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特開2024-40830濁度推定装置、濁度推定システム、薬剤注入制御システム、濁度推定方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040830
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】濁度推定装置、濁度推定システム、薬剤注入制御システム、濁度推定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240318BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240318BHJP
   G01N 33/18 20060101ALI20240318BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
C02F1/00 T
C02F1/00 V
G01N33/18 A
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145445
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美彦
(72)【発明者】
【氏名】毛受 卓
(72)【発明者】
【氏名】椛沢 裕一
【テーマコード(参考)】
2G059
5L096
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059AA05
2G059BB06
2G059EE13
2G059KK04
2G059MM02
2G059MM09
2G059MM10
5L096AA02
5L096AA06
5L096GA02
5L096GA41
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】 対象となる水の濁度を効率的かつ早期に把握することを可能にすること。
【解決手段】 実施形態の濁度推定装置は、濁度の異なる複数種類の水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる濁度別の水深の異なる複数の撮影画像に基づいて、水深と所定の特徴量との関係を示す第1の情報を濁度別に作成する第1の情報作成部と、濁度推定対象の水を異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる水深の異なる複数の撮影画像複数の撮影画像に基づいて、水深と前記特徴量との関係を示す第2の情報を作成する第2の情報作成部と、前記濁度別の第1の情報と前記第2の情報とを用いて、前記濁度推定対象の水の濁度を推定する濁度推定部とを具備する。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の濁度の異なる水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる濁度別の水深の異なる複数の撮影画像に基づいて、水深と所定の特徴量との関係を示す第1の情報を濁度別に作成する第1の情報作成部と、
濁度推定対象の水を異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる水深の異なる複数の撮影画像複数の撮影画像に基づいて、水深と前記特徴量との関係を示す第2の情報を作成する第2の情報作成部と、
前記濁度別の第1の情報と前記第2の情報とを用いて、前記濁度推定対象の水の濁度を推定する濁度推定部と
を具備する、濁度推定装置。
【請求項2】
前記特徴量は、色相の情報を含む、請求項1に記載の濁度推定装置。
【請求項3】
前記特徴量は、輝度の情報を含む、請求項1に記載の濁度推定装置。
【請求項4】
前記特徴量は、エッジ強度の情報を含む、請求項1に記載の濁度推定装置。
【請求項5】
前記第1の情報作成部は、
前記特徴量として色相の情報を撮影画像から求め、
前記第1の情報として、水深と色相との関係を示す水深-色相情報を濁度別に作成し、
前記第2の情報作成部は、
前記第2の情報として、水深と色相との関係を示す水深-色相情報を作成する、
請求項1に記載の濁度推定装置。
【請求項6】
前記第1の情報作成部は、
前記特徴量として輝度の情報を撮影画像から求め、
前記第1の情報として、水深と輝度との関係を示す水深-輝度情報を濁度別に作成し、
前記第2の情報作成部は、
前記第2の情報として、水深と輝度との関係を示す水深-輝度情報を作成する、
請求項1に記載の濁度推定装置。
【請求項7】
前記第1の情報作成部は、
前記特徴量としてエッジ強度の情報を撮影画像から求め、
前記第1の情報として、水深とエッジ強度との関係を示す水深-エッジ強度情報を濁度別に作成し、
前記第2の情報作成部は、
前記第2の情報として、水深とエッジ強度との関係を示す水深-エッジ強度情報を作成する、
請求項1に記載の濁度推定装置。
【請求項8】
前記第1の情報作成部は、さらに、
前記特徴量としてエッジ強度の情報を撮影画像から求め、
前記第1の情報として、水深とエッジ強度との関係を示す水深-エッジ強度情報を濁度別に作成し、
前記第2の情報作成部は、
前記第2の情報として、水深とエッジ強度との関係を示す水深-エッジ強度情報を作成し、
前記濁度推定部は、
気象条件に応じて、水深-輝度情報と水深-エッジ強度情報のいずれか一方を用いて、前記濁度推定対象の水の濁度推定を行う、
請求項6に記載の濁度推定装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の濁度推定装置と、
前記濁度推定対象の水を収容し、水面から水底又は所定の部材までの水深がそれぞれ異なる1つ又は複数の容器と、
前記容器に収容される前記濁度推定対象の水を異なる水深毎に水面の上から撮影し、水深の異なる複数の撮影画像を生成する撮像装置と、
を具備する、濁度推定システム。
【請求項10】
前記容器は、その内側に前記所定の部材を備える1つの容器である、
請求項9に記載の濁度推定システム。
【請求項11】
前記所定の部材は、水平の表面を有する部材である、
請求項10に記載の濁度推定システム。
【請求項12】
前記所定の部材は、高さの異なる複数の水平の表面を有する部材である、
請求項10に記載の濁度推定システム。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の濁度推定装置と、
前記推定された濁度に応じて、水処理施設での薬剤の注入を制御する薬剤制御部と
を具備する、薬剤注入制御システム。
【請求項14】
濁度推定装置が実行する濁度推定方法であって、
濁度の異なる複数種類の水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる濁度別の水深の異なる複数の撮影画像に基づいて、水深と所定の特徴量との関係を示す第1の情報を濁度別に作成することと、
濁度推定対象の水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる水深の異なる複数の撮影画像に基づいて、水深と前記特徴量との関係を示す第2の情報を作成することと、
前記濁度別の第1の情報と前記第2の情報とを用いて、前記濁度推定対象の水の濁度を推定することと
を含む、濁度推定方法。
【請求項15】
コンピュータに、
濁度の異なる複数種類の水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる濁度別の水深の異なる複数の撮影画像に基づいて、水深と所定の特徴量との関係を示す第1の情報を濁度別に作成する機能と、
濁度推定対象の水を異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる水深の異なる複数の撮影画像に基づいて、水深と前記特徴量との関係を示す第2の情報を作成する機能と、
前記濁度別の第1の情報と前記第2の情報とを用いて、前記濁度推定対象の水の濁度を推定する機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、濁度推定装置、濁度推定システム、薬剤注入制御システム、濁度推定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、市中の浄水場などでは、検査員などが定期的に水源にあたる上流のダムや河川などの現場に赴き、採水・水質検査(濁度計測など)を実施している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】五十嵐和秀、外6名、「画像解析による濁度計測のための基礎的検討」、2017年、平成29年度砂防学会研究発表会概要集、p.726-727
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した採水・水質検査(濁度計測など)は、現場にて常時行われているわけではないため、例えば水源で一定以上の濁りが発生した場合に、浄水場などでその状況を早期に把握することは難しく、浄水に必要な薬剤の準備・浄水オペレーションの対応が遅れる。
【0005】
また、水源の濁度の状況を把握するためには、人が定期的に現場へ赴かなければならず、また濁度の把握のためには濁度計を用いなければならないため、人手やコスト・時間がかかり、効率的であるとは言い難い。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、対象となる水の濁度を効率的かつ早期に把握することを可能にする、濁度推定装置、濁度推定システム、薬剤注入制御システム、濁度推定方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の濁度推定装置は、濁度の異なる複数種類の水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる濁度別の水深の異なる複数の撮影画像に基づいて、水深と所定の特徴量との関係を示す第1の情報を濁度別に作成する第1の情報作成部と、濁度推定対象の水を異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる水深の異なる複数の撮影画像複数の撮影画像に基づいて、水深と前記特徴量との関係を示す第2の情報を作成する第2の情報作成部と、前記濁度別の第1の情報と前記第2の情報とを用いて、前記濁度推定対象の水の濁度を推定する濁度推定部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る濁度推定装置を含むシステム全体の構成の一例を示す図である。
図2A図2Aは、データベースを作成するための撮影方式の第1の例を示す図である。
図2B図2Bは、データベースを作成するための撮影方式の第2の例を示す図である。
図3図3は、濁度推定装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態において処理部22が実行するプログラムにより実現される濁度推定機能(濁度推定に関わる機能)の構成の一例を示す図である。
図5図5は、濁度と色相との関係を示す図である。
図6図6は、撮影画像からの「水深毎の色相」の抽出の手法を示す図である。
図7A図7Aは、多峰となったヒストグラムの例を示す図である。
図7B図7Bは、単峰となったヒストグラムの例を示す図である。
図8図8は、濁度別に作成されたテーブルG13の情報をグラフ上にプロットした例を示す図である。
図9図9は、第1の実施形態においてデータベース220を作成するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第1の実施形態において濁度推定対象の水の濁度を推定するための処理手順の一例を示す図である。
図11図11は、撮影画像からの「水深毎のプレートの表面の平均輝度」および「水深毎のプレートの輪郭部のエッジ強度」の抽出の手法を示す図である。
図12図12は、第2の実施形態において処理部22が実行するプログラムにより実現される濁度推定機能(濁度推定に関わる機能)の構成の一例を示す図である。
図13A図13Aは、濁度別に作成されたテーブルG24の情報(水深と平均輝度との関係)をグラフ上にプロットした例を示す図である。
図13B図13Bは、濁度別に作成されたテーブルG24の情報(水深とエッジ強度との関係)をグラフ上にプロットした例を示す図である。
図14図14は、第2の実施形態においてデータベース220を作成するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、第2の実施形態において濁度推定対象の水の濁度を推定するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
【0010】
以下に説明する各実施形態では、例えば調査員などが現場に行って採水や濁度計測を行うことなく、現場に設置される撮像装置の撮影画像からリモートセンシングにて現場の水の濁度の状況を把握することを可能にする。これを実現するため、各実施形態では、現場から濁度推定装置に伝送される撮影画像より特定の特徴量を求め、その特徴量から現場の水の濁度を推定する。
【0011】
第1の実施形態では、上記特徴量として「色相」の値を採用する例を示す。第2の実施形態では、上記特徴量として「平均輝度」の値もしくは「エッジ強度」の値を採用する例を示す。
【0012】
<第1の実施形態>
最初に、第1の実施形態について説明する。
【0013】
(システム全体の構成)
図1に、第1の実施形態に係る濁度推定装置を含むシステム全体の構成の一例を示す。
【0014】
図1に示されるように、水源であるダムや河川などの現場100の管理区域には、管理装置1、容器101、部材102、監視カメラ(撮像装置)11等が設置される。現場100は無人化されており、常時、現場の水の容器101への通水や監視カメラ11による撮影が行われ、常時、撮影画像が管理装置1から濁度推定装置2へ伝送されるようになっている。
【0015】
容器101は、ダムや河川などから得られる濁度推定対象の水を収容する。ダムや河川などの水は、常時、自動的に容器101に流入するとともに容器101から流出し、容器10内の水の水面の高さは一定に保たれているものとする。
【0016】
容器101は、内側に所定の部材102を備える。部材102は、階段状の複数の段差を有する部材であり、高さの異なる複数の水平の表面を有する。この部材102は、水面から部材102までの深さ(以降、「水深」と呼ぶ。)がそれぞれ異なるように(すなわち、複数種類の水深が形成されるように)構成されている。部材102の詳細については後で述べる。
【0017】
なお、図1の例では、複数の段差を有する部材102を用いることで、1つの容器で複数種類の水深を実現しているが、この例に限定されるものではない。例えば、部材102を用いずに、複数の容器で複数種類の水深を実現してもよい。また、部材102を用いずに、高さの異なる複数の底を有する1つの容器101を用いて、複数種類の水深を実現してもよい。
【0018】
監視カメラ11は、容器101に収容される水の水面上方に設置される。監視カメラ11は、容器101に収容される水を異なる水深毎に水面の上から一定の時間間隔で撮影し、「水深の異なる複数の撮影画像」を生成する。監視カメラ11には、汎用のネットワークカメラを適用してもよい。
【0019】
管理装置1は、監視カメラ11から得られた「水深の異なる複数の撮影画像」を、濁度推定装置2に伝送する。その際に、それぞれの水深の値を示す情報も併せて伝送してもよい。濁度推定装置2は、例えば所定の地域の事業所などに設けられるコンピュータに相当するものである。上記した容器101、監視カメラ11、管理装置1、および濁度推定装置2は、濁度推定システムを構成する。
【0020】
第1の実施形態に係る濁度推定装置2は、管理装置1から伝送されてくる「水深の異なる複数の撮影画像」から、「水深毎の色相」を取得する。
【0021】
濁度推定装置2は、具体的には、管理装置1から伝送されてくる「水深の異なる複数の撮影画像」から「水深と色相との関係」を求め、求めた「水深と色相との関係」を示す情報と、後述する濁度推定用のデータベースの各情報とを比較することで、容器101内の水の濁度を推定する。濁度推定用のデータベース(以降、「データベース」と称す。)は、予め濁度の異なる水ごとにそれぞれ撮影しておいた濁度別の「水深の異なる複数の撮影画像」から求められる濁度別の「水深と色相との関係」を示す情報を含むものである。より具体的な濁度推定の手法については後で述べる。
【0022】
濁度推定装置2は、推定した濁度を示す情報を所定の表示装置に表示したり、各所に設置されるコンピュータなどの所定の装置(管理装置3を含む)へ伝送したりする。また、濁度推定装置2は、例えば推定した濁度が上昇して予め定めたアラーム発生対象の濁度レンジに入ると、アラームを発生して所定の装置に通知したりする。
【0023】
水処理施設300は、例えば浄水場であり、管理装置3、池(混和池など)301、薬剤注入装置(凝集剤注入装置など)302、攪拌装置303、薬剤制御部31等が設置される。管理装置3、薬剤制御部31、および上記した濁度推定装置2は、薬剤注入制御システムを構成する。
【0024】
管理装置3は、濁度推定装置2から伝送される濁度を示す情報を受信し、それを薬剤制御部31へ伝える。薬剤制御部31は、濁度推定装置2により推定された濁度に応じて、水処理施設での薬剤(例えば凝集剤)の注入を制御したり、攪拌装置303の攪拌動作を制御したりする。例えば、濁度推定装置2により推定された濁度が、ある閾値を超えた場合に、薬剤注入装置302により行われる薬剤の注入量または注入率を増加させる、あるいは止めていた注入動作を開始する制御を行ったりする。
【0025】
(データベース作成のための撮影方式)
図2A及び図2Bに、データベースを作成するための2種類の撮影方式の概略を示す。
【0026】
図2Aは、複数の容器(例えば、バケツやビーカーなど)を用いて水深が異なる複数の水を監視カメラ11で撮影する方式を示している。この場合、各容器は所定の色(例えば、白色)を有するものとする。一方、図2Bは、複数種類の水深を実現する部材を備える1つの容器を用いて水を監視カメラ11で撮影する方式を示している。なお、図2Bに示される容器は、図1に示される容器と同様のものであってもよいが、異なる容器を使用してもよい。
【0027】
図2Aには、2つの容器101A,101Bのみが示されているが、より多くの容器を用意することで、より多くの水深の水を撮影するようにしてもよい。また、1つの容器に入れる水の深さを例えば1(cm)刻みで変えていくことで、複数種類の水深の水を撮影するようにしてもよい。
【0028】
図2Bには、前述したように階段状の複数の段差を有する部材102を内側に備える容器101が示されている。部材102は、例えば水底からの高さの異なる複数(例えば4つ)の水平の表面(撮影される側の面)を有し、これらの表面により水面からの複数種類の水深を実現する。監視カメラ11は、このような部材102を備える容器101に入った水を撮影する。監視カメラ11から得られる撮影画像には、水深が異なる複数(例えば4つ)の領域が映る。各領域は水深が異なることから、各領域によって水面の色が異なって映る。即ち、各領域の色相は異なる。
【0029】
なお、図2Bの例では、複数の段差を有する部材102を用いることで、1つの容器で複数種類の水深を実現しているが、この例に限定されるものではない。例えば、部材102を用いずに、1つの容器101で底が複数の段差を有するものを用いて、複数種類の水深を実現してもよい。
【0030】
図2Aに示される方式と図2Bに示される方式のいずれにおいても、データベースを作成するにあたっては、まず、複数種類の濁度の水を用意する。複数種類の濁度の水を用意するためには、1カ所(例えばある河川)だけでなく、複数カ所(例えば複数の河川)で水を取得してもよい。また、河川やダムなどのような現地の水を取得することに限らず、例えば人工的に現地の水を再現した模擬水を採用してもよい。また、例えば原水を希釈することで特定の濁度を有する水を作ってもよい。本例では、1つの河川につき、1種類又は複数種類の濁度の水を取得するものとする。このような水の取得を複数カ所の河川で実施する。撮影では、1種類の濁度の水につき、複数種類の水深の撮影画像を得る。このような撮影画像の取得を、複数種類の濁度の水に対して行う。
【0031】
図2Aに示される方式と図2Bに示される方式とでは、撮影を行う回数が異なる。図2Aに示される方式よりも、図2Bに示される方式の方が、撮影を行う回数が少なくて済む。
【0032】
図2Aに示される方式では、1種類の濁度の水につき、容器101Aまたは101Bを用い、当該水を容器に入れ、異なる水深毎に撮影を行う。この場合、撮影を行う回数Mは、M=(河川の数)×(濁度の数)×(水深の数)となる。
【0033】
図2Bに示される方式では、1種類の濁度の水につき、部材102を備える1つの容器101を用い、当該水を容器101に入れ、複数種類の水深の水を一度に撮影する。この場合、撮影を行う回数Nは、N=(河川の数)×(濁度の数)となる。
【0034】
例えば水深の数が4つの場合は、N=M/4であり、図2Bに示される方式は、図2Aに示される方式に比べ、撮影の回数を1/4に減らせる。
【0035】
このようにすることで、図2Aに示される方式と図2Bに示される方式のいずれにおいても、撮影により「濁度別の水深の異なる複数の撮影画像」が得られる。当該撮影画像からは、濁度別の「水深毎の色相」が得られる。
【0036】
(濁度推定装置2のハードウェア構成)
図3に、濁度推定装置2のハードウェア構成の一例を示す。ただし、図3に示される構成はこの例に限定されるものではなく、適宜変形して実施してもよい。
【0037】
図3に示されるように、濁度推定装置2は、バスBLに接続される受信部21、処理部22、入力部23、表示部24、記憶部25、および送信部26を備える。記憶部25は、主記憶部251および補助記憶部252を含む。
【0038】
受信部21は、外部から伝送されてくるデータ(例えば、管理装置1から伝送されてくる「水深の異なる複数の撮影画像」など)を受信する受信装置に相当する。
【0039】
処理部22は、プロセッサに相当するものであり、バスBLに接続される各部を制御する。処理部22は、記憶部25に記憶されるプログラムやデータベースを実行する。
【0040】
入力部23は、キーボードやタッチパネル、ポインティングデバイスなどの入力装置に相当する。
【0041】
表示部24は、各種の情報(例えば、推定された濁度を示す情報など)を画面に表示する表示装置に相当する。
【0042】
記憶部25の主記憶部251は、プロセッサが実行するプログラムなどを記憶する記憶装置に相当し、補助記憶部252は、各種のデータを記憶する記憶装置に相当する。
【0043】
送信部26は、各種の情報(例えば、推定された濁度を示す情報など)を外部の装置(例えば、管理装置3など)へ送信する送信装置に相当する。
【0044】
(濁度推定に関わる機能の構成)
図4に、処理部22が実行するプログラムにより実現される濁度推定機能(濁度推定に関わる機能)の構成の一例を示す。ただし、図4に示される構成はこの例に限定されるものではなく、適宜変形して実施してもよい。
【0045】
本実施形態に係る濁度推定機能は、第1の情報作成部(濁度別の水深-色相情報作成部)221、第2の情報作成部(濁度推定対象の水深-色相情報作成部)222、および濁度推定部223を含む。
【0046】
第1の情報作成部221は、濁度の異なる複数種類の水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる「濁度別の水深の異なる複数の撮影画像」(例えば、濁度M種類×水深N種類の撮影画像)に基づいて、「水深と色相との関係」を示す第1の情報D11を濁度別に作成する機能を有する。作成された個々の第1の情報D11は、記憶部25内の所定の領域にデータベース220として記憶される。
【0047】
第2の情報作成部222は、濁度推定対象の水を異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる「水深の異なる複数の撮影画像」(例えば、水深N種類の撮影画像)に基づいて、「水深と色相との関係」を示す第2の情報D12を作成する機能を有する。
【0048】
濁度推定部223は、データベース220に含まれる濁度別の第1の情報D11と第2の情報D12とを用いて、濁度推定対象の水の濁度を推定する機能を有する。
【0049】
具体的には、濁度推定部223は、濁度別の第1の情報D11に示される濁度別の「水深と色相との関係」の中から、第2の情報D12に示される濁度推定対象の水の「水深と色相との関係」に最も近い第1の情報D11(=情報D13)を選択し、選択した情報D13の「水深と色相との関係」から、濁度推定対象の水の濁度を求める。
【0050】
(濁度と色相との関係)
図5に、濁度と色相との関係を示す。
【0051】
図5には、図2Aで説明した容器101Aまたは101Bと同様な容器を用いて、同一の水深で濁度の異なる複数の水を撮影した場合の、複数の撮影画像の例が示されている。
【0052】
例えば、濁度が11(度)の水については、撮影画像から得られる色相Hは70(°)と認識される。濁度が30(度)の水については、撮影画像から得られる色相Hは52(°)と認識される。濁度が57(度)の水については、撮影画像から得られる色相Hは40(°)と認識される。濁度が232(度)の水については、撮影画像から得られる色相Hは28~40(°)の範囲と認識される。
【0053】
すなわち、水の濁度が高いほど、色相Hは小さくなるとともに、その分解能が低下し、濁度の小さな違いが判別し難くなる。水の濁度が高いほど、濁度の推定に適する水深は浅く、水の濁度が低いほど、濁度の推定に適する水深は深い傾向がある。
【0054】
(撮影画像からの情報の抽出)
図6に、撮影画像からの「水深毎の色相」の抽出の手法を示す。
【0055】
図6には、図2Aで説明した容器101Aまたは101Bと同様な容器に、データベース作成用に用意したある濁度を有する水を入れて撮影した場合に得られる撮影画像G11の例が示されている。このような撮影画像は、異なる水深毎に取得される。
【0056】
例えば、容器に水を入れ、水深を例えば(cm)刻みで変化させながら水深の異なる複数の撮影画像(例えば、RGB表色系の画像)を取得し、これら複数の撮影画像をRGB表色系からHSV色空間に変換し、水深毎の画像を得る。
【0057】
次に、各画像から、それぞれの水面の色相を求めるため、画像中央に注視領域(ROI)を設定する。そして、画像毎に、ROI内の全画素を対象として、色相HのヒストグラムG12を生成し、色相Hの最頻値を示す色相Hピーク(°)を求めてテーブルG13にまとめる。例えば、水深1(cm)の撮影画像の色相Hピークが39(°)であった場合、テーブルG13においては、水深1(cm)に対応する色相Hピークとして39(°)が記憶される。
【0058】
このようにして作成したテーブルG13は、ある濁度を有する水の「水深と色相との関係」を示す第1の情報D11に相当するものである。この第1の情報D11は、当該濁度を属性情報として備える。
【0059】
(適切なヒストグラム)
図6で説明したヒストグラムは、多峰となる場合と単峰となる場合がある。
【0060】
図7Aに、多峰となったヒストグラムの例を示し、図7Bに、単峰となったヒストグラムの例を示す。
【0061】
図7Aに示されるように多峰となったヒストグラムでは、色相Hのピークを判定することが困難となる。図7Bに示されるように単峰となったヒストグラムでは、容易に色相Hのピークを判定することができる。ヒストグラムが多峰となる場合、水深が適切でないことが考えられ、容器の底の色や水面の太陽光反射などの影響で、色相Hの値が定まらないことを意味する。そのような場合、水の濁度に応じた適切な水深を設定し直した上で、撮影画像の再取得およびヒストグラムの再生成を行う。
【0062】
(グラフ上へのプロット)
図6で説明したテーブルG13は、ある濁度を有する水の「水深と色相との関係」を示すものであるが、このような情報は濁度別に作成される。
【0063】
図8に、濁度別に作成されたテーブルG13の情報をグラフ上にプロットした例を示す。
【0064】
図8中に示されるグラフG16は、濁度別に作成されたテーブルG13の情報をグラフ上に個々の点としてプロットしたものである。図8中に示されるグラフG17は、グラフG16中の有意なデータが存在する範囲40を拡大して示したものである。各グラフ中、横軸は水深(cm)を示し、縦軸は色相(°)を示す。
【0065】
グラフG17には、濁度別に、以下の7種類のデータがプロットされている。
【0066】
・採水した場所:A地区、濁度:32(度)、使用した容器:ビーカー
・採水した場所:A地区、濁度:32(度)、使用した容器:白バケツ
・採水した場所:B地区、濁度:41(度)、使用した容器:ビーカー
・採水した場所:B地区、濁度:41(度)、使用した容器:白バケツ
・採水した場所:C地区、濁度:89(度)、使用した容器:ビーカー
・採水した場所:C地区、濁度:550(度)、使用した容器:ビーカー
・採水した場所:C地区、濁度:550(度)、使用した容器:白バケツ
ただし、図8に示される例は一例であって、この例に限定されるものではない。
【0067】
例えば、白バケツは、白色のバケツに限らず、白色と異なる色のバケツを用いてもよい。ビーカーについても、所定の色を有するものであってもよい。
【0068】
また、より多くのデータを得るために、3つのA~C地区だけでなく、より多くの地区で水を採取してもよい。また、濁度推定対象となる水の地区が例えばA地区だけの場合は、A地区だけから水を採取するようにしてもよい。また、使用する容器はビーカーや白バケツに限らず、他の種類の容器をも用いて水を採取してもよい。また、使用する容器の種類を1種類に統一してもよい。その際に例えば図2Bで説明した部材102を内側に備える容器101またはその他の種類の容器を採用してもよい。
【0069】
(水深-色相曲線の作成)
前述した第1の情報作成部221は、例えば、グラフG17上の濁度別のプロット群に基づいて、「水深と色相との関係」を示す濁度別の第1の情報D11を作成する。それぞれの第1の情報D11は、グラフG17上の濁度別のプロット群そのものであってもよいが、必要に応じて調整することが望ましい。本実施形態では、濁度別のプロット群を、濁度別の曲線(以降、「水深-色相曲線」と称す。)として表現する。その際に、最小二乗法などの手法を適用してもよい。また、濁度推定の精度低下の原因となるプロット群については、所定の補正もしくは削除を行うものとする。また、色相に一定以上のばらつきがある範囲を対象に、所定の閾値を超える外れ値を除いた上で平均化を行ってもよい。
【0070】
濁度別のプロット群を、濁度別の「水深-色相曲線」として表現しておくことにより、濁度推定対象となる水の「水深-色相曲線」が、濁度別の「水深-色相曲線」のいずれに該当するのかを、判定しやすくなる。
【0071】
図8中に示されるテーブルG18は、濁度(及び色相)と濁度の推定に適した水深(cm)との関係を大まかに示すものである。
【0072】
前述したように、水の濁度が高いほど、色相Hは小さくなるとともに、その分解能が低下し、濁度の小さな違いが判別し難くなる。水の濁度が高いほど、濁度の推定に適する水深は浅く、水の濁度が低いほど、濁度の推定に適する水深は深い傾向がある。
【0073】
例えば、7種の水のうち濁度が最も低い「A地区で採水した濁度32(度)の水(ビーカー)」および「A地区で採水した濁度32(度)の水(白バケツ)」は、グラフG17上のプロットを見ると、水深が低い範囲(例えば10(cm)未満)では、色相にばらつきが見られるが、水深が高い符号41の範囲(例えば10~30(cm)付近)では、色相のばらつきが抑えられており、安定した色相(例えば55(°)付近)が見られる。
【0074】
その次に濁度が低い「B地区で採水した濁度41(度)の水(ビーカー)」および「B地区で採水した濁度41(度)の水(白バケツ)」も、同様な傾向があり、水深が高い符号42の範囲で、色相のばらつきが抑えられており、安定した色相(例えば38(°)付近)が見られる。
【0075】
「C地区で採水した濁度89(度)の水(ビーカー)」は、水深が浅い符号43の範囲(例えば10(cm)付近もしくはそれ以下)で、色相(例えば32~40(°))が見られる。
【0076】
最も濁度が高い「D地区で採水した濁度550(度)の水(ビーカー)」および「D地区で採水した濁度550(度)の水(白バケツ)」は、それぞれ、水深が浅い符号44の範囲(例えば10(cm)付近もしくはそれ以下)で、色相(例えば25~30(°))が見られ、また、符号45の範囲(例えば10(cm)付近もしくはそれ以下)で、色相(例えば10~20(°))が見られる。
【0077】
このように、濁度毎に、色相の安定する水深レンジが存在する。よって、濁度別の「水深と色相との関係」を作成する際には、濁度毎に、色相の安定する水深レンジのプロット群を残し、それ以外のレンジのプロット群については所定の補正もしくは削除を行うようにしてもよい。
【0078】
(濁度推定装置2の動作例)
次に、図9を参照して、図4に示されるデータベース220を作成するための処理手順の一例を説明する。
【0079】
例えばM種類の濁度の異なる複数種類の河川水が取得され(ステップS11)、M種類の濁度別に、容器に河川水が入れられ、水深N種類の撮影画像(例えば、RGB表色系の画像)を取得する処理が行われる(ステップS12)。
【0080】
以降、取得された「濁度M種類×水深N種類」の撮影画像につき、第1の情報作成部221により各種の処理が行われる。
【0081】
第1の情報作成部221は、「濁度M種類×水深N種類」の撮影画像を得ると、各撮影画像の色空間をRGBからHSVに変換する(ステップS13)。
【0082】
次に、第1の情報作成部221は、各撮影画像(HSV変換後の各H画像)内に注視領域(ROI)を設定する(ステップS14)。
【0083】
次に、第1の情報作成部221は、各H画像においてROI内画素から色相を抽出する処理(各画素値のヒストグラムを生成して最頻値を選択する処理を含む。)を行う(ステップS15)。
【0084】
最後に、第1の情報作成部221は、濁度別に抽出した水深毎の色相を用いて、濁度別の「水深-色相曲線」(第1の情報D11に相当)を作成し、これを用いてデータベース220を構築する(ステップS16)。
【0085】
次に、図10を参照して、濁度推定対象の水の濁度を推定するための処理手順の一例を説明する。
【0086】
例えば水源がある現場100には、水源の水が通水する所定の容器が設置されており、監視カメラ11により容器内の水の水面が常時撮影され、「水深N種類」の撮影画像が生成される(ステップS21)。生成された「水深N種類」の撮影画像は、管理装置1から濁度推定装置2へ伝送される。
【0087】
以降、取得された「水深N種類」の撮影画像につき、第2の情報作成部222により各種の処理が行われ、最後に濁度推定部223により濁度推定の処理が行われることになる。
【0088】
第2の情報作成部222は、「水深N種類」の撮影画像を得ると、各撮影画像の色空間をRGBからHSVに変換する(ステップS22)。
【0089】
次に、第2の情報作成部222は、各撮影画像(HSV変換後の各H画像)内に注視領域(ROI)を設定する(ステップS23)。
【0090】
次に、第2の情報作成部222は、各H画像においてROI内画素から色相を抽出する処理(各画素値のヒストグラムを生成して最頻値を選択する処理を含む。)を行う(ステップS24)。
【0091】
次に、第2の情報作成部222は、抽出した水深毎の色相を用いて、濁度推定対象の水の「水深-色相情報」(第2の情報D12に相当)を作成する(ステップS25)。
【0092】
最後に、濁度推定部223は、濁度推定対象の水の「水深-色相情報」を、濁度別の「水深―色相曲線」上にプロットし、重なりが最大となる「水深―色相曲線」(情報D13に相当)を特定し、特定した「水深―色相曲線」の属性情報から、濁度推定対象の水の濁度を求めて表示装置などに出力する(ステップS26)。
【0093】
第1の実施形態によれば、ダムや河川に設置した監視カメラの撮影画像から得られる色相および水深の情報に基づき、現場の水の濁度を推定することが可能になる。そのため、リモートセンシングにて現場の水の濁度を把握することが可能となり、人が現場に赴いて濁度計を用いた濁度計測を行うことが不要となる。また、撮影画像から得られる色相および水深の情報に基づき、水源における濁度変化をタイムリーに把握することが可能になるので、水源において発生しうる過度の濁りを早期に検知でき、例えば下流の浄水場における効率的な浄水オペレーションが可能となる。
【0094】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0095】
(システム全体の構成)
第2の実施形態に係る濁度推定装置を含むシステム全体の構成は、図1に示されるものと同様となるが、容器101内の構造や濁度推定装置2の処理などが異なる。
【0096】
第1の実施形態では、容器101を使用する場合の例では、その中に複数種類の水深を実現する部材102を配置することで、監視カメラ11の撮影画像から「水深毎の色相」を得られるようにする例を示した。
【0097】
これに対し、第2の実施形態では、容器101を使用する場合、例えば容器101の中の部材102の高さの異なる複数の表面のそれぞれに、後述するプレート(部材)103を配置することで、監視カメラ11の撮影画像から「水深毎のプレートの平均輝度」もしくは「水深毎のプレートの輪郭部のエッジ強度」を得られるようにする。この場合、水面から各プレート103までの深さ(以降、「水深」と呼ぶ。)が異なることから、複数種類の水深を実現しているといえる。
【0098】
ただし、各プレート103の設置は、必ずしも必要とされるものではない。例えば、
監視カメラ11の撮影画像から「水深毎のある部分の平均輝度」や「水深毎のある部分の輪郭部のエッジ強度」を得ることが可能な構造が容器101内に設けられる場合は、各プレート103の設置を省略してもよい。
【0099】
また、プレート103を配置する場合、プレート103を配置するための構造や使用する容器は、上記した例に限定されるものではない。別の形態で複数種類の水深を実現してもよい。
【0100】
例えば、部材102を用いずに、複数の容器を用意し、各容器の底にそれぞれプレート103を配置した上で、複数種類の水深を実現してもよい。また、部材102を用いずに、1つの容器に高さの異なる複数の底を設け、各底にそれぞれプレート103を配置することで、複数種類の水深を実現してもよい。
【0101】
第2の実施形態に係る濁度推定装置2は、管理装置1から伝送されてくる「水深の異なる複数の撮影画像」から、「水深毎の色相」ではなく、「水深毎のプレートの表面の平均輝度」もしくは「水深毎のプレートの輪郭部のエッジ強度」を取得する。
【0102】
濁度推定装置2は、具体的には、管理装置1から伝送されてくる「水深の異なる複数の撮影画像」から「水深毎のプレートの表面の平均輝度」もしくは「水深毎のプレートの輪郭部のエッジ強度」を求め、求めた「水深毎のプレートの表面の平均輝度」もしくは「水深毎のプレートの輪郭部のエッジ強度」を示す情報と、後述する濁度推定用のデータベースの各情報とを比較することで、容器101内の水の濁度を推定する。データベースは、予め濁度の異なる水ごとにそれぞれ撮影しておいた濁度別の「水深の異なる複数の撮影画像」から求められる濁度別の「水深毎のプレートの表面の平均輝度」もしくは「水深毎のプレートの輪郭部のエッジ強度」を示す情報を含むものである。より具体的な濁度推定の手法については後で述べる。
【0103】
(データベース作成のための撮影方式)
第2の実施形態に係る各種の撮影方式は、図2A及び図2Bで説明したものと同様となる。ただし、図2Aの例においては、各容器の底にプレート103を配置するものとする、また、図2Bの例においては、部材102の高さの異なる複数の表面のそれぞれに、後述するプレート(部材)103を配置するものとする。
【0104】
図2Aに示される方式と図2Bに示される方式のいずれにおいても、撮影により「濁度別の水深の異なる複数の撮影画像」が得られる。当該撮影画像からは、濁度別の「水深毎のプレートの表面の平均輝度」および濁度別の「水深毎のプレートの輪郭部のエッジ強度」が得られる。
【0105】
(撮影画像からの情報の抽出)
図11に、撮影画像からの「水深毎のプレートの表面の平均輝度」および「水深毎のプレートの輪郭部のエッジ強度」の抽出の手法を示す。
【0106】
図11は、図2Aで説明した容器101Aまたは101Bと同様な容器の底に白いプレート(白プレート)103を配置して、データベース作成用に用意したある濁度を有する水を撮影した場合に得られる撮影画像G21の例が示されている。このような撮影画像は、異なる水深毎に取得される。
【0107】
例えば、容器に水を入れ、水深を例えば(cm)刻みで変化させながら水深の異なる複数の撮影画像(例えば、RGB表色系の画像)を取得し、これら複数の撮影画像をモノクロ画像に変換し、水深毎の画像を得る。
【0108】
次に、各画像から、それぞれの「プレートの表面の平均輝度」および「プレートの輪郭部のエッジ強度」を求めるため、プレート103全体を含むように注視領域(ROI)を設定する。
【0109】
そして、ROI内の領域から「プレートの表面の平均輝度」を求める。例えば、必要に応じてプレート表面の輝度を得やすくするために所定の画像処理が施されたモノクロ画像G22のROI内から、白いプレート103が存在する領域の輝度を画像毎に求め、その平均値である平均輝度を求める。また、ROI内の領域から「プレートの輪郭部のエッジ強度」を求める。例えば、必要に応じてエッジ強度を得やすくするために所定の画像処理が施されたモノクロ画像G23のROI内から、白いプレート103の輪郭部のエッジ強度を求める。
【0110】
このようにして水深毎に求めた「プレートの表面の平均輝度」および「プレートの輪郭部のエッジ強度」をテーブルG24にまとめる。
【0111】
このようにして作成したテーブルG24は、ある濁度を有する水の「水深と平均輝度との関係」を示す第1の情報D21および「水深とエッジ強度との関係」を示す第1の情報D31に相当する。第1の情報D21および第1の情報D31は、当該濁度を属性情報として備える。
【0112】
なお、第1の情報D21および第1の情報D31の詳細については後で述べる。
【0113】
(濁度推定装置2のハードウェア構成)
第2の実施形態に係る濁度推定装置2のハードウェア構成は、図3で説明したものと同様となる。
【0114】
(濁度推定に関わる機能の構成)
図12に、処理部22が実行するプログラムにより実現される濁度推定機能(濁度推定に関わる機能)の構成の一例を示す。ただし、図12に示される構成はこの例に限定されるものではなく、適宜変形して実施してもよい。
【0115】
本実施形態に係る濁度推定機能は、「平均輝度」に関わる機能として、第1の情報作成部(濁度別の水深-平均輝度情報作成部)224Aおよび第2の情報作成部(濁度推定対象の水深-平均輝度情報作成部)225Aを含み、「エッジ強度」に関わる機能として、第1の情報作成部(濁度別の水深-エッジ強度情報作成部)224Bおよび第2の情報作成部(濁度推定対象の水深-エッジ強度情報作成部)225Bを含み、さらに双方に共通する機能として濁度推定部226を含む。なお、第1の情報作成部224Aと第1の情報作成部224Bとは、一体化されていてもよい。また、第2の情報作成部225Aと第2の情報作成部225Bとは、一体化されていてもよい。
【0116】
本実施形態では、気象条件(天候・日照などの条件)に応じて、「平均輝度」に関わる機能と「エッジ強度」に関わる機能とを選択的に使用する例を示す。気象条件に応じた処理については後で述べる。
【0117】
なお、必ずしも「平均輝度」に関わる機能と「エッジ強度」に関わる機能の両方が必要とされるものではない。
【0118】
例えば、常時、「エッジ強度」の情報を用いずに、「平均輝度」の情報を用いて濁度推定を行う場合は、第1の情報作成部224Bおよび第2の情報作成部225Bを省略するとともに、濁度推定部226における「エッジ強度」に関わる処理を省略してもよい。
【0119】
また、常時、「平均輝度」の情報を用いずに、「エッジ強度」の情報を用いて濁度推定を行う場合は、第1の情報作成部224Aおよび第2の情報作成部225Aを省略するとともに、濁度推定部226における「平均輝度」に関わる処理を省略してもよい。
【0120】
(「平均輝度」に関わる機能)
第1の情報作成部(濁度別の水深-平均輝度情報作成部)224Aは、濁度の異なる複数種類の水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる「濁度別の水深の異なる複数の撮影画像」(例えば、濁度M種類×水深N種類の撮影画像)に基づいて、「水深と平均輝度との関係」を示す第1の情報D21を濁度別に作成する機能を有する。作成された個々の第1の情報D21は、記憶部25内の所定の領域にデータベース220として記憶される。
【0121】
第2の情報作成部(濁度推定対象の水深-平均輝度情報作成部)225Aは、濁度推定対象の水を異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる「水深の異なる複数の撮影画像」(例えば、水深N種類の撮影画像)に基づいて、「水深と平均輝度との関係」を示す第2の情報D22を作成する機能を有する。
【0122】
濁度推定部226は、データベース220に含まれる濁度別の第1の情報D21と第2の情報D22とを用いて、濁度推定対象の水の濁度を推定する機能を有する。
【0123】
具体的には、濁度推定部226は、濁度別の第1の情報D21に示される濁度別の「水深と平均輝度との関係」の中から、第2の情報D22に示される濁度推定対象の水の「水深と平均輝度との関係」に最も近い第1の情報D21(=情報D23)を選択し、選択した情報D23の「水深と平均輝度との関係」から、濁度推定対象の水の濁度を求める。なお、天候などの環境条件により太陽の日照条件が異なるため、「水深と平均輝度との関係」における水深別の平均輝度は、水深の変化に伴い平均輝度の減衰度合を表す指標(参考値)として考える。
【0124】
(「エッジ強度」に関わる機能)
第1の情報作成部(濁度別の水深-エッジ強度情報作成部)224Bは、濁度の異なる複数種類の水をそれぞれ異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる「濁度別の水深の異なる複数の撮影画像」(例えば、濁度M種類×水深N種類の撮影画像)に基づいて、「水深とエッジ強度との関係」を示す第1の情報D31を濁度別に作成する機能を有する。作成された個々の第1の情報D31は、記憶部25内の所定の領域にデータベース220として記憶される。
【0125】
第2の情報作成部(濁度推定対象の水深-エッジ強度情報作成部)225Bは、濁度推定対象の水を異なる水深毎に水面の上から撮影して得られる「水深の異なる複数の撮影画像」(例えば、水深N種類の撮影画像)に基づいて、「水深とエッジ強度との関係」を示す第2の情報D32を作成する機能を有する。
【0126】
濁度推定部226は、データベース220に含まれる濁度別の第1の情報D31と第2の情報D32とを用いて、濁度推定対象の水の濁度を推定する機能を有する。
【0127】
具体的には、濁度推定部226は、濁度別の第1の情報D31に示される濁度別の「水深とエッジ強度との関係」の中から、第2の情報D32に示される濁度推定対象の水の「水深とエッジ強度との関係」に最も近い第1の情報D31(=情報D33)を選択し、選択した情報D33の「水深とエッジ強度との関係」から、濁度推定対象の水の濁度を求める。なお、天候などの環境条件により太陽の日照条件が異なるため、「水深とエッジ強度との関係」における水深別のエッジ強度は、水深の変化に伴いエッジ強度の減衰度合を表す指標(参考値)として考える。
【0128】
(気象条件に応じた選択処理の機能)
前述したように、図12に示される各種の機能には、「平均輝度」に関わる機能と「エッジ強度」に関わる機能とがあり、気象条件(天候・日照などの条件)に応じて、「平均輝度」に関わる機能と「エッジ強度」に関わる機能とが選択的に使用される。
【0129】
例えば、陽射しが強いときには濁度推定対象の水の水面・水中に強い光が当って明るくなったり、また、曇りのときには濁度推定対象の水の水面・水中が暗くなったりすることがある。よって、気象条件によっては、撮影画像から「平均輝度」を精度よく取得することができない場合や、あるいは「エッジ強度」を精度よく取得することができない場合がある。そのような場合、「平均輝度」と「エッジ強度」のうち、どちらか適切な方を選択して濁度推定を実施することが望ましい。その場合、各種の気象条件毎に、「平均輝度」と「エッジ強度」のいずれを使用すべきかを示す基準データを予めデータベース220に記録しておき、その基準データに基づき、気象条件に応じて上記選択を行うようにしてもよい。
【0130】
例えば、濁度推定部226は、外部から供給される気象条件の情報に応じて、水深-平均輝度情報D22と水深-エッジ強度情報D32のいずれか一方を用いて、濁度推定対象の水の濁度推定を行う機能を有するように構成してもよい。その際に、水深-平均輝度情報D22と水深-エッジ強度情報D32のいずれを使用するかを、基準データに基づいて判定するようにしてもよい。
【0131】
また、上記気象条件の情報に応じて、第2の情報作成部225Aおよび第2の情報作成部225Bの機能のいずれか一方が無効となり、他方が有効となるように構成してもよい。また、この処理が上記基準データに基づいて行われるようにしてもよい。
【0132】
(グラフ上へのプロット)
図11で説明したテーブルG24は、ある濁度を有する水の「水深と平均輝度との関係」および「水深とエッジ強度との関係」を示すものであるが、このような情報は濁度別に作成される。
【0133】
図13A及び図13Bに、濁度別に作成されたテーブルG24の情報(「水深と平均輝度との関係」および「水深とエッジ強度との関係」)をグラフ上にプロットした例を示す。
【0134】
図13A中に示されるグラフG25は、濁度別に作成されたテーブルG13の「水深と平均輝度との関係」の情報をグラフ上に個々の点としてプロットしたものである。グラフ中、横軸は水深(cm)を示し、縦軸は平均輝度を示す。
【0135】
一方、図13B中に示されるグラフG26は、濁度別に作成されたテーブルG13の「水深とエッジ強度との関係」の情報をグラフ上に個々の点としてプロットしたものである。グラフ中、横軸は水深(cm)を示し、縦軸はエッジ強度を示す。
【0136】
各グラフには、濁度別に、以下の4種類のデータがプロットされている。
【0137】
・採水した場所:A地区、濁度:32(度)
・採水した場所:B地区、濁度:41(度)
・採水した場所:C地区、濁度:89(度)
・採水した場所:C地区、濁度:550(度)
ただし、図13A及び図13Bに示される例は一例であって、この例に限定されるものではない。
【0138】
例えば、より多くのデータを得るために、3つのA~C地区だけでなく、より多くの地区で水を採取してもよい。また、濁度推定対象となる水の地区が例えばA地区だけの場合は、A地区だけから水を採取するようにしてもよい。
【0139】
(水深-平均輝度曲線の作成)
前述した第1の情報作成部224Aは、例えば、図13A中グラフG25上の濁度別のプロット群に基づいて、「水深と平均輝度との関係」を示す濁度別の第1の情報D21を作成する。それぞれの第1の情報D21は、グラフG25上の濁度別のプロット群そのものであってもよいが、必要に応じて調整することが望ましい。本実施形態では、これら濁度別のプロット群を、濁度別の曲線(以降、「水深-平均輝度曲線」と称す。)として表現する。その際に、最小二乗法などの手法を適用してもよい。また、濁度推定の精度低下の原因となるプロット群については、所定の補正もしくは削除を行うものとする。また、平均輝度に一定以上のばらつきがある範囲を対象に、所定の閾値を超える外れ値を除いた上で平均化を行ってもよい。
【0140】
濁度別のプロット群を、濁度別の「水深-平均輝度曲線」として表現しておくことにより、濁度推定対象となる水の「水深-平均輝度曲線」が、濁度別の「水深-平均輝度曲線」のいずれに該当するのかを、判定しやすくなる。
【0141】
(水深-エッジ強度曲線の作成)
前述した第1の情報作成部224Aは、例えば、図13B中グラフG26上の濁度別のプロット群に基づいて、「水深とエッジ強度との関係」を示す濁度別の第1の情報D31を作成する。それぞれの第1の情報31は、グラフG25上の濁度別のプロット群そのものであってもよいが、必要に応じて調整することが望ましい。本実施形態では、これら濁度別のプロット群を、濁度別の曲線(以降、「水深-エッジ強度曲線」と称す。)として表現する。その際に、最小二乗法などの手法を適用してもよい。また、濁度推定の精度低下の原因となるプロット群については、所定の補正もしくは削除を行うものとする。また、エッジ強度に一定以上のばらつきがある範囲を対象に、所定の閾値を超える外れ値を除いた上で平均化を行ってもよい。
【0142】
濁度別のプロット群を、濁度別の「水深-エッジ強度曲線」として表現しておくことにより、濁度推定対象となる水の「水深-エッジ強度曲線」が、濁度別の「水深-エッジ強度曲線」のいずれに該当するのかを、判定しやすくなる。
【0143】
(濁度推定装置2の動作例)
次に、図14を参照して、図12に示されるデータベース220を作成するための処理手順の一例を説明する。なお、以下の説明において、第1の情報作成部224Aおよび第1の情報作成部224Bは、一体化された形で各種の処理を行うように構成されていてもよい。
【0144】
例えばM種類の濁度の異なる複数種類の河川水が取得され(ステップS31)、M種類の濁度別に、白いプレート(白プレート)103を沈めた容器に河川水が入れられ、水深N種類の撮影画像(例えば、RGB表色系の画像)を取得する処理が行われる(ステップS32)。
【0145】
以降、取得された「濁度M種類×水深N種類」の撮影画像につき、第1の情報作成部224Aおよび第1の情報作成部224Bにより各種の処理が行われる。
【0146】
第1の情報作成部224Aおよび第1の情報作成部224Bは、「濁度M種類×水深N種類」の撮影画像を得ると、各撮影画像からモノクロ画像を生成する(ステップS33)。
【0147】
次に、第1の情報作成部224Aおよび第1の情報作成部224Bは、各撮影画像(HSV変換後の各H画像)内に注視領域(ROI)を設定する(ステップS34)。
【0148】
次に、第1の情報作成部224Aおよび第1の情報作成部224Bは、各H画像においてROI内画素から平均輝度およびエッジ強度を抽出する処理を行う(ステップS35)。
【0149】
最後に、第1の情報作成部224Aは、濁度別に抽出した水深毎の平均輝度を用いて、濁度別の「水深-平均輝度曲線」(第1の情報D21に相当)を作成し、第1の情報作成部224Bは、濁度別に抽出した水深毎の平均輝度を用いて、濁度別の「水深-平均輝度曲線」(第1の情報D31に相当)を作成し、これらを用いてデータベース220を構築する(ステップS36)。
【0150】
次に、図15を参照して、濁度推定対象の水の濁度を推定するための処理手順の一例を説明する。なお、以下の説明において、第2の情報作成部225Aおよび第2の情報作成部225Bは、一体化された形で各種の処理を行うように構成されていてもよい。
【0151】
例えば水源がある現場100には、水源の水が通水する所定の容器が設置されており、監視カメラ11により容器内の水の水面が常時撮影され、「水深N種類」の撮影画像が生成される(ステップS41)。生成された「水深N種類」の撮影画像は、管理装置1から濁度推定装置2へ伝送される。
【0152】
以降、取得された「水深N種類」の撮影画像につき、第2の情報作成部225Aおよび第2の情報作成部225Bにより各種の処理が行われ、最後に濁度推定部223により濁度推定の処理が行われることになる。
【0153】
第2の情報作成部225Aおよび第2の情報作成部225Bは、「水深N種類」の撮影画像を得ると、各撮影画像の色空間をRGBからHSVに変換する(ステップS42)。
【0154】
次に、第2の情報作成部225Aおよび第2の情報作成部225Bは、各撮影画像(HSV変換後の各H画像)内に注視領域(ROI)を設定する(ステップS43)。
【0155】
次に、気象条件に応じて、第2の情報作成部225Aまたは第2の情報作成部225Bが、各H画像においてROI内画素から平均輝度またはエッジ強度を抽出する処理を行う(ステップS44)。
【0156】
次に、第2の情報作成部225Aまたは第2の情報作成部225Bは、抽出した水深毎の平均輝度またはエッジ強度を用いて、濁度推定対象の水の「水深-平均輝度情報」(第2の情報D22に相当)または濁度推定対象の水の「水深-エッジ強度情報」(第2の情報D32に相当)を作成する(ステップS45)。
【0157】
最後に、濁度推定部226は、濁度推定対象の水の「水深-平均輝度情報」を、濁度別の「水深―平均輝度曲線」上にプロットし、重なりが最大となる「水深―平均輝度曲線」(情報D23に相当)を特定し、特定した「水深―平均輝度曲線」の属性情報から、濁度推定対象の水の濁度を求めて表示装置などに出力するか、または、濁度推定部226は、濁度推定対象の水の「水深-エッジ強度情報」を、濁度別の「水深―エッジ強度曲線」上にプロットし、重なりが最大となる「水深―エッジ強度曲線」(情報D33に相当)を特定し、特定した「水深―エッジ強度曲線」の属性情報から、濁度推定対象の水の濁度を求めて表示装置などに出力する(ステップS46)。
【0158】
第2の実施形態によれば、ダムや河川に設置した監視カメラの撮影画像から得られる輝度および水深の情報に基づき、もしくは、エッジ強度および水深の情報に基づき、現場の水の濁度を推定することが可能になる。そのため、リモートセンシングにて現場の水の濁度を把握することが可能となり、人が現場に赴いて濁度計を用いた濁度計測を行うことが不要となる。また、撮影画像から得られる輝度および水深の情報に基づき、もしくは、エッジ強度および水深の情報に基づき、水源における濁度変化をタイムリーに把握することが可能になるので、水源において発生しうる過度の濁りを早期に検知でき、例えば下流の浄水場における効率的な浄水オペレーションが可能となる。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0160】
1,3…管理装置、2…濁度推定装置、11…監視カメラ(撮像装置)、21…受信部、22…処理部、23…入力部、24…表示部、25…記憶部、26…送信部、31…薬剤制御部、100…現場、101,101A,101B…容器、102,103…部材、220…データベース、221…第1の情報作成部(濁度別の水深-色相情報作成部)、222…第2の情報作成部(濁度推定対象の水深-色相情報作成部)、223…濁度推定部、224A…第1の情報作成部(濁度別の水深-平均輝度情報作成部)、225A…第2の情報作成部(濁度推定対象の水深-平均輝度情報作成部)、224B…第1の情報作成部(濁度別の水深-エッジ強度情報作成部)、225B…第2の情報作成部(濁度推定対象の水深-エッジ強度情報作成部)、226…濁度推定部、300…水処理施設、301…池(混和池など)、302…薬剤注入装置(凝集剤注入装置など)、303…攪拌装置。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15