(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004081
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】時刻同期方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240109BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 648Z
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103548
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】澤田 千奈
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043DD13
5F043DD23
5F043DD30
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE09
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157CD02
5F157CF42
5F157CF82
(57)【要約】
【課題】外部ネットワークとの通信を行うことなく、複数の撮像データ間における時刻を同期させることができる技術を提供する。
【解決手段】複数の撮像データに付された時刻を同期させる時刻同期方法であって、a)複数のカメラにより撮像対象を撮像することにより、カメラ毎に撮像データを取得する工程と、b)撮像データから、所定のイベントが撮像されたイベント画像EI1~EI3を、撮像データ毎に検出する工程と、c)それぞれのイベント画像EI1~EI3に付された時刻に基づいて、複数の撮像データに付された時刻を同期させる工程と、を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像データに付された時刻を同期させる時刻同期方法であって、
a)複数のカメラにより撮像対象を撮像することにより、前記カメラ毎に前記撮像データを取得する工程と、
b)前記撮像データから、所定のイベントが撮像されたイベント画像を、前記撮像データ毎に検出する工程と、
c)それぞれの前記イベント画像に付された時刻に基づいて、複数の前記撮像データに付された時刻を同期させる工程と、
を有する、時刻同期方法。
【請求項2】
請求項1に記載の時刻同期方法であって、
前記イベントは、前記撮像対象に含まれる所定の部分が、複数の前記カメラの撮像領域における所定の箇所を通過することである、時刻同期方法。
【請求項3】
請求項2に記載の時刻同期方法であって、
前記工程b)では、検出の基準となる基準画像に基づいて、前記イベント画像を検出する、時刻同期方法。
【請求項4】
請求項1に記載の時刻同期方法であって、
前記イベントは、前記撮像データにおける所定の領域の輝度が、所定の閾値に到達することである、時刻同期方法。
【請求項5】
請求項4に記載の時刻同期方法であって、
前記工程a)は、前記複数のカメラにより前記撮像対象を撮像する間の所定のタイミングにおいて、前記複数のカメラの撮像領域へ光を発する工程を含む、時刻同期方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の時刻同期方法であって、
前記工程b)は、
1つの前記撮像データにおいて、1つの撮像画像に前記イベントが撮像されている場合、前記1つの撮像画像を前記イベント画像として検出し、
1つの前記撮像データにおいて、複数の撮像画像に前記イベントが撮像されている場合、前記複数の撮像画像の前記輝度に基づいて、前記複数の撮像画像から1つの前記撮像画像を前記イベント画像として検出する工程である、
時刻同期方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の時刻同期方法であって、
前記工程b)は、
1つの前記撮像データにおいて、1つの撮像画像に前記イベントが撮像されている場合、前記1つの撮像画像を前記イベント画像として検出し、
1つの前記撮像データにおいて、複数の撮像画像に前記イベントが撮像されている場合、前記複数の撮像画像にそれぞれ付された時刻に基づいて、前記複数の撮像画像から1つの前記撮像画像を前記イベント画像として検出する工程である、
時刻同期方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の時刻同期方法であって、
前記撮像データは、動画であり、
前記イベント画像は、前記動画に含まれるフレームである、
時刻同期方法。
【請求項9】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の時刻同期方法であって、
前記工程a)、前記工程b)、および前記工程c)を、所定の時間間隔で繰り返し実行する、時刻同期方法。
【請求項10】
複数の撮像データに基づいて処理を行う製造装置であって、
撮像対象を撮像する複数のカメラと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
a)複数の前記カメラに、前記撮像対象を撮像させることにより、前記カメラ毎に前記撮像データを取得する工程と、
b)前記撮像データに含まれる複数の撮像画像から、所定のイベントが撮像されたイベント画像を、前記撮像データ毎に検出する工程と、
c)それぞれの前記イベント画像に付された時刻に基づいて、複数の前記撮像データに付された時刻を同期させる工程と、
を実行する、製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像データに付された時刻を同期させる時刻同期方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の撮像装置により制御対象の装置を撮像し、その撮像データに基づいて、制御対象装置の動作を制御する場合がある。この場合、各撮像装置が撮像した撮像データ間における時刻を同期させることが必要である。
【0003】
例えば、特許文献1では、画像記録部は、前記カメラ拡張ユニット処理部で取得された画像データを、該画像データが取得された時刻に関する情報と関連付けて時系列に記録すると共に、前記CPUユニットからの指示に応じて、前記画像データ及び前記時刻に関する情報を前記CPUユニットに送信するよう構成できる。上記構成により、カメラ部で撮像した画像データに関するデバイス記録と高精度に時刻を同期させることが可能となる。
【0004】
さらに、各撮像データ間における時刻を同期させる方法として、例えば、非特許文献1のような方法が知られている。非特許文献1では、外部のネットワークに接続された機器間で時刻を同期させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】”IEEE Standard for a Precision Clock Synchronization Protocol for Networked Measurement and Control Systems” IEEE Std 1588-2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、セキュリティ対策として外部ネットワークから切り離された状態で運用する必要がある装置に対しては、外部ネットワークとの通信により複数の撮像データ間における時刻同期を行うことが困難であった。また、装置にタイムサーバ機能を備えることとする場合、装置内の空きスペースによっては設置可能な箇所が限られること、および設置コストが追加で必要となることが問題であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、外部ネットワークとの通信を行うことなく、複数の撮像データ間における時刻を同期させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、複数の撮像データに付された時刻を同期させる時刻同期方法であって、a)複数のカメラにより撮像対象を撮像することにより、前記カメラ毎に前記撮像データを取得する工程と、b)前記撮像データから、所定のイベントが撮像されたイベント画像を、前記撮像データ毎に検出する工程と、c)それぞれの前記イベント画像に付された時刻に基づいて、複数の前記撮像データに付された時刻を同期させる工程と、を有する。
【0010】
本願の第2発明は、第1発明の時刻同期方法であって、前記イベントは、前記撮像対象に含まれる所定の部分が、複数の前記カメラの撮像領域における所定の箇所を通過することである。
【0011】
本願の第3発明は、第2発明の時刻同期方法であって、前記工程b)では、検出の基準となる基準画像に基づいて、前記イベント画像を検出する。
【0012】
本願の第4発明は、第1発明の時刻同期方法であって、前記イベントは、前記撮像データにおける所定の領域の輝度が、所定の閾値に到達することである。
【0013】
本願の第5発明は、第4発明の時刻同期方法であって、前記工程a)は、前記複数のカメラにより前記撮像対象を撮像する間の所定のタイミングにおいて、前記複数のカメラの撮像領域へ光を発する工程を含む。
【0014】
本願の第6発明は、第4発明または第5発明の時刻同期方法であって、前記工程b)は、1つの前記撮像データにおいて、1つの撮像画像に前記イベントが撮像されている場合、前記1つの撮像画像を前記イベント画像として検出し、1つの前記撮像データにおいて、複数の撮像画像に前記イベントが撮像されている場合、前記複数の撮像画像の前記輝度に基づいて、前記複数の撮像画像から1つの前記撮像画像を前記イベント画像として検出する工程である。
【0015】
本願の第7発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の時刻同期方法であって、前記工程b)は、1つの前記撮像データにおいて、1つの撮像画像に前記イベントが撮像されている場合、前記1つの撮像画像を前記イベント画像として検出し、1つの前記撮像データにおいて、複数の撮像画像に前記イベントが撮像されている場合、前記複数の撮像画像にそれぞれ付された時刻に基づいて、前記複数の撮像画像から1つの前記撮像画像を前記イベント画像として検出する工程である。
【0016】
本願の第8発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の時刻同期方法であって、前記撮像データは、動画であり、前記イベント画像は、前記動画に含まれるフレームである。
【0017】
本願の第9発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の時刻同期方法であって、前記工程a)、前記工程b)、および前記工程c)を、所定の時間間隔で繰り返し実行する。
【0018】
本願の第10発明は、複数の撮像データに基づいて処理を行う製造装置であって、撮像対象を撮像する複数のカメラと、制御部と、を備え、前記制御部は、a)複数の前記カメラに、前記撮像対象を撮像させることにより、前記カメラ毎に前記撮像データを取得する工程と、b)前記撮像データに含まれる複数の撮像画像から、所定のイベントが撮像されたイベント画像を、前記撮像データ毎に検出する工程と、c)それぞれの前記イベント画像に付された時刻に基づいて、複数の前記撮像データに付された時刻を同期させる工程と、を実行する。
【発明の効果】
【0019】
本願の第1発明~第10発明によれば、外部ネットワークとの通信を行うことなく、複数の撮像データ間における時刻を同期させることができる。
【0020】
特に、本願の第2発明によれば、撮像対象の所定の動作に基づいて、複数の撮像データ間における時刻を同期させることができる。
【0021】
特に、本願の第4発明によれば、撮像データにおける所定の領域の輝度の変化に基づいて、複数の撮像データ間における時刻を同期させることができる。
【0022】
特に、本願の第6発明によれば、複数の撮像データ間における時刻を、より精度よく同期させることができる。
【0023】
特に、本願の第7発明によれば、複数の撮像データ間における時刻を、より精度よく同期させることができる。
【0024】
特に、本願の第9発明によれば、継続的に、複数の撮像データ間における時刻を同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】カメラによる撮像の様子を、概念的に示した図である。
【
図4】カメラによる撮像の様子を、概念的に示した図である。
【
図5】コンピュータと処理ユニット内の各部との接続を示したブロック図である。
【
図6】基板の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】時刻同期処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】時刻同期処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】時刻の同期が行われた後の動画の構成を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
<1.基板処理装置の全体構成>
図1は、本発明に係る製造装置の一例となる基板処理装置100の平面図である。この基板処理装置100は、半導体ウェハの製造工程において、円板状の基板W(シリコンウェハ)の表面に処理液を供給して、基板Wの表面を処理する装置である。
図1に示すように、基板処理装置100は、インデクサ101と、複数の処理ユニット102と、主搬送ロボット103とを備えている。
【0028】
インデクサ101は、処理前の基板Wを外部から搬入するとともに、処理後の基板Wを外部へ搬出するための部位である。インデクサ101には、複数の基板Wを収容するキャリアが、複数配置される。また、インデクサ101は、図示を省略した移送ロボットを有する。移送ロボットは、インデクサ101内のキャリアと、処理ユニット102または主搬送ロボット103との間で、基板Wを移送する。
【0029】
処理ユニット102は、基板Wを1枚ずつ処理する、いわゆる枚葉式の処理部である。複数の処理ユニット102は、主搬送ロボット103の周囲に配置されている。本実施形態では、主搬送ロボット103の周囲に配置された4つの処理ユニット102が、高さ方向に3段に積層されている。すなわち、本実施形態の基板処理装置100は、全部で12台の処理ユニット102を有する。複数の基板Wは、各処理ユニット102において、並列に処理される。ただし、基板処理装置100が備える処理ユニット102の数は、12台に限定されるものではなく、例えば、1台、4台、8台、24台などであってもよい。
【0030】
主搬送ロボット103は、インデクサ101と複数の処理ユニット102との間で、基板Wを搬送するための機構である。主搬送ロボット103は、例えば、基板Wを保持するハンドと、ハンドを移動させるアームとを有する。主搬送ロボット103は、インデクサ101から処理前の基板Wを取り出して、処理ユニット102へ搬送する。また、処理ユニット102における基板Wの処理が完了すると、主搬送ロボット103は、当該処理ユニット102から処理後の基板Wを取り出して、インデクサ101へ搬送する。
【0031】
<2.処理ユニットの構成>
続いて、処理ユニット102の詳細な構成について説明する。以下では、基板処理装置100が有する複数の処理ユニット102のうちの1つについて説明するが、他の処理ユニット102も同等の構成を有する。
【0032】
図2は、処理ユニット102の縦断面図である。
図2に示すように、処理ユニット102は、チャンバ10、基板保持部20、回転機構30、処理液供給部40、処理液捕集部50、遮断板60、第1カメラ71、第2カメラ72、第3カメラ73、およびコンピュータ80を備えている。
【0033】
チャンバ10は、基板Wを処理するための処理空間11を内包する筐体である。チャンバ10は、処理空間11の側部を取り囲む側壁12と、処理空間11の上部を覆う天板部13と、処理空間11の下部を覆う底板部14と、を有する。基板保持部20、回転機構30、処理液供給部40、処理液捕集部50、遮断板60、および第1カメラ71~第3カメラ73は、チャンバ10の内部に収容される。側壁12の一部には、チャンバ10内への基板Wの搬入およびチャンバ10から基板Wの搬出を行うための搬入出口と、搬入出口を開閉するシャッタとが、設けられている。
【0034】
基板保持部20は、チャンバ10の内部において、基板Wを水平に(法線が鉛直方向を向く姿勢で)保持する機構である。
図2に示すように、基板保持部20は、円板状のスピンベース21と、複数のチャックピン22とを有する。複数のチャックピン22は、スピンベース21の上面の外周部に沿って、等角度間隔で設けられている。基板Wは、パターンが形成される被処理面を上側に向けた状態で、複数のチャックピン22に保持される。各チャックピン22は、基板Wの周縁部の下面および外周端面に接触し、スピンベース21の上面から僅かな空隙を介して上方の位置に、基板Wを支持する。
【0035】
スピンベース21の内部には、複数のチャックピン22の位置を切り替えるためのチャックピン切替機構23が設けられている。チャックピン切替機構23は、複数のチャックピン22を、基板Wを保持する保持位置と、基板Wの保持を解除する解除位置と、の間で切り替える。
【0036】
回転機構30は、基板保持部20を回転させるための機構である。回転機構30は、スピンベース21の下方に設けられたモータカバー31の内部に収容されている。
図2中に破線で示したように、回転機構30は、スピンモータ32と支持軸33とを有する。支持軸33は、鉛直方向に延び、その下端部がスピンモータ32に接続されるとともに、上端部がスピンベース21の下面の中央に固定される。スピンモータ32を駆動させると、支持軸33がその軸芯330を中心として回転する。そして、支持軸33とともに、基板保持部20および基板保持部20に保持された基板Wも、軸芯330を中心として回転する。
【0037】
処理液供給部40は、基板保持部20に保持された基板Wの上面に、処理液を供給する機構である。処理液供給部40は、上面ノズル41および下面ノズル42を有する。
図1および
図2に示すように、上面ノズル41は、ノズルアーム411と、ノズルアーム411の先端に設けられたノズルヘッド412と、ノズルモータ413とを有する。ノズルアーム411は、ノズルモータ413の駆動により、ノズルアーム411の基端部を中心として、水平方向に回動する。これにより、ノズルヘッド412を、基板保持部20に保持された基板Wの上方の処理位置(
図1中の二点鎖線の位置))と、処理液捕集部50よりも外側の退避位置(
図1中の実線の位置)との間で、移動させることができる。
【0038】
ノズルヘッド412は、処理液を供給するための給液部(図示省略)と接続されている。処理液には、例えば、SPM洗浄液(硫酸と過酸化水素水との混合液)、SC-1洗浄液(アンモニア水、過酸化水素水、純水の混合液)、SC-2洗浄液(塩酸、過酸化水素水、純水の混合液)、DHF洗浄液(希フッ酸)、純水(脱イオン水)などが使用される。ノズルヘッド412を処理位置に配置した状態で、給液部のバルブを開放すると、給液部から供給される処理液が、ノズルヘッド412から、基板保持部20に保持された基板Wの上面に向けて吐出される。
【0039】
なお、ノズルヘッド412は、処理液と加圧した気体とを混合して液滴を生成し、その液滴と気体との混合流体を基板Wに噴射する、いわゆる二流体ノズルであってもよい。また、1つの処理ユニット102に、複数本の上面ノズル41が設けられていてもよい。
【0040】
下面ノズル42は、スピンベース21の中央に設けられた貫通孔の内側に配置されている。下面ノズル42の吐出口は、基板保持部20に保持された基板Wの下面に対向する。下面ノズル42も、処理液を供給するための給液部に接続されている。給液部から下面ノズル42に処理液が供給されると、当該処理液が、下面ノズル42から基板Wの下面に向けて吐出される。
【0041】
処理液捕集部50は、使用後の処理液を捕集する部位である。
図2に示すように、処理液捕集部50は、内カップ51、中カップ52、および外カップ53を有する。内カップ51、中カップ52、および外カップ53は、図示を省略した昇降機構により、互いに独立して昇降移動することが可能である。
【0042】
内カップ51は、基板保持部20の周囲を包囲する円環状の第1案内板510を有する。中カップ52は、第1案内板510の外側かつ上側に位置する円環状の第2案内板520を有する。外カップ53は、第2案内板520の外側かつ上側に位置する円環状の第3案内板530を有する。また、内カップ51の底部は、中カップ52および外カップ53の下方まで広がっている。そして、当該底部の上面には、内側から順に、第1排液溝511、第2排液溝512、および第3排液溝513が設けられている。
【0043】
処理液供給部40の上面ノズル41および下面ノズル42から吐出された処理液は、基板Wに供給された後、基板Wの回転による遠心力で、外側へ飛散する。そして、基板Wから飛散した処理液は、第1案内板510、第2案内板520、および第3案内板530のいずれかに捕集される。第1案内板510に捕集された処理液は、第1排液溝511を通って、処理ユニット102の外部へ排出される。第2案内板520に捕集された処理液は、第2排液溝512を通って、処理ユニット102の外部へ排出される。第3案内板530に捕集された処理液は、第3排液溝513を通って、処理ユニット102の外部へ排出される。
【0044】
このように、この処理ユニット102は、処理液の排出経路を複数有する。このため、基板Wに供給された処理液を、種類毎に分別して回収できる。したがって、回収された処理液の廃棄や再生処理も、各処理液の性質に応じて別々に行うことができる。
【0045】
遮断板60は、乾燥処理などの一部の処理を行うときに、基板Wの表面付近における気体の拡散を抑制するための部材である。遮断板60は、円板状の外形を有し、基板保持部20の上方に、水平に配置される。
図2に示すように、遮断板60は、昇降機構61に接続されている。昇降機構61を動作させると、遮断板60は、基板保持部20に保持される基板Wの上面から上方へ離れた上位置と、上位置よりも基板Wの上面に接近した下位置との間で、昇降移動する。昇降機構61には、例えば、モータの回転運動をボールねじにより直進運動に変換する機構が用いられる。
【0046】
また、遮断板60の下面の中央には、乾燥用の気体(以下「乾燥気体」と称する)を吹き出す吹出口62が設けられている。吹出口62は、乾燥気体を供給する給気部(図示省略)と接続されている。乾燥気体には、例えば、加熱された窒素ガスが用いられる。
【0047】
上面ノズル41から基板Wに対して処理液を供給するときには、遮断板60は、上位置に退避する。処理液の供給後、基板Wの乾燥処理を行うときには、昇降機構61により、遮断板60が下位置に降下する。そして、吹出口62から基板Wの上面に向けて、乾燥気体が吹き付けられる。このとき、遮断板60により、気体の拡散が防止される。その結果、基板Wの上面に乾燥気体が効率よく供給される。
【0048】
第1カメラ71~第3カメラ73は、チャンバ10内における所定の領域を撮像する機構である。第1カメラ71~第3カメラ73は、撮像領域Aにおいて発生する所定のイベントを含む動画を撮像する。なお、処理ユニット102が備えるカメラの数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0049】
第1カメラ71~第3カメラ73は、例えば、チャンバ10の側壁12の内面に近接した位置に設置される。
図2に示すように、第1カメラ71~第3カメラ73は、それぞれカバー74~76に覆われている。これにより、第1カメラ71~第3カメラ73は、処理液および処理液の揮発により発生する気体から保護される。
【0050】
図3は、後述する第1実施形態における、第1カメラ71~第3カメラ73による撮像の様子を、概念的に示した図である。第1実施形態では、第1カメラ71~第3カメラ73は、ノズルヘッド412を含む所定の撮像領域Aにおいて、ノズルヘッド412が移動する様子を撮像する。
【0051】
図4は、後述する第2実施形態における、第1カメラ71~第3カメラ73による撮像の様子を、概念的に示した図である。第2実施形態では、処理ユニット102は、発光部90を備える。発光部90は、第1カメラ71~第3カメラ73に対して瞬間的に光を発する機構である。第2実施形態では、第1カメラ71~第3カメラ73は、発光部90が発する光を撮像する。
【0052】
なお、第1カメラ71~第3カメラ73により撮像された動画において、撮像領域Aにおける輝度の変化が記録されていれば、撮像領域Aに発光部90が含まれていても、含まれていなくてもよい。
【0053】
これにより、第1実施形態および第2実施形態ともに、第1カメラ71、第2カメラ72、および第3カメラ73は、それぞれ、第1動画M1、第2動画M2、および第3動画M3を取得する。そして、第1カメラ71~第3カメラ73は、得られた第1動画M1~第3動画M3を、コンピュータ80へ送信する。なお、第1動画M1~第3動画M3は、本発明の「撮像データ」に相当する。
【0054】
コンピュータ80は、処理ユニット102内の各部を動作制御する。
図5は、コンピュータ80と、処理ユニット102内の各部との電気的接続を示したブロック図である。
図5中に概念的に示したように、コンピュータ80は、CPU等のプロセッサ81、RAM等のメモリ82、ハードディスクドライブ等の記憶部83、および制御部84を有する。
【0055】
図5に示すように、コンピュータ80は、上述したチャックピン切替機構23、スピンモータ32、ノズルモータ413、処理液供給部40のバルブ、処理液捕集部50の昇降機構、遮断板60の昇降機構61、および第1カメラ71~第3カメラ73と、それぞれ有線または無線により通信可能に接続されている。
【0056】
記憶部83には、処理ユニット102の各部を動作制御するためのコンピュータプログラムであるプログラムPが記憶されている。
【0057】
また、記憶部83には、第1基準画像RI1、第2基準画像RI2、および第3基準画像RI3が記憶されている。第1基準画像RI1~第3基準画像RI3は、後述する時間同期処理において、後述する第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3を検出するための基準として用いられる。第1基準画像RI1~第3基準画像RI3の詳細については、後述する。
【0058】
制御部84は、プロセッサ81が記憶部83に記憶されたプログラムPを読み出してメモリ82に展開し、プログラムPに従って処理を実行することにより実現される。制御部84は、基板処理制御部841および時刻同期部842を有する。
【0059】
基板処理制御部841は、処理ユニット102において基板Wの処理を実行する。処理ユニット102における基板Wの処理の詳細は、後述する。
【0060】
時刻同期部842は、第1動画M1~第3動画M3にそれぞれ付された時刻を同期させる時刻同期処理を実行する。時刻同期処理の詳細は、後述する。
【0061】
時刻同期部842による時刻同期処理が行われた後、制御部84は、時刻同期処理によって時刻が同期された第1動画M1~第3動画M3に基づいて、処理ユニット102における各部の動作を制御する。
【0062】
<3.基板処理装置の動作>
次に、基板処理制御部841により実行される、処理ユニット102における基板Wの処理について、説明する。
図6は、基板Wの処理手順を示すフローチャートである。
【0063】
処理ユニット102において基板Wを処理するときには、まず、主搬送ロボット103が、処理対象となる基板Wを、チャンバ10内に搬入する(ステップS101)。チャンバ10内に搬入された基板Wは、基板保持部20の複数のチャックピン22により、水平に保持される。その後、回転機構30のスピンモータ32を駆動させることにより、基板Wの回転を開始させる(ステップS102)。具体的には、支持軸33、スピンベース21、複数のチャックピン22、およびチャックピン22に保持された基板Wが、支持軸33の軸芯330を中心として回転する。
【0064】
続いて、処理液供給部40からの処理液の供給を行う(ステップS103)。ステップS103では、ノズルモータ413の駆動により、ノズルヘッド412が、基板Wの上面に対向する処理位置へ移動する。そして、処理位置に配置されたノズルヘッド412から、処理液が吐出される。記憶部83には、処理液の吐出速度や吐出時間等のパラメータが、予め設定されている。基板処理制御部841は、当該設定に従って、上面ノズル41からの処理液の吐出動作を実行する。
【0065】
なお、ステップS103では、上面ノズル41から処理液を吐出しつつ、上面ノズル41を、処理位置において水平方向に揺動させてもよい。また、必要に応じて、下面ノズル42からの処理液の吐出を行ってもよい。
【0066】
ステップS103の処理液供給工程の間、遮断板60は、上面ノズル41よりも上方の上位置に配置されている。基板Wへの処理液の供給が完了し、上面ノズル41が退避位置に配置されると、コンピュータ80は、昇降機構61を動作させて、遮断板60を上位置から下位置へ移動させる。そして、スピンモータ32の回転数を上げて基板Wの回転を高速化するとともに、遮断板60の下面に設けられた吹出口62から基板Wへ向けて、乾燥用の気体を吹き付ける。これにより、基板Wの表面を乾燥させる(ステップS104)。
【0067】
基板Wの乾燥処理が終了すると、スピンモータ32を停止させて、基板Wの回転を止める。そして、複数のチャックピン22による基板Wの保持を解除する。その後、主搬送ロボット103が、処理後の基板Wを、基板保持部20から取り出して、チャンバ10の外部へ搬出する(ステップS105)。
【0068】
各処理ユニット102は、順次に搬送される複数の基板Wに対して、上述のステップS101~S105の処理を、繰り返し実行する。
【0069】
<4.時刻同期処理>
続いて、時刻同期部842が実行する時刻同期処理について説明する。時刻同期処理は、第1カメラ71~第3カメラ73が撮像した第1動画M1~第3動画M3にそれぞれ付されている時刻を同期させるための処理である。以下では、第1実施形態および第2実施形態における時刻同期処理の流れについて説明する。
【0070】
<4-1.第1実施形態>
図7は、第1実施形態における時刻同期処理の流れを示すフローチャートである。第1実施形態では、ノズルヘッド412が、撮像領域Aにおける所定の箇所を通過することを、「イベント」と定義する。第1実施形態では、第1カメラ71~第3カメラ73は、ステップS103におけるノズルヘッド412の移動動作を撮像し、第1動画M1~第3動画M3を取得する(ステップS201)。なお、ステップS201において撮像されるノズルヘッド412の移動動作は、ステップS103において行われるものでなくてもよい。例えば、ノズルヘッド412の移動動作は、ステップS101~S105が実行される前に、予め行われるものであってもよい。
【0071】
第1カメラ71~第3カメラ73は、ステップS201においてそれぞれ取得した第1動画M1、第2動画M2、および第3動画M3を、コンピュータ80に送信する。コンピュータ80に送信された第1動画M1~第3動画M3は、記憶部83に記憶される。
【0072】
次に、時刻同期部842は、記憶部83に記憶された第1動画M1~第3動画M3から、それぞれ、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3を検出する(ステップS202)。
図9は、第1動画M1~第3動画M3の構成を概念的に示した図である。
図9に示すように、第1動画M1は、微小な時間間隔で撮像された複数のフレーム画像F1(F11,F12,…)により構成されている。第2動画M2および第3動画M3も同様に、複数のフレーム画像F2(F21,F22,…)および複数のフレーム画像F3(F31,F32,…)により構成されている。なお、フレーム画像F1~フレーム画像F3は、本発明の「撮像画像」に相当する。
【0073】
ステップS202では、記憶部83に記憶されている第1基準画像RI1~第3基準画像RI3に基づいて、第1動画M1~第3動画M3から、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3を検出する。
【0074】
第1基準画像RI1~第3基準画像RI3には、第1実施形態において「イベント」と定義した、ノズルヘッド412が撮像領域Aにおいて所定の箇所を通過する瞬間が記録されている。なお、第1基準画像RI1は、第1動画M1と同じ撮像範囲および同じ撮像角度で撮像されている。また、第2基準画像RI2は、第2動画M2と同じ撮像範囲および同じ撮像角度で撮像されている。また、第3基準画像RI3は、第3動画M3と同じ撮像範囲および同じ撮像角度で撮像されている。
【0075】
時刻同期部842は、複数のフレーム画像F1のそれぞれと、第1基準画像RI1とを、各画像の所定の領域について比較する。そして、時刻同期部842は、第1基準画像RI1と最も類似するフレーム画像を、第1イベント画像EI1として検出する。
図9に示す例では、フレーム画像F12が、第1イベント画像EI1として検出されている。
【0076】
第1動画M1と同様にして、第2動画M2および第3動画M3からも、第2イベント画像EI2および第3イベント画像EI3がそれぞれ検出される。
図9に示す例では、フレーム画像F23およびフレーム画像F35が、それぞれ第2イベント画像EI2および第3イベント画像EI3として検出されている。
【0077】
なお、ステップS202では、時刻同期部842は、例えば物体検出アルゴリズムといった所定の画像処理技術を用いて、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3を検出してもよい。
【0078】
図10は、時刻情報の補正が行われた後の動画の構成を概念的に示した図である。ステップS202の後、時刻同期部842は、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3に付された時刻に基づいて、第1動画M1~第3動画M3に付された時刻を同期させる(ステップS203)。なお、第1動画M1~第3動画M3に付された時刻とは、例えば、第1カメラ71~第3カメラ73のそれぞれの内部時計に基づく時刻情報である。
【0079】
具体的には、まず、時刻同期部842は、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3のうち、最も遅い時刻が付された画像を、時刻同期の基準として選択する。例えば、
図9に示す例では、時刻同期部842は、第3イベント画像EI3を基準として選択する。
【0080】
そして、時刻同期部842は、第1イベント画像EI1および第2イベント画像EI2に付された時刻が、第3イベント画像EI3に付された時刻と一致するように、第1動画M1に付された時刻および第2動画M2に付された時刻を補正する。これにより、
図10に示すように、第1動画M1~第3動画M3に付された時刻が同期される。
【0081】
なお、各処理ユニット102が、順次に搬送される複数の基板Wに対してステップS102を繰り返し実行するたびに、ステップS201~ステップS203を繰り返し実行してもよい。または、所定のタイミングでノズルヘッド412を動作させた後でステップS201~ステップS203を実行する処理を、所定の時間間隔で繰り返し実行してもよい。これにより、所定の時間間隔において、第1動画M1~第3動画M3に付された時刻を同期させることができる。したがって、継続的に、第1動画M1~第3動画M3間における時刻を同期させることができる。
【0082】
<4-2.第2実施形態>
図8は、第2実施形態における時刻同期処理の流れを示すフローチャートである。第2実施形態では、第1動画M1~第3動画M3における所定の領域の輝度が所定の閾値に到達することを、「イベント」と定義する。第2実施形態では、まず、第1カメラ71~第3カメラ73は、撮像領域Aにおける動画を撮像する(ステップS301)。
【0083】
発光部90は、ステップS301が実行されている間の任意のタイミングで、瞬間的に発光する。これにより、第1動画M1~第3動画M3には、発光部90から発せられる光が記録される。第1カメラ71~第3カメラ73は、それぞれ取得した第1動画M1~第3動画M3を、コンピュータ80に送信する。コンピュータ80に送信された第1動画M1~第3動画M3は、記憶部83に記憶される。
【0084】
次に、時刻同期部842は、記憶部83に記憶された第1動画M1~第3動画M3から、それぞれ、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3を検出する(ステップS302~ステップS304)。
【0085】
ステップS302~ステップS304の具体的な手順を、第1動画M1を例に挙げて説明する。まず、時刻同期部842は、第1動画M1を構成する複数のフレーム画像F1のうち、所定の領域における画素の輝度が所定の閾値以上である画像を抽出する(ステップS302)。以下では、ステップS302において抽出された画像を、「抽出画像」とする。
【0086】
抽出画像が1つのみである場合(ステップS303:No)、時刻同期部842は、当該抽出画像を、イベント画像EIとして検出する。
【0087】
このとき、発光部90による発光時間、または閾値の値によっては、連続した複数のフレーム画像F1が抽出される場合がある。すなわち、この場合、第1動画M1において、複数の抽出画像にイベントが記録されている。抽出画像が複数存在する場合(ステップS303:Yes)、時刻同期部842は、複数の抽出画像の中から、1つの抽出画像を選択し、第1イベント画像EI1として検出する(ステップS304)。
【0088】
例えば、時刻同期部842は、複数の抽出画像における所定の領域の輝度に基づいて、第1イベント画像EI1を選択してもよい。具体的には、時刻同期部842は、複数の抽出画像において所定の領域を構成する、複数の画素の輝度の平均値が最も高い1つの抽出画像を、第1イベント画像EI1として選択してもよい。
【0089】
または、時刻同期部842は、複数の抽出画像にそれぞれ付された時刻に基づいて、第1イベント画像EI1を選択してもよい。具体的には、時刻同期部842は、複数の抽出画像にそれぞれ付された時刻の平均値に最も近い時刻が付された1つの抽出画像を、第1イベント画像EI1として選択してもよい。
【0090】
時刻同期部842は、第2動画M2および第3動画M3に対しても、第1動画M1と同様に、ステップS302~ステップS304を実行することにより、第2イベント画像EI2および第3イベント画像EI3をそれぞれ検出する。
【0091】
次に、時刻同期部842は、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3に付された時刻に基づいて、第1動画M1~第3動画M3に付された時刻を同期させる(ステップS305)。ステップS305の内容は、第1実施形態のステップS203と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
なお、発光部90は、所定の時間間隔において周期的に発光してもよい。この場合、時刻同期部842は、ステップS302~ステップS305を、周期的に実行する。これにより、所定の時間間隔において、第1動画M1~第3動画M3に付された時刻を同期させることができる。したがって、継続的に、第1動画M1~第3動画M3間における時刻を同期させることができる。
【0093】
以上のように、この基板処理装置100では、複数の動画Mそれぞれから、所定のイベントが撮像されたフレーム画像Fを、イベント画像EIとして検出する。そして、動画Mごとのイベント画像EIに付された時刻に基づいて、複数の動画M間における時刻を同期させる。これにより、基板処理装置100と外部ネットワークとの通信を行うことなく、複数の動画M間における時刻同期を行うことができる。
【0094】
なお、第1実施形態のステップS202において、1つの動画Mに対してイベント画像EIに該当する画像が複数検出された場合、当該複数の画像を抽出画像として、第2実施形態のステップS304と同様の手順で、1つのイベント画像EIを検出してもよい。具体的には、時刻同期部842は、ステップS202で抽出された複数の抽出画像にそれぞれ付された時刻の平均値に最も近い時刻が付された1つの抽出画像を、イベント画像EIとして選択してもよい。
【0095】
なお、第2実施形態では、第1実施形態におけるステップS202と同様の手順により、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3を検出してもよい。この場合、時刻同期部842は、発光部90が発光した瞬間がそれぞれ記録された第1基準画像RI1~第3基準画像RI3に基づいて、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3を検出してもよい。
【0096】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0097】
上記の実施形態では、基板処理装置100を撮像した複数の動画Mにおける時刻を同期させていた。しかしながら、本開示における時刻同期方法は、種々の装置に対して適用することができる。例えば、印刷装置に対して、本開示の時刻同期方法を適用してもよい。この場合、例えば、記録媒体に印刷された所定のレジストマークが所定の箇所を通過することを、「イベント」として定義してもよい。
【0098】
上記の第1実施形態では、ノズルアーム411が、撮像領域Aにおける所定の箇所を通過することが、「イベント」と定義されていた。また、上記の第2実施形態では、第1動画M1~第3動画M3における所定の領域の輝度が所定の閾値に到達することが、「イベント」と定義されていた。しかしながら、イベントの内容は上記の実施形態において定義されたものに限られない。例えば、イベントは、ノズルヘッド412が処理液を吐出する動作など、基板処理装置100による所定の動作であってもよい。または、イベントは、発光部90が発する光の光量の変化または色彩の変化により、第1動画M1~第3動画M3における所定の領域の画素値が変化したことでもよい。
【0099】
上記の実施形態では、第1カメラ71~第3カメラ73は、第1動画M1~第3動画M3を、処理ユニット102に備えられたコンピュータ80に送信していた。そして、コンピュータ80の時刻同期部842により、時刻同期処理が実行されていた。しかしながら、第1カメラ71~第3カメラ73は、それぞれ、第1動画M1~第3動画M3を処理するためのコンピュータを備えていてもよい。第1カメラ71~第3カメラ73に備えられた各コンピュータは、第1実施形態におけるステップS201~S202または第2実施形態におけるステップS301~S304を、各動画M1~M3に対して実行した後に、コンピュータ80へ第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3および各動画M1~M3を、それぞれ送信してもよい。その後、ステップS203またはS305が、時刻同期部842により実行されてもよい。
【0100】
上記の実施形態では、第1カメラ71~第3カメラ73は、それぞれ、第1動画M1~第3動画M3を撮像していた。しかしながら、第1カメラ71~第3カメラ73は、所定の時間間隔で複数の画像を断続的に撮像してもよい。この場合、時刻同期処理において、時刻同期部842は、第1カメラ71~第3カメラ73がそれぞれ撮像した複数の画像の群から、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3をそれぞれ検出してもよい。そして、時刻同期部842は、第1イベント画像EI1~第3イベント画像EI3に付された時刻に基づいて、複数の画像の群に付された時刻を同期させてもよい。
【0101】
上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0102】
40 :処理液供給部
41 :上面ノズル
71 :第1カメラ
72 :第2カメラ
73 :第3カメラ
90 :発光部
100 :基板処理装置
411 :ノズルアーム
412 :ノズルヘッド
413 :ノズルモータ
841 :基板処理制御部
842 :時刻同期部
A :撮像領域
EI1 :第1イベント画像
EI2 :第2イベント画像
EI3 :第3イベント画像
F1 :フレーム画像
F2 :フレーム画像
F3 :フレーム画像
M1 :第1動画
M2 :第2動画
M3 :第3動画
RI1 :第1基準画像
RI2 :第2基準画像
RI3 :第3基準画像
W :基板