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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040841
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/42 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
H05K3/42 610A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145463
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】豊島 良一
【テーマコード(参考)】
5E317
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB01
5E317BB03
5E317BB12
5E317BB14
5E317CC25
5E317CC33
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD27
5E317GG14
(57)【要約】
【課題】層間導電路を有するプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成するための方法を提供する。
【解決手段】実施形態のプリント配線板1の製造方法は、第1の主面および第1の主面の反対側の第2の主面を有する絶縁基材30と、第1の主面に設けられた金属箔10と、第2の主面に設けられた金属箔20と、を有する両面金属張積層板2を用意する工程と、両面金属張積層板2の金属箔10をパターニングして、配線パターンWP1およびコンフォーマルマスク12を形成する工程と、コンフォーマルマスク12にレーザ光を照射することにより、コンフォーマルマスク12の開口12aに露出した絶縁基材30を除去して導通用孔を形成する工程と、配線パターンWP1を被覆し、導通用孔を被覆しないめっきレジスト14を形成する工程と、導通用孔の内部に金属めっき40を形成する工程と、めっきレジスト14を除去する工程と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有する絶縁基材と、前記第1の主面に設けられた第1の金属箔と、前記第2の主面に設けられた第2の金属箔と、を有する両面金属張積層板を用意する工程と、
前記両面金属張積層板の前記第1の金属箔をパターニングして、配線パターンおよびコンフォーマルマスクを形成する工程と、
前記コンフォーマルマスクにレーザ光を照射することにより、前記コンフォーマルマスクの開口に露出した前記絶縁基材を除去して導通用孔を形成する工程と、
前記配線パターンを被覆し、前記導通用孔を被覆しないめっきレジストを形成する工程と、
前記導通用孔の内部に金属めっきを形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
を備える、プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記配線パターンを形成する工程は、
前記第1の金属箔の上に、前記第1の金属箔の厚さの1.5倍以下の厚さを有するレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光および現像して、前記配線パターンに対応するエッチングレジストを形成する工程と、
前記エッチングレジストで被覆されていない前記第1の金属箔をエッチングで除去することにより、前記配線パターンを形成する工程と、
前記エッチングレジストを除去する工程とを備える、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記配線パターンおよびコンフォーマルマスクを形成する工程において、前記配線パターンの形成と、前記コンフォーマルマスクとを、同時に形成する、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記めっきレジストを形成する工程の前に、前記配線パターン、前記配線パターン間に露出した絶縁基材および前記導通用孔に対して乾式めっき処理を施す工程と、
前記めっきレジストを除去する工程の後に、前記乾式めっき処理により形成された金属薄膜のうち、前記金属めっきで覆われていない部分を除去する工程をさらに備える、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記乾式めっき処理は、スパッタリング法により行う、請求項4に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記金属箔は、銅箔であり、
前記スパッタリング法は、銅を用いたスパッタリング法であり、
前記金属薄膜は銅薄膜である、請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記導通用孔を形成する工程は、前記導通用孔の底面に前記第2の金属箔が露出するように行う、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記両面金属張積層板の前記第2の金属箔をパターニングして、配線パターンと、平面視で前記開口を包含する別の開口と、ランドとを形成し、
前記導通用孔を形成する工程は、前記導通用孔が前記開口および前記別の開口を連通させる貫通孔となるように行う、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
前記コンフォーマルマスクは、前記開口として、第1の開口および第2の開口を含み、
前記両面金属張積層板の前記第2の金属箔をパターニングして、第3の開口を形成する工程であって、前記第3の開口が平面視で前記コンフォーマルマスクの前記第2の開口を包含する工程をさらに備え、
前記導通用孔を形成する工程において、前記コンフォーマルマスクの前記第1の開口および前記第2の開口に露出した前記絶縁基材を除去して、底面に前記第2の金属箔が露出する第1の導通用孔ならびに前記第2の開口および前記第3の開口を連通させる第2の導通用孔を形成する、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板である、請求項1~9のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
前記第1および第2の金属箔は、圧延銅箔である、請求項10に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
前記金属めっきは、電解めっきである、請求項1~9のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項13】
請求項10に記載の製造方法において、少なくとも一つの工程をロールツーロール方式にて行う、プリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の製造方法に関し、より詳しくは、層間導電路を有するプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成するためのプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートホンなどの情報通信機器を始めとして、電子機器は小型化、軽量化に向かう傾向にあり、基板の小型化、高密度化が求められている。基板の高密度化とは、限られた基板外形に対し、より多くの配線を形成することである。より多くの配線を形成するためには、配線パターンの微細化および多層化が必要である。
【0003】
配線パターンの形成にはエッチングを用いる。サブトラクティブ法は、エッチングにより配線パターンを形成する方法の一つであり、特にフレキシブルプリント配線板の配線パターンの形成において一般に用いられる。サブトラクティブ法においては、配線の深さ方向へのエッチングと、配線の幅方向へのエッチングが等方的に起こる。よって、微細な配線パターンを形成するためには、配線に用いられる金属箔は、薄い方が有利である。
【0004】
一方、多層化のため、両面に金属箔を有する基板や多層の基板には、ビア、スルーホールなどの層間導電路が形成され、各層の配線は、層間導電路によって電気的に接続される。層間導電路を形成する際には、導通用孔に金属めっきを形成する必要がある。特許文献1~3には、金属めっきを形成する方法の一態様として、ボタンめっき法と呼ばれる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-108270号公報
【特許文献2】特開平11-195849号公報
【特許文献3】特許第6884333号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボタンめっき法は、基板の特定部分にのみめっき処理を施す方法である。ボタンめっき法における、配線パターンおよび層間導電路の形成方法の一例について、図5A図5Dを参照して説明する。図5A図5Dは、比較例に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【0007】
図5A(1)に示すように、金属箔100,200および絶縁基材300を備える両面金属張積層板を準備する。次に、図5A(1)に示すように、当該両面金属張積層板に対して、導通用孔Hを形成する。次に、図5A(2)に示すように、両面金属張積層板の上面および下面にめっきレジスト140およびめっきレジスト240をそれぞれ形成する。めっきレジスト140には、導通用孔Hの部分に開口140aが設けられている。すなわち、めっきレジスト140は、導通用孔Hを被覆しない。
【0008】
次に、図5B(1)に示すように、めっき処理を行い、導通用孔Hの内部に金属めっき400(ボタンめっき)を形成する。金属めっき400には、ボタンランド410が含まれる。その後、図5B(2)に示すように、めっきレジスト140,240を除去する。
【0009】
次に、図5C(1)に示すように、両面金属張積層板の上面および下面を覆うようにレジスト膜150およびレジスト膜250をそれぞれ形成する。金属めっき400はレジスト膜150に埋め込まれる。次に、図5C(2)に示すように、レジスト膜150,250を露光および現像して、エッチングレジスト150a,250aを形成する。
【0010】
次に、図5D(1)に示すように、エッチングレジスト150aに被覆されていない金属箔100およびエッチングレジスト250aに被覆されていない金属箔200を除去するエッチングを行う。その後、図5D(2)に示すように、エッチングレジスト150a,250aを除去する。以上の工程により、複数の配線110を有する配線パターンWP10と、ランド120bと、複数の配線210を有するWP20と、ランド120bの反対側のランド220と、層間導電路500とを形成する。
【0011】
ボタンめっき法は、配線パターンの微細化に際し、次のような課題を有する。図5B(2)に示すように、金属めっき400の上部は、金属箔100から突出する。金属めっき400が、その後の工程でエッチングされないようにするため、図5C(1)に示すように、レジスト膜150を形成する際に、金属箔100から突出した金属めっき400を埋め込む必要がある。このため、レジスト膜150を厚く形成する。しかしながら、レジスト膜150を厚くすると、エッチングの解像度が低下して、微細な配線パターンを形成することが難しくなる。
【0012】
本発明は、上記技術的認識に基づいてなされたものであり、その目的は、層間導電路を有するプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成するためのプリント配線板を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有する絶縁基材と、前記第1の主面に設けられた第1の金属箔と、前記第2の主面に設けられた第2の金属箔と、を有する両面金属張積層板を用意する工程と、
前記両面金属張積層板の前記第1の金属箔をパターニングして、配線パターンおよびコンフォーマルマスクを形成する工程と、
前記コンフォーマルマスクにレーザ光を照射することにより、前記コンフォーマルマスクの開口に露出した前記絶縁基材を除去して導通用孔を形成する工程と、
前記配線パターンを被覆し、前記導通用孔を被覆しないめっきレジストを形成する工程と、
前記導通用孔の内部に金属めっきを形成する工程と、
前記めっきレジストを除去する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記配線パターンを形成する工程は、
前記第1の金属箔の上に、前記第1の金属箔の厚さの1.5倍以下の厚さを有するレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光および現像して、前記配線パターンに対応するエッチングレジストを形成する工程と、
前記エッチングレジストで被覆されていない前記第1の金属箔をエッチングで除去することにより、前記配線パターンを形成する工程と、
前記エッチングレジストを除去する工程とを備えるようにしてもよい。
【0015】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記配線パターンおよびコンフォーマルマスクを形成する工程において、前記配線パターンの形成と、前記コンフォーマルマスクとを、同時に形成するようにしてもよい。
【0016】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記めっきレジストを形成する工程の前に、前記配線パターン、前記配線パターン間に露出した絶縁基材および前記導通用孔に対して乾式めっき処理を施す工程と、
前記めっきレジストを除去する工程の後に、前記乾式めっき処理により形成された金属薄膜のうち、前記金属めっきで覆われていない部分を除去する工程をさらに備えるようにしてもよい。
【0017】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記乾式めっき処理は、スパッタリング法により行うようにしてもよい。
【0018】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記金属箔は、銅箔であり、
前記スパッタリング法は、銅を用いたスパッタリング法であり、
前記金属薄膜は銅薄膜であるようにしてもよい。
【0019】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記導通用孔を形成する工程は、前記導通用孔の底面に前記第2の金属箔が露出するように行うようにしてもよい。
【0020】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記両面金属張積層板の前記第2の金属箔をパターニングして、配線パターンと、平面視で前記開口を包含する別の開口と、ランドとを形成し、
前記導通用孔を形成する工程は、前記導通用孔が前記開口および前記別の開口を連通させる貫通孔となるように行うようにしてもよい。
【0021】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記コンフォーマルマスクは、前記開口として、第1の開口および第2の開口を含み、
前記両面金属張積層板の前記第2の金属箔をパターニングして、第3の開口を形成する工程であって、前記第3の開口が平面視で前記コンフォーマルマスクの前記第2の開口を包含する工程をさらに備え、
前記導通用孔を形成する工程において、前記コンフォーマルマスクの前記第1の開口および前記第2の開口に露出した前記絶縁基材を除去して、底面に前記第2の金属箔が露出する第1の導通用孔ならびに前記第2の開口および前記第3の開口を連通させる第2の導通用孔を形成するようにしてもよい。
【0022】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板であるようにしてもよい。
【0023】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記第1および第2の金属箔は、圧延銅箔であるようにしてもよい。
【0024】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記金属めっきは、電解めっきであるようにしてもよい。
【0025】
また、前記プリント配線板の製造方法において、
前記各工程のうち少なくとも一つの工程をロールツーロール方式にて行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、導通用孔を形成する前に配線パターンを形成することから、導通用孔に形成された層間導電路をエッチングレジストで埋め込む必要がない。したがって、薄いレジスト膜を用いることができ、層間導電路を有するプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
図2A】第1の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図2B図2Aに続く、第1の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図2C図2Bに続く、第1の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図2D図2Cに続く、第1の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図2E図2Dに続く、第1の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図2F図2Eに続く、第1の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図3A】第2の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図3B図3Aに続く、第2の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図3C図3Bに続く、第2の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図3D図3Cに続く、第2の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図3E図3Dに続く、第2の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図4A】第3の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図4B図4Aに続く、第3の実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図5A】比較例に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図5B図5Aに続く、比較例に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図5C図5Bに続く、比較例に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
図5D図5Cに続く、比較例に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図においては、同等の機能を有する構成要素に同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各実施形態に係る特徴部分を中心に示すものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0029】
(第1の実施形態)
図1および図2A図2Fを参照しつつ、第1の実施形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明する。図1は、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。図2A図2Fは、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する工程断面図である。
【0030】
本実施形態において製造するプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板である。なお、本実施形態において製造するプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板に限定されず、リジッドプリント配線板であってもよい。
【0031】
図2A(1)に示すように、両面金属張積層板2を用意する(ステップS1)。両面金属張積層板2は、金属箔10,20と、絶縁基材30とを有する。より詳しくは、両面金属張積層板2は、上面(第1の主面)および下面(第1の主面の反対側の第2の主面)を有する絶縁基材30と、絶縁基材30の上面に設けられた金属箔10と、絶縁基材30の下面に設けられた金属箔20とを有する。
【0032】
たとえば、金属箔10,20は厚さ12μmの銅箔(電解銅箔)であり、絶縁基材30は厚さ25μmのポリイミドである。
【0033】
なお、金属箔10,20の厚さおよび材料は、上記のものに限られない。金属箔10,20の厚さは、たとえば5~72μmである。また、金属箔10と金属箔20の厚さは、互いに異なっていてもよい。さらに、金属箔10,20の材料は、銅に限定されず、銅以外の金属(たとえば銀、アルミニウムなど)であってもよい。
【0034】
また、金属箔10,20として銅箔を用いる場合、電解銅箔に限定されず、圧延銅箔であってもよい。フレキシブルプリント配線板を製造する場合、圧延銅箔が好ましい。圧延銅箔を用いることで、屈曲性の高いフレキシブルプリント配線板を提供することができる。
【0035】
なお、絶縁基材30の厚さおよび材料は、上記のものに限られない。絶縁基材30の厚さは、たとえば6~100μmである。絶縁基材30の材料は、たとえばPFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系材料、MPI(変性ポリイミド)、PI(ポリイミド)などのポリイミド系材料、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、またはPEN(ポリエチレンナフタレート)などであってもよい。
【0036】
次に、両面金属張積層板2の金属箔10をパターニングして、配線パターンWP1およびコンフォーマルマスク12を形成する。また、金属箔20をパターニングして、配線パターンWP2およびコンフォーマルマスク12の反対側のランド22を形成する。具体的には、以下のステップS2~S5を行う。
【0037】
まず、図2A(2)に示すように、金属箔10の上にレジスト膜15を形成し、金属箔20の上にレジスト膜25を形成する(ステップS2)。たとえば、レジスト膜15,25として、厚さ10μmのネガ型ドライフィルムを金属箔10,20にラミネートすることによりレジスト膜15,25を形成する。
【0038】
なお、レジスト膜15,25の厚さ、および材料は、上記のものに限られないが、微細な配線パターンを形成するためには、レジスト膜15,25は薄いものが好ましい。具体的には、金属箔10,20の厚さの0.1倍以上かつ1.5倍以下の厚さが好ましい。本実施形態においては、レジスト膜15,25の厚さは、金属箔10,20の厚さの0.1倍以上かつ1倍以下である。なお、レジスト膜15とレジスト膜25の厚さは、互いに異なっていてもよい。
【0039】
次に、図2B(1)に示すように、レジスト膜15,25を露光および現像して、エッチングレジスト15a,25aを形成する(ステップS3)。エッチングレジスト15aには、後述する配線パターンWP1に対応する部分と、コンフォーマルマスク12に対応する部分とが含まれる。また、エッチングレジスト25aには、後述する配線パターンWP2に対応する部分と、コンフォーマルマスク12の反対側のランド22に対応する部分とが含まれる。
【0040】
本実施形態において、露光には、プロキシミティ露光機を用いる。なお、露光方法は、プロキシミティ露光に限定されず、プロジェクション露光、直描露光(ダイレクト露光)等であってもよい。
【0041】
次に、図2B(2)に示すように、エッチングレジスト15a,25aをマスクとしたエッチングを行う。より詳しくは、エッチングレジスト15a,25aで被覆されていない金属箔10,20を、エッチングで除去する(ステップS4)。本ステップでは、たとえば、塩化銅を用いた湿式エッチングを行う。
【0042】
その後、図2C(1)に示すように、エッチングレジスト15a,25aを除去する(ステップS5)。これにより、配線パターンWP1,WP2、コンフォーマルマスク12、およびコンフォーマルマスク12の反対側のランド22を形成する。配線パターンWP1は、間隔をあけて配置された複数の配線11を含む。同様に、配線パターンWP2は、間隔をあけて配置された複数の配線21を含む。コンフォーマルマスク12は、開口12aおよびランド12bを含む。
【0043】
本実施形態において、配線11,21の幅は20μmである。また、配線11,21の間の幅(ギャップ幅)は、20μmである。なお、配線11,21の幅は10~30μmであってもよい。また、配線11,21の間の幅は、10~30μmであってもよい。
【0044】
また、本実施形態において、開口12aの直径は50μmであり、ランド12bの直径(外径)は90μmである。なお、開口12aおよびランド12bの直径は、上記のものに限られないが、高密度の配線パターンを形成するためには、可能な限り小さいほうが好ましい。
【0045】
なお、配線パターンWP1、配線パターンWP2、コンフォーマルマスク12、およびランド22は、それぞれ別の工程で形成してもよい。具体的には、配線パターンWP1、配線パターンWP2、コンフォーマルマスク12、およびランド22をそれぞれ形成するごとに、上記と同様の工程を繰り返してもよい。この場合、配線パターンWP1、配線パターンWP2、コンフォーマルマスク12、およびランド22の形成順は任意である。
【0046】
好ましくは、少なくとも配線パターンWP1およびコンフォーマルマスク12を同時に形成する。これにより、配線パターンWP1とコンフォーマルマスク12との位置合わせを省略できる。より詳しくは、配線パターンWP1とコンフォーマルマスク12の開口12aの位置に形成される導通用孔H1(後述)との位置合わせを省略できる。従来のボタンめっき法においては、まず導通用孔Hを形成し、形成された導通用孔Hに対して、レジスト膜の露光パターン(エッチングの後、配線パターンとなる。)を位置合わせする。より詳しくは、図5C(2)の工程において、金属めっき400に対して、レジスト膜150の露光パターンを位置合わせする。一般に、当該位置合わせの際にはズレが生じる。このとき、配線パターンWP10が導通用孔Hの上に重ならないようにするため、導通用孔Hを回避するように余裕を持たせて配線パターンWP10を設計する。また、ランド120bが導通用孔Hの周囲に形成されるようにするために、ランド120bの直径を大きく設計する。一方、本実施形態では、当該位置合わせ自体を省略できるため、導通用孔H1のより近くに配線パターンWP1を配置するように設計することができる。また、後述するランド12bの直径を小さく設計することができる。このため、より微細な配線パターンを形成することができる。また、コンフォーマルマスク12を形成する工程を別途設ける必要が無いため、工程を簡略化できる。
【0047】
以上のステップS2~S5によって、配線パターンWP1,WP2、コンフォーマルマスク12、およびコンフォーマルマスク12の反対側のランド22が形成される。
【0048】
なお、ステップS2~S5において両面金属張積層板2の下面に配線パターンWP2を形成せず、両面金属張積層板2の下面は、金属箔20のままであってもよい。
【0049】
次に、図2C(2)に示すように、コンフォーマルマスク12にレーザ光を照射することにより、導通用孔H1を形成する(ステップS6)。より詳しくは、絶縁基材30の第1の主面側(金属箔10が設けられている側)から、コンフォーマルマスク12の開口12aに対して、開口12aの直径よりも幅が広く、ランド12bの直径よりも幅が狭いレーザ光を照射する。これにより、ランド12bをマスクとして、開口12aに露出した絶縁基材30を除去して導通用孔H1を形成する。このとき、コンフォーマルマスク12の開口12aの位置に導通用孔H1が形成される。なお、絶縁基材30を除去した後に、プラズマ等によるデスミア処理を行ってもよい。
【0050】
本ステップにおいて用いるレーザの種類は、炭酸ガスレーザである。なお、レーザの種類は、炭酸ガスレーザに限定されず、たとえば、UV-YAGレーザ等であってもよい。
【0051】
本実施形態においては、ランド22に開口が存在しないため、導通用孔H1を形成する工程において、導通用孔H1の底面に金属箔20(ランド22)が露出する。これにより、導通用孔H1は、有底孔となる。
【0052】
なお、レーザ光の照射条件を調整することにより、図2C(2)に示すように、導通用孔H1を開口12aから深くなるに従って内径が小さくなるように形成してもよい。これにより、後述する金属薄膜13を導通用孔H1の側面に定着しやすくすることができる。
【0053】
次に、図2D(1)に示すように、配線パターンWP1、コンフォーマルマスク12および導通用孔H1に対して、乾式めっき処理を施し、金属薄膜13を形成する(ステップS7)。より詳しくは、絶縁基材30の第1の主面側(金属箔10が設けられている側)に対して、乾式めっき処理を施し、配線パターンWP1と、配線パターンWP1間に露出した絶縁基材30と、コンフォーマルマスク12(すなわち、ランド12b)と、導通用孔H1の内壁(側面および底面)とに金属薄膜13を形成する。金属薄膜13を形成することで、導通用孔H1の側面に露出した絶縁基材30が導電化され、後述する層間導電路50の電気的接続を安定させることができる。なお、本ステップでは、たとえば、銅スパッタリングを用いて、金属薄膜13として厚さ0.3μmの銅薄膜を形成する。
【0054】
また、配線パターンWP1に露出した絶縁基材30にも金属薄膜13が形成されるため、複数の配線11同士が一時的に電気的に接続される。しかし、後のステップS11において、配線11間の金属薄膜13を除去する。
【0055】
なお、金属薄膜13の厚さは任意であるが、導通用孔H1に後述する金属めっき40を析出するために必要な導電化がされる厚さ以上であり、かつ配線11間の金属薄膜13を除去する際に配線パターンWP1への影響を最小限にするよう、一定の厚さ以下(たとえば、配線11,21の幅の0.1倍以下)であることが好ましい。
【0056】
なお、乾式めっき処理に代えて、湿式めっき処理(電解めっき処理および化学めっき処理等)を用いてもよい。好ましくは、ステップS7では、めっき処理として、乾式めっき処理を用いる。乾式めっき処理を用いることで、湿式めっき処理と比べて金属薄膜13を薄くすることができ、後段の工程で金属薄膜13を除去する際に、少量のエッチング等で容易に除去できることから、配線パターンWP1に与える影響を最小限に抑えることができる。また、乾式めっき処理によって、不純物の少ない金属薄膜13を形成することができ、金属薄膜13の電気抵抗を小さくすることができる。よって、金属箔10(特に、ランド12b)および導通用孔H1の底面に露出したランド22の上に金属薄膜13が形成された場合であっても、後述する金属めっき40とランド12bの導電性、および金属めっき40とランド22の導電性への影響を最小限に抑えることができる。すなわち、後述する層間導電路50の導電性への影響を最小限に抑えることができる。さらに、湿式めっき処理の場合、金属薄膜13を除去する際に、触媒(たとえば、パラジウム等)が配線パターンWP1に残留することがあり、当該触媒を除去する工程が別途必要となる場合がある。一方、乾式めっき処理においては、触媒を用いないため、工程を簡略化できる。
【0057】
また、乾式めっき処理の方法は、スパッタリング法に限られず、蒸着法等でもよい。より好ましくは、乾式めっき処理は、スパッタリング法により行う。これにより、金属薄膜13の付着力を高めることができ、導通用孔H1の導電化を安定させることができる。
【0058】
なお、スパッタリング法を用いる場合、金属箔10と同じ金属を用いてもよい。同一の金属を用いることで、物理的、電気的、化学的性質が揃うため、その後の処理が簡易になる。特に、金属箔10が銅箔である場合、スパッタリング法は、銅を用いたスパッタリング法(銅スパッタリング)であってもよい。このとき、金属薄膜13は銅薄膜となる。銅薄膜を形成することで、金属薄膜13の金属を、フレキシブルプリント配線板の場合に好ましい圧延銅箔と同じ金属(銅)とすることができる。
【0059】
上記のようにして金属薄膜13を形成した後、図2D(2)に示すように、めっきレジスト14,24を形成する(ステップS8)。めっきレジスト14には、導通用孔H1が露出した開口14aが設けられている。図2D(2)に示すように、開口14aは、ランド12bの上に設けられる。このように、めっきレジスト14は、配線パターンWP1を被覆し、導通用孔H1を被覆しないものとして形成される。
【0060】
以下、ステップS8で行う工程の一例を説明する。まず、図2D(1)で得られた配線板の両面全体を覆うめっきレジストを形成する。すなわち、金属薄膜13が形成された配線パターンWP1、ランド12bおよび導通用孔H1を覆うレジスト膜と、配線パターンWP2およびランド22を覆うレジスト膜とを形成する。
【0061】
次に、形成したレジスト膜を露光および現像して、めっきレジスト14,24を形成する。本実施形態においては、めっきレジスト14に設けられた開口14aの直径は70μmである。開口14aの直径は、後述するボタンランド41の直径と等しくなる。
【0062】
本実施形態において、露光には直描型露光機(ダイレクト露光機)を用いる。なお、露光方法は、これに限定されず、プロキシミティ露光、プロジェクション露光等であってもよいが、好ましくは、直描型露光を用いる。露光工程以前の工程において、配線板が伸縮した場合であっても、直描型露光機は、その伸縮に応じた露光パターンを描画できる。そのため、配線板の伸縮を想定して、めっきレジスト14の開口14aの直径を大きく設計する必要が無く、その結果、めっきレジスト14の開口14aの直径を小さくすることができる。よって、後述するボタンランド41の直径を小さくすることができ、ランド12bの直径をより小さくすることができる。
【0063】
なお、図2D(2)では、配線パターンWP1をめっきレジスト14で全て被覆したが、これに限られない。たとえば、少なくとも導通用孔H1の周囲に存在する配線パターンWP1のみをめっきレジスト14で被覆してもよい。この場合、導通用孔H1および導通用孔H1の周囲の配線パターンWP1のみに、めっき処理(たとえば、めっき液に浸漬)を行う。
【0064】
上記のようにしてめっきレジスト14,24を形成した後、図2E(1)に示すように、めっき処理を行うことにより、導通用孔H1の内部に金属めっき40を形成する(ステップS9)。より詳しくは、金属薄膜13が形成されためっきレジスト14の開口14aの内部に金属めっき40を形成する。金属めっき40には、ボタンランド41が含まれる。金属めっき40が形成されることにより、金属薄膜13の一部が金属めっき40に覆われる。具体的には、金属薄膜13のうち、導通用孔H1の内壁(側面および底面)に形成された部分が金属めっき40に覆われる。
【0065】
なお、金属めっき40は、図2E(1)に示すように、導通用孔H1の内部だけでなく、ランド12bの上に形成されるようにしてもよい。このとき、図2E(1)に示すように、ランド12bの一部はボタンランド41に覆われる。より詳しくは、金属薄膜13のうち、ランド12bの上に形成された部分が金属めっき40(ボタンランド41)に覆われる。
【0066】
その後、図2E(2)に示すように、めっきレジスト14,24を除去する(ステップS10)。これにより、ランド12bとランド22を電気的に接続する層間導電路50を形成する。
【0067】
本実施形態では、導通用孔H1が有底孔であったため、層間導電路50は、有底ビアとなる。なお、図2E(2)では、金属めっき40の上面は平らであるが、金属めっき40の上面に凹みがあってもよい。
【0068】
本実施形態において、金属めっき40は、電解めっきである。より詳しくは、電解めっき処理を行い、金属めっき40を形成する。電解めっきを用いることで、無電解めっきを用いる場合に比べて、めっき処理の時間を短くすることができ、製造効率を向上させることができる。
【0069】
なお、金属めっき40は、金属箔10と同じ金属を用いてもよい。同一の金属を用いることで、物理的、電気的、化学的性質が揃うため、取り扱いが簡易になる。特に、金属箔10が銅箔である場合、金属めっき40は、銅めっきであってもよい。銅めっきを形成することで、金属めっき40の金属を、フレキシブルプリント配線板の場合に好ましい圧延銅箔と同じ金属(銅)とすることができる。
【0070】
次に、図2Fに示すように、金属薄膜13の露出した部分、すなわち、金属薄膜13のうち、金属めっき40によって覆われていない部分の金属薄膜を除去する(ステップS11)。より詳しくは、金属薄膜13のうち、ランド12bのうちボタンランド41に覆われていない部分、配線11、および配線11の間に露出した絶縁基材30の上に形成された金属薄膜を除去する。ただし、金属薄膜13のうち、金属めっき40で覆われた部分の金属薄膜は除去されない。これにより、配線パターンWP1の配線11の間を絶縁する。なお、図2Fに示された断面以外の部分において配線11同士が設計上電気的に接続される場合は、この限りでない。
【0071】
具体的に、本実施形態において、金属薄膜13の除去は、フラッシュエッチングを行う。エッチング量は、たとえば電解銅箔換算で0.5μmである。エッチング量がごく微量なので配線幅への影響を最小限に抑えることができる。
【0072】
なお、金属薄膜13を除去する際、配線11,21がわずかに細くなる。そのため、ステップS3においてエッチングレジスト15a,25aを形成する際、配線11,21の上のエッチングレジスト15a,25aの幅を太くし、間の幅(ギャップ幅)を狭くなるようにしてもよい。
【0073】
以上の工程(ステップS1~S11)によって、図2Fに示すプリント配線板1を製造することができる。
【0074】
本実施形態によれば、導通用孔H1や金属めっき40を形成する前に配線パターンWP1,WP2を形成するため、金属めっき40を埋め込む厚いレジスト膜を形成する必要がない。したがって、配線パターンWP1,WP2の形成に薄いレジスト膜15,25を用いることができる。
【0075】
また、導通用孔H1を形成する前にレジスト膜15,25を形成するため、導通用孔H1の上にレジスト膜が形成されることはない。したがって、いわゆるテンティングに起因する問題を回避することができる。たとえば、テンティングの破れによる、不必要な箇所のエッチングなどの問題を回避することができる。また、テンティングに起因する問題を回避するために厚いレジスト膜を形成する必要が無いため、より薄いレジスト膜15,25を用いることができる。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、薄いレジスト膜15,25を用いることができるため、露光および現像の解像度が上昇し、微細なパターンを有するエッチングレジスト15a,25aを形成できる。そして、エッチングレジスト15a,25aが薄くなるため、エッチングの解像度が増加し、微細な配線パターンWP1,WP2を形成できる。すなわち、層間導電路を有するプリント配線板の製造において微細な配線パターンを形成することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、導通用孔H1を形成する前に配線パターンWP1を形成することとしたため、配線パターンWP1の形成とコンフォーマルマスク12の形成とを同時に行うことができる。そのため、導通用孔に対して、レジスト膜の露光パターン(エッチングの後、配線パターンとなる。)を位置合わせする工程を省略でき、導通用孔のより近くに配線パターンを配置するように設計することができ、かつランド12bの直径を小さく設計することができる。したがって、層間導電路を有するプリント配線板の製造においてより微細な配線パターンを形成することができる。
【0078】
また、ボタンめっき法と同様に、基板の特定部分にのみめっき処理を施すことができるため、電解めっきの存在する部分を金属めっき40に限定できる。これにより、金属箔として圧延銅箔を用いたフレキシブルプリント配線板の製造に本実施形態を適用することで、屈曲部は、屈曲性の高い圧延銅箔からなる高密度な配線パターンで構成されたフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【0079】
なお、フレキシブルプリント配線板を製造する場合、上記各工程(ステップS1~S11)のうち、少なくとも一つの工程をロールツーロール方式(連続搬送)にて行ってもよい。これにより、フレキシブルプリント配線板の製造効率を向上させることができる。また、全ての工程をロールツーロール方式にて行ってもよい。
【0080】
なお、以上の説明においては、導通用孔および当該導通用孔を形成するためのコンフォーマルマスクの数は1つとしたが、複数の導通用孔および各導通用孔を形成するための複数のコンフォーマルマスクを形成してもよい。このとき、各導通用孔の開口が存在する絶縁基材30の主面(すなわち、コンフォーマルマスクの設けられる絶縁基材30の主面)は、第1の主面および第2の主面のいずれでもよい。また、導通用孔の開口が第2の主面にも存在する場合、金属薄膜13を第2の主面にも形成してもよい。
【0081】
なお、本実施形態においては、2層の金属箔を有する両面金属張積層板を用いたが、3層以上の金属箔を有する多層プリント配線板を出発材料として用いてもよい。この場合、配線パターンおよび層間導電路を形成する対象である当該多層プリント配線板の最外層を、本実施形態における両面金属張積層板の第1の主面とみなして、本実施形態に係る方法を適用する。
【0082】
(第2の実施形態)
次に、図1図2Aおよび図3A図3Eを参照しつつ、第2の実施形態に係るプリント配線板の製造方法について説明する。本実施形態と第1の実施形態との間の相違点の一つは、導通用孔の形態である。以降、本実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0083】
図2A(1)に示すように、両面金属張積層板2を用意する(ステップS1)。本実施形態においては、両面金属張積層板2として、金属箔10,20が厚さ12μmの圧延銅箔であり、絶縁基材が厚さ25μmのポリイミドである。
【0084】
次に、両面金属張積層板2の金属箔10をパターニングして、配線パターンWP1およびコンフォーマルマスク12を形成する。また、金属箔20をパターニングして、配線パターンWP2およびランド22bを形成する。具体的には、以下のステップS2~S5を行う。
【0085】
まず、図2A(2)に示すように、金属箔10の上にレジスト膜15を形成し、金属箔20の上にレジスト膜25を形成する(ステップS2)。本実施形態において、レジスト膜15,25として、厚さが15μmのネガ型ドライフィルムを用いる。
【0086】
次に、図3A(1)に示すように、レジスト膜15,25を露光および現像して、エッチングレジスト15a,25aを形成する(ステップS3)。エッチングレジスト15aには、後述する配線パターンWP1に対応する部分、およびコンフォーマルマスク12に対応する部分が含まれる。また、エッチングレジスト25aには、後述する配線パターンWP2に対応する部分、およびランド22bに対応する部分が含まれる。
【0087】
本実施形態において、露光には両面同時露光機を用いる。両面同時露光機を用いることで、コンフォーマルマスク12の開口12aと、後述する開口22aを高精度で重ね合わせできる。たとえば、開口12aおよび開口22aの中心の位置のズレが±20μm以内となる。なお、露光方法は、プロジェクション露光、プロキシミティ露光、および直描露光(ダイレクト露光)等であってもよい。
【0088】
次に、図3A(2)に示すように、エッチングレジスト15a,25aをマスクとしてエッチングを行うことにより、エッチングレジスト15a,25aで被覆されていない金属箔10,20を除去する(ステップS4)。その後、図3B(1)に示すように、エッチングレジスト15a,25aを除去する(ステップS5)。これにより、配線パターンWP1,WP2、コンフォーマルマスク12、およびランド22bを形成する。ランド22bの内側には、開口22aが存在する。本実施形態において、開口12aの直径は50μmであり、開口22aの直径は90μmである。
【0089】
なお、開口12a,22aの直径は任意であるが、好ましくは、開口22aが平面視で開口12aを包含するように形成する。すなわち、開口22aの直径は、開口12aの直径より大きい。これにより、後述する導通用孔H2を貫通孔として形成しやすくすることができる。具体的には、開口12aと開口22aの中心位置がずれた場合においても、レーザ光の出射面に金属箔20(特にランド22b)が重なることでレーザ加工が阻害されることを抑制することができる。いわば、開口22aは、レーザ光の逃げ穴である。
【0090】
以上のステップS2~S5によって、配線パターンWP1,WP2、コンフォーマルマスク12、およびランド22bが形成される。
【0091】
次に図3B(2)に示すように、コンフォーマルマスク12にレーザ光を照射することにより、コンフォーマルマスク12の開口12aに露出した絶縁基材30を除去して導通用孔H2を形成する(ステップS6)。
【0092】
本実施形態においては、レーザの種類は、UV-YAGレーザである。なお、レーザの種類は、UV-YAGレーザに限定されず、たとえば炭酸ガスレーザ等であってもよい。
【0093】
本実施形態においては、導通用孔H2は開口12aおよび開口22aを連通させる貫通孔となる。
【0094】
なお、本実施形態のように、レーザ光の照射条件を調整することにより、導通用孔H2を開口12aから深くなるに従って内径が小さくなるよう形成してもよい。これにより、後述する金属薄膜13を導通用孔H2の側面に定着しやすくすることができる。
【0095】
次に、図3C(1)に示すように、配線パターンWP1、コンフォーマルマスク12および導通用孔H2に対して、乾式めっき処理を施し、金属薄膜13を形成する(ステップS7)。より詳しくは、絶縁基材30の第1の主面側(金属箔10が設けられている側)に対して、乾式めっき処理を施し、配線パターンWP1、コンフォーマルマスク12(すなわち、ランド12b)、および導通用孔H2の側面に金属薄膜13を形成する。また、配線パターンWP2、ランド22bに対しても、乾式めっき処理を施し、金属薄膜13を形成する。より詳しくは、絶縁基材30の第2の主面側(金属箔20が設けられている側)に対しても、乾式めっき処理を施し、配線パターンWP2、およびランド22bに金属薄膜13を形成する。なお、第1の主面側に対する金属薄膜13の形成と、第2の主面側に対する金属薄膜13の形成とは、いずれを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0096】
本実施形態では、銅スパッタリングを行い、金属薄膜13として、厚さ0.3μmの銅薄膜を形成する。
【0097】
次に、図3C(2)に示すように、配線パターンWP1,WP2を被覆し、導通用孔H2を被覆しないめっきレジスト14,24を形成する(ステップS8)。めっきレジスト14には、導通用孔H2を被覆しないように導通用孔H2の部分に開口14aが設けられている。同様に、めっきレジスト24には、導通用孔H2の部分に開口24aが設けられている。本実施形態において、開口14aの直径は100μmであり、開口24aの直径は140μmである。
【0098】
なお、図3C(2)に示すように、開口14aは、ランド12bの上に位置する。また、開口24aは、ランド22bの上に位置する。
【0099】
なお、図3C(2)では、配線パターンWP1をめっきレジスト14で全て被覆したが、これに限られず、少なくとも導通用孔H2の周囲の配線パターンWP1のみを被覆してもよい。また、配線パターンWP2をめっきレジスト24で全て被覆したが、これに限られず、少なくとも導通用孔H2の周囲の配線パターンWP2のみを被覆してもよい。この場合、導通用孔H2および導通用孔H2の周囲の配線パターンWP1,WP2のみに、めっき処理を行ってもよい。
【0100】
次に、図3D(1)に示すように、めっき処理を行うことにより、導通用孔H2の内部に金属めっき40を形成する(ステップS9)。より詳しくは、金属薄膜13が形成されためっきレジスト14の開口14aの内部、およびめっきレジスト24の開口24aの内部に金属めっき40を形成する。金属めっき40には、ボタンランド41,42が含まれる。その後、図3D(2)に示すように、めっきレジスト14,24を除去する(ステップS10)。これにより、ランド12bとランド22bを電気的に接続する層間導電路50を形成する。
【0101】
本実施形態において、金属めっき40は、電解銅めっきである。
【0102】
本実施形態では、導通用孔H2が貫通孔であるため、層間導電路50は、めっきスルーホールとなる。なお、本実施形態では、層間導電路50として、めっきスルーホールを形成するが、これに限定されず、貫通孔を充填するビアを形成してもよい。
【0103】
次に、図3Eに示すように、金属薄膜13の露出した部分、すなわち、金属薄膜13のうち、金属めっき40(またはボタンランド41,42)によって覆われていない部分の金属薄膜を除去する(ステップS11)。
【0104】
以上の工程(ステップS1~S11)によって、本実施形態に係るプリント配線板1Aを製造することができる。
【0105】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、めっきスルーホールを有するプリント配線板を製造することができる。
【0106】
なお、以上の説明においては、導通用孔および当該導通用孔を形成するためのコンフォーマルマスクの数は1つとしたが、複数の導通用孔および各導通用孔を形成するための複数のコンフォーマルマスクを形成してもよい。このとき、各導通用孔を形成するためのコンフォーマルマスクは、第1の主面および第2の主面のいずれに存在してもよい。
【0107】
(第3の実施形態)
図1図2Aおよび図4A図4Bを参照しつつ、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態の有底孔および第2の実施形態の貫通孔の両方を形成する。すなわち、本実施形態で製造するプリント配線板1Bは、有底ビアおよびめっきスルーホールの両方を有する。以降、本実施形態について、第1および第2の実施形態との相違点を中心に説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0108】
まず、図2A(1)に示すように、両面金属張積層板2を用意する(ステップS1)。
【0109】
次に、図4A(1)に示すように、両面金属張積層板2の金属箔10をパターニングして、配線パターンWP1、コンフォーマルマスク12、およびコンフォーマルマスク12Aを形成する。また、金属箔20をパターニングして、配線パターンWP2、絶縁基材30を挟んでコンフォーマルマスク12と対向するランド22、およびランド22bを形成する(ステップS2~S5)。コンフォーマルマスク12は、開口12aおよびランド12bを含む。コンフォーマルマスク12Aは、開口12Aaおよびランド12Abを含む。ランド22bの内側には、開口22aが存在する。開口12a,12Aa,22aの直径は任意であるが、好ましくは、開口22aが平面視で開口12Aaを包含するように形成する。
【0110】
なお、本実施形態では、貫通孔である導通用孔H2を形成するため、ステップS3における露光には両面同時露光機を用いることが好ましい。
【0111】
次に図4A(2)に示すように、コンフォーマルマスク12にレーザ光を照射することにより、コンフォーマルマスク12の開口12aに露出した絶縁基材30を除去して、有底孔である導通用孔H1を形成する。また、コンフォーマルマスク12Aにレーザ光を照射することにより、コンフォーマルマスク12Aの開口12Aaに露出した絶縁基材30を除去して、貫通孔である導通用孔H2を形成する(ステップS6)。レーザの種類は、たとえばUV-YAGレーザ、炭酸ガスレーザ等である。また、本実施形態においては、導通用孔H2は開口12Aaおよび開口22aを連通させる貫通孔となる。なお、導通用孔H1および導通用孔H2は、いずれを先に形成してもよいし、同時に形成してもよい。
【0112】
次に、図4B(1)に示すように、配線パターンWP1,WP2、コンフォーマルマスク12,12Aおよび導通用孔H1,H2に対して、乾式めっき処理を施し、金属薄膜13を形成する(ステップS7)。本実施形態では、導通用孔H2が貫通孔であるため、金属薄膜13は、絶縁基材30の第1の主面および第2の主面の両方に形成する。
【0113】
次に、図4B(2)に示すように、ランド12bとランド22を電気的に接続する層間導電路(有底ビア)50、およびランド12Abとランド22bを電気的に接続する層間導電路(めっきスルーホール)50Aを形成する。より詳しくは、まず、配線パターンWP1,WP2を被覆し、導通用孔H1,H2を被覆しないめっきレジストを形成する(ステップS8)。次に、導通用孔H1の内部に金属めっき40を形成し、導通用孔H2の内部に金属めっき40Aを形成する(ステップS9)。金属めっき40には、ボタンランド41が含まれる。金属めっき40Aには、ボタンランド41A,42が含まれる。その後、めっきレジストを除去する(ステップS10)。次に、図4B(2)に示すように、金属薄膜13の露出した部分、すなわち、金属薄膜13のうち、金属めっき40,40A(またはボタンランド41,41A,42)によって覆われていない部分の金属薄膜を除去する(ステップS11)。
【0114】
以上のステップS8~S11によって、ランド12bとランド22を電気的に接続する層間導電路(有底ビア)50、およびランド12Abとランド22bを電気的に接続する層間導電路(めっきスルーホール)50Aを形成する。
【0115】
以上の工程(ステップS1~S11)によって、本実施形態に係るプリント配線板1Bを製造することができる。
【0116】
本実施形態によれば、有底ビアおよびめっきスルーホールの両方を有するプリント配線板を製造することができる。
【0117】
なお、本実施形態では、コンフォーマルマスク12およびコンフォーマルマスク12Aを両面金属張積層板2の同一の主面(第1の主面)に形成したが、これに限られず、コンフォーマルマスク12およびコンフォーマルマスク12Aをそれぞれ両面金属張積層板2の異なる主面に形成してもよい。
【0118】
なお、導通用孔H1および/または導通用孔H2を複数形成してもよい。この場合において、各導通用孔を形成するためのコンフォーマルマスクを両面金属張積層板2の第1の主面および第2の主面のいずれの側に形成してもよい。また、めっきスルーホールに代えて、貫通孔を充填するビア(フィルドビア)を形成してもよい。
【0119】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0120】
1,1A,1B プリント配線板
2 両面金属張積層板
10,20,100,200 金属箔
11,21,110,210 配線
12,12A コンフォーマルマスク
12a,12Aa,22a 開口
12b,12Ab,22b,120b ランド
13 金属薄膜
14,24,140,240 めっきレジスト
14a,24a,140a 開口
15,25,150,250 レジスト膜
15a,25a,150a,250a エッチングレジスト
22,220 ランド
30,300 絶縁基材
40,40A,400 金属めっき
41,41A,42,410 ボタンランド
50,50A,500 層間導電路
H1,H2,H 導通用孔
WP1,WP2,WP10,WP20 配線パターン
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D