(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040799
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】通過人数計測装置
(51)【国際特許分類】
G01V 8/10 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
G01V8/10 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145385
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000210403
【氏名又は名称】竹中エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】竹内 厳宗
(72)【発明者】
【氏名】若林 航佑
(72)【発明者】
【氏名】細見 直仁
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB16
2G105BB17
2G105CC04
2G105EE06
2G105HH01
(57)【要約】
【課題】検知エリアが適切に設定されているか否かを容易に確認することが可能な通過人数計測装置を提供する。
【解決手段】通過人数計測装置10Aは、所定の時間が経過する毎に検知エリアAに関するエリア画像を生成するエリア画像生成部11A,12,21と、制御モードに従って鳴動部14を制御するエリア画像分析部22とを備える。エリア画像分析部22は、(1)制御モードが第1動作確認モードであるときは、エリア画像が第1分割エリアに人が存在することを示したときと第2分割エリアに人が存在することを示したときとで鳴動部14の鳴動状態を変化させ、(2)制御モードが第2動作確認モードであるときは、エリア画像が第1分割エリアから第2分割エリアに向かう方向に人が通過したことを示したときと第2分割エリアから第1分割エリアに向かう方向に人が通過したことを示したときとで鳴動部14の鳴動状態を変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検知エリアを通過した人の数を計測する通過人数計測装置であって、
所定の時間が経過する毎に前記検知エリアに関するエリア画像を生成するエリア画像生成部と、
鳴動部と、
前記エリア画像を分析した結果に基づいて、予め用意された複数の制御モードのいずれかに従って前記鳴動部を制御するエリア画像分析部と
を備え、
前記エリア画像分析部は、
(1)前記制御モードが第1動作確認モードに設定されているときは、前記検知エリアを構成する第1分割エリアおよび第2分割エリアのうち、前記第1分割エリアに前記人が存在していることを前記エリア画像が示したときと前記第2分割エリアに前記人が存在していることを前記エリア画像が示したときとで前記鳴動部の鳴動状態を変化させ、
(2)前記制御モードが第2動作確認モードに設定されているときは、前記人が前記第1分割エリアから前記第2分割エリアに向かう方向に前記検知エリアを通過したこと、または通過しようとしていることを前記エリア画像が示したときと前記人が前記第2分割エリアから前記第1分割エリアに向かう方向に前記検知エリアを通過したこと、または通過しようとしていることを前記エリア画像が示したときとで前記鳴動部の鳴動状態を変化させる
ことを特徴とする通過人数計測装置。
【請求項2】
発光部をさらに備え、
前記エリア画像分析部は、
(1)前記制御モードが前記第1動作確認モードに設定されているときは、前記第1分割エリアに前記人が存在していることを前記エリア画像が示したときと前記第2分割エリアに前記人が存在していることを前記エリア画像が示したときとで前記鳴動部の鳴動状態および前記発光部の発光状態の両方を変化させ、
(2)前記制御モードが前記第2動作確認モードに設定されているときは、前記人が前記第1分割エリアから前記第2分割エリアに向かう方向に前記検知エリアを通過したこと、または通過しようとしていることを前記エリア画像が示したときと前記人が前記第2分割エリアから前記第1分割エリアに向かう方向に前記検知エリアを通過したこと、または通過しようとしていることを前記エリア画像が示したときとで前記鳴動部の鳴動状態および前記発光部の発光状態の両方を変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の通過人数計測装置。
【請求項3】
ユーザのモード切替操作を受け付けるモード切替手段をさらに備え、
前記制御モードは、前記エリア画像分析部が起動したときに前記第1動作確認モードに設定され、その後、前記モード切替手段が前記モード切替操作を受け付けたときに前記第2動作確認モードに設定される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通過人数計測装置。
【請求項4】
前記エリア画像は、前記所定の時間が経過する毎に生成される熱画像である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通過人数計測装置。
【請求項5】
前記エリア画像は、ある時刻に生成された熱画像および当該時刻から前記所定の時間が経過した後に生成された熱画像の差画像である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通過人数測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種施設や各種乗物の出入口付近等に設けられた検知エリアを通過した人の数を計測する通過人数計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の入退室監視装置が知られている。この監視装置は、出入口の上方に設けられた一対の熱感知センサ(室外側サーモパイルセンサおよび室内側サーモパイルセンサ)と、各センサの出力信号の差分を増幅する増幅器と、増幅器の出力信号に基づいて人の動きを判別するCPU処理部とを備えている。この監視装置によれば、人の入室および退室だけでなく、入室しようとした人が入室することなくUターンしたことや、退室しようとした人が退室することなくUターンしたことも判別することができる。しかしながら、この監視装置は、複数の人が同時に入室または退室をした場合に、その人数を正確に特定することはできない。入室と退室とが同時に起こった場合についても同様である。
【0003】
この問題を解決するために、出入口付近に設けられた検知エリアに関する熱画像を一定時間毎に生成する熱画像センサと、生成された熱画像を分析することにより検知エリアにおける人の動きを特定する画像分析部とを備えたタイプの監視装置が提案されている。この監視装置によれば、検知エリアを通過した人の通過方向と通過人数を特定することができる。例えば、この監視装置によれば、出入口から2人が入って来るとともに、出入口から3人が出て行ったことを特定することができる。
【0004】
ところで、熱画像を用いるタイプの監視装置では、設置直後(すなわち、運用開始前)に検知エリアが適切に設定されているか否かの確認をすることになっている。この確認は、例えば、天井に設置された監視装置とノート型PCのような端末とをケーブルで接続し、端末の画面で監視装置の動作状態をリアルタイムで見ることにより行われるが、これは設置作業者にとって非常に面倒なものであった。動作状態に応じて発光状態が変化するLED等の発光部を監視装置が備えている場合は、ノート型PCのような端末をわざわざ用意する必要はない。しかしながら、この場合は、天井側にある発光部を注視しながら設置作業者が検知エリアに対する出入りを繰り返すことになり、安全上の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検知エリアが適切に設定されているか否かを容易に確認することが可能な通過人数計測装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る通過人数計測装置は、所定の検知エリアを通過した人の数を計測する装置であって、所定の時間が経過する毎に検知エリアに関するエリア画像を生成するエリア画像生成部と、鳴動部と、エリア画像を分析した結果に基づいて、予め用意された複数の制御モードのいずれかに従って鳴動部を制御するエリア画像分析部とを備え、エリア画像分析部は、(1)制御モードが第1動作確認モードに設定されているときは、検知エリアを構成する第1分割エリアおよび第2分割エリアのうち、第1分割エリアに人が存在していることをエリア画像が示したときと第2分割エリアに人が存在していることをエリア画像が示したときとで鳴動部の鳴動状態を変化させ、(2)制御モードが第2動作確認モードに設定されているときは、人が第1分割エリアから第2分割エリアに向かう方向に検知エリアを通過したこと、または通過しようとしていることをエリア画像が示したときと人が第2分割エリアから第1分割エリアに向かう方向に検知エリアを通過したこと、または通過しようとしていることをエリア画像が示したときとで鳴動部の鳴動状態を変化させる、との構成を有している。
【0008】
上記通過人数計測装置は、発光部をさらに備えていてもよい。この場合、エリア画像分析部は、(1)制御モードが第1動作確認モードに設定されているときは、第1分割エリアに人が存在していることをエリア画像が示したときと第2分割エリアに人が存在していることをエリア画像が示したときとで鳴動部の鳴動状態および発光部の発光状態の両方を変化させ、(2)制御モードが第2動作確認モードに設定されているときは、人が第1分割エリアから第2分割エリアに向かう方向に検知エリアを通過したこと、または通過しようとしていることをエリア画像が示したときと人が第2分割エリアから第1分割エリアに向かう方向に検知エリアを通過したこと、または通過しようとしていることをエリア画像が示したときとで鳴動部の鳴動状態および発光部の発光状態の両方を変化させる、との構成を有していることが好ましい。
【0009】
上記通過人数計測装置は、ユーザのモード切替操作を受け付けるモード切替手段をさらに備え、制御モードは、エリア画像分析部が起動したときに第1動作確認モードに設定され、その後、モード切替手段がモード切替操作を受け付けたときに第2動作確認モードに設定される、との構成を有していてもよい。
【0010】
上記エリア画像の一例は、所定の時間が経過する毎に生成される熱画像である。
【0011】
上記エリア画像の別の一例は、ある時刻に生成された熱画像および当該時刻から所定の時間が経過した後に生成された熱画像の差画像である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検知エリアが適切に設定されているか否かを容易に確認することが可能な通過人数計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施例に係る通過人数計測装置のブロック図である。
【
図2】第1実施例に係る通過人数計測装置を構成する筐体の模式図である。
【
図3】第1実施例における検知エリアと分割エリアの関係を示す図である。
【
図4】制御モードが第1動作確認モードに設定されているときの、第1実施例に係る通過人数計測装置を構成するエリア画像分析部(制御部)の制御を示す図である。
【
図5】制御モードが第2動作確認モードに設定されているときの、第1実施例に係る通過人数計測装置を構成するエリア画像分析部(制御部)の制御を示す図である。
【
図6】第1実施例に係る通過人数計測装置を構成するエリア画像分析部(制御部)の動作フロー図である。
【
図7】本発明の第2実施例に係る通過人数計測装置のブロック図である。
【
図8】本発明の変形例における検知エリアと分割エリアの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る通過人数計測装置の実施例について説明する。
【0015】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係る通過人数計測装置10Aを示す。通過人数計測装置10Aは、商業施設の出入口付近の床200に設けられた検知エリアAをM1方向に通過する歩行者W1の数とM2方向に通過する歩行者W2の数とを計測するためのもので、同図に示すように、熱画像生成部11Aと、記憶部12と、制御部20Aと、モード切替スイッチ13と、鳴動部14と、発光部15と、設定部16と、外部インタフェース部17と、これらを収容する筐体とを備えている。
【0016】
筐体は、
図2に示すように、筐体主要部18と、これに対して着脱自在なカバー部19とを含んでいる。筐体主要部18にカバー部19を装着すると、筐体主要部18側に設けられた熱画像生成部11A、記憶部12、制御部20A、モード切替スイッチ13、鳴動部14、発光部15、設定部16および外部インタフェース部17のうち、熱画像生成部11Aを除く部分が覆い隠される。
【0017】
通過人数計測装置10Aは、熱画像生成部11Aが検知エリアAを向くように、天井100に取り付けて使用される。本実施例では、取り付け高さHが4mである。
【0018】
図3に示すように、本実施例の検知エリアAは、想定される通過方向M1,M2に直交する辺の長さが4m、通過方向M1,M2に平行な辺の長さが3mの長方形である。取り付け高さHが変化すると、これに応じて検知エリアAの大きさも変化する。また、検知エリアAは、通過方向M1,M2に隣接する2つの同じ大きさの分割エリア(第1分割エリアA1および第2分割エリアA2)で構成されている。取り付け高さHが変化すると、当然ながら各分割エリアA1,A2の大きさも変化する。
【0019】
熱画像生成部11Aは、二次元の熱画像センサで構成されている。熱画像生成部11Aは、検知エリアA(床200)または当該エリアA内にいる歩行者W1,W2から放射される遠赤外線を検出し、検出結果に対応した60画素×45画素の熱画像(より正確には、熱画像に関するデータ)を生成する。熱画像の生成は、1/10s毎に行われる。生成された熱画像は、順次記憶部12に送られる。
【0020】
記憶部12は、揮発性または不揮発性のメモリで構成されている。記憶部12は、熱画像生成部11Aから1/10s毎に送られてきた熱画像のうち、少なくとも最新のものとその1つ前のものとを格納している。言い換えると、記憶部12には、最後に生成された熱画像(以下、「第2熱画像」という)と、その1/10s前に生成された熱画像(以下、「第1熱画像」という)とが格納されている。
【0021】
制御部20Aは、マイクロプロセッサ(MPU)と当該プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムとで構成されている。本実施例では、コンピュータプログラムの実行により、差画像生成部21およびエリア画像分析部22が制御部20A内に形成されている。
【0022】
差画像生成部21は、記憶部12に格納された第1熱画像および第2熱画像に基づいて、60画素×45画素の差画像(より正確には、差画像に関するデータ)を生成する。例えば、差画像生成部21は、第2熱画像を構成する座標(0,0)の画素が示す温度から第1熱画像を構成する座標(0,0)の画素が示す温度を引くことにより、差画像を構成する座標(0,0)の画素が示すべき温度変化を求める。差画像は、1/10sの間にどのような温度変化があったのかを示しているといえる。
【0023】
本実施例では、差画像生成部21によって生成された差画像が「エリア画像」となる。このため、本実施例では、熱画像生成部11A、記憶部12および差画像生成部21が「エリア画像生成部」を構成しているといえる。
【0024】
エリア画像分析部22は、エリア画像(差画像)を分析した結果に基づいて、予め用意された複数の制御モードのいずれかに従って鳴動部14および発光部15を制御する。
【0025】
より詳しくは、エリア画像分析部22は、(1)制御モードが第1動作確認モードに設定されているときは、第1分割エリアA1に歩行者Wが存在していることをエリア画像が示したときと第2分割エリアA2に歩行者Wが存在していることをエリア画像が示したときとで鳴動部14の鳴動状態および発光部15の発光状態の両方を変化させ、(2)制御モードが第2動作確認モードに設定されているときは、歩行者Wが第1分割エリアA1から第2分割エリアA2に向かう方向(M1)に検知エリアAを通過したこと、または通過しようとしていることをエリア画像が示したときと歩行者Wが第2分割エリアA2から第1分割エリアA1に向かう方向(M2)に検知エリアAを通過したこと、または通過しようとしていることをエリア画像が示したときとで鳴動部14の鳴動状態および発光部15の発光状態の両方を変化させる。
【0026】
エリア画像分析部22は、(3)制御モードが通常運用モードに設定されているときも、歩行者Wが第1分割エリアA1から第2分割エリアA2に向かう方向に検知エリアAを通過したこと、または通過しようとしていることをエリア画像が示したときと歩行者Wが第2分割エリアA2から第1分割エリアA1に向かう方向に検知エリアAを通過したこと、または通過しようとしていることをエリア画像が示したときとで鳴動部14の鳴動状態および発光部15の発光状態の両方を変化させる。
【0027】
また、エリア画像分析部22は、制御モードが通常運用モードに設定されているときに、エリア画像に基づいて歩行者Wが第1分割エリアA1から第2分割エリアA2に向かう方向に検知エリアAを通過したこと検出した回数(または通過しようとしていることを検出した回数)、およびエリア画像に基づいて歩行者Wが第2分割エリアA2から第1分割エリアA1に向かう方向に検知エリアAを通過したこと検出した回数(または通過しようとしていることを検出した回数)を数える。言い換えると、エリア画像分析部22は、制御モードが通常運用モードに設定されているときに、検知エリアAをM1方向に通過した歩行者W1の数とM2方向に通過した歩行者W2の数をそれぞれ計測する。
【0028】
モード切替スイッチ13は、押し込み式のスイッチで構成されている。モード切替スイッチ13は、筐体主要部18にカバー部19が装着されると押し込まれ、装着前とは異なった信号を出力する。
【0029】
鳴動部14は、ブザーまたはスピーカーで構成されている。鳴動部14は、エリア画像分析部22の制御下でブザー音を出力することにより、周辺にいる者に通過人数計測装置10Aの動作状態等を知らせることができる。
【0030】
発光部15は、緑色および赤色で発光可能な発光ダイオードで構成されている。発光部15は、エリア画像分析部22の制御下で発光することにより、周辺にいる者に通過人数計測装置10Aの動作状態等を知らせることができる。発光部15は、熱画像生成部11Aを検知エリアAに向けたときに、検知エリアAを向く(すなわち、検知エリアAから視認され得る)ことが好ましい。
【0031】
外部インタフェース部17は、適当な外部機器に接続されている。外部インタフェース部17は、エリア画像分析部22による計測の結果を予め定めたタイミングおよび形式で当該外部機器に送信することができる。
【0032】
設定部16は、複数のディップスイッチで構成されている。ユーザ(例えば、設置作業者。以下同様)は、設定部16を介して、鳴動部14、発光部15および外部インタフェース部17のオン/オフを個別に切り替えることができる。また、ユーザは、設定部16を介して、検知エリアAを構成する分割エリアの数、各分割エリアの形状・大きさ、および検知エリアA自体の形状・大きさ等を変更することもできる。
【0033】
図4を参照しながら、前述の第1動作確認モードについて具体的に説明する。
【0034】
・第1分割エリアA1にのみ歩行者Wがいる場合:
この場合は、制御部20A(エリア画像分析部22)の制御下で、鳴動部14が高いブザー音を出力し続けるとともに、発光部15が赤色に発光し続ける(
図4(A)参照)。
【0035】
・第2分割エリアA2にのみ歩行者Wがいる場合:
この場合は、制御部20Aの制御下で、鳴動部14が低いブザー音を出力し続けるとともに、発光部15が緑色に発光し続ける(
図4(B)参照)。
【0036】
・第1分割エリアA1および第2分割エリアA2の両方に歩行者Wがいる場合:
この場合は、制御部20Aの制御下で、鳴動部14が約0.2秒の短い周期で低いブザー音と高いブザー音を交互に出力するとともに、発光部15が約0.2秒の短い周期で赤色と緑色とに交互に発光する(
図4(C)参照)。
【0037】
・第1分割エリアA1および第2分割エリアA2の境界線上に歩行者Wがいる場合:
この場合も、制御部20Aの制御下で、鳴動部14が約0.2秒の短い周期で低いブザー音と高いブザー音を交互に出力するとともに、発光部15が約0.2秒の短い周期で赤色と緑色とに交互に発光する(
図4(D)参照)。
【0038】
次に、
図5を参照しながら、前述の第2動作確認モードについて具体的に説明する。
【0039】
・歩行者Wが第1分割エリアA1から第2分割エリアA2に向かう方向に検知エリアAを通過したか、通過しようとしている場合:
この場合は、制御部20Aの制御下で、鳴動部14が高いブザー音を約0.2秒間だけ出力するとともに、発光部15が赤色に約0.2秒間だけ発光する(
図5(A)参照)。
【0040】
・歩行者Wが第2分割エリアA2から第1分割エリアA1に向かう方向に検知エリアAを通過したか、通過しようとしている場合:
この場合は、制御部20Aの制御下で、鳴動部14が低いブザー音を約0.2秒間だけ出力するとともに、発光部15が緑色に約0.2秒間だけ発光する(
図5(B)参照)。
【0041】
通常運用モードにおける鳴動部14および発光部15の制御は、第2動作確認モードにおけるこれらの制御と基本的には同一である。ただし、第2動作確認モードでは、ユーザによる鳴動部14および発光部15のオン/オフにかかわらず鳴動部14および発光部15が作動するのに対し、通常運用モードでは、ユーザが鳴動部14および発光部15をオフさせた場合は鳴動部14および発光部15は作動しない。
【0042】
図6は、エリア画像分析部22の動作フロー図である。このフローは、カバー部19が装着されていない状態の通過人数計測装置10Aが天井100に取り付けられ、電源ケーブル等の接続(電源投入)がなされるとスタートする。
【0043】
ステップS1では、エリア画像分析部22が、第1動作確認モードで鳴動部14および発光部15の制御を開始する。なお、制御モードは、エリア画像分析部22が起動したとき、すなわち、前述の電源投入によって制御部20Aを構成するマイクロプロセッサが起動し、コンピュータプログラムが実行されたときに自動的に第1動作確認モードに設定される。
【0044】
ステップS2において制御モードが第2動作確認モードに設定されたとの判定がなされるまで、エリア画像分析部22は、鳴動部14および発光部15を第1動作確認モード(
図4参照)で制御し続ける。この間、ユーザは、検知エリアAが設定されているはずのエリアを歩き回りながら、鳴動部14の鳴動状態および発光部15の発光状態に基づいて検知エリアAが適切に設定されていることを確認することができる。そして、ユーザは、検知エリアAが適切ではなかった場合に、設定部16により検知エリアAの範囲を調整することができる。
【0045】
検知エリアAの範囲が適切であることを確認し終えたユーザが設置済みの筐体主要部18にカバー部19を装着すると、モード切替スイッチ13が押し込まれ、これまでとは異なる信号がモード切替スイッチ13から制御部20Aに出力されるようになる。そして、これにより、制御モードが第2動作確認モードに設定される。つまり、ユーザは、検知エリアAの範囲の確認の後に当然に行うべきカバー部19の装着を行うだけで、制御モードを第1動作確認モードから第2動作確認モードへと切り替え、通過人数の計測が正しく行われていることの確認を開始することができる。
【0046】
ステップS3では、エリア画像分析部22が第2動作確認モードで鳴動部14および発光部15の制御を開始する。
【0047】
ステップS3の直後に実行されるステップS4では、エリア画像分析部22が経過時間の計測を開始する。
【0048】
エリア画像分析部22は、ステップS5において経過時間が予め設定された閾値時間(例えば、5分)以上になったとの判定がなされるまで、鳴動部14および発光部15を第2動作確認モード(
図5参照)で制御し続ける。この間、ユーザは、検知エリアAをM1方向またはM2方向に何度も通過しながら、鳴動部14の鳴動状態および発光部15の発光状態に基づいて通過人数の計測が正しく行われていることを確認することができる。
【0049】
経過時間が閾値時間以上になると、制御モードが自動的に通常運用モードに設定される。これ以降、エリア画像分析部22は、通常運用モードで鳴動部14および発光部15を制御する(ステップS6参照)。
【0050】
このように、第1実施例に係る通過人数計測装置10Aでは、光と音の両方によって動作状態がユーザに知らされる。このため、通過人数計測装置10Aによれば、ユーザは、天井を注視することなく、検知エリアAが適切に設定されているか否かを確認することができる。
【0051】
[第2実施例]
図7に、本発明の第2実施例に係る通過人数計測装置10Bを示す。通過人数計測装置10Bは、熱画像生成部11Aの代わりに熱画像生成部11Bを備えている点と、制御部20Aの代わりに制御部20Bを備えている点と、記憶部12を備えていない点とにおいて通過人数計測装置10Aと相違しているが、他の点においては通過人数計測装置10Aと共通している。
【0052】
熱画像生成部11Bは、予め定めた時間(例えば、1/10s)の間に生じた検知エリアAの熱変化に関する画像、すなわち、第1実施例の差画像に相当する画像を生成することができるタイプの二次元の熱画像センサで構成されている。
【0053】
制御部20Bは、制御部20Aと同様、マイクロプロセッサと当該プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムとで構成されている。本実施例では、コンピュータプログラムの実行により、エリア画像分析部22が制御部20B内に形成されている。
【0054】
本実施例では、熱画像生成部11Bによって生成された画像が「エリア画像」となる。このため、本実施例では、熱画像生成部11Bが「エリア画像生成部」を構成しているといえる。
【0055】
第2実施例に係る通過人数計測装置10Bによれば、第1実施例に係る通過人数計測装置10Aと同じ作用効果が得られる。
【0056】
[変形例]
以上、本発明に係る通過人数計測装置の第1実施例および第2実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれらに限定されるものではない。
【0057】
例えば、通過人数計測装置10A,10Bは、商業施設以外の各種施設や各種乗物の出入口付近等に設けられた検知エリアAを通過する人を計測してもよい。
【0058】
また、通過人数計測装置10A,10Bの取り付け場所は、壁面であってもよい。
【0059】
また、通過人数計測装置10A,10Bの「エリア画像生成部」は、熱画像生成部11Aのみで構成されていてもよいし、距離画像センサのような他の方式のセンサで構成されていてもよい。
【0060】
また、通過人数計測装置10A,10Bは、発光部15、設定部16および外部インタフェース部17の全部または一部を備えていなくてもよい。発光部15を備えていない場合、エリア画像分析部22は、エリア画像に基づいて鳴動部14の鳴動状態のみを制御する。また、この場合、ユーザは、鳴動部14の鳴動状態に基づいて検知エリアAが適切に設定されているか否かと、通過人数の計測が正しく行われているか否かとを確認することができる。
【0061】
また、通過人数計測装置10A,10Bでは、筐体主要部18へのカバー部19の装着を第1動作確認モードから第2動作確認モードへの「モード切替操作」としたが、モード切替操作はこれに限定されない。
【0062】
また、検知エリアは、
図8(A)に示す検知エリアA’のように、互いに異なる形状の分割エリア(台形状の分割エリアA3と、それ以外の部分である分割エリアA4)で構成されていてもよいし、
図8(B)に示す検知エリアA”のように、3つ以上の分割エリア(分割エリアA5,A6,A7)で構成されていてもよい。
【0063】
また、通過人数計測装置10A,10Bは、赤色および緑色に発光する1つの発光部15の代わりに、分割エリアと同数の発光部を備えていてもよい。この場合、複数の発光部は、検知エリアA,A’,A”における分割エリアA1~A7の並びを模した並びで配置されていることが好ましい。また、この場合、エリア画像分析部22は、第1動作確認モードにおいて、第1分割エリアA1に歩行者Wがいることを検出した場合は、第1分割エリアA1に対応した第1発光部を第1の色で発光させ、第2分割エリアA2に歩行者Wがいることを検出した場合は、第2分割エリアA2に対応した第2発光部を第1の色または第1の色とは異なる第2の色で発光させることが好ましい。さらに、エリア画像分析部22は、第2動作確認モードにおいて、歩行者Wが第2分割エリアA2から第1分割エリアA1に向かう方向に検知エリアAを通過したことを検出した場合は、第1分割エリアA1に対応した第1発光部を第1の色で発光させ、歩行者Wが第1分割エリアA1から第2分割エリアA2に向かう方向に検知エリアAを通過したことを検出した場合は、第2分割エリアA2に対応した第2発光部を第1の色または第2の色で発光させることが好ましい。
【0064】
また、本発明では、鳴動部14の鳴動状態および発光部15の発光状態は特に限定されない。発光部15の数も、1つまたは分割エリアと同数に限定されない。
【符号の説明】
【0065】
10A,10B 通過人数計測装置
11A,11B 熱画像生成部
12 記憶部
13 モード切替スイッチ
14 鳴動部
15 発光部
16 設定部
17 外部インタフェース部
18 筐体主要部
19 カバー部
20A,20B 制御部
21 差画像生成部
22 エリア画像分析部
100 天井
200 床
A 検知エリア
A1 第1分割エリア
A2 第2分割エリア
W,W1,W2 歩行者