得部
233 識別子読込部
240 記憶部
250 識別子読取部
AP アクセスポイント
BI 母材情報
BM 母材
G 識別子群
i 識別子
P 部品
PI 部品種別に関する情報