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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040842
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】コネクタ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 35/04 20060101AFI20240318BHJP
   H01R 12/51 20110101ALI20240318BHJP
   H01R 12/79 20110101ALI20240318BHJP
【FI】
H01R35/04 C
H01R12/51
H01R12/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145464
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】中岡 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】浅川 正志
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB20
5E223BA06
5E223BA07
5E223CA29
5E223CD01
5E223DA33
5E223DA34
5E223DA38
5E223EA06
(57)【要約】
【課題】コネクタの向きを第1状態と第2状態との間で切り替え可能とし、第1状態と第2状態とにおけるコネクタの電気的な接続を安定的に維持することを可能としたコネクタを提供する。
【解決手段】ケーブルが差し込まれる差込口5と、差込口5に差し込まれたケーブルと電気的に接続される第1配線6とを有する第1ハウジング2と、第2配線8を有する第2ハウジング3と、第2ハウジング3が固定される基板Pの表面に対する角度が互いに異なる第1状態と第2状態との間で、第1ハウジング2と第2ハウジング3とを回動可能とする回動機構4とを備え、第1配線6と第2配線8とは、第1状態と第2状態とのそれぞれにおいて電気的に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが差し込まれる差込口と、前記差込口に差し込まれた前記ケーブルと電気的に接続される第1配線とを有する第1ハウジングと、
第2配線を有する第2ハウジングと、
前記第2ハウジングが固定される基板の表面に対する角度が互いに異なる第1状態と第2状態との間で、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを回動可能とする回動機構とを備え、
前記第1配線と前記第2配線とは、前記第1状態と前記第2状態とのそれぞれにおいて電気的に接続されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間で、前記第1配線の一部が弾性変形しながら、前記第2配線に押し付けられることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1状態と前記第2状態とにおいて、前記第1配線の弾性変形により前記第1ハウジングが前記第2ハウジングに対して離間する方向に付勢されることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを前記第1状態と前記第2状態とにおいて固定する固定機構を備え、
前記固定機構は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの何れか一方に設けられたガイド凸部と、何れか他方に設けられたガイド溝と、前記ガイド溝の両側に設けられた係止凹部とを有し、
前記ガイド溝に係合された前記ガイド凸部が前記第1状態と前記第2状態との間で案内されると共に、前記第1状態と前記第2状態とにおいて、前記付勢により前記係止凹部に前記ガイド凸部が係止されることによって、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが固定されることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記付勢に抗して前記第1ハウジングを前記第2ハウジングに対して接近する方向に押圧することによって、前記係止凹部と前記ガイド凸部との係止状態が解除されると共に、前記ガイド溝に前記ガイド凸部が係合された状態で、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが前記第1状態と前記第2状態との間で回動可能となることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1配線及び前記第2配線は、それぞれ複数並んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第2配線は、前記基板の表面に設けられた第3配線と電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記回動機構は、第1配線と前記第2配線とを互いに摺動させながら回動させることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1状態は、前記差込口に差し込まれる前記ケーブルの向きが前記基板に対して垂直となる状態であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第2状態は、前記差込口に差し込まれる前記ケーブルの向きが前記基板に対して平行となる状態であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第1配線と前記第2配線との間に、導電性潤滑剤による潤滑層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のコネクタと、
前記差込口に差し込まれるケーブルと、
前記第2ハウジングが固定される基板とを備える電子機器。
【請求項13】
前記基板の表面に対して垂直に取り付けられた板金を備え、
前記板金は、前記差込口を外部に臨ませる開口部を有することを特徴とする請求項12に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コネクタの中には、コネクタの差込口に差し込まれるケーブルの向きが基板の表面に対して垂直となるストレートアングルコネクタと、コネクタの差込口に差し込まれるケーブルの向きが基板の表面に対して平行となるライトアングルコネクタとがある。ストレートアングルコネクタは、基板を平置きする場合に好適に用いられる。一方、ライトアングルコネクタは、基板を縦置きする場合に好適に用いられる。
【0003】
ところで、このようなコネクタの向きにより基板の配置が制限されることから、ストレートアングルコネクタとライトアングルコネクタとを切り替え可能としたダブルアングルコネクタが提案されている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-259992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のコネクタでは、コネクタ本体内に収納される電気接触子が折り曲げられる構成のため、コネクタの向きを切り替える際の電気接触子の曲げ伸ばしにより、電気接触子の耐久性に不安がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様によれば、ケーブルが差し込まれる差込口と、前記差込口に差し込まれた前記ケーブルと電気的に接続される第1配線とを有する第1ハウジングと、第2配線を有する第2ハウジングと、前記第2ハウジングが固定される基板の表面に対する角度が互いに異なる第1状態と第2状態との間で、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを回動可能とする回動機構とを備え、前記第1配線と前記第2配線とは、前記第1状態と前記第2状態とのそれぞれにおいて電気的に接続されるコネクタが提供される。
【0007】
本発明の一つの態様によれば、上記態様のコネクタと、前記差込口に差し込まれるケーブルと、前記第2ハウジングが固定される基板とを備える電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタの第1状態における斜視図である。
図2図1に示すコネクタの第1状態における断面図である。
図3図1に示すコネクタの第2状態における斜視図である。
図4図3に示すコネクタの第2状態における断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るコネクタの第1状態における側面図である。
図6図5に示すコネクタの第2状態における側面図である。
図7図5に示すコネクタの第1状態と第2状態との間における側面図である。
図8図5に示すコネクタを構成する第1ハウジングの斜視図である。
図9図8に示す第1ハウジングの側面図である。
図10図5に示すコネクタを構成する第2ハウジングの斜視図である。
図11図10に示す第2ハウジングの側面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る電子機器を正面側から見た斜視図である。
図13図12に示す電子機器を背面側から見た斜視図である。
図14図12に示す電子機器を構成するコネクタが取り付けられた基板の斜視図である。
図15】本発明の第4実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図16】本発明の第5実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を模式的に示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0010】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態として、例えば図1図4に示すコネクタ1Aについて説明する。
【0011】
なお、図1は、コネクタ1Aの第1状態における斜視図である。図2は、コネクタ1Aの第1状態における断面図である。図3は、コネクタ1Aの第2状態における斜視図である。図4は、コネクタ1Aの第2状態における断面図である。
【0012】
本実施形態では、コネクタ1Aとして、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable )やフレキシブルプリンテッドサーキット(FPC:Flexible Printred Circuit)等の多極平型電線用のNON-ZIF(Zero InsertionForoce)タイプのコネクタに本発明を適用した場合を例示している。
【0013】
本実施形態のコネクタ1Aは、図1図4に示すように、第1ハウジング2と、第2ハウジング3と、第1ハウジング2と第2ハウジング3とを回動可能とする回動機構4とを備えている。
【0014】
第1ハウジング2は、例えば絶縁樹脂からなる略方形状のケース体により構成されている。第1ハウジング2は、ケーブル(図示せず。)が差し込まれる差込口5と、差込口5に差し込まれたケーブルと電気的に接続される第1配線6とを有している。
【0015】
差込口5は、第1ハウジング2の先端側に矩形状に開口している。一方、第1ハウジング2の後端側は、第1ハウジング2の厚み方向において円弧状に湾曲した壁部7により閉塞されている。
【0016】
第1配線6は、例えば弾性を有する金属導線を所定の形状に折り曲げたリード端子により構成されている。第1配線6は、第1ハウジング2の内側の壁面に沿って第1ハウジング2の幅方向に複数並んで設けられている。
【0017】
第1配線6の一端側は、第1ハウジング2の内側に位置して、差込口5から第1ハウジング2に差し込まれたケーブルと電気的に接続される接続端子部6aを構成している。一方、第1配線6の他端側は、第1ハウジング2の内側から壁部7を貫通した状態で、第1ハウジング2の外側へと引き延ばされている。
【0018】
さらに、第1配線6の第1ハウジング2の外側へと引き延ばされた部分(以下、「第1接点部」という。)6bは、壁部7の壁面に沿って湾曲しながら、その他端側が壁部7に固定されている。これにより、第1接点部6bは、第1ハウジング2の外側において、第2ハウジング3と対向する範囲で弾性変形可能に設けられている。
【0019】
第2ハウジング3は、例えば絶縁樹脂からなる略方形状且つその隣り合う2面(本実施形態では上面及び正面)側が開口したケース体により構成されている。第2ハウジング3は、第1配線6と電気的に接続される第2配線8を有している。
【0020】
第2配線8は、例えば弾性を有する金属導線を所定の形状に折り曲げたリード端子により構成されている。第2配線8は、第2ハウジング3の内側の壁面に沿って第2ハウジング3の幅方向に複数並んで設けられている。
【0021】
また、第2配線8は、第2ハウジング3の内側の一面(本実施形態では下面)において、第1配線6の第1接点部6bと摺動される第2接点部8aを有している。一方、第2配線8の両端は、第2ハウジング3の内側から下面の外側へと引き延ばされている。さらに、第2配線8の第2ハウジング3の外側へと引き延ばされた部分は、基板Pの面上に固定される固定端子部8bを構成している。
【0022】
なお、基板Pの表面には、各固定端子部8bに対応した第3配線(図示せず。)が設けられている。第3配線は、基板Pの表面に第2ハウジング3(コネクタ1A)を固定するためのフットプリントであり、はんだ付け等により固定端子部8bと電気的に接続される。
【0023】
また、後述する図10及び図11に示す第2ハウジング3の幅方向の両側には、この第2ハウジング3を基板Pの面上に固定するための一対の固定部9が設けられている。一対の固定部9は、第2配線8とは別に、基板P側のフットプリントにはんだ付け等により固定される。
【0024】
回動機構4は、第2ハウジング3の内側に第1ハウジング2を収納した状態で、幅方向の両側に設けられた一対のヒンジ部10を介して第1ハウジング2と第2ハウジング3とを軸回りに回動可能に支持している。
【0025】
一対のヒンジ部10は、第1ハウジング2と第2ハウジング3との何れか一方(本実施形態では第1ハウジング2)に設けられた軸部10aと、何れか一方(本実施形態では第2ハウジング3)に設けられた軸受10bとを有している。一対のヒンジ部10は、軸部10aが軸受10bに軸支されることによって、第1ハウジング2と第2ハウジング3とを軸回りに回動可能に支持している。
【0026】
本実施形態では、軸部10aとして、第1ハウジング2の幅方向における第2ハウジング3と対向する側壁から突出された支軸を有している。一方、軸受10bとして、第2ハウジング3の幅方向における第1ハウジング2と対向する側壁を貫通する軸孔を有している。なお、軸受10bとしては、第2ハウジング3の幅方向における第1ハウジング2と対向する側壁を凹ませた軸穴であってもよい。
【0027】
また、本実施形態では、上述した第1ハウジング2側に軸部10a、第2ハウジング3側に軸受10bが設けられた構成となっているが、第1ハウジング2側に軸受10b、第2ハウジング3側に軸部10aが設けられた構成であってもよい。
【0028】
また、回動機構4は、上述した一対のヒンジ部10により構成されたものに必ずしも限定されるものではなく、第1ハウジング2と第2ハウジング3とを回動可能とする構成であればよく、その構成について適宜変更を加えることが可能である。
【0029】
以上のような構成を有する本実施形態のコネクタ1Aでは、第2ハウジング3が固定される基板Pの表面に対して、図1及び図2に示す第1ハウジング2の差込口5に差し込まれるケーブルの向きが垂直となる第1状態と、図3及び図4に示す第1ハウジング2の差込口5に差し込まれるケーブルの向きが平行となる第2状態との間で、第1ハウジング2と第2ハウジング3とを回動可能としている。
【0030】
これにより、本実施形態のコネクタ1Aでは、差込口5に差し込まれるケーブルの向きが基板Pの表面に対して垂直(第1状態)となるストレートアングルコネクタと、差込口5に差し込まれるケーブルの向きが基板Pの表面に対して平行(第2状態)となるライトアングルコネクタとを切り替え可能としたダブルアングルコネクタを構成している。
【0031】
ところで、本実施形態のコネクタ1Aでは、第2ハウジング3に対して第1ハウジング2の向きを第1状態と第2状態との間で切り替える際に、第1配線6の第1接点部6bと第2配線8の第2接点部8aとが互いに摺動しながら、第1状態と第2状態との各々において第1配線6と第2配線8とが電気的に接続されている。
【0032】
これにより、本実施形態のコネクタ1Aでは、第2ハウジング3に対して第1ハウジング2の向きを切り替えるダブルアングルコネクタを構成する場合でも、互いに電気的に接続される第1配線6及び第2配線8の耐久性を向上させることが可能である。
【0033】
また、本実施形態のコネクタ1Aでは、第1ハウジング2と第2ハウジング3との間で、第1配線6の第1接点部6bが弾性変形しながら、第2配線8の第2接点部8aに押し付けられている。
【0034】
これにより、本実施形態のコネクタ1Aでは、第2ハウジング3に対して第1ハウジング2の向きを切り替えるダブルアングルコネクタを構成する場合でも、第1状態と第2状態との各々において第1配線6と第2配線8との電気的な接続を安定的に維持することが可能である。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態として、例えば図5図11に示すコネクタ1Bについて説明する。
【0036】
なお、図5は、コネクタ1Bの第1状態における側面図である。図6は、コネクタ1Bの第2状態における側面図である。図7は、コネクタ1Bの第1状態と第2状態との間における側面図である。図8は、コネクタ1Aを構成する第1ハウジング2の斜視図である。図9は、第1ハウジング2の側面図である。図10は、コネクタ1Bを構成する第2ハウジング3の斜視図である。図11は、第2ハウジング3の側面図である。また、以下の説明では、上記コネクタ1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0037】
本実施形態のコネクタ1Bは、図5図7に示すように、上記コネクタ1Aの構成に加えて、第1ハウジング2と第2ハウジング3とを第1状態と第2状態とにおいて固定する固定機構20を備えた構成である。
【0038】
具体的に、この固定機構20は、第1ハウジング2及び第2ハウジング3の幅方向の両側に設けられている。固定機構20は、第1ハウジング2と第2ハウジング3との何れか一方(本実施形態では第1ハウジング2)に設けられたガイド凸部21と、何れか他方(本実施形態では第2ハウジング3)に設けられたガイド溝22と、ガイド溝22の両側に設けられた係止凹部23a,23bとを有している。
【0039】
ガイド凸部21は、図8及び図9に示すように、第1ハウジング2の軸部10aの近傍(本実施形態では軸部10aよりも差込口5側)に位置して、第1ハウジング2の幅方向における第2ハウジング3と対向する側壁から突出して設けられている。
【0040】
ガイド溝22は、図10及び図11に示すように、第2ハウジング3の幅方向における第1ハウジング2と対向する側壁を第1状態と第2状態との回動範囲に合わせて円弧状に切り欠くように設けられている。なお、ガイド溝22については、第2ハウジング3の第1ハウジング2と対向する側壁を貫通したものであってもよく、凹ませたものであってもよい。
【0041】
係止凹部23a,23bは、ガイド溝22の両端に連続しながら、それぞれ第2ハウジング3の軸受10bから離間する方向に向かって切り欠くように設けられている。なお、係止凹部23a,23bについては、成就したガイド溝22と同様に、第2ハウジング3の第1ハウジング2と対向する側壁を貫通したものであってもよく、凹ませたものであってもよい。
【0042】
以上のような構成を有する本実施形態のコネクタ1Bでは、図5図7に示すように、第1状態と第2状態とにおいて、上述した第1接点部6bの弾性変形により第1ハウジング2が第2ハウジング3に対して離間する方向に付勢されている。
【0043】
また、固定機構20では、図5に示す第1状態と図6に示す第2状態とにおいて、上述した第1接点部6bの付勢により係止凹部23a,23bにガイド凸部が係止される。これにより、第1ハウジング2と第2ハウジング3とが固定され、第2ハウジング3に対する第1ハウジング2の回動が阻止される。
【0044】
この状態から、第1接点部6bの付勢に抗して、第1ハウジング2を第2ハウジング3に対して接近する方向に押圧する。このとき、係止凹部23a,23bとガイド凸部21との係止状態が解除されると共に、ガイド溝22にガイド凸部21が係合できるようになる。
【0045】
これにより、図7に示すように、ガイド溝22に係合されたガイド凸部21が第1状態と第2状態との間で案内されながら、第1ハウジング2と第2ハウジング3とが第1状態と第2状態との間で回動可能となる。
【0046】
なお、このガイド溝22を係止凹部23a,23bと接する部分から離れた領域を軸受10bから離れた位置へ引き回すことで、回動中は第1配線6及び第2配線8とが接触しないようにすることで、摩耗を防止することも可能である。
【0047】
本実施形態のコネクタ1Bでは、上述したコネクタ1Aと同様の構成を備えることから、第2ハウジング3に対して第1ハウジング2の向きを切り替えるダブルアングルコネクタを構成する場合でも、互いに電気的に接続される第1配線6及び第2配線8の耐久性を向上させることが可能である。
【0048】
また、本実施形態のコネクタ1Bでは、第2ハウジング3に対して第1ハウジング2の向きを切り替えるダブルアングルコネクタを構成する場合でも、第1状態と第2状態との各々において第1配線6と第2配線8との電気的な接続を安定的に維持することが可能である。
【0049】
また、本実施形態のコネクタ1Bでは、上述した固定機構20を備えることによって、第1ハウジング2と第2ハウジング3とを第1状態と第2状態とにおいて安定的に固定することが可能である。
【0050】
なお、本実施形態では、上述した第1ハウジング2側にガイド凸部21、第2ハウジング3側にガイド溝22及び係止凹部23a,23bが設けられた構成となっているが、第1ハウジング2側にガイド溝22及び係止凹部23a,23b、第2ハウジング3側にガイド凸部21が設けられた構成であってもよい。
【0051】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態として、例えば図12図14に示す電子機器100Aについて説明する。
【0052】
なお、図12は、電子機器100Aを正面側から見た斜視図である。図13は、電子機器100Aを背面側から見た斜視図である。図14は、電子機器100Aを構成するコネクタ101A,101B,101Cが取り付けられた基板200の斜視図である。また、以下の説明では、上記コネクタ1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0053】
本実施形態の電子機器100Aは、図12及び図13に示すように、複数のコネクタ101A,101B,101Cが設けられた基板200と、複数のコネクタ101D,101Eが設けられた板金300と、基板200側のコネクタ101B,101Cと板金300側のコネクタ101D,101Eとの間を電気的に接続する複数のケーブル400A,400Bとを備えている。
【0054】
基板200は、その面上に並ぶ複数のコネクタ101A,101B,101Cを有している。複数のコネクタ101A,101B,101Cのうち、コネクタ101Aに上記コネクタ1A,1Bを用いている。
【0055】
コネクタ101Aは、基板200の正面側の端部に沿って電子機器100Aの幅方向に並んで設けられている。また、コネクタ101Aは、第2ハウジング3に対する第1ハウジング2の向きを第2状態に切り替えることによって、差込口5に差し込まれるケーブルの向きが基板200の表面に対して平行となるライトアングルコネクタを構成している。
【0056】
一方、コネクタ101Bには、差込口に差し込まれるケーブル400Aの向きが基板200の表面に対して垂直となるストレートアングルコネクタを用いている。コネクタ101Bは、基板200の中央側に位置して、電子機器100Aの幅方向に並んで設けられている。
【0057】
一方、コネクタ101Cには、差込口に差し込まれるケーブル400Bの向きが基板200の表面に対して垂直となるストレートアングルコネクタを用いている。コネクタ101Cは、基板200の背面側に位置して、電子機器100Aの幅方向に並んで設けられている。
【0058】
板金300は、基板200の正面側の端部に沿って、基板200の表面に対して垂直に取り付けられている。板金300には、各コネクタ101Aの差込口5を外部に臨ませる複数の開口部301が設けられている。したがって、複数の開口部301は、各コネクタ101Aの差込口5に合わせて、電子機器100Aの幅方向に並んで設けられている。
【0059】
コネクタ101Dは、各開口部301の上方に位置して、電子機器100Aの幅方向に並んで設けられている。
【0060】
コネクタ101Eは、各コネクタ101Dの上方に位置して、電子機器100Aの幅方向に並んで設けられている。
【0061】
複数のケーブル400A,400Bのうち、ケーブル400Aは、基板200側のコネクタ101Bと板金300側のコネクタ101Dとに、それぞれの両端が差し込まれることによって、これらコネクタ101Bとコネクタ101Dとの間を電気的に接続している。
【0062】
一方、ケーブル400Bは、基板200側のコネクタ101Cと板金300側のコネクタ101Eとに、それぞれの両端が差し込まれることによって、これらコネクタ101Cとコネクタ101Eとの間を電気的に接続している。
【0063】
本実施形態の電子機器100Aでは、図14に示すように、複数のコネクタ101A,101B,101Cが取り付けられた基板200を用いている。また、複数のコネクタ101A,101B,101Cのうち、コネクタ101Aに上記コネクタ1A,1Bを用いている。
【0064】
図14に示す基板200は、コネクタ101Aの向きを第1状態と第2状態とに切り替えることが可能である。したがって、このような基板200を電子機器100Aに用いることが可能である。
【0065】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態として、例えば図15に示す電子機器100Bについて説明する。
【0066】
なお、図15は、電子機器100Bの斜視図である。また、以下の説明では、上記電子機器100Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0067】
本実施形態の電子機器100Bは、図15に示すように、上記図14に示す基板200を上下方向に並べた構成であり、上下方向に並ぶ基板200は、背面側の板金500を介して固定支持されている。
【0068】
図14に示す基板200は、コネクタ101Aの向きを第1状態と第2状態とに切り替えることが可能である。したがって、このような基板200を電子機器100Bに用いることが可能である。
【0069】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態として、例えば図16に示す電子機器100Cについて説明する。
【0070】
なお、図16は、電子機器100Cの斜視図である。また、以下の説明では、上記電子機器100Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0071】
本実施形態の電子機器100Cは、図16に示すように、上記図14に示す基板200を面内に並べて配置した構成である。
【0072】
図14に示す基板200は、コネクタ101Aの向きを第1状態と第2状態とに切り替えることが可能である。
【0073】
本実施形態において、コネクタ101Aは、第2ハウジング3に対する第1ハウジング2の向きを第1状態に切り替えることによって、差込口5に差し込まれるケーブルの向きが基板200の表面に対して垂直となるストレートアングルコネクタを構成している。
【0074】
したがって、このような基板200を電子機器100Cに用いることが可能である。
【0075】
以上のように、上記図14に示す基板200は、コネクタ101Aの向きを第1状態と第2状態とに切り替えることによって、この基板200の配置の自由度を高めることが可能である。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記コネクタ1A,1Bは、上述したNON-ZIFタイプのコネクタに本発明を適用したものに限らず、コネクタの向きを第1状態と第2状態とに切り替え可能なコネクタに対して本発明を幅広く適用することが可能である。また、多極平型電線用のコネクタに限られず、単極丸型電線用のコネクタ等にも適用可能である。
【0077】
また、上記コネクタ1A,1Bにおいて、第1状態と第2状態とは、基板Pの表面に対して垂直な状態(90°)と平行な状態(0°)となっているが、それぞれの角度は任意に設定すればよい。第1ハウジング2と第2ハウジング3との回動する角度範囲については、90°の角度範囲に限らず、例えば±45°の角度範囲で変更することも可能である。さらに、第1ハウジング2と第2ハウジング3との回動する角度範囲を180°とすることも可能である。
【0078】
また、上記コネクタ1A,1Bは、2つの角度で使用するものに限られず、3番目の姿勢や4番目の姿勢など多数の姿勢で使用できるようにしてもよい。その場合は当然それぞれの角度の位置に係止凹部を設けてもよい。
【0079】
さらに、上記接点部6b,8aの摺動による摩耗を抑制するために、上記接点部6b,8aの表面に導電性潤滑剤を塗布して潤滑層を設けてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1A,1B…コネクタ 2…第1ハウジング 3…第2ハウジング 4…回動機構 5…差込口 6…第1配線 8…第2配線 100A~100C…電子機器 101A~101E…コネクタ 200…基板 300…板金 301…開口部 400A,400B…ケーブル P…基板
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