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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040832
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145449
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】指田 和之
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 健一
(72)【発明者】
【氏名】保木 渉馬
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730BB14
5H730BB52
5H730CC14
5H730DD02
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】複数の電源から夫々出力される複数の電圧を、1つのコンバータで1つの電圧に変換し昇圧する。
【解決手段】一端が複数の入力端子に夫々電気的に接続された、複数の第1インダクタと、アノードが複数の第1インダクタの他端に夫々電気的に接続され、カソードが第1ノードに電気的に接続された、複数の第1ダイオードと、コレクタが第1ノードに電気的に接続され、ベースに制御信号が入力され、エミッタが基準電位に電気的に接続された、第1トランジスタと、アノードが第1トランジスタのコレクタに電気的に接続され、カソードが出力端子に電気的に接続された、第2ダイオードと、一端が出力端子に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第1コンデンサと、第1ノードに流れる電流に基づいて自励振を行い、自励振の結果としての制御信号を第1トランジスタのベースに出力する、自励振回路と、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直流電源に夫々電気的に接続される、複数の入力端子と、
直流出力電圧を出力する、出力端子と、
一端が前記複数の入力端子に夫々電気的に接続された、複数の第1インダクタと、
アノードが前記複数の第1インダクタの他端に夫々電気的に接続され、カソードが第1ノードに電気的に接続された、複数の第1ダイオードと、
コレクタ又はドレインが前記第1ノードに電気的に接続され、ベース又はゲートに制御信号が入力され、エミッタ又はソースが基準電位に電気的に接続された、第1トランジスタと、
アノードが前記第1トランジスタのコレクタ又はドレインに電気的に接続され、カソードが前記出力端子に電気的に接続された、第2ダイオードと、
一端が前記出力端子に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第1コンデンサと、
前記第1ノードに流れる電流に基づいて自励振を行い、自励振の結果としての前記制御信号を前記第1トランジスタのベース又はゲートに出力する、自励振回路と、
を含む、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記自励振回路は、
前記複数の第1ダイオードに夫々並列接続された、複数の第2コンデンサと、
一端が前記第1ノードに電気的に接続され、他端が前記第1トランジスタのコレクタ又はドレインに電気的に接続された第1巻線と、一端が基準電位に電気的に接続され、他端が第2ノードに電気的に接続され、他端に前記第1巻線に誘起される電圧と逆方向の電圧を誘起する第2巻線と、を含む第2インダクタと、
一端が前記第1トランジスタのコレクタ又はドレインに電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第3コンデンサと、
一端が前記第1巻線の他端に電気的に接続され、他端が前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、前記第1巻線の他端の電圧又は電流を前記第1トランジスタのベース又はゲートに出力することにより、前記第1トランジスタをオンに制御する、起動部と、
一端が前記第2ノードに電気的に接続され、他端が前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、前記第2巻線の他端に誘起される電圧が予め定められた電圧に達した場合に、前記第1トランジスタをオンに制御するオン制御部と、
一端が前記第2ノードに電気的に接続され、他端が前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、前記第2巻線の他端に誘起される電圧が予め定められた電圧に達してから予め定められた時間が経過した場合に、前記第1トランジスタをオフに制御するオフ制御部と、
を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記オン制御部は、
一端が前記第2ノードに電気的に接続された、第1抵抗と、
アノードが前記第1抵抗の他端に電気的に接続され、カソードが前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続された、第3ダイオードと、
前記第3ダイオードに並列接続された、第4コンデンサと、
を含む、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記オフ制御部は、
コレクタ又はドレインが前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、エミッタ又はソースが基準電位に電気的に接続された、第2トランジスタと、
一端が前記第2トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第5コンデンサと、
一端が前記第2ノードに電気的に接続され、他端が前記第5コンデンサの一端に電気的に接続された、第2抵抗と、
を含む、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記自励振回路は、
前記直流出力電圧を検出する、出力電圧検出部と、
前記出力電圧検出部の検出電圧に基づいて、前記第5コンデンサの一端に電流を出力する、調整充電電流供給部と、
を含む、
ことを特徴とする、請求項4に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エナジーハーベスト(環境発電)が行われるようになってきている。エナジーハーベストとは、太陽光や照明光、機械の発する振動、熱などのエネルギー(エナジー)を採取(ハーベスティング)し、電力を得る技術である。上記のような複数の環境電源から夫々出力される複数の電力を、1つの電力に変換することが求められる。
【0003】
特許文献1には、複数の直流入力電源から夫々出力される複数の電力を1つの電力に変換する、降圧チョッパ型のDC-DCコンバータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-285005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の電源から夫々出力される複数の電圧を、1つのコンバータで1つの電圧に変換し昇圧することが望まれる。
【0006】
本開示は、複数の電源から夫々出力される複数の電圧を、1つのコンバータで1つの電圧に変換し昇圧することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の電源装置は、
複数の直流電源に夫々電気的に接続される、複数の入力端子と、
直流出力電圧を出力する、出力端子と、
一端が前記複数の入力端子に夫々電気的に接続された、複数の第1インダクタと、
アノードが前記複数の第1インダクタの他端に夫々電気的に接続され、カソードが第1ノードに電気的に接続された、複数の第1ダイオードと、
コレクタ又はドレインが前記第1ノードに電気的に接続され、ベース又はゲートに制御信号が入力され、エミッタ又はソースが基準電位に電気的に接続された、第1トランジスタと、
アノードが前記第1トランジスタのコレクタ又はドレインに電気的に接続され、カソードが前記出力端子に電気的に接続された、第2ダイオードと、
一端が前記出力端子に電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第1コンデンサと、
前記第1ノードに流れる電流に基づいて自励振を行い、自励振の結果としての前記制御信号を前記第1トランジスタのベース又はゲートに出力する、自励振回路と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0008】
前記電源装置において、
前記自励振回路は、
前記複数の第1ダイオードに夫々並列接続された、複数の第2コンデンサと、
一端が前記第1ノードに電気的に接続され、他端が前記第1トランジスタのコレクタ又はドレインに電気的に接続された第1巻線と、一端が基準電位に電気的に接続され、他端が第2ノードに電気的に接続され、他端に前記第1巻線に誘起される電圧と逆方向の電圧を誘起する第2巻線と、を含む第2インダクタと、
一端が前記第1トランジスタのコレクタ又はドレインに電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第3コンデンサと、
一端が前記第1巻線の他端に電気的に接続され、他端が前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、前記第1巻線の他端の電圧又は電流を前記第1トランジスタのベース又はゲートに出力することにより、前記第1トランジスタをオンに制御する、起動部と、
一端が前記第2ノードに電気的に接続され、他端が前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、前記第2巻線の他端に誘起される電圧が予め定められた電圧に達した場合に、前記第1トランジスタをオンに制御するオン制御部と、
一端が前記第2ノードに電気的に接続され、他端が前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、前記第2巻線の他端に誘起される電圧が予め定められた電圧に達してから予め定められた時間が経過した場合に、前記第1トランジスタをオフに制御するオフ制御部と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
前記オン制御部は、
一端が前記第2ノードに電気的に接続された、第1抵抗と、
アノードが前記第1抵抗の他端に電気的に接続され、カソードが前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続された、第3ダイオードと、
前記第3ダイオードに並列接続された、第4コンデンサと、
を含む、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記オフ制御部は、
コレクタ又はドレインが前記第1トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、エミッタ又はソースが基準電位に電気的に接続された、第2トランジスタと、
一端が前記第2トランジスタのベース又はゲートに電気的に接続され、他端が基準電位に電気的に接続された、第5コンデンサと、
一端が前記第2ノードに電気的に接続され、他端が前記第5コンデンサの一端に電気的に接続された、第2抵抗と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記自励振回路は、
前記直流出力電圧を検出する、出力電圧検出部と、
前記出力電圧検出部の検出電圧に基づいて、前記第5コンデンサの一端に電流を出力する、調整充電電流供給部と、
を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複数の電源から夫々出力される複数の電圧を、1つのコンバータで1つの電圧に変換し昇圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1比較例の電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、第1比較例の電源装置の昇圧チョッパの構成を示す図である。
図3図3は、第2比較例の電源装置の構成を示す図である。
図4図4は、第2比較例の電源装置の電流波形を示す図である。
図5図5は、実施形態の電源装置の構成を示す図である。
図6図6は、実施形態の電源装置の動作シーケンスを示す図である。
図7図7は、実施形態の電源装置の各部の電圧波形又は電流波形を示す図である。
図8図8は、実施形態の電源装置の各部の電流の向きを示す図である。
図9図9は、実施形態の電源装置の各部の電流の向きを示す図である。
図10図10は、実施形態の電源装置の各部の電流の向きを示す図である。
図11図11は、実施形態の電源装置の各部の電流の向きを示す図である。
図12図12は、実施形態の電源装置の各部の電流の向きを示す図である。
図13図13は、実施形態の電源装置の各部の電流の向きを示す図である。
図14図14は、実施形態の電源装置の各部の電流の向きを示す図である。
図15図15は、実施形態の電源装置の各部の電流の向きを示す図である。
図16図16は、実施形態の電源装置の各部の電流波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0015】
<実施形態>
以下、実施形態について説明するが、実施形態の理解の容易のため、比較例について先に説明する。
【0016】
(第1比較例)
図1は、第1比較例の電源装置の構成を示す図である。電源装置101は、昇圧チョッパ102、103及び104を含む。
【0017】
昇圧チョッパ102の第1入力端子102aは、電源2の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。昇圧チョッパ102の第2入力端子102bは、電源2の他端(低電位側端)及び基準電位に電気的に接続されている。
【0018】
電源2は、第1入力端子102aと第2入力端子102bとの間に、電圧Vin1を出力する。
【0019】
昇圧チョッパ102の第1出力端子102cは、負荷5の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。昇圧チョッパ102の第2出力端子102dは、負荷5の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0020】
昇圧チョッパ102は、第1出力端子102cと第2出力端子102dとの間に、電圧Voutを出力する。
【0021】
昇圧チョッパ103の第1入力端子103aは、電源3の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。昇圧チョッパ103の第2入力端子103bは、電源3の他端(低電位側端)及び基準電位に電気的に接続されている。
【0022】
電源3は、第1入力端子103aと第2入力端子103bとの間に、電圧Vin2を出力する。
【0023】
昇圧チョッパ103の第1出力端子103cは、負荷5の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。昇圧チョッパ103の第2出力端子103dは、負荷5の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0024】
昇圧チョッパ103は、第1出力端子103cと第2出力端子103dとの間に、電圧Voutを出力する。
【0025】
昇圧チョッパ104の第1入力端子104aは、電源4の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。昇圧チョッパ104の第2入力端子104bは、電源4の他端(低電位側端)及び基準電位に電気的に接続されている。
【0026】
電源4は、第1入力端子104aと第2入力端子104bとの間に、電圧Vin3を出力する。
【0027】
昇圧チョッパ104の第1出力端子104cは、負荷5の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。昇圧チョッパ104の第2出力端子104dは、負荷5の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0028】
昇圧チョッパ104は、第1出力端子104cと第2出力端子104dとの間に、電圧Voutを出力する。
【0029】
図2は、第1比較例の電源装置の昇圧チョッパの構成を示す図である。なお、図2は、昇圧チョッパ102の構成を示す。昇圧チョッパ103及び104の構成は、昇圧チョッパ102の構成と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0030】
昇圧チョッパ102は、インダクタL1と、トランジスタQ1と、ダイオードD1と、コンデンサC1と、制御回路105と、を含む。
【0031】
トランジスタQ1が、本開示の「第1トランジスタ」の一例に相当する。ダイオードD1が、本開示の「第2ダイオード」の一例に相当する。コンデンサC1が、本開示の「第1コンデンサ」の一例に相当する。
【0032】
インダクタL1の一端は、第1入力端子102aに電気的に接続されている。インダクタL1の他端は、トランジスタQ1のコレクタ及びダイオードD1のアノードに電気的に接続されている。
【0033】
トランジスタQ1のエミッタは、第2入力端子102b及び第2出力端子102dに電気的に接続されている。トランジスタQ1のベースには、スイッチング制御信号S1が制御回路105から入力される。
【0034】
本開示では、各トランジスタは、バイポーラトランジスタであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、FETであっても良い。トランジスタがFETである場合、FETのソースがバイポーラトランジスタのエミッタに相当し、FETのゲートがバイポーラトランジスタのベースに相当し、FETのドレインがバイポーラトランジスタのコレクタに相当する。
【0035】
ダイオードD1のカソードは、コンデンサC1の一端及び第1出力端子102cに電気的に接続されている。
【0036】
コンデンサC1の他端は、第2入力端子102b及び第2出力端子102dに電気的に接続されている。コンデンサC1の電圧が、電圧Voutである。
【0037】
制御回路105は、出力電圧検出部105aと、制御部105bと、駆動部105cと、を含む。
【0038】
出力電圧検出部105aは、電圧Voutを検出し、検出信号S11を制御部105bに出力する。
【0039】
制御部105bは、検出信号S11に基づいて、電圧Voutが目標電圧となるようにスイッチング制御信号S12を生成し、駆動部105cに出力する。
【0040】
駆動部105cは、スイッチング制御信号S12の電圧レベルを変換したスイッチング制御信号S1を、トランジスタQ1のベースに出力する。
【0041】
トランジスタQ1がオン状態の場合、インダクタL1が電流(電磁エネルギー)を蓄積する。トランジスタQ1がオフ状態の場合、インダクタL1が電流を放出する。電圧Vin1とインダクタL1の電圧とを加算した電圧Voutが、コンデンサC1に印加される。
【0042】
第1比較例の電源装置101は、電源の数(本例では、3個)と同数の昇圧チョッパ102、103及び104が必要となるので、大型化し、コストが高くなる。
【0043】
(第2比較例)
第2比較例の構成要素のうち、第1比較例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
図3は、第2比較例の電源装置の構成を示す図である。
【0045】
電源装置111は、昇圧チョッパ102(図2参照)と比較して、インダクタL2及びL3と、ダイオードD2、D3及びD4と、を更に含む。
【0046】
インダクタL1、L2及びL3が、本開示の「複数の第1インダクタ」の一例に相当する。ダイオードD2、D3及びD4が、本開示の「複数の第1ダイオード」の一例に相当する。
【0047】
電源装置111の第1入力端子111aは、電源2の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。電源装置111の第2入力端子111bは、電源3の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。電源装置111の第3入力端子111cは、電源4の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。電源装置111の第4入力端子111dは、電源2、3及び4の他端(低電位側端)、並びに、基準電位に電気的に接続されている。
【0048】
電源2は、第1入力端子111aと第4入力端子111dとの間に、電圧Vin1を出力する。電源3は、第2入力端子111bと第4入力端子111dとの間に、電圧Vin2を出力する。電源4は、第3入力端子111cと第4入力端子111dとの間に、電圧Vin3を出力する。
【0049】
電源装置111の第1出力端子111eは、負荷5の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。電源装置111の第2出力端子111fは、負荷5の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0050】
電源装置111は、第1出力端子111eと第2出力端子111fとの間に、電圧Voutを出力する。
【0051】
インダクタL1の一端は、第1入力端子111aに電気的に接続されている。インダクタL1の他端は、ダイオードD2のアノードに電気的に接続されている。インダクタL1の一端側から他端側へ流れる電流を、電流IL1と称する。
【0052】
ダイオードD2のカソードは、ノードN1に電気的に接続されている。ダイオードD2は、インダクタL1に逆方向の電流が流れることを抑制する。
【0053】
ノードN1が、本開示の「第1ノード」の一例に相当する。
【0054】
インダクタL2の一端は、第2入力端子111bに電気的に接続されている。インダクタL2の他端は、ダイオードD3のアノードに電気的に接続されている。インダクタL2の一端側から他端側へ流れる電流を、電流IL2と称する。
【0055】
ダイオードD3のカソードは、ノードN1に電気的に接続されている。ダイオードD3は、インダクタL2に逆方向の電流が流れることを抑制する。
【0056】
インダクタL3の一端は、第3入力端子111cに電気的に接続されている。インダクタL3の他端は、ダイオードD4のアノードに電気的に接続されている。インダクタL3の一端側から他端側へ流れる電流を、電流IL3と称する。
【0057】
ダイオードD4のカソードは、ノードN1に電気的に接続されている。ダイオードD4は、インダクタL3に逆方向の電流が流れることを抑制する。
【0058】
電流IL1、電流IL2及び電流IL3の和を、電流IL4と称する。
【0059】
ダイオードD1のアノード及びトランジスタQ1のコレクタは、ノードN1に電気的に接続されている。
【0060】
トランジスタQ1がオン状態の場合、インダクタL1、L2及びL3が電流(電磁エネルギー)を蓄積する。トランジスタQ1がオフ状態の場合、インダクタL1、L2及びL3が電流を放出する。電圧Vin1とインダクタL1の電圧とを加算した電圧、電圧Vin2とインダクタL2の電圧とを加算した電圧、及び、電圧Vin3とインダクタL3の電圧とを加算した電圧の内の最大電圧である電圧Voutが、コンデンサC1に印加される。
【0061】
図4は、第2比較例の電源装置の電流波形を示す図である。波形201は、電流IL1の波形である。波形202は、電流IL2の波形である。波形203は、電流IL3の波形である。
【0062】
タイミングt111は、トランジスタQ1がオンになるタイミングである。タイミングt112は、トランジスタQ1がオフになるタイミングである。タイミングt113は、トランジスタQ1がオンになるタイミングである。タイミングt114は、トランジスタQ1がオフになるタイミングである。
【0063】
タイミングt111からタイミングt112までの間は、インダクタL1、L2及びL3が電流を蓄積するので、電流IL1、IL2及びIL3が増加する。
【0064】
タイミングt112からタイミングt113までの間は、インダクタL1、L2及びL3が電流を放出するので、電流IL1、IL2及びIL3が減少する。
【0065】
タイミングt113からタイミングt114までの間は、インダクタL1、L2及びL3が電流を蓄積するので、電流IL1、IL2及びIL3が増加する。
【0066】
電圧Vin1、Vin2及びVin3は、同じ電圧であるとは限らない。また、インダクタL1、L2及びL3には、個体差があり得る。つまり、電流IL1、IL2及びIL3に偏りが生じ得る。従って、トランジスタQ1がオフからオンに変化するタイミング(タイミングt113参照)で、電流IL1、IL2及びIL3の内のいずれか(本例では、電流IL1(波形201))がゼロにならずに電流が累積して行く。これにより、インダクタL1、L2及びL3のいずれか(本例では、インダクタL1)に磁気飽和が生じたり、過大電流が流れたりする。
【0067】
(実施形態)
[構成]
実施形態の構成要素のうち、第1比較例又は第2比較例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図5は、実施形態の電源装置の構成を示す図である。
【0069】
電源装置1は、電源装置111(図3参照)と比較して、自励振回路11を更に含む。自励振回路11は、ノードN1に流れる電流、つまり電流IL4に基づいて自励振を行い、自励振の結果としての制御信号をトランジスタQ1のベースに出力する。
【0070】
自励振回路11は、コンデンサC11、C12、C13及びC14と、インダクタL11と、起動部21と、オン制御部22と、オフ制御部23と、出力電圧検出部24と、調整充電電流出力部25と、を含む。
【0071】
コンデンサC11、C12及びC13が、本開示の「複数の第2コンデンサ」の一例に相当する。コンデンサC14が、本開示の「第3コンデンサ」の一例に相当する。インダクタL11が、本開示の「第2インダクタ」の一例に相当する。
【0072】
実施形態では、電源の数が3個の場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。電源の数は、2個以下であっても良いし、4個以上であっても良い。電源の数に応じて、複数の第1インダクタ、複数の第1ダイオード、及び、複数の第2コンデンサの数を変更すれば良い。
【0073】
電源装置1の第1入力端子1aは、電源2の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。電源装置1の第2入力端子1bは、電源3の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。電源装置1の第3入力端子1cは、電源4の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。電源装置1の第4入力端子1dは、電源2、3及び4の他端(低電位側端)、並びに、基準電位に電気的に接続されている。
【0074】
電源装置1の第1出力端子1eは、負荷5の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。電源装置1の第2出力端子1fは、負荷5の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0075】
電源装置1は、第1出力端子1eと第2出力端子1fとの間に、電圧Voutを出力する。
【0076】
コンデンサC11の一端は、ダイオードD2のアノードに電気的に接続されている。コンデンサC11の他端は、ダイオードD2のカソードに電気的に接続されている。コンデンサC11は、ダイオードD2の逆方向(カソード側からアノード側)に流れる電流を蓄積する。
【0077】
コンデンサC12の一端は、ダイオードD3のアノードに電気的に接続されている。コンデンサC12の他端は、ダイオードD3のカソードに電気的に接続されている。コンデンサC12は、ダイオードD3の逆方向(カソード側からアノード側)に流れる電流を蓄積する。
【0078】
コンデンサC13の一端は、ダイオードD4のアノードに電気的に接続されている。コンデンサC13の他端は、ダイオードD4のカソードに電気的に接続されている。コンデンサC13は、ダイオードD4の逆方向(カソード側からアノード側)に流れる電流を蓄積する。
【0079】
インダクタL11は、第1巻線L11aと、第2巻線L11bと、コアL11cと、を含む。第1巻線L11a及び第2巻線L11bは、コアL11cに巻回されている。第2巻線L11bは、第1巻線L11aに誘起される電圧と逆方向の電圧を誘起する向きで、コアL11cに巻回されている。
【0080】
第1巻線L11aの一端は、ノードN1に電気的に接続されている。第1巻線L11aの他端は、起動部21の一端、トランジスタQ1のコレクタ、及び、ダイオードD1のアノードに電気的に接続されている。
【0081】
起動部21の他端は、トランジスタQ1のベースに電気的に接続されている。
【0082】
起動部21は、電源装置1の起動の際に、第1巻線L11aの他端の電圧又は電流をトランジスタQ1のベースに出力することにより、トランジスタQ1をオンに制御する。
【0083】
起動部21は、抵抗R21を含む。抵抗R21の一端は、第1巻線L11aの他端に電気的に接続されている。抵抗R21の他端は、トランジスタQ1のベースに電気的に接続されている。
【0084】
第2巻線L11bの一端は、第4入力端子1d及び第2出力端子1fに電気的に接続されている。第2巻線L11bの他端は、ノードN2に電気的に接続されている。
【0085】
ノードN2が、本開示の「第2ノード」の一例に相当する。
【0086】
オン制御部22の一端は、ノードN2に電気的に接続されている。オン制御部22の他端は、トランジスタQ1のベースに電気的に接続されている。
【0087】
オン制御部22は、第2巻線L11bの他端に誘起される電圧が予め定められた電圧に達した場合に、トランジスタQ1をオンに制御する。
【0088】
オン制御部22は、抵抗R31と、ダイオードD31と、コンデンサC31と、を含む。
【0089】
抵抗R31が、本開示の「第1抵抗」の一例に相当する。ダイオードD31が、本開示の「第3ダイオード」の一例に相当する。コンデンサC31が、本開示の「第4コンデンサ」の一例に相当する。
【0090】
抵抗R31の一端は、ノードN2に電気的に接続されている。抵抗R31の他端は、ダイオードD31のアノード及びコンデンサC31の一端に電気的に接続されている。
【0091】
ダイオードD31のカソード及びコンデンサC31の他端は、トランジスタQ1のベースに電気的に接続されている。コンデンサC31は、ダイオードD31の逆方向(カソード側からアノード側)へ流れる電流を蓄積する。
【0092】
オフ制御部23は、第2巻線L11bの他端に誘起される電圧が予め定められた電圧に達してから予め定められた時間が経過した場合に、トランジスタQ1をオフに制御する。
【0093】
オフ制御部23は、トランジスタQ41と、コンデンサC41と、抵抗R41と、を含む。
【0094】
トランジスタQ41が、本開示の「第2トランジスタ」の一例に相当する。コンデンサC41が、本開示の「第5コンデンサ」の一例に相当する。抵抗R41が、本開示の「第2抵抗」の一例に相当する。
【0095】
トランジスタQ41のコレクタは、トランジスタQ1のベースに電気的に接続されている。トランジスタQ41のエミッタは、第4入力端子1d及び第2出力端子1fに電気的に接続されている。
【0096】
コンデンサC41の一端は、トランジスタQ41のベースに電気的に接続されている。コンデンサC41の他端は、第4入力端子1d及び第2出力端子1fに電気的に接続されている。
【0097】
抵抗R41の一端は、ノードN2に電気的に接続されている。抵抗R41の他端は、コンデンサC41の一端に電気的に接続されている。
【0098】
コンデンサC14の一端は、トランジスタQ1のコレクタに電気的に接続されている。コンデンサC14の他端は、第4入力端子1d及び第2出力端子1fに電気的に接続されている。
【0099】
出力電圧検出部24は、電圧Voutを検出して、検出信号を調整充電電流出力部25に出力する。調整充電電流出力部25は、出力電圧検出部24から入力される検出信号に基づいて、コンデンサC41の一端に電流を出力する。調整充電電流出力部25は、コンデンサC41の電圧の上昇を調整できる。
【0100】
[動作]
図6から図15までは、実施形態の電源装置の動作を説明する図である。
【0101】
図6は、電源装置1の動作シーケンスを示す図である。
【0102】
図7は、電源装置1の各部の電圧波形又は電流波形を示す図である。波形301は、トランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間電圧を示す。波形302は、電流IL4を示す。波形303は、インダクタL11の第2巻線L11bの電圧を示す。波形304は、コンデンサC41の電圧を示す。
【0103】
図8から図15までは、電源装置1の各部の電流の向きを示す図である。
【0104】
図6を参照すると、ステップS100において、抵抗R21からトランジスタQ1のゲートに電流が供給される。図8を参照すると、ノードN1の電圧がハイレベルであるので、矢印401で示すように、ノードN1から第1巻線L11a及び抵抗R21を経由して、トランジスタQ1のベースに電流が供給される。
【0105】
電源装置1は、ステップS100の次に、ステップS102を行う。
【0106】
図6を参照すると、ステップS102において、トランジスタQ1がオン状態になる。図7を参照すると、波形301で示すように、タイミングt(ステップS100)以降において、トランジスタQ1がオン状態になるので、コレクタ-エミッタ間電圧がローレベルになる。図9を参照すると、トランジスタQ1がオン状態になるので、矢印402で示すように、トランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間が導通する。
【0107】
電源装置1は、ステップS102の次に、ステップS104及びS106を行う。
【0108】
図6を参照すると、ステップS104において、トランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間が導通しているので、インダクタL11の第1巻線L11aが電流IL4を蓄積する。図7を参照すると、波形302で示すように、タイミングt以降において、インダクタL11の第1巻線L11aが電流IL4を蓄積する。
【0109】
図6を参照すると、ステップS106において、コンデンサC41が充電を開始する。図7を参照すると、波形304で示すように、タイミングt以降において、コンデンサC41が充電を開始し、コンデンサC41の電圧が上昇する。本例では、コンデンサC41には、2つの経路で電流が供給される。図10を参照すると、第2巻線L11bの他端に正方向の電圧が誘起されるので、矢印403で示すように、第2巻線L11bの他端から抵抗R41を経由して、コンデンサC41の一端に電流が供給される。また、出力電圧検出部24が検出信号を調整充電電流出力部25に出力し、調整充電電流出力部25が、矢印404で示すように、検出信号に応じた電流をコンデンサC41の一端に出力する。
【0110】
電源装置1は、ステップS106の次に、ステップS108を行う。
【0111】
図6を参照すると、ステップS108において、コンデンサC41の電圧がトランジスタQ41のベース閾値電圧に達すると、トランジスタQ41がオン状態になり、トランジスタQ1のベースがローレベルになるので、トランジスタQ1がオフ状態になる。図7を参照すると、波形301で示すように、タイミングt(ステップS108)において、トランジスタQ1がオフ状態になるので、コレクタ-エミッタ間電圧が電圧Voutになる。
【0112】
電源装置1は、ステップS108の次に、ステップS110、S112及びS114を行う。
【0113】
図6を参照すると、ステップS110において、インダクタL11の第1巻線L11aが電流IL4を放出する。図7を参照すると、波形302で示すように、タイミングt以降において、インダクタL11の第1巻線L11aが電流IL4を放出する。図11を参照すると、矢印405で示すように、インダクタL11の第1巻線L11aからダイオードD1を経由して、コンデンサC1へ電流IL4が流れる。
【0114】
電源装置1は、ステップS110の次に、ステップS118を行う。ステップS118については、後で説明する。
【0115】
図6を参照すると、ステップS112において、インダクタL11の第1巻線L11aが、ノードN1の電圧を昇圧し、電圧Voutを出力する。図7を参照すると、波形301で示すように、タイミングt(ステップS112)において、インダクタL11の第1巻線L11aがノードN1の電圧を昇圧し電圧Voutを出力するので、トランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間電圧が電圧Voutになる。
【0116】
電源装置1は、ステップS112の次に、ステップS116を行う。ステップS116については、後で説明する。
【0117】
図6を参照すると、ステップS114において、コンデンサC41が放電を開始する。図7を参照すると、波形304で示すように、タイミングt以降において、コンデンサC41が放電を開始し、コンデンサC41の電圧が下降する。図12を参照すると、第2巻線L11bの他端に逆方向の電圧が誘起されるので、矢印406で示すように、コンデンサC41の一端から抵抗R41を経由して第2巻線L11bの他端に電流が流れる。
【0118】
図6を参照すると、ステップS116において、コンデンサC14が電圧Voutに充電される。図7を参照すると、波形301で示すように、タイミングt以降において、トランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間電圧が電圧Voutであるので、コンデンサC14が電圧Voutに充電される。図13を参照すると、矢印407で示すように、インダクタL11の第1巻線L11aの他端からコンデンサC14の一端へ電流が流れ、コンデンサC14が電圧Voutに充電される。
【0119】
図6を参照すると、ステップS118において、インダクタL11の第1巻線L11aの電流IL4がゼロになる。図7を参照すると、波形302で示すように、タイミングt(ステップS118)において、インダクタL11の第1巻線L11aの電流IL4がゼロになる。
【0120】
電源装置1は、ステップS118の次に、ステップS120を行う。
【0121】
図6を参照すると、ステップS120において、コンデンサC14の電圧によって、インダクタL11の第1巻線L11aに逆方向の電流IL4が励磁される。図7を参照すると、波形302で示すように、タイミングt以降において、インダクタL11の第1巻線L11aに逆方向の電流IL4が流れる。図14を参照すると、矢印408で示すように、コンデンサC14の電圧によって、インダクタL11の第1巻線L11aに逆方向の電流IL4が励磁される。逆方向の電流IL4は、コンデンサC11、C12及びC13に分散して蓄積される。
【0122】
電源装置1は、ステップS120の次に、ステップS122を行う。
【0123】
図6を参照すると、ステップS122において、コンデンサC14の電圧が電圧Vinまで低下する。図7を参照すると、コンデンサC14の電圧が電圧Vinまで低下するので、波形301で示すように、トランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間電圧が電圧Vinまで低下する。
【0124】
電源装置1は、ステップS122の次に、ステップS124を行う。
【0125】
図6を参照すると、ステップS124において、コンデンサC14の電圧が電圧Vinよりも低下する。図7を参照すると、コンデンサC14の電圧が電圧Vinよりも低下するので、波形301で示すように、トランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間電圧が電圧Vinよりも低下する。
【0126】
電源装置1は、ステップS124の次に、ステップS126を行う。
【0127】
図6を参照すると、ステップS126において、インダクタL11の第2巻線L11bが、電圧を発生する。図7を参照すると、波形303で示すように、インダクタL11の第2巻線L11bが電圧を発生する。図15を参照すると、矢印409で示すように、インダクタL11の第2巻線L11bの他端から、抵抗R31及びダイオードD31を経由して、トランジスタQ1のベースに電流が流れる。
【0128】
電源装置1は、ステップS126の次に、ステップS102を行う。図7を参照すると、タイミングtにおいて、トランジスタQ1がオンになり、コレクタ-エミッタ間電圧がローレベルになる。
【0129】
(第1比較例と比較した効果)
実施形態の電源装置1(図5参照)は、第1比較例の電源装置101(図1及び図2参照)と比較して、ハードウェア量を抑制できるので、大型化を抑制でき、コストを抑制できる。
【0130】
(第2比較例と比較した効果)
先に説明したように、第2比較例の電源装置111(図3参照)では、電流IL1、IL2及びIL3の内のいずれか(図4の例では、電流IL1(波形201))がゼロにならずに電流が累積して行く。これにより、インダクタL1、L2及びL3のいずれか(図4の例では、インダクタL1)に磁気飽和が生じたり、過大電流が流れたりする。
【0131】
一方、実施形態の電源装置1では、インダクタL11の第1巻線L11aを流れる電流IL4がゼロ以下、つまり電流IL1、電流IL2及び電流IL3の全部がゼロ以下のタイミングt図7参照)において、トランジスタQ1がオフからオンに変化する。
【0132】
図16は、実施形態の電源装置の各部の電流を示す図である。波形501は、電流IL1の波形である。波形502は、電流IL2の波形である。波形503は、電流IL3の波形である。波形504は、電流IL4の波形である。
【0133】
タイミングt11は、トランジスタQ1がオンになるタイミングである。タイミングt12は、トランジスタQ1がオフになるタイミングである。タイミングt13は、電流IL4がゼロになるタイミングである。タイミングt14は、トランジスタQ1がオンになるタイミングである。タイミングt15は、トランジスタQ1がオフになるタイミングである。
【0134】
タイミングt11からタイミングt12までの間は、インダクタL1、L2、L3及びL11が電流を蓄積するので、電流IL1、IL2、IL3及びIL4が増加する。
【0135】
タイミングt12からタイミングt13までの間は、インダクタL1、L2、L3及びL11が電流を放出するので、電流IL1、IL2、IL3及びIL4が減少する。
【0136】
タイミングt13では、電流IL4がゼロ、即ち電流IL1、IL2及びIL3の全部がゼロになる。
【0137】
タイミングt14からタイミングt15までの間は、インダクタL1、L2、L3及びL11が電流を蓄積するので、電流IL1、IL2、IL3及びIL4が増加する。
【0138】
前述したように、電圧Vin1、Vin2及びVin3は、同じ電圧であるとは限らない。また、インダクタL1、L2及びL3には、個体差があり得る。つまり、電流IL1、IL2及びIL3に偏りが生じ得る。しかしながら、電源装置1では、電流IL4がゼロ、即ち電流IL1、IL2及びIL3の全部がゼロになり(タイミングt13参照)、その後に(タイミングt14参照)トランジスタQ1がオンになる。
【0139】
従って、電源装置1では、電流IL1、IL2及びIL3が累積することがない。これにより、電源装置1は、インダクタL1、L2及びL3に磁気飽和が生じることを抑制でき、過大電流が流れることを抑制できる。
【0140】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0141】
1、101 電源装置
2、3、4 電源
5 負荷
11 自励振回路
21 起動部
22 オン制御部
23 オフ制御部
24 出力電圧検出部
25 調整充電電流出力部
102、103、104 昇圧チョッパ
105 制御回路
L1、L2、L3、L11 インダクタ
D1、D2、D3、D4、D31 ダイオード
C1、C11、C12、C13、C14、C31、C41 コンデンサ
R21、R31、R41 抵抗
Q1、Q41 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16