IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イノアック住環境の特許一覧

<>
  • 特開-継手の検査装置及び継手の製造方法 図1
  • 特開-継手の検査装置及び継手の製造方法 図2
  • 特開-継手の検査装置及び継手の製造方法 図3
  • 特開-継手の検査装置及び継手の製造方法 図4
  • 特開-継手の検査装置及び継手の製造方法 図5
  • 特開-継手の検査装置及び継手の製造方法 図6
  • 特開-継手の検査装置及び継手の製造方法 図7
  • 特開-継手の検査装置及び継手の製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040812
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】継手の検査装置及び継手の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/04 20060101AFI20240318BHJP
   G01M 13/00 20190101ALI20240318BHJP
   F16L 21/08 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G01M3/04 G
G01M13/00
F16L21/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145407
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】508321823
【氏名又は名称】株式会社イノアック住環境
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】進 一寛
【テーマコード(参考)】
2G024
2G067
3H015
【Fターム(参考)】
2G024AA21
2G024BA08
2G024CA16
2G024DA15
2G024FA02
2G024FA06
2G024FA15
2G067AA16
2G067BB02
2G067BB03
2G067CC04
2G067DD02
3H015FA08
(57)【要約】
【課題】継手のリークテストと共に、継手の接続テストを行う。
【解決手段】継手10は、本体部材12と取付部材14とを組み合わせてある。検査装置40は、継手10の本体部材12が設置される第1設置部42と、継手10の取付部材14が設置される第2設置部44とを備えている。検査装置40は、継手10の内部を加圧する加圧手段66を備えている。検査装置40において、第1設置部42及び第2設置部44の少なくとも一方が、取付部材14に対する本体部材12の挿脱方向へ移動可能である。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に外溝が設けられた第1部材と、前記第1部材が挿入され、内周面に内溝が設けられた第2部材と、前記外溝及び前記内溝に配置された止め輪と、を備える継手の検査装置であって、
前記第1部材が設置される第1設置部と、
前記第2部材が設置される第2設置部と、
前記継手の内部を加圧する加圧手段と、を備え、
前記第1設置部及び前記第2設置部の少なくとも一方が、前記第2部材に対する前記第1部材の挿脱方向へ移動可能である
ことを特徴とする継手の検査装置。
【請求項2】
前記第1設置部に設置された前記第1部材の第1開口を開閉する第1封止部と、
前記第2設置部に設置された前記第2部材の第2開口を開閉する第2封止部と、を有している請求項1記載の継手の検査装置。
【請求項3】
前記第1設置部及び前記第2設置部が所定間隔を越えて遠ざかることを制限する移動制限部を備えている請求項1又は2記載の継手の検査装置。
【請求項4】
外周面に外溝が設けられた第1部材と、前記第1部材が挿入され、内周面に内溝が設けられた第2部材と、前記外溝及び前記内溝に配置された止め輪と、を備える継手の製造方法であって、
前記第2部材に前記第1部材を挿入する嵌合工程と、
嵌合された前記第1部材及び前記第2部材を、前記第2部材に対する前記第1部材の挿脱方向へ相対的に移動可能である別々の設置部に設置し、
前記第1部材の開口及び前記第2部材の開口を封止した状態で、前記継手の内部を加圧し、前記継手内の圧力の変動を測定する検査工程と、を備える
ことを特徴とする継手の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、継手の検査装置及び継手の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、ホースに接続する内筒部が、本体(エルボ管)に対して回転可能になっている継手がある。特許文献1の継手は、外筒部の内側に外側環状溝を有する本体と、外側に内側環状溝を有する内筒部とを備え、外筒部の内側に内筒部を挿入した際に互いに対向する外側環状溝と内側環状溝との両方に、C形状の係合リングが嵌まっている。特許文献1の継手は、係合リングが外側環状溝と内側環状溝との両方に引っ掛かることで、本体と内筒部とが抜け止めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-229259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した継手では、外筒部と内筒部との間が適切に封止されているか否かのリークテストと、係合リングが外側環状溝と内側環状溝との両方に嵌まっているか否かの接続テストとを求められることがある。このように、2つのテストを行うことは手間がかかる。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、継手のリークテストと共に、継手の接続テストを行うことができる継手の検査装置及び継手の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る継手の検査装置の第1態様は、
外周面に外溝が設けられた第1部材と、前記第1部材が挿入され、内周面に内溝が設けられた第2部材と、前記外溝及び前記内溝に配置された止め輪と、を備える継手の検査装置であって、
前記第1部材が設置される第1設置部と、
前記第2部材が設置される第2設置部と、
前記継手の内部を加圧する加圧手段と、を備え、
前記第1設置部及び前記第2設置部の少なくとも一方が、前記第2部材に対する前記第1部材の挿脱方向へ移動可能であることを要旨とする。
【0007】
本発明に係る継手の検査装置の第2態様は、前記第1態様において、
前記第1設置部に設置された前記第1部材の第1開口を開閉する第1封止部と、
前記第2設置部に設置された前記第2部材の第2開口を開閉する第2封止部と、を有していてもよい。
【0008】
本発明に係る継手の検査装置の第3態様は、前記第1態様又は前記第2態様において、
前記第1設置部及び前記第2設置部が所定間隔を越えて遠ざかることを制限する移動制限部を備えていてもよい。
【0009】
本発明に係る継手の製造方法の一態様は、
外周面に外溝が設けられた第1部材と、前記第1部材が挿入され、内周面に内溝が設けられた第2部材と、前記外溝及び前記内溝に配置された止め輪と、を備える継手の製造方法であって、
前記第2部材に前記第1部材を挿入する嵌合工程と、
嵌合された前記第1部材及び前記第2部材を、前記第2部材に対する前記第1部材の挿脱方向へ相対的に移動可能である別々の設置部に設置し、
前記第1部材の開口及び前記第2部材の開口を封止した状態で、前記継手の内部を加圧し、前記継手内の圧力の変動を測定する検査工程と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る継手の検査装置によれば、継手のリークテストと共に、継手の接続テストを行うことができる。
本発明に係る継手の製造方法によれば、継手のリークテストと共に、継手の接続テストを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る製造方法で製造される継手を示す正面図である。なお、左半分は、断面を示している。
図2】実施例の継手の要部を分解して示す正面図である。なお、左半分は、断面を示している。
図3】実施例の止め輪を示す平面図である。
図4】実施例の検査装置を示す平面図であり、継手の開口を封止する前を示す。
図5】実施例の検査装置を示す平面図であり、継手の開口を封止した状態を示す。
図6】実施例の検査装置の要部を示す横断面図である。
図7】実施例の検査装置を示す平面図であり、継手の接続異常がある場合を示す。
図8】実施例の検査装置を示す縦断面図であり、(a)は継手の接続が正常である場合であり、(b)は継手の接続異常がある場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る継手の検査装置及び継手の製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0013】
図1に示すように、実施例に係る継手10は、スプリンクラー設備の中で、給水配管とスプリンクラーヘッドとの間に設けられるヘッダーと呼ばれるものを例示している。継手10は、本体部材12と、本体部材12に取り付けられた取付部材14とを備えている。継手10において、本体部材12の一部が取付部材14に挿入されて、本体部材12と取付部材14とが嵌め合わせられている。以下の説明において、本体部材12及び取付部材14とが分離状態から相対的に嵌まる向きに沿う直線が延びる方向を挿脱方向という。挿脱方向において、本体部材12が取付部材14へ嵌合する向きを挿入向きといい、本体部材12が取付部材14から外れる向きを抜出向きという場合がある。本体部材12と取付部材14とは、互いの嵌合部分の中央を挿脱方向へ通る回転中心線を回転中心として、相対的に回転可能になっている。本体部材12と取付部材14とが相対的に回転可能になっている。なお、実施例の本体部材12が、本発明の第1部材に対応し、実施例の取付部材14が、本発明の第2部材に対応している。
【0014】
図1に示すように、本体部材12は、取付部材14に挿入される挿入部16と、スプリンクラーヘッドに繋がる配管が接続される接続部18とを有している。実施例の挿入部16は、筒形状の本体部材12において挿脱方向の一端部に設けられている。挿入部16の外周面には、止め輪22が配置される外溝20が形成されている(図2参照)。外溝20は、円筒形状の挿入部16の外周面全周に亘って、半径方向内側へ凹むように形成されている。本体部材12における挿入部16の根元側には、挿入部16よりも半径方向外側へ張り出した鍔部24が設けられている。実施例の本体部材12は、本体部材12における挿入部16と反対側の端部に設けられた接続部18と、本体部材12の周面に設けられた接続部18とを有している。実施例において、本体部材12の周面には、本体部材12の回転中心線を挟んで対称な位置関係で配置された接続部18の組が、挿脱方向に離して2組設けられている。このように、継手10は、上流側の給水配管から供給される水を、接続部18で複数の経路に分岐可能である。本体部材12の材質は特に限定されないが、実施例の本体部材12は、合成樹脂の成形品である。
【0015】
図1に示すように、取付部材14は、基本形状が筒状である。取付部材14における挿脱方向の一方には、本体部材12の挿入部16が挿入される受入部26が設けられている。また、取付部材14における挿脱方向の他方には、給水配管が接続される配管取付部28が設けられている。受入部26の内周面には、止め輪22が配置される内溝30が形成されている(図2参照)。内溝30は、円筒形の受入部26の内周面全周に亘って、半径方向外側へ凹むように形成されている。受入部26の内周面には、Oリング34が配置されるシール溝32が設けられている。シール溝32に配置したOリング34が、受入部26に挿入した挿入部16の外周面に当たり、受入部26と挿入部16との間を封止する。なお、実施例のシール溝32は、受入部26における挿入部16の受け入れ口から、内溝30よりも遠くにある。取付部材14の材質は特に限定されないが、実施例の取付部材14は、金属の鋳造品であり、配管取付部28の内周面にネジ溝が形成されている。
【0016】
図1に示すように、止め輪22は、挿入部16の外溝20及び受入部26の内溝30に配置される。継手10において、止め輪22が外溝20及び内溝30の両方に渡って配置されていることで、止め輪22が外溝20及び内溝30に引っ掛かって、本体部材12と取付部材14との挿脱方向の相対的な移動が規制される。図3に示すように、止め輪22は、円環の一部が切れた形状である。止め輪22は、外力が加わっていない自然な状態から半径方向内側へ外力が加わると、端部間が狭くなるように弾力的に変形する。実施例の止め輪22は、力が加わっていない自然な状態で、挿入部16の外周面より大径である。止め輪22の材質は特に限定されないが、実施例の止め輪22は、断面形状が円形である金属製である。
【0017】
次に、実施例に係る継手10の検査装置40について説明する。図4図5及び図7に示すように、実施例の検査装置40は、継手10の本体部材12が設置される第1設置部42と、継手10の取付部材14が設置される第2設置部44とを備えている。このように、検査装置40において、継手10において互いに組み合わさった本体部材12と取付部材14とが、別々の設置部42,44にセット可能になっている。また、第1設置部42及び第2設置部44の少なくとも一方が、取付部材14に対する本体部材12の挿脱方向へ移動可能になっている。第1設置部42と第2設置部44とが相対的に近づく向きが、前記挿入向きに対応し、第1設置部42と第2設置部44とが相対的に遠ざかる向きが、前記抜出向きに対応する。実施例では、第1設置部42が挿脱方向へ移動可能であり、第2設置部44が固定されている。
【0018】
図7に示すように、第1設置部42は、ベース41の上に設けられている。第1設置部42は、ベース41との間に配置されたスライダ46に支持されており、ベース41に沿って直線的に往復移動可能である。第1設置部42は、基本位置(図4及び図5参照)で用いられ、本体部材12が取付部材14から抜け出す異常状態が生じたときに、基本位置から抜出向きへ移動する(図7及び図8(b)参照)。図4図5及び図7に示すように、第1設置部42の中央部には、本体部材12の胴部分を支持するベッド48が設けられている。ベッド48の一端部には、本体部材12の胴部分に合わせて半円弧状に形成された凹部50aを有する受壁部50が設けられている(図6及び図8参照)。受壁部50は、ベッド48に設置された本体部材12の鍔部24と挿脱方向に重なり、ベッド48に対する本体部材12の抜出向きへの移動を規制可能である。第1設置部42は、本体部材12の胴部分を位置決めする位置決め壁部52を備えている。第1設置部42には、2つの位置決め壁部52,52がベッド48を挟んで配置されている。実施例の位置決め壁部52は、本体部材12の胴部分において挿脱方向に隣り合う接続部18,18の間に配置されている。位置決め壁部52は、ベッド48に設置された本体部材12の接続部18と挿脱方向に重なり、継手10における本体部材12の挿脱方向の移動を規制可能である。このように、第1設置部42は、本体部材12に取付部材14から抜出向きへ力が加わった場合に本体部材14と引っ掛かる受け部として、受壁部50と位置決め壁部52とを有している。
【0019】
図7に示すように、実施例の第2設置部44は、第1設置部42の隣りに配置して、ベース41の上に固定されている。第2設置部44は、取付部材14の周面に合わせて半円弧状に形成された設置凹部44aを有している(図8参照)。また、第2設置部44は、設置凹部44aに設置された取付部材14の挿脱方向への移動を規制する規制壁部44bを備えている(図6及び図8参照)。規制壁部44bは、設置凹部44aにおける第1設置部42側の一縁に立ち上がるように形成されている。規制壁部44bは、設置凹部44aに配置された取付部材14の受入部26の端面と挿脱方向に重なるように配置される。このように、第2設置部44は、取付部材14を移動規制する固定部として、規制壁部44bを有している。
【0020】
図4図5及び図7図8に示すように、検査装置40は、第2設置部44に配置された取付部材14を押さえる押さえ部54を備えていてもよい。実施例の押さえ部54は、第2設置部44の上側から外れた退避位置(図4参照)と、第2設置部44の設置凹部44aの上側に配置された押さえ位置(図5参照)との間で移動可能である。押さえ部54は、押さえ位置において、設置凹部44aとの間に取付部材14を挟む。押さえ部54を移動させて押さえ位置で保持する機構としては、トグルクランプやねじ機構などを用いて手動で行っても、モータやシリンダなどのアクチュエータを用いて自動で行っても、何れであってもよい。
【0021】
図4図5及び図7図8に示すように、検査装置40は、第1設置部42及び第2設置部44を近接配置した基本位置で位置決めする位置決め部56を備えている。第1設置部42及び第2設置部44の基本位置は、本体部材12が取付部材14に所定位置まで挿入された嵌合状態で、本体部材12が第1設置部42に設置可能であると共に、取付部材14が第2設置部44に設置可能である位置に設定されている。実施例の位置決め部56は、第1設置部42に対して第2設置部44側に設けられ、第1設置部42が基本位置を越えて第2設置部44に近づくことを規制する。
【0022】
図4図5及び図7図8に示すように、検査装置40は、第1設置部42及び第2設置部44が所定間隔を越えて相対的に遠ざかる方向の移動を制限する移動制限部58を備えている。第1設置部42及び第2設置部44が、基本位置から所定間隔離れるまで移動可能であるが、移動制限部58によって第1設置部42及び第2設置部44が所定間隔よりも離れないようになっている。実施例の移動制限部58は、第1設置部42に対して第2設置部44と反対側に設けられ、第1設置部42が所定間隔を越えて第2設置部44から遠ざかることを規制する。ここで、移動制限部58によって第1設置部42の移動制限する所定間隔としては、本体部材12が取付部材14から完全に抜け出す距離であってもよいが、実施例において、所定間隔が、本体部材12の挿入部16全体が取付部材14の受入部26から抜けない程度に設定することが好ましい。なお、符号60は、第1設置部42を左右から挟んで、第1設置部42の移動経路を安定させる経路案内部である。
【0023】
検査装置40は、継手10にあいている開口18a,28aを閉じる封止部62,64を備えていてもよい。図4図6に示すように、実施例の検査装置40は、継手10における本体部材12の第1開口18aを開閉する第1封止部62と、継手10における取付部材14の配管取付部28の第2開口28aを開閉する第2封止部64とを備えている。実施例では、本体部材14において挿入部16と反対側の端部に設けられた接続部18にキャップ36を取り付けて、第1開口18aをキャップ36で封止している。
【0024】
図8に示すように、第1封止部62は、第1設置部42に設けられ、第1設置部42と共に移動する。図6及び図8に示すように、実施例の第1封止部62は、本体部材12の第1開口18aに被さる封止キャップ62aを備えている。実施例の検査装置40は、ベッド48を挟んで2基の第1封止部62,62を備え、各第1封止部62に2つの封止キャップ62a,62aが設けられている。封止キャップ62aの内周面には、ゴム等の弾性体製のシール材63が設置されており、シール材63によって封止キャップ62aに嵌まった接続部18の外周を封止する。第1封止部62は、ベッド48から遠ざかった退避位置(図4参照)と、ベッド48に近づいた封止位置(図5参照)との間で移動可能である。第1封止部62は、退避位置において封止キャップ62aがベッド48に配置された本体部材12の接続部18から離れる。また、第1封止部62は、封止位置において封止キャップ62aがベッド48に配置された本体部材12の接続部18に嵌まる。第1封止部62を移動させて封止位置で保持する機構としては、トグルクランプやねじ機構などを用いて手動で行っても、モータやシリンダなどのアクチュエータを用いて自動で行っても、何れであってもよい。
【0025】
図4図7に示すように、実施例の第2封止部64は、第2設置部44から遠ざかった退避位置(図4参照)と、第2設置部44に近づいた封止位置(図5参照)との間で移動可能である。第2封止部64は、退避位置において第2設置部44に配置された取付部材14から離れる。また、第2封止部64は、封止位置において第2設置部44に配置された取付部材14における配管取付部28の端面に突き当たって、第2開口28aを塞ぐ。第2封止部64を移動させて封止位置で保持する機構としては、トグルクランプやねじ機構などを用いて手動で行っても、モータやシリンダなどのアクチュエータを用いて自動で行っても、何れであってもよい。実施例の第2封止部64は、取付部材14に当たる面が、ゴム等の弾性体で形成されている。
【0026】
図4及び図5に示すように、検査装置40は、継手10の内部を加圧する加圧手段66を備えている。実施例の加圧手段66は、コンプレッサ等の空気供給源からチューブ66aを介して第2封止部64に空気を供給し、中空の第2封止部64を通して第2開口28aから継手10の内部に空気を導入し、継手10の内部の空気圧を上げる(図8参照)。図4及び図5に示すように、検査装置40は、継手10の内部の圧力変動を測定する測定手段68を備えている。測定手段68は、圧力計など、圧力の変動を検出できるものを用いることができる。また、検査装置40は、画面表示や音声出力などで、測定結果や検査結果を報知可能な報知手段(図示せず)を備えていてもよい。
【0027】
次に、実施例に係る継手10の製造方法について説明する。実施例の製造方法は、取付部材14に本体部材12を挿入する嵌合工程と、本体部材12と取付部材14とを別々の設置部42,44に設置したもとで、継手10の内部を加圧し、継手10内の圧力の変動を測定する検査工程とを備えている。
【0028】
嵌合工程について具体的に説明する。止め輪22を本体部材12における挿入部16の外溝20に配置し、Oリング34を本体部材12における挿入部16のシール溝32に配置する。本体部材12の挿入部16を取付部材14の受入部26に挿入すると、縮径した止め輪22が取付部材14の内側に入る。挿入部16の外溝20と受入部26の内溝30との位置が揃うまで、本体部材12を取付部材14に挿入すると、止め輪22が弾力的に拡径し、止め輪22が外溝20及び内溝30に配置される。
【0029】
次に、嵌合された本体部材12及び取付部材14を、検査装置40にセットする。このとき、第1設置部42を基本位置にすると共に、第1封止部62、第2封止部64及び押さえ部54を退避位置にすることで、設置部42,44への継手10のセットの邪魔にならないようにしておく(図4参照)。継手10の本体部材12を第1設置部42のベッド48に配置し、継手10の取付部材14を第2設置部44に配置する。このとき、取付部材14の受入部26を第2設置部44の設置凹部44aに配置する。本体部材12を受壁部50の凹部50aに嵌めることで、本体部材12の左右方向の位置が定まる。本体部材12の鍔部24を、第1設置部42の受壁部50と第2設置部44との間に配置することで、本体部材12の挿脱方向の位置が定まる。また、取付部材14を第2設置部44の設置凹部44aに嵌めることで、取付部材14の左右方向の位置が定まり、取付部材14の端面が規制壁部44bに引っ掛かって、取付部材14の挿脱方向の位置が定まる。更に、本体部材12をベッド48に配置するとき、ベッド48を挟んで配置された2つの位置決め壁部52,52に案内されて、本体部材12の左右方向の位置が定まる。挿脱方向に隣り合う接続部18が、位置決め壁部52の傾斜面に案内されて、本体部材12の挿脱方向の位置が定まる。
【0030】
取付部材14の挿脱方向の位置基準となる規制壁部44bと、本体部材12の挿脱方向の位置基準となる受壁部50とが、取付部材14に本体部材12を適切に挿入した場合の間隔(外溝20と内溝30との位置が揃っている状態)で設定するとよい。このようにすることで、規制壁部44bに取付部材14が干渉したり、受壁部50に本体部材12の鍔部24が干渉したりする場合、本体部材12と取付部材14とが適切に組み付けられていないことが判る。このように検査装置40は、継手10を検査装置40に配置できるか否かによっても、継手10の接続異常を検査することができる。
【0031】
次に、継手10の開口18a,28aを封止する。第1封止部62を退避位置から封止位置に移動し、封止キャップ62aを接続部18に嵌め合わせて、本体部材12の第1開口18aを封止キャップ62aで塞ぐ(図5参照)。また、第2封止部64を退避位置から封止位置に移動し、第2封止部64を取付部材14の配管取付部28に突き当てて、取付部材14の第2開口28aを塞ぐ(図5参照)。これにより、取付部材14が、第2封止部64と第2設置部44の規制壁部44bとの間に挟まれて、挿脱方向に位置決めされる。なお、開口18a,28aの封止順序は、どのようであってもよい。このように、第1設置部42に設置された本体部材12の第1開口18aを開閉する第1封止部62と、第2設置部44に設置された取付部材14の第2開口28aを開閉する第2封止部64とを有しているので、後述する検査工程のために開口18a,28aを塞ぐ作業が簡単になる。次に、押さえ部54を退避位置から押さえ位置に移動し、押さえ部54で取付部材14を上から押さえ付ける(図5及び図8(a)参照)。このようにすることで、取付部材14をより確実に保持できる。
【0032】
次に、検査工程を行う。検査工程では、本体部材14の第1開口18a及び取付部材14の第2開口28aを封止した状態で、加圧手段66によって継手10の内部を加圧する。実施例では、加圧手段66からチューブ66a及び第2封止部64を介して継手10の内部に空気を供給し、継手10の内部を所定圧力になるまで加圧し、所定圧力に達してから所定の保持期間に亘って所定圧力を保つようにしている。また、検査工程では、測定手段68によって、継手10内の圧力の変動を測定している。例えば、継手10内の圧力が所定圧力まで上昇しない、継手10内の圧力が所定圧力まで上昇した後の保持期間において下降する、継手10内の圧力が所定の設定幅を越えて変動するなどの指標に基づいて、本体部材12及び取付部材14の嵌合部の封止状態を確認できる。そして、本体部材12及び取付部材14の嵌合部の封止状態を確認された継手10が製造される。
【0033】
検査工程において、継手10の内部を加圧した場合、本体部材12と取付部材14とが互いに抜け出す方向へ力が加わる。ここで、取付部材14が第2設置部44に設置され、本体部材12が第2設置部44に対して抜出向きへ相対的に移動可能な第1設置部42に設置されている。従って、継手10の内部を加圧した場合、本体部材12が取付部材14から外れなければ、本体部材12と取付部材14との接続状態を確認できる。例えば、嵌合工程において、止め輪22が外溝20又は内溝30から外れていたり、止め輪22が外溝20又は内溝30の片方だけに配置されていたりするなど、本体部材12及び取付部材14の接続不良が生じていたとする。この場合、検査工程において継手10の内部を加圧すると、本体部材12が第2設置部44に対して抜出向きへ相対的に移動可能な第1設置部42に設置されているから、本体部材12が取付部材14から抜けることが許容される。このように、本体部材12及び取付部材14の接続異常があるとき、本体部材12が取付部材14から抜けることで、接続異常を視覚的に確認できる。また、測定手段68によって、本体部材12が取付部材14から抜けることによる圧力の低下を測定することでも、接続異常を確認できる。
【0034】
検査工程において第1設置部42が基本位置から抜出向きへ移動しても、移動制限部58によって第1設置部42が所定間隔を越えて移動しないように制限することで安全性を向上できる。特に、検査工程において第1設置部42が基本位置から移動しても、移動制限部58によって第1設置部42の移動範囲を、本体部材12の挿入部16全体が取付部材14の受入部26から抜け出ないように制限しているので、本体部材12が第1設置部42から飛び出すことなく、安全性が高い。
【0035】
検査装置40によれば、本体部材12及び取付部材14の嵌合部の封止状態を検査するリークテストと、本体部材12及び取付部材14の嵌合部の接続状態を検査する接続テストを行うことができる。検査装置40は、リークテストと接続テストとを、継手10の内部を加圧する同じ時期に行うことができ、検査を簡単にでき、検査にかかる時間を短縮できる。前述した製造方法によれば、本体部材12及び取付部材14の嵌合部の封止状態を検査するリークテストと、本体部材12及び取付部材14の嵌合部の接続状態を検査する接続テストを検査工程で一緒に行うことができる。従って、継手10の製造工数を減らすことができると共に、継手10の製造にかかる時間を短縮できる。
【0036】
第1設置部42に第1封止部62を設けることで、第1設置部42が基本位置から抜出向きへ移動しても、ベッド48と第1封止部62との挿脱方向の位置関係が相対的に変化しない。これにより、検査工程において第1開口18aを第1封止部62でより確実に封止して、継手10の内部を円滑に加圧でき、継手10内部の圧力変動を精度よく測定できる。また、本体部材12が抜出向きへ移動しようとすると、本体部材12の鍔部24が受壁部50に引っ掛かると共に、接続部18が位置決め壁部52が引っ掛かるので、第1設置部42を本体部材12の抜出向きへの移動に円滑に追従させることできる。
【0037】
本体部材12に対して抜出向きへ移動する方向へ力が加わっても、取付部材14が規制壁部44bに引っ掛かって、取付部材14を保持できる。また、第2封止部64を取付部材14を挟んで本体部材12と反対側に配置して、第2封止部64を取付部材14の挿入向き側から当てているので、本体部材12と取付部材14とが外れるときに、取付部材14が飛び出すことを防止できる。更に、押さえ部54で取付部材14を押さえているので、本体部材12と取付部材14とが外れるときに、取付部材14が飛び出すことを防止できる。
【0038】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例及び以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)継手は、スプリンクラー設備の配管経路に用いられるものに限らず、給水又は排水などの配管設備や、空気やガスなどの配管設備などに用いてもよい。また、実施例では、本体部材(第1部材)と取付部材(第2部材)とが相対的に回転する所謂回転継手を例示したが、本体部材(第1部材)と取付部材(第2部材)とが相対的に回転しないものであってもよい。
(2)実施例では、第2設置部を固定して第1設置部を移動可能に構成したが、これに限らず、第1設置部を固定して第2設置部を移動可能に構成してもよく、第1設置部及び第2設置部の両方を移動可能に構成してもよい。
(3)移動制限部は、移動可能に構成された第1設置部又は第2設置部の移動範囲を制限するように配置すればよい。例えば、第2設置部が移動する構成であれば、第2設置部に対応して移動制限部を設け、第1設置部及び第2設置部の両方が移動可能であれば、第1設置部及び第2設置部のそれぞれに対応して移動制限部を設ければよい。
(4)実施例では、第1部材を本体部材とし、第2部材を取付部材としたが、第1部材を取付部材とし、第2部材を本体部材としてもよい。すなわち、第1部材と第2部材との関係は、継手の中での機能の主従関係等で限定されない。
(5)封止部の一部又は全部を省略して、キャップに置き変えてもよい。封止部は、この封止部の封止対象が設置される設置部と相対的な位置関係が変化しないように設けるとよい。例えば第2設置部が移動可能である場合、第2設置部に第2封止部を設けるとよい。
(6)実施例では、検査工程において継手の内部に空気を供給したが、空気等の気体に限らず、水などの液体によって継手の内部を加圧してもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 継手,12 本体部材(第1部材),14 取付部材(第2部材),
20 外溝,22 止め輪,30 内溝,42 第1設置部,44 第2設置部,
58 移動制限部,62 第1封止部,64 第2封止部,66 加圧手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8