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特開2024-40801情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040801
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240318BHJP
【FI】
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145392
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐淵 大貴
(72)【発明者】
【氏名】松崎 篤
(72)【発明者】
【氏名】清水 佳子
(57)【要約】
【課題】ガス中の物質の含有量を推定するための推定モデルを、より効率的に学習する。
【解決手段】情報処理装置は、処理部を備える。処理部は、複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの含有量の変化量に基づいて、複数の時刻それぞれが、第1時刻と、変化量が第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定する。処理部は、複数の説明変数から含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、第1時刻および第2時刻のそれぞれから選択する。処理部は、学習時刻に取得された第1入力データを学習データとして、第1推定モデルを学習する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの前記含有量の変化量に基づいて、複数の前記時刻それぞれが、第1時刻と、前記変化量が前記第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定し、
複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれから選択し、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データを前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する、
処理部
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、複数の前記時刻それぞれについて、前記時刻の前または後の少なくとも一方を含む期間に含まれる複数の時刻での前記含有量の最大値および最小値との差を前記変化量として算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、複数の前記時刻のうち、前記変化量が大きい順に指定された割合または指定された個数の前記時刻を前記第1時刻に決定し、前記第1時刻以外の前記時刻を前記第2時刻に決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記第1時刻の中からm個(mは2以上の整数)の前記第1時刻を前記学習時刻としてランダムに選択し、前記第2時刻の中からn個(nは2以上の整数)の前記第2時刻を前記学習時刻としてランダムに選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記第1入力データを用いて、複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第2推定モデルを、決定木のアンサンブル法により構築し、前記第2推定モデルから出力される複数の前記説明変数それぞれの重要度に基づいて、複数の前記説明変数のうち学習に用いる前記説明変数を選択し、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データに含まれる、選択された前記説明変数と、前記含有量と、を前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、
複数の前記説明変数を含む第2入力データを前記第1推定モデルに入力することにより、前記含有量を予測し、
予測された前記含有量を用いて、前記第1物質を前記ガスから除去するための還元物質の注入量を制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記第1推定モデルを用いて、前記含有量と前記含有量の推定誤差とを予測し、
予測された前記含有量と前記推定誤差とを用いて、前記還元物質の注入量を制御する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、予測された前記含有量と前記推定誤差の重みづけ和を、前記含有量の新たな推定値とし、前記推定値を還元するために必要な前記還元物質の注入量を算出する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1時刻は、前記変化量が前記第2時刻より相対的に大きい重要時刻であり、
前記第2時刻は、前記変化量が前記第1時刻より相対的に小さい非重要時刻である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記処理部は、
複数の前記時刻それぞれが前記第1時刻と前記第2時刻とのいずれであるかを決定する決定部と、
前記学習時刻を選択する時刻選択部と、
前記第1推定モデルを学習する学習部と、
を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの前記含有量の変化量に基づいて、複数の前記時刻それぞれが、第1時刻と、前記変化量が前記第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定する決定ステップと、
複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれから選択する時刻選択ステップと、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データを前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する学習ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの前記含有量の変化量に基づいて、複数の前記時刻それぞれが、第1時刻と、前記変化量が前記第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定する決定ステップと、
複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれから選択する時刻選択ステップと、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データを前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する学習ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
情報処理装置と、発電装置と、を備える情報処理システムであって、
前記発電装置は、複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データを記憶する記憶部を備え、
前記情報処理装置は、
複数の前記第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの前記含有量の変化量に基づいて、複数の前記時刻それぞれが、第1時刻と、前記変化量が前記第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定し、
複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれから選択し、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データを前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する、処理部を備える、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラントなどで用いられるボイラおよびガスタービン、並びに、ディーゼルエンジンなどの燃焼装置から排出される排気ガスには、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、および、一酸化炭素(CO)などの物質が含まれうる。
【0003】
例えば火力発電プラントでは、排気ガスに含まれるNOxの量を規制値内に抑えるために、排気ガスからNOxを除去する脱硝制御が行われる。脱硝制御は、例えば、排気ガスに対してアンモニア水または尿素水などの還元物質(還元剤)を注入し、触媒上でNOxとNH3を反応させ、窒素(N2)と水(H2O)とに分解させる処理である。
【0004】
脱硝制御に関して、機械学習により得られる推定モデルを用いて発生したNOx量(排気ガス中の含有量)を推定し、推定したNOx量を用いてアンモニアの注入量を制御する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-192501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ガス中の物質の含有量を推定するための推定モデルを、より効率的に学習することできる情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および、情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の情報処理装置は、処理部を備える。処理部は、複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの含有量の変化量に基づいて、複数の時刻それぞれが、第1時刻と、変化量が第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定する。処理部は、複数の説明変数から含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、第1時刻および第2時刻のそれぞれから選択する。処理部は、学習時刻に取得された第1入力データを学習データとして、第1推定モデルを学習する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態にかかる情報処理システムのブロック図。
図2】重要時刻、非重要時刻、および、学習時刻の例を示す図。
図3】学習時刻の例を示す図。
図4】実施形態における学習処理のフローチャート。
図5】実施形態における制御処理のフローチャート。
図6】実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報処理装置の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0010】
以下では、排気ガスからNOxを除去する脱硝制御に適用した実施形態を説明する。適用可能な制御はこれに限られず、SOxまたはCOなどの他の物質をガスから除去する制御にも適用しうる。
【0011】
排気ガスを排出するシステム(装置)は、例えば、ボイラ、ガスタービン、および、ディーゼルエンジンなどの燃焼装置であるが、その他のどのようなシステム(装置)であってもよい。以下では、火力発電プラントなどで用いられるボイラを用いる例を説明する。
【0012】
脱硝制御では、排出されたNOx量(排出NOx量)を用いたフィードバック(FB)制御が行われている。しかし、排出NOx量の計測値は1~2分遅れるのでFB制御のみでは不十分である。そこで、発生したNOx量(発生NOx量)の推定値を用いたフィードフォワード(FF)制御も行われている。FF制御については、例えば、ボイラメーカによる経験式に基づいて発生NOx量を推定する技術が提案されている。しかし、ボイラの燃焼ダイナミクスは複雑であり、情報の入手も困難なため、経験式に基づいたNOx量の推定は精度が低い。
【0013】
経験式を用いない方式として、上記のように、機械学習により得られる推定モデルを用いてNOx量を推定する技術が提案されている。FF制御に用いるためには、例えば秒単位でNOx量を推定する必要がある。しかし、秒単位の入力データをそのまま使用すると、サンプル数が大きいため、推定モデルを学習するのに非常に時間が掛かる。また、入力データはほとんどのサンプルが定常状態であるが、FF制御では過渡状態での推定を正確に行う必要があるため、全データを用いると効率的に学習することができない。
【0014】
入力データは、例えば、複数の説明変数と、ガスに含まれるNOx(第1物質の一例)の含有量と、を含むデータである。例えば火力発電プラントでは、プロセスデータを入力データとして用いることができる。プロセスデータは、例えば以下のデータを含む。
・火力発電装置の各所に設置した各種センサ等から得られる測定データ
・測定データを加工したデータ
・火力発電装置の起動および停止等の制御に用いるデータ
【0015】
具体的には、プロセスデータは、以下のようなデータである。
・火力発電装置の回転速度
・火力発電装置の発電機出力
・入口NOx量
・燃料投入量
・燃焼用空気の投入量
・炉内各所の圧力および温度
・各ミルの起動状態、停止状態および運転状態に関する諸量
【0016】
入口NOx量は、例えば、排気ガスが通過する煙道の、脱硝触媒の入口側でのNOxの測定量である。直接の計測値はNOx濃度であり、これに排ガス流量を乗じることにより、入口NOx流量を得ることができる。すなわち、入口NOx量は、排気ガスに含まれるNOxの含有量に相当する。以下では、排気ガスに含まれるNOxの含有量である入口NOx量を発生NOx量という。プロセスデータのうち、発生NOx量(入口NOx量)以外のプロセスデータの少なくとも一部が、説明変数として用いられる。推定モデルは、説明変数から、排気ガス内の発生NOx量を推定するためのモデルである。以下、このモデルを推定モデルMA(第1推定モデル)という。
【0017】
本実施形態にかかる情報処理装置は、すべての時刻のプロセスデータではなく、例えば過渡状態の時刻のプロセスデータを重視して学習データとして選択して推定モデルMAを学習する。これにより、ガス中の物質の含有量を推定するための推定モデルMAを、より効率的に学習することができる。また、過渡状態の時刻を重視して学習できるため、過渡状態での推定をより正確に実行可能となり、例えば脱硝制御により適した推定結果を得ることが可能となる。
【0018】
図1は、本実施形態にかかる情報処理システム(脱硝制御システム)の構成例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理システム10は、情報処理装置(脱硝制御装置)100と、発電装置200と、を含む。
【0019】
発電装置200は、例えば火力発電装置である。発電装置200は、ボイラから排出された排気ガスが煙道を通過する過程で、煙道中の脱硝触媒上で、ガス中に含有されているNOxを還元物質と反応させることで分解して十分に低減(除去)させ、処理後のガスを煙突から外気に放出する。NOxに対する還元物質は、例えば、アンモニア水および尿素水である。
【0020】
情報処理装置100は、発電装置200の排気ガスに注入する還元物質の注入量を制御する。情報処理装置100は、上記のように、FB制御とFF制御とにより、還元物質の注入量を制御する。
【0021】
発電装置200の内部構成について説明する。発電装置200は、記憶部221と、注入部201と、を備えている。
【0022】
記憶部221は、発電装置200で用いられる各種データを記憶する。例えば記憶部221は、過去データ231と、現在データ232と、を記憶する。過去データ231は、過去に得られた複数のプロセスデータと、当該プロセスデータが得られたときの発生NOx量と、を含む。過去データ231は、主に推定モデルMAを学習するときの学習データとして用いられる入力データ(第1入力データ)に相当する。現在データ232は、学習済の推定モデルMAを用いて発生NOx量を推定するときに用いられる入力データ(第2入力データ)に相当する。例えば現在データ232は、発生NOx量を推定する時点(現在)のプロセスデータを含む。
【0023】
なお、記憶部221は、フラッシュメモリ、メモリカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、および、光ディスクなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体により構成することができる。
【0024】
注入部201は、情報処理装置100による還元物質の注入量の制御に従い、還元物質を排気ガスに注入する。
【0025】
上記各部(注入部201)は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2つ以上を実現してもよい。
【0026】
情報処理装置100の内部構成について説明する。情報処理装置100は、記憶部121と、取得部101と、決定部102と、時刻選択部103と、変数選択部104と、学習部105と、予測部106と、制御部107と、を備える。
【0027】
なお、図1に示した構成要素は、発電装置200の排気ガスに注入する還元物質の注入量を制御する処理を行うための要素であり、図1では他の構成要素は省略されている。また、各構成要素は、細分化されてもよいし、まとめられてもよい。
【0028】
記憶部121は、情報処理装置100で用いられる各種データを記憶する。例えば記憶部121は、発電装置200から受信した過去データ231、現在データ232、および、各部による処理結果などを記憶する。
【0029】
なお、記憶部121は、フラッシュメモリ、メモリカード、RAM、HDD、および、光ディスクなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体により構成することができる。
【0030】
取得部101は、情報処理装置100で用いられる各種データを取得する。例えば取得部101は、過去データ231および現在データ232を、発電装置200から取得する。過去データ231および現在データ232は、取得された時刻が対応づけられた時系列データとして取得される。例えば、取得部101は、現在データ232であるプロセスデータを時系列的に取得し、取得した時刻を対応づけて、記憶部121に記憶する。取得部101は、発電装置200側で時刻が対応づけられた過去データ231または現在データ232を取得するように構成されてもよい。
【0031】
プロセスデータ(過去データ231および現在データ232)を取得する頻度は、どのような値であってもよい。以下では、1秒に1回取得される場合を例に説明する。また、学習に用いる過去データ231を取得する期間は、どのような値であってもよいが、例えば過去1か月または1年などの予め定められた期間である。
【0032】
取得部101は、現在データ232を取得する場合に、プロセスデータに含まれるすべての説明変数を取得してもよい。取得部101は、プロセスデータに含まれる説明変数のうち、後述する変数選択部104により選択された説明変数のみを取得してもよい。これにより、現在データ232を取得する時間を短縮できる。
【0033】
決定部102は、排気ガスに含まれるNOxの含有量の変化量に基づいて、過去データ231に含まれる複数のプロセスデータがそれぞれ取得された複数の時刻が、時刻TA(第1時刻)であるか、時刻TB(第2時刻)であるかを決定する。時刻TAは、例えば、変化量が時刻TBより相対的に大きい時刻であり、時刻TBは、例えば、変化量が時刻TAより相対的に小さい時刻である。以下では、時刻TAおよび時刻TBを、それぞれ重要時刻および非重要時刻という。また、以下では、複数の時刻の個数、すなわち、過去データ231に含まれる複数のプロセスデータの個数をKとする。
【0034】
重要時刻は、発生NOx量の変化量が非重要時刻より相対的に大きい時刻を表す。例えば重要時刻は、過渡状態の時刻である。非重要時刻は、発生NOx量の変化量が重要時刻より相対的に小さい時刻を表す。非重要時刻は、例えば重要時刻以外の時刻である。
【0035】
決定部102は、例えば、K個の時刻t(1≦k≦K)それぞれについて、時刻tの前または後の少なくとも一方を含む期間(以下、算出期間)に含まれる複数の時刻での発生NOx量の最大値および最小値との差を変化量として算出する。以下では、算出期間に含まれる複数の時刻の個数をLとし、算出期間に含まれる各時刻をt(1≦l≦L)と表す。
【0036】
例えば算出期間は、時刻tの3秒前から3秒後までの6秒間である。6秒間の算出期間は、3秒前、2秒前、1秒前、時刻t、1秒後、2秒後、3秒後の7点の時刻を含む。
【0037】
時刻tを「14:00:00」とすると、決定部102は、3秒前(13:59:57)から3秒後(14:00:03)までの6秒間に含まれる7点での発生NOx量を用いて、発生NOx量の変化量を算出する。例えば算出期間内での発生NOx量の最大値が60、最小値が20であれば、決定部102は、最大値と最小値との差である40を、時刻t(14:00:00)での発生NOx量の変化量とする。
【0038】
変化量は、算出期間の開始時および終了時の発生NOx量の差としてもよい。例えば決定部102は、開始時(13:59:57)の発生NOx量と、終了時(14:00:03)の発生NOx量との差を、時刻t(14:00:00)での発生NOx量の変化量とする。
【0039】
決定部102は、K個の時刻tのうち、変化量が大きい順に一定の割合(例えば1%)または一定の個数の時刻を重要時刻に決定し、重要時刻以外の時刻を非重要時刻に決定する。割合または個数は、例えばユーザにより指定される。割合または個数は、例えば、過渡状態が発生する割合などから決定されてもよい。
【0040】
時刻選択部103は、K個の時刻tから、学習データとして用いるプロセスデータの時刻である学習時刻を選択する。時刻選択部103は、学習時刻を、重要時刻および非重要時刻のそれぞれから選択する。例えば時刻選択部103は、重要時刻の中からm個(mは2以上の整数)の重要時刻を学習時刻としてランダムに選択し、非重要時刻の中からn個(nは2以上の整数)の非重要時刻を学習時刻としてランダムに選択する。mおよびnは、例えば、学習時刻のうち重要時刻が占める割合を大きくするように設定される。
【0041】
図2は、重要時刻、非重要時刻、および、学習時刻の例を示す図である。図2では、横軸が時刻を表し、縦軸が発生NOx量を表す。線251は、発生NOx量の変化を表す。なお、発生NOx量は、遅れを考慮して時刻をずらして設定されてもよい。線251は、推定の対象と解釈することができる。なお、図2内の時刻の数値は、分を表す。すなわち、図2では、16時16分から16時22分までの発生NOx量の変化が表されている。
【0042】
範囲252は、重要時刻と決定された時刻が含まれる範囲を表す。範囲252以外の範囲に含まれる時刻が、非重要時刻である。図2では、約16時17分から約16時20分30秒までの範囲が、重要時刻が含まれる範囲252として例示されている。なお重要時刻が含まれる範囲は、図2の範囲252のように連続的な範囲になるとは限らない。
【0043】
丸に対応する時刻は、時刻tのうち、学習時刻として選択された時刻を表す。図2に示すように、本実施形態では、多数の重要時刻が学習時刻として選択される一方で、少数の非重要時刻のみが学習時刻として選択される。
【0044】
図3は、図2よりも長い期間(15時50分から16時50分)について選択された学習時刻の例を示す図である。図2と同じ重要時刻の範囲では学習時刻として選択された時刻を示す丸が多く含まれる一方で、非重要時刻では丸が少ないことが表されている。
【0045】
変数選択部104は、複数の説明変数のうち学習に用いる説明変数を選択する。例えば、変数選択部104は、学習時刻の過去データ231を用いて、決定木のアンサンブル法により、複数の説明変数から発生NOx量を推定する推定モデルを構築する。以下、このモデルを推定モデルMB(第2推定モデル)という。変数選択部104は、推定モデルMBから出力される複数の説明変数それぞれの重要度に基づいて、複数の説明変数のうち学習に用いる説明変数を選択する。
【0046】
決定木のアンサンブル法は、例えば、Extra Trees回帰、Random Forest回帰、Gradient Boosting回帰、および、Light Gradient Boosting回帰である。決定木のアンサンブル法の学習により推定モデルMBを推定すると、複数の説明変数それぞれの重要度も同時に出力される。決定木のアンサンブル法の説明変数の重要度は、例えば、複数の決定木の重要度の平均値として算出される。すべての説明変数の重要度の和は1である。説明変数は、重要度の値が大きいほど重要な説明変数であると解釈できる。決定木による回帰の説明変数の重要度は、その説明変数がもたらす二乗誤差の(正規化された)総削減量として算出される。総削減量は、ある説明変数がない決定木の合計二乗誤差と、その説明変数がある場合の決定木の合計二乗誤差の差である。すべての説明変数の二乗誤差の総削減量の和が1となるように正規化を行った値が重要度である。
【0047】
変数選択部104は、例えば、複数の説明変数を重要度の順に並び替え、重要度が上位の一定数の説明変数を選択する。
【0048】
推定モデルMBを推定する方法は、決定木のアンサンブル法に限られず、Lasso回帰などの、重要度に相当する値が得られる他の方法であってもよい。また、すべての選択変数を学習に用いる場合は、変数選択部104は備えられなくてもよい。
【0049】
学習部105は、学習時刻に取得された入力データ(過去データ231)を学習データとして推定モデルMAを学習する。例えば学習部105は、過去データ231に含まれる説明変数を入力したときの出力と、過去データ231に含まれる発生NOx量(目的変数)と、の誤差を小さくするように推定モデルMAを学習する。
【0050】
学習部105は、過去データ231に含まれるすべての説明変数を学習データとして用いて学習を行ってもよいし、変数選択部104により選択された説明変数のみを学習データとして用いて学習を行ってもよい。
【0051】
推定モデルMAは、複数の説明変数を入力し、目的変数である発生NOx量の推定値を出力するモデルであれば、どのようなモデルであってもよい。推定モデルMAは、推定モデルMBと同様に、決定木のアンサンブル法により学習されるモデルであってもよい。発生NOx量のセンサには遅れが存在するので、その遅れの分だけ時刻をずらした発生NOx量を目的変数としてもよい。
【0052】
決定部102、時刻選択部103、変数選択部104、および、学習部105は、主に推定モデルMAの学習のために用いられる。以下に説明する予測部106および制御部107は、学習された推定モデルMAを用いた発生NOx量の予測(推定)、および、推定された発生NOx量に基づく還元物質の注入量の制御に用いられる。
【0053】
予測部106は、現在データ232を推定モデルMAに入力することにより、発生NOx量を予測する。予測部106は、推定モデルMAを用いて、発生NOx量とともに、発生NOx量の推定誤差を予測してもよい。
【0054】
例えば決定木のアンサンブル法では、決定木が大量に構築され、大量の決定木の出力の平均値が推定値として出力される。決定木の出力の標準偏差は、推定誤差を表していると解釈できる。すなわち、決定木のアンサンブル法は、推定値だけでなく、推定誤差も出力可能である。
【0055】
制御部107は、FB制御とFF制御とにより、発電装置200の注入部201により注入する還元物質の注入量を制御する。FF制御に関しては、制御部107は、予測部106により予測された発生NOx量を用いて、還元物質の注入量を制御する。例えば制御部107は、発生NOx量を予め定められた目標値に還元するのに必要な還元物質の注入量を算出し、算出した注入量の還元物質を注入するように制御する。
【0056】
制御部107は、予測された発生NOx量とともに、推定誤差を用いて還元物質の注入量を制御してもよい。例えば制御部107は、予測された発生NOx量と推定誤差との重みづけ和を、発生NOx量の新たな推定値とし、この推定値を還元するために必要な還元物質の注入量を算出する。推定誤差も考慮して還元物質の注入量を決定することで、推定の誤りによる制御性能の低下を抑制することができる。
【0057】
制御部107は、推定誤差が閾値以上か否かで還元物質の注入量の算出方法を変更してもよい。例えば推定誤差が閾値以上の場合、制御部107は、予測された発生NOx量を用いずに注入量を制御してもよい。制御部107は、推定誤差が閾値以上の場合、発生NOx量と推定誤差との重みづけ和を用いる方法を採用し、推定誤差が閾値未満の場合、推定誤差は用いずに発生NOx量のみを用いる方法を採用してもよい。
【0058】
上記各部(取得部101、決定部102、時刻選択部103、変数選択部104、学習部105、予測部106、および、制御部107)の少なくとも一部は、1つの処理部により実現されてもよい。上記各部は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2つ以上を実現してもよい。
【0059】
次に、本実施形態にかかる情報処理装置100による推定モデルの学習処理について説明する。図4は、本実施形態における学習処理の一例を示すフローチャートである。学習処理はどのようなタイミングで実行されてもよい。例えば、学習処理は、発電装置200による発電が停止している期間内に実行されてもよい。
【0060】
取得部101は、過去のプロセスデータと発生NOx量のデータとを取得する(ステップS101)。決定部102は、取得された発生NOx量のデータから、各時刻の発生NOx量の変化量を算出し、算出した各時刻の変化量に基づいて各時刻が重要時刻か非重要時刻かを決定する(ステップS102)。
【0061】
時刻選択部103は、決定された重要時刻および非重要時刻に基づいて、学習に用いる学習時刻を選択する(ステップS103)。変数選択部104は、学習時刻の過去のプロセスデータに基づいて、学習に用いる説明変数を選択する(ステップS104)。学習部105は、選択された学習時刻における、選択された説明変数についての過去のプロセスデータと、発生NOx量のデータと、に基づいて、推定モデルMAを学習する(ステップS105)。
【0062】
次に、本実施形態にかかる情報処理装置100による、推定モデルを用いた還元物質の注入量の制御処理について説明する。図5は、本実施形態における制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
取得部101は、変数選択部104により選択された変数の現在のプロセスデータを取得する(ステップS201)。予測部106は、取得した現在のプロセスデータを入力データとして、学習された推定モデルを用いて発生NOx量の推定値と推定誤差を算出する(ステップS202)。制御部107は、算出された推定値と推定誤差とに基づいて還元物質の注入量を決定する(ステップS203)。制御部107は、決定した注入量の還元物質を注入するように、発電装置200を制御する(ステップS204)。
【0064】
以上のように、本実施形態の情報処理装置100は、秒単位のデータを用いた場合も推定モデルを短時間で学習できる。すなわち、ガス中の物質の含有量を推定するための推定モデルを、より効率的に学習することできる。また、過渡状態のサンプルを重視して学習できるため、過渡状態での推定が正確な、脱硝制御に適した推定結果が得られる。
【0065】
次に、本実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【0066】
本実施形態にかかる情報処理装置は、CPU51などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)52やRAM53などの記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F54と、各部を接続するバス61を備えている。
【0067】
本実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、ROM52等に予め組み込まれて提供される。
【0068】
本実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるように構成してもよい。
【0069】
さらに、本実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0070】
本実施形態にかかる情報処理装置で実行されるプログラムは、コンピュータを上述した情報処理装置の各部として機能させうる。このコンピュータは、CPU51がコンピュータ読取可能な記憶媒体からプログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0071】
実施形態の構成例について以下に記載する。
(構成例1)
複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの前記含有量の変化量に基づいて、複数の前記時刻それぞれが、第1時刻と、前記変化量が前記第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定し、
複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれから選択し、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データを前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する、
処理部
を備える情報処理装置。
(構成例2)
前記処理部は、複数の前記時刻それぞれについて、前記時刻の前または後の少なくとも一方を含む期間に含まれる複数の時刻での前記含有量の最大値および最小値との差を前記変化量として算出する、
構成例1に記載の情報処理装置。
(構成例3)
前記処理部は、複数の前記時刻のうち、前記変化量が大きい順に指定された割合または指定された個数の前記時刻を前記第1時刻に決定し、前記第1時刻以外の前記時刻を前記第2時刻に決定する、
構成例1または2に記載の情報処理装置。
(構成例4)
前記処理部は、前記第1時刻の中からm個(mは2以上の整数)の前記第1時刻を前記学習時刻としてランダムに選択し、前記第2時刻の中からn個(nは2以上の整数)の前記第2時刻を前記学習時刻としてランダムに選択する、
構成例1から3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例5)
前記処理部は、
前記第1入力データを用いて、複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第2推定モデルを、決定木のアンサンブル法により構築し、前記第2推定モデルから出力される複数の前記説明変数それぞれの重要度に基づいて、複数の前記説明変数のうち学習に用いる前記説明変数を選択し、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データに含まれる、選択された前記説明変数と、前記含有量と、を前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する、
構成例1から4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例6)
前記処理部は、
複数の前記説明変数を含む第2入力データを前記第1推定モデルに入力することにより、前記含有量を予測し、
予測された前記含有量を用いて、前記第1物質を前記ガスから除去するための還元物質の注入量を制御する、
構成例1から5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例7)
前記処理部は、
前記第1推定モデルを用いて、前記含有量と前記含有量の推定誤差とを予測し、
予測された前記含有量と前記推定誤差とを用いて、前記還元物質の注入量を制御する、
構成例6に記載の情報処理装置。
(構成例8)
前記処理部は、予測された前記含有量と前記推定誤差の重みづけ和を、前記含有量の新たな推定値とし、前記推定値を還元するために必要な前記還元物質の注入量を算出する、
構成例7に記載の情報処理装置。
(構成例9)
前記第1時刻は、前記変化量が前記第2時刻より相対的に大きい重要時刻であり、
前記第2時刻は、前記変化量が前記第1時刻より相対的に小さい非重要時刻である、
構成例1から8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例10)
前記処理部は、
複数の前記時刻それぞれが前記第1時刻と前記第2時刻とのいずれであるかを決定する決定部と、
前記学習時刻を選択する時刻選択部と、
前記第1推定モデルを学習する学習部と、
を備える、
構成例1から9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(構成例11)
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの前記含有量の変化量に基づいて、複数の前記時刻それぞれが、第1時刻と、前記変化量が前記第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定する決定ステップと、
複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれから選択する時刻選択ステップと、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データを前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する学習ステップと、
を含む情報処理方法。
(構成例12)
コンピュータに、
複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの前記含有量の変化量に基づいて、複数の前記時刻それぞれが、第1時刻と、前記変化量が前記第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定する決定ステップと、
複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれから選択する時刻選択ステップと、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データを前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する学習ステップと、
を実行させるためのプログラム。
(構成例13)
情報処理装置と、発電装置と、を備える情報処理システムであって、
前記発電装置は、複数の説明変数と、ガスに含まれる第1物質の含有量と、をそれぞれ含む複数の第1入力データを記憶する記憶部を備え、
前記情報処理装置は、
複数の前記第1入力データが取得された複数の時刻それぞれでの前記含有量の変化量に基づいて、複数の前記時刻それぞれが、第1時刻と、前記変化量が前記第1時刻より小さい第2時刻と、のいずれであるかを決定し、
複数の前記説明変数から前記含有量を推定する第1推定モデルを学習するための学習データの時刻である学習時刻を、前記第1時刻および前記第2時刻のそれぞれから選択し、
前記学習時刻に取得された前記第1入力データを前記学習データとして、前記第1推定モデルを学習する、処理部を備える、
情報処理システム。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
100 情報処理装置
101 取得部
102 決定部
103 時刻選択部
104 変数選択部
105 学習部
106 予測部
107 制御部
121 記憶部
200 発電装置
201 注入部
221 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6